小売 & 消費財 Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/小売-消費財/ Tue, 26 Aug 2025 10:13:13 +0000 en-US hourly 1 小売・流通業界の「今」と「これから」を集中的に学ぶ「小売未来 Days 2025 – SMTS ONLINE -」出展のご案内  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2025/08/27/kourimirai-2025/ Wed, 27 Aug 2025 00:00:00 +0000 日本マイクロソフトは、2025年9月17日(水)から19日(金)に開催の 「小売未来 Days 2025 - SMTS ONLINE -」 に出展し、合計5つのセッションをご提供します。 
「小売・流通業界の「今」と「これから」を集中的に学ぶ」をテーマに、一般社団法人全国スーパーマーケット協会が主催する本イベントは、小売業界の最前線について、第一線で活躍する経営者・実務家・専門家による現場のリアルな課題と革新的な取り組みを共有するセッションを集めたオンラインイベントです。.

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日本マイクロソフトは、2025年9月17日(水)から19日(金)に開催の 「小売未来 Days 2025 – SMTS ONLINE -」 に出展し、合計5つのセッションをご提供します。 

「小売・流通業界の「今」と「これから」を集中的に学ぶ」をテーマに、一般社団法人全国スーパーマーケット協会が主催する本イベントは、小売業界の最前線について、第一線で活躍する経営者・実務家・専門家による現場のリアルな課題と革新的な取り組みを共有するセッションを集めたオンラインイベントです。 

マイクロソフトのセッションは9月19日(金) Day 3、「経営戦略/店舗オペレーション/人材活用・育成/商品開発/MD」をテーマとした日に公開されます。AI を活用した小売業の変革をテーマに、5つのセッションを通じて、顧客体験の進化、業務効率化、データ活用、店舗とECの連携などを具体的な事例やデモを交えてご紹介します。生成AIやDynamics 365、Copilot などの最新テクノロジーがもたらす実践的な価値をぜひご体感ください。 

ご参加登録は下記公式サイトよりお早めにご登録ください。みなさまのご参加をお待ちいたしております。 

https://proguide.co.jp/smts-online/kourimirai2025

開催概要 

  • イベント名: SMTS-Online 小売未来 Days 2025 
  • 主催: 一般社団法人全国スーパーマーケット協会 
  • 対象:リテール関係の経営層、IT部門、商品部、営業企画、人事総務、マーケティングPRなど 
  • 開催日時: 9月17日(水)~9月19日(金) 途中参加可能・入退室自由
    ※マイクロソフトセッション開催日はDay 3 (9月19日(金)) 
  • 参加費:無料 
A group of people posing for a photo

マイクロソフトセッション 

[14:00-14:20]

AI が加速する、小売業の変革最前線 

AI は、小売業の変革を加速させる強力な推進力となりつつあります。本セッションでは、スペシャルゲストの登壇や国内外の事例を踏まえて、顧客体験の進化・従業員の能力拡張・サプライチェーンの高度化・新たなビジネス価値の創出に焦点を当て、人とテクノロジーの協働によって競争力をどう築くか、小売業が今取り組むべき視点とアクションを探ります。 

スピーカー: 

藤井 創一
マイクロソフトコーポレーション
ワールドワイドリテイル&コンシューマグッズ 日本担当インダストリーアドバイザ 

今村 修一郎 
今村商事株式会社
代表取締役 

水野 貴結 
株式会社 台信商店
スーパーストアダイノブ城南店 店長 

[14:20-14:35]

Dynamics 365 Customer Insights でターゲットに最適化された顧客ジャーニーを提供 

多くの企業では、マーケティング業務に複数のシステム/ツールを利用しているためお客様のデータの統合に多くの工数を割いており、また、個々のお客様に最適化されたマーケティング施策を打つことができていない、という課題が散見されます。 

本講演では、Microsoft のマーケティング領域における SaaS 型ソリューションであります Dynamics365 Customer Insights を活用した、より少ない工数でより最適な顧客体験を提供するソリューションについてご説明致します。 

スピーカー: 

馬場 幸子
日本マイクロソフト株式会社
Solution Specialist AI Business Process Commercial Solution Area 

[14:35-14:50] 

本社業務 × 店舗運営:生成 AI による最適化アプローチ ~ Microsoft 365 Copilot 活用術 ~ 

日本の小売業界が抱える慢性的な人手不足や業務負荷の増加といった課題に対し、Microsoft 365 Copilot は、店舗運営・本社業務・顧客対応といった各業務領域において、業務効率化とサービス品質向上を支援する強力なツールです。本セッションでは、Copilot を活用した情報検索、資料作成、接客支援のデモを交えながら、生成 AI による現場変革の可能性について具体的な活用例とともにご紹介します。 

スピーカー:
小林 千夏
日本マイクロソフト株式会社
クラウド & AI ソリューション事業本部 AI ビジネスソリューション統括本部 コラボレーション ソリューション第三本部 

[14:50-15:05] 

生成 AI で実現する!顧客分析&コミュニケーションおよび業務プロセスの進化 

SNS や地図サービス上の口コミ評価が購買行動に直結する今、企業には即時の分析と、自然な会話を通じたニーズ把握や関連商品の提案(クロスセル・アップセル)が求められています。本セッションでは、AI を活用した顧客コミュニケーション基盤や、オフィス業務を自動化する業務システムのデモを交え、データ利活用による顧客体験の向上と業務効率化の可能性をご紹介します。 

スピーカー: 

大森 彩子
日本マイクロソフト株式会社
クラウド&AIソリューション事業本部 Azure 技術本部 ソリューションエンジニア | エバンジェリスト 

[15:05-15:25] 

EC と店舗の相乗効果を実現する ファン化促進戦略と AI 活用を事例で徹底解説 

オンライン・オフライン問わず、ビジネス拡大のために「顧客体験価値の最大化」を進める上で、手法や戦略・効率に課題を感じている事業者の方は多いのではないでしょうか…?本セッションでは、EC と店舗の相乗効果を前提に顧客ロイヤルティ・ LTV 向上させた有名企業様の事例をご紹介いたします。 

EC と店舗間の連携だけではなく、AI を活用することで業務の効率化はもちろん、集約した顧客・購買・行動データ情報を基に AI によって各顧客にユニークかつ、より高度な施策を実装できるお話もいたしますので、ぜひ次へのステップをご検討の方はご視聴ください。 

スピーカー: 

斉藤 淳
株式会社ecbeing​
上席執行役員 営業統括部 統括部長 

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アジアの最新小売業のトレンド・事例を深堀りする〜NRF 2025 APAC & Microsoft Build リキャップセミナーレポート  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2025/07/25/nrf2025-apac-msbuild-recep-seminar-report/ Fri, 25 Jul 2025 02:29:15 +0000 2025 年 6 月 26 日(木)に、日本マイクロソフト品川オフィスにおいて「NRF 2025 APAC / Microsoft Build リキャップセミナー & ワークショップ」と題したイベントが開催されました。本イベントでは、6 月 3 日から 5 日にかけてシンガポールで開催された小売業界向けの国際イベント「NRF 2025 APAC」と、5 月に米国シアトルで開催された Microsoft 主催の開発者会議「Microsoft Build 2025」におけるセッションや展示内容を紹介。.

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2025 年 6 月 26 日(木)に、日本マイクロソフト品川オフィスにおいて「NRF  2025 APAC / Microsoft Build リキャップセミナー & ワークショップ」と題したイベントが開催されました。本イベントでは、6 月 3 日から 5 日にかけてシンガポールで開催された小売業界向けの国際イベント「NRF 2025 APAC」と、5 月に米国シアトルで開催された Microsoft 主催の開発者会議「Microsoft Build 2025」におけるセッションや展示内容を、実際に参加した Microsoft のメンバーが臨場感たっぷりに紹介。アジアにおける流通小売業界のトレンドや AI の最新活用事例などが参加者に共有されました。 

A woman standing in front of a screen

開式の挨拶に立った日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズサービス事業本部
流通サービス営業統括 本部長の河上 久子は、本セミナーの 3 つのゴールを提示。「NRF 2025 APAC および Microsoft Build 2025 の展示/セッション内容とインサイトをリキャップできる」「アジア地域のリテーラーの最新トレンドと流通業向けソリューションがわかる」「セッションのスピーカーや参加者と議論し、気づきとインサイトを得る」ことを目的として、「現地で参加した方もそうでない方も、Microsoft ならではの情報を記憶してお帰りいただきたい」と参加者に呼びかけました。 

「アジア太平洋地域小売業界最新トレンドのご報告・DX 事例共有」
マイクロソフトコーポレーション
ワールドワイドリテール & コンシューマーグッズ  
インダストリーアドバイザー
藤井 創一
Tony Xu
Eric Chen
オンデマンド動画はこちら

前半のセッションでは、インダストリーアドバイザーチームの 3 名から、NRF 2025 APAC の振り返りと、紹介された事例やソリューションについての分析・解説が行われました。 

A man in a suit holding a phone

最初に登壇した藤井は、まず NRF 2025 APAC の概略を説明。主催者発表で約 9500 名の参加者があった同イベントは、昨年開催された第 1 回と比べて日本企業の参加が 2〜3 割増えたと藤井。その背景には「国内小売業が成長市場としてアジアを見ている側面があるため」と考察しました。 

藤井は、今回のテーマである「Retail Unlimited」について「ふたつの意味がある」と解説。ひとつはリテールの持つ可能性、もうひとつは既存ビジネスを守る制約事項が変化してきている点、と藤井。つまり、多様な小売市場の集合体である APAC の規模は全世界の 55 %に達しており、ここでブレイクスルーを起こせば今後のグローバル リーダーになれる可能性がある一方で、リテールとブランドの垣根の曖昧化、チャネルの境界の消失、ソーシャル コマースの台頭によって失われる小売業の存在感などの課題に向き合う必要があるというのです。 

藤井はこれらの情報を踏まえて、「今までのビジネスの状況におけるリミッターを外して、ポシビリズムにマインドをチェンジして取り組むこと」が重要であると分析。NRF 2025 APAC の展示においても、Retail Unlimited の時代に向けた事例やソリューションが多数見られたことを報告しました。 

リミッターを外して、持続可能な流通小売業を目指す 

続いて藤井は、NRF 2025 APAC で展開された 71 のセッション中、29のセッションで語られた内容を 生成 AI で分析した結果と、実際に現地で感じたことから浮き彫りになった 3 つのテーマを紹介しました。すなわち「Z 世代の主導 ・ 共創」「ユニファイド コマース」「スマートストア」です。 

さらに藤井は、セッションから読み取れるトレンドとして 「今年の 1 月に開催された NRF 2025 New York 同様、アジア圏でも AI への期待大きく、活用が進んでいる」」と語ります。 

そして最後に、マイクロソフトが独自に APAC 各国小売業を調査した「優先的に取り組むべきテーマ」の結果を説明し、「APAC 各国が顧客接点に関するテーマが優先されているなかで、日本はコスト削減に関するテーマが優先される傾向がみられる。日本のリテーラーは自国の課題と向き合いつつ、他国の状況も注視することが重要」と述べて、セッションを終了しました。 

A man standing in front of a large screen

NRF 2025 APAC におけるケーススタディ紹介 

続いて登壇した Tony からは、3 日間のプログラムから厳選した 6 つのケーススタディの紹介が行われました。 

中国の Sam’s Club China は、56 の店舗と 500 以上のクラウド倉庫を統合してオンライン利用率 50 % 以上、1 時間でのデリバリーを実現しています。Tony は同社の成功のポイントとして「メンバー制体験」「オンラインとオフラインの連携」「品質・鮮度への徹底的なこだわり」の 3 つを挙げ、プロファイルが明らかなメンバーに合わせた上質な商品を厳選、SNS のチャネルを活用して会員数を大幅に拡大したことが成功の要因だと分析しました。 

続いて Tony は、韓国の LOTTE グループをピックアップ。「4000 万人の会員と50 万の加盟店を持つロイヤリティ プログラム」の威力を紹介しました。流されたビデオでは「年間 350 億ドルのポイント取引」や「AI を活用したビッグデータ プラットフォーム」の活用が示されました。同グループは、多角事業間をロイヤリティ プログラムでつなげて AI を活用することで、需要予想の精度を向上し、在庫回転率 22 % 向上と輸送コスト 15 % 削減を実現しています。 

A man in a suit

ユニファイド コマースにより顧客体験を向上 

2 万強の店舗と 2560 万の会員数、1 日あたり 550 万件の取引という規模を持つインドネシアの Alfamart では、「2019 年の GLI(Global Loyalty Indonesia)の買収がターニングポイント」だったと Tony。GLI のノウハウにより会員データ一元管理アプリを立ち上げ、ハイパー パーソナライズ施策と ROI のリアルタイム可視化を実現。さらに GLI の事業自体からも収益を得ることで、売上シェアを大幅にアップしています。 

次に、クイック コマースの成功事例としてインドの BigBasket が紹介されました。同社は、「1.5 km 圏内なら 10 分、3 kmを超えても 20 分以内」という驚異的な配送スピードを実現しています。成功の鍵は AI による在庫予測で、天気や祭り情報まで連携して精度を向上させ、インドの風習に合わせて運営を行えるようにしたこと、と Tony は分析しました。 

A man standing in front of a large screen

インドにおける Z 世代向けファッション EC をリードする Myntra では、20 〜30 分以内のクイック配送を実現しつつ、インフルエンサー コミュニティを構築、「トレンドを捉えるよりもトレンドをつくること」にフォーカスした戦略を採用しています。Tony は、「ユーザー ジェネレイテッド コンテンツによるトレンド創出とフィードバック サイクルを実現している」と、Z 世代の特性を生かした取り組みを評価しました。 

最後に Tony は、日本企業の事例としてサントリーのウイスキー向け NFC ・ ブロックチェーン活用事例を紹介。これは高額ウイスキーの真贋認証、販売後の顧客エンゲージ継続、多様な飲用パターンの収集とマーケティング活用という 3 つの課題解決を目指した取り組みです。ウイスキーの開封時に NFC タグが破れて通信し、周囲のスマートフォンを探知して開封状況を記録、ブロックチェーンで追跡管理する仕組みで、POC では高い効果を収めているとのことです。 

Microsoftパートナーのソリューション紹介

3 人目に登壇した Eric からは、Microsoft のパートナー企業が展示していたソリューションの紹介が行われました。 

A man standing in front of a large screen

中国の DMALL はクラウド監視のスマート コンビニエンス ストアを展開しています。特徴は、昼間は有人対応の普通のコンビニで、夜間だけ無人店舗に切り替えられるシステムで、現在広東省の 2000 店舗に導入されているとのこと。デジタル化だけでなく人の目による遠隔監視を組み合わせることで、万引きや緊急事態にも柔軟に対応できる仕組みを構築しています。 

フランスに本社を置く VusionGroup は、店舗の IoT と AI を組み合わせる形で多岐にわたるソリューションを提供しています。Eric は同社の提供する主要なソリューションとしてレール型の電子値札を紹介。レールへの通電によって電池交換の手間を省けるだけでなく、リアルタイムの在庫管理や顧客への情報提供などを可能にしているそうです。 

Symphony AI Retail は、Microsoft の Azure 基盤と Azure OpenAI をベースとしたソリューションを提供しており、なかでも注目は Copilot 機能であると Eric。同社の AI アプリに統合されている Copilot 機能を活用することで、事業者は不必要な作業を減らし、さまざまなデータから具体的な解決策を作成、店舗運営に活用することができます。Eric は同社を「小売業における予測 AI と生成 AI アプリに関するテクノロジー リーダー」と評しました。 
 

