Trace Id is missing

フレックスタイムをリモートワークで導入するポイントとは?

2021 年 7 月 26 日

従業員の働きやすさを考慮して導入されたフレックスタイム制度。1988 年に導入されて以来、大企業を中心に導入・運用が進められてきましたが、昨今はどのような状況にあったのでしょうか。そして、コロナ禍の影響によりリモートワークがポピュラーとなりつつありますが、フレックスタイム制度との相性はどうなのでしょうか。

1. フレックスタイムとは?

まずは改めて、フレックスタイム制度とはどういう仕組みなのか? 整理してみたいと思います。

1-1. 勤務時間が自由に決められるフレックスタイム制度

フレックスタイムとは、一定期間においてあらかじめ決められた総労働時間の範囲内で、会社ではなく従業員の側が始業や終業の時間を自由に決められる制度です。要するに 9 時~ 5 時のように勤務時間が固定されているわけでなく、働く人たちが自分の都合に合わせて勤務時間を調整することができます。
例えば、1 か月に働く時間が 160 時間と定められていたら、合計が 160 時間にさえなれば、1 日 10 時間働く日や、5 時間で仕事を切り上げる日があってもよいということです。

1-2. フレックスタイム導入のメリット

従業員側のメリットは大きく、一言で言えばワーク・ライフ・バランスの実現が容易になります。例えば、小さなお子さんがいる家庭では、幼稚園や保育園に預けに行く、あるいは迎えに行く時間が作りやすくなります。また満員電車を避けるために早朝に出社したり、少し後ろにずらすことも可能です。

もちろん、チームで仕事をしている場合は、多のメンバーとのコンセンサスも必要ですが、プライベートなイベントに合わせて、出勤時間を調整できます。従業員にとって働きやすい職場は、定着率がアップするのはもちろん、仕事に対するモチベーションもあがり、それが生産性や業務効率の向上につながります。

1-3. コアタイムとフレキシブルタイム

もちろん、フレックスタイムといって、24 時間いつでも自由に出退勤できるわけではありません。常識的に考えても、夜間営業がない限りは勤務時間は決まっていますし、人手が必要ない時間帯に出勤しても効率がよくなるとは思いません。もちろん、一人きりで仕事をするわけではないので、メンバーとの調整や顧客との接点が持てる時間帯に出勤する必要はあります。

フレックスタイムには、一日の中で必ず出勤していなければならない時間が設けられています。これを「コアタイム」と呼びます。この「コアタイム」の前後に自由に出退勤できる「フレキシブルタイム」が設けられているのが一般的な仕組みとなります。
もちろん、「コアタイム」の設定が義務付けられているものではないので、「コアタイム」を設けない「スーパープレックスタイム制」を採用している企業もあります。さらに従業員は柔軟に働き方を選ぶことができます。

1-4. 担当業務の見える化が必要

従業員にとっては、ワーク・ライフ・バランスを実現する意味でも、非常に働きやすい制度ですが、会社や所属部署から見たときには、多少の課題もあります。例えば、会議を設定する際には、全員のスケジュールを合わせる必要がありますし、チームでプロジェクトを回している場合、その担当者が出勤しておらず、トラブルの詳細がわからないというケースもあります。フレックスタイムが導入されてから、特に担当業務の見える化の重要性が叫ばれるようになりました。一目で出勤状態がわかり、一目で業務の進捗がわかるような、そんな管理法が求められるようになったのもフレックス導入と連動しているように思えます。

窓辺に座ってコーヒーカップを両手で持つ人

2. フレックスタイムを導入する企業の現状

どのくらいの企業がフレックスタイムを導入しているのでしょうか。

2-1. フレックスタイム制度を導入する企業の割合

日本で初めてフレックスタイム制が導入されたのは、1988 年 4 月のこと。あれからすでに 30 年以上が経過しています。実際にどのくらいの企業がこの制度を導入しているのか、厚生労働省の調査によると、実はフレックスタイム制を導入している企業はわずか 5.6% と、思った以上に低水準です。

実は、この数字に深い意味があります。この 5.6% というのは企業全体を見ていますが、企業の規模別に見ていくと、1,000 人以上の企業で 24.4%、300 ~ 999 人以上の企業で 10.7% と、大きい企業ほどフレックスタイム制度が導入されていることがわかります。

