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デジタル トランスフォーメーション (DX) が推進できない企業が抱える課題

2022 年 7 月 18 日

必要性は理解しつつも、どのように進めていけば良いのか? 具体的な道筋が見えないという声が多い「DX (デジタル トランスフォーメーション)」。その一歩を踏み出せない企業は一体、どのような課題を抱えているのでしょうか。本記事で、よくある課題の例を示しつつ、課題解決のヒントを提示できればと思います。

1. 日本における DX の現在地

まずは、「DX (デジタル トランスフォーメーション)」の定義を正しく理解しましょう。

1-1. DX の現在地

経済産業省が発表した DX レポート 2 のなかで、DX 推進指標に対する企業の自己診断結果の分析レポートが報告されました。それによると、2020 年 10 月時点において、回答企業約 500 社のうち 9 割以上の企業が DX に「まったく取り組めていない」、または「散発的な実施に留まっている」状況とされています。ここで注視すべきは、自己診断結果を提出したのは約 500 社にすぎないという事実です。すなわち自己診断を行っていない、DX を意識すらしていない企業が多数存在するということです。

また 2020 年に、一般社団法人日本能率協会が実施した「DX の取り組み状況」の調査によると、全国主要企業約 530 社中、5 割を超える企業が DX 推進、もしくは検討に着手済みと回答しています。ところが、中小企業に限定すると 34.9% と低く、企業規模によってばらつきがあることがわかります。これらの結果からも、多くの中小企業が、DX を意識していない、もしくは DX を推進しようとしても、何から始めて良いかすら思い至らず、迷っているという現状が読み取れます。

これは諸外国、特に DX 先進国であるアメリカから大きく後れを取っています。スイスの国際経営開発研究所 (IMD) が 2021 年 9 月 29 日付で発表した世界デジタル競争力ランキングによると、64 か国・地域のうち 1 位アメリカ、2 位香港、3 位スウェーデンとなり、なんと日本は 28 位。世界から大きな後れをとっていることがわかります。

1-2. "変革" を意味する DX

では、DX とはいったい何なのか? 正しく理解したいと思います。DX は「デジタル トランスフォーメーション」の略語で、2004 年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン氏が提唱した「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」という概念が起源となります。日本では、経済産業省が発表しているガイドラインの中で、DX を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネス モデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、業務プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

このガイドラインの中では "変革" という言葉が用いられています。すなわち、DX は単に既存のアナログな作業をデジタルに置き換えるだけでなく、デジタルという手段を用いてビジネス モデルや組織のありかた、そのものを抜本的に変革することを意味しているということです。

例えば、コロナ禍に一気に普及したリモート ワークも、テクノロジーの力により、大きく働き方が変わった DX のひとつです。あるいは、UberEATS に代表されるようなフード デリバリーの台頭も、飲食業界にテクノロジーの力が入り込んだことで、飲食店に行かないでも、食べたいものが食べられるようになった、抜本的な業界改革の好例です。テクノロジーを基調にした、新たなビジネス モデルは次々に生まれています。今後もますます、その傾向は続いていくどころか加速度を増していくと考えられます。もはや私たちのビジネスはもちろん、生活そのものもテクノロジー抜きでは成立しないといっても過言ではありません。しかし、残念ながら多くの日本企業は、この段階にまで至っていません。アナログの仕事をデジタルに置き換えるだけで DX が推進できたと考える企業も少なくはないのです。

1-3. DXに乗り遅れることで生まれる大きな弊害

テクノロジーの進化は留まることなく、さらに加速するものと考えられます。現にアメリカなどの DX 先進国は、このテクノロジーの進化を先取りし、どんどん新しいビジネス モデルを生み出しています。GAFAM を中心としたテクノロジー企業が、あっという間にグローバルの市場を席巻したように、この後も新しい企業が生まれてきます。DX に乗り遅れている日本の企業は、その気運にすら乗ることはできません。このグローバルの時代、国際的な競争力を強化していくためには、まさに DX の推進は必須といえます。これは、日本の市場を守っていくためにすべての日本企業が取り組むべき施策です。

