1. チームビルディングとは?
まずは、チームビルディングの概要から説明します。
1-1. チームビルディングの基礎知識
最近、「チームビルディング」という言葉をよく耳にするようになりました。文字通り、チーム=組織を作るという意味で捉えて問題はないのですが、ただ単純に人を集めて仕事を割り振れば済むという話ではありません。キーワードは「チームの生産性向上」です。すなわち、メンバーひとり一人が目的に向かって有機的に繋がりながら、それぞれのスキルや能力、経験を最大限に発揮できる、生産性の高い組織づくりが求められています。
当たり前の話ですが、事業が大きくなればなるほど数多くの人員が必要になります。専門性の高いメンバーやそれを上手にマネジメントして、円滑に業務が流れるようにする役割もいます。もしかしたら、客先と交渉するメンバーも必要でしょう。例えば IT プロジェクトであれば、エンジニアやデザイナーも絡んできます。これは社内の組織に限った話ではありません。大型のプロジェクトであれば、複数の専門家の力が必要になります。それは外部の人間かもしれません。複数のチームが絡んでくるでしょう。
せっかくすばらしいメンバーが集まってくるのであれば、総力として力を発揮し、成果をあげなくては意味がありません。今やそれぞれの個人が頑張れば、必ず成果がでるような単純な世界ではないと感じている人も多いことでしょう。そのため個人の力が最大化され、それがチームとして成果をあげるような組織づくりが必要です。そういった組織こそが生産性を高め、さらに所属するメンバーはもちろん、組織としても成長していくことができます。
また、優れたチームに所属していれば、個人としてもやりがいや働きやすさを感じます。ある調査によれば、所属している組織やチームに問題がないと答えた従業員は 36% で、60% 以上の従業員が自分の組織やチームに何らかの問題があると回答しています。そして、その結果、「メンタルヘルスに問題を抱える人が増えた」「仕事に対する個人のモチベーションが低下した」などの現象が見られるとの回答がありました。
やはり、それぞれが自分の力を発揮し、それが成果に繋がっているチームであれば、そこにはやりがいしかなく、気持ちよく仕事ができるのは間違いありません。優れたチームビルディングは、組織にとって都合の良い成果をあげるだけでなく、所属するメンバーも気持ちよく働けるという成果ももたらせてくれるのです。
1-2. チームとグループの違い
「チーム」とは一体、何でしょう。「グループ」という言葉と比較するとわかりやすいかもしれません。「グループ」という言葉の定義は、単にメンバーが集まっている状態を指します。一方のチームは、共通の目標を達成するために、自らの役割を認識したメンバーが集まり、協力している状態を指します。「グループ」の方が広義であり、その中でも共通の目標を持っている者同士が「チーム」を構成することができるということです。
「チームビルディング」によく似た言葉に「チームワーク」があります。「チームワーク」という言葉になじみのある方も多いと思いますが、改めて定義すると「チームワーク」は、1 人では達成できない目標を、チームのメンバーが一丸となって成し遂げようとすることです。目標に向かってチーム一丸となるという意味では「チームビルディング」とよく似ていますが、「チームワーク」との違いとして「目指すチームの姿」「メンバーの成長が加味しているかどうか」という目線のあるなしがあげられます。
今でこそ少なくはなりましたが、会社から一方的に与えられている目標に向かって“やらされている”わけでなく、会社のミッションを自らのチームに落とし込んで常にチームとしてどうあるべきかを考え、理想を持っているのがチームビルディングのニュアンスです。
また、チームワークはメンバー一人ひとりの成長にコミットはしません。チームビルディングは個々の力を最大限に発揮しながら目標達成を目指すという考えが基本にあるため、メンバーそれぞれに任せる仕事にも、そういった成長という概念がきちんと刻み込まれています。