要するに、フレックスタイムは必ずしも会社全体で運用する必要はなく、個人や部署単位で運用されているというのが現状です。社員が多く部署数や進行しているプロジェクトの数が多い企業ほど、フレックスタイムを導入しているケースが多いということがわかります。

3. フレックスタイムを導入している業種

一体どのような業種の企業がフレックスタイムを導入しているのでしょうか。

3-1. リモートワーク可能職種との共通点

フレックスタイム制を導入しやすい業種の特徴は、時間に融通が利きやすい、1 人でもできる業務が多いといった点があげられます。その一方、導入されていない業種は、対面でサービスを提供している、チームでの仕事が多い、シフト制を導入しているといった特徴が見られます。すなわち、リモートワークが導入できる/できない業種の区分に非常に似通った条件があることがわかります。

3-2. 自分のペースで働ける仕事

ある調査会社が公表しているデータによると、フレックスタイムを導入しているのは、上位から情報通信業 (25.3%)、学術研究、専門・技術サービス業 (13.9%)、複合サービス事業 (12.3%) で、それぞれの業種においては非常に多くの企業がフレックスタイムを導入しています。一方で、医療、福祉 (1.7%) や教育、学習支援業 (2.0%)、建設業 (2.1%) などでは、フレックスタイム制を導入が進んでいません。やはり、人と接する仕事ほど、自分で働くペースを作りづらいという特徴が浮き彫りになっています。

しかし、このフレックスタイムは、政府が推進する働き方改革の機運に乗って、働き方の多様化が求められ、時間に縛られない働き方のニーズが年々高まっているのは確かです。そこに加え、さらに新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけ、単なる号令ではなく、本質的に柔軟な働き方が求められているようになりました。昨今、急激に普及が進むリモートワークと同様に、このフレックスタイム制の導入を検討する企業が急増しているようです。

開いたノート PC を持って微笑む人

4. フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制のメリット・デメリットについて整理してまとめてみます。

4-1. 自己管理を徹底する必要がある

フレックスタイムの魅力は、従業員一人ひとりが、自分の生活スタイルに合わせた働き方が実現できる点にあります。ところが、多様な働き方に対応できるが故に生じるデメリットもあります。

例えば、従業員から見た場合、自分らしく働ける一方で、チームで仕事をする場合にコミュニケーションが取りづらいというデメリットがあります。また、タイムマネジメントが重要になり、自己管理ができない人ほどルーズになり、周囲の人の信頼を失う可能性もあります。やはり自己管理を徹底する必要があります。

4-2. 従業員にこの仕組みを理解してもらう

企業から見た場合、多様な働き方を提供することで、優秀な人材の獲得や社員の定着率向上につながるというメリットが享受できます。無駄な残業時間や労働負担の削減にも繋がることでしょう。一方、現場で活躍する従業員にこのフレックスタイムの仕組みを理解してもらう必要があり、人によって違う、正しい給与計算を行う必要があります。また業務指示などマネジメントが難しくなり、自己管理が難しいメンバーがひとりでもいると、チームワークが発揮できなくなる可能性もあります。制度を正しく運用できなければ様々なトラブルが起きることも事実としてあります。

5. リモートワーク下のフレックスタイムとは?

リモートワークとフレックスタイムの関係について考察してみます。

5-1. リモートワークとフレックスタイムの併用運用

これまで見てきたように、フレックスタイム制とリモートワークが目指すところは、共通して従業員の働きやすさの追求にあります。一般的にはリモートワークとフレックスタイム制の併用によって、さらに従業員の働き方が柔軟になると考えられています。

しかし、リモートワークとフレックスタイムを併用運用するときにネックとなるのが、勤怠管理です。コアタイムを中心に置きながら、どのように勤務時間の管理を行うのか、しっかり精査する必要があります。ところがリモートワークの勤怠管理がしっかり行き届いている企業であれば、基本的にはフレックスタイム制の勤務管理も難しくはないと考えられます。

5-2. リモートワークの勤怠管理

リモートワークの勤怠管理はどのように行われているのでしょうか。
もっとも容易で多いのが、始業、昼休み、終業のチャット報告です。また PC のログ管理や、WEB 会議システムによるカメラまたは音声による管理、PC のスクリーンショット撮影システムの導入などもありますが、これらは PC の負荷が大きくなったり、社員を監視するイメージがあるのか、あまり浸透しているとは言いがたい状況にあります。

