各企業が自社の IoT 革命を加速
※このポストは、9 月 24 日に投稿された How companies are speeding their IoT revolution の翻訳です。
※このブログは、マイクロソフトの最新の調査 IoT Signals に焦点を当てたシリーズ第四弾となる記事です。毎週、新しい最重要トピックを取り上げ、さまざまな業界の IoT 導入の現状、ビジネス リーダーが独自の IoT 戦略を策定する方法、企業が IoT を用いてパートナーや顧客向けのサービスを改善すべき理由に関する洞察を提供します。
IoT (モノのインターネット) 革命が本格化しています。その中でも報道などで特に注目を集めているのは、消費者向けのスマートなテクノロジではないでしょうか。しかし、ビジネス向けの IoT アプリケーションも、各産業の変革を静かに推し進めています。これらのアプリケーションは、企業やその顧客に向けた多大な価値を生み出しつつあるのです。3,000 人の主要な意思決定者を対象としたマイクロソフトの調査レポート IoT Signals によると、IoT の導入率は 2021 年までに 85% から 94% へと 9% 上昇する見込みです。各企業は業界での競争力維持や成長の促進のために、IoT に向けた投資やユースケースの拡大が欠かせないと考えています。
各業界が重要視する IoT のユースケース
ではここで、企業がどのような領域に注目しているのかをご紹介しましょう。以下の内容は、IoT Signals に基づいています。
- 製造: 製造企業は、産業自動化プロジェクトに取り組んでいます (48%)。このようなプロジェクトは、IoT を使った大々的な取り組みの予行演習とも言えるでしょう。また IoT を使って製品の品質とコンプライアンスを確保し (45%)、返品やリコールに伴うコストを削減することにも関心が集まっています。IoT を活用して、生産計画やスケジューリングを調整し、資産の利用状況を最適化したいという企業 (43%)、パートナーを含めたサプライ チェーンや物流を調整したいという企業 (43%) も多くありました。この他には、IoT を工場内の安全やセキュリティのために利用し、IP と資産の不適切な利用や盗難を防ぎたいという回答も見られました (33%)。
- 小売: 小売・卸売企業の仕事は、まず商品を市場に送り出すこと、さらに消費者需要の変化や新たな購買層の出現に対応するため、在庫を調節することです。そして現在、これらの業務のスピードは以前にも増して早くなっています。こうした事情から、小売企業が IoT の応用領域として最も関心を寄せているのがサプライ チェーンの最適化 (64%) であり、在庫の最適化 (59%) がそれに続くという結果が出ています。その他に注目を集めている領域は、監視とセキュリティ (48%) やロスの防止 (44%) があります。さらに店舗、工場、流通センターからなるネットワーク全体でエネルギーを最適化したい (40%) と考える企業も多くありました。
- 運輸: 運輸業では多数の保有車両や機械類を管理していますが、これらは燃料供給、運転、修理、保護に多くの費用がかかります。各企業が IoT を活用したいと考えている領域は、まず車両管理 (56%) であり、セキュリティと監視、安全に関わるアプリケーション (51%) がそれに次いでいます。運搬車両は、製造業者の製品を市場に運ぶための社内リソースであったり、そのような業務を請け負うためのリソースであったりすることがよくあります。そのため、業界のリーダーは製造業務の合理化にも関心を寄せています (40%)。また運輸業界の経営層は、IoT を使って車両テレマティクスやインフォテインメント サービスを開発することで (38%)、サービスの価値を高め、ROI を向上させたいとも考えています。さらに 100 万ドルクラスのトラックや建設機械といった車両の高額な修理費を削減するため、予測メンテナンス (33%) に注目する企業も多くありました。
- 行政: 行政のリーダーは、保安・救急サービスのような公共安全プログラムに向けた IoT の活用に関心を寄せています (48%)。また IoT を活かし、産業レベルの規模でインフラや設備の管理を行いたいと考えるリーダーも多く見られました (40%)。民間企業の監督と要件の遵守をつかさどる政府機関は、規制およびコンプライアンスの管理に IoT を利用したいと考えています (38%)。さらに運輸業界の経営層と同様、行政のリーダーも車両や資産の管理を最適化したいとしています (37%)。この他には、セキュリティ アラートや避難指示といったインシデント対応に関するユースケースにも注目が集まっています (29%)。
- 医療: 医療業界の経営層は、IoT を使った患者の監視、スタッフの監督、医療機器や医薬品の在庫管理に大きな期待を寄せています (66%)。IoT を使って 100 万ドルクラスの手術ロボットのような機器を遠隔で監視・保守することにも注目が集まっています (57%)。さらに IoT を使って健康上の問題を抱える患者を遠隔で監視・支援したいという回答も多くありました (55%)。これについては、疾病管理のため患者に IoT デバイスを身に着けてもらい、そのデバイスにアラートを発信するといった利用例が考えられます。また業界のリーダーは安全性、セキュリティ、コンプライアンスのために IoT を利用し (53%)、病院内における患者のフローを管理したいと考えています。以上に加え、冷暖房や照明といった設備の管理 (42%) にも期待を寄せています。
5G でさらに IoT の幅が広がる
さらに各企業は 5G に対応するための態勢も整えています。今後、超高速のネットワークによって、どこまでも広がるコネクティビティが現実のものとなり、ネットワーク内やエッジに位置する数十億のデバイスが通信を容易かつ迅速に行うようになると考えられています。このようなネットワークで、膨大なデータ セットを対象にした分析が実行されるようになります。AI と機械学習も大規模に展開され、今よりさらにスマートになります。
このレベルのコネクティビティとデータ分析を促進する 5G によって、IoT を活かした複雑なビジネス プロセスの調整が可能となります。具体的には、全世界の製造現場の生産リズムを最適化したり、全拠点のスマート ビルディングでエネルギー消費を削減したり、渋滞の多い都市の交通フローを改善したりといったことが可能になります。また多数の大規模農場にまたがって増産を達成することや、個々人に合わせた医薬品と治療を実現することなども考えられます。
企業は IoT の経験を深めるにつれ、このテクノロジの力を事業の中核に取り入れるようになります。各企業はビジネス プロセスをさらにつなぎ合わせ、分析を利用して将来のニーズを予測します。また 5G ネットワークのスピード、自動化、AI、機械学習を活かして市場力学の変化を察知し、その変化に対応します。このように、これらの企業は得られた成果を元にして、未来の大きな収穫に向けた投資を進めていくのです。
さらに詳しく、グローバル企業が IoT を活用して価値を創出している方法をお知りになりたい場合は、IoT Signals レポートをダウンロードして頂き、ThyssenKrupp、Bühler、Chevron、Toyota Material Handling Group などの企業が推進する IoT プロジェクトに関する Transform ブログ をご覧ください。