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ヘルスケア業界 Data & AI 対談 〜医療現場での AI 普及シナリオ〜

2022 年度の診療報酬改定で「人工知能技術(AI)を用いた画像診断補助に対する加算(単純・コンピュータ断層撮影)」が保険適用され、厚生労働省の「保健医療分野 AI 開発加速コンソーシアム」で AI 開発促進のための工程表が策定されるなど、ヘルスケア業界では AI 技術の活用拡大への期待が膨らんでいます。

ただし、消化器系内視鏡分野や MRI の補助診断装置などですでに AI が活用されている一方で、データの主体や正確性の担保をどのように考えるのかといった課題も指摘されています。

これからのヘルスケア業界において AI とデータはどのような役割を期待され、どのように活用されるべきなのでしょうか。日本マイクロソフト株式会社 Chief Security Officer 河野 省二が、ヘルスケア業界におけるデジタル変革のキーパーソンをお招きして「Data & AI」をテーマに実施した対談の模様を、全 2 回にわたってお届けします。本稿では、医療現場の視点から澤 智博 氏にお話を伺いました。

対談者 

澤 智博 氏 (帝京大学 医療情報システム研究センター  教授) 

河野 省二 (日本マイクロソフト株式会社 Chief Security Officer)

澤さんと河野さんのお写真

AI は診療の標準化や現場の効率化に寄与する

河野 ChatGPT に見られるように近年の AI の進化は目覚ましく、いわゆる「ヒューマンパリティ(人間同等の判断)」の範囲が大幅に拡大しています。大学病院で勤務されながら医療業界における IT 活用にも造詣の深い澤先生から見て、医療現場における AI 活用の可能性についてはどのように感じていらっしゃいますか? 

エーアイカバレッジの変化を示す画像

澤 2016 年頃から先行していた物体認識技術などは、すでに放射線画像領域などで医療機器に取り入れられているものもありますよね。それを考えると、今後 10 年も経たないうちに GPT(自然言語処理)が取り入れられた医療機器が出現する可能性は、大いにあると思っています。 

ただ、GPT は前の文脈を判断材料として単語を予測していく「Transformer」を用いたモデルであるという特徴を理解したうえで、どのように活用していくかを考えなければ、AI の可能性を最大限に活かすことはできないだろうと考えています。 

河野 確かに、GPT の回答をうまく引き出す技術の習得はこれから大きな課題となりそうですね。まずは「診療」「研究」「教育」という 3 つのシチュエーションに分けて、それぞれで考えうる AI の活用方法についてお聞きしていきたいと思います。診療の現場を想定したときに、どのような AI の活用方法が考えられるでしょうか? 

澤 まず GPT を活用した問診ですね。患者さんが納得できるまで質問し続けられる。医師にも慎重だったりポジティブだったりとさまざまなキャラクターの先生がいるように、GPT にもキャラクターを持たせられるようになれば、患者さんごとに最適な問診の仕方ができるようになるかもしれませんね。 

それから電子カルテ。今の電子カルテは限られた情報しか残すことができませんが、AI のアシストを得ることで診療中のすべてのデータを電子カルテに残せれば、全く違うフェーズに入る可能性があると思っています。申し送りの行き違いによる事故を防ぐこともできるでしょう。 

また、AI の再現性の高さはすでに人間を超えていますから、同じ場面に遭遇したときに百発百中で同じ判断ができる。画像や問診内での変化の見逃しも確実に減らせるはずです。 

AI に手術中の会話を記録させてその要約を出力することで、手術レポートの入力負担の軽減にも役立つかもしれません。

河野 医療の標準化や現場の効率化を AI が支援してくれるということですね。一方で、最近はネットで検索した情報を医師の診療より信用してしまうような人もいるという話を聞きますが、ChatGPT が一般に普及していくとそういった患者さんへの対応も難しくなるのではないですか? 

