PoC を通して自分ごととしての DX を組織に根付かせる。JICA のデジタル意識変革
海外協力隊(ボランティア)で有名な国際協力機構(JICA/ジャイカ(注))は、日本の二国間 ODA(政府開発援助)の中核を担う、世界有数の開発協力機関です。現在の複合的な危機の影響も受けて開発途上国が抱えるさまざまな課題の解決、ひいてはその社会・経済開発に貢献するため、「技術協力」「有償資金協力」「無償資金協力」を中心としたメニューを活用し、世界に約 100 カ所ある海外拠点の利も生かして、約 140 の国・地域で国際協力事業を展開しています。
JICA では、20 の課題別事業戦略「グローバル アジェンダ」のひとつに「デジタル化の推進」を掲げています。また、その推進によって一人ひとりが多様な幸せを実現できる社会を実現するための「JICA DX ビジョン」を定め、「3 つの変革と 9 つの行動」による事業・人・組織の変革を進めています。
そのビジョンに基づく施策のひとつとして、JICA は 2022 年 9 月に日本マイクロソフトと包括連携協定を締結しました。JICA が持つ組織・事業データを起点に、AI 等最新テクノロジーの利活用を図ることで、業務の効率化・可視化を進め、開発途上国のニーズを捉えた、より迅速で効果の高い事業の実現も目指して、1 年間にわたってさまざまなコラボレーションを両者で行いました。
その一環として実施されたのが、JICA のデータ活用シナリオに基づき、職員が主体となった実証実験(PoC)です。それ以前はシステム開発の経験を持たなかった JICA 職員の皆さんは、この PoC を通してどのような知見を得て、また組織は、どのようなフィードバックを得たのでしょうか。JICA CDO の戸島氏、PoC を推進した情報システム部、そして PoC に参加した職員の皆さんに話をお聞きしました。
JICA
最高デジタル責任者(CDO)
戸島 仁嗣 氏
JICA
情報システム部 IT 企画課 課長
技術士(建設部門、総合技術監理部門)
坂部 英孝 氏
JICA
情報システム部 IT 企画課企画役
山下 英志 氏
DX ビジョンの実現に向けて、日本マイクロソフトと包括連携協定を締結
――まず「JICA DX ビジョン」についてお聞かせください。
戸島 私たちはこのビジョンのもと、人間力と創造力を大いに発揮し、デジタル技術・データを活用することによって誰ひとり取り残すことなく、一人ひとりの安全な暮らしと多様な機会・幸せを実現する、強じんで持続可能な社会を目指そうとしています。そして組織の外と組織の中の両方に向けた DX 推進施策として、「事業」「人」「組織」の 3 つの変革を掲げており、それぞれ 3 つ、合計 9 つの行動目標を定めて、2026 年度までにそれらを達成するべくさまざまな取り組みを進めています。
――「JICA DX ビジョン」で解決すべき課題についてお聞かせください。
戸島 3 つの変革のうち「事業」の変革は、途上国から選ばれる JICA となるために本業そのものとして取り組みつつ、今は、「人」と「組織」の部分に、より焦点を当てる必要性を感じています。まずは役員層を含む JICA スタッフのマインドセットの変革とデジタル人材の育成への注力が必要です。同時に、部門ごとのレガシーシステムや制度によって阻害されているプロセスの簡素化とデータ利活用の推進、そして世界中に 100 ヶ 所近い拠点を持つ組織として、多様なバックグラウンドを持つスタッフ(多くは非日本語使用人材)にも分かりやすく使いやすいシステムや手続きの提供・整備。これらを今後 3 年かけて進めていくことになります。
――日本マイクロソフトとの包括連携協定についてお聞かせください。
戸島 前任の CDO が、導入した Microsoft 365 の機能を組織として十分使いこなせていないと感じていたこと、そして役職員に DX ビジョンを自分ごととして捉えてほしいことなどの悩みを日本マイクロソフトさんに相談したところ、包括連携協定を通じた協働の仕組みを教えていただき、締結に至った次第です。