2. DX が進まない企業が抱える課題

どうして日本企業においては、思うように DX が進まないのでしょうか。どのような課題を抱えているか考えてみましょう。

顔に手を当てて見上げるビジネスウーマン

2-1. 紙が中心の業務フロー

DX 化以前に、アナログ作業のデジタル化ができない理由のひとつに、ペーパーレス化が進んでいないという課題があげられます。書類の押印が仕事に必要だったり、FAX を使って書類でやりとりしていたり、紙ありきで仕事を進めているような企業では、オンラインで業務を進めることが難しい状況にあります。コロナ禍でも、リモート ワークが導入できないというのは、捺印がなければ物事が先に進まなかったり、注文書などをファックスでやりとしている企業でした。

また、デジタル ツールが導入できていない企業もやはり、DX の恩恵を受けづらい状況にあります。たとえば顧客データや業務連絡や進捗状況が共有できたり可視化できるツールがなければ、スムーズに業務を進めることができません。顧客や取引先にスムーズな対応ができず、業務効率は低下するばかりです。また、対面で会う慣習を重視しすぎている企業も業務のデジタル化が難しい状況にあります。もちろん直接対面で話し合うのも重要ですが、不要な会議が増えるのも問題です。

2-2. システムのブラック ボックス化

システムのブラック ボックス化も大きな課題です。日本の多くの企業が独自にカスタマイズして、汎用性の低いレガシー システムを守り使い続けてきました。しかし、過剰にカスタマイズした自社独自の仕様では、新しいシステムへの切り替えが難しくなります。カスタマイズを進めたため、システムが複雑化。管理できる担当者が属人化され、その担当者がやめてしまったら、そのシステムは形跡不能のブラック ボックスとなってしまいます。
また、システムの構築や管理を外部ベンダーにしていた企業も多く、自社内でシステムを理解できるエンジニアが育成されてこなかったという課題もあります。部署ごとに別のシステムを導入しているケースも多く、システムがつぎはぎ状態になり、新システムの導入が難しくなっています。

2-3. 上層部の不理解

これらの課題を招いている張本人は、システムやデジタル戦略を軽視してきた経営者です。中小企業では DX が進まない、もっとも重大な阻害要因は「上層部の認識不足」に他なりません。一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会の「業務改革実態調査」によると、DX への取り組みについて、29.4% の企業が「経営会議など、上層部での重要な経営課題だと認識している」と回答。20.6% が「話題にはのぼっているが、具体的な取り組みや検討は行っていない」、12.7% が「必要性は感じるが、今のところ話題にのぼることはない」と回答しています。すなわち理解を示さない経営者こそが、もっとも大きな課題となっています。

2-4. DX 推進責任者の不在

二つ目に考えられる課題としてあげられるのが、DX 推進責任者の不在です。DX は経営者ひとりの力で進められるものではありません。基本的にはテクノロジーに知見のある幹部を中心に事業部門、IT 部門などから招集する複合的なチームで臨むのが理想ではありますが、その部門の垣根を越えたリーダーの存在は重要です。
日本能率協会の調査によると、企業内に DX の担当役員と推進担当部署が設置されていると回答したのは全体の 4 割程度。さらに専任となると、かなり低い割合を示しています。専門のチームが存在しなければ、当然、DX が進むわけはありません。また専門チームがあっても、それをリードするリーダーがいなければそのチームは機能しません。

2-5. IT人材の不足

IT 人材の不足も、大きな課題になっています。総務省が 2021 年 7 月 30 日に公表した「令和 3 年版情報通信白書」では、DX を推進する上でのデジタル人材不足の深刻化を指摘。「人材不足」を感じる日本企業は 5 割を超え、アメリカをはじめとする諸外国と比べて突出して高い数値になっていることが示されました。すなわち、これは日本全体で抱える大きな課題といえるでしょう。