シンガポールに見る先進的な取り組みと課題 

続いて Eric は、シンガポール現地の店舗ツアーで訪れた、3 つの店舗をレポートしました。 

フランスのスポーツアパレル Decathlon では、商品についている QR コードを読み込むと商品レビューや在庫状況が確認できるユニファイド コマースを実現しています。実物を見ながら他者の評価を確認できることは購買率向上につながるはず、と Eric はコメントしました。 

A man in a suit smiling

次に Eric はスーパーマーケットの FairPrice Finest を紹介。スマートカートで店舗のレイアウトや商品の置いてある場所を調べられ、商品の近くに来るとプロモーションやクーポンの通知が送られてくる仕組みを導入しています。ただ、スキャン アンド ゴーで支払いまで無人で行えるはずが、実際には出口で店員によるチェックが行われたそうで、課題も垣間見られたようです。 

日本の菓子専門店 Chateraise がシンガポールで出店している完全無人店舗の紹介も行われました。アプリをインストールして QR コードをかざして入店、全商品に重量センサーが付いており、商品を持って退店すると 5 分後にレシートが届く仕組みです。ただしデジタルに慣れていない世代には利用されにくかったため、現在は学生の多いエリアに移設されているとのこと。また個人の認証が必要なため家族やグループでの入店ができないという課題もあるようです。 

最後に Eric は、日本企業の現地展開についても報告しました。シンガポールは日本の店舗が非常に多く、ドン・キホーテは日本と同じような POP や飲食コーナーを展開していたとのこと。また高島屋ではリアルタイムで商品検索や在庫確認ができるシステムが導入されていたそうです。 

こうして前半パートは終了。NRF 2025 APAC の概略から事例・ソリューションの紹介、現地の店舗レポートまで、幅広く、かつ濃密なリキャップが行われました。 

「AI で実現するあたらしい世界 Microsoft Build Update」 
日本マイクロソフト株式会社  
業務執行役員 Microsoft Innovation Hubリード 
榎並 利晃
オンデマンド動画はこちら 

休憩を挟んだ後半パートでは、Microsoft Build 2025 の振り返りと、流通業向けの Microsoft ソリューションのアップデートが行われました。 

まず榎並は、Microsoft のイノベーション チームを率いる立場から、Microsoft Build 2025で発表された最新技術について詳しく解説しました。 

「今回の Build における最大のキーワードは“エージェント”です」と榎並。Microsoft のエグゼクティブが登壇した基調講演では「Open agentic Web」という概念が示され、「Web のようにつながりながら、個人はもちろん組織を通してエージェントが活躍する場が出てくる」という示唆が得られたと振り返ります。Microsoft としても、Microsoft Build 2025 は創業当初の「Software Factory」というビジョンになぞらえて、「Agent Factory」として AI Foundry の開発・提供を目指すという宣言の場となりました。 

A woman standing in front of a large screen

来るべきエージェント時代に向けて知っておくべきこと 

続いて榎並は、Microsoft Build 2025 で発表された Microsoft 365 Copilot の進化について言及。UI も含めて使い方が充実してきており、以前と比べて格段に使いやすくなった Microsoft 365 Copilot において、特に注目すべき機能として「Copilot Tuning」をあげました。 

「企業独自のデータを生成 AI に簡単に学習させられる機能の実装は、かなりインパクトが強い」と榎並。ビルトイン型、サードパーティー型、そしてカスタマイズ型と、さまざまなアプローチでエージェントを開発できるようになっている点、複数のエージェントを同時に動かせるマルチエージェント機能の実装により、さらなる精度の向上が期待できる点を強調しました。 

続いて榎並は、エージェントの作成ツール「Azure AI Foundry」を紹介。Azure AI Foundry では OpenAI がリリースした機能をいち早く取り入れられるだけでなく、1 万以上の大規模言語モデル(LLM)を利用できます。榎並は、動画生成モデルの Sora や SNS 上の情報に強い Grok などを例に挙げて、「今はもはやモデルの競争ではなく、実現したいユースケースに合わせてモデルを選ぶ時代」であることを示しました。 

A man in glasses speaking to a man in front of a large screen

開発者目線のアップデートとして、GitHub 上の生成 AI が特に高い成長を示しているとし、エンジニアのつくりたいソフトウェアをエージェントが理解し、プログラムを自動的に改善してくれる「Coding Agent」 と「Agentic DevOps」という新しいアプローチが紹介されました。榎並は「SIer のような役割をエージェントが担うようになった」と述べています。 

このような変化により生まれた開発プロセスは「ハイパー ベロシティ ソフトウェア ビルディング」という新しい用語で呼ばれていると榎並。これは、リサーチ ツールで要件を詳細に文書化し、その要件書をコーディング エージェントに渡すことで、ノーコード・ローコードでソフトウェア開発が完結するという革新的なプロセスです。 

IDC の調査によると、2028 年までに 13 億ものエージェントが出現すると予測されており、榎並は、人間と同じような形で働くエージェントが当たり前の世界が到来する近い将来に向けて、Microsoft はその監査の仕組みも含めて対応していくというセキュリティ重視の姿勢を改めて示し、セッションを終了しました。 
 

「体験がメディアになる時代へ 
AIが変える流通小売、メーカー卸の未来像」 
マイクロソフトコーポレーション
ワールドワイドリテール&コンシューマーグッズ
インダストリーアドバイザー
岡田 義史 

続いて登壇した岡田は、Microsoft のインダストリーアドバイザーとして、日本の流通業界の特殊性を踏まえた顧客体験、つまり店舗やオンライン、商品に関する AI 活用戦略について詳しく解説しました。岡田によると、20 以上の山岳地帯で分断されている日本には、地政学的な事情や生産物流も含めた特性があり、これがインストア メディアの発展につながっているとのこと。岡田は、今後インストア メディアの成熟が進む一方で課題も見えており、リテール メディアの重要性が増していくだろうと予想を述べました。 

リテール メディアについて岡田は、小売企業が持つデータと掛け合わせることで、単なる広告枠の創出を超えた価値を創造できると、その可能性を指摘。「今後、さまざまな先行者がお互いのメディアやネットワークを繋ぎ合わせて新たなメディア ネットワークを構築していく」と予見し、そこに生成 AI や AI エージェントが役立つとして、具体的な事例として AI による広告クリエイティブ作成のデモンストレーションを披露しました。 

A man standing in front of a large screen

リテール メディアには AI 活用の余地が多分に存在する 

岡田が例として示したのは、あるコンビニエンスストアのカレーパンの広告でした。既存のクリエイティブ作成フローでは、デザイン、ナレーション、法務チェック、媒体選択など多くの業務負荷がかかります。しかし、「Azure AI Foundry に搭載された多様なモデルを活用することでプロセスを大幅に簡素化できる」と岡田はデモを進めていきます。 

実際に既存の広告画像から生成されたナレーション音声はやや拙さを感じるものでしたが、「私よりは上手」(岡田)であり、チューニングすることで精度を高められ、かつ大量にパターンを生成できることから比較検討を進める材料になると解説。AI を使いこなすことで、データドリブンなリテール メディア運営が実現できることを示唆しました。 

A man in glasses giving a presentation

岡田は、「では具体的に何をすればいいのか?」という問いを立て、現在の日本のEC 検索体験の乏しさを例に挙げました。日本では現場に優秀な人材が多いため、いわゆる店員の多能工化が進んでいます。それがゆえに、これと同じ体験をオンラインで求めようとすると、大きなギャップが生まれてしまう、と岡田。すなわち日本で求められているのは検索体験すなわちユニファイド コマースであり、そこに生成 AI 活用の余地が生まれると論を進めます。 

海外では「娘が春から年長に上がるから必要なものを買い揃えたい」といったあいまいな問い合わせに対しても、LLM が背景を理解して制服やランチボックス、知育玩具などを提案する仕組みを構築している小売企業も存在します。さらに、その問い合わせから得られたデータを活用したパーソナライズも可能であり、岡田は今後の日本の流通業界が目指すべき姿はここにあるとし、「Microsoft の AI で顧客体験をハックしていく時代」の共創を参加者に呼びかけてセッションを終了しました。 

「AI Challenge Day for Retail から読み取る最先端の流通業向け AI エージェント実装ご紹介」 
日本マイクロソフト株式会社 
業務執行役員 
パートナー事業本部  
パートナー技術統括本部長 
内藤 稔
オンデマンド動画はこちら

最後に登壇した内藤は、日本マイクロソフトのパートナーチームの技術リーダーとして、実践的な AI 技術の普及と発展を目的とした「AI Challenge Day」の取り組みについて説明しました。 

AI Challenge Day は、日本マイクロソフトのパートナー向けプログラムである「生成 AI 事業化支援プログラム」の一環として実施されており、現在では 200 社以上が参加、「おそらく日本最大のパートナー コミュニティ」(内藤)という規模まで発展しているといいます。 

AI Challenge Day の特徴は、単なる技術紹介ではなく、実際のビジネス課題に即した競技形式での技術開発コンテスト、すなわち「エンジニアの祭典」であることです。業界の注目度も高く、YouTube ライブの配信ではディープテック系の配信では異例の累計約 14 万回も再生されているそうです。 

A man in a suit holding a phone in front of a city

日本を代表する SIer がしのぎを削る AI Challenge Day 

先に行われた第 4 回 AI Challenge Day では、「EC サイトにおける、次世代の顧客体験の提案、アシスタントを開発してください」というテーマが設定されました。ひとつ前のセッションで岡田が指摘したとおり、オンラインの検索体験の向上は大きな課題です。キーワードとして掲げられたのは「新規検索体験の必要性」と「ハイパー・パーソナライゼーション」。これを解決するアシスタントの開発を競うわけです。 

競技は、テーマに沿った回答を提示することと、「日本マイクロソフトがプログラミングしたさまざまなペルソナを持つ顧客が店舗(EC サイト)を訪問するので、この人たちにものを買わせてください」というルールで行われました。 

アスキー賞を受賞したアドインテ社はリテール メディアに強みを持つ会社です。「マルチ チャネルできちんと動く UI」という開発方針のもと、Web チャット、ボイス、モバイルアプリ、LINE、店頭サイネージなど多様なタッチポイントに対応したシステムを構築しました。 

ユーザー エクスペリエンス賞はデジタル ネイティブではない顧客層にもわかりやすい UI と、店員に模したエージェント開発を提案したソフトクリエイティブホールディングス社。準グランプリはロボット開発に強みを持つヘッドウォーターズ社が獲得。Enterprise 実装を意識したセキュリティの仕組みやエージェントによる購買フローの最適化、わかりやすい UI など、テーマに対する高い精度の回答が評価されました。 

A man standing in front of a large screen

グランプリとセキュリテイ&トラスト賞を受賞した野村総研は、「人間のアバターと話すような仕組みをつくって、いろいろなチャネルから見えるようにするべき」という発想で、より人間らしい対話体験の実現を目指しました。さらに EC サイトにおいて重要な「セキュリティの担保」という重要な課題に言及した点も高く評価されました。 

AI Challenge Day の紹介を通して、高い技術を有する企業がそれぞれ持ち味を生かした提案を行い、実際のビジネス実装における多様なアプローチの可能性が示されていることが伝わってきました。内藤は「皆さんにもぜひ各社のプレゼンを見ていただきたい」と呼びかけてセッションを終了しました。 

トレンドを注視しながら、AI を武器に新たな課題にチャレンジする 

こうして閉幕した「NRF 2025 APAC / Microsoft Build リキャップセミナー &ワークショップ」。催しの最後に行われた意見交換セッションでは、日本を代表する流通小売企業からの参加者による活発なやり取りが行われました。 

本セミナーを通じて浮き彫りになったのは、特殊な背景を持つ日本の小売業界ですが、これからはアジアのトレンドを注視しながら、新たな課題にチャレンジしていく必要があるという点。またそこには AI エージェントが大きな役割を持ち、単なる技術的な革新にとどまらず、ビジネス プロセス全体を根本的に変革する可能性を持っているという点でした。 

これからも、ユニファイド コマースの実現やクリエイティブ制作プロセスの変革、そして AI エージェントの実装による業務変革といった新たな時代の要請に立ち向かう日本の流通小売業界の皆さまを、私たち Microsoft は全力で支えてまいります。 

A close up of a paper

各セッションのオンデマンド配信一覧

NRF 2025 APAC リキャップセミナー

AIで実現する新しい世界 Micrsoft Build Update

関連リンク・お問い合わせ

Microsoft Cloud for Retail –クラウド ソリューション | Microsoft Industry

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Microsoft AI Tour 産業別セッションレポート【流通・消費財】 〜生成 AI の発見から導入、そして成果へ〜  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2025/05/12/microsoft-ai-tour2025-retail/ Mon, 12 May 2025 03:26:59 +0000 2025年3月27日、Microsoft AI Tourが東京ビッグサイトで開催されました。AI技術の進化が紹介され、様々な業界での成果が実感できるイベントでした。

流通・消費財業界向けのセッションでは、日本マイクロソフト株式会社の河上久子がファシリテーターを務め、セブン-イレブン・ジャパン、日清食品ホールディングス、マイクロソフト本社のゲストスピーカーがAIの活用事例と今後の展望について語りました。.

