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業界

「ガバメントクラウド x IaC x 生成 AI」 -デジタル庁 クラウドユニット シニアエキスパート 山本教仁様の「Microsoft Build Japan」 キーノート登壇の模様をお届けします

米国で開催された年次開発者会議「 Microsoft Build 」の情報や日本のオリジナルコンテンツをお届けする「 Microsoft Build Japan 」が 2023 年 6 月 27 日 – 28 日の 2 日間に渡り開催されました。本日の Blog では、日本マイクロソフトより、デジタル庁クラウドユニット シニアエキスパートの山本教仁様によるキーノートでの講演の模様をお届けします。 弊社岡嵜(執行役常務 クラウド & ソリューション事業本部長)から紹介されるかたちで、デジタル庁様のクラウドユニット シニアエキスパートの山本教仁様(以下、山本様)が登壇されました。

日本マイクロソフトは、各機関によるガバメントクラウドの利用加速を支援

山本様からは、デジタル庁の推進している施策であるガバメントクラウド、そして重要な概念であるIaC (Infrastructure as Code) の考え方、さらには IaC を徹底していく際に、デジタル庁としてもどのように生成 AI を平行して活用していけるのか、そのための実証実験にデジタル庁としても取り組んでいる──とのお話をキーノートでいただきました。
日本マイクロソフトは、こうしたデジタル庁様の取り組みを、以下にご紹介する「Microsoft Azure」「Azure OpenAI」など各種サービスの提供により、支援しております。

山本様からは、まずガバメントクラウドについてのご説明があり、迅速性、柔軟性、セキュリティ、コスト効率を重視しているというお話がありました。

この迅速性、柔軟性、セキュリティ、高いコスト効率という 4 つの価値を実現するためには、「クラウド最適なモダンアーキテクチャ」が重要になるとメッセージがあり、それぞれの 4 つの価値を達成するためにどのようなクラウド最適でモダンなアーキテクチャが考えられるかの説明がありました。

日本マイクロソフトでは、山本様からの説明を踏まえて、4 つの価値を実現するクラウド最適でモダンなアーキテクチャとして次のようなものを考えその実現を支援しています。

  • 迅速性 – IaC の考えを踏まえれば、「数分」でインフラを構築することも可能。従来のように OS やミドルウェアの設定に多大な時間・工数を割く必要もなくなる。便利な Azure ARM Template や Bicep コードを用意することでこれを実現しやすくなる。
  • 柔軟性 – 利用したいアナリティクスサービスがあったとしても、従来は公共調達の実施までに 1 ~ 2 年かかることが当たり前だったが、クラウドではすぐにアナリティクスのサービスを立ち上げ対応できる柔軟さがある。Azure の各種サービスを使えるようにしている。
  • セキュリティ – マネージドサービスを使えばセキュリティ対策を考える範囲が狭まり対策が打ちやすい。本番環境の管理は IaC の CI/CD パイプラインだけにすれば余計なアクセスパスを遮断できセキュリティは高まる。従来のように、運用上・OS の管理上、どうしても手作業を介してしまい脆弱性を生む事態も避けることができる。Azure の各種マネージドサービスやセキュリティを自動化するサービスがそのまま利用できる。
  • コスト最適 – マネージドサービスを用いれば、アクセスが来た分だけの課金が生じ、アクセスが無ければゼロ円──といった構成を簡単に実現できる。Azure のコスト監視系機能を使えば余計なリソースの発見等も可能になりよりコスト最適を推進できる。

一昔前のアーキテクチャで動いているレガシー型のシステム構成が多かった官公庁のシステムにおいても、クラウドに行くタイミングでモダン化を行えば、4 つの価値を実現するような、クラウドの利点をフル活用することが可能となってくる」──とコメントされています。日本マイクロソフトとしても、上記の価値を実現するには「クラウド最適なモダンアーキテクチャ」が必須であると考え、ユーザー皆さまのシステムにおいてレガシーを脱却してモダン化していくための支援を提供していきたいと思います。

* * *

では次に、このアーキテクチャを Azure を用いて実現する際のテンプレートと IaC の活用について、ブログの後半で説明させていただきます。

Azure 版のガバメントクラウド「テンプレート」を用意、
Azure サブスクリプションの払い出しを自動化するなど環境管理を効率化

日本マイクロソフトの提供する Azure をガバメントクラウドにおいてご利用いただく際に、Azure の環境を自動で払い出すアプリケーション「GCAS」がデジタル庁から用意されています。必要な環境数を申請すると、Azure のサブスクリプションと、そのサブスクリプションを使うためのユーザー権限が払い出される仕組みとなっています。
その後、ユーザ側にて、複数の ARM テンプレートからなる「必須適用テンプレート」を適用することで、セキュリティの監視・設定が掛かったベースとなる環境が作られます。そのベースとなる環境上にシステム構築をする際に、今後の提供が予定されている「サンプルテンプレート」を使って迅速かつ便利にシステム環境を構築していくことができます。

