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チャットボットとは? そのしくみや種類について最新動向を解説!

2023 年 1 月 20 日

最近、チャットで問い合わせを受け付けている EC サイトなどが増えてきています。Web ページの一部にチャット画面があり、「この問い合わせはチャットボットが回答しています」と表示される自動応答の機能です。とはいえ、チャットボットとは何か、正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、少しずつ身近になりつつあるチャットボットについて、しくみや種類、メリットやデメリットを解説します。また、導入方法やおすすめのサービスも併せて紹介します。

  1. チャットボットとは何か
    1-1. チャットボットが使われる場面
    1-2. チャットボットの歴史
    1-3. チャットボットのしくみや種類
  2. チャットボットのメリット、デメリット
    2-1. チャットボットのメリット
    2-2. チャットボットのデメリット
  3. チャットボットを実際に使ってみるには
    3-1. チャットボットの導入方法
    3-2. Microsoft 365ユーザーなら無償で Power Virtual Agents の一部機能が使える
  4. まとめ

1. チャットボットとは何か

まずは、チャットボットとはどのようなものか解説します。

1-1. チャットボットが使われる場面

チャットボットという言葉は、「チャット (会話)」と「ボット (ロボット)」を組み合わせた言葉で、コンピューターが人間に代わって会話をする自動会話プログラムのことを指します。

日常的に使われているチャット プログラムとしては、Microsoft Teams や Skype、LINE、Messenger などが挙げられるでしょう。これらのチャット プログラムは、人間どうしでやり取りを行うものですが、チャットボットではチャットの受け答えをコンピューターが行います。

スマートフォンでチャットボットを利用している様子のイラスト

今まで問い合わせ対応やトラブル対応などは、一般的にコール センターが担っていました。しかし最近では、これらをチャットボットが代替するケースが増えています。とりわけ、ビジネスの現場での問い合わせ対応に使われることが多くなっています。

個人レベルでは、Siri や Amazon Alexa のような AI (人工知能)が音声によって検索などを助けてくれる AI アシスタントを使っている方も多いでしょう。これらの AI アシスタントは、個人のタスクをサポートするために開発されており、企業向けに開発されるチャットボットとは導入の目的が異なりますが、広義では音声認識機能を持った AI 活用型のチャットボットと言えるでしょう。

1-2. チャットボットの歴史

近年その存在感を増してきたチャットボットですが、その歴史は意外にも古く、アメリカで 1966 年に登場した「ELIZA (イライザ)」が元祖と言われています。
ELIZA は、パターン マッチング技法を使った自然言語処理プログラムで、1 つのキーワードに対して複数の回答パターンを持っています。それらの回答を交互に表示させたり、キーワードが見つからない場合でも「それは興味深いですね」といった回答を表示させたりすることで、自然な会話ができるというものでした。

その後、チャットボット機能が多くの人の目に触れるきっかけになったのは、Microsoft の Office 97 で Office アシスタントとして登場したイルカの「カイル」ではないでしょうか。カイルは Office 97 の画面に現れて、対話するようにヘルプを表示する機能でした。
Microsoft ではその後、Twitter 上で書き込むボット「Tay」や LINE や Twitter で会話できる女子高生チャットボット「りんな」 (現在は rinna株式会社が運営) なども開発しています。

りんな公式 LINE アカウントとの会話画面とりんな公式 Instagram アカウント

(画像出典:りんな公式 LINE アカウントとの会話画面/りんな公式 Instagram アカウント)

2011 年ごろから IBM 「Watson」や Apple「Siri」がその名を馳せるようになったことで、チャットボットの本格的な活用が始まります。

具体的には、Watson を使ったユーザーとコンピューターが自然言語で対話できるアプリケーション「Watson Assistant (旧:Conversation)」が開発され、チャットボットの活用が一気に広がりました。
また Siri については、スマートフォンの iPhone に音声で対話できる機能として組み込まれたことにより、認知度を上げました。