5-3. フレックスはリモートワークになじむ制度

フレックスタイム制のガイドラインを見ても、「労働者の都合に合わせて、始業や終業の時刻を調整することや、オフィス勤務の日は労働時間を長く、一方で在宅勤務日の労働時間は短くして家庭生活に充てる時間を増やす」といった記述があります。従業員自らの判断で、終業時刻を遅くしたり、 規定の期間内で勤務時間を調整したりすることが可能という点において、まさにフレックスタイムはリモートワークになじむ制度といえます。

平行運用については、各社様々な考え方があります。リモートワークの時にはコアタイムを設けないかコアタイムを短縮するという会社もあります。またコアタイムの前後に設定されたフレキシブルタイムの設定に幅を持たせている会社もあります。また、評価制度の見直しも必要です。勤務時間で縛るのではなく、より成果を重視する評価体制に改革することで、従業員のモチベーションを維持することが可能になります。

5-4. より柔軟な制度に変わったフレックスタイム制

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、再びフレックスタイム制に注目が集まっています。実は、昨年の 4 月に働き方改革関連法の一部改正によってフレックスタイム制が拡充。従来よりも柔軟にフレックスタイム制の運用が可能となっています。例えば、フレックスタイム制の清算期間枠が 1 か月から最長 3 か月に延長。3 か月の間で働く時間の調整をすることができるようになり、より柔軟性が高まりました。

6. リモートワークとフレックスタイムの併用運用に便利なツール

リモートワークとフレックスタイムの併用運用に便利なツールをご紹介します。

6-1. 勤怠管理をデジタル化

リモートワーク下でフレックスタイムを導入する場合には、労働時間の見える化が必須です。それを可能とするのは勤怠管理のデジタル化でしょう。

リモートワークの浸透により、利用者が増えているのが Microsoft のサブスクリプション サービス「Microsoft 365」です。リモートワークに便利なアプリケーションがいくつも搭載されていますが、離れた場所で勤務しているメンバーが情報を共有し、その進捗が見えるかできるツールを活用することで、リモートワーク下におけるフレックスタイム導入、および従業員の管理が容易になります。
特に活用したいのが、「Microsoft 365」に含まれる Teams です。この「Microsoft Teams」はマイクロソフトが提供しているグループウェアで、チャット・通話機能の他、ビデオ会議機能、ファイル共有機能、Office アプリとの連携機能があります。コロナ禍の影響もあってか、Teams の利用者は急増しています。日本マイクロソフトによれば、日本国内における「Microsoft Teams」利用者数は、1 億 4500 万人にのぼり、日経225 の 94% にあたる企業が利用しているといいます。
「Microsoft Teams」を活用すれば、スピーディな情報の共有はもちろん、メンバーのスケジュールやタスク管理、ファイル共有などが容易に可能となります。

6-2. 「Microsoft 365」でミニマムスタート

この「Microsoft Teams」にはシフト管理を行う「シフト」機能やメンバーの作業状況をひと目で把握できる「Microsoft Planner」などが搭載されています。メンバーへのタスクの割り当てや、進捗の確認がすばやく行え、一目で把握できます。

従業員にとって働きやすい環境を作ると同時に、従業員の勤怠管理負担を軽減する、この両軸があってこそ真の働き方改革が可能となります。リモートワークにフレックスタイム制度などいくつもの制度が絡み合い、複雑になっているからこそ、IT を駆使して管理をたやすくするべきでしょう。サブスクリプション モデルである「Microsoft 365」や「Microsoft Teams」は、安価にリモートチームの勤怠管理が可能となるツールとして、大いに期待が集まっています。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

ペーパーレスでリモートワーク定着へ:紙やハンコ、固定電話対応から脱却

ペーパーレス化をすすめて、業務をデジタル化することが重要です。
Microsoft 365 で実現する安全・安心なリモートワークへの移行

ご購入検討の問い合わせ先

電話アイコン

お電話で購入相談

受付時間: 9:00 - 17:30 (土日祝日、弊社指定休業日を除く)

封筒アイコン

Web フォームで購入相談

本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。