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2025 年 3 月 27 日、昨年に続き、Microsoft AI Tour が東京ビッグサイトで開催されました。この 1 年を振り返っても AI 技術の進化はめざましく、本イベントでも多くの先進事例が紹介されました。まさに「ビジョンをインパクトに変える。」というテーマどおり、AI によるイノベーションがあらゆる業界で成果をあげていることが実感できるイベントとなりました。 

基調講演にはマイクロソフト コーポレーション会長 兼 CEO のサティア・ナデラと日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の津坂 美樹が登壇。マイクロソフトが見据える AI 時代の変革について発表を行いました。 

AI Tour 全般及び基調講演の紹介はビジネス全般へ 


流通・消費財業界向けブレイクアウト セッション 
「AI で実現するリテール バリューチェーンの収益最大化」 

A man standing in front of a large screen

流通・消費財業界向けのブレイクアウト セッションでは、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エンタープライズサービス事業本部 流通サービス統括本部長の河上 久子がファシリテーターを務め、セブン-イレブン・ジャパン、日清食品ホールディングス、そしてマイクロソフト本社からのゲストスピーカーが、各社における AI の活用事例と今後の展望について語りました。 

IDC 調査結果と流通・消費財における AI の潮流 

冒頭、河上はマイクロソフトが IDC(International Data Corporation)に依頼して実施した最新調査結果を紹介。生成 AI 導入率が 2023年の 55% から 2024 年 11 月時点で 75% にまで増加していると明かします。 

そして小売業界の事例として、オーストラリアの大手スーパーマーケットColes を紹介。AI モデルを活用して約 850 店舗での約 2 万種類の商品の流れを高い精度で予測しており、一日に 16 億件もの予測を行っていることが報告されました。 

河上は生成 AI 活用の流れとして、2023 年の ChatGPT4.0 のリリース以来、「発見」から「導入」を経て現在は「成果」に着目した取り組みが増えていることを指摘。今後さまざまな現場で実装されていくであろう AI エージェントへの期待も口にしました。 


セブン – イレブン・ジャパン様における生成 AI 活用事例 

株式会社セブン & アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX 本部長、株式会社セブン – イレブン・ジャパン執行役員 システム本部長の西村 出氏は、データ・ドリブン文化を基盤とする同社の AI 活用の取り組みを紹介しました。 

「当社は毎朝ありとあらゆるデータを確認する文化を有しています」と西村氏は述べます。その文化の延長としてデータ・ドリブンな企業運営がなされており、現在同社ではデータ基盤「セブンセントラル」によって、すべての店舗の販売データがリアルタイムで蓄積される仕組みを構築しています。 

同社は生成 AI についても早い段階から使用する方針を打ち出し、「セブン – イレブン AI ライブラリー」と名付けられた独自のプラットフォームを開発。このプラットフォームに搭載されたマルチモーダル AI を駆使して、ドキュメントのチェックや問い合わせなどの対応業務や、商品開発に必要なマーケットの分析や実際の企画などが行われています。西村氏は「人間が考えるべきことに時間を費やせるようになっている」とその効果を評価します。 

また、Open AI の進化についても触れ、簡単なプロンプトでも適切な情報を引き出せるようになっていることを例示。同社でも非エンジニアの一般従業員による活用が進んでいることを紹介しました。

A group of people sitting in chairs in front of a large screen
株式会社セブン & アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX 本部長
株式会社セブン – イレブン・ジャパン執行役員 システム本部長 西村 出氏

日清食品ホールディングス様における生成 AI 活用事例 

日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CIO の成田 敏博氏は、「日清デジタルアカデミー」という全社的なデジタル教育強化施策における、生成 AI を含めたデジタル スキル強化に向けた取り組みを紹介。「これからはアカデミーのあらゆる講座に生成 AI の要素を取り入れていく予定」と語り、生成 AI を重視する姿勢を強調しました。 

そして生成 AI 活用事例として「NISSHIN AI-chat」を紹介。導入後に利用者がなかなか増えないという壁にぶつかったものの、プロンプト テンプレートの横展開や社内報での告知活動などを進め、利用率の向上を実現されました。 

その経験をもとに、現在は Microsoft 365 Copilot の活用推進に力を入れていると成田氏は述べます。アーリーアダプターに Copilot を思う存分使ってもらえる環境をつくり、活用事例を広く紹介することで利用拡大を図りました。 

その結果、Microsoft 365 Copilot の利用率は約 85% に達し、ひとりあたりの削減時間は年間 79 時間を実現するなど、高い費用対効果を示しています。 

さらに同社では、AI エージェントを Azure 上に構築する取り組みをマイクロソフト と連携して進めているといいます。成田氏は、企業戦略立案における最新の AI モデルを活用したデモを行い、今後の更なる生成 AI 発展への期待を示しました。 

A man standing at a podium
日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CIO 成田 敏博氏

〜マイクロソフト本社 CVP によるパネル セッション〜 グローバル AI リテーリング企業の最新事情と流通事業者が AI を推進するためのインサイト 

最後に、マイクロソフト米国本社から、流通業を含むグローバル インダストリー ソリューションを担当しているシェリー・ブランステンが登壇し、グローバルの事例と日本企業の AI 活用促進に役立つインサイトを共有しました。 

シェリーは、流通・消費財業界で進む AI トランスフォーメーションの主な領域として 4 つのテーマを挙げ、それぞれのテーマに該当する事例を紹介しました。 

A group of people on a stage
1. 顧客体験の改革

カナダの小売業者、Canadian Tire は会話型コマースの導入に取り組んでいます。顧客は、同社が開発したパーソナルエージェントを利用すれば、タイヤの写真を撮影するだけで、適切な商品提案や予約、関連サービスに至るまでさまざまなサービス提供を受けることができます。

2. 従業員体験の向上

高級ブランドの CHANEL においては、AI を用いてオンラインで販売されている偽物の 70% を識別し、販売を防止する仕組みを構築。さらに生成 AI を活用して、店舗スタッフが顧客情報や商品在庫状況など、あらゆる情報をすぐに確認できる仕組みを構築しています。 

3. ビジネス プロセスの再構築

オランダに本拠を構える Ahold Delhaize では、食品廃棄物の半減を目標とした AI ソリューションを開発。AI による店舗の商品在庫予測を行うことで、食品廃棄物の量が劇的に減少し、利益率も改善されるという成果が得られています。

4. イノベーションの加速

イギリスに本社を置く消費財業者、Unilever とマイクロソフトは、量子コンピューティングに取り組んでいます。この取り組みにより、環境に優しい家庭用品ブランドの新製品開発において、新製品を市場に投入するまでにかかる時間を 50% 以上短縮する成果があがっています。

最後にシェリーは、AI トランスフォーメーションを推進するための 5 つのポイントを提示しました。

  1. ビジネス価値創造に注力 
  2. ガバナンス強化への投資
  3. 組織内のデータ・資産の整備
  4. 組織的な AI
  5. 責任ある AI の構築 

そして、これらの施策を経営陣が理解し、組織内のアーリーアダプターたちを全面的にサポートすることが重要であると述べてセッションを終了しました。 

河上は最後に、マイクロソフトの取り組みとして、IT / DX 部門向けワークショップの開催と、経営層向けの US・アジア地域での現地セッションを紹介。「マイクロソフトはこれからも、プライバシーとセキュリティを重視した AI 活用を通じて、日本の企業のお客さまの AI ジャーニーに伴走してまいります」と語り、セッション全体を締めくくりました。 


産業別 Connection Hub レポート【流通・消費財】 
One to One マーケティングとストア マネジメントを支援する生成 AI 活用 

A group of people at a convention

会場のほぼ中央には日本マイクロソフトの産業別 Connection Hubが設置され、産業ごとに生成 AI 活用のデモを展開。多くの来場者が足を止めて説明に聞き入っていました。 

流通・消費財業界向けの Hub では、生成 AI による顧客対応のデモと、店舗運用を支援する AI エージェント「ストア オペレーション エージェント」の活用デモが展示されていました。 

A man standing in front of a computer screen

顧客対応のデモでは、購入履歴や在庫などのあらゆるデータを読み込んだ生成 AI が、チャットで顧客ごとに的確な対応をする様子を展開。真の One to One マーケテイングが実現間近なことを予感させる内容でした。また、この仕組みは多言語対応により海外の顧客へもアプローチ可能で、音声での対応も考慮されているためアクセシビリティも向上させられます。EC サイトでの AI 活用の可能性も大きく広がりそうです。 

ストア オペレーション エージェントのデモでは、店舗スタッフからの問い合わせに対して、生成 AI がまるで店長のように的確な指示を出す様子が示されました。店舗スタッフが売り場からスマートフォンで操作でき、ヘッドセットから音声で問い合わせることも想定されています。業務に不慣れなスタッフでも質の高い接客ができる可能性を感じさせる内容でした。 

A large group of people in a large room

今回の記事を通じて、生成 AI や先端技術が流通・消費財業界にもたらす可能性についてどのような検討が進められているのか、理解を深めていただけたかと思います。 

生成 AI 活用への次のステップとして、ぜひ下記の関連情報をご参照ください。 

Microsoft AI Tour Tokyo イベント情報: 

Microsoft AI Tour Tokyoで発表した内容: 

その他業界別の記事はこちら

  

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スマーター・リテイリング・フォーラム 2025〜 AI と共創する新時代の流通イノベーションとは〜【セミナーレポート】 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2025/04/25/smarter-retailing-forum-2025-event-report/ Fri, 25 Apr 2025 02:57:59 +0000 2025年3月6日に開催された「スマーター・リテイリング・フォーラム 2025」(SRF)では、「AIと共創する新時代の流通イノベーションとは」という副題のもと、AI時代の流通業における現在の取り組みや今後の方向性について、著名業界講師の講演と最新事例が紹介されました。日本マイクロソフトのブースでは、「Retail Ready」というキャッチフレーズのもと、「Microsoft Azure AI」「Microsoft Dynamics 365」「Microsoft Copilot Studio」「Microsoft 365 Copilot」を活用したAIソリューションが展示されました。ミニセッションやデモンストレーションを通じて、参加者は具体的なAI活用法を体験し、本格的なAI時代の到来を実感しました。.

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A group of people sitting in a room with a large screen

例年日本マイクロソフト主幹で開催されている「スマーター・リテイリング・フォーラム」は、流通業におけるユーザー企業と IT ベンダー企業の協業による IT 技術の標準化推進を活動目的として、2004 年に設立されたオープン フォーラムです。(スマーター・リテイリング・フォーラムについて )2024 年 11 月末時点で国内約 500 社の企業が参加する大規模なフォーラムであり、POS システムのインターフェースを定義する OPOS 仕様、データやアプリケーションのインターフェースの標準化など、さまざまな仕様の検討を行っています。

A man and woman looking at a diagram

2025 年 3 月 6 日(木)に開催された「スマーター・リテイリング・フォーラム 2025」(以下 SRF)では、「AI と共創する新時代の流通イノベーションとは」という副題のとおり、AI 時代の流通業における現在の取り組みや今後の方向性について、著名業界講師の講演および最新取り組み事例を通じた考察が展開されました。

また、SRF が推進する流通業 IT 標準化活動の最新動向と、新設された次世代リテール研究会による「AI 時代のリテールにおける顧客接点ユースケースと標準化スコープの考察」についての発表も行われるなど、流通業と AI のコラボレーションはすでにかなり進捗しており、さらに加速していくことが予見される内容となりました。

AI 時代の本格的な到来を感じさせた「リテールテック JAPAN 2025」

流通業における AI の重要度の高さは、SRF と同時開催された日本最大級の流通情報システム総合展「リテールテック JAPAN 2025」の出展ブースのラインアップにも色濃く反映されていました。日本マイクロソフトも出展した同展示会には、デジタル サイネージや POS システムなどのハードに加えて、AI による画像解析や需要予測などを組み込んだ流通小売業向けサービスを紹介する企業が目立ち、来場者の足を止めていました。

日本マイクロソフト ブースでは、「Retail Ready」というキャッチ フレーズのもと、「Microsoft Azure AI」「Microsoft Dynamics 365」「Microsoft Copilot Studio」「Microsoft 365 Copilot」を活用した AI ソリューションを展示。ミニ セッションやデモンストレーションを通した具体性の高い AI 活用法に触れた参加者の皆さまに、本格的な AI 時代の到来を肌で感じていただくことができました。

A display of computers and computers in a room

ここからは、流通業界のキーパーソンを招いて行われた SRF 2025 のあらましをご紹介します。興味を持たれた方は、ぜひオンデマンド配信をご覧ください。

オンデマンド配信
「スマーター・リテイリング・フォーラム 2025 〜 AI と共創する新時代の流通イノベーションとは〜」


開会あいさつ

スマーター・リテーリング・フォーラム(OPOS 技術協議会・.NET 流通システム協議会)
代表幹事 兼 事務局
マイクロソフト コーポレーション
藤井 創一

A man standing at a podium with a screen on the wall

開会の挨拶に立ったのは、スマーター・リテーリング・フォーラム(OPOS 技術協議会・.NET 流通システム協議会)代表幹事 兼 事務局 マイクロソフト コーポレーションの藤井 創一。同フォーラムの成り立ちや概要を紹介し、登壇者への謝辞を述べたあと藤井は、「時代の要請を踏まえて、流通業ビジネス活性化のための IT システムやデータ標準化を推進する私たちの活動を、皆さまにお伝えする。、是非ともお役立ていただきたい。」と本セミナーを主催している協議会からのメッセージを伝えました。

そしてこのあとに続くセッションは「AI」と「流通」のテーマに沿って展開されるとし、「グローバルのトレンドが、また日本の先端企業の皆さま方が、なにを考えてどういった打ち手で臨んでいるのかといったところをお伝えしていきたい」と抱負を述べて、開会を宣言しました。

セッション ①
「NRF リキャップと流通業の最新取り組み事例」

マイクロソフト コーポレーション
ワールドワイド リテール&コンシューマー グッズ日本担当
インダストリー アドバイザー
藤井 創一

A man standing at a podium with a microphone

生成AIとの融合がもたらす新たな価値

開会挨拶に続けて登壇した藤井は、まずマイクロソフトの新たな流通業向けメッセージである「Retail Ready」について解説を行いました。「“Retail” という言葉には “AI” が含まれており、リテールと AI を組み合わせることがひとつの文脈になっています」と藤井。昨年の「Retail Unlocked(リテールの解放)」から一歩進んで、AI と流通業の融合によって新たな価値を生み出すことが現実となる時代が幕あけしたことを示唆しました

A purple sign with white text

そして藤井は 2023 年に「流通業の今後 2 〜 3 年の行動は、今後 20 年の成功を左右する可能性がある」と指摘されていたことに言及し、2025 年はまさにその重要な成果実現の年であると強調しました。

この流れの背景には「生成 AI に代表される AI の急速な成長がある」と藤井。Walmart も 2023 年に「生成 AI は小売業界に革命をもたらし、お客さまのショッピングをより簡単で楽しいものにし、Walmart の従業員にとってよりよい仕事体験を生み出すと信じています」と発表し、取り組みを加速させていることも示しました。

NRF 2025 に見る、グローバル市場の AI 活用

続いて、2025 年 1 月にニューヨークで開催された世界最大の流通業イベント「NRF 2025」のフィードバックが行われました。藤井は、昨年の NRF 2024 が「生成 AI と流通業が出会った元年」だったのに対して、この 1 年間で米国企業は「徹底的にチャレンジを重ね、事業に実際に影響を与えられる状況になった」とし、「経営主導で AI 戦略を策定し、コア業務現場とともに、具体的な課題を解決するフェーズに入っている」と、グローバルのリテーラーでも 生成 AI がすでに現場に実装され、課題解決に役立てられていることを示しました。

A group of people in a conference

そして藤井は、マイクロソフトが NRF で紹介した事例として、以下の 4 つを紹介しました。

1、CANADIAN TIRE : パーソナル ショッピング アシスタント機能をショッピング アプリに実装し、自然言語での最適なタイヤ選定から付帯サービスまでをシームレスに提供。

2、MacDonald’s China : マイクロソフトと共同で AI ラボを設立し、GitHub Copilot を活用した内製開発で、マニュアル翻訳やゲーミフィケーション アプリによる従業員教育を効率化。

3、SPAR ICS : Azure Synapse によるデータ クラウドと AI を活用した在庫最適化で、在庫精度 90%、欠品率 20% 削減、廃棄ロス 15% 削減を実現。

4、Chanel : Microsoft Fabric を活用してデータのサイロ化問題を解決し、経営者からファッション アドバイザーまで、誰でも AI のアシストによってデータ活用できる環境を構築。

藤井は、NRF でこれらの最新情報を知った日本からの参加者が口にした「AI の取り組みに関して日本は周回遅れどころか別のトラックを走っているようだ」という感想が印象的だったと語ります。そして、日本は他国と比べて生成 AI への着手は最も早かったものの、コア ビジネス領域での活用は、まだまだ多くの可能性があると分析。そのうえで「打ち手はあくまでも現場にある」とした上で、日本企業は、挑戦を容認する文化にコミットし、積極的に試行、改善を進めて行くべきであると強調しました。

A man standing at a podium with a large screen on the wall

AI エージェントは、今後のキートレンドとなり得る

NRF で提示された先行企業の示唆から、今後具体的にどのような打ち手が必要とされるのか、藤井は「顧客との関係」をキーワードに挙げます。そして CANADIAN TIRE や Walmart が開発したパーソナル ショッピング アシスタントを例に取り、顧客体験を向上させ、収益に寄与するために 生成 AI は有用であることは実証されているものの、高まり続ける期待に見合った体験を得られない瞬間に顧客は離れてしまう、と藤井。たとえば レコメンデーションされた商品なのに在庫がないといった瞬間は、取返しのつかない顧客体験の低下や、さらにはブランドの毀損を誘発する可能性さえ秘めているのです。

