金融サービス Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/author/ Thu, 28 Nov 2024 09:06:35 +0000 en-US hourly 1 AI の活用で金融サービス業界の変革を推進 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/11/25/accelerating-financial-services-transformation-with-ai/ Mon, 25 Nov 2024 10:03:14 +0000 ※本ブログは、米国時間 2024 年 10 月 24 日に公開された Accelerating financial services transformation with AI – Microsoft Industry Blogs (英語) の翻訳です。 生成 AI のパワーと豊富な業界データを組み合わせて活用することで、金融サービス業界の意思決定者は、重要なインサイトにすばやくアクセスし、より効率的に、的確な情報に基づいて意思決定を行えるようになります。 Microsoft Cloud for Financial Services これを実現するのが、Microsoft Cloud for Financial Services に追加された最新ソリューション Meeting Prep for Financial Services (プレビュー) です。マイクロソフトと LSEG (ロンドン証券取引所グループ) の長期にわたる戦略的パートナーシップから生まれたイノベーションであり、Microsoft Teams と Microsoft 365 Copilot 向けに構築、最適化されています。LSEG の次世代型データ & アナリティクス ワークフロー ソリューション「LSEG Workspace」との密接な連携と相互運用を可能にし、ワークフローを強化します。 Meeting

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※本ブログは、米国時間 2024 年 10 月 24 日に公開された Accelerating financial services transformation with AI – Microsoft Industry Blogs (英語) の翻訳です。

生成 AI のパワーと豊富な業界データを組み合わせて活用することで、金融サービス業界の意思決定者は、重要なインサイトにすばやくアクセスし、より効率的に、的確な情報に基づいて意思決定を行えるようになります。

Microsoft Cloud for Financial Services

これを実現するのが、Microsoft Cloud for Financial Services に追加された最新ソリューション Meeting Prep for Financial Services (プレビュー) です。マイクロソフトと LSEG (ロンドン証券取引所グループ) の長期にわたる戦略的パートナーシップから生まれたイノベーションであり、Microsoft Teams と Microsoft 365 Copilot 向けに構築、最適化されています。LSEG の次世代型データ & アナリティクス ワークフロー ソリューション「LSEG Workspace」との密接な連携と相互運用を可能にし、ワークフローを強化します。

Meeting Prep for Financial Services は、クライアントとの会議に向けた準備時間の短縮、クライアントへの提案や意思決定の改善、クライアントとのコミュニケーションの効率化を促進することにより、投資銀行やクライアント対応担当者を支援します。Microsoft Teams のライセンスと LSEG Workspace のライセンスをお持ちの場合、このアプリを使用してコラボレーション ワークフローを促進し、生産性を向上させることができます。現在はパブリック プレビュー中 (英語) で、一般提供は 2024 年 12 月に開始されます。Meeting Prep for Financial Services は、2022 年に締結された LSEG とマイクロソフトのパートナーシップにおける重要なマイルストーンであり、データとアナリティクスに特化した新しい製品やサービスを共同で開発することを目的としたものです。

「お客様からは、Meeting Prep for Financial Services を使用したことで大幅な時間節約と効率化につながったと好意的な反応をいただいています。LSEG Workspace に蓄積された豊富な市場データと分析結果をマイクロソフトの生成 AI 機能と統合することで、金融業界の皆様がクライアントとの会議をより充実したものにするために適切に準備を行い、より適切な情報に基づいて意思決定を行うことが可能になっています」

Nej D’Jelal 氏、LSEG Workspace プラットフォーム グループ責任者

金融サービス業界のお客様とパートナー様による AI 活用の進化

お客様、マイクロソフト、そのグローバル パートナーの連携は、金融サービス業界のあらゆるところでイノベーションを生んでいます。Gartner が発表した「2025 年 CIO アジェンダ: 銀行業界の最優先課題とテクノロジ計画」によると、テクノロジ投資において大きな変化が見込まれるのは、生成 AI (39%)、サイバーセキュリティ/情報セキュリティ (34%)、AI (33%) です1。これらのイノベーションには、セキュリティ、プライバシー、信頼性に関する強力な基盤が必要になることから、マイクロソフトはデータの保護、強固なプライバシー対策、責任ある AI の原則への取り組みに特別な注意を払っています。セキュリティはマイクロソフトの全社的な最優先事項であり、当社のセキュア フューチャー イニシアチブは、製品やサービスに組み込まれたセキュリティを継続的に進化させるという取り組みを反映しています。

Microsoft Cloud for Financial Services は、金融サービス業界向けのサービスとソリューションを上記の基盤に提供するものであり、カスタマー エクスペリエンスの変革、従業員の業務支援、リスクとコンプライアンスの管理、基幹システムの最新化といったインパクトのあるビジネス成果を企業が速やかに達成できるよう支援します。イノベーションを促進し、レジリエンスを高めるには、目的に合ったプラットフォーム サービスを活用することが重要です。また、AI 搭載分析プラットフォームである Microsoft Fabric を活用すれば、社内のデータを統合し、コラボレーションを改善し、AI 開発のコストや労力を削減しながら、ガバナンスを簡素化し、セキュリティを強化することができます。

カスタマー エクスペリエンスの変革

カスタマー エクスペリエンスにおけるデータの重要性は、顧客が金融機関と接するあらゆる場所、時間、チャネル、つまり、カスタマー ジャーニーという観点ではいっそう大きくなります。優れたサービスと有意義なやり取りを実現するには、一貫性のあるシームレスな体験を創出し、顧客との関係の全容を把握できるようにする必要があります。

そうしたニーズに対処した好例が、マイクロソフトと資産運用会社 BlackRock のパートナーシップ (英語) です。同社の Aladdin 投資管理プラットフォームは全体が Microsoft Azure で運用されており、この提携ではその次世代型ソリューションの開発に取り組んできました。同社は昨年、プライベート マーケット プラットフォーム向けに新しい生成 AI ツールを発表し、最近では新たに、重要なビジネス意思決定や適切な判断に役立つ回答を瞬時に提供する Aladdin Copilot を発表しています。

他の多くの企業も、生成 AI を活用してカスタマー エクスペリエンス、製品、サービスの提供方法を再構築しています。保険会社の ERGO Insurance (英語) は、マイクロソフト パートナーの EBO が Azure を基盤として開発した AI 仮想オペレーターを使用して、わずか 4 か月でカスタマー サービスを刷新しました。英国のデジタル バンク Virgin Money (英語) は、Microsoft Dynamics 365 Customer Service に統合された Microsoft Copilot Studio で仮想アシスタントを開発し、オムニチャネルのカスタマー エクスペリエンスを強化しました。この仮想アシスタントは賞も獲得しています。また、南アフリカの大手銀行 First National Bank (英語) は、Microsoft Copilot for Sales を活用して顧客とのコミュニケーションを改善し、顧客の要望に的確に応えられるようになりました。さらに、オーストラリアのメガバンク CommBank (英語) は、生成 AI を活用してカスタマー エクスペリエンスをパーソナライズすると共に、詐欺や不正行為、金銭的搾取の防止につなげています。

従業員の業務支援

適切なコミュニケーション ツールやコラボレーション ツールがあれば、従業員はより効果的にビジネス ニーズに対処し、顧客にサービスを提供することができます。生成 AI のメリットを最初に、そして最も強く実感できるのが、Microsoft 365 Copilot です。最近、複数の新機能が追加され、Microsoft 365 アプリの Copilot が強化されました。マイクロソフトの委託により Forrester が実施した最新の Total Economic Impact (TEI) 調査によると、Copilot を 3 年間使用した場合、112 ~ 457% の ROI を見込むことができ、新規採用者の研修期間を 30% 短縮できます2

Copilot の他にも、Azure OpenAI Service を使用すれば、カスタムのオペレーターや生成 AI アプリを構築することができます。ROI もきわめて優れています。マイクロソフトが Forrester に委託した金融サービスおよび保険業界の TEI 調査では、Azure OpenAI Service でソリューションを展開する組織は、3 年目までにクライアントあたりの収益が平均 3 ~ 7% 増加し、効率化によってコンテンツ作成時間が 30 ~ 60% 短縮されることが期待されています3

金融サービス業界全体を見渡しても、マイクロソフトのお客様は、AI イノベーションの重要なメリットである生産性向上を実感しています。たとえば、米国の民間格付け会社 Moody’s は Copilot を社内向けにカスタマイズ (英語) することで、従業員 14,000 人の生産性を向上させ、イノベーションを促進しています。この社内ツールは 1 か月もかからず稼働されました。

「金融機関はデータが著しく増える中でも、即座に知見を引き出すことが求められます。マイクロソフトの Azure と生成 AI ソリューションは、この課題に対処するうえできわめて重要な役割を果たします。Copilot を利用すれば、データへのアクセスが簡素化され、データ活用のハードルが下がります。これにより、クライアントはかつてない量のデータを圧倒的なスピードで処理できるようになりました」

Nick Reed 氏、最高製品責任者、Moody’s Analytics

また、英国の金融サービス会社 Hargreaves Lansdown (英語) では、ファイナンシャル アドバイザーが新しい AI ツールを使用することでクライアント向けの文書を以前の 4 倍の速さで作成できるようになり、週に平均 2 ~ 3 時間を節約しています。フランスの保険・金融グループ AXA (英語) は、Azure OpenAI Service を使用して AXA Secure GPT プラットフォームを 3 か月で開発し、データの安全性を高く維持しながら、責任を持って生成 AI を活用しています。さらに、トルコの大手商業銀行 Akbank のスタッフ (英語) は、数秒で 10,000 件のレコードを検索できる新しいチャットボットを活用して 1 回の顧客サポートあたり 3 分を節約しています。

リスクとコンプライアンスの管理

金融サービス企業で事業運営やイノベーションにおけるテクノロジ利用が活発化するにつれ、活用するシステムの規制要件への準拠 (英語) や業界で求められる信頼性、回復力、セキュリティの確保がますます重要になってきます。

テクノロジへの傾倒が進むと、規制を設ける動きは世界中に広がっていきます。その一例が、金融サービス業界の安定性とセキュリティの強化を目的とした欧州連合のデジタル オペレーショナル レジリエンス法 (DORA) です。DORA を始めとする重要な取り組みに関して、マイクロソフトは規制当局と積極的に協力し、お客様のスムーズで包括的な規制準拠を支援しています。たとえば、Fintech Open Source Foundation (FINOS) (英語) などのコンソーシアムに参加して、他の業界のリーダーと共に金融機関向けの画期的な AI ガバナンス フレームワークの策定に取り組んでいます。

コンプライアンス ニーズへの対応に関する支援

マイクロソフトは、お客様がコンプライアンス要件を満たしながら生成 AI でイノベーションを推進できるよう支援しています。

eBook を読む (英語)

テクノロジは、規制準拠においても重要な役割を果たします。そこで、コンプライアンス ニーズに特化した安全でスケーラブルなクラウド基盤である Azure ランディング ゾーンをベースとした、新しい FSI ランディング ゾーンを紹介します。このコードとしてのインフラストラクチャの提供開始は 2024 年 11 月を予定しており、基本的なガバナンス、回復力、セキュリティ、自動化、規範的ガイダンスの提供を通じて、金融サービス企業と当社のパートナー様が金融業界の厳格で妥協の許されないコンプライアンス要件を満たせるよう支援します。

クラウドへの移行も、効果的なリスク管理を促進します。たとえば、カナダのメガバンクであるモントリオール銀行 (英語) は、市場リスク管理プラットフォームを Azure に移行したことで、分析時間を 6 分の 1、業務スピードを 2 倍にしたほか、30% のコスト削減を実現しました。また、ベルギーの銀行 Belfius (英語)Microsoft インテリジェント データ プラットフォームを導入し、リスク評価、規制基準への適合、異常な操作の迅速な検知を行っています。

セキュリティの強化

セキュリティ面では、世界でも特に金融サービス企業が標的にされています。調査会社 Cybersecurity Ventures の予測によると、サイバー犯罪の被害額は、3 兆ドルだった 2015 年から増え続け、10 年後の 2025 年には年間 10.5 兆ドルに達する見込みです4。このように脅威のリスクが増す中、企業は重要なシステムを適切に保護し、データ保護を強化し、多くの規制に準拠し続けることが求められています。

そこで慢性的な人材不足のサイバー防衛チームの業務を支援するのが、Microsoft Copilot for Security です。これを使用すれば、アナリストは組織のセキュリティ態勢を迅速に見直し、これまでよりもはるかにスピーディーに有益な知見から解決策を打ち出せるようになります。イタリアの銀行グループ Intesa Sanpaolo (英語) は、Copilot for Security を導入したことで、脅威ハンティング チームの業務スピードを向上させ、若手スタッフの育成期間を劇的に短縮することに成功しました。また、国際的な金融グループである Barclays (英語) では、マイクロソフトのセキュリティ ソリューションを活用して、セキュリティ脅威の検出、調査、対処、防御の態勢を改善しています。

基幹システムの最新化

多くの企業は、AI への期待の高さからレガシ システムの利用について再考し、ミッション クリティカルなワークロードをクラウドに移行して、Microsoft Fabric などの最新のデータ分析プラットフォームを採用することを決断しています。マイクロソフトのお客様も AI や仮想オペレーターへの投資を急激に増やしており、堅牢なデータ資産戦略の必要性がさらに高まっていることがうかがえます。

そうした中で、マイクロソフト、パートナーの Quantexa、ヨーロッパの銀行 Novo Banco の 3 社による提携は、AI 時代のデータ資産の最新化の好例と言えるものです。この提携では、Quantexa の Decision Intelligence プラットフォームのパワーと Microsoft Fabric の高度な分析機能を組み合わせています。

こうした最新化は、俊敏性、回復力、コンプライアンス、コストの面でも大きなメリットをもたらします。シンガポールの不動産投資運用会社 CapitaLand Investment (英語) は、統合データ プラットフォームへの移行によって全事業部門のデータ運用を効率化し、100 万シンガポール ドル以上のデータ プラットフォームの運用コストと、年間 10,000 人日以上の労働時間を削減しています。ドバイ商業銀行 (英語) では、アプリケーション インフラストラクチャを Azure にアップグレードし、顧客基盤を 4 倍増加させました。新サービスの展開までにかかる期間も 3 か月からわずか 1 日にまで短縮されました。スロベニアの大手保険会社 Zavarovalnica Triglav (英語) は、応答の自動化と顧客からの問い合わせのスマートな再ルーティングにより、スロベニア国内の保険契約ワークフローを刷新し、特定の問い合わせの半分ほどは人による対応が不要になりました。

今後の展望

ここでご紹介した事例はごく一部ですが、AI は、顧客、取引先、規制当局、組織内関係者との信頼関係を損なうことなく、ビジネスのあらゆる側面のイノベーションを可能にするものであることがおわかりいただけたでしょうか。マイクロソフト、そしてマイクロソフトのパートナーは、金融サービス業界のお客様に信頼していただけるソリューションやサービスを提供し、共に歩み続けていきたいと考えています。

  • Meeting Prep for Financial Services の詳細についてはこちらをご確認ください。パブリック プレビューへの参加方法などが示されています。
  • Microsoft Cloud for Financial Services の最新ドキュメントは、こちら (英語) をご覧ください。お客様がビジネス価値を創出し、顧客との関係を強化できるよう支援する、金融サービス業界向けのスケーラブルなプラットフォームの詳細をご確認いただけます。
  • マイクロソフトによる金融サービス業界のお客様の DORA 対応準備の支援については、ブログ記事「DORA の新たな規制への対応を進める金融業界へのマイクロソフトの 3 つの支援策」をお読みください。

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DORA の新たな規制への対応を進める金融業界へのマイクロソフトの 3 つの支援策 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/11/25/dora_3_ways_microsoft_is-helping/ Mon, 25 Nov 2024 06:49:36 +0000 ※本ブログは、米国時間 2024 年 9 月 23 日に公開された 3 ways Microsoft is helping the financial industry prepare for new DORA regulations – Microsoft Industry Blogs (英語) の翻訳です。 銀行、保険会社、投資会社といった金融サービス業界に属するグローバル企業の多くは、自社の事業推進に AI とクラウドを活用するメリットを大いに実感しています。しかし、そうした重要なテクノロジへの依存度が大きくなるにつれ、信頼できる安全な事業運営を行うことへの責任が高まります。 大手企業、政府規制当局、マイクロソフトなどのテクノロジ プロバイダーが共通して抱えているのが、急速に変化する世界情勢において金融業界の回復力をどれだけ維持できるかという課題です。実際、この課題に対処することがマイクロソフトの金融サービス向けソリューション Microsoft Cloud for Financial Services の基本方針であり、当社の製品とサービスの開発でセキュリティ対応が最優先 (英語) に取り組まれていることとも密接に関連しています。 Microsoft Cloud for Financial Services のソリューションを確認する 2020 年以降、欧州連合 (EU) の当局者は、業界のテクノロジ依存の傾向に対処し、関連するリスクを軽減するために、新たな包括的規制を設けることに尽力してきました。2023 年 1 月 16 日に発効された DORA (デジタル

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※本ブログは、米国時間 2024 年 9 月 23 日に公開された 3 ways Microsoft is helping the financial industry prepare for new DORA regulations – Microsoft Industry Blogs (英語) の翻訳です。

銀行、保険会社、投資会社といった金融サービス業界に属するグローバル企業の多くは、自社の事業推進に AI とクラウドを活用するメリットを大いに実感しています。しかし、そうした重要なテクノロジへの依存度が大きくなるにつれ、信頼できる安全な事業運営を行うことへの責任が高まります。

大手企業、政府規制当局、マイクロソフトなどのテクノロジ プロバイダーが共通して抱えているのが、急速に変化する世界情勢において金融業界の回復力をどれだけ維持できるかという課題です。実際、この課題に対処することがマイクロソフトの金融サービス向けソリューション Microsoft Cloud for Financial Services の基本方針であり、当社の製品とサービスの開発でセキュリティ対応が最優先 (英語) に取り組まれていることとも密接に関連しています。

Microsoft Cloud for Financial Services のソリューションを確認する

2020 年以降、欧州連合 (EU) の当局者は、業界のテクノロジ依存の傾向に対処し、関連するリスクを軽減するために、新たな包括的規制を設けることに尽力してきました。2023 年 1 月 16 日に発効された DORA (デジタル オペレーショナル レジリエンス法) は、2025 年 1 月 17 日より適用が開始され、その影響は、EU 内で事業を行う事実上すべての金融業者とそのサポートを行う多くの重要なサードパーティ サービス・プロバイダーに及んでいます。マイクロソフトは、DORA の策定に関して規制当局や金融機関との協力に積極的に取り組んでおり、現在は、お客様が包括的かつスムーズに DORA に準拠できるよう支援することに注力しています。

DORA とは?