澤 それは医師と患者さんの相性にもよるでしょうね。「自分の診療がベストなのだから患者さんは何も考えなくていい」という医師もいれば、「患者さんが調べてきたことに対して答えるのが楽しい」という医師もいるわけで、それぞれの価値観に合わせて患者さんが医師を選べるようになればいいと思います。 

河野 なるほど。そのお話を聞いてちょっと思いついたのですが、先ほど澤先生がおっしゃっていたように、GPT のキャラクターを複数から選べるようになると、セカンドオピニオンとして活用できるようになるかもしれませんね。「AI 澤先生」のような。 

澤 それは面白いかもしれませんね。 

AIがアシスタントとなって、研究や教育の質を向上する 

河野 では続いて、研究の分野における AI 活用の可能性についてお聞かせください。

澤 研究の方法はかなり変わってくるでしょうね。研究というのはまず仮説を立てるところから始まりますが、AI がこの仮説の候補出しをアシストしてくれる可能性があります。そうなれば、まず AI に自分の仮説を投げかけてみて、その回答を見ながら自分の考えを整理したり、仮説を取捨選択したりするのに役立てられると思います。仮説を立てる段階から問いかけることもできるでしょうね。 

河野 自分が行き詰まったとしても、AI のアシストで足がかりをつかめるということですね。教育においてはいかがでしょう? 

澤 私たちの頃よりかなり進んだものになるでしょう。というのは、私たちの頃は教科書や文書で表現されている臨床の症例が少なかったので、臨床研修などでは「頭の中でひとつの症例を 100 倍にしなさい」という指導を受けていたのですが、今は AI のアシストで 100 倍では済まないくらいに膨らませることが可能ですから。

河野 シミュレーションの幅が大きく広がるということですね。それがのちに臨床現場で生きてくると。 

澤 今の将棋の世界がまさにその状態だと思っています。ひとりで体験できる対戦や過去の対戦の棋譜を読むといった範囲を超えて、AI が新しく生み出したものから学習することで、将棋界全体のレベルが上がってきている。これと同じように、蓄積された医療データを AI を使って活用できるようになるのが理想だと思います。 

ただし、今後 AI を用いることで個人情報保護法やその関連法律、ガイドラインなどに抵触する可能性が出てきます。ですからこれからの医師は、法的な観点を持ちながら AI の効率的、効果的な利用方法を身につけていくことになるでしょう。 

患者さん側も、自分のデータが後の医療に役立つ可能性があることを実感できるといいですね。今はデータを渡すことに難色を示す方も多いので。 

AI 普及を推進するためのデータへの向き合い方 

河野 私は普段からウェアラブル端末を使って自分のヘルスケアデータを計測していますし、このデータが役立つならいくらでも提供したいと思っているのですが、データの提供を躊躇わせる理由はなんなのでしょうか? 

澤 そのデータが最終的に誰の手に渡ってどのように使われるかが見えにくいところでしょうね。いち企業の利益に関する活動に使われてしまうだけかもしれないと思えば、なかなか共有しようという気にはなりにくいのではないでしょうか。 

「こういった研究をしているグループが、あなたのデータに興味を持っています」といったフィードバックを得られるシステムがあると、自分が役に立っていることを実感しやすくなるかもしれません。

河野 確かに、フィードバックがないとフィードする気にもなりにくいですよね。 

続いての質問ですが、医療業界におけるデータの整備についてお聞きしたいと思います。今、AI が参照するデータの正確性を担保しようという動きが広まっているのですが、医療分野における参照データはどのようなものが望ましいとお考えでしょうか? ある程度洗練されたものが必要なのか、それともとにかく膨大な量が必要なのでしょうか。

澤 用途によって両方が必要だと思いますね。重要なのは、そのデータが「どこから出てきたどういうデータなのか」が可視化できていることだと思います。 

河野 データのリフレッシュも必要ですよね。以前ある会合で医師の方から「診療結果が残り続けることに不安がある」というお話を聞いたことがあるんです。その時点で最善だと思われていた診療だったとしても、新しい情報や知見によって否定されてしまうことがあるのは困る、と。 

データの有効期限の必要性といいますか、どのようにリフレッシュされていくのが望ましいとお考えでしょうか?