A screenshot of a computer

そのような課題を解決すると期待されている生成 AI のキートレンドとして藤井は、「AI エージェント化」をピックアップして紹介。マイクロソフトのテクノロジー「Copilot」がどのように課題解決に役立つかを、新商品のリリース文章の制作から文章のリーガル チェックに至るプロセスを 専門性の高い各 AI エージェント同士が連携して実行し、商品部門担当者の業務を支援するというデモを通じて解説しました。

さらに「先の例で、パーソナル ショッピング エージェントと在庫管理エージェントが連携することができれば顧客体験の課題を解決できるし、同時に、企業としてより経営に寄与する戦略的な商品やサービス販売両立の実現可能性も見えてくるのではないか」と説明しました。

日本マイクロソフトでは、パートナーとともに、このような Copilot や AI エージェントの提案準備を進めていると藤井。マイクロソフトの AI ガイドラインの存在を示しながら、「生成 AI 時代の流通業向けデジタル基盤を提供し、皆さまの挑戦に伴走していきます」と会場に語りかけて、セッションを終了しました。

セッション1のオンデマンド配信はこちらから

セッション ②
「店舗のこれまでとこれから 〜三越伊勢丹の DX の取り組み~」

株式会社 三越伊勢丹 伊勢丹立川店
店長
北川 竜也

日本マイクロソフト株式会社
インダストリーテックストラテジスト
岡田 義史

A man speaking into a microphone

北川 竜也 氏

三越伊勢丹が挑戦する「まち化」プロジェクト

冒頭で「かなりアナログに近い話をさせていただきます」と語り始めた北川氏は、入社後 10 年以上 E コマースやデジタル領域の責任者を勤めてきました。

しかし 2023 年 4 月に、店舗業務の経験がないまま伊勢丹立川店の店長に就任。今は「百貨店が過去に培ってきた価値をどう次の時代にアップデートするか」を考えながら仕事することが楽しくて仕方がない、と語ります。

まず北川氏は、三越伊勢丹が掲げる大きなテーマとして「まち化」を紹介しました。北川氏は、単純にお店にたくさん来ていただいてたくさん物を買っていただくだけの商売ではなく、街そのものに三越伊勢丹が入っていき、ユーザーとの接点を活用して事業の幅を広げることを目指していると説明します。

そのカギとなるのが「ユーザーの嗜好」です。北川氏は、インターネット時代においては従来の「ペルソナ化された抽象化された人物像」に対する企画ではなく、個人の嗜好をしっかり捉えることが重要だと強調しました。

すなわち、スマートフォンに個人のデータが大量に蓄積されている今、そのデータから個人の嗜好をしっかり捉えることが「まち化」の第一歩なのです。

1000 人に声をかけて、1000 人に買ってもらう

三越伊勢丹は「館業から個客業へ」という大きな戦略転換を進めています。北川氏は「一人ひとりの嗜好をしっかりと把握できると、その嗜好の塊ごとに提案するべきコンテンツが明確になり」、従来の “ファネル型” から “逆ファネル型” のコンバージョン戦略へと転換できると説明しました。

北川氏は具体例として「サロン ドゥ ショコラ」というイベントを挙げて説明していきます。このイベントに来場いただくお客さまは、期間中に数万円のチョコレートを購入して頂ける、純度の高いチョコレート マニアです。

北川氏らは、これまでのようにイベント期間中の売上や集客数だけを追うのではなく、「サロン ドゥ ショコラを楽しんでくださったお客さまに、これまで以上の体験を提供する」という新しい KPI を設けました。年間を通してユーザーの嗜好を満たせれば、一時的な売上ではなく継続的な関係構築と売上向上を目指せるというわけです。

「大切なのは、こういった嗜好の塊をたくさん持つこと。これまでは 1 万人に声をかけて 1000 人に買ってもらうことが目標でしたが、これからは 1000 人に声をかけて 1000 人に買っていただくことが我々の目標になる」と北川氏は語ります。

A screenshot of a computer

個客業への転換に向けて、北川氏は「固定観念の変革」の必要性を強調しました。同社の「“ファネル型”から“逆ファネル型”へ」という顧客戦略の転換においても、従来の発想のままだと、お客さまへのアプローチが過剰になってしまうこともあり、次第に飽きられ、嫌われてしまうこともあり得ると北川氏。

また、「優先順位の明確化」について、北川氏は E コマースの責任者時代のエピソードを交えて説明しました。約 120 件の改善要望リストに対して、年間の開発スピードでは 6〜7 個しか実現できないという問題を指摘。「やるべきことをはっきりと絞り込んで、それ以外のことはやらないということを決めないと、現場は混乱に陥る」とマネジメントの大切さを強調しました。

A man standing at a podium speaking into a microphone
立川店での具体的な取り組み

北川氏は伊勢丹立川店での具体的な取り組みについて、新宿まで 30 分程度という立地条件があるため、「新宿ではなく立川をわざわざ選ぶ理由、使い分けて頂く理由を作らなければならない」と話します。

そして、具体例として地方の人気飲食店を読んで立川店のスペシャル メニューを提供する「サプライズ レストラン」を挙げて、その狙いを「美食家のお客さまを炙り出すこと」と説明します。結果として新たなお客さまとの繋がりを構築でき、そ新たな売上がもたらされるようになったそうです。

「こうした施策を通して、データの使いどころが明確になった」と北川氏。ユーザーの嗜好を炙り出すためのデータ分析の仕方、AI の活用方法などのノウハウが蓄積されているそうです。


そして「私たちにとっての DX とは “CX(コーポレート トランスフォーメーション)”。会社全体を変えていくことであり、私たちにしか提供できない価値をつくること」と、テクノロジーを使うことではなく企業としての価値向上こそが真の目標であることを示して、講演を終了しました。

パネル ディスカッション:
「どうして立川店なのか」の理由を増やすために

セッション後半では、日本マイクロソフト株式会社 インダストリーテック ストラテジストの岡田と北川氏とのパネル ディスカッションが行われました。

A group of people on a stage

歴史のある店舗だからこそ良くも悪くも成功体験に裏打ちされた固定観念が根強く、時代に合わせたやり方にトライすることに腐心したという北川氏。岡田が店長就任からの 2 年間の変化について質問すると、北川氏は「計画の立て方が大きく変わった」と説明します。


従来の「52 週の歳時記」は大切ですが、それに合わせた企画だけでなく、「特定の嗜好を持ちのお客さまに 1 年間楽しんでいただけるような企画」を立てる方向に変わったそうです。

その例として「スコーン パーティー」を挙げ、スコーン パーティーを開催する前日の夜に立川市内のビジネス ホテルが取れなくなったほど、全国からスコーン マニアが集まったと紹介。KPI についても、「入店客数・売り上げ・利益」といった従来の指標だけでなく、「何人のお客さまが結果として我々と繋がっていただいて、我々が期待した行動をしていただけたか」という指標を重視するようになったと説明しました。

岡田氏が「やった方がいいことは積み重なっていくが、やらないことを決めるのは難しい」と課題を挙げると、北川氏は「本当にやるべきことはこれ、というところにまず絞り込んで、勇気を持って残りを捨てること」が重要だと強調。愛着のあるプロジェクトだけに反発もあるものの、「本当にやるべきことをやるためのトライアルに時間を使ってもらうことが大事」と回答しました。

AI 活用についての質問に対して北川氏は、個人的には活用しているものの、業務への活用には十分に踏み切れていないことを明かし、「責任者として AI が提供してくれる以上の価値を出さなければならないというのは、腕の見せどころだけれど、ちょっと怖い」と述べつつ、最新の性能をキャッチ アップしていくことが大切、と私見を述べました。

最後に北川氏はこれからの目標として「“どうしてあの店を使っているのか” という質問に対して、お客さまに “こうだから” と答えていただける理由をどれだけ高精度で定義できるかに取り組んでいきたい」と述べ、セッションを終了しました。

セッション2のオンデマンド配信はこちらから

セッション ③
イオングループにおけるデータの価値化 〜イオングループのデータ戦略とその核となるチーム(データイノベーションセンター)の活動事例〜」

イオン株式会社
チーフデータオフィサー
データイノベーションセンター長
中山 雄大 氏

A man in a suit standing at a podium with his hands up

イオン株式会社 チーフデータオフィサー データイノベーションセンター長の中山 雄大 氏は、シリコンバレーでの研究経験や携帯電話会社、保険会社でのデータ活用経験を持ち、2021 年からイオン株式会社でデータ トランスフォーメーションを推進しています。

中山氏は「コングロマリットであるイオングループの強みは、データをつなぐことによって、お客さまを広く深く知ることができる点にある」と定め、その強みを生かした「コングロマリット プレミアム」の実現を目指しています。その中核を担うのが、中山氏がセンター長を務めるデータ イノベーション センター(DIC)です。

DIC は 2021 年に設立された 30 人弱で構成されるチームで、サイエンティストやエンジニア、エンゲージメント マネージャーらが所属しており、この豊富な人材を基盤とした「アナリティクスの内製化」「ベスト プラクティスの展開」「新しい事業機会の探索」を通して、グループ全体でデータに基づく事業価値創造の実践を目指しています。

DIC はさまざまなバック グラウンドのメンバーが切磋琢磨する環境で、常に最先端の成果や知識を求められると中山氏。DIC のシステム管理に携わる社員が、複雑な最適化問題を生成 AI を使って解決したエピソードを紹介し、データ サイエンスの焦点が予測問題や分類問題から生成 AI へと移行していることを強調。「時代は、“変わる” ではなく “変わっている”」という認識のもとで推進された、生成 AI を活用したプロジェクトの事例紹介に移りました。

A purple and white sign
データ活用の実践事例

1、自然言語を用いたマーケティング知識抽出ツール

このツールによって、誰もがデータ ウェアハウスに自然言語で問い合わせが可能になります。たとえば「〇〇店の最近 1 週間の弁当の売り上げベスト 10 を教えてください」という質問に対し、従来はエンジニアに依頼して翌日返ってくる情報が、10 秒から長くても 3 分ぐらいで返ってきます。このシステムにより、マーケティング担当者は低コストですばやく知見を得られるようになります。

中山氏によると、現実世界における曖昧性の解消が課題であり、「千葉で一番売れているチョコレートは?」という質問における「千葉」は県か市か、といった曖昧さへの対応を進めています。また中山氏は「自然言語で問い合わせて、それを SQL に変えて、データ ウェアハウスの照会をかける」という現在のアーキテクチャは 非効率であり、機械同士が直接対話する次世代データベース開発の可能性も示唆しています。

2、自然言語での買い物レコメンデーション ツール

「カレーに入れると、意外に美味しい具材を教えてください」といった質問に答えるシステムを開発。「財布に優しい鍋の具材」「村上春樹が好みそうなサンドイッチ」といった、やや複雑なレトリックを使った問いかけにも対応し、リクエストに従って「石破首相風の文体」で商品説明を生成するなど、ユニークな機能を実装しています。

このプロジェクトでは「商品マスター データをきちんと拡充しないと、いい商品がピンポイントに返ってこない」という課題や「コンバージョンにつなげないと、単なる玩具になってしまう」という実用化への課題があるとし、ブラッシュアップの必要を感じているそうです。

3、イオン景気インデックス

全国のイオン店長から毎月集めるアンケートをもとにした、独自の景気指標を作成。中山氏は「毎月同じ質問を同じ人に繰り返すことで得られるデータに価値がある」と語り、特に「なぜそう思うか」といった店長たちの自由記述回答を「宝の山」と称しています。自由記述回答を生成 AI で要約・分析し、ダッシュボード化することで、さまざまな洞察が得られるからです。

中山氏は、このイオン景気インデックスと実際の購買データを掛け合わせることで、商品の売れ行きと景気との相関といった興味深い知見を発見したことを明かし、「活用先を拡大して、新たな価値を作り出したい」と展望を語りました。

4、新規出店支援のための立地予測ツール

中山氏は最後に、任意の地点をマップ上で選択すると売上予測が表示される AI ツールを開発しました。このツールでは特徴量エンジニアリングに注力し、競合店の位置や地形、駅の出入口、実際の経路、線路の障害などを網羅した精緻な分析を実現。スマートフォンで現地に行き、GPS で位置情報を取得して予測を行うこともできる仕様になっています。

こうしてセッションは終了となりました。中山氏が紹介した取り組みを通じて、イオンはデータと AI を活用したビジネス変革を着実に進めていることがよく伝わるセッションとなりました。

A man standing in front of a screen

セッション ④
POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動 Update

OPOS 技術協議会 技術部会長
NEC プラットフォームズ株式会社
五十嵐 満博 氏

.NET 流通システム協議会 技術部会長
東芝テック株式会社
尾木 雄貴 氏

本セッションでは、SRF を構成する OPOS 技術協議会および .NET 流通システム協議会からの活動報告が行われました。

AI 時代のリテールを考える次世代リテール研究会
A man standing at a podium with a microphone

五十嵐 満博 氏

最初に登壇したのは、OPOS 技術協議会 技術部会長 NEC プラットフォームズ株式会社の五十嵐 満博 氏。五十嵐氏はまず、OPOS 技術協議会では POS システムのアプリケーションと周辺デバイス間のインターフェースの標準仕様である「OPOS 仕様」の策定と国内への普及活動を行っている団体であることを紹介。2024 年度の活動として、次世代標準(仮称 UPOSv2)に向けた検討を中心に行ってきたことが報告されました。

また、今後の展望として AI の活用に注目していることを強調。五十嵐氏はAmazon Go に代表される無人店舗、画像認識技術を利用した商品スキャン、顔認証決済などの先行事例を紹介、.NET 流通システム協議会と合同で「次世代リテール研究会」を立ち上げたことが報告されました。

この研究会では AI 時代のリテールにおける顧客接点のユースケースと標準化のスコープの考察を行うことを目的としています。五十嵐氏は具体的なユースケースとして、カート POS における AI 活用や IC タグを利用したレジ待ち時間の短縮、また AI エージェントによるサービス提供の可能性について説明を行いました。

最後に、今後さらに具体的なユースケースの絞り込みや最新テクノロジーを組み合わせた技術検証を進めていく展望が示され、セッションは終了となりました。

急速に普及する電子レシートの可能性
A man standing at a podium with a microphone

尾木 雄貴 氏

続いて、.NET 流通システム協議会 技術部会長 東芝テック株式会社 尾木 雄貴 氏から同協議会の活動、特に電子レシート分科会についての報告が行われました。

電子レシート普及の背景には紙資源削減の社会的要請があると尾木氏。東芝テック社の電子レシート サービスの普及状況を見ても、ここ数年で爆発的にユーザー数が増えており、急速に成長していることがわかります。

尾木氏は、電子レシートのメリットとして、消費者にとっては紙のレシート管理が不要になりデータ化できること、店舗にとってはコストの削減を挙げました。そして特に注目すべき点として「企業を横断した購買データの活用ができることと、消費者へのチャネルが増えること」を指摘。個人のアカウントに紐づくことになるため、One to One コミュニケーションの窓口になることもメリットとして紹介され、電子レシートはメーカー、リテーラー、消費者にとって三方よしの施策であることが示唆されました。