DORA は、金融サービスのオペレーショナル レジリエンスの強化を目的とした EU の新しい重要規制であり、金融機関に強固なリスク管理の維持と、幅広い脅威や混乱に対する耐性と適応力の強化を求めるものです。EU のより広範な戦略の一環として、金融業界の安定性と安全性を向上させ、各加盟国の多様な要件を協調させる狙いがあります。DORA は、EU 内で事業を行う金融サービス事業者とその事業に重要なサードパーティ サービスを提供するテクノロジ企業に適用されます。

DORA の下では、金融サービス事業者は強固なサイバーセキュリティ インシデント対応計画を整備し、セキュリティ侵害などのサイバー インシデントや混乱を当局に速やかに報告することが義務付けられます。これらの事業者は、深刻なシナリオに備えた出口戦略を含め、大規模な混乱が生じた際にも事業運営を継続できるようにするビジネス継続性計画を構築する必要があります。また、金融監督当局による監督が強化され、オペレーショナル レジリエンスの監査と評価、必要に応じた規制遵守のための措置が講じられることになります。

DORA は、サード パーティの情報通信技術 (ICT) サービス プロバイダーにも要件を課しており、主要機能をサポートするクラウド コンピューティング製品やサービスを提供する ICT 企業に主に (ただし限定はされない) 焦点を当てています。また、この規定では新たに「重要」なプロバイダー (マイクロソフトが含まれる可能性が高い) が設定され、指定されると、欧州監督当局 (ESA) による新たな監督フレームワークの対象となります。

DORA が金融サービス業界のお客様に及ぼす影響

金融サービス業界のお客様は、DORA から多数の新規要件や高度な要件に従うことが求められます。たとえば次のようなものがあります。

  • 情報通信技術 (ICT) サービス プロバイダーのリスク管理
    自社の全社的なリスク管理システムに統合された、包括的な ICT リスク管理フレームワークを確立する必要があります。このフレームワークは、テクノロジとセキュリティに関する主要な検討事項 (特定、保護、検知、対応、復旧など) をカバーしたものであり、システム、情報資産、データの安全性と回復力を維持するための戦略、方針、手順、ツールを網羅している必要があります。
  • インシデントの管理と報告
    主な ICT 関連のインシデントを検知、管理し、厳密に定められた期限に則って当局に報告する必要があります。サイバーセキュリティ侵害、サービス中断、データ損失などのインシデントは、影響を受ける利用者の数、期間、経済的影響などの基準で評価します。
  • オペレーショナル レジリエンス テスト
    重要な ICT システムやアプリケーションに対する脅威ベースのペネトレーション テスト (TLPT) や脆弱性評価などのデジタル運用テストの実施が義務付けられます。これらは、障害発生時の迅速な復旧とビジネス継続性の証明を目的としたテストです。
  • 契約上の取り決め
    DORA は、ICT サービス プロバイダーと金融サービス事業者間の契約に関して特定の要件を課しています。これには、監査、ビジネス継続性、出口戦略、主要な下請け業者の利用に関する要件などが含まれます。さらに、金融サービス事業者は ICT プロバイダーと契約を締結する前に、そのプロバイダーのセキュリティ対策、コンプライアンス状況、財務面の安定性について評価するなど、契約前のリスク評価を実施する必要があります。

お客様の DORA 準拠に対するマイクロソフトの支援

マイクロソフトは、大手 ICT サービス プロバイダーとして堅牢な内部ガバナンス プロセスを確立し、重要なサードパーティ テクノロジ ベンダーに適用される規定への対応準備を進めています。また同時に、規制対象の金融機関の皆様が DORA の定める要件を満たせるようサポートを提供していきます。これには、契約条項と DORA の要件の整合性を取ることや、マイクロソフトの幅広いクラウドおよびエンタープライズ製品に ICT リスク管理機能を組み込むことなどが含まれます。

お客様の DORA 対応についてマイクロソフトが提供する主な支援方法は次の 3 つです。

  1. お客様が DORA の下で契約責任を果たせるよう支援する。マイクロソフトは現在、この新たな規制によって要求および適用される契約条件の更新に取り組んでいます。これには、マイクロソフトの製品およびサービスの契約締結前のリスク評価の円滑化や、マイクロソフトの製品およびサービスに関連する個々の義務を詳細に定義することなどが含まれます。また、お客様と連携しながら必要に応じて契約を更新し、DORA のフレームワークの目的に適合する内容になるよう調整しています。
  2. お客様が ICT リスクを管理し、内部ガバナンスと統制のフレームワークを構築できるよう支援する。DORA から要求される広範な ICT リスク管理機能をマイクロソフトの製品およびサービスに組み込んで提供します。たとえば、情報保護の面では、Microsoft Defender for Cloud で脅威に対する継続的な評価、検出、対応を行い、Microsoft セキュア スコアでワークロード全体のセキュリティ態勢を評価、強化できます。また、インシデント管理、レジリエンス テスト、インシデント情報共有の面では、それぞれ Microsoft PurviewMicrosoft 365 サービス正常性ダッシュボードAzure Service Health で重要な機能を提供します。
  3. お客様のインシデントの管理、分類、報告を支援する。効率的なインシデントの検出や調査のためのツールやサービスを含む、インシデント管理要件に対応するための高度な機能をマイクロソフトのセキュリティ製品やコンプライアンス製品で提供し、インシデントの報告や対応を適時行えるようにします。たとえば、Azure Security Center (英語) は迅速な検知と対応を可能にします。また、Microsoft 365 正常性ダッシュボードと Microsoft Defender の組み合わせることで、インシデントの管理、分類、報告に対して包括的にアプローチできます。

DORA がグローバル金融サービスにとって重要な理由

DORA は、金融サービス業界のオペレーショナル レジリエンスを強化させる大きな 1 歩です。DORA の目的は、企業における管理方法、報告方法、協力体制を標準化することによって ICT のリスクを最小化し、さまざまな脅威や混乱から金融システムを保護することです。

DORA は、単に EU の新たな規制フレームワークではなく、世界中の広範な金融サービスの回復力維持のための重要なマイルストーンの 1 つです。クラウドと AI の能力を最大限に引き出しながら、企業とその顧客の安全性を高めるための情報共有、透明性、連帯責任の重要性をさらに強調させるものです。

DORA 準拠を支援するマイクロソフトのコミットメント

マイクロソフトは、金融サービス業界のお客様がスムーズかつ生産的な方法で DORA 準拠に取り組んでいただけるよう緊密に連携を取る一方、マイクロソフトが重要な ICT サービス プロバイダーに指定されることによって今後適用される DORA の要件を満たすための準備を進めています。

これは、変化する規制環境の中で私たちが長年続けてきた取り組みの一部であり、10 年以上前から規制当局と協力して共通のニーズや課題に対処し、金融サービス業界のお客様のサイバー レジリエンスの強化 (英語) を支援する製品を構築してきました。

DORA は金融サービスにおけるオペレーショナル レジリエンスを強化するための自然なステップであり、マイクロソフトは、DORA との調和を図る措置を講じている英国などの他の裁判管轄地の規制当局とも引き続き協力して取り組んでいきます。

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【イベントレポート】ad:tech tokyo~広告・マーケティング業界を俯瞰できる、伝統ある国際カンファレンス~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/microsoft-in-business/2024/11/22/adtech-tokyo_event_report/ Thu, 21 Nov 2024 23:23:23 +0000 急速に進化するデジタル環境に合わせて、広告・マーケティングにおいても AI やデータを活用した新たな価値・体験創造が進んでいます。一方で、テクノロジの進化によるデジタル広告の透明性や安全性といった問題も注目されています。

2024 年 10 月 17 日 (木) 〜 18 日 (金)に東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトンで開催された「ad:tech tokyo」では、マーケティング手法・テクノロジの可能性とともに、生活者を守るという業界の社会的責任やサステナビリティ、Well-being とマーケティングとのかかわりなどについて、Keynote、公式セッション、展示ブース、エグジビション ステージ、ワークショップ、ネットワーキング パーティーといったプログラムのなかに数多くのセッションが設けられ、業界の動向について幅広い視点からの講演やディスカッションが行われました。

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a person giving a presentation to a group of people

急速に進化するデジタル環境に合わせて、広告・マーケティングにおいても AI やデータを活用した新たな価値・体験創造が進んでいます。一方で、テクノロジの進化によるデジタル広告の透明性や安全性といった問題も注目されています。

2024 年 10 月 17 日 (木) 〜 18 日 (金)に東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトンで開催された「ad:tech tokyo」では、マーケティング手法・テクノロジの可能性とともに、生活者を守るという業界の社会的責任やサステナビリティ、Well-being とマーケティングとのかかわりなどについて、Keynote、公式セッション、展示ブース、エグジビション ステージ、ワークショップ、ネットワーキング パーティーといったプログラムのなかに数多くのセッションが設けられ、業界の動向について幅広い視点からの講演やディスカッションが行われました。

述べ 9,915 名が参加したこの日本有数の広告業界向けカンファレンスには、マイクロソフトの広告部門である Microsoft Advertising もブースを展開。公式セッションでは、業界で活躍する広告・マーケティングのキーパーソンとのディスカッションを繰り広げました。本稿では日本マイクロソフトの社員が登壇した公式セッション、マイクロソフトブースとブースセッションの模様をお届けします。

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公式セッション レポート①

「不確実性と複雑性の時代、それでも左右されない「不変」とは?」

Microsoft Advertising Japan

Regional Vice President

有園 雄一

株式会社トリドールホールディングス 兼 株式会社丸亀製麺

執行役員CMO 兼 KANDO コミュニケーション本部長

南雲 克明 氏

株式会社インターブランドジャパン

戦略グループ アソシエイト・ディレクター

田中 友恵 氏

パナソニック株式会社

くらしアプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルビジネスユニット パーソナルブランドマネジメント部

川治 久邦 氏

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(左から有園氏、南雲氏、田中氏、川治氏)

デジタルの時代における普遍的な価値を探るディスカッション

本セッションでは、Microsoft Advertisingの日本での事業責任者を務める有園 雄一がモデレーターとして参加。誕生して 30 年を経過したインターネット広告における不変性をテーマとした広告業界の第一線で活躍する専門家たちとのセッションを展開しました。

セッション冒頭で有園はマイクロソフトが制作した動画を流します。そこには、近い将来の私たちの生活において、壁面やガラスがディスプレイとして利用されるなど、さまざまなところにソフトウェアが組み込まれている世界観が描かれており、「いずれリテールメディアという領域においては、今まで広告主だった企業がメディアになる、または消費者自体が広告主になって自分の時間を広告するような世界になっていく」と有園。つまりいままさに、広告ビジネスは大きな「ステージの変化」に直面していることが示されました。

そして有園は「この時代の感覚のなかで、不変なものもあるよね、という話を今日はさせていただきたい」と本セッションのテーマを提示。経験豊富なパネリストたちがそれぞれの経験から導いた“不変なもの”について語り合いました。

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まずパナソニックの川治氏は、従来の常識を覆す小型シェーバー「ラムダッシュ パームイン」の開発事例を紹介。この製品開発においては、「かっこよくて革新的なシェーバー」という新しい価値提案により、若年層や高級シェーバー ユーザーという新規市場の開拓に成功しています。

川治氏はこの事例から感じた普遍性として「インサイトに基づいて、“大きく変わったな”という知覚刺激」と「消費者のパーセプション チェンジを確実に起こせるかどうか」だと強調しました。

トリドールの南雲氏は、「丸亀製麺」ブランドを例に挙げ、食の本能に訴えかけることと、さらに理性を抑えにいくことの重要性を強調。「衝動をつくりにいく」という右脳へのアプローチと「選ばれる理由を訴える」という左脳へのアプローチの両立を重視していると説明しました。「変わらないもの」として、「みんなが“これいいね”というものは売れない」という経験則を披露。平均的な評価を得る商品よりも、一部から強い支持を得る商品の方が成功する可能性が高いという知見を示し、その一例として、当初は反対意見が多かった商品「うどーなつ」を紹介。「テクノロジーテクノロジが進化するなかで、我々は逆張りとして手づくりのぬくもりと予定調和に迎合しないプロダクト アウト」が丸亀製麺のマーケティングであると語りました。

「今のお話を聞くと、デザイン シンキングに近いのかなと感じました」とインターブランドジャパンの田中氏。同社が定義する、時代とともに進化するブランディングの本質について解説が行われました。

ディスカッションのなかから、新しい価値を世に問う際に必要とされる消費者の深層心理に向けたアプローチ、予定調和に迎合しないプロダクト アウトといった“変わらないもの”が提起され、パネリストたちの深い洞察に参加者は大きく頷いていました。

セッションの締めくくりとして有園は「脱皮できない蛇は滅びる」という表現を用いて、不変の本質を理解しながら常に進化を続けることの重要性を指摘。テクノロジやマーケティング手法は進化し続ける一方で、人間の本能や深層心理への理解を基盤としたブランド価値の創造はこれからも変わらない重要なテーマであることが今回のディスカッションを通して浮き彫りになったことを示唆して、セッションを終了しました。

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公式セッション レポート②

「プロフェッショナルになるための実務的なデジタル マーケティング Tips」

株式会社 リクルート

執行役員

塩見 直輔 氏

資生堂ジャパン株式会社

プレミアムブランド事業本部 プレミアムブランドマーケティング本部 セルフサンケア・スキンケアマーケティング部 バイスプレジデント

望月 良輔 氏

カンロ株式会社

常務執行役員 マーケティング本部長

内山 妙子 氏

Microsoft Advertising Japan

カスタマーソリューションマネージャー

上林 慎介

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(左から塩見氏、望月氏、上林氏、内山氏)

デジタル マーケティングのプロフェッショナルが語る、実践的 Tips

本セッションでは、リクルートの塩見氏がモデレーターを務め、資生堂ジャパンの望月氏、カンロの内山氏、そして日本マイクロソフトの上林が登壇。マーケター、プラットフォーマー、企業広報といった異なる立場のパネリストたちから、実践的なデジタル マーケティングの Tips が共有されました。

上林は広告代理店勤務から食品メーカーを経て、現在はマイクロソフトに勤務するというキャリアの持ち主。Microsoft 広告カスタマーソリューションマネージャとして、デジタル マーケティングの上流から下流までを体感しているという立場での参加となります。

セッションは、まず上林からの「デジタル広告で優れた成果を出しているにもかかわらず予算が増えなかった」という、自分が広告代理店に勤務していた際の経験談から始まりました。

上林によると、あるデジタル広告の施策を担当した際に、広告の成果も出ていて報告も頑張るものの、予算が増える気配がなかったとのこと。当時の上林の立場からみると、ある種の挫折体験と言えるでしょう。そこで上林はどこに問題があったのかを分析。「クライアントのゴールを確認することが重要」という Tips を得られたと語ります。

つまり広告代理店の立場からすると、効果的な広告には予算を充当すべきだと考えるものの、広告主は事業の目的に向かってさまざまなチャネルを持っており、「広告以外の施策も含めて優先順位を決めているというところまで視野を広げるべきだった」と上林。クライアントとのコミュニケーションを通していま何が重要なのかを見極めることが重要であり、それに基づいた提案が信頼関係につながるという点を強調しました。まさに、代理店だけでなく広告を出稿する立場も経験している上林ならではの Tips といえるでしょう。

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続けて各パネリストが、実際に自分たちが経験したチャレンジや失敗に基づいた Tips を披露。先入観の落とし穴やパートナー理解の重要性、より深く踏み込んだレビューの必要性など、具体的な学びが次々と提示されました。

高い視座から俯瞰する内容のセッションが多かったなかで、現場の生の声を聞けた本セッションは、参加していた多くの若手広告関係者にとって非常に有益な場になったのではないでしょうか。

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マイクロソフトブース レポート

広告の未来を体感できるMicrosoft 広告ブース

日本マイクロソフトが出展したブースでは、同社が提供する広告サービス「Microsoft 広告」に関する各種ミニセッションや生成AIアシスタント“Microsoft Copilot”(以下Copilot)のデモンストレーションを実施。広告主やパートナー、パブリッシャーに向けたさまざまな広告ソリューションの提案が行われ、多くの来場者が訪れました。

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Microsoft 広告は、検索、ネイティブ、ディスプレイ、ビデオ広告およびリテール メディアを含む、フルファネルで高精度な広告ソリューションを通じて、仕事や日常生活のあらゆる場面で消費者にリーチすることが可能です。日本では2022 年から本格展開されており、ブースで開催されたミニセッションでは、Microsoft 広告のサービス概要や需要期に向けたインサイトの提供に加えて、Copilot の活用方法の紹介、さらに今後リリースが予定されている新たなメディアプロダクトの紹介やゲストスピーカーを交えてのトークセッションなどが行われました。