澤 難しい問題ですね。たとえば画像系医療機器の解像度はものすごい勢いで上がっていますから、10 年前の技術では発見できなかった病気について言われても困ってしまいます。一方で、10 年前の画像を AI でリファインすることで新たなデータを得られる可能性もある。未来における免責をどう考えるか、議論が必要だと思います。

河野 データのフォーマット化についてはいかがでしょうか。私たちとしては「FHIR」という標準仕様 API が出現したことが AI の活用につながっていると感じているのですが、医療業界におけるデータポータビリティについて考えをお聞かせください。 

澤 FHIR が普及したから AI も活用できるし、AI で活用したいから FHIR がますます使われる。車の両輪ですよね。私は、データは最終的にはコンピュータで処理されるものですから、コンピュータのデータとして処理しやすい FHIR が世界中で普及し始めているのは、そういう理由だと思っています。 

コンピュータを自分の一部としてアイデアを実現する人材が必要

河野 私たちマイクロソフトでは、お客さまからのフィードバックをセキュリティの改善や予防に活用することでフィードバックループの循環を高速化しているのですが、医療業界ではデータのフィードバックはどのように役に立つとお考えでしょうか。 

澤 私は、フィードバックというよりは「共有化」と「可視化」が重要になると考えています。自分の履歴が見られるのはもちろん、その他のデータについてもある程度見られるようにしていかないと、データだけ取られて終わりでは皆さん納得しないのではないでしょうか。 
ただ、そこを目指そうとするとデータの検索やグループ化をしやすくするための仕組みづくりが必要になるのですが、日本の医療業界には最新のデータ時代に対応できるデータサイエンス分野の人材が不足していることを感じます。

河野 皆さんが必要性を強く感じれば自然と人材も生まれてくるのだと思いますが、まだそこまで至っていないのかもしれませんね。 

マイクロソフトにはコンピュータの知識がなくてもデータ分析画面を構築できる Power BI というツールがあるのですが、こういったツールは医療分野でも役に立てていただけそうでしょうか? 

澤 おそらく、最も重要なもののひとつだと私は考えています。これまではコンピュータを操作するためにはプログラミングというディープなスキルと経験が必要だったのですが、その障壁が無くなりつつあって、コンピュータ側から人間に近づいてきてくれている。 

これからの時代は、しっかりした発想さえ持っていればコンピュータを自分の一部として使いこなせるようになります。アイデアとコンピュータを直結できる人材が増えることを期待しています。 

地域全体でデータを分散共有し、AI 活用の未来を切り開く 

河野 そういった世界を実現できるように、マイクロソフトでは「Do more with less」という言葉を掲げて、なるべく皆さまに負担をかけずにコンピュータを使いこなせる環境をつくろうとしています。AI を副操縦士に見立てた Microsoft 365 Copilot といった製品もリリースしていますので、ぜひ医療業界でも役立てていただきたいと思っています。 

澤 私がマイクロソフトさんを評価しているのは、Azure というプラットフォーム内でさまざまなサービスを展開されていることです。私もサーバやデータベースがすでに揃っている環境を、便利に使わせていただいています。また、自社の利益だけではなく、ユーザーやディベロッパーと一緒に発展していこうとされている点にも好感を持っています。この方向性を維持していただければと思います。 

河野 ありがとうございます。最後に医療 IT の今後についてお考えをお聞かせいただきたいのですが、私たちマイクロソフトは、ひとつの医療機関というより地域内での医療機関の連携スキームの構築を目指しておりまして、そのスキームのなかでデータを共有して AI も活用して、そして患者さんに還元していく。そういうステージを目指していきたいと思っているのですが。

澤 そこには先述したデータ主権の問題があると思います。ですが、少しデータに対する見方を変えるとうまくいくかもしれません。解像度の高い生のデータは保有者が持っていても構わないけれど、例えば FHIR の退院サマリーのようなレベルの解像度のデータであれば共有してしまおうという、二段構えのデータ共有というのはひとつの考え方だと思います。 

私は医療データの持ち方としての正解は中央集中よりも Distributed(分散)だと思っていて、各施設や各人がそれぞれにオーナーシップは維持した状態で、要約されたデータはみんなで共有する。そういう世界は十分つくれるし、そこに AI 活用の大きな可能性が開けると思います。

河野 貴重なご意見ありがとうございます。私たちもそのような世界のお役に立てるように、引き続き IT の視点から医療業界のご支援を続けていきたいと思います。

本記事の内容は以下のURLからダウンロードできます。
https://aka.ms/Helthcare_AI_in_Medical

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