続いて尾木氏は、電子レシートと AI を組み合わせた活用例として、企業横断データ分析と世界のトレンド ウォッチの可能性を紹介。AI が購買情報と電子レシートのデータをもとに分析して商品をレコメンドしてくれたり、海外の流行をいち早く取り入れたプロモーションが打てたりといった未来像を例示しました。

最後に尾木氏は、.NET 流通システム協議会の 2025 年度の活動予定として、OMG への提案と仕様書の改定を継続し、正式版のリリースを目指すこと、技術者向け説明会の実施を検討していることを述べてセッションを締めくくりました。

セッション4のオンデマンド配信はこちらから

セッション ⑤
「E ビジネス成功の新常識 AI 活用が切り拓く未来
〜キーコーヒーと考える、顧客ファン化と成長戦略の最前線〜

株式会社ecbeing
営業本部 上席執行役員
斉藤 淳 氏

キーコーヒー株式会社
マーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチームリーダー 兼 コーヒー教室室長
前田 智紗 氏

A man standing at a podium with a screen on the wall

最後のセッションでは、株式会社ecbeing 営業本部 上席執行役員の斉藤 淳氏と、キーコーヒー株式会社 マーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチームリーダー 兼 コーヒー教室室長の前田 智紗氏によるパネル ディスカッションが行われ、EC の最新動向とキーコーヒーの先進的な取り組みが紹介されました。

斉藤氏によると、EC の変遷のなかで現在は AI やオムニ チャネルの統合、そして CDP や CRM を活用して、年間 LTV(顧客生涯価値)やアクティブな顧客数を増やすことが重視される時代に入っており、パーソナライズ化されたクオリティの高い発信や販促が重要視されていると説明します。

ここでキーコーヒー株式会社 マーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチームリーダー 兼 コーヒー教室室長の前田 智紗氏が登壇。同社が 2022 年に実施した EC サイトのリニューアルについてのトーク セッションが展開されました。

A man in a suit and tie standing at a podium with a microphone

斉藤 淳氏

EC サイト リニューアルに伴うファン化促進の仕掛けづくり

前田氏によると、EC  サイトリニューアルは、EC 単体の取り組みではなく、顧客接点の全体像を見直し、顧客データをひとつの場所にまとめて活用できる体制をつくるという構想のもとで行われたとのこと。キーコーヒーの顧客接点は、EC サイト、キャンペーン サイト、コーヒー セミナー、直営売り場など多岐にわたりますが、EC サイトのリニューアル以前はそれぞれの顧客データは分断されていたそうです。

顧客データの統合と並行して、コンテンツの充実化も進められました。注目すべき取り組みとして、ユーザーの SNS 投稿の活用があります。「実際、投稿していただけるものなのでしょうか?」という斉藤氏の質問に、最初は不安だったという前田氏。しかしリリースしてみると、ユーザーの参考になる情報が多数投稿されるようになったそうです。

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さらに同社では、LINE を活用した会員基盤の統合も実施しました。従来売り場では紙のスタンプ カードを使用していたため、顧客データを把握できていませんでしたが、LINE を会員証とすることで顧客データの収集が可能になり、ポイント付与やクーポン発行などのサービスが実現しました。

さらにセグメントごとに LINE メッセージを配信することで、メルマガと比べて開封率もクリック率も向上したそうです。斉藤氏は「LINE はオンラインとオフラインをつなぐハブとしての役割も果たしているイメージですね」と感想を述べます。前田氏は「LINE からシングル サインオンで EC サイトを利用できるため、サービスの併用率が高まり、キーコーヒーという会社のファンになっていただけている実感があります」と笑顔で語りました。

A man and woman sitting at tables with microphones

「ファン化」をキーワードとしたときに、特徴的な取り組みとしてコーヒー セミナーと EC の連携が挙げられます。ユーザー向けにコーヒーの楽しみ方を伝える対面型セミナーは、従来は独立したシステムで運営されていました。しかし EC サイトの会員基盤と統合することで、普段はセミナーだけを利用していたユーザーもオンライン ショップの存在を知り、セミナーで使ったコーヒーや器具を購入するなど波及効果が生まれたといいます。

また、コーヒー セミナー来場者への接客にも変化が生まれたそうです。「以前は講師が記憶でお客さまを判別していましたが、顧客データが取れる今は、参加者のプロフィールを接客に生かせるようになりました」と前田氏。EC サイト内にセミナー講師による投稿コンテンツを掲載することで、セミナーの雰囲気や内容が伝わり、予約促進や EC サイトの回遊性向上にもつながっています。

ECにおけるAIの現在地とその可能性
A man and woman standing at a podium with a large screen

さらにキーコーヒーでは、ecbeing と日本マイクロソフトが共同開発した AIチャットボットを導入。これは、ユーザーの質問に対して自社サイト内の参考情報を AI が検索して回答する仕組みです。前田氏はふたつの導入効果があったといいます。

まず、セミナーの開催場所や予約方法などの初歩的な質問がチャットで解決できるため、電話やメールでの問い合わせが約 35% 減少、業務効率が向上しました。さらに、質問や回答を自社サイトの改善にも活用できるようになったとのこと。前田氏らがチャットボットのやり取りを分析したところ、情報が適切に届いていない可能性があることがわかり、これをきっかけにオウンド メディア全体のユーザビリティ見直しに取り組んでいるそうです。

Screens screenshot of a chat

また前田氏は、「オープンな情報を使うと意図しない回答が出てクレームになるリスクがありますが、このツールはあらかじめ指定した範囲内から回答が得られるため、安心して導入できました」と評価しています。

セッションのまとめとして斉藤氏は、いまや AI は業務効率化だけでなく顧客ロイヤリティ向上や売上拡大にも貢献できるステージに入っていると解説。なかでもパーソナライズ化の実現は EC 業界にとって大きなインパクトをもたらしていると、力を込めて語りました。

このセッションを通じて、顧客データ統合と AI 活用の重要性、そしてオンラインとオフラインの顧客体験を融合させることで生まれる相乗効果が明確に示されました。キーコーヒーの事例は、これからの E ビジネス成功の道筋を示す貴重な参考事例といえるでしょう。

セッション5のオンデマンド配信はこちらから

こうして、SRF 2025 は大盛況のうちに幕を下ろしました。全編を通じて感じられたのは、もはや流通業界において AI は身近なインフラとして利用可能なツールであり、むしろその活用はまったなしの状況であるということ。来場者は、AI を活用したコミュニケーションがリテールの常識を覆す未来がすぐそこまで来ていることを肌で感じられたのではないでしょうか。

私たち日本マイクロソフトは、この Retail Ready な状況において即時性のある AI ソリューションを提供し、我が国の流通業界の発展を力強く支えてまいります。

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各セッションのオンデマンド配信一覧

Session 1
NRF リキャップと流通業の最新取り組み事例

Session 2
店舗のこれまでとこれから 〜三越伊勢丹の DX の取り組み~

Session 4
POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動 Update

Session 5
E ビジネス成功の新常識 AI 活用が切り拓く未来
〜キーコーヒーと考える、顧客ファン化と成長戦略の最前線〜

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【イベントレポート】ad:tech tokyo~広告・マーケティング業界を俯瞰できる、伝統ある国際カンファレンス~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/11/22/adtech-tokyo_event_report/ Thu, 21 Nov 2024 23:23:23 +0000 急速に進化するデジタル環境に合わせて、広告・マーケティングにおいても AI やデータを活用した新たな価値・体験創造が進んでいます。一方で、テクノロジの進化によるデジタル広告の透明性や安全性といった問題も注目されています。

2024 年 10 月 17 日 (木) 〜 18 日 (金)に東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトンで開催された「ad:tech tokyo」では、マーケティング手法・テクノロジの可能性とともに、生活者を守るという業界の社会的責任やサステナビリティ、Well-being とマーケティングとのかかわりなどについて、Keynote、公式セッション、展示ブース、エグジビション ステージ、ワークショップ、ネットワーキング パーティーといったプログラムのなかに数多くのセッションが設けられ、業界の動向について幅広い視点からの講演やディスカッションが行われました。.

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急速に進化するデジタル環境に合わせて、広告・マーケティングにおいても AI やデータを活用した新たな価値・体験創造が進んでいます。一方で、テクノロジの進化によるデジタル広告の透明性や安全性といった問題も注目されています。

2024 年 10 月 17 日 (木) 〜 18 日 (金)に東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトンで開催された「ad:tech tokyo」では、マーケティング手法・テクノロジの可能性とともに、生活者を守るという業界の社会的責任やサステナビリティ、Well-being とマーケティングとのかかわりなどについて、Keynote、公式セッション、展示ブース、エグジビション ステージ、ワークショップ、ネットワーキング パーティーといったプログラムのなかに数多くのセッションが設けられ、業界の動向について幅広い視点からの講演やディスカッションが行われました。

述べ 9,915 名が参加したこの日本有数の広告業界向けカンファレンスには、マイクロソフトの広告部門である Microsoft Advertising もブースを展開。公式セッションでは、業界で活躍する広告・マーケティングのキーパーソンとのディスカッションを繰り広げました。本稿では日本マイクロソフトの社員が登壇した公式セッション、マイクロソフトブースとブースセッションの模様をお届けします。

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公式セッション レポート①

「不確実性と複雑性の時代、それでも左右されない「不変」とは?」

Microsoft Advertising Japan

Regional Vice President

有園 雄一

株式会社トリドールホールディングス 兼 株式会社丸亀製麺

執行役員CMO 兼 KANDO コミュニケーション本部長

南雲 克明 氏

株式会社インターブランドジャパン

戦略グループ アソシエイト・ディレクター

田中 友恵 氏

パナソニック株式会社

くらしアプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルビジネスユニット パーソナルブランドマネジメント部

川治 久邦 氏

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(左から有園氏、南雲氏、田中氏、川治氏)

デジタルの時代における普遍的な価値を探るディスカッション

本セッションでは、Microsoft Advertisingの日本での事業責任者を務める有園 雄一がモデレーターとして参加。誕生して 30 年を経過したインターネット広告における不変性をテーマとした広告業界の第一線で活躍する専門家たちとのセッションを展開しました。

セッション冒頭で有園はマイクロソフトが制作した動画を流します。そこには、近い将来の私たちの生活において、壁面やガラスがディスプレイとして利用されるなど、さまざまなところにソフトウェアが組み込まれている世界観が描かれており、「いずれリテールメディアという領域においては、今まで広告主だった企業がメディアになる、または消費者自体が広告主になって自分の時間を広告するような世界になっていく」と有園。つまりいままさに、広告ビジネスは大きな「ステージの変化」に直面していることが示されました。

そして有園は「この時代の感覚のなかで、不変なものもあるよね、という話を今日はさせていただきたい」と本セッションのテーマを提示。経験豊富なパネリストたちがそれぞれの経験から導いた“不変なもの”について語り合いました。

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まずパナソニックの川治氏は、従来の常識を覆す小型シェーバー「ラムダッシュ パームイン」の開発事例を紹介。この製品開発においては、「かっこよくて革新的なシェーバー」という新しい価値提案により、若年層や高級シェーバー ユーザーという新規市場の開拓に成功しています。

川治氏はこの事例から感じた普遍性として「インサイトに基づいて、“大きく変わったな”という知覚刺激」と「消費者のパーセプション チェンジを確実に起こせるかどうか」だと強調しました。

トリドールの南雲氏は、「丸亀製麺」ブランドを例に挙げ、食の本能に訴えかけることと、さらに理性を抑えにいくことの重要性を強調。「衝動をつくりにいく」という右脳へのアプローチと「選ばれる理由を訴える」という左脳へのアプローチの両立を重視していると説明しました。「変わらないもの」として、「みんなが“これいいね”というものは売れない」という経験則を披露。平均的な評価を得る商品よりも、一部から強い支持を得る商品の方が成功する可能性が高いという知見を示し、その一例として、当初は反対意見が多かった商品「うどーなつ」を紹介。「テクノロジーテクノロジが進化するなかで、我々は逆張りとして手づくりのぬくもりと予定調和に迎合しないプロダクト アウト」が丸亀製麺のマーケティングであると語りました。

「今のお話を聞くと、デザイン シンキングに近いのかなと感じました」とインターブランドジャパンの田中氏。同社が定義する、時代とともに進化するブランディングの本質について解説が行われました。

ディスカッションのなかから、新しい価値を世に問う際に必要とされる消費者の深層心理に向けたアプローチ、予定調和に迎合しないプロダクト アウトといった“変わらないもの”が提起され、パネリストたちの深い洞察に参加者は大きく頷いていました。

セッションの締めくくりとして有園は「脱皮できない蛇は滅びる」という表現を用いて、不変の本質を理解しながら常に進化を続けることの重要性を指摘。テクノロジやマーケティング手法は進化し続ける一方で、人間の本能や深層心理への理解を基盤としたブランド価値の創造はこれからも変わらない重要なテーマであることが今回のディスカッションを通して浮き彫りになったことを示唆して、セッションを終了しました。

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公式セッション レポート②

「プロフェッショナルになるための実務的なデジタル マーケティング Tips」

株式会社 リクルート

執行役員

塩見 直輔 氏

資生堂ジャパン株式会社

プレミアムブランド事業本部 プレミアムブランドマーケティング本部 セルフサンケア・スキンケアマーケティング部 バイスプレジデント

望月 良輔 氏

カンロ株式会社

常務執行役員 マーケティング本部長

内山 妙子 氏

Microsoft Advertising Japan

カスタマーソリューションマネージャー

上林 慎介

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(左から塩見氏、望月氏、上林氏、内山氏)

デジタル マーケティングのプロフェッショナルが語る、実践的 Tips

本セッションでは、リクルートの塩見氏がモデレーターを務め、資生堂ジャパンの望月氏、カンロの内山氏、そして日本マイクロソフトの上林が登壇。マーケター、プラットフォーマー、企業広報といった異なる立場のパネリストたちから、実践的なデジタル マーケティングの Tips が共有されました。

上林は広告代理店勤務から食品メーカーを経て、現在はマイクロソフトに勤務するというキャリアの持ち主。Microsoft 広告カスタマーソリューションマネージャとして、デジタル マーケティングの上流から下流までを体感しているという立場での参加となります。

セッションは、まず上林からの「デジタル広告で優れた成果を出しているにもかかわらず予算が増えなかった」という、自分が広告代理店に勤務していた際の経験談から始まりました。

上林によると、あるデジタル広告の施策を担当した際に、広告の成果も出ていて報告も頑張るものの、予算が増える気配がなかったとのこと。当時の上林の立場からみると、ある種の挫折体験と言えるでしょう。そこで上林はどこに問題があったのかを分析。「クライアントのゴールを確認することが重要」という Tips を得られたと語ります。

つまり広告代理店の立場からすると、効果的な広告には予算を充当すべきだと考えるものの、広告主は事業の目的に向かってさまざまなチャネルを持っており、「広告以外の施策も含めて優先順位を決めているというところまで視野を広げるべきだった」と上林。クライアントとのコミュニケーションを通していま何が重要なのかを見極めることが重要であり、それに基づいた提案が信頼関係につながるという点を強調しました。まさに、代理店だけでなく広告を出稿する立場も経験している上林ならではの Tips といえるでしょう。

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続けて各パネリストが、実際に自分たちが経験したチャレンジや失敗に基づいた Tips を披露。先入観の落とし穴やパートナー理解の重要性、より深く踏み込んだレビューの必要性など、具体的な学びが次々と提示されました。