まず前者の課題については、コミュニケーション・協働ツールとしての Microsoft Teams をフル活用するために、役員レベルも含めたセミナーを開いていただくなどしました。おかげさまで、まだ完全とは言えませんが、文書のペーパーレス化やデータ共有、共同編集などは日常の風景となり、役員と一般職員がチャットで気軽にコミュニケーションを取る文化も定着しつつあります。
また後者については、スタッフ自らが業務の効率化や合理化を進める意識を高めるためのアイデアソンと、それに紐づいた PoC の実施をご提案いただきました。多くのアイデアの中から選んだ 3 つの PoC プロジェクトを進め、結果として組織全体に共有できるナレッジを貯めることができたと考えています。
山下 Teams のセミナーに関しては、ただ機能を紹介して使い方を説明するだけではなく、Teams はコラボレーションを強化するためのツールであり、連絡伝達に特化したツールであるメールとは発想から異なる点の理解を深めることを目的として内容を検討しました。
日本マイクロソフトさんには、実際の事例をもとにして具体的なイメージがつきやすい説明をしていただけたので、そのメッセージはしっかり伝わったと思っています。特に役員レベルに Teams の概念を理解してもらえた効果は大きく、組織全体へのスムーズな浸透につながったと思います。
PoC プロジェクトについては、まず日本マイクロソフトさんが提唱されている「デジタルフィードバックループ」の概念に基づいたアイデアソンを実施しました。ここでは、部署もバックグラウンドもバラバラな職員 10 名ほどに参加してもらい、データを利活用した業務プロセスの変革をテーマとして、データ起点のシナリオ構築を行いました。そしてその中から優先度が高いと判断した 3 つのシナリオを選び、実践するのに適した部署に声をかけて、PoC に参加してもらいました。
DXを自分ごととして捉え、やればできるという感触を得られたことが収穫
――PoC の詳細は後半で伺いますが、実際に PoC を実施してみて、どのようなご感想をお持ちでしょうか。
山下 この PoC で最も重視したポイントは、職員に「自分ごと」として参加してもらうことでした。そこで大きかったのは、各部署の上長がこのプロジェクトの意義を理解してくれていたことです。おかげで、手を挙げてくれた職員には、追加業務やボランティアではなく、本来業務のなかで高いモチベーションを持って取り組んでもらえました。
課題として感じているのは、環境整備の部分です。組織の性質上セキュリティはとても大切な部分なので、JICA のテナント内にシステムを構築したときに思わぬ影響が出ることは避けなければなりません。また、契約している Microsoft 365 ライセンスに含まれないツールを必要とするシステムもあったため、PoC は JICA のテナントとは別の環境で行いました。
せっかくよいものができたので、今後は、どうすれば本格環境に実装できるかという部分を考える必要があると思っています。
坂部 私は PoC を統括する立場として、俯瞰的な視点で見ていたのですが、非 IT 人材の一般職員でも、「やればできる」という感触を得られたことが、一番の収穫だったと手ごたえを感じています。一般の職員は往々にして、システムのことは、外部ベンダー等のシステムの専門家に頼ってしまう傾向が強いのですが、今回の PoC で、「自分たちの困りごとの解決に、日本マイクロソフトさんから支援を受けられる→もしかしたら、自分たちで解決できるかもしれない→よしやってみよう→やってみたらできた ! 」という流れを体験できたことは、とてもよかったと思っています。
彼ら、彼女ら自身の自信にもつながりますし、なにより PoC の発表会に参加した他の同僚たちが「もしかしたら、自分の部署でもできるかもしれない」と感じることで、JICA 内にそのマインドが拡大するきっかけになりました。現に、「DX で自分たちの困りごとが解決できるかもしれない」という雰囲気が、内部に醸成されつつあるのを感じます。
――職員の皆さんの働き方にはどのような変化が見られますか?
