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【インタビュー】「IoT」ということ自体が時代遅れになる(NTTドコモ・菊地大輔氏)

※ この記事は 2018年03月27日に DX LEADERS に掲載されたものです。

NTTドコモの菊地大輔氏は、「39Meister」というドコモ内事業の代表を務め、IoTプロダクト事業化支援サービスを展開している。

「IoTを推進したいが製作方法がわからない」という企業が多い、という仮説を立てていたが、それより多くの企業が困っているのは、モノ作りそのものに加え、「そもそも何を作ればいいのか?」だったという。

また、IoTはあらゆる分野でコモディティ化しており、「そろそろ、弊社もIoTだ!」と言って騒いでいるのは、もう時代遅れと指摘する。39Meisterの事業、そしてIoTの未来について、菊地大輔氏にお話を伺った。

株式会社NTTドコモ 菊地大輔氏

NTTドコモにはない事業をゼロから創造する

──菊地さんが代表を務める「39Meister」とはどんなプロジェクトなのでしょうか?

39Meisterとは、プロダクトの製作を行うハタプロというベンチャー企業との共同事業です。

少し戻ってNTTドコモの仕組みを先にお話させて頂くと、NTTドコモの39階に私が所属するイノベーション統括部というのがあります。イノベーション統括部の社員は誰でも事業を立ち上げることが許されています。そのプロジェクトを「39works」といいます。
通常であれば 企業内で新規事業を立ち上げようとすると、収支計画や事業計画を作り、部内説明、関係各部への説明を行い、社内稟議で承認をもらって、はじめて着手ができます。しかし、39worksでは、そのような工程は総てスキップできます。同じフロアにいるCTOにピッチをして承認されれば、即事業を開始できるのです。

社内調整に時間を使うよりも、外部に出て真のお客様の課題を見つけ、それを事業のなかで、ときには新たなテクノロジーを導入して、またはパートナー企業と協力して解決して行くというアプローチなので、審議内容もそれに即したものになっています。
事業を起こす起案者は事業トップとなり、事業を遂行する上での決定に関する全権を得ることができます。そのため、課長や部長などの上司は、部下の事業が成功するための調整やアドバイスに徹することになります。

──面白いシステムですね。

イノベーション統括部は2014年からスタートしました。NTTドコモの名称でNTTドコモらしくない事業を目にしたことがあるなら、それは39worksが関わっている事業かもしれません。

──起案した事業に対して予算も下りる?

もちろん、予算もつきます。が、投資をしてもらう分、売り上げとして結果を出さなければなりません。それはKPIとして管理されます。そのため、事業を起こしたとしても結果が出ないものは打ち切られ、新陳代謝があります。
また、もうひとつのポイントは、最適なパートナー企業と組むことが求められていて、ドコモだけでは達成が困難な課題を二人三脚で解決します。
大切なのは、あくまでも社員が事業を考え、その事業を推進するためのパートナー企業を探すこと。アイディアや技術を持っている企業があるのでそこと組む、ではなく、自発的なアイディアがあることが重要となります。そのため、「自社にいいアイディアがある」という企業からのオファーは受けていません。

──では、起案する事業はどのようにして見つけるのですか?

通常、大手企業が新規事業のネタ探しをしようとすると、トレンドになっているキーワードや、話題になっているサービスを選定して、企画書を作り、計画定量的な市場データをもとに事業計画を立てるのが一般的だと思います。IoT関連のサービスの多くも、こういった流れで立ち上がっているように見えます。

一方、39worksでは、リーン型の手法を取り入れているため、実際の現場における課題を見つけることが最も重要となります。しかも、その課題はまだ世の中に出ていない、表面化されていない現場の課題であればあるほど、本当の新規事業となります。私自身も、実際に現場に行って、見たり、感じたりする経験から「これは大きな課題だ」と感じ、その解決策を探っていくことを重要視しています。