高い視座から俯瞰する内容のセッションが多かったなかで、現場の生の声を聞けた本セッションは、参加していた多くの若手広告関係者にとって非常に有益な場になったのではないでしょうか。

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マイクロソフトブース レポート

広告の未来を体感できるMicrosoft 広告ブース

日本マイクロソフトが出展したブースでは、同社が提供する広告サービス「Microsoft 広告」に関する各種ミニセッションや生成AIアシスタント“Microsoft Copilot”(以下Copilot)のデモンストレーションを実施。広告主やパートナー、パブリッシャーに向けたさまざまな広告ソリューションの提案が行われ、多くの来場者が訪れました。

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Microsoft 広告は、検索、ネイティブ、ディスプレイ、ビデオ広告およびリテール メディアを含む、フルファネルで高精度な広告ソリューションを通じて、仕事や日常生活のあらゆる場面で消費者にリーチすることが可能です。日本では2022 年から本格展開されており、ブースで開催されたミニセッションでは、Microsoft 広告のサービス概要や需要期に向けたインサイトの提供に加えて、Copilot の活用方法の紹介、さらに今後リリースが予定されている新たなメディアプロダクトの紹介やゲストスピーカーを交えてのトークセッションなどが行われました。

また、ブースには 4 台の PC が用意され、Copilotのデモンストレーションや、マイクロソフトが提供するポイントプログラム“Microsoft Rewards”の案内などが行われました。来訪者は、Copilot によって生成された画像やテキストによる広告運用の最適化・自動化の流れを体験して、今後マーケターの仕事が大きく変化していくことを実感している様子でした。

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ミニステージ レポート

特別セッション

「リテールメディア市場とCriteoの戦略:グローバルから日本市場までの最新動向」

CRITEO株式会社

Head of Key Retailer & Brand, Solution Sales

松尾 友直 氏

Manager, Retail Media Account Strategist

Emily Jing Dai 氏

日本マイクロソフトブースのステージでは、Microsoft 広告のパートナーである Criteo 社によるミニセッションも開催されました。同社 Emily 氏によると、リテールメディアはグローバル市場では「デジタル広告の第3のウェーブ」として急成長を遂げているとのこと。一方日本市場については「米国のように検索、ソーシャルメディア、リテールメディアといったステップ バイ ステップではなく、並行して成長していく」と予測。今後日本でも大きな成長が期待されていることを強調しました。

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続いて登壇した松尾氏からは、Criteo のリテール メディア広告についての説明が行われました。同氏によると現在日本では、ウーバーイーツ、au PAY マーケット、サンドラッグ、ウエルシア.com などでの広告配信が可能で、グローバルでは 200 社以上の小売事業者と取り組んでいるとのこと。

松尾氏は、日本のリテールメディア普及における課題として、「規模の課題」と「分断化」の2 点を挙げ、同社のサービスによってデータを一元化し、ユーザーのインサイトを正確に把握、個別の購買体験を提供することでユーザーのエンゲージメントを高められるとして、今後戦略パートナーであるMicrosoft 広告と協力しながら、ユーザー中心のアプローチの実現を目指していく方針を示し、ミニセッションを終了しました。

2 日間を通して大盛況のうちに幕を閉じた ad:tech tokyo。さまざまな関連セッションや展開された各社ブースの展示には、広告に未来を感じるヒントがたくさん散りばめられていました。私たち日本マイクロソフトとしても、生成AIを活用した最先端のデジタル広告ソリューションを通じて、多くの広告主やパートナー企業の皆さまに最適な広告の場を提供し、ともに成長していきたいという思いを深めた 2 日間でした。

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流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社様向け AIトランスフォーメーションセミナー http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/11/21/retail_ai_transformation_seminar/ Thu, 21 Nov 2024 02:42:26 +0000 AIテクノロジーの普及により、流通業界でもDXの促進がますます重要性を増しています。ECの進化やインフレ、人手不足、顧客・従業員双方におけるデータ活用など、ビジネスを取り巻く課題にいち早く取り組むことが求められています。マイクロソフトでは流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社のお客様に向けたセミナーを開催。AIトランスフォーメーションによる変革の可能性について事例を交えてお伝えしました。セミナーの模様をダイジェストとしてお届けします。.

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※本ブログは、株式会社ロコガイドが運営する、「小売流通業界のリーダーに焦点を当てたメディア」である「リテール・リーダーズ」にて11月19日に公開された 流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社さま向け AIトランスフォーメーションセミナー採録 | リテール・リーダーズ の再掲です。

AI テクノロジーの普及により、流通業界でもDXの促進がますます重要性を増しています。ECの進化やインフレ、人手不足、顧客・従業員双方におけるデータ活用など、ビジネスを取り巻く課題にいち早く取り組むことが求められています。マイクロソフトでは流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社のお客様に向けたセミナーを開催。AI トランスフォーメーションによる変革の可能性について事例を交えてお伝えしました。セミナーの模様をダイジェストとしてお届けします。

ご挨拶

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日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 エンタープライズサービス事業部長

三上 智子

2022年11月に OpenAI社 の ChatGPT が登場してからもうすぐ2年。私たちの生活を大きく変えていく生成 AI のテクノロジーは、あらゆる個人や業務、組織、産業に関わりを持たせます。私自身「Microsoft Copilot」を英語で書いた文章の添削や調べ物に使っていますが、Web検索と比べ格段に効率的なのが分かります。外部調査によればすでに65%の組織が生成 AI を活用してビジネス価値を引き出そうとしており、その投資効果は利益率を3.5倍に押し上げるといった調査結果もあります。私たちは常にテクノロジーのアップデートを重ねながら、お客様に寄り添い、生成 AI を使ったビジネス変革をご支援していきたいと考えています。本日のセミナーが AI 変革のプロセスを学ぶ機会となることを願っています。

生成 AI 時代の流通業DX推進と国内最新事例の紹介

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マイクロソフトコーポレーション リテール&コンシューマグッズ
日本インダストリーアドバイザ担当

藤井 創一

米国で本年1月に開催された全米小売業協会主催の NRF 24年には延べ4万人が参加し、「リテールメディア」「顧客体験の向上」「サプライチェーン強化」「従業員支援」などのテーマについて情報が共有され、議論がなされました。注目すべきは、それらの取組みにおけるAIの可能性が重要な論点となったことです、小売業のDXにおいて AI 活用検討が新たなフェーズに入ったという認識が NRF の参加者に広がったと感じます。

生成 AI が注目され始めた2023年時点で、「小売業者の今後2~3年の行動は今後20年間の成功を左右する可能性がある」とマッキンゼー・アンド・カンパニーは予測しています。流通業に関わる皆さまがDXへの取り組みを加速させている中で、私たちは「データによる新たな価値創出」「顧客エンゲージメントの向上」「リアルタイムなサプライチェーン」「従業員の業務効率化と働き方改革」などのビジネステーマに対して、信頼できるデジタル基盤と価値を提供していますが、現在、生成AI技術で大幅に強化された「Microsoft Cloud for Industry (Retail & Consumer Goods) 」の提供を開始しております。

ウォルマートのダグ・マクミロン CEOは、1月の CES2024 でマイクロソフトとAIの領域で協業することを発表し、生成AIを活用した新たな顧客向けサービスをリリースしました。例えばスマホ上のアプリで「アメフト観戦パーティの企画を手伝って」と尋ねれば適した商品の数々を提案してくれます。また、先ごろWeb記事で公開されていましたが、8億5千万に上る商品マスタのメンテナンス作業を、生成 AI によって従来比100倍に効率化する取組みなども進めているとのことで、広範かつ重要実務領域での活用を進めています。Consumer Goodsの領域でも、米国ユニリーバさまでは、R&D部門で生成 AI を使ったシミュレーションで基礎研究を効率化し、迅速な商品開発とマーケットインにつなげています。

これ以外にも多くの企業様に、私たちの方向性と技術にご賛同いただき、ともに取組みを進めさせていただいております。アジア圏の流通業においては、2023年の第3四半期から2024年の第1四半期にかけて私たちのお客様の60%が生成AIを採用し、そのユースケース数も200%に増加しました。

日本でもこうした取組みは加速しています。イオンさまはECでの商品情報コンテンツをAIの支援で生成し、2倍のPV実績を得たという実証実験結果など公開いただきました。日清食品ホールディングスさまでは、全社戦略として生成AIの活用を社員に動機付け、現場を巻き込んだマーケティングや営業生産性の革新を進められているのです。

一方で、生成AIテクノロジーの日進月歩、驚異的なスピードでアップデートされます。GPT-4に対して GPT-4o は12分の1のコストで6倍のスピードを実現しています。さらに GPT-4o はマルチモーダルなAI能力を有しており、この画像識別・自然言語会話能力をECに実装することで、ECを訪れた顧客は画面を通してあたかも本当のコンシェルジュに接客されているかのような、衝撃的な顧客体験を提供できるまでになってきています。 このように流通業のビジネスにインパクトをあたえるほどのテクノロジーが爆速で進化する中で、マイクロソフトでは信頼できるデジタル基盤と価値提供を通じて、流通業のお客さまと「異次元の密連携」を取りながら伴走支援をさせていただくことが、重要になってくると考えています。

海外の最新 AI 活用事例のご紹介

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マイクロソフトコーポレーション

Asia AI Global Blackbelt  テクニカルスペシャリスト

大森 彩子

2024年以降の生成 AI のトレンドに「マルチモーダルモデル」があります。テキスト以外の音声や画像、動画といった素材を入出力に利用でき、その活用によってさまざまなソリューションを生み出すことができます。より少ないパラメーター数で動作が可能な SLM(Small Language Model)や軽量でインターネット接続なしに利用可能なオンデバイスモデルの開発も進み、PCやスマホなどエッジデバイスに載せられる小さな生成AIが登場しているのも最近の特徴です。具体的にGTP-4Oを通じて、どのようなソリューションができるのかご紹介していきます。

マルチモーダルの特徴に画像化されている情報の理解があります。例えば、ゴミの分別といったワークフローが書かれた図を読み込ませば質問に応じて正しい処理の仕方を答えてくれます。不動産での住居の間取り図面なら、適した入居者像を提案してくれます。画像化された数学の問題も答えが返ってきます。

音声ならコールセンターで問い合わせを受けた内容について、簡単に文字起こしをして個人情報を削除しながら要約するといったソリューションを構築することが可能です。動画を素材に用いたサービスなら、最近利用可能になったサービスとして「Azure AI Speech」によるビデオ翻訳があります。 例えば、私が日本語で話す動画があります。この素材を読み込ませれば自動で多言語にしてくれるというものです、しかも、私の声色で流ちょうに話してくれます。音声と動画を組み合わせればアバターによる接客にも応用できます。

小売業で活用される生成 AI を整理すると「言語理解」「コンテンツ生成」「分析」「自動化」の4つの機能が想定されます。中国のファストファッションブランドであるSHINE(シーン)は2022年頃よりマイクロソフトの AI プラットフォームを活用しています。いまや社員の誰もが使えるような状況になっています。「コンテンツ生成」なら新商品への説明文の作成やSNS向けの画像生成、「言語理解」なら顧客向けのチャットボットといった活用のほか、カタログ作りや販売分析のナレッジとして幅広く活用されています。デジタルガジェットのANKER(アンカー)では、宣伝コピーを生成AIで作成し、ABテストを繰り返しながら改善を続けています。

生成AIが顧客に直接触れるコンテンツやコミュニケーションに活用される機会が増えています。フル活用をするためにも素材となるデータの整備が急がれます。

総合商社様における生成 AI 活用事例

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MC Digital 株式会社

プロダクト部門

プロダクトマネージャー

青木 千隼氏 

弊社は三菱商事の100%子会社で、三菱商事様を起点として様々な産業とつながりがあります。今回は三菱商事様での生成AI活用事例を4つご紹介します。

1つめは「社内規程の確認」です。三菱商事様では会社全体の規程に加え、営業グループごとの規程もあり、量が膨大なため確認作業に時間がかかるなど、効率化が望まれていました。

生成AIを活用したChatbotの構築により、必要な社内規程の検索と自動回答が可能になりました。回答の根拠となる社内規程を生成 AI が活用可能な状態に変換・格納するだけで運用可能です。業務効率が60%改善され、「探索する手間が大幅に減った」「参照箇所を共に表示してくれるので情報の信頼性が高い」といった声をいただいています。

2つめは「議事録の自動作成」です。ある調査によると、議事録作成には平均で週6時間強の時間が費やされる業務です。さらに三菱商事様では、膨大な数の打ち合わせを抱える社員が多く、議事録作成に費やす時間の確保が困難でした。議事録作成を自動化する際には、「会議内容のテキスト化」と「議事録作成」の2つのAIを適切に組み合わせることで、人間が作成するクオリティの議事録を実現する必要があります。弊社の議事録サービスを導入することで、構造が論理的に整理された議事録が作成できるようになりました。

また、生成 AI を活用した議事録作成は、話していない内容を作文してしまう課題があります。そこで、議事録の内容と文字起こしを紐付ける「エビデンス確認機能」を活用することで、議事録の仕上げにかかる工数を効率化しています。約1時間の会議であればアップロードから10分程度で記事録が完了し、90%減の業務効果となり、「信頼性の高い議事録を作れる」とご好評いただいています。

3つめは「デスクトップリサーチからの資料作成」です。通常は、検索して該当ページを探したのち、ポイントを抽出・要約し、図表やテキストを整理して資料作成を行う必要があります。

なお、デスクトップリサーチに生成 AI を適用する上で最も課題となるのが「学習データ期間」で、学習データ期間外の最新情報を用いた回答生成ができません。そこで、web検索の連動により、最新かつエビデンシャルな情報を用いた資料作成が可能になりました。25%減の業務効率が図れ、「情報の鮮度がよく信頼性も高い」という感想をいただいています。また、検索クエリ自体を生成AIに任せられるところも好評でした。以上は汎用プロダクトを活用した業務効率化支援です。

4つめは、三菱商事様と共同で事業会社様に伴走して、アプリケーションを構築した事例をご紹介します。具体的には「資料検索からタスク遂行」です。ビジネスでは各種文書ファイルが存在し、その中から情報を探して閲覧・分析し、タスク遂行を行います。ただしファイル数は日々増加し、探索する工数が増えるという課題があります。

そこでAIに問いかけるだけで必要な文書を容易に探索でき、またタスク遂行の効率化を実現しました。裏付けデータを引用した文書の探索などにより、資料探索の結果をタスク遂行に活かすことが可能です。約20%の工数削減効果となり、「シンプルかつスピード感のある検索ができる」といったお声をいただいています。 生成 AI の社内利活用を進める上で重要なのは、スキルとマインドの両方からのアプローチです。スキル面では生成AI技術の理解と具体的な活用方法の習得が求められます。マインド面は生成 AI を業務に用いる意識改革です。この2つのアプローチにより、業務効率化の加速に繋がると考えています。

AI 時代のデータ活用戦略・成功事例と未来の展望

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株式会社 サンリオ

ブランド管理本部 データ・テクノロジー推進室

大畑 正利氏

総務省のデータによると、日本企業がDXを進める上での最大の課題は「人材不足」です。一方でDXの進展度が高くなるほど売上が増加します。DXに取り組む企業が米国並みに増えれば、製造業で約23兆円、非製造業で約45兆円もの売上押し上げ効果が推計されています。

