[WVD] 代表的なユースケースとアーキテクチャパターン
代表的なユースケース
Windows Virtual Desktop (WVD)はユースケースにより様々なアーキテクチャで利用することができます。
- WVD の技術的な中身は、「ゲートウェイを介した HTTPS によるリモートデスクトップ通信」にすぎない
- このため、様々なユースケースに対して、様々なアーキテクチャで対応することが可能
ここでは、代表的なユースケースと、考えられるアーキテクチャデザインについて 4 つのパターンを取り上げます。
点 | ユースケース | ネットワーク隔離 | ユーザ | ホスト閉域化 | OS | 管理者権限 |
① | リモートワーク DaaS | No (延伸) | インターネット | 多くの場合、必須 | 10 EVD | No |
② | Windows 7 延長環境 | No (延伸) | オンプレ | 多くの場合、必須 | 7 | Yes |
③ | 分離 Web 実行環境 | Yes (AADDS) | オンプレ | 任意 | 10 EVD | No |
④ | 分離クラウド開発環境 | Yes (AADDS) | オンプレ・インターネット | 任意 | 10 Ent | Yes |
リモートワーク DaaS
【ユースケースの概要】
- 自宅からシンクライアントでリモートワークを行うための DaaS 環境を WVD により準備する
- 社内の業務サーバにもアクセス可能な、会社の PC と同じデスクトップ環境をWVD DaaS により用意する
- この目的のため、オンプレミス環境を ER Private Peering または S2S VPN で延伸し、そこに WVD のホストプールを作る
【アーキテクチャ上のポイント】
- セッションホストがオンプレミス PC と同じ位置付けになるため、多くの場合、ネットワークの閉域化が必要になる
- WVD エージェントとコントロールプレーンとの通信は Azure Firewall 経由で行うことで、通信安定性(レイテンシと帯域)を確保する
- O365 ProPlus など限られたアプリだけを利用する場合、Win 10 マルチセッションを利用し、IaaS VM の利用効率を高めてコストを下げる
Windows 7 延長環境
【ユースケースの概要】
- 大半の PC 端末を Win10 SAC に更改したものの、Win7 端末を一部残さなければならない場合に、WVD を使って Win7 端末を残す方法
- Azure 環境の Win7 であれば、ESU (拡張セキュリティパッチ)の提供が無償で行われる
- WVD は必ずゲートウェイ経由で利用する必要があるため、直接ホストにアクセスできる経路があってもゲートウェイ経由でアクセスする
【アーキテクチャ上のポイント】
- Windows 7 on WVD は 64bit のみ、Remote App 不可の制約がある(リモートデスクトップでの利用しかできない)
- ExpressRoute MS Peering を利用すると、リモートデスクトップセッションの通信を ER 経由で行うことができる(=通信品質が安定する)
分離 Web 実行環境
【ユースケースの概要】
- オンプレ環境でブラウザを使わせず、ネットワーク隔離された環境でブラウザを実行することで、安全な Web ブラウジングを実現
- OA 端末からは Remote App により画面のみを転送して参照する
【アーキテクチャ上のポイント】
- Azure AD Domain Services (AADDS)を利用することにより、オンプレ環境と隔離された WVD 環境を作ることができる
- 低コストに実施するため、ホストプールは Win10 EVD を使った Pooled で準備する
- AADDS は AAD に対して 1 つしか作れないため、今後の WVD 用途拡大に備えてホストプールの VNET を分離しておく
分離クラウド開発環境
【ユースケースの概要】
- 既存の大部屋開発(物理・ネットワーク隔離型開発環境)では、ファイアウォールに穴を開けてクラウドを開発させることは危険
- このような場合、従来はプロジェクト単位に PC を購入したりインターネット回線を敷設して独立環境を作っていたが、非常に大変
- AADDS + WVD により、浮島型の独立環境を作り、そこでクラウド開発をさせる
【アーキテクチャ上のポイント】
- AADDS により隔離環境を作り、プロジェクト単位にホストプールを作成する(必要に応じて n 面作成する)
- ホストプールは Personal で作成し、ユーザに対して管理者権限を与え、必要な開発ツールをインストールしながら利用してもらう
- ホストプールは主にコーディング作業を行う環境とし、Azure DevOps をはじめとするクラウドサービスをフル活用した開発ができるようにする