人生をかけているベンチャーを支援する

──そこから生まれたのが「39Meister」というわけですね。

そうです。私が起案者で、ハタプロがパートナー企業として、共同で事業を展開しています。
どういう事業を行っているのかというと、IoTプロダクトの事業化支援サービスです。IoTプロダクトの設計・製造をめざす企業を支援し、国内のモノづくり産業の活性化に貢献することが目的です。

IoTプロダクトの設計・製造を予定している企業がIoTプロダクトを開発し、販売するには、ハードウェアとソフトウェアの両方を自分たちで開発しなければなりません。それだけでなく、資金調達の活動やプロモーション、技適取得など法規対応、そもそもどんなプロダクトを市場投入するのかのコンセプトの検証など、ITベンチャー企業の通常の仕事とは、比較にならないくらい多くの業務があります。

残念なことに、モノづくりが初めてのベンチャー企業だと、とても量産までいかず、初期の段階で打ち切りになったりもします。
39Meisterにはすでにモノづくりに関するノウハウを持っている企業とのネットワークがあり、チーム内には開発のノウハウも蓄積されています。デザイン思考でのコンセプト開発やその検証は得意分野でもあります。どのようなフェーズのクライアントであっても、期待されている要素だけをインテグレートしてワンパッケージで提供することができます。

──そこにプラス、スピードもある?

一般的なモノづくりプロセスだと、コンサルタント会社に調査やコンセプトの作成を依頼し、次に開発部門では精密な設計図の作成を外注する。そして製造メーカーにプロダクトの製作を依頼します。何を作るかを決めて、それが売れる前提で大量に生産したりもします。
しかし、ベンチャー企業の場合、その製品が本当に市場で売れるかわからない。だからまずは試作を高速に行って、それをもとに実際のユーザに使ってもらうという開発手法をとっています。

39Meisterの場合ですと、打ち合わせ段階で簡単にスケッチを描き、そこから試作の3Dデザインを行い、3Dプリンタで出力するなどしてプロトタイプを製作します。基板も汎用のものを用いて、まずは検証可能なモックアップを作る。プロトタイプを作ってから、実際のユーザの声を聴いて、ブラシュアップして改良を行い、市場性が感じられなければその時点で撤退すればいい。そういう手法だと、スピードが大切です。

──ワンストップでIoTが推進できる、ということですね。

元々は、ハードウェアとソフトウェアを作ることに課題がある、という仮説を立てていました。
というのも、私は日本テレビに勤務していた際、タレントとのコラボモデルで生産数限定の「G-SHOCK」などを企画して販売したことがありましたが、まったく売れず、在庫の山になってしまった。モノを作って売るということのシビアさを感じました。
その後、ドコモでは超音波を使ったビーコンを開発して、店舗や施設などに展開する事業も経験しましたが、ここでもうまくいかなかった経験が多数あります。

ですから、NTTドコモベンチャーズでベンチャー企業支援を行っていた時、ベンチャーから「モノを作りたい」という相談を結構多く受けましたが、いろいろと話を聞いていくと、まさに過去自分が失敗したことと同じ過ちをしかけている、と感じることもたびたびありました。
「ベンチャーは人生をかけている。そんな人たちをなんとかしなければ。自分のこれまでの経験が役に立たないか」という想いから、39Meisterを起案しました。

株式会社NTTドコモ 菊地大輔氏

──ご自身の失敗がベースにあるわけですね。

モノを作るプロセス、たとえば設計や、製造に課題を持っている人へのサービスが必要と仮説を立てました。しかし、その仮説はいい意味で外れました。
実は多くの企業が困っているのはモノ作りの開発の部分だけではなく、「そもそも何を作ればいいのか?」という部分でした。たとえば、あるベンチャー企業の場合だと、ひとつのプロダクトに10個くらい機能を搭載したいという。「ちょっと多いよ」と言うと「では僕らは何を作ればいいのだろう?」となるのです。

一方、大手企業の場合だと、「IoT事業を手掛けるようトップから言われているが、いったい何を作ればいいのかわからない」という人がほとんどだったのです。

──「何を作ればいいのかわからない」という気持ちはよく分かります。

もちろん開発も手がけますが、最近は何を作るかというコンサルティングが非常に多くなっています。そのために現場に赴き、ヒアリングをし、玉ねぎの皮をむくようにして核心に迫っていき、本当の課題発見をします。そこから、たった一つの仮説を立てます。