坂部 これまでは、Word や Excel は単なる仕事の道具で、基本的には目の前の PC で書類をつくってメールで送れば終わり、という意識だったのが、Teams を活用するようになってからは、ファイルを持ち寄ってみんなでつくりあげていく意識に変わりつつあると感じています。また、Power BI を活用した情報・データの見える化は、PoC を契機として JICA 内でも多くの方が取り組みを始めつつあると感じています。
戸島 今後については、こうしたスタッフの取り組みに対する役員層や上長の理解をさらに深めること、それから先ほど山下が申したように環境整備を進めること。そして今回得られた知見・成果を本格的に横展開する準備に取り組んでいきたいと思っています。まずは、さまざまなナレッジを蓄積・共有するための JICA 内向けサイト(“Center of Excellence”)を情報システム部が構築しましたので、この機能をさらに高めて活用を促進していく予定です。
このたびの日本マイクロソフトさんとの包括連携協定は非常に有意義なものでした。親身になって寄り添い、伴走していただいた結果、社内のマインドセット変革に役立っただけでなく、素晴らしい PoC も実施することができました。連携協定は終了しましたが、密なおつきあいは継続していただければと思っています。今後も引き続き、有益な情報やアドバイス、そして叱咤をいただければ幸いです。
財務部 予算執行管理室 PoC チーム
予算執行管理への AI 活用に向けた検討を行い、データ起点の業務改革を推進。
※本画像は活用のイメージとして実証実験でサンプル的に用いたデータです
JICA
財務部 予算執行管理室 事業課
松本 颯太 氏
JICA
財務部 予算執行管理室 事業課(当時)
現 モンゴル事務所
里見 大介 氏
Q、PoC に参画した経緯についてお聞かせください。
里見 私が財務部へ着任して以来、JICA 内に蓄積されたデータを上手く活用すればもっと業務のあり方を変えられるのではないかという問題意識を持っていました。データが蓄積される仕組み自体は存在していたのですが、データをタイムリーに活用し、業務に生かすという観点で見ると、取り組む余地があると感じていました。そういった問題意識を背景に、予算執行データを見える化するダッシュボードを Power BI で構築して事業部に提供するといった取り組みを行っていましたが、そこからさらに一歩進んで、予算管理業務そのものを抜本的に変える可能性の一つとして、 AI の活用を検討していたところ、タイムリーにこの PoC のお話をいただき、ぜひ取り組みたいと思って参画しました。
Q、取り組まれた PoC についてお聞かせください。
里見 JICA 事業の予算管理のイメージは各プロジェクトの積み上げ管理に近いのですが、開発途上国での事業が大部分を占めるという JICA の性質上、予期せぬ計画の遅延や変更が生じやすく、ゆえに予算管理が担当者の経験や勘に頼りがちであるという側面がありました。
そこで、過去データやその他の予算執行に影響をおよぼすと思われるデータをもとに予測モデルを構築し、データに基づいて着地予測をタイムリーに把握、支出見込みを精緻化することができるのではないかと考えました。
ミーティングでこの構想を日本マイクロソフトさんにご相談し、PoC の中身について議論していくなかで、Azure Synapse でデータの整形を行い、Azure Machine Learning で機械学習モデルを構築することを提案いただきました。私自身、機械学習に関する知識や技術がほぼゼロからのスタートだったので、日本マイクロソフトさんにもご支援いただきつつ、環境構築とモデル作成を半年ほどかけて行いました。そして実際にモデルのプロトタイプが完成し、今後の道筋がついたタイミングで部署を異動することになったため、松本に引き継ぐ形になりました。
松本 私は里見以上に IT のバックグラウンドがなく、着任したてで本業にも慣れながらの作業になったので当初はとても不安だったのですが、この取り組みが目指すものの意義は強く感じ、まずはやってみようと思い、取り組んでみました。Azure の各 PaaS は非常に扱いやすく、日本マイクロソフトさんに都度相談しながらなんとか進めることができました。テクニカルなサポートはもちろん、JICA の内部事情も考慮いただいたうえで、運用にあたってのポイントについても的確なアドバイスをいただけたので、非常に助かりました。
