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業界

産業用 IoT のオープン性を推進する 4 つの方法

二人の男性がモニターを見つめる様子

※本ブログは、米国時間 2020 年 2 月 13 日に公開された 4 ways we drive openness in industrial IoT の翻訳です。
このブログでは以前も、産業用 IoT (IIoT) の “オープン性” に対するマイクロソフトの姿勢について取り上げ、その 4 つの要素をご紹介しました。”オープン性” は以前から、マイクロソフトにとっての中心的なコンセプトとして、さまざまなプラットフォームをつなぐ数百の製品やサービスの力となり、プラットフォーム間でのシームレスなデータ移動を後押ししてきました。しかし、具体的にこの戦略がどのように実行に移されているのかという点に多くの関心が寄せられるようになったのは、つい最近になってのことでした。

それも不思議なことではありません。スマート マニュファクチャリングへのニーズが高まったことで、製造業界のデジタル変革には拍車がかかりました。競争力を維持するため、製造企業は業界を数十年にわたって形作ってきた固有のシステムから脱却する必要があります。また、その代わりに異種のテクノロジをつなぎ合わせ、さまざまなデータ セットを相互連携させ、システム、工場、企業の全体を統合するという方向へ向かわなければなりません。

言い換えれば、製造企業はよりオープンになる必要があるのです。

オープン スタンダード

マイクロソフトは “オープン スタンダード” を基盤として、イノベーション、フレキシビリティ、効率性の妨げとなる障壁を取り除いています。インターフェイスと情報を標準化することで、マイクロソフトはサプライ チェーン全体、企業全体の工場の相互運用性を促進することができています。その結果もたらされる全面的な可視性と円滑なコミュニケーションによって、製造企業はよりインテリジェントにビジネス価値を最大化できるようになっています。

マイクロソフトは自社の IIoT サービス全体で Open Platform Communications Unified Architecture (OPC UA) をサポートしており、これをオープン戦略の重点領域としています。OPC UA は、マイクロソフトと OPC Foundation との数十年にわたるパートナーシップの成果であり、完全な相互運用が可能なデバイス、システム、データの実現に向けて製造企業が採用できるオープン スタンダードです。マイクロソフトは OPC UA の利用を IIoT 分野およびクラウドの全体へ広げるために、多大な貢献を果たしてきました。

すべての Azure IIoT ソリューションを OPC UA に対応させてきたほか、OPC UA 標準に沿ったアプリケーションをデプロイする企業へ常に支援を提供し、そのアプリケーションが各プラットフォームにまたがって問題なく動作するようにしてきました。さらにマイクロソフトは自社の広範なパートナー エコシステムを活用することで、レガシーなハードウェアを OPC UA のオープンなコンセプトに適合させようとする製造企業に向けたソリューションを開発してきました。例えば、データをインテリジェント エッジで標準化するカスタム アダプタを利用することで、製造企業は既存のマシンをオープン データ モデルに対応させることが可能となり、それによって新しいデータの利用が実現し、これまでになかった機会が訪れます。

OPC UA は強力なツールであり、マイクロソフトが製造業界全体でオープン スタンダードを促進するうえで役立ちましたが、マイクロソフトのオープン性へのコミットメントには、いかなる形でもお客様を束縛しないという意味が込められています。そのためマイクロソフトは、アナリティクスや AI ベースの異常検出といったクラウド テクノロジについて OPC UA へのサポートをさらに拡大していく一方で、お客様が自身にとって最適な基準を選択できるという自由をこれからも保証し続けていきます。

オープン プラットフォーム

“ベスト オブ ブリード” という概念 (企業は、顧客が事業に最適なソリューションを利用できるようにすべきという考え方) は、マイクロソフトのオープン戦略において不可欠な役割を担っています。マイクロソフトが OPC Foundation と最初にパートナーシップを結んだ最大の理由は、ベンダー ロックインの防止でした。またこれは、マイクロソフトが Azure IIoT チームを結成し、ソフトウェアのポートフォリオをクラウドへ拡張し始めたときの目標でもありました。こうした背景から、マイクロソフトはオープン プラットフォームのサポートを自社の IIoT ソリューションとサービスの中心に据えてきました。

特筆すべきは、製造企業には自社のビジネスに最も合ったハードウェアやプラットフォームを Azure プロダクトと組み合わせたり、Azure プロダクトに適合させたりできるという自由が保証されていることです。例えば、お客様はカスタマイズされた IoT ソフトウェアやデバイスを採用し、Azure IoT Hub を使って、ご利用中のプロバイダーを通じてそのデータを読み込んだり、クラウドにアップロードしたりすることができます。またビジネス ニーズが変化し、従来のソリューションがもはや適切ではなくなった場合でも、全体のシステムに支障をきたすことなく、新しいソリューションを容易に統合することが可能です。