2019 年に発行された独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) 社会基盤センターの IT 人材白書によると、IT 企業におけるIT人材不足は、2016 年の 75.5% から 2018 年の 92% へと上昇を続けています。AI や IoT、インターネットを介したサービスの拡大に伴い、IT ビジネスの市場は急激に拡大を続けています。当然、それらの技術やサービスを支えるエンジニア不足も加速し、各企業が優秀な人材確保にやっきになっています。

2-6. デジタル化が著しく遅れている業界

デジタル化が著しく遅れている業界の一つに建設業があげられます。特に中堅企業においては、デジタル化に踏み切る機会もないままに、工程管理や図面作成、管理、報告書作成業務などアナログな方法で業務を進めています。物流業もデジタル化が遅れているといわれています。どうしても車の運転や商品の輸送準備など、人の作業が主体になり、情報管理に対する意識や投資意欲が低下しがちです。中小の製造業においてもデジタル化が遅れがちです。デジタル化によって業務効率や生産性がアップする可能性は多分にありますが、やはりデジタル化しようという意識と投資意欲が低いという現状があります。また在庫管理システムや生産工程システムのみを運用するなど、一部をデジタル化するだけで満足している企業も少なくありません。

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3. DX 推進に必要な "頼りになる" パートナー

DX を進めるための阻害要因は、自社ではなかなか見えづらいものです。そんなときには、DX に対する豊富な知見を持ち、第三者目線を持ってアドバイス、および実行支援をしてくれるパートナーの存在が重要です。

3-1. 日本マイクロソフトの取り組み

日本マイクロソフトは、「市場・お客様のデジタル トランスフォーメーション (DX)」に注力。クライアントの変革を支援しています。特に中小企業に対し、「ハイブリッド ワークの推進」「ビジネス プロセスのデジタル化」「スタートアップ企業と連携したインダストリー DX」といった 3 領域における支援、コンサルティングを行っています。

3-2. DX 推進に必要な「Microsoft 365」

DX 実現の第一歩は、適正な文書管理です。企業にとって重要なノウハウやナレッジは、文書によって蓄積されますし、いつでも、どこからでも文書が共有される体制の構築が必須となります。テレワークの推進やデバイスの多様化、クラウド サービスへのシフトなど DX に必須となるグループウエアの代表格として認識されるのが「Microsoft365」です。

「Microsoft 365」には、実に様々なアプリが用意されていますが、文書管理についても OneDrive、Teams、SharePoint といった 3 つのアプリを活用することができます。OneDrive はマイクロソフト社のクラウド ストレージ サービスで、Office ファイルをはじめ、画像や動画など、あらゆるデータを保存できる場所として認識されています。もちろん、他のユーザーとデータの共有や共同編集もできます。Teams は、特定のメンバーでのコミュニケーションやファイル共有、オンライン会議ができるアプリ、SharePoint は、限られたメンバーだけがアクセスできる企業内ポータルサイトなどを作成するアプリ。そこでさまざまな情報やデータを共有・一元管理することができます。

また新しい働き方が急速に普及するにつれ、以前よりも強く求められるようになったのがセキュリティ対策です。最新のセキュリティ対策として注目を集めているのが「ゼロ トラスト」という概念です。社内も社外も "何も信頼しない" を前提に対策を講じるセキュリティの考え方ですが、Microsoft 365 を採用することによって、企業はゼロ トラストを実現することができます。

さらに、Microsoft 365 に搭載されている Power Apps でアプリ、Power Automate でワークフローを、それぞれ簡単に作成することも可能。自分たちが本当に必要とし、使いやすい機能をスピーディに追加することで、自社の実情に合った DX を推進することができます。 

3-3. 日本マイクロソフトの中小企業支援

DX の推進には、クラウドシフトも不可欠です。日本マイクロソフトでは、全国の中小企業に対し、「Microsoft 365」を中心としたクラウド活用による DX 推進を支援。キャンペーンやウェビナー、クラウド サービスの導入・活用の支援活動に注力。相談窓口を設置し、リモート ワークやハイブリッド ワークの導入方法、各種アプリのデモンストレーションなどを案内。中小企業に寄り添いながら、DX 推進を支援しています。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。
これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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