また、企画段階のコンサルティングに続き、その後のプロダクトの開発から最後のプロモーションまで、一貫してサポートしています。企画段階から関わっていると、どんなモノを作ろうとしているのかというコンセプトが十分理解できているので、クライアントから見ても、別の会社に開発を発注するよりもまた39Meisterにお任せしよう、ワンストップで任せて大丈夫、という安心感があり、リピータとなって依頼して頂いています。

大手のクライアントですと、オープンイノベーションやベンチャー企業との協業に関心があるところが多く、ベンチャー企業との協業を模索している担当者からは、「39Meisterはまさに、オープンイノベーションを形にしたチームだ。39worksのリーン型手法とハタプロのようなベンチャー企業の開発手法も学べて、協業までできてしまう」という声を頂いています。

誰もが簡単にIoTの事業を推進させる

──IoTのトレンドみたいなものはありますか?

トレンドの前に、「IoTとは何か?」という議論があると思います。IoTはセンサーがついていて、インターネットにつながっているモノという、定義はあると思います。では、住んでいる家にはセンサーがついていて、それでインターネットを引いたら、家はIoTなのか?GPSセンサーがついたiモードケータイはIoTなのか?これらはすべて定義上はIoTの部類に入るはずです。なのに、多くの人の感覚では「これはIoTではない」と答えになると思います。

「IoTってこういうもの」という概念が、あるようでない。100人いたら100通りの答えがあるのがIoTではないかと思いますし、そのような世界観を含めてIoTというワードなのだと思います。概念を絞り込むこともできないし、その意味もない。IoTとはそんなものだと理解するしかない。

毎年行われるアメリカのシリコンバレーのIT関係の展示会に行くと、かつてはIoTのコーナーがあったのに、昨年はなくなってしまいました。よく見ると、ハードウェアの展示がすごく増えていて、それらはあたりまえのようにネットにつながっていて、センサーデータを扱うようなクラウドとつながったデバイスが多い。つまり、わざわざIoTというカテゴリでくくっても、しょうがなくなっている。いわゆるIoTデバイス自体が、コモディティ化していて、日常生活の中にそういったデバイスが溶け込みはじめているといえます。

──本当の意味でのIoT元年はIoTの言葉がなくなるとき?

そうかもしれません。だから「弊社もIoTだ!」と言って騒いでいるのは、失礼な言い方ですが、もう時代遅れかもしれません。
わざわざそんなことを言わなくても、今何か新しいことをやろうとすれば、何かしらIoTの要素を経ることになる。つまり手段であったり通過ポイントであったりするもので、それをゴールにするものではないと思います。

通常、トレンドというと尖っているものですが、IoTの場合のトレンドは普遍化していること。IoTというキーワードの登場回数は減っている。しかし、それはなくなったという意味ではなく、世の中に浸透して、あって当たり前になっていくと捉えるべきです。ですので、これからIoTという言葉はどんどんと聞かなくなって行くと思います。これこそがIoTのトレンドなのかなと思います。

──IoTの課題とは何でしょうか?

多くのデバイスがネットに接続する上で、通信部分がデバイスの普及のネックにもなっていると思います。そこで着目しているのが、IoTのための通信規格「LPWA (Low Power Wide Area)」技術です。
さまざまな方式がありますが、39MeisterではLoRa、ソニーLPWA、SigFoxに対応したデバイスをすべて実験に使っていて、その比較実験も手がけています。

デバイスをネットにつなげようとすると、今まではWi-Fiか3G、4Gという選択肢しかなかった。そのたびに通信キャリアと契約が必要でした。そのため、ネットに接続するには最低でも月に数十円~100円ほどの費用を払わなくてはならない。トランシーバーのような仕組みで、センサーデータを送れて、送信距離が長く、バッテリも長持ちして、さらに課題であった通信料を無料にできる仕組みがないだろうかと考えていました。

──無料となるとどこでマネタイズするのですか?

