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メール誤送信、その時あなたは? ~損保におけるメール トラブルあるある

2022 年 2 月 14 日

損保代理店にとって大切な顧客情報。昨今のニュースを賑わせている“情報漏洩”対策はお済でしょうか。顧客情報の漏洩事件は実は、ニュースの中の話ではなく、身近なところでも実際に起こっています。しかも情報漏洩は、セキュリティ ソフトだけで防ぐことはできません。なぜならその多くがメールの誤送信という、大変身近で、よくありがちな小さなミスから起こっているからです。特に損害保険や生命保険に関する顧客情報には、きわめて慎重に取り扱うべきデータが含まれています。決して外に漏らしてはならないものですから、たった一通のメール誤送信から会社の信頼を失墜させる事態に発展する可能性もあります。メールの誤送信は防ぐことができるのでしょうか。もしもメールの誤送信が起こったとき、どのように対処するべきなのか。皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

デスクの PC の画面を前に両手で頭を抱えるビジネス パーソン

1. 情報漏洩の実情

実際に、どのような会社で、どのような情報漏洩事件が発生しているのでしょうか。まずは、情報漏洩の実情から押さえておきたいと思います。

1-1. 後を絶たない情報漏洩事件

近年、情報漏洩に関する事件がニュースを騒がせています。顧客情報や会員情報、中には銀行口座や資産情報など、重要な個人情報が漏洩するケースも見られます。顧客情報がライバル会社に流れる、などはまだ可愛いもので、これらの個人データが、いわゆるブラック マーケットにおいて高値で取引されることもあります。これらの個人情報が悪意ある第三者に渡り、悪用される可能性がある以上、これらの情報漏洩事件がなくなることはありません。

1-2. による情報漏洩

東京商工リサーチが 2021 年 1 月に発表した調査によると、2020 年度に発生した上場企業とその子会社における情報漏洩の事故件数は実に 103 件にも上ります。これは 2013 年の 107 件に次ぐ 2 番目の水準となっており、事故によって漏洩した個人情報は実に 2500 万件以上にも上ることがわかります。

情報漏洩の原因として最も多かったのは「ウィルス感染・不正アクセス」で 49.5%、次いで「誤表示・誤送信」が 31.0% となっています。昨今のビジネスにおいて、必要不可欠な存在となっているメールですが、実は宛先間違いをはじめ、このように単純なヒューマン エラーによって重大な情報漏えい事故が生じているということがわかります。

1-3. 増加傾向にあるメール誤送信

メール誤送信は今に始まった問題ではありません。あるリサーチ会社が 2019 年に企業を対象に行った意識調査では、メールを誤送信したことがあると回答した人が 6 割以上という結果が。しかも送った本人が誤送信に気付くケースは 7 割、残りの 3 割は送り先の指摘で発覚したという回答でした。

最新の調査結果を見ても、その誤送信の状況に大きな変化は見られません。一般財団法人日本情報経済社会推進協会が 2021 年 10 月に公開したプライバシー マーク取得企業を対象とした情報漏洩事故統計を見ても、情報漏洩事故の発生原因の 1 位は「誤送付」で約 60%、そのうちの 30% は「メールの誤送信」だったといいます。メール誤送信による情報漏洩は減ることはなく、むしろ増加傾向にあると発表しています。

1-4. コロナ禍とメール誤送信多発の関係

ここまでメール誤送信が増えてしまった要因として考えられるのが、コロナ禍により急速に普及しているテレワークの影響です。在宅勤務はオンオフの切り替えが難しいことから、業務への集中力が失われ、メールを誤送信するなどのミスを引き起こしやすいと考えられています。システム上の問題ではなく、こういった個人のミスによって情報漏洩という重大なインシデントが引き起こされるというのは、意外にもセキュリティ対策の盲点になっているのは確かです。

ノート PC でリモートワークをするビジネス パーソン

2. メールの誤送信による情報漏洩の事例

メールの誤送信による情報漏洩の事例として一体、どのようなケースが見られるでしょうか。

2-1. 多発する BCC と CC を取り違える事例

記憶に新しいのは、2021 年 11 月のインシデントです。デジタル庁がメディア向けリリースを送付した際に、本来は第三者から確認できない BCC に設定すべき送信先を CC 設定。メールを受け取ったメディア関係者は全てのメール アドレスが閲覧できる状態になっていたという事件がありました。このような BCC と CC を取り違えるという凡ミスは、多くのビジネス シーンで多発しています。ある企業が案内文書を取引先すべてに BCC で送るつもりが CC 設定となり、この会社がどんな会社と取引しているのかがオープンになってしまったという例があります。ライバル関係にある複数の企業が含まれていてはあまり好ましくありませんし、そもそもそんな凡ミスをする企業や担当者とは“お付き合いをしたくない”と考えるのは当然のことでしょう。

さらに 2021 年 6 月には、自治体の教員選考試験の日程をメールで送信する際に、BCC ではなく TO で一斉送信。他の受験者 3000 人分のメール アドレスが漏洩するという事故が起こりました。