1-3. チャットボットのしくみや種類

チャットボットと言ってもそのしくみや処理の種類にはさまざまなものがあります。
まず、処理のしくみとしては大きく以下の 2 つがあります。

シナリオ型: あらかじめ想定される条件分岐のシナリオを人間が準備しておき、ユーザーに対していくつか選択肢を提示し、知りたいものを選択してもらう形式です。
単純な質問であれば比較的簡単に構築できますが、条件に合わない質問には答えられません。

例:SYNALIO、chamo など

人工知能 (AI) 型: AI が対話ログを機械学習し、回答を返す方式です。自然な会話に近く、学習/反復した分だけより良い回答ができるようになります。
ただし、まったく人間の手間がかからないわけではなく、定期的にチューニングしていくことが必要です。

例:HiTTO、 AI Messenger Chatbot 、Microsoft Power Virtual Agents など

このほかにも「BOTCHAN」のように、AI とシナリオを組み合わせたハイブリッド型チャットボットもあり、何らかの形で AI が使われることが多くなっています。

また、こういったしくみを使ってチャットボットが行う処理の種類としては、以下のようなものがあります。皆さんもこれらのチャットボットを目にすることも多くなってきたのではないでしょうか。

FAQ への回答: 顧客からの質問を受けて、適切な回答を返信するチャットボットです。

例:「開店時間は何時ですか?」→「午前 10 時です」「最寄り駅はどこですか?」→「品川駅です」など

指示された処理の実行: 会議の希望日時や出席者を書き込むことで、ミーティングのスケジュールをピックアップする、指定した時間の配達を予約するなど、チャットに書かれた指示を基に処理をしてくれるものです。

例:「明日午前中に荷物を配達してください」→「明日午前中の荷物の配達を承りました」

情報配信: チャットを利用して設定した時間に自動で情報を配信するものです。クーポンや割引情報などは、従来メルマガなどで行われていましたが、昨今ではチャット アプリへ配信した方が見てもらいやすいため、チャットボットでの自動配信が増えています。

雑談: 特定の目的はなく、とりとめのない話題にチャットボットが答えるタイプです。キャラクターなどを使って構築することで、ブランドや商品への親近感を持ってもらう目的で使われます。

2. チャットボットのメリット、デメリット

2-1. チャットボットのメリット

チャットボット導入によって、以下のようなメリットが期待できます。

・人的コストの削減: 従来コール センターなどで行っていた業務を自動で行うことが可能です。業務にかかる時間は電話対応の時よりも少なくなるため、多くの問い合わせに対応することが可能になるでしょう。
結果的に、コール センターのリソースをチャットボットでは対応できない問題にだけに充てることも可能になります。

・ユーザー満足度の向上: チャットボットを使えば、ユーザーは仕事の合間でも問い合わせが可能です。また、コール センターの場合は電話が混み合ってユーザーを待たせることもありますが、チャットボットの場合は同時並行で処理できるため、対応力や顧客満足度の向上が期待できます。

・検索ニーズの把握: チャットボットの履歴を通して質問内容を調べることで、検索ニーズが把握できます。検索ニーズに応じて FAQ などに必要な内容を追加すれば、問い合わせ件数を減らすことにもつながるでしょう。

24 時間 365 日対応: 無人でも 24 時間 365 日いつでも対応できるので、コール センターの人員不足などの課題解消に寄与します。

・対応品質の標準化: オペレーターによって異なりがちな対応品質の差がなくなり、いつ、どのような問い合わせを受けても標準的に対応できるようになります。

2-2. チャットボットのデメリット

一方で、チャットボット導入にあたっては、以下のようなデメリットや課題もあります。

・導入コストがかかる: チャットボット導入時は、設定やカスタマイズなどにコストや人的なリソースを要するでしょう。
また、チャットボットのサービスは数多く存在しますが、技術に精通していない場合は、チャットボットの選定が困難になりがちです。その場合は、専門家の判断を仰ぐ必要もあります。

・複数の質問に対して同時に対応できない: 人間が対応する場合は、同時にいろいろな質問をすることが可能ですが、チャットボットの対応は基本的に一問一答型です。そのため、複数の質問を持つ人にとってはわずらわしさを感じることもあるでしょう。

