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2023/02/06

Microsoft 365 Business Premium で実現する、障害者雇用支援現場のゼロトラスト セキュリティ

障害のあるなしに関わらず、すべての人が能力を適切に活かして自立した生活を送ることができる社会を目指し、国によって障害者雇用対策が進められています。一方で、障害者雇用にあたっては「仕事はあるが人が集まらない」「障害者を採用したいが体制やノウハウがない」などの課題があるのが現状です。

そういった企業の障害者雇用に関する課題の解決に向け、”人への思い” と科学的根拠に基づいた支援を提供している企業が株式会社スタートライン (以降: スタートライン) です。2009 年に障害者向けのサテライト オフィス事業からスタートし、現在では多種多様な障害者雇用支援サービスを展開しています。

同社では 2020 年から株式会社ソフトクリエイト (以降: ソフトクリエイト) の支援を受け、Microsoft 365 Business Premium の利用をスタートしています。ゼロトラスト セキュリティを実現しながらさまざまな場所で働くことのできる環境を整えたことで、障害者雇用現場のあり方が大きく変化しました。

StartlineLTD

障害者雇用支援に対するニーズ

スタートラインの企業理念は、「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」。この理念をきれいごとで終わらせず、真摯に向き合うからこその難しさがある、と話すのは同社 クリエイティブ・ブランディング広報室 広報担当リーダーの藤野祐輝氏です。

「今でこそリモートワークが普及しましたが、当社が創業した 2009 年当時は、障害のある方に限らず、人が仕事のある場所に出向いて働くことが当たり前の時代でした。創業メンバーの 1 人が、スタートライン設立の前に特例子会社* の立ち上げに関わっていたのですが、満員電車で人に押されて転倒してしまうといった危険や苦労を乗り越えながら通勤されている障害のある方もいたそうです。その様子を目の当たりにし、障害のある方にとって、少しでも働きやすい環境を整えられないかということで、障害者向けサテライト オフィス事業をスタートしました」(藤野氏)

同社では以前から Microsoft 365 Business Standard を利用しており、社内にサーバーを置かないフルクラウド環境で IT インフラの運用を行っていました。当時はまだリモートワークを推進しておらず、オフィスに出社し、業務が終われば PC は置いて帰宅するといった働き方でしたが、オフィスにいても在宅ワークであっても、同じ環境で業務を行える土台はすでに整っていました。障害者が働きやすい環境を模索し続ける中で、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークの必要性が一気に高まったこともあり、より具体的にセキュアなリモートワーク環境の構築を検討し始めたのだと言います。

スタートラインの業務では、障害者の雇用に関わる情報を含めた秘匿性の高いデータを取り扱います。そのため、同社がリモートワークを実現するには、より高度なセキュリティ対応が必須の要件でした。また、従業員が外部から安全にデータにアクセスしながら、利便性を損なわずにセキュアに業務を行うことができる方法を検討する中で、候補に挙がったのが Microsoft 365 Business Premium でした。

Microsoft 365 Business Premium 導入によりゼロトラスト セキュリティを構築

IT インフラの見直しにあたり、セキュリティを担保することは今やあらゆる企業にとって最重要課題となっています。一方で、業務効率や生産性、コスト面も欠かすことのできない要件です。スタートラインには情報システムに携わる人員も少なく、高度なセキュリティと運用工数の両方を鑑みたソリューションが必要とされていました。株式会社スタートライン 情報システム部 部長 廣瀬資郎氏は以前の状況をこう振り返ります。

「当社では大企業のように、各拠点を VPN で繋いで社内ネットワークを構築するのは現実的ではありません。セキュリティ強化のために複数のセキュリティ ソフトを導入しても、運用管理にコストがかかってしまいます。また、従業員の端末管理も手動で行っていたので、端末がどのような状態にあるのかリアルタイムで可視化できておらず、資産管理にも課題がある状態でした」(廣瀬氏)

スタートラインの規模や状況に適合する構築方法、運用コストの削減や効率的な端末管理などの要件がある中で、セキュリティ対策を一本化できるクラウド サービスとして挙がってきたのが、Microsoft 365 Business Premium でした。

同社へ Microsoft 365 Business Premium の導入を提案、サポートした株式会社ソフトクリエイト 営業本部 営業統括部 主任の淀谷駿介氏はこう話します。

「以前は Microsoft 365 Business Standard を導入されていましたが、当時は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響によるリモートワークへのニーズが高まっており、よりシンプルに運用できるセキュリティ対策や端末管理を求められていました。そこで、当社からは Azure Active Directory (Azure AD) や Microsoft Intune を活用したセキュリティ構築の設計部分を深堀りしてお伝えしました。さらに、最近のお話ですが、エンドポイント セキュリティ ソリューションの Microsoft Defender for Business も追加投資なく利用可能となりました。

当時はスタートラインさまの社員数も 200 名ほどでしたので、ライセンス費用を抑えつつ、より高度でシンプルなセキュリティ対策が可能になる Microsoft 365 Business Premium をご提案させていただきました」(淀谷氏)

ソフトクリエイトからの提案を受け、Microsoft 365 Business Premium を利用してゼロトラスト セキュリティを目指すことこそ最適な選択肢だと判断したスタートラインは、2020 年 10 月から Microsoft 365 Business Premium の利用をスタートします。同社ではすでにフルクラウド体制ができていたこともあり、Microsoft 365 Business Standard から Microsoft 365 Business Premium への移行はスムーズに行われました。