2-2. 添付ファイルの誤送信

2020 年 10 月は、ある企業でメールの添付ファイルを誤送信したことによる情報漏洩事故が発生。メールに取引先企業 2750 社の金融機関情報が記載されたファイルを添付して送信してしまったようです。添付ファイルには、企業の銀行口座番号、口座名義人などの情報が含まれており、メール誤送信後、受取人からの指摘により発覚しました。

2-3. 損保や生保などで発生した事例

残念ながら、損保や生保などの保険会社でも同様の情報遺影事件が発生しています。2021 年 8 月、ある保険団体が約 9000 人分の後期高齢者の被保険者データを別の自治体に誤送付。そこには氏名などの基礎情報、医療健診・介護情報などの詳細が記されていました。損保代理店でも、メール誤送信による情報漏洩事案が多発。2021 年 8 月の出来事ですが、埼玉県さいたま市の保険代理店が、委託元の顧客情報を誤って別の委託元へメールで送信し、訪問先住所や氏名、電話番号などの顧客情報 708 件を、ほかの委託元に渡してしまいました。

大手保険会社でも同様の事件は発生しています。ある外資損保会社では 2021 年 3 月、メールの誤送信が原因で契約者情報が社外に流出したと発表。営業を担当する社員が、販売代理店に送付するはずのメールを誤ったアドレスに送ってしまったようです。流出情報は約 2500 人分の契約者および被保険者の氏名、生年月日、年齢、性別、郵便番号、住所、電話番号と契約内容で、幸い口座情報やクレジット カード番号などは含まれていないようでしたが、「セキュリティが甘い保険会社」と認識され、契約者のみならず社会的信頼を逸するような重大なインシデントになりました。

2-4. 他にもある、損保・生保での事例

2020 年 3 月には上記事例とは別の外資損保会社で、従業員のメール操作ミスによる顧客情報の流出事件が発生。顧客からの問い合わせに対し、本来であれば社内の関係者に送信すべきところを、同社が運営するセミナーの参加者など 500 名のメール アドレス宛てに、問い合わせた顧客の連絡先がわかるかたちで誤送信しました。誤送信後、一部顧客から指摘が入り、はじめて発覚。担当者は謝罪などの火消しに奔走することになりました。

独立系 FP に損保や生保のプランニング相談ができるポータル サイトでも、個人情報が漏洩する事件がありました。漏洩した個人情報は、ある一定期間に登録した顧客の個人情報で、氏名、生年月日、職業、電話番号、メール アドレスはもちろん、持病情報、服用薬、世帯年収、配偶者情報などがあげられていました。

2-5. 謝罪だけでは済まされない

損害保険にせよ、生命保険にせよ業態上、どうしてもお客様との間で、いわゆる機微情報、取扱い要注意の情報などをメールでやりとりすることが頻繁にあります。扱っているのは重要情報なので、誤送信は絶対に許されることではありません。逆に言えば、保険会社が情報を漏えいしたとなると、一気に社会的信頼性が損なわれます。しかも、事後処理も大変です。漏洩したメール アドレス 1 件ごとに慰謝料の支払いや、おわびメールの送信、時には直接謝罪も必要になります。

基本的にはおわびと送信メールの削除、口外禁止依頼で済ませる会社もありますが、担当者のうっかりミスが大きく無駄なコストを生む可能性があります。例えば、先にご紹介したように、本来は BCC で送信すべき相手先を CC にしてメール アドレスを漏えいさせた場合、慰謝料の金額は 1 アドレスあたり 500 円から 1 万円にものぼる事例もあります。

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3. メールの誤送信対策

もしも、メールの誤送信が発生したら、どのような行動を取るべきでしょうか。

3-1. とにかくスピードが命

メールの誤送信をしてしまった。しかも、重要な情報を添付したまま…、となったときに皆さんならどうしますか。一担当者としてみれば、自分のミスは会社に知られたくないという心理が働くかもしれませんが、とにかくスピーディな対応が必要です。どうしようか? と考え込んでいるうちに、どんどん影響範囲も拡大していって、大きな問題に発展する可能性があります。メールの誤送信に気付いた時点ですぐに上司に相談・報告しましょう。そして会社としての対策、方針の指示をあおいでください。その際に誤送信した状況を正しく整理、報告する必要があります。

漏えいした情報はどのようなものだったのか、範囲は? 原因は? いつ、誰に、どのくらいの量を送信したのか? そして、どうして発覚したかも包み隠さず話しておきましょう。そして、会社の指示をあおぎながら、基本的には誤送信した相手や関係者全員になるべく早く謝罪し、状況を説明するようなアクションを取ります。そして、受信した情報の削除を依頼していきます。誤送信の内容によっては、相手への二次被害を及ぼすケースもあります。とにかく落ち着いて、誠心誠意謝罪しながら、被害の拡大を防いでください。