Dove や Vaseline といった著名ブランドを有する巨大メーカー Unilever (英語) は、Azure のオープン プラットフォーム サポートを活用して、自社のグローバル サプライ チェーンのデジタル変革を進めています。Azure IoT プラットフォームを使って産業用機械を相互接続することで、Unilever は自社工場のデジタル モデル、いわゆるデジタル ツインを構築しています。これによって同社は、既存の工場設備を使い続けながら、現在のプロセスの分析、成果の最適化、効率化できる箇所の発見などに必要とされる可視性を得られるようになります。Azure がオープン プラットフォームに対応しているという点を活かして、同社は工場の一部のタスクをデジタル ツインのより生産性の高いアルゴリズムに移行させるという作業に着手し、生産キャパシティの最大化とあらゆる資産の全面活用に向かっています。

オープンソース

オープンソースは信頼を生み出し、長期的な投資の保護となります。マイクロソフトはオープンソース ソリューションのサポートを通じて、こうしたメリットを組織に取り入れるのに必要なフレキシビリティを製造企業に提供しています。例えば、マイクロソフトはすべての IIoT 製品を GitHub の Azure Industrial IoT のページ (英語) で公開しています。そのため製造企業はこれを基にカスタム化したシステムを容易に構築し、それを使って OPC UA 標準に従いながら IIoT デバイスを接続、監視、制御することができます。

またマイクロソフトは、お客様に価値をもたらすオープンソース プロジェクトの開発に投資を続けています。例えば Azure Kubernetes Service (AKS) は、コンテナー化アプリケーションのデプロイと管理に向けたオープンソース システム Kubernetes をより一層利用しやすくするためのサービスです。正常性の監視やメンテナンスといったクリティカルなタスクを Azure 上で処理することにより、AKS は Kubernetes 管理の複雑さと運用オーバーヘッドを軽減します。さらに、このソリューションはアプリケーション開発の高速化、Visual Studio Code との統合、Azure Active Directory を通じた ID 管理といった機能も備えており、マイクロソフトがオープンソース分野へリソースを適用した場合に実現できることの良い例となっています。

世界最大級のコンテナ海運会社 Maersk (英語) は、エンジニアリング リソースの節約と開発時間の短縮を目指し、自社のデジタル変革の一環としてオープンソース ソフトウェアを取り入れました。Azure プラットフォームは、オープンソース アプリケーションに完全対応しています。そのため Maersk はこれを使って、自社の動的なアプリケーション環境の監視など、多くのタスクを管理しています。

Maersk でクラウド アーキテクチャ部門代表を務める Rasmus Hald 氏は次のように述べています。「Kubernetes on Azure は、効率的なソフトウェア開発という私たちの目的にかなっています。このサービスは当社のデジタル計画によく適合しています。また当社が選んだ、特定のプログラム言語に対応したオープンソース ソリューションにもしっかりと対応しています」

オープン データ モデル

製造業では、データへの容易なアクセスを維持することが特に重要です。この業界では数年間、ときには数十年間にわたって情報の有用性が保たれるためです。オープン スタンダードは、さまざまなアプリケーションからデータをプルするために役立ちますが、オープン データ モデルは、製造企業がクラウド ベンダーを乗り換えた場合においても、クラウド上の有益なデータや、そこに含まれる洞察へのアクセスを維持するために役立ちます。

相互運用可能な環境のメリットを最大限活かすため、マイクロソフトはハードウェア、ソフトウェア、クラウド アプリケーションの標準化よりもさらに踏み込んだ取り組みを行い、さまざまなデータ セットに向けたアクセスやその分析を容易化しています。例えばマイクロソフトは、独自形式のデータをクラウド転送時にオープン形式へ自動変換できる、唯一のクラウド ベンダーとなっています。そのためデータがいつ保存されるのか、どのような形式であるかに関係なく、あらゆるユーザーが容易にデータアクセスしたり、後でデータ分析を行ったりできるようになっています。こうした理由から、クラウドまでにいたるテレメトリ データのオープン スタンダードの促進に関して、マイクロソフトは独自の地位を築いています。

マイクロソフトは長年にわたって、産業分野におけるオープン性を推進してきました。このコミットメントは、製造企業のための包括的な取り組みという形を取り、各企業が有するデバイス、システム、アプリケーションのクラウド接続のあり方を変革してきました。このデジタル変革時代のさらに先を進むため、マイクロソフトは絶えずオープン戦略に磨きをかけ、それをインテリジェント エッジなど他の領域にも適用することで、IIoT に欠かせないイノベーション、フレキシビリティ、効率性という特性をこれからも実現していきます。

製造業界のための Azure IoT がビジネスに向けた新しい価値をどのように生み出すかについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。