日本マイクロソフトは、「必須適用テンプレート」「サンプルテンプレート」を用いた劇的な環境構築の手法の進化を模索し、「IaC を用いた大規模な環境管理」といった考えを打ち出したデジタル庁の取り組みに賛同し、協力していきます。
他方で、こうした新しい取り組みに際しては、山本様から「テンプレート? IaC? それは何ですか? どう取り組んだらよいのですか?」といったご質問もあると話され、「ちょうどそのタイミングで「生成 AI」が登場し、世界観を加速するテクノロジーが登場してきたと感じています。つまり GitHub Copilot などを上手く用いれば、スライドに示した「テンプレート」も自動的に生成し、さらには自然言語での解説にも AI を活用することが出来るのです」──と、生成 AI の価値を言及いただきました。

マイクロソフトは、生成 AI を活用した各機関の実証実験を支援

日本マイクロソフトでは、各公共機関の皆様からの生成 AI を用いた実証実験のご相談を多数頂戴しており、なるべく多くのお客様へのご支援をお届けしようと努力しております。山本様からも、「ガバメントクラウドで用いるテンプレートを、どのように生成 AI を用いて管理・開発していくべきか──という実証実験をまさに今年度行っている」「例えば、昨日(=2023 年 6 月 26 日)、NHK 他いくつかの放送局で、デジタル庁での「AI」の取り組みのニュースが放映されました。ガバメントクラウドでのコードの管理、その効率化においても、生成AIを使っていくことを目指して実証実験をしています」──と、デジタル庁での取り組みについても紹介をいただきました。

開発者を支援する、マイクロソフトのローコードツール

日本マイクロソフトでは、コードの自動生成など、開発者を技術面で支援するツールを多数提供していきます。一例としては、山本様のキーノートでの登壇においても、Visual Studio Code に GitHub Copilot の拡張を入れて、青枠の部分が自動で 10 数行生成された様子をご紹介いただきました。コメントを頂戴したとおり、「開発の在り方が刷新される世界が既に来て」おり、マイクロソフトとしても開発者皆様へのご支援を継続していきます。

また、マイクロソフトの提供する「Azure OpenAI Studio」を用いると、テンプレートやコードの意味するところを、自然言語で解説してもらう──といった利用シーンも身近なものとなります。登壇時に山本様からも例示いただいたとおり、デジタル庁から配られた「テンプレート」について、「このコードは、いったい何をしてくれるものなのか」という機能説明をする役割も、生成AIが担ってくれる時代が実現しています。例えば、上記の画面の右側は山本様が、Azure OpenAI StudioのChatGPTプレイグラウンドにテンプレートをコピー&ペーストして説明を求め、出力させた内容です。「出力内容はとても正確であり、さらに、説明を簡潔にまとめるサマリーにも優れている」「開発者にとって、コードやテンプレートの理解醸成にも貢献するテクノロジーであると評価していますし、ぜひ、開発者皆様にも上記のような生成AIやテンプレートをうまく活用いただきたい」とのコメントをいただき、山本様は登壇を締めくくりました。

弊社岡嵜は講演を受けて 1 つ、山本様へ質問を投げかけました。「実際にエンジニアとしてもご活躍されている山本氏ならではの素晴らしいお話だった。実際にテクノロジーを触ってみての手ごたえ・感触など、どのような感想をお持ちでしょうか?」
質問を受けて山本様は、「コードの生成は本当に一瞬で済む。もちろん人の目で正しさを確認・修正することは必要。あとは、長くなりがちなテンプレートを適宜分割するなどして、どうやって運用・管理していくか。そういう実践的な運用のためのガイドが重要になってくるのだろうと考えます」と、述べました。
日本マイクロソフトとしても、環境開発の在り方・コード生成の在り方が劇的に変容する時代に、ガイド作成など各種公共機関の皆さまの取り組みに伴走できるよう、諸種の支援活動を継続していきます。

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おわりに

日本マイクロソフトは、今後とも多くのユースケースや支援策をご紹介しながら、パブリックセクター(中央官庁・地方自治体など)各機関におけるガバメントクラウドの活用推進や、AI 関連サービスの利用拡大を支援してまいります。ご不明の点に関しまして、新設したガバメントクラウド利用に特化した問い合わせ窓口 JapanGovCloud[@]microsoft.com までお問い合わせください。