また、ブースには 4 台の PC が用意され、Copilotのデモンストレーションや、マイクロソフトが提供するポイントプログラム“Microsoft Rewards”の案内などが行われました。来訪者は、Copilot によって生成された画像やテキストによる広告運用の最適化・自動化の流れを体験して、今後マーケターの仕事が大きく変化していくことを実感している様子でした。

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ミニステージ レポート

特別セッション

「リテールメディア市場とCriteoの戦略:グローバルから日本市場までの最新動向」

CRITEO株式会社

Head of Key Retailer & Brand, Solution Sales

松尾 友直 氏

Manager, Retail Media Account Strategist

Emily Jing Dai 氏

日本マイクロソフトブースのステージでは、Microsoft 広告のパートナーである Criteo 社によるミニセッションも開催されました。同社 Emily 氏によると、リテールメディアはグローバル市場では「デジタル広告の第3のウェーブ」として急成長を遂げているとのこと。一方日本市場については「米国のように検索、ソーシャルメディア、リテールメディアといったステップ バイ ステップではなく、並行して成長していく」と予測。今後日本でも大きな成長が期待されていることを強調しました。

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続いて登壇した松尾氏からは、Criteo のリテール メディア広告についての説明が行われました。同氏によると現在日本では、ウーバーイーツ、au PAY マーケット、サンドラッグ、ウエルシア.com などでの広告配信が可能で、グローバルでは 200 社以上の小売事業者と取り組んでいるとのこと。

松尾氏は、日本のリテールメディア普及における課題として、「規模の課題」と「分断化」の2 点を挙げ、同社のサービスによってデータを一元化し、ユーザーのインサイトを正確に把握、個別の購買体験を提供することでユーザーのエンゲージメントを高められるとして、今後戦略パートナーであるMicrosoft 広告と協力しながら、ユーザー中心のアプローチの実現を目指していく方針を示し、ミニセッションを終了しました。

2 日間を通して大盛況のうちに幕を閉じた ad:tech tokyo。さまざまな関連セッションや展開された各社ブースの展示には、広告に未来を感じるヒントがたくさん散りばめられていました。私たち日本マイクロソフトとしても、生成AIを活用した最先端のデジタル広告ソリューションを通じて、多くの広告主やパートナー企業の皆さまに最適な広告の場を提供し、ともに成長していきたいという思いを深めた 2 日間でした。

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「金融国際情報技術展 FIT 2024」出展のご案内 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/09/27/fit-2024/ Thu, 26 Sep 2024 23:41:39 +0000 日本マイクロソフトは、10/17~18 開催の 「金融国際情報技術展 FIT 2024」 に出展いたします。

今回のテーマは「Power your data and AI transformation in financial services with the Microsoft Cloud」。金融業界に特化した DX やクラウド、AI ソリューションのご紹介に注力し、1日セミナーを開催いたします。

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日本マイクロソフトは、10/17~18 開催の 「金融国際情報技術展 FIT 2024」 に出展いたします。

今回のテーマは「Power your data and AI transformation in financial services with the Microsoft Cloud」。金融業界に特化した DX やクラウド、AI ソリューションのご紹介に注力し、1日セミナーを開催いたします。

マイクロソフトの金融業界に向けた取り組みとご支援、Azure OpenAI Service や M365 Copilot、Sales Copilot をはじめとする AI 搭載ソリューション、AI 活用のために必要な共通基盤構築など、AI を最大活用いただくための最新情報をご紹介する他、コミュニケーションと業務プロセスを円滑にする Teams から、Dynamics 365 などの業務効率化のツール、Microsoft 365 によるセキュリティとコンプライアンス管理、業務のインフラとシステム、データの連携・統合をワンストップで実践できる DX ソリューションなど、多数のセッションをご用意しております。

10 月 18日 (金)、FIT2024 セミナー会場「B5」にて、パートナー企業様と共に、皆様のお役に立てる情報満載でお届けいたします。各セッションは事前登録制となっております。座席には限りがございますので、下記公式サイトリンク(準備中)、もしくは下記各セミナー名よりお早めにご登録ください。皆様のご来場をお待ちいたしております。

開催概要

  • イベント名: FIT2024 (正式名称「Financial Information Technology 2024 金融国際情報技術展」)
  • 主催: 日本金融通信社 (ニッキン)
  • 開催期間: 10 月 17日 (木) 、 10 月 18 日 (金) 10:00~18:00 (両日とも同一)
  • 会場: 東京国際フォーラム
  • ご入場について: 入場無料
    金融機関及び、金融機関系列会社の方はご入場が自由です。
    それ以外の方は、出展企業による招待状が必要となります。

▶詳細・事前登録はこちら (FIT 2024 公式サイトに遷移します)


■出展者
日本マイクロソフト (小間番号 EB14)


■共同出展パートナー様(順不同)
ソフトバンク株式会社

ヴイエムウェア株式会社

日本アイ・ビー・エム株式会社

アバナード株式会社


セミナー概要

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生成AIは実用段階へ!住信SBIネット銀と第一生命の事例を紹介~日本MSがセミナー開催  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/09/27/digital_fit_sbi_net_daiichi_life_ms_seminar/ Thu, 26 Sep 2024 23:40:29 +0000 日本マイクロソフトは2024年6月13日、生成AIセミナー「金融機関様向けAI Transformation with the Microsoft Cloud」を開催した。テーマは「AIを創る、使う、守る」。会場ではメガバンクや地方銀行、保険会社など70名が参加し生成AIの最新事例やノウハウ紹介に聞き入っていた。さらに、ライブ配信では300名が視聴するなど金融機関の関心の高さがうかがえた。

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※本ブログは、金融総合専門誌「ニッキン」による情報サイト「digital FIT」にて 2024 年 8 月 15 日に公開された 生成AIは実用段階へ!住信SBIネット銀と第一生命の事例を紹介~日本MSがセミナー開催 | digital FIT (nikkin.co.jp)の再掲です。

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・住信SBIネット銀行は生成AIを活用したデータ分析アプリを全社展開

・第一生命保険は生成AIを活用したチャットサービスやデジタルバディを開発

いずれも生成AIの業務活用で注目を集める事例だ。

これら取り組みの目的や、開発時の注意点、先行事例ゆえに苦労したポイントなどは何だったのか――

日本マイクロソフトは2024年6月13日、生成AIセミナー「金融機関様向けAI Transformation with the Microsoft Cloud」を開催した。テーマは「AIを創る、使う、守る」。会場ではメガバンクや地方銀行、保険会社など70名が参加し生成AIの最新事例やノウハウ紹介に聞き入っていた。さらに、ライブ配信では300名が視聴するなど金融機関の関心の高さがうかがえた。

当日は、住信SBIネット銀行や第一生命保険が登壇し活用事例を紹介。生成AIの専門家によるAI活用の将来像を語るパネルディスカッションも実施された。2024年5月に開催された開発者向けイベント「Microsoft Build」での発表内容の中から金融業務に関する部分を「創る、使う、守る」観点で紹介するなど、金融機関に特化した生成AIの最新動向を盛り込んだ内容だった。

印象的なのは、生成AIが実業務で活用される段階に至っているという事実だ。セミナー内容や事例、パネルディスカッションでは、現実的にどの業務で生成AIを活用するべきか、何から始めるべきか、といった実用に向けた取り組みやノウハウが多く聞かれた。

本稿では当日の模様をご紹介する。

(取材協力:FIT事務局)

AI活用を成功させる要素とは

AI活用を成功させる要素とは

日本マイクロソフト・荒濤氏

「Microsoft Azure OpenAI Service」の採用が伸びている。2023年5月時点で世界で4,500社だった採用数は、わずか9カ月で12倍に増加した。開会の挨拶で、「本当に目まぐるしい勢いで変化・進歩している」と日本マイクロソフト 執行役員 常務 金融サービス事業本部長の荒濤 大介氏は振り返った。中でも日本の金融機関での導入は他の地域を上回る速度だ。一方で、業務活用するうえで課題を持っている金融機関も少なくない。荒濤氏は「従業員のスキル不足やコスト、リスク管理、データ整備で課題を持っている企業が多い」と話す。

日本マイクロソフトはAI活用が成功するための要素を6項目にまとめている。

1.人材:人材の獲得・育成や管理者層のリーダーシップ発揮

2.プロセス:組織変革のマネジメントやKPIの設定、経営層の関与

3.テクノロジー:既存システム・データソースとAIとのインテグレーション、内製・SaaSなどの判断

4.戦略:活用アイデアの優先順位付け、短期的ROIか中長期的なトランスフォーメーションかの選択

5.組織構造:変革をリードする組織・部署の組成

6.パートナーシップ:最新AI技術に触れるためのパートナー開拓や知見の活用

これらの要素に取り組むことが、AI活用を成功させるポイントとなる。荒濤氏は「この6要素を念頭に、本日紹介する最新のAI情報を聞いてもらいたい」と話した。

ここまでできる!生成AIの実力とマルチモーダルの可能性

ここまでできる!生成AIの実力とマルチモーダルの可能性

日本マイクロソフト・岡嵜氏

生成AI活用が進化している。1年前はインターネットや社内にある情報をうまく組み合わせてコンテンツを生成する使い方が多かった。しかし、現在では「生産性の向上を目的とした活用(AIを使う)、業務プロセスにAIを組み込んでイノベーションを創出するような使い方(AIを創る)が増えてきている」と日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜 禎氏は基調講演「最先端の生成AI活用でビジネスを加速する」で語った。そして、この進化を加速させるために、Microsoft Buildでは50以上の製品アップデートが発表されている。その中では、2024年5月にOpenAIが発表し、Azure OpenAI Serviceとして利用可能な「GPT-4o」の進化についても言及されている。GPT-4oの特徴は大きく3つある。1つは、テキストに加え画像や音声など多様な種類のデータを処理できる「マルチモーダル」の強化。もう一つは高速化したレスポンス、そして最後が低コスト化だ。「性能・レスポンスが上がりながら、コストはGPT4と比べて12分の1になっている」と岡嵜氏は話す。

まず、「AIを使う」の観点でMicrosoftの最近の取り組みが紹介された。AIを使う場合は、「Microsoft Copilot」が中心的な役割を担う。そもそも、Microsoft Copilotは利用者をサポートしてくれるアシスタント機能だ。AIにより人に話しかけるように言葉で指示を出すことができる。利用者の多い「Copilot for Microsoft 365」での進化がデモ動画で示された。

まずは、「Teams 会議 Copilot」。これまでCopilotは個人で使用することが多かった。しかし、デモ動画で示されたのは、まるでチームメンバーの1人のようにミーティングに参加するCopilotだ。会議音声を理解しミーティングの内容をまとめる。「Copilotの回答をみんなで見られるようになったので、会議のファシリテーターやプロジェクトマネージャーの役割を担えるようになった」と岡崎氏。

次に、Teams会議により進化したリアルタイムAI機能として組み込まれたデモ映像が公開された。Webミーティング画面から始まり、参加者はそれぞれの母国語で好き勝手に話している。Copilotは、利用者の言語に合わせ、話者の言語へ、リアルタイムで翻訳し、音声でその内容を伝えてくれた。

「AIを創る」の観点では、「Microsoft Copilot Studio」の進化が紹介された。Copilot Studioは独自のCopilotを素早く作れる開発ツール。これが進化し複数AIを活用して複雑な作業ができるエージェント型のアプリケーションを作成できるようになる。岡嵜氏は「ポイントはやはりマルチモーダル」と強調する。音声で会話でき、画像認識もできる。複雑な作業もこなしてくれる人間のパートナーのような存在を素早く作成可能だ。

デモ動画は、TeamsのWebミーティングでプログラムのソースコードが画面共有されている。AIエージェントは、このソースコードを解読し音声による解説を実施。さらに、株価チャートの解説や、より複雑な処理が必要なキャッシュフローの予測までやってみせた。

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日本マイクロソフト・藤原氏

続いて、日本マイクロソフト ローコード テクニカルリード & エバンジェリスト / YouTuberのギークフジワラ氏がAI搭載のローコード開発ツール「Microsoft Power Platform」を紹介した。

「AIを創る」の観点でローコード開発が実演された。AIに業務内容を話しかけるだけで社用車管理のプログラムが作成され、エクセルの管理台帳をAIにアップロードするだけでAIがデータ構造を推定し管理アプリが作成される様子が披露された。

「AIを使う」の観点では、ギーク氏がPower Platformで作成したプログラムが紹介された。まずは、文書情報から想定質問を作成するプログラム。英語の金融レポートなどをAIが翻訳し、同時に想定質問とそれに対する回答を作成する。次に、Web上に投稿された金融機関に対する評判の中から優先度の高いネガティブな評判を抽出するプログラム、戸籍謄本から家系図作成、相続人特定を実施するプログラムなどが紹介された。いずれも、AIによる処理だけでなく、担当者の割り当てや対応結果の記録、チェック、RPAによるオンプレミスシステムへのデータ登録など、業務プロセス全体をPower Platformだけで実現できることが示された。ギーク氏は「使い方は無限大。こういったツールを使いこなせる人材を増やしていくことが重要になる」と話した。

基調講演の最後では、再び岡嵜氏が登壇し、「AIを守る」観点でのMicrosoftの取り組みを紹介した。

MicrosoftはAIの安心・安全な活用を目指し、自社のすべてのサービスや基盤に、開発段階から運用に至るまで安全性を追求していくという原則を定めて、金融機関のAI活用を支援している。同時に、AIの生成物に対する著作権関連の問題解決もサポートしている。

さらに、有害なAI生成物やコードを検知する「Azure AI Content Safety」もMicrosoft Buildで機能強化が発表された。新たに、社会的に不適切とまでは言えないが自社ポリシーには反する、といったコンテンツを検知できるようになった。また、金融機関内の様々なサーバーやクラウド上に点在するデータを仮想的に統合して活用する「Microsoft Fabric」も紹介。利用者が閲覧権限をもつ情報だけで回答を作成するようにする機能で、AIの安全性を確保している。

岡嵜氏は最後に「日本マイクロソフトは、あなたの“Copilot”として成長を支える」と決意を語った。

全従業員をデータサイエンティストに(住信SBIネット銀行の活用事例)

全従業員をデータサイエンティストに(住信SBIネット銀行の活用事例)

住信SBIネット銀行・渡辺氏

では、実際に生成AIを業務アプリに組み込む場合、どういった点に注意すればいいのだろうか。それが語られたのが、住信SBIネット銀行による事例セミナー「住信SBIネット銀行における生成AI活用事例」だ。同行はデータ分析・業務支援アプリ「Shadow」を内製開発し、2024年4月から全社で利用している。

住信SBIネット銀行 データサイエンス部 マネージャ 渡辺 秀行氏は、「全従業員をデータサイエンティストに」が目的だったと語る。渡辺氏が所属するデータサイエンス部は様々な部署から毎日のようにデータ分析依頼がくるという。すべての依頼に対応することは難しく「複雑な分析を誰でも手軽にできるアプリがあればいいな」と考えた。そこで開発したのがShadowだった。AIとチャット形式で対話しながら必要なデータをアップロードすることでAIがデータ分析やレポート作成をしてくれる。デモでは、住宅ローンのダミーデータ1万件をアップロードし、ヒストグラムや項目ごとの相関を表すヒートマップなどをAIが作成する過程が紹介された。図表を出力するだけでなく、それぞれAIによる解説がつく。さらに、1クリックでMicrosoft PowerPoint形式のレポートが作成された。

このShadowには次の3つの特徴がある。

①1つのアプリだけで分析から資料作成まで完結する

②タスク実現のために自律的に思考をループする仕組みを取り入れている

③Azure OpenAI Serviceを使い閉域ネットワークで安全に動作する

①はデモで示された通り、ShadowアプリのみでAIとの対話、データ分析、レポート作成までを完結できる。

②により、自然言語で入力された利用者からの指示に対し、AIが適した対応を思考し回答できるようになる。例えば、東京の天気を知りたいときに、これまでのアプリケーションは、東京を指定することでその地域の天気情報を取得するよう動作していた。これが、生成AIを活用すると「東京の天気は?」と問いかけるだけで、AIが質問文から利用者が知りたいことを考え、東京の天気を知るために必要な機能を選んで回答を作成できるようになる。こういった、AIが最適な対応を自ら考えて行動するアプリケーションの設計思想はMVAアーキテクチャと呼ばれており、本アプリでも採用されている。これにより、利用者が複数のデータをShadowにアップロードしながら指示を出せば、AIがデータ結合などを自動で実施し利用者の要望に応えた精度の高い分析を実施することができる。

③については安心安全な利用を実現する。渡辺氏は「開発者として最も注意したのがセキュリティだった」と振り返る。本アプリでは、米国のセキュリティ団体であるOWASP(Open Web Application Security Project)が定めるLLM利用のセキュリティチェックリストを活用して安全対策を実施している。リストには、LLMを業務活用するうえで重要になる10項目のセキュリティリスクが記されている。渡辺氏は、この10項目を3つに分類することから始めた。

・Azure OpenAI Serviceを提供するMicrosoftが実施すべき対策

・本アプリでは関係ない項目

・対処すべき項目

3つに分類したのち、本アプリで対処すべきと判断した「プロンプトインジェクション」などへの対策を進めていったという。

また、MicrosoftのAIサービス拡充により、「開発工数の削減だけでなく、自社で対処すべきセキュリティ項目の一部をMicrosoftに任せられるようになってきている」と渡辺氏は話す。

今後の展望としては、「将来的には金融用のLLMを作りたい」と渡辺氏。短期的な目標として、「より複雑な処理ができるアプリ」や「自動的にデータ取得をする機能」の開発を挙げた。渡辺氏は「今後も、どんどん新しいものを作り続けていこうと思っているので期待してもらいたい」と語った。