DXの中でもデータ活用についてレベル分けすると、レベル1が「現状把握(データ集計・可視化)」、レベル2が「過去事象の関係性把握」、レベル3が「AIを用いた未来の事象の予測」です。このレベルを上げるヒントがサンリオの取り組みに含まれています。

データ活用における組織的な取り組みについてご説明します。まず、データドリブンの企業を目指し、データサイエンス課(現データ・テクノロジー推進室)を創設しました。効果として、相談しやすい環境が整備され、各部署のナースコール的な存在となりました。さらにデータ分析やノウハウの蓄積・共有が進み、全社横断的なデータ活用支援ができるようになりました。

次に、学習環境の整備として動画学習プラットフォームを導入しました。会社側が学習ツールを提供することで、データ活用を始めたい従業員のモチベーションが高まります。利用ガイドラインを整備することで、従業員は安心してAIを利用することができます。

また、各部門の目標設定として、活動目標の中にデータ活用の要素を盛り込みました。推進チームの支援を受けることで、各部門は舗装された道を進むようにスムーズにデータ活用に取り組むことができます。

ここからは、推進チームの取り組みを3つご紹介します。1つめは「データの可視化」です。見るべき指標の定義やデータソースの用意や収集、データ前処理など、データ可視化までの全体を整備していくことが重要です。なぜならば、データをダッシュボードに集約しただけでは解決しない課題があるためです。例えば、部署で指標の定義が異なる、必要とする粒度・頻度でデータが取得できていない等。AI 活用の事例をひとつ紹介します。本部の商品発注担当者は、データの収集、過去動向の読み取り、今後の見立て、発注数を算出していましたが、業務量が多く、属人化などの課題がありました。そこで発注を補助するAIを導入し、データ収集から過去のトレンドの数値化、季節変動指数の算出、今後の残在庫数の予測までをAIが行うようになりました。SKUごとの今後の在庫不足数と重要度、アラートの一覧を担当者が確認するなどして、発注単位の決定が可能となりました。発注業務工数は80%削減され、発注基準も標準化されて脱属人化に成功しています。

2つめは「データ活用の定着化」です。データ活用を定着させるには業務への組み込みが重要です。業務のうち、意思決定において、情報収集、解決策の比較・選択、意思決定の見直しのプロセスは、データ活用が組み込めます。またデータは仮説思考で見る必要があります。課題に対して仮説を構築し、データを用いて仮説を検証する、データから示唆や発見を見つけて仮説を更新するといった形で進めていきます。

3つめは「スケーラブルな業務設計」です。推進チームがより多くのデータ活用支援を行うためには、手離れがよい業務設計をしなければなりません。そのため推進チームでは、データ加工やデータ連携の自動化ツールを積極的に採用しています。

弊社の今後の展望は「データ整備の推進」です。データを最新の状態に保ち、分類してメタデータを付与することで、AI が扱いやすいように整備することが重要です。

AI / データ活用に向けたITガバナンスの強化とDX

a person speaking into a microphone

日本マイクロソフト株式会社

チーフセキュリティーオフィサー

河野 省二

私からはビジネスで AI を使っていただくための準備について、お話をします。まず、確認したいのは AI を利用する目的です。セキュリティ運用に関する AI 活用について利用者の評価をまとめました。

1つは作業時間の短縮です。熟練者と初心者を問わず、4分の1程度圧縮できています。4時間の作業で1時間できる計算です。ある自治体では、月額4000円ほどの「Microsoft Copilot」法人版が導入できる採算を1日7分ほどの残業時間の圧縮と捉えていました。例えば、生成 AI でセキュリティのルーティンワークを自動化できるようになれば、その間にレポート作成といった別の仕事ができます。いわばデジタルツインの発想で仕事が2倍できる計算です。

2つ目は業務精度です。熟練者7%、初心者の35%が向上したと評価しています。実はセキュリティに関しては活躍する場面が少なくなっているのが現状です。それというのもマイクロソフトの製品は、無料のOne Dreiveを含めセキュリティソリューションが自動化され、仮に事故が起きても3分から5分でシャットダウンがかけられ修復されてしまいます。

3つ目がポイントで、Copilotを繰り返し利用したいという回答は熟練者初心者ともに9割を超えています。セキュリティの業務というのは、めったに事故が起きない分、経験を重ねるのが難しく、人材育成が課題となっています。例えば、疑似的な事故に対して自分で仮説を組んで、その影響を生成 AI で調べていけば、どういった対処が適切であったのかシミュレーションすることができます。

生成AIを機能させるのは良質なデータを集めてくることが肝要だと語られます。ここではお客様対応の生成 AI 活用を例に考えます。従来はFAQデータベースに紐づいたChatbotが存在していたとします。もっと柔軟な対応を目指してChat AI を導入する際、心配されるのはハルシネーションです。Copilotも複雑な質問であるほど、毎回、少しずつ違う答えが返ってきます。そこで検討したいのはFAQデータベースに何を載せるかをChat AI に手伝わせることです。例えば、Chatbotで分かりにくいと利用者が評価した回答を、自社内のデータベースを使って再構成するといった仕事をさせる。これは生成 AI が得意な領域です。

つまりデータソースとなる組織の膨大なナレッジ(BI)を充実させていくことが求められるわけで、そこには業務のDXが必須であり、業務でのやりとりのすべてをデジタルで蓄積できるシステムの構築が求められます。それによって初めて一元管理によるリアルタイムガバナンスも実現できると言えます。

すでにWindows10以降、マイクロソフトのアプリケーションで操作したデータはメタデータが裏側に紐づいています。他社のSNSなどのデータを組み込むこともできます。これをGraph(グラフ)データベースと読んでいます。従来、Graphデータベースを解析するにはBIツールを用いデータアナリストによる能動的な分析が必要でしたが、ここも AI のインタフェースに置き換わっています。AI インタフェースのスキルを活用するためにAIエンジンやAIモデルを使うという世界になってきています。

マイクロソフトのアカウントがあれば、Graphデータベースにアクセスすることができます。Graph Explorerというインタフェースをマイクロソフトは試験的に用意しています。会社のアクセス権の設定に応じて閲覧が可能です。REST APIでデータを取得する方式で、プログラムに少し詳しい方であれば誰でも使えると思います。いつ誰がエクセル上で罫線を書いたかまで分かるのは、ソフトがフルAPIで起動しているからです。

Azure Fabricを活用したデータの一元化も可能です。Fabric OneLakeを用いれば、例えばAWSのS3にあるデータと連携することもできます。

これから生成 AI を活用したアプリ開発が広がっていくと思います。マイクロソフトの法務部門のトップであるブラッド・スミスは、自身の著書を通じてレシポンシブルAIの重要性に言及しています。いわく「ツールとして使えるけれど、武器としては使えない対策が必要だ」ということで、私たちも多くの方からフィードバックを受けてレシポンシブルAIのスタンダードをまとめていますので、ぜひ社内のガイドライン作りの参考にしていただきたいと思います。 Graphデータベースを整備し、ガバナンスを一元管理することは、働き方改革のみならずセキュリティの向上にも寄与すると考えています。


関連コンテンツのご紹介

2024年のリテール業界の最新情報を発信する「リテールトレンドWEEK 2024 Vol.5」が、2024年8月26日から8月30日まで開催されました。その収録動画はこちらで再公開いたします。

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【Day 1 日本マイクロソフト】Retail Unlocked~小売業におけるAIの潮流とマイクロソフトの取組~ 

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Retail Open Lab「AI 時代の流通業会のプラクティスと新たな展望」開催レポート  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/07/30/retail-open-lab-2024/ Tue, 30 Jul 2024 11:06:26 +0000 流通業界のお客さまやパートナー企業さまと伴走し、流通業の皆さまとともに DX  の推進を加速するために企画された 「Microsoft Retail Open Lab」。過去二回にわたって生成  AI  についてのさまざまな情報をお届けし、議論を深めてきましたが、6 月 21 日(金)の第三回でいよいよ最終回を迎えました。 

過去二回のテーマはそれぞれ「知る」「行う」。今回は「伝える」をテーマとして、生成 AI の活用実例や成功に導くための取り組みの紹介に焦点をあてて開催。業界向けパートナーソリューションや Microsoft技術の最新動向についてのセッションも組み込まれ、盛りだくさんの内容となりました。本稿ではその模様をレポートします。.

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セミナー風景

流通業界のお客さまやパートナー企業さまと伴走し、流通業の皆さまとともに DX  の推進を加速するために企画された 「Microsoft Retail Open Lab」。過去二回にわたって生成  AI  についてのさまざまな情報をお届けし、議論を深めてきましたが、6 月 21 日(金)の第三回でいよいよ最終回を迎えました。 

過去二回のテーマはそれぞれ「知る」「行う」。今回は「伝える」をテーマとして、生成 AI の活用実例や成功に導くための取り組みの紹介に焦点をあてて開催。業界向けパートナーソリューションや Microsoft技術の最新動向についてのセッションも組み込まれ、盛りだくさんの内容となりました。本稿ではその模様をレポートします。 


基調講演 

「生成 AI と流通・小売業の未来」 

株式会社セブン & アイ ・ ホールディングス  伏見 一茂 氏 

株式会社セブン & アイ ・ ホールディングス 
グループ DX 本部 デジタル イノベーション部 シニア オフィサー 
伏見 一茂 氏 

日本マイクロソフト株式会社 三上 智子 

日本マイクロソフト株式会社 
執行役員 常務エンタープライズ サービス事業本部長 
三上 智子 

基調講演は、セブン & アイ ・ ホールディングス伏見氏による講演と、伏見氏と日本マイクロソフト三上とのパネル ディスカッションという形式で展開されました。 

伏見氏は講演の冒頭で、同社が掲げる「生成 AI ファースト」というテーマについて説明。これは、既存および新規のすべての業務において、「まず生成 AI を使ってみたらどうなるかを考える」という方針です。 

これまでの DX 推進においては、基本的にシステム担当部署など専門家の力を借りる必要があり、それが障壁となる場合も多かったと伏見氏。生成 AI の登場によって「誰もが独力で DX を進められる時代になった」と、その可能性に大きな期待を寄せていると語ります。 

同社では生成 AI の活用に向けて「人財の育成」「環境の整備」「知見の集積・コミュニティ化」の 3 つの柱を設定しています。なかでも、一般的な資格取得などと比べて習得が早く有効性が高いことから、グループを挙げた生成AI人財育成の取り組みを進めているそうです。 

同社の人材育成施策では、マイクロソフトのエバンジェリスト西脇による生成 AI概論研修と、社内で実施する生成 AI プロンプト研修を組み合わせた独自のプログラムを展開。伏見氏によると、これらの研修によって社内の雰囲気は大きく変わり、受講者の 98 % が「生成 AI の理解が深まった」と回答し、なんと 100 %の 受講者が「自分の業務に生成 AI を活用したい」と答えたといいます。 

また、生成 AI の活用を一過性のブームで終わらせないため、定例会やMicrosoft Teams  のチャットグループ、SharePoint の社内ポータル サイトなどを通してコミュニティ形成と知見の共有にも力を入れています。「取り組みを始めてまだ 1 年も経っていませんが、加速度的に生成 AI の活用が広まっています」と伏見氏。引き続き行われた三上とのパネル ディスカッションにてその具体的な事例が紹介されました。 

パネルディスカッション風景1

パネル ディスカッションでは、まず三上から経営陣のコミットメントとカルチャーづくりについて質問が投げかけられました。伏見氏は、「小さな事例づくりから始めて、その成果を経営陣にアピールすることで理解を深めていった」と明かします。その背景には、以前からデジタル部門以外でもデジタルを使えるようにするという全社的な方針があったそうです。 

その具体的な例として「DX アンバサダー制度」を挙げる伏見氏。これは各部門から選抜された社員が DX を学び、知識を部門に持ち帰る仕組みです。伏見氏によると、こういった土壌があったからこそ、生成 AI の導入もスムーズに進んだとのことです。 

続いての話題は、マーケティング部門での生成 AI 活用事例について。伏見氏によると、ポップアップ広告のテキストを生成 AI で作成したところ、予想に反してクリック率が下がってしまったものの、「生成 AI ファースト」の方針によって諦めずに改善を重ねた結果、「人間が考えた文言プラス生成 AI が生成した文言」のハイブリッドで最も効果が上がることがわかったそうです。 

三上はこの事例について、生成 AI ファーストの成果であり、かつ「全部を AIがやるのではなく、使いこなすのは人間であって、それをサポートするのが AI」というMicrosoftの「Copilot」の考え方と一致すると評価。ふたりは、人間と AI の協調が重要であるという点で意見を一致させていました。 

続いての話題は人財教育について。三上は、今後は業務における要件定義力や生成 AI との会話力が必要になってくるとし、社内に生成 AI を学ぶ機運を広める重要性を指摘します。伏見氏は、ナレッジの蓄積、モチベーションの維持という観点で、同社では生成 AI コミュニティが重要な働きを示していると返答しました。 

そして伏見氏は、自分が所属する部門における業務課題を理解し、生成 AI の活用の可能性を見出すエバンジェリストの重要性を強調。「生成 AI を使うとこういうことができるんじゃないかという、ある一定の翻訳をしてくれる」人財の育成が、全社的な活用推進に不可欠だと説明しました。 

最後に伏見氏は、楽しみながら生成 AI を活用することの重要性を強調。三上も「生成 AI 活用の持続可能性を高めるためのキーポイントは楽しむこと」と同意して、パネルディスカッションは終了となりました。 

伏見氏は、同社の取り組みはまだ始まったばかりであると述べつつ、「業界を挙げて事例の共有ができれば」と、業界全体での取り組みを推進することへの期待を表明して、基調講演を終了しました。 


業界別 AI 取組紹介 

1. サービス業

「従業員の問題解決をサポートする AI 実現に向けて」 

イオンディライト株式会社  秋田 圭太 氏 

イオンディライト株式会社  
執行役員 IT 責任者 
秋田 圭太 氏 

イオンディライトの秋田氏からは、若手社員のアイデアから生まれた「AI マネージャー」の開発経緯とその意義についての解説が行われました。 

AI マネージャー開発のきっかけとなったのは、Microsoft 365 の導入だったと秋田氏。サイロ化したシステムやセキュリティ対策、ファイル サーバーの一本化など、今後の DX を見据えた大刷新だったと語ります。 

この動きと並行して社内では、若手社員がさまざまなアイデアを創出するプロジェクトも進められていました。そこで発表されたのが、誰もが即時に不明点を解消するための生成 AI の活用企画でした。 

秋田氏によると、「社内の誰に聞けばよいのか分からない」「社内システムのどこに欲しい情報があるかわからない」といった問題を解決するため、「いつでも即座に質問できる環境の整備が必要」という提起があったそうです。 

実はこのとき、日本マイクロソフトのエバンジェリスト西脇による啓蒙に触れた同社 IT 部門のなかで、生成 AI 活用の機運が高まっていたとのこと。秋田氏は「AI マネージャーのアイデアが提案されたタイミングとうまくつながって、スピード感を持った開発を展開できました」と明かします。 

開発は、「現場に 1 日でも早く使ってもらうこと」を最優先事項として、アジャイル型の開発で 3 つのステップに分けて進められました。 

まずステップ 1 では、社内規定や業務マニュアルに基づいた回答をする機能を、着手から 2.5 ヶ 月でリリース。ステップ 2 では業務システムのデータからも回答を導き出せるように機能を拡充し、ステップ 1 で課題となっていた、表形式の資料の回答精度が悪かった点の解決に取り組みました。そしてステップ 3 では、参照データにインターネット上の情報を加えることで利便性の向上を図り、スマートフォンへの最適化も行いました。 