働き方とセキュリティの両立を実現。PC の更新作業工数も劇的に減少

Microsoft 365 Business Premium の導入により、スタートラインでは新しい働き方が始まっています。すべての個人端末を Azure AD 上で管理し、条件付きアクセスによるデータ領域へのセキュアなアクセスが可能になったことで、PC を社外に持ち出しての作業も安全にできるようになりました。

また、Microsoft 365 Business Premium に含まれる Microsoft Intune が利用できるようになったことで、すべての端末を遠隔で一括管理することが可能になりました。更新が適切にできているかどうかも管理画面で確認が可能になり、更新漏れや手作業によるミスといった人的エラーも減ったといいます。

淀谷氏は、同社のセキュリティについて「国内でも最先端を行っている」と話します。

「当社は移行にあたって、Azure AD 移行の手順書の作成や、クラウドサーバーの設定といった部分をお手伝いさせていただきました。セキュリティと利便性はある意味で表裏一体なものですが、スタートライン社では Microsoft 365 Business Premium の活用でバランス良く運用されており、非常に使いこなされていると感じます。これからゼロトラスト セキュリティを目指す中小企業のロールモデルとなり得る、国内でも最先端の働き方をされている企業と言えるのではないかと感じています」(淀谷氏)

加えて、Microsoft 365 Business Premium 導入後における一番の変化は、Intune による「PC 更新時の作業工数」だと廣瀬氏は続けます。

「たとえば従業員の使用端末で USB の使用を制御したい場合、Intune 導入前は各 PC の設定を一つひとつ手作業で更新する必要がありました。当社の事業所は関東、関西圏を中心に 30 拠点程存在しているため、すべての PC を更新するのに情報システム部全員で協力して作業しても 1 か月以上もかかっていたのです。もちろん、遠隔操作での更新は可能ではあったのですが、その場合も PC をしばらく占領して作業するため、社員の時間もかなり浪費していました」(廣瀬氏)

同社では業務上のコミュニケーションにおいて Microsoft Teams の利用も活発に行われています。「社内向けの連絡をチャットでできるのはとても便利だ」と語るのは、株式会社スタートライン コンサルティングサービスチーム サポート責任者 福島ひとみ氏です。

「私が携わっている障害者のサポート業務では、現場に出向いて仕事をすることが多いのですが、外出先で 1 人で判断に迷ったときに、チャットで瞬時に上司に相談できるのはすごく便利です。以前は社内連絡においてもメールを使用しておりましたが、こうしたスムーズな連携はメールでは困難でした」(福島氏)

障害者との面談では、オフラインの場合は前後の移動時間が発生しますが、オンラインでの面談が可能になったことで、予定の調整が楽になったとも福島氏は話します。また、地方に住んでいる障害者との面談ができるようになり、同社の支援対象は大きく広がりました。

セキュリティを確保し、生産性向上のフェーズへ

Microsoft 365 Business Premium によって、働き方とセキュリティのバランスの取れた運用を実現したことで、同社は次のフェーズとして Microsoft 365 のさまざまな機能を利用した生産性の向上を模索し始めています。福島氏、廣瀬氏は今後の展望についてこのように力を込めます。

「以前は、企業向けの障害者研修のセミナーアンケートを Excel で個別に参加者の方々に送付し、集計も Excel で行っていました。現在は Microsoft Forms を利用することでアンケート送付から集計までが完結するので、かなり業務が楽になりました。IT 知識の少ない私でもマイクロソフトのサービスは直感的に利用できるので、さまざまなサービスを今後も活用していきたいと考えています」(福島氏)

「すでに PC をどこにでも持ち運んで仕事をすることが当たり前の時代です。当社では、社外で仕事をするときも会社で仕事するのと同レベルのセキュリティ環境が構築できたおかげで、安全なリモートワークが実現できました。今後は、Windows Autopilot を活用したキッティングの自動化や、当社のコアな業務である障害当事者とのやりとりも、マイクロソフトのサービスを活用してさらなる効率化をしていきたいと考えています」(廣瀬氏)

 ソフトクリエイト社も、スタートライン社のさらなる生産性向上をよりサポートしていきたいと口を揃えます。

「これまで当社はセキュリティ面の課題解決をご支援させていただき、すでに国内でもモデル ケースとなるような働き方を実現されています。今後はより Microsoft Power Platform などを活用した、生産性向上に焦点を当てたサポートをさせていただければと思っています。セキュリティ面に関しても、すでに Microsoft Defender for Business をご利用いただいており、引き続きご支援を重ねていきます」(淀谷氏)

障害者雇用という社会課題に対して、テクノロジーを活用しアプローチしていくスタートライン社の事例は、きっとゼロトラスト セキュリティを目指す多くの企業のロールモデルとなることでしょう。

* 障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保 (法定雇用率) は個々の事業主 (企業) ごとに義務づけられている。一方、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できることとしている。また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能としている。

“すでに PC をどこにでも持ち運んで仕事をすることが当たり前の時代です。当社では、社外で仕事をするときも会社で仕事するのと同レベルのセキュリティ環境が構築できたおかげで、安全なリモートワークが実現できました”

廣瀬 資郎 氏, 情報システム部 部長, 株式会社スタートライン

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