少しドジだけど憎めないICHIとミスパーフェクト・Sophieが営業職員をサポート(第一生命保険の活用事例)

少しドジだけど憎めないICHIとミスパーフェクト・Sophieが営業職員をサポート(第一生命保険の活用事例)

第一生命保険・市川氏

AIを活用した2種類のキャラクターを作成し、営業職員をサポートするのが第一生命保険だ。第一生命保険 DX推進部 部長 市川 陽一氏は、「生命保険は人が介在しないと売れない」と話す。銀行や証券など多くの金融分野でデジタル化が進み、人の手が介在しないデジタル完結の世界に進んでいる。一方で、「グローバルで見ても完全デジタルな生命保険というのはうまくいっていない」と市川氏。本セミナー「第一生命における生成AI活用事例」では、そんな生命保険領域においてAIをどのように活用しているのかが語られた。

一般的に、生命保険の営業はドアオープン・ハートオープン、提案、クロージング、フォローという流れで行われる。このうち、ドアオープン・ハートオープンを支援するのが新人生涯設計デザイナー「ICHI(イチ)」だ。そして、提案やクロージング、フォローの部分で、営業職員を強力にサポートするのがデジタルバディ「Sophie(ソフィー)」となる。

セミナーでは、まずICHIのデモが紹介された。「少しドジだけどお茶目で憎めない性格」に設定されたICHIがチャット形式で利用者と対話し、打ち解けてハートオープンしていく。「ICHI自体は単なる会話型AIだが、実は顧客の深層心理に迫っている」と市川氏は話す。保険の営業職員が顧客に対しドアオープンを試みるとき、拒絶される理由は一般的に「しつこくされたくない」からだ。営業職員と人間関係が構築されてしまうと、その後の提案を断りにくくなるから拒絶されてしまう。しかし、ICHIには感情がないので顧客が気に入らないなら切り捨ててしまえばいい。この手軽さが、ICHIがチャレンジするドアオープン・ハートオープンに生きてくる。

とはいえ、「PoCはICHIにとってストレスフルな環境だった」と市川氏は振り返る。まず、AIが勝手に話すことによる風評リスクの観点から大々的なプレスリリースや告知は打てなかった。そのため、同社公式LINEと友だち登録をした利用者を対象に期間限定でICHIとの会話機能を提供した。市川氏は「まだ学習中なのでグダグダな会話になってしまうこともある。気に入らなければブロックされてしまう。厳しい環境だった」と話す。しかし、性格設定などが功を奏し「想定を上回る成果が出た。今後の展開に向けて進んでいる」という。

続いて、高い能力で営業職員をサポートするミスパーフェクト・Sophieのデモが紹介された。デモ動画では営業職員の傍らに置かれたPCにSophieが表示されている。Sophieは、営業職員と顧客との会話を聞き、時には顧客と直接会話する。そして、営業職員が回答に窮する場面では、Sophieがサポートする、というものだった。

Sophieの優秀さに注目が集まるデモ動画だが、市川氏は「Sophie自体は単なるインターフェース」と付け加える。裏側では、音声認識や話者分離、表情解析などいくつものマルチモーダルAIが動いているという。そして、「AIモデルが簡単に着脱できるよう開発している。良いモデルがあればすぐに乗り換えができる」と市川氏。営業トークの指導や報告、レポート作成、単純業務の簡素化など、Sophieは今、どんどん進化している。今後は、営業部門などから新機能のニーズを聞き取り、実現できるAIモデルを探しながら機能拡充を進める。現在は顧客との会話データを構造化してCRMに登録していく機能を開発中だという。実現すれば顧客理解の深化に貢献する。市川氏は「色々な用途で人をサポートできるようなAI開発をしていく」と話した。

AIの専門家によるパネルディスカッション

AIの専門家によるパネルディスカッション

左から、日本マイクロソフト・金子氏、LayerX・中村氏、ACES・與島氏、PKSHA Technology・松澤氏

続いて、日本マイクロソフトのパートナー企業からAIの専門家3名が登壇するパネルディスカッション「金融業界における生成AI活用ソリューションの最新動向」が実施された。

ファシリテーター:日本マイクロソフト 業務執行役員 金融サービス事業本部 銀行・証券営業本部長 金子 暁氏

参加者:

PKSHA Technology AI Solution事業本部 金融領域 副事業責任者 松澤 勇太氏

ACES 取締役 COO 與島 仙太郎氏

LayerX 部門執行役員 AI・LLM事業部長 中村 龍矢氏

今、金融機関から一番引き合いの多い生成AI活用テーマは?

松澤氏「稟議書や契約書の自動生成など業務に近い部分で使ってみたいという要望が非常に多く寄せられている。AIが稟議書を作成し、AIが稟議書をレビューするといったAI完結の世界がくるかもしれない。また、社内ドキュメントの検索に生成AIを使いたいというケースもある。6月には当社の「PKSHA AIヘルプデスク」が静岡銀行の照会業務等で導入されるという発表をした。生成AIによるドキュメント検索や問い合わせ対応は実用段階になっていると感じる。」

與島氏「引き合いの多いテーマはコーポレートITや顧客対応、リスク・コンプライアンスだ。特にコーポレートITでは、生成AIを多くの業務で効率的に導入するための基盤整備で相談が多い。顧客対応やリスク・コンプライアンスでは、文書の要約や業務の自動化など、人の作業をAIが代替していくような使い方で引き合いが多い。」

中村氏「引き合いの内容は時期によって変化している。2023年の夏・秋頃は社内のチャット環境を整備したいという声が多かった。その後、RAGによる精度向上などに関心が移っている。全従業員向けの取り組みというより、稟議や監査といった特定部門での利用の方が素早く始められるので成功しやすい。「DX部門が入れたシステムが良かった」という評判を作っていかないと、次のシステム導入に協力してもらいにくくなる。素早く導入できる業務からAI活用を開始し多くの従業員を巻き込んで行くことがデジタル化では重要だ。」

生成AIが苦手な領域や難しい用途は?

中村氏「1つは、顧客に対して直接回答を返すアプリケーションでの利用だ。生成AIの精度を100%にするのは難しいためだ。例えば、外部公開されているWebサイトなどにチャットを設置して顧客対応する用途などは現時点では苦手だ。もう1つは、反復的ではない業務での活用だ。生成AIを使うのであれば、反復業務のほうがやりやすい。正解があって、正解に至るプロセスが明確な業務のほうが生成AIを実用レベルに調整するのが容易になる。」

與島氏「やる度に少しずつやり方が変わるような業務では生成AIの活用が難しい。業務フローが明確で、そのフローのどこでAIを使うか見極めることがAI活用の成功には大切だ。また、データがあまり蓄積できていない業務では短期間で目的を達成するのは難しいだろう。」

松澤氏「生成AIには苦手なことがたくさんある。精度は100%にならないし、数字や絵を読み取るのも今は苦手だ。ただ、業務活用という意味では利用が難しいものはあまりないと思う。生成AIはあくまで部品だ。生成AI単体では難しくても、業務フローの一部として生成AIを組み込むのなら大部分の苦手分野は克服できる。AIがだめなときは有人対応に切り替えるなどのオペレーションをしっかりと設計すれば、生成AIだけではできないことも可能になる」

生成AIが苦手な顧客対応の分野で実用化に向けたポイントは?

松澤氏「1つは、オペレーションをしっかり設定して生成AIの苦手を克服することだ。もう1つは、生成AIの利用に慣れることだ。生成AIに慣れることでモデルの特性がわかり、それを踏まえた設計ができるようになる。苦手な部分だけを人が処理するといったオペレーションが組めるようになる。」

與島氏「活用領域の選び方が肝だ。選ぶべきでないのは、すでに人がやっている業務の中で顧客が高品質なサービスを期待しているような分野だ。一方で、人手の問題などで今まで提供していなかったサービス分野で、少しでも価値が提供できればいいというのであれば、生成AIがうまく機能することが多い。」

中村氏「AIが返した結果が間違っていたとき後から気付けるフローが作れる業務はうまくいく。例えば、顧客の提出書類についてAIで入力を自動化した場合、仮に入力内容が間違っていても金融機関側のチェックで発見することができる。そういう使い方であれば、顧客対応であっても生成AIを使いやすい。」

最新のAIモデル「GPT-4o」は金融機関にどんな影響を与える?

中村氏「まず安くなったことが大きい。金融機関と生成AIの適用領域を検討する際に、費用対効果の面から見送る業務も多い。安くなれば多くの業務で適用できるようになる。マルチモーダルについては、隠すべき情報の検出に効果を発揮するだろう。テキストデータのマスキングに比べて画像やイラストのマスキングは困難だ。資料の中から企業ロゴを検出するなどの用途が容易になるのはインパクトが大きい。」

與島氏「GPT-4oのマルチモーダルはパラダイムシフトを起こすだろう。生成AIが出てもなお、データや情報に人があわせるという利用形態は変わらなかった。この障壁が1つ取り払われる。現在、生成AIを使用する際はチャットで指示するケースが多いが、今後は人が人に依頼するかのように生成AIに指示が出せるようになる。また、営業トークの評価などを生成AIで実施する場合、これまでは外部機能として音声の抑揚や感情値の変化、相槌の検知などをして生成AIに投げることで評価していた。マルチモーダルの生成AIであれば外部機能なしで実現できるようになる。より深い活用や分析が簡単になるだろう。」

松澤氏「例えば面接AIのような、人と人との対話を評価する使い方が増えるだろう。現在の生成AIの使い方だと、会話を音声認識でテキスト化して喋ってる内容を評価する。しかし、音声をテキスト化する段階で表情や仕草など多くの情報が失われている。マルチモーダルにより、これらの情報を含めて評価できるようになる。」

金融機関が今取り組むべき生成AIの活用領域は?

松澤氏「書類の検索や管理業務だ。SaaSを使えば明日からでも取り組める。そういったもので効果を実感しながら活用領域を広げていってもらいたい。いきなり全部変えるのは無理なので、業務分野や利用用途を上手に絞って取り組みを開始していけるといい。」

與島氏「コーポレートITや顧客対応、リスク・コンプライアンス領域で、大量の定型業務が必要な分野が、今取り組むべき活用領域だ。一方で、生成AIはすごい速さで進化している。そのため、使用するAIモデルが変わることを前提に考えるべきだ。そして、AIモデルが変わってなお、金融機関の資産として残る場所を選んで、そこへ投資をすべきだ。」

中村氏「決算書でも契約書でも業務領域は何でもいい。ただ、決め方として、今の仕事を10年続ける場合にどれだけ嫌か、というスコアが一番高い部署や業務から取り組むのがいいだろう。生成AIの活用やAIのチューニングは胆力のいる作業だ。この業務を早くやめて別の業務をしたいという強い思いがある部署のほうが成功しやすい。取り組みやすさの面で考えるなら、業務マニュアルがあって暗黙知が少ない業務の方が取り組みやすい。つまり、やりたくないという強い思いとしっかりとしたマニュアルがある業務から取り組むといいだろう」

懇親会

最後に、懇親会が開かれた。冒頭、荒濤氏が「いよいよ生成AIが金融実務で使われだそうとしている。この懇親会で、参加者同士の情報交換をしてもらいたい。日本マイクロソフトも全力で支援していく。」とあいさつした。

懇親会場では、生成AIの業務活用などで積極的に意見を交わす姿が目立った。参加者からは、「こういった機会はありがたい。色々な生成AI活用のアイデアはあるが、実利用の部分は分からないことも多い。非常に参考になった」といった声が聞かれた。ある参加者は、「現在は社内限定でドキュメント検索や企業情報の要約などで使用しており、将来的には顧客対応などでの活用も考えていた。しかし、今日の事例発表を見て、こんなに進んでいる企業があるのかと驚いた」と語った。「会社として日本マイクロソフトの生成AIイベントには積極的に参加しているし、これからも参加したい」と話す参加者もいるなど、早くも次回開催を期待する声もあった。

また、会場ではパートナー企業3社によるデモ紹介も行われた。

・PKSHA Technology

顧客ニーズに応じたAIをカスタムメイドで作成するソリューション事業とSaaS事業を手掛ける。デモではAIによる音声認識・要約や、静岡銀行にも採用された「PKSHA AIヘルプデスク」を紹介した。

・ACES

2017年設立の東京大学松尾研発のAIスタートアップ。今まで統計的に活用しづらかった非構造データを構造化して企業のデジタル資本として活用する技術などに強みを持つ。これまでに開発してきたAIモジュールを蓄積しており、組み合わせることでAIの実用化を迅速に行うことができる。

・LayerX

2023年11月にAI・LLM事業部を立ち上げた。デモでは、生成AIを業務活用する上で、タスクを分割してAIに指示を出していくことの重要性を解説。さらに、2024年6月に発表したノーコード・ノープロンプト生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」を紹介した。

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その熱狂が、世界を変える。Microsoft AI Tour 産業別セッションレポート【金融サービス】〜公平性や信頼性を担保しながら AI 活用の基盤づくりを進める金融業界〜 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/04/17/ai-tour-2024-financial-services/ Wed, 17 Apr 2024 05:58:42 +0000 Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界11都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこのMicrosoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。
Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションとブースが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。本稿では、Microsoft AI Tour の 基調講演と、金融サービスにおけるセッションやブースについてご紹介します。

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AI 元年とも呼べる 2023 年から AI ソリューションの進化は止まることを知らず、全世界をうねりに巻き込んでいます。もはや AI が、インターネットやスマートフォンと同じく、世界を変革する新たなインフラになることは間違いないでしょう。

Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界 11 都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこの Microsoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。

本ブログ記事では、基調講演、及び、その後行われた金融サービスに関するセッションについてご紹介します。動画視聴リンクもございますのでぜひご覧ください。

AI Tour Tokyo Connection Hubの様子

基調講演
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」

AI Tour Tokyo基調講演

基調講演には、3000 名を超える来場者のほとんどが参加し、会場は熱気に包まれました。冒頭、日本マイクロソフト代表取締役社長の津坂美樹は、このイベントの目的を「AI の力でビジネスの成長を加速し、新たなソリューションやノウハウの交換を促進すること」であると語り、「Copilot は、Microsoft のミッションである “地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする” をまさに体現するプロダクト。今日から “AI 筋力” をつけるために Copilot を使い続けてほしい」と挨拶しました。

AI Tour Tokyo基調講演で登壇したMicrosoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏

続いて登壇した Microsoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏は、AI を「グラフィカル ユーザー インターフェース、モバイル、クラウドといったプラットフォーム シフトの中で、最も大きな規模の変革をもたらすもの」と捉えているとし、Microsoft の製品の開発や提供における方向性や戦略の解説を展開しました。

さらに先進 AI ユーザー企業である本田技研工業社とサイバーエージェント社からのゲストスピーカーと語らいながら、AI によるビジネス変換は未来の話ではなく、すでに現在進行形で行われているものであり、AI の徹底活用こそが、今後の競走優位性のカギとなることを会場に示しました。

最後に沼本は、AI トランスフォーメーションを実現するための Microsoft の取り組みについて総括。AI 活用の鍵は技術だけでなく事業戦略、組織、文化の課題であり、Microsoft はそれらを解決するための知見を持っていることを強調。「少子化、高齢化の進む我が国にとって国民一人ひとりの労働生産性を上げることは至上命題。そこに AI が貢献する機会は大きい」と、ここに集った日本の企業が AI 活用をリードする未来への期待を述べて、セッションを終了しました。

基調講演の視聴はこちら
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」


[金融] ブレイクアウトセッション
「急進する金融機関における生成 AI への取り組みと目指す今後の姿」

Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。

金融業界向けのブレイクアウトセッションでは、『急進する金融機関における生成 AI への取り組みと目指す今後の姿』と題したパネルディスカッションを開催いたしました。生成 AI 実装に向けた取り組みと今後のビジョンについて、日本マイクロソフト 巴山の進行のもと 4 名の有識者による情報共有と意見交換が行われました。

金融ブレイクアウトセッション

世界的にAI に対する期待が高まるなか、金融業界においてもすでにリスクマネジメントや不正検知、顧客体験の変革に生成 AI を活用しようとする動きが見られます。金融機関の AI トランスフォーメーション実現に向けては、AI を活用するカルチャーの醸成、従業員のリテラシー教育や研究者・技術者の育成、さらに公平性や信頼性を担保しながら AI を活用するための制度や基盤づくりが必要です。

みずほフィナンシャルグループの藤井氏より社内向けに展開したみずほ版 ChatGPT や、生成 AI アイデアソンの実施事例を紹介。アイデアソンでは、全社から約 2,000 件もの応募が集まったといいます。「事務手続きに関するマニュアルの改良」「融資稟議に使用するドキュメントの自動作成」など、優秀な 10 件のアイデアについては、実装に向けたプロジェクトを進行中。今後の取り組みについて、藤井氏は「プロセスの自動化・最適化を進めるとともに、顧客のニーズ分析を重ねながら顧客体験価値を高める新しいサービスの提供を目指したい」と話します。

日本生命保険相互会社では、Azure を活用しながら生成 AI 利用環境を構築し、すでに一部の社員の間で活用を開始しています。併せて、社内ナレッジ活用に向けたユースケースの社内公募も実施。「社内規定照会」「営業職員のロールプレイング支援」への活用に向けて現在検証を進めています。今後は「プロセス自動化、判断高度化の支援」を実現したうえで「顧客との限られた対面時間の価値を高め、最適な商品の提案を目指したい」と阪本氏。

業界全体でのデータ活用推進を目指す金融データ活用推進協会の岡田氏は「AI の実装化においては、経営陣や現場への説明、予算の獲得などさまざまな課題が存在している」と指摘。また、金融業界において避けては通れない金融規制や関連法規制について、同協会では業界に特化した生成 AI ガイドラインの作成(2024 年 4 月に公開予定)を進めていると言います。岡田氏は「金融業界共通のナレッジとして活用できるものにしていく」と意気込みを述べました。