Q、PoC の成果や今後の展開をお聞かせください。
松本 誤差 1 % 未満のモデルを作成できました。とはいえ、個別にみていくと外れることもありますし、機械学習の部分がブラックボックスになるため、予測を鵜呑みにするのではなく、あくまで分析の参考に使うという運用を考えています。今後は JICA 内の業務プロセスにどのように組み込めば有益なものになるのかを検討しながら、環境整備を進めていく予定です。
個人的な面では、PoC を進めるうちに、それ以前は Excel の関数もわからないほどだった自分のスキル向上を実感できたことはひとつの成果です。そしてなにより、データの利活用に対する意識の変化や、各種ツールに対する苦手意識を払拭できたことが一番の成果だと感じています。
また、組織内への影響としても、取り組みを継続的に報告しながら進めることで、具体的な活用のあり方やメリットを徐々にイメージしてもらうことができ、「こういう活用方法もあるのではないか」といったプロアクティブなコメントが寄せられるようになり、データ利活用・データドリブンな予算管理に対する意識が高まるきっかけになったと思います。
里見 もともと私は単にデジタル化がすることが最終目的ではなく、この PoC を通じてデータに基づいて客観的に判断する、という仕事のやり方の変革に結び付けたい、という想いを持ちながら取り組んでいたので、松本が話した内容を聞くと、自分の思いが少し実現に近づいたことを実感できて嬉しいです。こうした取り組みは往々にしてそのときに「やる気のある人」「やりたい人」がやるだけで、数年後には風化してしまうことがあると思うのですが、そうならないように、組織に根付かせ、持続させるための体制と仕組みを整えていくことが、これからは大切になってくると思います。
調達・派遣業務部 調達推進第一課 PoC チーム
契約フローの一元管理と契約業務の効率化を目指すアプリ開発を推進。
JICA
調達・派遣業務部 調達推進第一課 課長
松澤 余帆子 氏
JICA
調達・派遣業務部 調達推進第一課
伊藤 珠希 氏
Q、PoC に参画した経緯についてお聞かせください。
松澤 調達・派遣業務部では、組織全体の DX 化に向けた取り組みと連携して、調達改革を推進しています。そのなかで、契約管理のデジタル化というニーズが組織内外からあり、そこに向けた取り組みを進めようとしていたときに、ちょうど声をかけていただいた形です。
伊藤 私は過去にシステム開発の経験があったこと、業務で契約管理の簡素化に取り組んでいたことから、 この PoC の話を聞いてぜひ参加したいと思い、手を挙げました。日頃感じていた課題に対して、使ったことのないツールで、経験したことのないアプローチができることにワクワクしながら取り組みました。
Q、取り組まれた PoC についてお聞かせください。
松澤 当部の業務のひとつに、開発途上国で実施するプロジェクトへ派遣する開発コンサルタントとの契約業務があります。開発途上国では予期しないこともしばしば起きるため、柔軟なプロジェクト管理が求められ、現地にいる開発コンサルタントと密にコミュニケーションし、両者で確認・合意した内容を軽微な文書で取り交わして活動を迅速に進めることが重要です。これまではメールベースのコミュニケーションにより、膨大な情報管理が属人化しがちで、業務の効率性や担当者の負担も大きい状況でした。そこで、Power Apps のモデル駆動型アプリを活用して、各契約の工程を一元管理できるアプリ開発に取り組むことになりました。
伊藤 モデル駆動型アプリは JICA の標準的なライセンスでは使えないツールだったので、情報システム部と日本マイクロソフトの皆さんと協議して、開発環境を構築してから作業に入りました。作業に入るまでは本当に実現できるのか不安だったのですが、日本マイクロソフトさんの伴走のおかげで最後まで辿り着くことができました。課題を解決し得るツールや開発環境が目の前にあることで、アイデアが浮かびやすいですし、作業のモチベーションも保てたと思っています。
Q、PoC の成果や今後の展開をお聞かせください。
伊藤 現在は、この PoC でつくった試用版アプリを、本番環境で実装するフェーズに移行しています。私たちだけでは解決しきれない課題があるので、ベンダーからお知恵をいただいて開発を進める予定です。試用版を叩き台にしたアジャイル開発に取り組み、3 ヶ月程度でリリースすることが目標です。アプリを完成させることはもちろんですが、アプリを通して契約管理が今よりやりやすく、見える化することに貢献したいです。