3-2. 顧客からの信頼を喪失するばかりか、刑事罰を受ける可能性も

個人情報を漏洩してしまった場合には、単なる企業イメージのダウンやコストだけで済まされる話ではありません。情報漏洩の張本人、もしくは漏洩の原因を作った事業者には、刑事上の責任としての罰則、民事上の責任としての損害賠償と謝罪金が科せられる可能性があります。これは決して大げさな話ではなく、実際に起きている事象です。他社の同姓同名の方へ間違ってメールを送信した、添付ファイルをつけ忘れた、間違った添付ファイルを送ってしまった、BCC に入れるべき宛先を CC に入れてしまった…。こんな単純なミスによって、顧客からの信頼を喪失するばかりか、刑事罰を受けたり民事訴訟に巻き込まれるなど、まったく馬鹿馬鹿しい話です。

これらは「慣れ」や「思い込み」から生まれるミスです。メールを送信する前にしっかり確認さえすれば避けて通れるはずです。会社としてもひとりの社員の、“うっかり”誤送信によって生じるリスクはあまりにも大きい。やはりメールの管理は個人任せにせず、しっかり会社が介入する必要があるということです。

4. メールの誤送信が起こる要因

どうしてメールの誤送信が起こるのでしょう。そしてどうして一向になくならないのでしょうか。メールの誤送信が起こる要因について考えてみます。

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4-1. ほとんどがヒューマン エラー

まずは単純な宛先の設定ミスが考えられます。アドレスの入力ミスやアドレス帳やオート コンプリートからの選択ミスだけでなく、一斉送信における BCC の設定間違いなども発生しやすくなっています。本来送るべき相手ではないユーザーがメールを受け取ることで、メール文面や添付ファイルから情報が漏えいしてしまうケースです。

もちろんファイルの添付違いも発生しやすいミスといえます。本来、別の相手に送付すべきであったファイルを誤って添付してしまい、よりによって悪意ある相手に渡ったときには、大きなトラブルに繋がる可能性があります。これらのミスは、確認不足や意識の低さ、あるいは慌てて起こすヒューマン エラー、長時間労働などが招く注意散漫状態などがあげられます。

4-2. ヒューマン エラーを完全になくすのは難しい

これらのミスを防ぐためにはどうしたら良いでしょう。送信先のアドレスや添付ファイルの選択を間違えるという、比較的単純なヒューマン エラーを完全になくすのは難しいでしょう。多忙なビジネス パーソンであれば、一日に何十通ものメールを送信します。忙しければ当然、ミスも生まれます。もちろん、従業員への啓蒙やトレーニングも必要不可欠ですが、それでもヒューマン エラー自体を完全に回避するのは難しく、もはやテクノロジーの力を借りて、仕組みとして対策を講じなければ、誤送信を根絶することはできないでしょう。

テクノロジー、すなわちシステムの力で誤送信を防ぐには、いくつかの観点があります。まずはメールソフトの設定の見直しです。Gmail や Outlook for Microsoft 365 をはじめ、最近のメール アプリには「送信保留」の機能が搭載されています。Outlook for Microsoft 365 であれば仕分けの設定などにより、また後述の「損保クラウドサービス」であれば基本機能として送信保留ができます。送信ボタン押下後の保留中にアドレスや添付ファイルに間違いがないかを再確認して安全に送信することができるのです。
再確認で間違いがあれば送信を取り消すことができるためヒューマン エラーを防ぐことができます。

4-3. クラウド ストレージを活用する

過去にやり取りしたメール アドレスを自動的に入力する「オート コンプリート機能」からもミスが起こりがちです。この機能を無効化すれば、メール アドレスを都度入力したりコピー & ペーストする必要が生じるため、意図しない相手に送信するようなミスを抑えることができます。そもそもメールにファイルは添付しないというルールを設け、クラウド ストレージを活用する手があります。クラウド ストレージであれば、送信後、共有ミスに気がついた場合、クラウド ストレージ側で該当ファイルを削除することができます。

4-4. メール セキュリティ サービスの活用

さらにメール セキュリティ サービスを活用する手段もあります。おすすめしたいのは、損保代理店専用の「損保クラウド」です。この「損保クラウド」では、多機能グループフェアの代表格「Microsoft 365」をベースに、メールのセキュリティ対策を強化しています。NTTコミュニケーションズが提供する損保代理店専用のメール セキュリティ サービスです。

「損保クラウド」のセキュリティ基準は金融庁の保険業向け監督上の評価項目を踏まえそのレベルをクリアしています。また損保各社の機械統制チェック シートにも対応しています。個人情報を取り扱う損保代理店が実際の業務を安全に行うために必要なセキュリティ対策をワン パッケージで提供しています。

  • メール誤送信防止 (送付後の一時保留)
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  • 強固なパスワード設定とアカウント ロック (なりすまし防止)
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*「損保クラウド」ではメール機能に加え、「Microsoft 365」をベースとしたスケジューラー、グループ チャット、ビデオ会議、ファイル共有などの便利な機能も利用することもできます (業務効率化)

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リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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