「海外では AI を活用した業務効率化の動きが活発化している」と話すのは、マイクロソフトコーポレーションのランジャン。日本でも今後、同様の取り組み拡大が期待できるといいます。「弊社が提供する Copilot のようなツールを活用しながら業務効率化を実現いただき、そこで生まれた時間を新たなスキルの獲得や、あらゆるシーンでのイノベーション創出に向けた取り組みに使っていただきたいです」(ランジャン)。

金融ブレイクアウトセッションで対談する登壇者5名

生成 AI の業務適用にあたっては金融業界特有の課題も未だに多く残されています。岡田氏は「業界全体で成功事例を共有しながら、各社の成長と業界全体の底上げを進めていく取り組みが必要」であるとの考えを示し、他のパネリストもこの意見に同意を示されました。今後、企業を横断した取り組みの活発化が期待できるセッションとなりました。

[金融] シアターセッション
「アクセンチュアと Microsoft が考える金融機関の生成 AI を活用した未来像」

金融シアターセッション

シアターセッションでは、アクセンチュアの七宮氏と日本マイクロソフトの金子より金融機関における生成 AI 活用の未来像についてのセッションを行いました。

業界内での生成 AI 技術に対する期待が高まるなか、今後、生成 AI の実装フェーズに移行するにあたっては「あらゆる備えが必要」だと金子は話します。

生成 AI 技術を活用しながら新たなビジネス価値を創出するためには、「既存の業務プロセスに囚われず、ゼロベースで業務プロセスを再設計することが重要」と七宮氏。さらに、ビジネス部門と IT 部門の双方が安心して AI を活用し、業務を高度化させるためにはプラットフォームの整備が欠かせないと言います。

アクセンチュアは、複数の AI サービスを連携させながら業務変革をサポートする統合ソリューションプラットフォーム『AI Hub プラットフォーム』を 2018 年にリリース。このツールは、「AI の進化に備える」「複数の AI を組み合わせる」「データを蓄積して活用する」「責任ある AI の備え」の 4 つのコンセプトをもとに開発されました。

金融シアターセッションで登壇したアクセンチュア七宮氏

金融機関がプラットフォームの構築を進める際には、情報セキュリティに関しても細心の注意を払う必要があります。情報アクセスに関する権限管理の設定と管理のほか、クラウド環境上でプラットフォームを運用する場合は、「自社の情報セキュリティーポリシーに沿った運用ができるようにする必要がある」と七宮氏。

これに対し、金子は「『Azure Open AI Service』をはじめとするマイクロソフトの LLMには 『責任ある AI の原則』、出力されたデータに対する著作権保護を保証するコピーライトコミットメントを前提として提供されている」と説明。さらに、データの暗号化や監査ログ、アクセス制御などのセキュリティ機能について紹介したうえで「クラウドで提供するセキュリティ機能や認証機能を組み合わせ、プラットフォームに実装することでよりセキュリティを強化することも可能」と話します。

金融シアターセッションで登壇した日本マイクロソフト金子

最後に、金子は「2024 年は金融機関のお客様が生成 AI を活用してより業務の生産性向上、サービス向上に繋げていく 1 年になる」と自身の考えを示しました。続けて、「今後もアクセンチュア様と共に皆様のご支援をしてまいりたいと思います」と今後の展望を語り、セッションを締めくくりました。

金融ブースでは、AI による顧客コミュニケーションの進化やコンプライアンスへの適応についてご紹介

AI Tour Tokyo 金融ブース

会場内の金融のブースでは、動画とともに業界内で注目を集める AI の活用事例が紹介されました。

生成 AI では、OCR のようにテキスト情報を拾うだけでなく、画像やグラフを理解することも可能です。例えば、運用レポート内のグラフなどの画像データを理解し、解釈を加えたテキストを生成することができます。さらに、戸籍謄本から家系図を作成するといった複雑な処理も可能です。

ブースでは、金融業界で大きなテーマとなるコンプライアンスの観点からも AI が活躍できるシーンについて解説が行われていました。例えば、社内外へ送るメールを下書き状態で AI がチェックを行い、インサイダー取引やパワハラに該当する内容になっていないかを判別。リスク軽減はもちろん、上長のメール確認の手間を大幅に削減することが可能です。

また、AI が生成した人の画像がアバターとなり、画面内で動きながら音声でのやり取りが可能になる技術も紹介。現時点で、人と会話しているような、より自然なかたちでのコミュニケーションが行えるようになっています。アバターの性別や年齢、見た目もカスタマイズ可能です。顧客とのコミュニケーションのあり方を革新的に変化させる可能性を感じられる展示でした。

基調講演の視聴はこちら
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」




関連ページ:Microsoft AI Tour〜ビジョンをアクションに移す

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国内外の AI 活用事例と、導入・運用時に意識すべきポイント。金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナーレポート。 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/03/01/1206-aoai-seminar-for-financial-services-report/ Fri, 01 Mar 2024 00:00:00 +0000 2023 年 12 月 6 日 (水)、マイクロソフトは品川本社にて「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」を開催しました。本セミナーでは、AI を活用したトランスフォーメーションのために必要な情報、国内外の事例をご紹介。本稿では、当日行われた以下のプログラムの概要を紹介します。

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2023 年 12 月 6 日 (水)、マイクロソフトは品川本社にて「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」を開催しました。本セミナーでは、AI を活用したトランスフォーメーションのために必要な情報、国内外の事例をご紹介。本稿では、当日行われた以下のプログラムの概要を紹介します。

開会のご挨拶 ~ 生成 AI 活用を支援するマイクロソフトの想い

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、開会の挨拶で登壇した金子
金融サービス事業本部 業務執行役員 銀行・証券営業本部長 金子 暁

セミナーの冒頭、マイクロソフト金子が挨拶を行い、2023 年を振り返りながら、本セミナーへ込めた想いを語ります。「( 2023 年は)お客様が生成 AI に触れて、ビジネスの中でどのように使っていくかの議論が繰り返された 1 年だったと思います。マイクロソフトも、製品を一変させるような機能を提供していく準備があります。AI を活用したトランスフォーメーションをマイクロソフトが支援させていただく想いをセミナー名に込めました」

Microsoft Ignite 2023 Keynote 解説

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、Keynote 解説で登壇した吉田
マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 吉田 雄哉

最初のセッションでは、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 吉田 雄哉が、2023 年 11 月に US で開催された Microsoft Ignite 2023 のキーノートの内容をわかりやすく解説しました。

はじめに、キーノートの冒頭で「Microsoft は Copilot の会社である」と述べたサティア・ナデラのメッセージや、副操縦士である Copilot の世界観について次のように紹介しました。

・Copilot は、世界中の知識と組織の知識にアクセスするのに役立つ新しい UI である
・常にアクティブに人間が動いているときに相談する相手
・デジタルのパーソナルアシスタントがユーザーの意図を汲んで、様々な情報を検索し、分析、整理する

Copilot の開発背景 –アプリケーション間で統一されたインターフェースを実現する「Copilot stack」が拡充

ユーザーが Word や Excel といった様々なアプリケーションを開いた際、Copilot の解釈が異ならないように統一させたのが「Copilot stack」です。

「フロントエンドは、ブラウザや Word、Excel などのアプリケーションで、ユーザーが  AI に触れるインターフェースにあたる部分です。ここは、みんなが普通に使えるようになってくると差別化の要因にはなりません。回答生成だけでなく、複雑なことができるようになる連鎖反応を仕切るレイヤーがオーケストレーションです。そして、最終的に重要になってくるのが、バックエンドの部分。業務ノウハウや社内のデータを活用すれば、スケールアウト、差別化ができます」

Copilot を活用する 3 つのアプローチ

次に、Copilot を活用するアプローチについて、次のように語りました。

「ひとつ目が、用意されたものを使うアプローチです。アプリケーションを改造して Copilot を導入します。Microsoft が提供するアプリケーションに Copilot が練りこまれてくるアプローチです。ふたつ目が、より複雑な入口としてみて、その先を創りこんでいくアプローチ。アプリケーションを開発して Copilot を導入します。簡易的に拡張するアプローチとしては、カスタマイズし市民開発としてユーザーがアプリケーションを作れる『Copilot Studio』がリリースされてきます」

さらに、Microsoft Copilot for Sales では、Salesforce などのサービスと連携ができます。

「Salesforce の案件情報との連携など、他のシステム間を結合してくれます。さらに、Teams の会議の内容を自動的に読み取り、情報をトランスクリプト化しサポート。お客様からの問い合わせに対しても、コンテキストを見た上でドラフトを書くこともできるため、ホスピタリティ高い顧客対応が実現します。SaaS を提供している企業が Copilot Ecosystem の名のもとに、こういった連携をたくさん作ることを表明してくれています」

まとめ~ 生成 AI を活用するために必要な行動

最後に、次のようにまとめ、セッションを締めくくりました。

「体質を作るために、まずは生成 AI に加えられているサービスを利用していくことが重要です。また、社内のあらゆる仕事の中で生成AIを使えるようにしていくことが効果的。さらに、外に向けて新しいサービスを作っていくためには、社内システムの改造やデータを見えるようにしておく活動も重要です。自分たちはどんな情報を持っていて、それをどこで使うとビジネス的なインパクトがあるのかにフォーカスして、検討をしていただくのが良いと思います」

世界の成功事例から学ぶ Generative AI 活用と展開

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、AI 活用成功事例紹介で登壇した Ranjan
Amit Ranjan
Microsoft Corporation
Director, Financial Service Industry Advisor

次のセッションでは、Microsoft Corporation Director, Financial Service Industry Advisor Amit Ranjan 氏が、世界での AI 活用の成功事例を紹介しました。

「JPモルガンでは、IndexGPT を活用して、市場情報を集約し、富裕層だけでなく中間層のお客様にも投資を容易にする環境を整えました。お客様一人ひとりのニーズと予算に合わせたカスタマイズされたサービスを提供しています。BAJAJ FINSERV では、モバイル端末を通じたローンの事前承認と積極的なオファーにより、コールセンターの負担を軽減しました。オランダのABN・AMRO銀行では、コールセンターで顧客の問い合わせ理由を特定し、エージェントが迅速かつ正確に対応することで、通話時間を短縮し、コストを削減しつつサービスの質を向上させ、顧客満足度を高めることに成功しました。金融業界はマイクロソフトの最先端テクノロジーを駆使して、顧客のニーズに応え、業務の効率化と従業員の満足度向上を実現しています。これにより、ビジネスの枠組みが変わり、顧客サービスが次のレベルへと進化しています」

お客様事例 『三菱UFJ銀行×生成 AI 金融サービスの革新と展望』

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、お客様事例紹介で登壇した谷川氏
株式会社三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 AI・データ推進Gr 谷川 綾氏

次のセッションでは、株式会社三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 AI・データ推進Gr谷川 綾氏が、三菱UFJ銀行での活用の取り組みやユースケースについて、同社システム企画部DX推進Gr 中本 博久氏がシステム開発/リスク対応について紹介しました。

同行ではセキュアな環境で ChatGPT と同等のサービスを利用できるように、Azure Open AI Service を使い、2023 年 5 月末から社内での利用を開始。ユースケースの検証や、アイデアソンも開催したと言います。同年 11 月から国内の全社員約 3 万人向けのシステムをリリース。社内の業務への活用を本格化しています。

三菱UFJ銀行における AI 活用の取り組み

同行での活用の取り組みについて、谷川氏は次のように語ります。

「稟議作成アシスト、手続照会のふたつについて、初期検証の段階においては短期間の検証ながら多くの効果実感を得ることができました。金融レポートの要約サポートでは、検証段階で約 40 %の削減効果を実感。また、社内で出てきた 110 を超えるユースケースの深掘りを行い、更なる効果創出を図っていきたいと考えているところです」

AI 活用で見えてきた課題と対策

次に、谷川氏は AI を活用する中で見えてきた課題と、その対策について次のように語りました。

「ひとつ目が、『いきなり道具を渡されても使えない』という点。とある金融機関では、月間の ChatGPT のアクティブユーザー割合が 10% 未満でした。対策として、弊行ではアイデアソンでのノウハウ蓄積、充実した利用ガイドラインの作成、『業態横断 PT』を立ち上げ、様々なノウハウの共有を蓄積し、個々の対策を打っています。ふたつ目が、『生成 AI ならではの新たなリスク』です。生成 AI の登場により、多くの企業にとって AI のリスク管理の重要性が増していると考えます。弊行では元々 AI 管理手続きを設けていたのですが、その中に生成 AI 対応のアップデートを実施しました。また、利用者に向けて全社員向けに e ラーニングを提供しています。最後が、『ドキュメントの加工負担』です。社内に様々なファイル形式、構造のドキュメントがある中で、RAG にドキュメントをそのまま読み込ませても上手く回答されないことがわかってきました。そこで、( 2023 年) 10 月末時点で約 5 万件のドキュメントを前処理した上で RAG に格納し、検証を行っている状況です」

AI 環境のシステム詳細とリスク対策

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、お客様事例紹介で登壇した中本氏
株式会社 三菱UFJ銀行
システム企画部DX推進Gr 中本 博久氏

続いて中本氏が、生成 AI のシステム開発とリスク対応について、同行の取り組みを紹介しました。

「2020 年頃から、当行では Azure(IaaS) を利用した MUFG グループで利用可能な共同基盤を構築しています。今回はこの共同基盤の上で ChatGPT のシステムを作りました。この共同基盤システムの構成はハブスポーク構成を採用しており、ハブに監視などの共通機能を集約し、ゲストシステム単位でスポークを作る構成にしています。ゲスト単位のスポークには各業態のデータセンターから専用線を通してハブ経由で繋ぎ、ゲストシステム間は直接通信しないようなセキュアな構成にしています。また、グループ会社ごとにテナントを分けることで銀証ファイアウォール規制といったコンプライアンスリスクにも対応できる構成にしています。
今回の ChatGPT システムの開発手法についてはアジャイルとウォーターフォールを組み合わせています。ユースケース検証用の PoC 環境についてはアジャイルを採用し、システム企画部で内製開発を行いました。また、全社員向けの本番環境の開発時にはウォーターフォールを採用し、開発会社 (MUIT) に開発を委託しました。この対応によりスピードと品質の両方を実現しました。」

今後の展望

最後に、中本氏は今後の展望について語りました。

「社員が ChatGPT を利用したチャットやファイル検索を行えるようになりましたが、今後は Copilot for M365 導入等、手元のファイルへの対応も行いたいと考えています。また、開発を行う社員の支援として GitHub Copilot の導入も検討していきます。一方で社員からの ChatGPT の直接利用以外の観点では、業務システムからの ChatGPT 利用の為の API の仕組みの導入や社内のデータを蓄積しているシステムとの自動連携を予定しています。」

生成 AI モデル選択と導入アプローチ ~RAG と Finetune の使い分け~

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、生成 AI モデル選択と導入アプローチの紹介で登壇した大谷
業務執行役員 クラウド& AI ソリューションズ事業本部
データプラットフォーム統括本部 統括本部長  大谷 健

次のセッションでは、マイクロソフト業務執行役員 クラウド& AI ソリューションズ事業本部 データプラットフォーム統括本部 統括本部長  大谷 健が、生成 AI を運用する上で大切なステップについて紹介しました。

「この 1 年、AI を活用する中でお客様から、正しく聞いているのに正しく答えてくれない状況(ハルシネーション)もあったと聞いています。嘘をついているというのは、『データがない』だけなのです。そのため、まず手をつけるべきは社内のナレッジベース( Your Data )。データにも構造化(数字的なデータ)と非構造化(テキスト)の 2 種類がありますが、それらにオペレーショナルとトランザクション・データを掛け算することで、多様性のある膨大なデータになり、それを利活用することができます」

これらのデータは家で例えるなら 1 階部分。その上で、「Your Prompts」「Your App」の順で考えていくことが重要だと続けます。

「この質問だったら正しく答えてくれるというプロンプトを使いながら見つけること、つまり、問いかけ上手になることが大切です。ここまでで、ある程度良い答えを回答してくれるようにはなります。ただ、生産性は上がるけれども、イノベーションとまではいきません。そこで重要になるのが、『Your App』の部分。UI・UX が生成 AI に合った形でアプリケーションを作るべきですし、アプリケーションを制作してこそのイノベーションです。ただ単に単独で存在しているのではなく、皆様が普段使っている業務アプリケーションの中に入り込んでいくことが大切です」

AI 環境を整えるためのマイクロソフトの支援

次に、大谷はそうした環境を実現するためのマイクロソフトの支援について語ります。

「AI 管理コンソール Azure AI Studio には、イノベーションを生み出すためのデータなどが詰め込まれています。早くイノベーションを起こしたい場合には、活用してショートカットしていただければと思います。他にも、生成 AI と一緒にコーディングができる『GitHub Copilot』、プロの開発者だけでなく市民開発者がアプリケーションを作れる『Power Platform』も用意しています。また、データを安全に保存するデータベースなど、マイクロソフトでは様々なサービスを提供しています。ORACLE、Snowflake、Databricks に入っているデータとも連携可能です」

LLM (大規模言語モデル)を最適化していく方法

OpenAI 社の提供する ChatGPT だけではなく、AI には様々な選択肢があります。それらを目的別に使い分けていくことが重要だと大谷は語ります。

「マイクロソフトは『選択肢を提供する』ことを心がけており、それぞれの領域に強い LLM も選択肢として提供できるスタンスを取っています。性能とコストのバランスを見ながら、タスクや使用目的に応じてモデルを使い分けることが重要です。また、生成 AI を使ったユースケースの 90 %は、RAG とプロンプトエンジニアリングでカバーできます。残りの 10 %は、90 %をやり切った後に、ファインチューニングすることを推奨します。ファインチューニングから始めてしまうと、今までできたことができなくなる例もあります。まず LLM を選んでいただき、それを RAG やプロンプトエンジニアリングで良くしていただいて、実際にアプリケーションを導入する。その PDCA を回していく『LLM ライフサイクル』を実現してほしいと思っています」