個人的には、今後 AI の活用にも取り組んでいきたいと思っているので、日本マイクロソフトさんには引き続きサポートしていただけると嬉しいです。
松澤 契約に関わるステイクホルダーは多岐にわたるので、本番仕様のアプリに求められる要素がかなり増えることが想定されます。より効果を高めるために、機能の取捨選択や進め方の工夫など、やりがいのあるチャレンジになると思っています。その次の段階では、コンサルタント契約以外の契約管理にも拡張する構想があります。私たちが蒔いた種が、JICA 全体で大きくなっていくのが楽しみです。
なにより私が一番の成果だと思うのは、伊藤という JICA スタッフが、IT 人材として成長できた点です。彼女には今回の知見を生かしてさらに貢献してもらいたいですし、彼女の成長を見た他の職員の「自分たちでも課題を解決できる」という意識改革につながることが、今後の組織にとって大きな意味を持つと思っています。
アフリカ部 PoC チーム
Power BI を活用した情報の一元管理・可視化システムにより、データの有効活用スキームを構築。
※本画像は活用のイメージとして実証実験でサンプル的に用いたデータです
JICA
アフリカ部計画・TICAD推進課
佐藤 航平 氏
Q、PoC に参画した経緯についてお聞かせください。
佐藤 私の同僚がアイデアソンに参加しており、アイデアを出し合うなかで、事業にかかるデータが散財していて検索性に欠けるという JICA 全体の課題を解決する方法として、JICA 内外への情報提供の一元管理・可視化ツールの開発を PoC で検証することになったと聞いています。
同時に、当部では、1993 年から日本が定期的に主催している「アフリカ開発会議(TICAD)」に関する業務を受け持っているのですが、我が国が TICAD 8 で打ち出した「日本の取組」の JICA 実施分の進捗をモニタリングする方法が課題となっていました。そこで、JICA 全体の課題と当部の課題を併せて解決できるのではないかという目算から、この PoC に参加することになりました。
Q、PoC で取り組んだシステムについてお聞かせください。
佐藤 当部では、外部向けに事業実績をまとめたレポート、内部向けにそれらの情報をさらに詳しくまとめたもの、そして TICAD 8 のモニタリングという 3 つの事業レポートを、Power BI Desktop で作成・可視化し、データの検索性を向上することを目標にスタートしました。Power BI Desktop を使うのは初めてだったのですが、日本マイクロソフトさんに定期的なレクチャーを受けることで習得することができました。
その後は基本的には自分たちの力で組み立てて、わからない部分は都度アドバイスいただくという形で、レポートの可視化システム自体は比較的苦労なく構築できたと思います。どちらかというと、外部向けに事業実績をまとめたレポートの公開に向けた内部の調整や、TICAD 8 のモニタリングレポートに関しては、各部署にあるデータの取りまとめに労力がかかりました。また、作成したレポートに掲載するデータを継続的に更新していく仕組み作りや、JICA のデータベースに取り込まれていないデータの管理方法については、今も課題として残っています。
Q、PoC の成果や今後の展開をお聞かせください。
佐藤 外部公開用レポートは JICA のホームページで公開できないか協議を重ねている状況です。内部公開用レポートについても、簡易に出力・利用できるように設計してあるので、今後内部用の説明用資料として活用できるように進めていきたいです。また TICAD 8 の進捗レポートについても実用の目処がついているので、今後のモニタリング用に活用できればと考えています。
今回の PoC を通して、データの重要性を JICA 内に根付かせることの大切さを感じました。データを活用するためのシステムはあったとしても、データの管理ができていなければ意味がありません。この可視化ツールが広まることで、データをきちんと管理することが自分の業務の効率化につながる実感を得られて、自然とリテラシーも向上していくのではないかと期待しています。
PoC に取り組んだ各部の熱意は非常に高いものでした。こうした取り組みを続けることで、きっとこの熱は JICA 全体に伝播し、DX 改革が進んでいくことでしょう。