秋田氏によると、AI マネージャーには引用資料が表示される機能があるため情報の正誤を確認可能で、最下部に質問欄が設けることで自然言語による検索方法に馴染むUIが採用されています。さらに、質問数に応じて画面に配された樹木が成長するギミックを搭載。誰にとっても使いやすく、継続的に活用したくなる工夫が施されています。 

導入効果としては、ステップ 1 から 3 にかけて月間の質問回数は 2.3 倍に向上しており、疑問解消にかかる時間は 617 時間の削減が想定されているとのこと。今後は「データが業務を支援してくれる未来」を目指したいと秋田氏。最後に「回答精度を高めていくためにもまずは、生成 AI に気軽に触れられる環境を整備する重要性」を強調してセッションを終了しました。 


2.流通・小売業

「花王のチャレンジ〜生成AIをビジネスに活かすための人財教育と仕組みづくり〜」  

花王株式会社 桑原 裕史 氏 
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花王株式会社 
DX戦略部門 DX戦略デザインセンター センター長 
桑原 裕史 氏 

花王は、中期経営計画達成のためのエンジンは「人」であるとして、DX 人財への投資を進めています。その取り組みの一環として同社では、2024 年度から全社向けの DX 教育「DX アドベンチャープログラム」を開始しました。 

このプログラムは 3 つの階層と 5 つのレベルに分かれており、社員のスキルレベルに応じた教育を提供しています。 

「DX 理解者レベル」では、外部のオンライン学習システムを活用して個人のスキル診断に基づく学習プランを提供。その上の「部門 DX 推進者レベル」では、各部門の特性に応じたプログラムを提供しています。そして「全社 DX リーダーレベル」では、プロジェクトベースの学習やOJTなど、より実践的な教育を通じた高度な DX スキルの習得を目指しています。 

また、部門 DX 推進者レベルが対象となる「Kao AI Academy」は、生成 AI 時代に対応する人財育成を目的としています。 

全社員を対象とする「フレンドコース」では、生成AIの基礎知識と ChatGPT の使い方を学び、より高度なマスターコースでは、日本マイクロソフトのサポートのもとでプロンプトエンジニアリングやMicrosoft Copilot の活用方法を学びます。 

特筆すべきは、社長自らがビデオメッセージを通じて AI 技術の重要性と潜在的リスクについて語りかけるなど、トップダウンでの推進を行っている点です。桑原氏は「トップからの巻き込み方がないとなかなかうまくいかない」と、経営層の関与の重要性を強調しました。 

続いて桑原氏は、生成AI活用に向けてデータの整備が必要不可欠になるとの見解を示し、それを使いこなす人財の重要性を改めて強調。現在同社では、データを活用して現場の課題を自ら解決できる「シチズンディベロッパー」の育成に注力しています。 

シチズンディベロッパーは、Microsoft PowerBI や Microsoft PowerApps などのローコードツールを活用して、情報システムの専門家が手をつけにくい、現場の課題に即した解決策を開発する役割を期待されています。彼らが開発した業務アプリは共有サイトを介して社内に展開され、年に 2 回開催される「シチズンディベロッパー EXPO」では優れた事例への表彰も行われているそうです。 

また同社では、2018 年からデータレイクの構築を進め、社内データの統合と活用を推進。「今後は生成 AI を活用することで、さらにさまざまな活用方法を模索できる」と期待を語ります。 

最後に桑原氏は改めて「DX は人」であると強調。社内に DX 人財を増やしてともに DX を進めていくことで中期経営計画の目標を達成したいと語り、セッションを終了しました。 


「ソフトバンクによる生成 AI の取組と導入事例紹介」 

ソフトバンク株式会社 森 五月 氏 

ソフトバンク株式会社 
法人プロダクト&事業戦略本部 
クラウド技術企画統括部 クラウド技術企画2部 部長 
森 五月 氏 

アルフレッサ株式会社 寺野 準也 氏 

アルフレッサ株式会社 
コーポレート本部 経営管理部経営管理グループ
寺野 準也 氏 

本セッションでは、日本マイクロソフトのパートナーであるソフトバンクの生成 AI 関連ソリューションと、同社ソリューションの導入企業であるアルフレッサの取り組みについて語られました。 

まず登壇した森氏は、ソフトバンクでは流通小売業のバリュー チェーンのそれぞれの場面で提供可能なソリューションを展開していることを提示。同社が展開する生成 AI 関連サービスは「人材開発」「データ構造化」「プラットフォーム」の 3 つに分けられ、「ソフトバンクのソリューションの強みは、これらのサービスを統合的に提供できる点にあります」と、包括的なサポート体制を強調しました。 

さらに森氏は実践的な活用例も紹介。日本マイクロソフトと協力して自社のコール センターに最新の生成 AI を導入、対応の質と生産性の向上を図っていることを説明しました。また、アイリス オーヤマでの活用例として、POS データの分析や標準化に生成 AI を活用する取り組みを支援していることを明らかにしました。 

社内における生成AI活用のイメージ

ここからアルフレッサの寺野氏が登壇。同社における生成 AI 導入の取り組みと、ソフトバンクとのパートナーシップについて解説しました。 

医薬品卸業を展開するアルフレッサは、業務改革プロジェクト(BPR)の一環として生成 AI の導入を決定し、独自の AI アシスタント「Owl-One」を開発しました。 

寺野氏によると、BPR プロジェクトを進める過程で、社内の問い合わせ対応に多大な時間が費やされていることが判明。従来のチャットボットでは回答用データの制限やシナリオ作成の煩雑さなどの課題があり、導入に踏み切れていなかったといいます。 

「ですが、ChatGPT の登場によって潮目が変わりました」と寺野氏。生成 AIを用いた社内問い合わせツールの導入に道が開けたことを示唆します。 

ツールの開発にあたっては「進化のスピードが凄まじい生成 AI の激流に飛び込むよりは、強力なパートナーに伴走してもらったほうがいい」という判断から、ソフトバンクが選定されました。選定理由として寺野氏は、「クローズドでセキュアな環境」「既存グループ ウェアである Microsoft 365 との親和性」「精度向上などの長期的な課題に対する伴走体制」を挙げ、決め手となったのは「ソフトバンクの凄まじい熱量」だったことを明かしました。 

こうして開発された「Owl-One」は、社内情報と一般的な質問の両方に対応可能な AI アシスタントです。導入からの 1ヶ 月間で約 1700 名が利用しており、約 7 割が期待以上の評価をしているとのこと。現在は、回答可能な社内データの範囲拡大や精度の向上を目指して、Azure AI Document Intelligence や ChatGPT-4o の導入などを推進しているそうです。 

寺野氏は、今後は生成 AI の浸透によって企業間の差別化がより困難になるため、人への依存度が高まるはずという予測を示し、「生成 AI によって付加価値を生める人材の育成や企業となり、持続的な成長を目指していきたい」と語って話を締めくくりました。 

今後の展開のイメージ

セッションの最後に、数ある生成 AI の活用シーンのなかから、社内問い合わせへの対応に最初に着手した理由を森氏から問われた寺野氏は、「生成 AI を使って何かしなければ、というよりは、課題に対応できるツールとして生成 AI を選んだ」と回答。生成 AI ありきではなく、課題に対してどんなツールを使うかを考えることが重要であることを示唆して、セッションは終了となりました。 


「生成AI時代の流通業DX促進に向けたご支援策」 

マイクロソフトコーポレーション 藤井 創一 
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マイクロソフトコーポレーション 
リテール&コンシューマグッズ 日本担当 インダストリー アドバイザ 
藤井 創一 

まず藤井は、シンガポールで開催された「NRF 2024 ASIA PACIFIC」の振り返りを行いました。この国際的な流通業界の展示会は、アジアで初めて開催されたという点で大きな注目を集め、日本からも多くの流通業者が参加していたそうです。 

NRF 2024 ASIA PACIFIC はカンファレンスとエキスポで構成されており、エキスポ セクションで印象的だったのはイオンのブースだったとのこと。イオンは「同社が考える2030年の小売業の姿を踏まえて、消費者や従業員の体験を向上するためのテクノロジーを磨いていく」というアプローチを示しており、そこには「アジア地域でビジネスを展開していくにあたっての同社のビジョン」が見られた、と藤井は感想を述べました。 

NRF 2024 ASIA PACIFICのキーワード

またカンファレンスセッションから受けた印象として、多様なアジアの市場を背景に「顧客中心主義」という共通のテーマがあり、そのためのデータ活用、さらには AIの有用性認識、という流れが見られた、と藤井。これはニューヨークで行われた NRF 2024 とも共通するテーマだったと総括し、世界の流通業界におけるデータと AI への注目度の高さを強調しました。 

そして藤井は、マイクロソフトは「Retail Unlocked」をキーメッセージに掲げ、信頼できるデジタル基盤と価値の提供を通して流通業を支えていくという姿勢をアピール。その取り組みの成果として、Walmartとの生成AIでの協力関係、顧客体験向上アプリと従業員の業務効率化アプリを紹介、さらにアジアにおける生成 AI 活用事例として Lazada と Myntra の生成 AI によるカンバセーショナルなオンライン顧客体験革新事例を紹介しました。 

graphical user interface, website

藤井は各国市場特性によって多少の違いは見られるものの、社内 DX 以外のコア事業領域で、生成 AIが活用され始めていると分析。昨年の第 4 四半期から今年の第 1 四半期で、アジア圏流通業での生成AI採用企業は 60 % を超えており、ユース ケース検討数も200%増加し、過去にないすスピードで採用や検討が加速しているというデータを示しました。

続いて藤井は、Microsoft の一部の最新技術動向を紹介しました。5月に開催されたMicrosoft Build 2024 において、マイクロソフトは「Microsoft Copilot」「Copilot+PC」「Copilot stack」という 3 つの柱を発表しています。藤井は、マイクロソフトは、単一のAIモデルを推奨するのではなく、利用者の環境や目的に応じて、SLM(Small Language Model)やNTT データの日本語LLMなど多彩なAIモデルを最適に選択できるようにすることを説明し、さらにChatGPTなどの先進モデルなどではマルチ モーダル AI へ の進化の流れの中で新たなオンライン消費体験を創造可能となっていることも事例を通じて示しました。

graphical user interface

藤井はここで NRF2024 では生成 AIのトレンドは理解したが、実際にどのようにの取り組んでいくのか悩む企業からの相談が多かったことを明かし、DX を通じた事業成果達成に不可欠な顧客や現場で働く従業員、経営者を巻き込み、、新たなステップに進めるのではないか、という見解を示しました。

一方で、DX の取り組みスピードと、AIの急速な進化にギャップが発生する可能性を、基盤テクノロジー提供サイドとして危惧していることを明かし、 今まで以上に流通企業と IT 企業が密連携することが必要であること、マイロソフトは「異次元な伴走支援」を提供することを強調。「AI 時代の DX をともに推進させていただきたい」と訴えかけてセッションを終了しました。


パネル ディスカッション 

「AI 時代のマーケティングの今、そしてこれから」 

Strategy Partners 西口 一希 氏 

Wisdom Evolution Company 
代表取締役 
Strategy Partners 
代表取締役 
西口 一希 氏 

日本マイクロソフト株式会社  河上 久子 

日本マイクロソフト株式会社 
業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長 
河上 久子 

日本マイクロソフト株式会社 
 岡田 義史 

日本マイクロソフト株式会社 
流通サービス営業統括 インダストリー テック ストラテジスト 
岡田 義史 

最後のセッションは、さまざまな業界でマーケティングや経営に携わり、数多くの成功例を間近で見てきた Wisdom Evolution Company、Strategy Partners 西口氏をゲストに招き、日本マイクロソフト河上がファシリテーター、岡田がパネリストとして登壇。流通小売業界におけるデータと AI 活用についての議論が展開されました。

河上から「いまのマーケティングのあり方や流通小売業界の動きに対する問題提起や課題感」について見解を求められた西口氏は、「内部を知っているわけではないのであくまで全体を見ながら」という前提で、2000 年代初頭に P & G に在籍していたときと印象は変わっていない、と回答しました。

同氏によると、当時から Walmart などの先進企業ではデータに基づくマーケティングが行われていたものの、日本ではデータを有効に活動できている企業はあまり見られなかったそうです。その後日本でもデータ活用の動きは進んでいるものの、まだデータの付き合わせなどは遅れている印象、という見解を示しました。

この見解に対して、河上はデータを組み合わせることでどのように顧客にリーチできるかを質問。西口氏は、「結局、お客さんを理解するしかない」と述べ、目先の売上などの数値だけを見るのではなく、「自分たちのサービスと顧客ニーズとの間に価値を生み出そうとする姿勢」が重要であることを示唆しました。 データの重要性を踏まえて、生成 AI 分野における Microsoft の取り組みについて問われた岡田は、伊藤忠商事の事例を紹介。同社の「FOODATA」は、Microsoft Fabric、Azure AI Studio、Azure OpenAI Service を活用してさまざまなデータを蓄積・可視化し、市場分析やコンセプト策定などの検証を行うことができます。岡田はこの事例のように「AI の進化によってこれまで不可能だったことが少しずつできるようになっている」という見解を示しました。

graphical user interface

続いて河上は、日本の現場重視のカルチャーのなかで、生成 AI などの新しい取り組みをどう進めるべきか、西口氏に意見を求めました。

西口氏は「経営者として常に自分が心がけていること」として、短期的な売上と長期的な利益のバランスを取ることの重要性を強調しました。そして同氏は、自身が感じている AI のポテンシャルとして「なんでもかんでも、ぶちこんだものにロジックを見出すことができる」点を挙げ、3 年間程度の累計売り上げや ID ベースの POS があるのであれば、それを AI で分析して顧客のロイヤリティや購買傾向を分析することを提案しました。

さらに西口氏は、機会損失率という KPI の設定を提案。品切れは大いなる機会損失であるとし、時間単位の売上データと在庫データを組み合わせて AI で分析し、品切れ問題に対処する方法を示しました。西口氏は「自分がもしまた小売を担当したら、これはやりたいと思っています」と、これらの分析を通じてロイヤル カスタマーの維持と新規顧客獲得のバランスを取ることが重要であることを示唆しました。

最後に河上は、西口氏の提言を受けての Microsoft としての意気込みを岡田に促しました。岡田は「まずはお客さまとお話しをしたいと思います。一歩ずつ、一緒にやっていきましょう」と参加者に語りかけ、Microsoft の持つアセットを活用しながら流通小売業界に適した KPI や進め方をともに見出していく意向を表明しました。 これを受けて河上も「皆さまと一緒に何ができるかを真剣に考えていきたいと思います」と会場参加者と配信視聴者に語りかけ、パネル ディスカッションを終了しました。

パネルディスカッション風景2
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全三回にわたって展開された Microsoft Retail Open Lab はこれにて一旦終了となりますが、第三回を終えてみて、急速な進化を続ける生成 AI 技術とそれに対する期待、そして課題に対応するためにも、継続的に情報共有の機会を設ける必要性を強く感じました。日本マイクロソフトはこれからも、さまざまな場面で流通小売業界の皆さまを支援し続けてまいります。 

The post Retail Open Lab「AI 時代の流通業会のプラクティスと新たな展望」開催レポート  appeared first on マイクロソフト業界別の記事.

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