マイクロソフトにおける責任ある AI と Customer Copyright Commitment

「金融機関向け AI Transformation with the Microsoft Cloud セミナー」にて、マイクロソフトの AI ガバナンスの取り組み紹介で登壇した中島
政策渉外・法務本部 中島 麻里

最後のセッションでは、マイクロソフト政策渉外・法務本部 中島 麻里が、ガバナンス面におけるマイクロソフトの取り組みを紹介。はじめに、AI 事業者としての取り組みについて、中島は次のように語りました。

「現在は、AI を利用するフェーズと、実際に AI に対してどのような法規制を設けるべきかという議論が同時並行して進んでいる段階です。マイクロソフトは、生成 AI のガバナンスに関する国際指針、行動規範といった部分に、生成 AI の事業者として、積極的に関与・支援をしています。製品にはコンテンツフィルタリングを設けるなど技術面による保護に加えて、実際に生成 AI サービスを使っていただく際の契約条件も改良しています」(中島)

責任ある AI のガバナンスフレームワーク

次に、中島は責任ある AI のガバナンスフレームワークにおける 6 つの原則について語ります。

「公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、包摂性が大切な価値観です。これら 4 つの価値観を支えるものとして『透明性』と『説明責任』が必要と考えています。」
続けて、中島はマイクロソフトが提供する、透明性に関するツール「Transparency Documents」について語ります。

「Transparency Documents」とは、MS の生成 AI サービスについて、どういったユースケースが向いているのか、使用する上で何を考慮する必要があるのかを文書化しウェブサイトで発表しているものです。皆様が AI のシステムを作る際、役立てていただきたいのが『Impact Assessment Template』です。AI システムが人や組織、社会に与える影響を分析するためのアセスメントテンプレートとしてご活用いただければ幸いです」

Customer Copyright Commitment

セッションの後半では、生成 AI をより安心して使用してもらうために 2023 年 9 月にマイクロソフトが発表した「Customer Copyright Commitment」の内容について語りました。

「Microsoft の生成 AI サービスの利用に関して、お客様が第三者から著作権や特許権等の知的財産権の侵害を主張された場合には Microsoft が防御いたします。2023 年 11 月の IGNITE で Azure OpenAI Service も対象とすることを発表しました。Microsoft は、生成 AI の事業者として、製品の利用者であるお客様を支援することは重要と考えています。クリエイターからは『自分たちの著作権が侵害されるのではないか』、お客様からは『意図せず権利侵害というリスクを負うのではないか』という懸念を聞くことがあります。それらの懸念に対し、生成 AI の事業者として Microsoft が何らかの対応をするのが適切と考え、Customer Copyright Commitment を発表しました。また、この Commitment の適用にあたっては、MS サービスに組み込まれている権利侵害を軽減するためのセーフティーガードを利用いただくことを条件としています。」

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「Japan FinTech Week 2024」参画のご案内 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/01/30/japan-fintech-week-2024/ Tue, 30 Jan 2024 03:15:16 +0000 日本マイクロソフトは、2024 年 3 月 4 日~3 月 8 日に初開催される、金融業界向けイベントウィーク「Japan Fintech Week 2024」に参画いたします。また同時に、本イベントウィークの中核となる、本年で 8 回目開催の「FIN/SUM 2024 (フィンサム 2024) 」へもゴールドスポンサーとして出展いたします。

本年の「FIN/SUM」は、「“幸福な”成長をもたらす金融」をテーマとしております。ビッグデータ解析、ブロックチェーン、そして AI のさらなる活用を通じ、預金に偏重しているニッポンマネーを資産運用やベンチャー投資を通して経済成長の実現を目指すと共に、環境問題や多様性・人権配慮といった社会的課題への解決策を導く事で、経済価値の追求と人々の幸福の両立を模索していきます。開催期間中は、シンポジウム・ワークショップ・インパクトピッチ・ネットワーキング等多様なプログラムが用意されています。その中でマイクロソフトは、金融業界の皆様に向けて、信頼性の高い AI 活用と取り組みなどを中心に紹介し、DX 推進のための情報やご支援策についての情報発信を先導してまいります。

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日本マイクロソフトは、2024 年 3 月 4 日 ~ 3 月 8 日に初開催される、金融業界向けイベントウィーク「Japan Fintech Week 2024」に参画いたします。また同時に、本イベントウィークの中核となる、本年で 8 回目開催の「FIN/SUM 2024 (フィンサム 2024) 」へもスポンサー出展いたします。

本年の「FIN/SUM」は、「“幸福な”成長をもたらす金融」をテーマとしており、ビッグデータ解析、ブロックチェーン、そして AI のさらなる活用を通じ、預金に偏重しているニッポンマネーを資産運用やベンチャー投資を通して経済成長の実現を目指すと共に、環境問題や多様性・人権配慮といった社会的課題への解決策を導く事で、経済価値の追求と人々の幸福の両立を模索していきます。開催期間中は、シンポジウム・ワークショップ・インパクトピッチ・ネットワーキング等多様なプログラムが用意されています。その中でマイクロソフトは、金融業界の皆様に向けて、信頼性の高い AI 活用と取り組みなどを中心に紹介し、DX 推進のための情報やご支援策についての情報発信を先導してまいります。

皆様の「Japan Fintech Week 2024」のご参加をお待ちしております。

■出展概要

FIN/SUM2024 (フィンサム2024) 〜“幸福”な成長をもたらす金融

【日本マイクロソフト 協賛プログラム】

[開催期間] 2024 年 3 月 5 (火) 〜 8 日 (金) 
[会場] 丸ビルホール (丸ビル 7F) 、丸ビルコンファレンススクエア (同 8F) 、
   マルキューブ (同 1F) 、コンファレンススクエアM+ (三菱ビル 10F)
[主催] 日本経済新聞社、金融庁
[お申込み方法] 公式サイトにてご確認ください
[注目プログラム]

●シンポジウム
[会場] 丸ビルホール (丸ビル 7F)

開催日時     セッション名スピーカー
3/5 (火)
10:50-11:30
Generative AI が変える金融機関の未来
~Microsoft Japan will Empower and Copilot Your Growth~
津坂 美樹            
 日本マイクロソフト株式会社
 代表取締役 社長 

金子 暁
 日本マイクロソフト株式会社
 業務執行役員
 金融サービス事業本部
 銀行・証券営業本部長     

●ワークショップ
[会場] 丸ビルコンファレンススクエア (丸ビル 8F)

開催日時    セッション名           スピーカー             
3/5 (火)
17:40-18:30
AI 活用を推進するための AI ガバナンスLee Hickin
 AI Policy and Technology
 Advocacy Lead,
 Microsoft Asia

Japan FinTech Festival

[開催日] 2024 年 3 月 4 (月) ~ 8 日 (火)
[会場] 江戸総鎮守 神田明神、ほか
[主催] Elvandi Japan
[概要] 「Japan FinTech Week」の一環として開催される、日本と世界のコミュニ
   ティが一体となり、テクノロジー主導の金融サービス革新に取り組むこと
   を目的としたイベントです。政策立案者、技術者、ビジネスリーダー、投
   資家が参加し、金融サービスの将来の成長に関する様々な側面について包
   括的な対話を行います。
[お申込み方法] 公式サイトにてご確認ください
[注目プログラム]

●パネルディスカッション

開催日時    セッション名        スピーカー
3/4 (月)
15:50-16:40
The AI Hour: Application of AI in Financial ServicesMr. Brent Wagener          
 Principal Security Specialist,
 GitHub Japan

荒濤 大介
 日本マイクロソフト株式会社
 執行役員 常務
 金融サービス事業本部長

FINOPITCH 2024

[開催日] 2024 年 3 月 7 日 (木) 10:00-20:00
[会場] 観世能楽堂 (GINZA SIX B3)
[主催] 株式会社 FINOLAB/一般社団法人 金融革新同友会 FINOVATORS
[概要] 今回で 12 回目の開催の「FINOPITCH」は、FinTech スタートアップによる
   技術革新やビジネスモデルを紹介し、内外の交流機会を拡げていくピッチ
   コンテストです。
[お申込み方法] 公式サイトにてご確認ください
[注目プログラム]

開催日時  セッション名        スピーカー          
3/7 (木)
16:45-
Fireside Chat伊藤 千恵 氏
 株式会社 FINOLAB
 代表取締役

津坂 美樹
 日本マイクロソフト株式会社
 代表取締役 社長 

4F (FINOLABがJapan FinTech Week中に開催するイベントの詳細)はこちら


Japan FinTech Week についてはこちら (金融庁のサイトに遷移します)

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最新事例から学ぶ、Copilot の活用シナリオとは?「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」現場レポート http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2024/01/05/copilot-for-microsoft-365-seminar-report/ Fri, 05 Jan 2024 04:54:00 +0000 2023 年 11 月 20 日 (月)、マイクロソフトは品川本社にて「金融業界向け Copilot セミナー」を開催しました。本セミナーでは、11 日 1 日 (水) に一般公開した Copilot についての全体像、具体的な活用方法などをご紹介。本稿では、当日行われた以下のプログラムの概要を紹介します。当日の内容はオンデマンド配信でも視聴可能です。

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2023 年 11 月 20 日 (月)、マイクロソフトは品川本社にて「金融業界向け Copilot セミナー」を開催しました。本セミナーでは、11 日 1 日 (水) に一般公開した Copilot についての全体像、具体的な活用方法などをご紹介。本稿では、当日行われた以下のプログラムの概要を紹介します。当日の内容はオンデマンド配信でも視聴可能です。

※オンデマンド配信はこちら

【プログラム】

講演の挨拶~Microsoft の AI 全体戦略と Copilot for Microsoft 365 の位置づけ
金融サービス事業本部 業務執行役員 銀行・証券営業本部長 金子 暁
Copilot for Microsoft 365 の金融機関向けご活用シナリオ
テクニカルスペシャリスト 富澤 聡
Dynamics 365 Copilot/Power Platform Copilot のご紹介/金融機関向けご活用シナリオ
ビジネス統括本部 瀬戸 瞳
Responsible AI と Customer Copyright Commitment
政策渉外法務本部 中島 麻里


講演の挨拶~ Microsoft の AI 全体戦略と Copilot for Microsoft 365 の位置づけ

「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」で登壇した金子
金融サービス事業本部 業務執行役員 銀行・証券営業本部長 金子 暁


2022 年 11 月に ChatGPT が登場してから 1 年。生成 AI への認知度も高まり、実際にシステムの検討を始める企業が増えた「激動の年」だったと、日本マイクロソフトの金子が、冒頭の挨拶に続いて話します。マイクロソフトでは 2023 年 11 月 1 日に、Copilot を全世界に公開。Copilot という名前には、「人間の副操縦士」という思いが込められています。

マイクロソフトでは、あらゆる生成 AI の機能を追加し、製品を一変させていく取り組みを進めています。金子は「様々な業務のアプリケーションに Copilot を活用することで、劇的に業務の生産性・効率性を上げていくことを支援していきたい」と挨拶を締め括りました。

Copilot for Microsoft 365 の金融機関向けご活用シナリオ

本セッションでは、マイクロソフトの富澤が、Copilot for Microsoft 365 (旧Microsoft 365 Copilot) の位置付けと機能を紹介し、実際にどのように活用できるのかをデモンストレーションしました。

「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」で登壇した富澤
テクニカルスペシャリスト 富澤 聡


副操縦士として身近な存在である Copilot

富澤は、はじめに「Copilot for Microsoft 365」の位置付けについて紹介。Word、Excel、PowerPoint、Teams、Outlookなど、日常業務で使用しているツールの動線上に AI が溶け込んでくる時代が来ると話し、「より身近な存在として Copilot が強い味方になる」と強調しました。Copilot はあくまで副操縦士であり、最終的なビジネスの判断は人間自身が下していくことが必要ですが、24 時間 365 日いつでもそれを支援してくれる存在であると話します。

次に、実際に富澤が業務で使用している Copilot の機能を紹介するデモンストレーションを行いました。

・【銀行業界向け】Teams を活用したオンライン会議の要約、発言回数・発言率の数値化。
・【証券業界向け】Word、PowerPointを活用した資料の自動作成。
・【生損保向け】Excelを活用したデータからインサイトを得るデモ。

金融機関様における日常業務

Microsoft Teams の Copilot 機能を活用することで、不参加のオンライン会議の内容をキャッチアップする時間を大幅に短縮することができます。また、富澤は「社内のデータベースにアクセスできる点が Copilot の大きなメリット」と話します。Word、PowerPoint、Excelでは、プロンプトを入力するだけで資料を自動生成することも可能です。

※Excel は英語のみ対応。2024 年の 1 月から 3 月の間に日本語対応予定。

Microsoft 365 が使えている環境であれば、ネットワーク環境を変更せずに Copilot を利用することができます。ただし、Copilot を利用するためには、Microsoft 365 Apps が最新チャネルであることが必要です (2023 年 12 月からは、月次チャネルでの対応も可能となりました)。

Copilot で実現する生産性革命

先行利用しているユーザーからは、「毎日使っているツールで AI を使えるのは非常にありがたい。画期的だ」「文章生成系はかなり精度が高く、Teams 会議の要約だけで、ROI を見込めるのではないか」というお声をいただいています。

Copilot を通じて生産性革命を実現していくためには、一般の行員・社員の方々が日常業務でどれだけ AI を活用できるかが鍵です。今まで外部のお客様向けの AI 活用がメインだったものを、行員・社員の方まで広げることで、無駄な業務にかかる時間の削減ができます。富澤は「タイムパフォーマンスを上げていくための、メインになるのが Copilot for Microsoft 365 です。確実にパラダイムシフトを起こす製品になると信じています」と話します。

最後に、富澤は開発者・IT プロフェッショナル向けの年次会議「Microsoft Ignite」で発表された最新情報について紹介し、本セッションを締め括りました。

【Microsoft Ignite で発表された最新情報】
・Teams:会議中にメモを自動生成してくれる Collaborative Notes、会議のリキャップ機能が統合される。
・Word:ユーザーの好み/興味ポイントを考慮しパーソナライゼーション。
・PowerPoint:Microsoft Designer を活用して AI による画像の自動生成。
・Outlook:会議の自動調整。

Copilot for Microsoft 365 最新情報 from Ignite


Dynamics 365 Copilot/Power Platform Copilot の紹介【金融機関向けご活用シナリオ】

本セッションでは、ビジネスアプリケーションにまつわる AI 活用について、マイクロソフトの瀬戸がデモンストレーションを交えながら解説をしました。

「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」で登壇した瀬戸
ビジネス統括本部 瀬戸 瞳


瀬戸は、はじめに業務アプリケーションに搭載された「Dynamics 365 Copilot」について紹介。「業務の中で日常的に利用できる AI として、手早く迅速にインサイトを得て、飛躍的に業務を効率化が可能。メール文章の作成、マーケティング向け配信メールコンテンツの作成、タスクの自動抽出を自然言語で利用できることを紹介しました。

Sales Copilot のデモンストレーション (営業担当者の例)

Dynamics 365 Copilot は、営業、マーケティングからカスタマーサービス、サプライチェーンに至るまでビジネス機能の全般に AI を活用して担当者をアシストする業務支援機能です。

瀬戸は、企業の営業担当者は、1 日のうち 66% ほどの時間をメールのチェックや返信などの事務作業に費やしているというデータを紹介。「営業担当者がお客様とのコミュニケーションや商談の成立に集中するために、Copilot (Dynamics 365 Sales) を活用して欲しい」と話し、メール作成のデモンストレーションを行いました。この機能の大きな特徴は、お客様の情報が CRM 内に登録されている場合、そのお客様の情報や紐づく案件情報を関連付けてメールを作成してくれる点です。また、「礼儀正しく」「友好的に」など文章のトーンについても指示をすることができます。

Customer Insights のデモンストレーション (マーケティング担当者の例)

次に、マーケティング担当者の例を挙げて Customer Insights のデモンストレーションを行いました。マーケティングの担当者がメールを書く際の文章の内容、差し込むべき素材、色合いといったメールの作成業務全体を AI が支援します(現在英語のみ対応)。

デモンストレーションの最後には、Dynamics 365 Customer Service のチャットボット機能を紹介。これまでは、決まった単語やフレーズに対する回答をその都度用意する必要があり、増え続ける単語を追加・修正・最新化する作業に、多くの工数を取られる点が課題だったといいますこの機能では、指定した Web サイトの URL をチャットボットの AI が解析し、わかりやすく文章に要約した上で回答をしてくれます。「例えば、コールセンターなどで外部の情報や社内のウェブサイトのナレッジベースを参照できるように設定することで、お客様とのリアルタイムチャットで AI が回答を生成してくれたり、お客様がウェブサイトを開いて解決させたりといったことが可能になります」(瀬戸)

※現在、Dynamics 365 Customer Service のチャットボット機能は英語のみ対応しています。

ローコードアプリケーション開発における Copilot の活用

続いて瀬戸は、ローコード、ノーコードでアプリケーション開発ができる PowerAppsとワークフローの作成ができる Power Automate で活用できる Copilot 機能について紹介しました。

Power Apps の Copilot 機能では、Excel ファイルからアプリを自動生成することが可能です。例えば、Excel データに「備品一覧リスト」「貸出日時」などの列を用意するだけで、画面上から社内の備品管理アプリを作ることができます。また、業務画面からは、新しいデータの登録、既存データの編集、参照、更新が可能。「アプリケーション開発に慣れていない方でも、自動生成されたアプリケーションの基礎となる部分を活用することで、迅速に効率的にアプリケーションを開発できます」(瀬戸)