・ユーザーのロイヤリティ向上につながりにくい: チャットボットはその場ですばやく回答できる、という点でのユーザー満足は得られますが、人間が回答していないため、継続的な関係性を深めることは難しいという課題があります。一方、人間が介在しないため、ユーザー側がいつ会話を止めてもよい、質問や会話の内容に罪悪感を覚えずに済む、ということも考えられます。

・導入後もメンテナンスが必要: チャットボットは、運用しながらシナリオや回答を検証し、チューニングしていく必要があります。従って、導入すれば終わりというわけではなく、継続的なメンテナンスが必要です。

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3. チャットボットを実際に使ってみるには

続いて、チャットボットの導入方法や一部無償で使えるツールなどを紹介します。

3-1. チャットボットの導入方法

チャットボットを導入するにあたっては、以下のようなプロセスを要します。導入までの検討をしっかり行い、導入後もチューニングをしながら改善サイクルを回していくことが重要です。

1. 目的の明確化 2.プラットフォーム選定 3.ツール導入 4.シナリオ構築 5.運営体制を確保 6.テスト 7.導入~運用
  1. 目的の明確化: どのような業務にチャットボットを取り入れたいのか、ユーザーはだれかを考えましょう。社内向けか、ユーザー向けか、コスト削減が目的か、顧客満足度向上が目的かによって、導入すべきチャットボットが異なるためです。
  2. プラットフォーム選定: SNS や Web サイト、アプリなど、メインでチャットボットを使うプラットフォームを決めます。
    また、PC とスマートフォンのどちらで使われることを想定するか、といったポイントも重要です。たとえば、スマートフォンからの利用を想定する場合は、モバイル フレンドリーな仕様のチャットボットを選定するとよいでしょう。
  3. ツール導入: チャットボットには得意分野があり、目的によって適したツールが異なります。問い合わせに強いもの、自動受付など自動処理に強いもの、雑談に強いものなど、自社が求める機能を得意とするツールを選びましょう。
  4. シナリオ構築: 想定質問とその回答、チャットに入力される言葉による処理の実行など、チャットボットが答えられるようなシナリオを準備しましょう。
  5. 運営体制を確保: チャットボットの構築と並行して、自社で誰がどこまで運営を担当するか、またベンダーとのやり取りは誰がどのように行うか、サポートはどのように行うか、などを考えておきましょう。
  6. テスト: チャットボットの大まかな導入が完了したら、まずは小さなチーム内でテストするなどして、本格導入時に想定される問題を解決しておきます。
  7. 導入~運用: テスト環境での問題を解決し、本格的に運用できる目処が立った時点で、導入/運用を開始します。
    導入後もより良い対応を実現するためには、チューニングを繰り返し行う必要があるため、改善のための体制作りも必要です。

3-2. Microsoft 365ユーザーなら無償で Power Virtual Agents の一部機能が使える

チャットボットツールのほとんどは有償ですが、マイクロソフトには Power Virtual Agents という AI チャットボット ツールがあり、Microsoft 365 ユーザーであれば一部機能が無償で使えます。

Power Virtual Agents は、チャットボットを Microsoft Teams の環境から簡単に始められるツールです。Teams が使える環境では、コード不要かつグラフィカルなインターフェイスでチャットボットが作成できます。
Teams のチーム内、セキュリティ グループ内、テナント全体など、範囲を設定して公開することも可能です。さらに、既存の FAQ などをチャットボットに一括で取り込むこともできるので、構築時間も短縮できます。

Power Virtual Agents の画面

(画像出典:Microsoft Learn)

Power Virtual Agents で作成したチャットボットは Microsoft Teams のほか、Skype、LINE、Facebook などの SNS やモバイル アプリにも入れることができます。

「まずは小さく始めてチャットボットの効果を試したい」といった場合に適したツールといえるでしょう。

4. まとめ

チャットボットとは、自動で会話を行うプログラムのことで、膨大な問い合わせにスムーズに対応したい場合や人手不足解消などに有効です。
チャットボット ツールには、コード不要で導入できるツールのほか、Power Virtual Agents などの一部無償で簡単にチャットボットを構築できるツールなどもあります。

必要な機能や導入の目的を明確にしたうえでツールを活用し、ビジネスの成長に役立てていきましょう。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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