Wi-Fiと似ていて、送信機と受信機を一度購入すれば、その後は無料で通信できるというのがコンセプトです。事業者にとってはハードウェアの売り上げや、使用開始までのコンサルティングがマネタイズポイントになってきます。

実際の使用に際しては、事前に通信距離や環境の調査を行う必要があるのですが、どうやってその評価を行ったらよいのか、というのが市場の課題としてありました。それに対し、39Meisterでは「LoRaエリア検証キット」を提供しています。LPWAの方式のひとつであるLoRa方式のデバイスキットで、自社でもLPWAの送受信を行って理解を深め、経験がなくても屋外に設置をして実際にフィールド実験を行うことができる手軽なものになっています。

エリア検証に必要な機器が一式、キットに含まれ、買切り型になっています。大手企業の方に多く購入いただいていますが、販売によって売り上げを増やしたいのではなく、どうやってLPWAの検証をしたらいいか分からないという企業の課題を解決したくて提供しています。

株式会社NTTドコモ 菊地大輔氏

──IoTを身近にするためには無料で使えることが重要というのはよくわかります。

また、自治体からも注目して頂いています。現在は、積雪状態での水道施設監視実験や防災訓練における通信網構築実験、山岳地帯の中継実験など、さまざまな検証実験を行っています。
例えば、長野県大町市では市民生活の重要なライフラインである水道施設が、携帯電話網がない山中にあるうえ、冬には積雪によりアクセスが困難となります。施設が正常に動作しているかは、現地に出向いての目視確認が必要であり、多大な労力と時間を要していました。
LoRaを用いて実際の拠点施設において通信網を構築した結果、施設の状態の常時監視が可能であることが確認できました。

今までは通信キャリアが構築した通信インフラを使わないとできなかったことが、やる気になれば自治体でも、独自の通信インフラを作って行える状況になっています。

──自治体が独自でやれるわけですね。

LPWA技術を使って、基地局を建てて格安で無線通信を提供する事業者も複数出てきています。そういった事業者を支援するような別の事業者もいたりして、業界は盛り上がってはいます。

しかし問題は、そういう事業者がいざ投資をして基地局を建てても、まだ誰も接続しにきてくれない、ということだと思います。利用者は場合によっては無料、もしくは格安で通信が確立できるはずなのに、つなげたいというプレイヤーが少ないように思います。これは大変重要な課題です。なぜかというと、実はLPWAで盛り上がっているのは提供事業者側だけで、お金を出してそれを使いたいという本当のエンドユーザ、つまり現場の課題を抱えた方々が、実はそれほど通信部分を課題だと思っていなかったということなのかもしれません。

こういうユーザは一般消費者というわけではなく、事業をやられている農家だったり、工場だったり、建設業界だったりしますが、そのレイヤーで活躍されている方々の日々の業務のなかで、まだまだ最新の技術が導入しにくかったり、そもそも現場の課題自体が浮き彫りになっていない可能性もあります。これらを含めて、LPWAの動向を注視して行き、現場の方が本当に使える技術やプロダクトを開発していくことも我々のミッションだと考えています。

──ありがとうございました。

菊地大輔(きくち・だいすけ)

株式会社NTTドコモ/39Meister代表
イノベーション統括部グロース・デザイン担当 主査

39Meister代表。NTTドコモ入社後、日本テレビに出向し番組制作などを担当。その後、NTTドコモ・ベンチャーズでスタートアップ支援に関わる。NTTドコモでGoogleと共同開発した日本初のAndroid端末に携わり、スマホ向けネット接続サービス”spモード”を立ち上げる。O2O事業「ショッぷらっと」で独自開発したセンサーデバイスは”トレインネット”としてJR山手線に搭載中。その他さまざまなキャリアを積む。現在はハードウェア・インキュベーションに加え、通信規格のひとつで無料で使えるLoRaやSigFoxなどLPWA技術を企業が活用するためのプラットフォーム構築を目指している。

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