次に、自然言語でワークフロー自動生成することができる Power Automate の機能について紹介しました。この機能では、文書で指示をすることによって AI が内容を解析。何をきっかけにワークフローを起動すればよいのか、その後のアクションとしてどういった処理を行えばよいのかを判別してくれます。「自分自身でワークフローを構築するのは少し敷居が高いと感じていたユーザーも、手元の業務を効率化するために、簡単なワークフローを作成できるようになります」(瀬戸)

金融機関向けの 2 つのシナリオ例

最後に、Power PlatformとAzure Open AI を組み合わせた金融機関向けのシナリオ例を ふたつ紹介しました。

ひとつ目が、質問文からキーワードを抽出して、社内文書から FAQ の回答を行う機能です。あらかじめ探したい資料の場所を指定しておくだけで、資料の中身まで検索をして最適な回答文書を自動的に作成して提案してくれます。

ふたつ目が、メールを自動化して取り込む機能。メール内の情報を AI に読み込ませ、必要な箇所だけを抽出し、人の確認後に、自動的に基幹システムや自社システム、RPA などに連携される仕組みを作ることができます。

瀬戸は、「マイクロソフトでは様々な業務シーンで Copilot を活用していただくことで、普段の業務を飛躍的に効率化するとともに、お客様対応などの時間を増やし、業務時間をより有効的にご活用できると考えております」と本セッションを締め括りました。

Responsible AI と Customer Copyright Commitment

最後のセッションでは、マイクロソフトの中島が、AI サービスを安心してお客様に使っていただくための取り組みについて紹介しました。

「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」で登壇した中島
政策渉外法務本部 中島 麻里


責任ある AI の開発と利用

AI によるサービスは、業務効率化など人の負担を大幅に軽減してくれる一方、フェイク画像が不適切に利用されてしまうなど、不適切利用の課題もあります。テクノロジーを開発する事業者は大きな責任があると考え、マイクロソフトでは責任ある AI の開発と利用を宣言しています。2016 年には、サティア・ナデラが責任ある AI の取り組みについての方向性を発表。毎年少しずつ進化を重ねています。

マイクロソフトには、「責任ある AI における 6 つの基本原則」が用意されていますが、微妙な解釈のズレがあり、原則だけでは、実際の開発に落とし込むことが難しいと中島は話します。「AI 開発をするエンジニア、AI 製品を取り扱う社員がそれぞれの職責に応じて AI 原則を具体的に実施できるように、『ポリシーと基準』を定めています。さらに、定期的な社内トレーニングや、意識をしなくても自然と実践できるような社内ツールを作成し、それに対してテストを重ねています。日々内容をアップデートするガバナンスフレームワークを日々回しています」(中島)

次に、中島はマイクロソフトが Web サイト上で公開している Transparency Documents についてご紹介。責任ある AI 原則のひとつである「透明性」に関するツールで、Microsoft の AI テクノロジーを活用するときに避けるべきリスクなどを公開しています。「Microsoft 自身の透明性を高める目的に加え、皆さんに共有し、フィードバックをいただくことで、さらに改良していくエコシステムを作ることも大きな目標」(中島)

続いて、中島はマイクロソフトの AI 保証プログラムについて紹介しました。AI 保証プログラムは、リーガルレギュラトリーコンプライアンスについて、マイクロソフトの学びを共有するものです。「法規制対応に関してマイクロソフトもお客様をサポートしますという心意気のようなものと捉えていただければ」(中島)

Copilot によるアウトプットの権利の所在

最後に、中島は Microsoft の AI とデータについての方針について触れました。生成 AI からのアウトプットはお客様のものであり、Microsoft が権利を主張しないこと、インプットやアウトプットを AI モデルの基盤 AI モデルの学習には使用しないと話します。これは、Microsoft クラウドサービスの高度なコンプライアンス セキュリティ制御の生成 AI についても適用されます。

また、中島は 2023 年 9 月に発表した「Copilot Copyright Commitment (CCC)」についても言及。ユーザーやクリエイターが持つ以下の懸念について、製品を提供している Microsoft が積極的に解決、責任を負うのが適当との解釈を示しました。「アウトプットを使うことで、第三者の権利を侵害するのではないか」「自分の大切な作品が生成 AI によって権利を侵害されるのではないか」。

Copilot には、著作権を尊重するためのさまざまな安全装置を組み込んでいます。また、Copilot サービスそのものが権利を侵害している、もしくは Copilot のアウトプットが誰かの権利を侵害している、それらを理由に、お客様が第三者から訴えられた場合、一定の条件を満たしていれば、マイクロソフトがお客様を防御すること、万が一賠償金を支払うというようなことになった場合には、マイクロソフトがその金額を支払うことを説明しました。

ただし、これからの防御の対象となるには、以下の 3 つの条件を満たしていることが必要です。

1)組み込まれているコンテンツフィルターやメタプロンプトの制限など、権利侵害を防ぐためのシステムを無効化したり、回避したり妨害しないこと
2)アウトプットの利用時、必要に応じて変更を加えても良いが、誰かの権利を侵害するような利用はしない
3)インプットには、使用してはいけないデータを使わない。
※Azure Open AI は対象外ですが、12 月 1 日から Azure オープン AI も CCC の対象とするということを発表しました(一定の条件を満たす必要があります)

中島は、「機能面でも契約面でも、生成 AI のサービスは日々改良を重ねています。今後も更なる改良のため、ぜひ皆様にご利用いただいて、フィードバックをいただければと思っております」と本セッションを締め括りました。

セミナー終了後は、参加者、登壇者が参加する懇親会を開催

セミナー終了後には参加者、講演者が交流する懇親会が行われ、参加者と登壇者が意見を交わしました。登壇者を囲んでの談笑や、Surface のデモ機を使用した説明が行われるなど、一体感のある交流の場となりました。

「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」終了後の懇親会の様子 1
「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」終了後の懇親会の様子 2
「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」終了後の懇親会の様子 3
「Microsoft 金融機関向け Copilot for Microsoft 365 セミナー」終了後の懇親会の様子 4


オンデマンド配信

オンデマンド
前編
     
講演の挨拶~Microsoft の AI 全体戦略と Copilot for Microsoft 365 の位置づけ
金融サービス事業本部 業務執行役員 銀行・証券営業本部長 金子 暁
Copilot for Microsoft 365 の金融機関向けご活用シナリオ
テクニカルスペシャリスト 富澤 聡
オンデマンド
後編
Dynamics 365 Copilot/Power Platform Copilot のご紹介/金融機関向けご活用シナリオ
ビジネス統括本部 瀬戸 瞳
Responsible AI と Customer Copyright Commitment
政策渉外法務本部 中島 麻里

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FIT2023 レポート:副操縦士として、金融機関の DX を強力にサポート。日本マイクロソフトの戦略! http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/financial-services/2023/12/31/fit2023-event-report/ Sun, 31 Dec 2023 12:38:13 +0000 2023 年 10 月 26 日(木)・27 日(金)に開催された金融国際情報技術展「FIT2023」では、日本マイクロソフトが昨年に引き続きブースを構えた。

今回のテーマは「Power Your AI Transformation with the Microsoft Cloud」。11 月 1 日より提供が開始された Copilot for Microsoft 365、ChatGPT や GPT-4 をはじめとする多様な生成 AI モデルが利用可能な Azure OpenAI Service、AI がコーディングの支援をする GitHub Copilot などを紹介するブース構成だ。

また、27 日にはパートナー企業とともに、マイクロソフトの金融業界に向けた取り組み、AI を最大限活用するための最新情報、業務効率化ツールや DX ソリューション、多数の金融業界事例の紹介など、最先端のナレッジを凝縮した 8 つのセミナーを開催した。

日本マイクロソフトは、その革新的な技術とソリューションで、金融業界にどのような貢献を果たそうとしているのか――。本稿では、同社の金融業界向けの施策とセミナーの概要を紹介する。

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※本ブログは、金融総合専門誌「ニッキン」による情報サイト「digital FIT」にて 2023 年 12 月 1 日に公開された[FIT2023レポート]副操縦士として、金融機関のDXを強力にサポート。日本マイクロソフトの戦略!の再掲です。

2023 年 10 月 26 日(木)・27 日(金)に開催された金融国際情報技術展「FIT2023」では、日本マイクロソフトが昨年に引き続きブースを構えた。

(本記事内で紹介する各セミナーは YouTube でご視聴いただけます)

今回のテーマは「Power Your AI Transformation with the Microsoft Cloud」。11 月 1 日より提供が開始された Copilot for Microsoft 365、ChatGPT や GPT-4 をはじめとする多様な生成 AI モデルが利用可能な Azure OpenAI Service、AI がコーディングの支援をする GitHub Copilot などを紹介するブース構成だ。

また、27 日にはパートナー企業とともに、マイクロソフトの金融業界に向けた取り組み、AI を最大限活用するための最新情報、業務効率化ツールや DX ソリューション、多数の金融業界事例の紹介など、最先端のナレッジを凝縮した 8 つのセミナーを開催した。

日本マイクロソフトは、その革新的な技術とソリューションで、金融業界にどのような貢献を果たそうとしているのか――。本稿では、同社の金融業界向けの施策とセミナーの概要を紹介する。

日本マイクロソフト・金子
日本マイクロソフト・金子氏

金融業界特化型クラウドサービス Microsoft Cloud for Financial Services の提供など、金融機関の DX推進に力を注ぐ日本マイクロソフト。金融サービス事業本部 銀行・証券営業本部長の金子暁氏、同じく金融サービス事業本部 保険・地域金融営業本部長の長町浩史氏に、同社の金融業界に向けた取り組みや今回の出展の狙いについて話を聞いた。

日本マイクロソフトが金融機関の DX 支援に向けたソリューションで重視しているのは、「革新的な顧客体験」「業務効率の向上」「金融犯罪への対応(不正防止/リスク・コンプライアンス対応)」――。すなわち、同社はクラウドサービスを通じ、金融サービスにおける優れた顧客体験、従業員のコラボレーション、高度なセキュリティと安全性を提供することを目指している。

「そこに生成 AI という新たなテクノロジーを加えることで、『革新的な顧客体験』『業務効率の向上』『金融犯罪への対応』をさらに加速させるソリューションを提供していく。例えば、生成 AI の得意な領域の 1 つとして、自然言語をシステム言語に書き換えてシステムに指示を出す、つまり人間とシステムの橋渡しがある。生成 AI によって人間とシステムとの会話がスムーズになれば、多種多様なシステムを使用する金融機関では業務効率が格段に向上するのはもちろん、よりよい顧客サービスの提供にもつながると考えている」と金子氏。

日本マイクロソフト・長町
日本マイクロソフト・長町氏

そのうえで、今回の出展の目的は大きく 2 つあるとした。「1 つは、生成 AI という新たなテクノロジーを搭載した当社のソリューションに触れていただきたいということ。もう 1 つは、今回の展示やセミナーを通し、当社とパートナー企業との連携やエコシステムについても認知していただきたいということだ」と金子氏。

今回、日本マイクロソフトが金融業界向けに提供する主要な生成 AI ソリューションは、Microsoft 365 Copilot、Azure OpenAI Service、Sales Copilot の 3 つ。

Microsoft 365 Copilot は、Word や Excel、PowerPoint、Outlook、Teams など従来の Microsoft 365 に生成 AI が組み込まれた新時代のソリューションである。例えば、Copilot in Word は、自然言語で簡単な指示を与えるだけで、必要に応じて組織内の情報を盛り込みながら文章の下書きを作成する。文章の要約や推敲のサポートなども可能だ。Copilot in Excel はデータの分析と探索を支援する機能を有し、これによりユーザーは掘り下げた分析が可能となる。また、Copilot in PowerPoint は、既存の文書をプレゼン資料に変換したり、簡単な指示でプレゼンテーションを新規作成したりできる。Microsoft 365 Copilot の活用により、圧倒的な業務効率化を実現することができるだろう。

Azure OpenAI Service は、ChatGPT や GPT-4 をはじめとする多様な生成AIモデルを Microsoft Azureのクラウドプラットフォーム上で利用できるサービスだ。Azure OpenAI Service を使うことで、AI の専門知識がなくてもアプリケーションやサービスを容易に構築することができる。また、高度なセキュリティを実現する Microsoft Azure のクラウドプラットフォーム上で提供されるため、データ保護の観点でも優れていることから、企業や自治体などの大きな注目を集めている。

そして、Sales Copilot は営業チームの日常業務の生産性向上と効率化を支援する AI アシスタントである。CRM システムへの顧客情報の登録や取得の自動化、メールコンテンツの作成、メールや会議の内容の要約などが可能だ。また、取引先企業に関する最新ニュースなどを読むことができるチャットインターフェイスも備わっている。

「これら生成 AI を組み込んだソリューションの導入により、業務で利用するデジタルツールをより簡単に、かつ最大限使いこなしていただけるようになるだろう」と金子氏。また、長町氏はほぼすべての地方銀行が生成 AI に関心を寄せており、同社への問い合わせも増えているとしたうえで、「生成 AI をめぐる社会動向や金融機関における検討状況などを勘案すると、生成 AI 導入は当社製品で言えば Microsoft Windows 導入に匹敵するほどのインパクトと業務改善を促すのではないか」と示唆する。

最後に、金融業界に向けた今後の施策や目標を両氏に聞いた。「当社が目指すのは、顧客体験の向上や業務効率の改善、金融犯罪への対応など、金融機関が抱える課題を一緒に解決していくこと。そのために、今後も生成 AI などさまざまな先端技術を取り入れながらソリューションを進化させていきたい」と金子氏。長町氏は「Pilot(操縦士)は金融機関の皆様であり、われわれが提供するソリューションやサービスは操縦士を陰で支える Copilot(副操縦士)。これからも副操縦士として、金融機関の DX を強力にサポートしていきたい」と結んだ。

「FIT2023」2 日目の 27 日には、両氏が語ってくれた日本マイクロソフトの取り組みや施策が具体的に分かる 5 つのセミナーを開催。いずれのセミナーにも多くの来場者がつめかけ、熱気に満ちたセッションとなった。以下に、各セミナーの概要を紹介する。

FIT2023セミナーの様子

セミナー 01:生成 AI 活用の現在地とMicrosoft AI と金融業における今後の取り組み

本セミナーでは、クラウド&AI ソリューション事業本部 データプラットフォーム統括本部 Data&AI 営業第三本部 シニアスペシャリストである田中研一氏が登壇し、生成 AI の登場から早 1 年が経過する中、現時点での生成 AI の活用状況を共有するとともに、マイクロソフトが今後金融業界に向けて AI をどのように活用し貢献していくかについて紹介した。

田中氏は冒頭、2023 年 1 月から一般公開している Azure OpenAI Service の利用状況に触れ、世界では約 1 万 1,000 社、日本においては 560 社を超える顧客が利用していると述べた。また、業界別では金融機関が 1 位であり、その後に商社や製造メーカーが続くと言及。「Microsoft Azure の AI 分野において、560 社超まで急激に利用者数が拡大したソリューションはこれまでなかった。それだけAzure OpenAI Service に対する市場のニーズや期待は大きいと考えられる」と分析した。

次に、金融機関での活用事例として、アメリカの格付け企業であるムーディーズを紹介。同社はマイクロソフトと戦略的なパートナーシップを結んで Moody’s Copilot を開発し、1 万 4,000 人の従業員に展開している。例えば、顧客との面談の中で、顧客が知りたいことがあった場合、あるいは顧客への説明過程で数値的なエビデンスがほしい場合などに、従業員が Moody’s Copilot に質問すると、Copilot は同社が有している多種多様なデータから情報を集約して瞬時に提供。従業員は顧客からの質問や要望などにその場で答えることができるため、業務効率化や顧客満足度の向上が実現する。

田中氏は、顧客体験強化や不正検出、リスク管理など利用シーンは多岐にわたるが、調査結果では金融機関の経営者の 75% が生成 AI の活用に期待していると述べたうえで、「日本においても Moody’s Copilot のようなアプリケーション開発が多くの金融機関で進んでおり、近いうちにニュースリリースができるのではないかと考えている」と言及した。

同時に、生成 AI の実用に向けた検証を行っている企業も多数にのぼり、マイクロソフトではそうした企業に対しさまざまな支援を行っていると田中氏。「その一環として、企業からの要請を受け、当社が生成 AI ソリューション開発に伴走する Microsoft AI Co-Innovation Lab を神戸市に開設した。現在、問い合わせや申し込みが多数寄せられている。興味があれば、ぜひこうしたサービスの活用も検討していただきたい」と述べた。

次に、田中氏は今後の展望について話を進めた。「当社は『すべての人に Copilot を――創造性の拡大』『AI を使いこなす――自在なアプリ開発』『安全で信頼性の高いクラウドプラットフォーム――責任ある AI』という 3 つのコンセプトに基づき製品開発を行っていく。また、当社は Microsoft Copilot に対して Copilot Copyright Commitment を発表。これは、Microsoft Copilot をお客様が製品に組み込まれたガードレールとコンテンツフィルターを使用しているという条件の下で利用いただく限りにおいては、仮に著作権等の問題で訴訟を起こされた場合でも当社がお客様の弁護を行い、万が一訴訟の結果生じた不利な判決または和解により課された金額を支払うというもの。したがって、Microsoft Copilot を使っていただく限りにおいて、お客様は著作権の心配の一部が軽減されます」と田中氏。

また、FDUA(一般社団法人金融データ活用推進協会)では生成 AI ワーキンググループを立ち上げており、同社も事務局の一員として参加し、金融機関が生成 AI を安全・安心に利用するためのガイドラインの策定に取り組んでいるところであると紹介。「Microsoft Copilot を使っていただく限りは当社がお客様をお守りするが、アプリケーションに生成 AI を組み込む場合はこうしたガイドラインを利用し、生成 AI を安全に活用していただければと考えている」と呼びかけた。

