1. フレックスタイムとは?
まずは改めて、フレックスタイム制度とはどういう仕組みなのか? 整理してみたいと思います。
1-1. 勤務時間が自由に決められるフレックスタイム制度
フレックスタイムとは、一定期間においてあらかじめ決められた総労働時間の範囲内で、会社ではなく従業員の側が始業や終業の時間を自由に決められる制度です。要するに 9 時~ 5 時のように勤務時間が固定されているわけでなく、働く人たちが自分の都合に合わせて勤務時間を調整することができます。
例えば、1 か月に働く時間が 160 時間と定められていたら、合計が 160 時間にさえなれば、1 日 10 時間働く日や、5 時間で仕事を切り上げる日があってもよいということです。
1-2. フレックスタイム導入のメリット
従業員側のメリットは大きく、一言で言えばワーク・ライフ・バランスの実現が容易になります。例えば、小さなお子さんがいる家庭では、幼稚園や保育園に預けに行く、あるいは迎えに行く時間が作りやすくなります。また満員電車を避けるために早朝に出社したり、少し後ろにずらすことも可能です。
もちろん、チームで仕事をしている場合は、多のメンバーとのコンセンサスも必要ですが、プライベートなイベントに合わせて、出勤時間を調整できます。従業員にとって働きやすい職場は、定着率がアップするのはもちろん、仕事に対するモチベーションもあがり、それが生産性や業務効率の向上につながります。
1-3. コアタイムとフレキシブルタイム
もちろん、フレックスタイムといって、24 時間いつでも自由に出退勤できるわけではありません。常識的に考えても、夜間営業がない限りは勤務時間は決まっていますし、人手が必要ない時間帯に出勤しても効率がよくなるとは思いません。もちろん、一人きりで仕事をするわけではないので、メンバーとの調整や顧客との接点が持てる時間帯に出勤する必要はあります。
フレックスタイムには、一日の中で必ず出勤していなければならない時間が設けられています。これを「コアタイム」と呼びます。この「コアタイム」の前後に自由に出退勤できる「フレキシブルタイム」が設けられているのが一般的な仕組みとなります。
もちろん、「コアタイム」の設定が義務付けられているものではないので、「コアタイム」を設けない「スーパープレックスタイム制」を採用している企業もあります。さらに従業員は柔軟に働き方を選ぶことができます。
1-4. 担当業務の見える化が必要
従業員にとっては、ワーク・ライフ・バランスを実現する意味でも、非常に働きやすい制度ですが、会社や所属部署から見たときには、多少の課題もあります。例えば、会議を設定する際には、全員のスケジュールを合わせる必要がありますし、チームでプロジェクトを回している場合、その担当者が出勤しておらず、トラブルの詳細がわからないというケースもあります。フレックスタイムが導入されてから、特に担当業務の見える化の重要性が叫ばれるようになりました。一目で出勤状態がわかり、一目で業務の進捗がわかるような、そんな管理法が求められるようになったのもフレックス導入と連動しているように思えます。