本セミナー動画視聴へ(YouTube)
「生成 AI 活用の現在地と Microsoft AI と金融業における今後の取り組み」

セミナー 02:5 日後に登場! Copilot for Microsoft 365(このときの呼称はMicrosoft 365 Copilot)で変わる働き方

本セミナーでは、モダンワークビジネス本部 Sr. GTM マネージャー 春日井良隆氏が登壇し、FIT2023の 5 日後となる 11 月 1 日より法人向けの提供がスタートした Copilot for Microsoft 365 の概要とこれによって働き方がどのように変わるのかについて詳しく紹介した。

前述のように、Copilot for Microsoft 365 とは、Word や Excel、PowerPoint、Outlook、Teams などMicrosoft 365 アプリで生成 AI が利用できるソリューションだ。春日井氏はまず Copilot in Word を取り上げ、Copilot を使ってイベントの企画書を作成するデモを実施。「例えば、『11 月 1 日に開催するイベントの企画書を作成してください』と指示すると、Copilot がタイトルやイベントの概要、スケジュールなど基本的なことを押さえながら下書きをつくってくれる。そこに例えば役割分担表を入れたい場合は『役割分担も入れてください』と指示をすると、単に行が足されるのではなく、サンプルの表組みを加えて、改めて企画書の下書きをつくってくれる。これが Copilot の 1 つ目の特徴だ」と春日井氏。

また、文章の言い回しや他によい表現はないか迷った場合などは、Copilot in Word に質問すると Copilot が提案してくれる。「ChatGPT の利点としてアイデアの壁打ちができるということがよく言われるが、それが Word や Excel などのアプリケーションの中でできることが Copilot の 2 つ目の特徴だ」と春日井氏は述べる。

春日井氏は続いて、Copilot in PowerPoint を使用して、既存の Word ドキュメントからプレゼンテーションを作成する流れを紹介。Copilot in PowerPoint にさきほど Word で作成したイベントの企画書へのリンクを指定すると、Copilot が Word 文書の章立てや意図を解釈したうえで、スライドの生成、レイアウトの適用、テーマの選択を行い、プレゼンテーションをつくる。また、イメージ写真を追加したいと思った場合は、例えば「人と人が笑い合っている写真を追加してください」と Copilot in PowerPoint に指示をすると、Microsoft365 のストック画像の中からイメージ画像を選んでプレゼンテーションに貼り付け、さらにレイアウトも調整してくれる。

「Word でのイベントの企画書づくりにしても、PowerPoint でのプレゼンテーション作成にしても、ある程度の形にするまでにかなりの手間と時間を要する。しかし、本当に大切なのは、企画の内容であり、またそれを人に伝えることだ。人の手間や時間はそうした本質的なところに注力をし、そうでない作業は生成 AI に任せる。これがマイクロソフトの考えであり、Copilot for Microsoft 365 で変えられる仕事のやり方の 1 つだ」と春日井氏は言う。さらに、春日井氏は Copilot in Word の文章要約機能や Copilot in Teams の会議の要約機能について触れるなど、Copilot for Microsoft 365 の多彩な機能やメリットについて解説した。

最後に、春日井氏は Microsoft 365 Chat というチャットサービスについて言及。Microsoft 365 Chat は Web 上の情報検索はもちろん、チャットやメール、ファイルなど Microsoft 365 の中で行き交うデータにアクセスし検索することが可能だ。「例えば、新入社員で出張申請の仕方が分からないといった場合、従来は上司や先輩に聞いていたが、Microsoft365 Chat に質問すると Copilot が社内の SharePoint を検索し、自然言語で返答を返すとともに、データソースも表示してくれる。一方、例えば社内情報だからといって同僚の給料を Microsoft 365 Chat に尋ねても、そうした個人的なことは回答できないと返答するなど、法人でも安心して利用できるサービスとなっている」

春日井氏は「MBA や医師免許を取得しており、法律に詳しく、さまざまな言語に対応可能で、文章が書けて要約もでき、社内事情にも精通していて、しかも呼び出せばいつでも来てくれる。そんな強力で頼れるアシスタント、それが Copilot だと思っていただきたい」と呼びかけ、本セミナーを締めくくった。

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5 日後に登場!Microsoft 365 Copilot で変わる働き方

セミナー 03:最新 AI で実現する革新的な顧客体験と業務変革 ―― Dynamics 365 & Power Platform

同社は、ERP・CRM の Dynamics 365 と、ローコード・ノーコードプラットフォームの Power Platform に、AI 機能である Copilot を搭載した。本セミナーでは、クラウド&AI ソリューション事業本部 ビジネスアプリケーション統括本部 Dynamics365 セールススペシャリストである三谷亜子氏と、デジタルセールスエンタープライズ事業部 デジタルスペシャリストである稲冨広樹氏が登壇し、この Power Platform および Dynamics 365 の Copilot が有するさまざまな機能についてデモを交えながら紹介した。

まずローコード・ノーコードプラットフォームである Power Platform の一部となる Power Apps と Power Automate について解説。Power Apps の特徴は、プログラミングなしで簡単に業務アプリケーションを作成できることだ。ユーザーは PowerPoint で図形などを追加していくようなイメージで業務アプリケーションを開発できる。また、Copilot の搭載により自然言語で指示するだけで業務アプリケーションの作成が可能だ。「当社の CRM も実はこの PowerApps をベースに開発している。簡単なものから CRM のような複雑なものまで、市民開発からプロ開発まで開発できるのが Power Apps のメリット」と稲冨氏。デモでは、実際の操作画面を示しながら簡単なアプリケーションを作成し、その優れた操作性を披露した。

一方、Power Automate は複雑なプログラミングなしでさまざまな業務を自動化できるアプリケーションで、複数のアプリケーションやシステムを連携させれば生産性向上、業務の自動化に大きく寄与することが期待できる。Power Apps と同様、Copilot の搭載により自然言語で指示するだけで業務を自動化することが可能だ。自動返信メールや添付ファイルの自動保存、会議招集の自動化、承認フローの自動化など、さまざまな業務に利用できる。デモでは、Outlook で受信したファイルをSharePoint でチームメンバー全員が共有できるようにし、その操作が完了したら Teams でメンバー全員に通知するという、一連の業務を Power Automate で自動化する方法を紹介した。

続いて、ERP・CRM の Dynamics 365 について解説。稲冨氏は「あるアンケート調査によると、営業担当者は業務時間の 28% しか顧客への営業に使えていない。もちろん見込み客の調査や見積もりの作成、社内会議などもあるが、実は CRM や SFA システムへのデータ入力にも多くの時間がとられている。当社は Microsoft Copilot for Sales の活用により、28% という顧客への営業時間割合を最大化することを提案している」と言及した。

実機を用いたデモでは、Outlook や Teams から Dynamics 365 へのアクセスを可能とすることで、CRM の Dynamics 365 を立ち上げなくとも、顧客情報や営業履歴、現在進捗している案件などさまざまな情報が把握できる機能を紹介。また、Microsoft Copilot for Sales は、Outlook や Teams での顧客とのやりとりと CRM の情報の両方を加味したうえで、顧客に送るメールの文案を提案するとともに、文案の文言や数値のデータソースも示すことを実際の画面を使いながら解説した。

Power Platform および Dynamics 365 が、業務効率向上や新しい顧客体験の創出に大きく貢献することが分かりやすく示された本セミナー。会場では実機を用いたデモの様子を見ながら、製品の特徴や機能の詳細に熱心に耳を傾ける来場者の姿が多く見られた。

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最新 AI で実現する革新的な顧客体験と業務変革

セミナー 04:金融業界における Azure HPC ソリューションの活用と効果

本セミナーでは、グローバルブラックベルト HPC テクニカルスペシャリストである倉石英明氏が登壇し、クラウドプラットフォーム Microsoft Azure が有するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ソリューションとその活用方法について解説した。

倉石氏はまず「金融業界においては、リスク分析やポートフォリオマネジメントで使用される金融工学分野で非常に多くの計算パワーが必要とされる。特に最近では新規制対応やシミュレーションの複雑化、AI の活用などにより計算ニーズが爆発的に増加し、それに伴い解析処理基盤の高速化や処理効率化が喫緊の課題となっている」と指摘。

そうした中で、自社サーバーのみでは繁忙期の処理に対応できない、逆に閑散期には未使用のサーバー料が負担となるなどの課題がある。一方、ニーズに応じて計算パワーを調達できるクラウドコンピューティングは、繁忙期の膨大な計算ニーズにも迅速に対応でき、また閑散期には計算パワーの調達を抑えることでコスト最適化を実現できる。「市場の変化が激しい金融業界において、クラウドコンピューティングの活用は安定的かつ継続的な計算処理を行うための有効な選択肢と言える」と倉石氏。

そのうえで、マイクロソフトが提供する Microsoft Azure で実現するコンピューティングソリューションの特徴を解説。「Microsoft Azure のコンピューティングソリューションは IaaS、PaaS、SaaS のおおよそ 3 層でサービスを提供しており、いずれの形でもユーザーの好みのスタイルにカスタマイズして使うことができる。また、Microsoft Azure はセキュリティ面でも優れており、世界最高レベルの安全性を保っている」と述べた。

次に、実際の活用事例として海外の投資銀行と保険サービス会社 2 社の活用事例を紹介。海外投資銀行の例では、オンプレミスのサーバーを Microsoft Azure に徐々にマイグレーションし、現在では大規模な計算環境を Microsoft Azure 上に展開することで約 40% の費用削減を実現した。一方、保険サービス会社の例では、気候変動の影響とリスクを分析する計算モデルを実行するために、Azure SQL、Azure Machine Learning、Azure Cosmos DB を併用した Azure HPC ソリューションを採用してクラウドでの計算基盤を強化するとともに、業務プロセス全体の効率化を図った。また、日本国内においても金融・保険業界で Microsoft Azure を活用して計算処理を行う企業が増えてきていると倉石氏は言う。

実際に Azure HPC ソリューションを活用するにあたっては、「スモールスタートがお勧め」と倉石氏。「性能や操作性を見ながら、どのような業務をクラウドに移行したら効果が出るかを検証するのが第一歩。以降、クラウドに順次マイグレーションしていくことで、最終的には大規模な計算パワーを Microsoft Azure に展開するとともに、業務効率化を実現することが可能だ」と締めくくった。

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金融業界における Azure HPC ソリューションの活用と効果

セミナー 05:セキュリティ・ガバナンス共通基盤構築のススメ~Azure で安全にデータを取り扱うために~

本セミナーでは、カスタマーサクセス事業本部 プリンシパルクラウドソリューションアーキテクトである赤間信幸氏が登壇し、Azure 上で安全にデータを取り扱うために必要な考え方やポイントについて紹介した。

昨今、生成系 AI が起爆剤となってクラウドを活用したデジタルトランスフォーメーションの機運が高まっている。しかしその一方で、運用やガバナンスを考えずにクラウド利活用を進めると、必ず「壁」にぶつかり、結果として PoC から先へ進まない、CCoE や DX 部が主導する案件しか成功しない、セキュリティ上の懸念を払拭できないといった問題に突き当たる。こうした課題に対し、マイクロソフトはどのようなアプローチをとっているのか。

「マイクロソフトは AI 導入を推進しているベンダーであると同時に、セキュリティに非常に力を注いでいるベンダーでもある。そうしたセキュリティベンダーであるマイクロソフトがつくったクラウドサービス――、それが Microsoft Azure だ。そのため、Microsoft Azure にはセキュリティやガバナンスに関する標準機能が一通り揃っており、それらを正しく使うことで高いセキュリティやガバナンスを実現できる」と赤間氏。

「しかし、それを実際に行うための方法について悩んでいる企業が多いのも事実。そうした問題を解決するため、当社ではクラウドの適切な使い方や設計に関し、ガイドラインや具体的なリファレンスアーキテクチャを提供している。具体的には Azure Architecture Center、Azure Cloud Adoption Framework、Azure Well-Architected Framework という3種類のガイドラインだ」と赤間氏は言う。

簡単に言えば、Architecture Center はつくり方ガイドであり、Well-Architected Framework(WAF)はクラウドならではの留意点を整理したものである。「そして、当社がもっとも注力しているガイドラインが Cloud Adoption Framework(CAF)だ。一言で言えば、“転ばぬ先の杖ガイド”というイメージだろうか。先駆者たちの失敗などをすべて情報として収集し、その膨大な情報を基にクラウドプロジェクトの円滑な進め方、失敗を回避する方法などをまとめたものが CAF であり、当社はこの CAF をネット上で公開している」と赤間氏。

クラウドプロジェクトの推進にあたっては、戦略や計画をしっかり立案したうえで共通基盤をつくり、実際にシステム構築を行っていかなければならない。CAF が優れているのは、共通基盤はどのような機能を有していなければならないかということを明確に定義している点だ。しかし、CAF を読み解くのは難しく、さらに CAF は欧米で開発されたため日本の事情には適していない部分がある。例えば、ネットワークの閉域化について言及されていないなど、金融機関が利用するにはハードルが高い。

「そこで、われわれは当社のクラウドソリューションアーキテクトのメンバーとともに、そのギャップを解消するためのコンテンツをつくった。それが日本版 Azure 共通基盤 設計・構築ガイドだ。 Azure の共通基盤を早く安くつくりたいという多くのお客様の要望に応えるため、現在、この日本版 Azure 共通基盤 設計・構築ガイドを GitHub 上で無償公開している。具体的には、戦略立案ガイド、構築スクリプトを含んだ設計構築ガイド、そして共通基盤構築のデモビデオの 3 つを提供している。ベンダーは構築スクリプトをカット&ペーストしカスタマイズして利用することで、優れた共通基盤を迅速につくり上げることが可能だ」と赤間氏。

金融機関における共通基盤 設計・構築ガイドの有効な使い方について、赤間氏は次のように述べる。「最初にデモビデオをベンダーと一緒に閲覧し、共通基盤とはこういうものだという認識を互いに共有することが重要。そのうえで金融機関の皆様は戦略立案ガイドを参考に計画立案を行い、ベンダーの皆様は設計構築ガイドを見ながら実際に作業を進めていくという使い方をお勧めしたい。金融機関の皆様は、ぜひベンダーの皆様を巻き込む形で共通基盤 設計・構築ガイドを活用し、共通基盤を早く安くうまく整備していただきたい」と訴え、本セミナーを結んだ。

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セキュリティ・ガバナンス共通基盤構築のススメ ~Azure で安全にデータを取り扱うために~

パートナー企業 3 社も、多彩なテーマによるセミナーを開催

27 日には、パートナー企業であるヴイエムウェア、PHONE APPLI、SAS Institute Japan もそれぞれセミナーを開催した。以下に、その概要を紹介する。

ヴイエムウェア

同社は「海外金融機関の事例から学ぶ成功する DX プラットフォームとは」と題したセミナーを開催。海外の金融機関などの事例を紹介しながら、金融機関が競争力を維持し、さらなる成長を達成するために必要な DX プラットフォームとそれを支える技術やプラットフォームエンジニアリングチームづくりについて紹介した。

PHONE APPLI

同社は「人と人が繋がることによって生まれるこれからの組織 ~人の力と AI の力で紡ぐ新しい働き方~」というテーマでセミナーを行った。セミナーでは、Azure OpenAI Service を活用しながら「人となり」を知ることにより心理的安全性を高め、組織をよりよく変化させた事例を紹介。金融機関において、従業員のウェルビーイングと組織のエンゲージメントの向上を実現できる働き方を提案した。

SAS Institute Japan

同社のセミナーのテーマは「地方銀行マーケティングDXの成功事例と提案 ~データ活用の約半世紀の現場経験を提供する “SAS Cloud”」。地方銀行をはじめとする国内金融機関における OMO(オンラインとオフラインの融合)や対面営業強化の成功事例を紹介するとともに、AI や CDP、MA などのテクノロジーをその効果的活用のナレッジと合わせてクラウド上で提供する SAS Cloud について解説した。

配布された「FIT2023 マイクロソフト金融業界向けコンテンツ」の冊子を読む来場者

日本マイクロソフトおよびパートナー企業のセミナーは、来場者の関心が非常に高く、満員御礼が相次いだ。また、ブースでは Microsoft 365 Copilot のデモンストレーションに感嘆の声を上げる来場者の姿が見られるなど、同社の出展は大盛況のうちに幕を閉じた。

■ご紹介セミナー一覧
※以下リンクからも各セミナーの動画をご視聴いただけます。

開催時間セミナー名
10:00-10:30海外金融機関の事例から学ぶ成功する DX プラットフォームとは(ヴイエムウェア株式会社)
10:50-11:20人と人が繋がることで生まれるこれからの組織~人の力と AI の力で紡ぐ新しい働き方~(株式会社 PHONE APPLI)
11:40-12:10地方銀行マーケティング DX の成功例~データ活用の半世紀の経験を提供する SAS Cloud(SAS Institute Japan 株式会社)
12:30-13:00金融業界における Azure HPC ソリューションの活用と効果(日本マイクロソフト株式会社)
13:30-14:10生成 AI 活用の現在地と Microsoft AI と金融業における今後の取り組み(日本マイクロソフト株式会社)
14:30-15:10最新 AI で実現する革新的な顧客体験と業務変革 – Microsoft CRM&ローコード(日本マイクロソフト株式会社)
15:30-16:105日後に登場!Microsoft 365 Copilot で変わる働き方
(日本マイクロソフト株式会社)
16:30-17:10セキュリティ・ガバナンス共通基盤構築のススメ~Azure で安全にデータを取り扱うために~(日本マイクロソフト株式会社)

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