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加速するサプライチェーンの「インテリジェント化」、データ活用の成果は着実に形に

モニターで製造ラインを確認する 2 人の男性

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて様々な支障をきたしたことをキッカケに、サプライチェーンの基盤強化に取り組む機運が製造業において高まっています。事業環境の変化や予測していなかった問題にも柔軟に対応可能で、被害を受けても速やかに回復できる強靱なサプライチェーンを構築するための重要なポイントが、サプライチェーン全体から創出されるデータを効果的に活用して、サプライチェーン全体の最適化を図ることができるインテリジェントな情報基盤を実現することです。そのためのソリューションを展開しているマイクロソフトは、いち早く自社のサプライチェーンでその成果を出しています。さらに、具体的な成果を出しているユーザーも着実に増えています。

製造業に関わる多くの企業がこれまで築いてきたサプライチェーンが抱えている大きな問題の 1 つは、設計・開発、購買、製造 (加工/組み立て)、物流 (配送)、サポートなど、サプライチェーンを構成する工程ごとに、情報やデータ管理の仕組みが最適化されていることです。このため工程間で迅速に連携する仕組みが十分に整備されていないという企業は少なくないと思います。前編で述べたように、世界経済の不確実性が高まる中で、大規模化かつ複雑化したサプライチェーンを強化するために取り組むべき課題は大きく 3 つあるとマイクロソフトは考えています。すなわち、第一は、サプライチェーン全体の動きを可視化して、発生した問題の状況を的確に把握できる仕組みを設けること。第二は、発生した問題や関連する情報を、関係部門部門や関係者の間で素早く正確に共有できるようにすること。第三は、人の動きが制限された場合でも、場所を問わず担当者が問題やリスクに対応できるようにリモートワーク環境を構築することです。

サプライチェーン連携の比較

これら 3 つの課題を解決するために必要なのが、「現場」から収集した大量データを効果的に利用するためのデジタル プラットフォームです。このプラットフォームを利用して、データを軸に、サプライチェーンの各工程を有機的に連携させながら、状況に応じて動的にサプライチェーンの構造や機能を最適化する仕組みを実現することができます。マイクロソフトは、こうしたデジタル プラットフォーム上に構築したサプライチェーンを「インテリジェント・サプライチェーン」と呼んでおり、これを実現するためのクラウド・ベースのソリューションをパートナー企業と連携しながら製造業の皆さんに提供しています。

パートナーとの連携で業務に特化した機能を強化

具体的には、Word、Excel、PowerPoint などのアプリケーションをサブスクリプション サービスとして提供する「Microsoft 365」、クラウド型の ERP (Enterprise Resource Planning) や CRM (Customer Relationship Management) を提供する「Microsoft Dynamics 365」、クラウド サービス「Azure」を連携させることで、インテリジェント・サプライチェーンを実現するためのプラットフォームを実現。生産現場や設備、倉庫からのデータを収集から、データの分析、状況の可視化などサプライチェーン全体を包括的に管理するための多彩な機能を提供します。

ここで重要な特徴は、このプラットフォーム上に実装する様々なクラウド型サービスがデータを介してシームレスに連携できるようにするためのデータ モデル「CDM (Common Data Model)」が用意されていることです。データ モデルとは、アプリケーションに最適化したデータ形式のことです。データを分析・整理してデータ モデルを求める作業はデータ モデリングと呼ばれています。複数のアプリケーションで共有することを前提に最適なデータ モデリングを実施すれば、データを共有するアプリケーションのいずれにおいても扱いやすいデータ モデルを作成できます。つまり、データを共有しながら効率よく複数のアプリケーションが連携でき仕組みを実現できるわけです。

データ モデル「CDM (Common Data Model)」

さらに、サプライチェーン特有のノウハウや知見が必要な機能やサービスについては、サプライチェーン マネジメント・ソリューションの分野で 35 年以上の実績を築き、この業界の最大手として知られている米 Blue Yonder と連携して提供している点も重要な特徴です。サプライチェーンに特化したアプリケーションを、Blue Yonder が提供します。「サプライチェーン マネジメントの基本である『可視化』の機能はもとより、『予測分析』『自己学習』など、AI や機械学習を活用した先進的な機能を提供するツールをいち早くそろえています。これらを各企業のサプライチェーンの成熟度やニーズに応じて段階的に導入していただくことが可能です」(Blue Yonderジャパン 代表取締役社長 桐生卓氏)。

マイクロソフト自身が効果を “体感”

インテリジェント・サプライチェーンは、すでに多くの企業が導入しています。実は、マイクロソフト自身がその 1 つです。いまやクラウドや IT のソリューション・ベンダーとして広く知られている同社ですが、タブレット型端末「Surface」などハードウエアを提供するメーカーでもあります。かつては 4万2,000 種類以上の部品や製品を在庫し、取り引きしているサプライヤは 250 社を超えていました。しかも、122 カ国でビジネスを展開し、年間の製品出荷数は 130 万個に上ります。このため、サプライチェーンがかなり複雑化し、市場の動きに的確に追随させることが難しくなることが懸念されていました。そこで、インテリジェント・サプライチェーンを導入し、生産計画や在庫管理の最適化を推進。この結果、生産計画の策定に要する時間を 2 日間から 4 時間へと大幅に短縮。生産の歩留まりを 30% も改善しました。さらに、過剰在庫などに起因する廃棄のコストを年間 200 億円も抑えることができました。

社外の事例では、コロナ禍の中で立ち上げた「VentilatorChallengeUK Consortium」の緊急プロジェクトがあります。航空宇宙、自動車、医療など分野の壁を越えて英国企業が連携し、新型コロナウイルス感染者の急増によって不足している人工呼吸器を緊急で生産するプロジェクトです。マイクロソフトは、このプロジェクトに参加し、リモートワークやリモート トレーニングの環境と併せて、インテリジェント・サプライチェーンの仕組みを提供。最初のデザインレビューからわずか 2 週間で、8,000 台の人工呼吸器を量産。さらに約 10 週間で、過去 10 年分に相当する台数の人工呼吸器を製造するという目覚ましい成果の実現に貢献しました。

マイクロソフトとパートナー企業である Blue Yonder と連携して実現したソリューションも着実に導入実績が増えています。例えば、最近の事例では原材料や部品の調達先から商品の取引先まで網羅したサプライチェーン全体の状況を可視化するシステムを、医療用の装置や検査用品、実験機器を手掛ける米 Becton, Dickinson and Company に提供。新型コロナウイルス感染拡大によって需要が急増した医療機器や医療用品の需給調整と供給安定化に貢献しています。国際物流大手の DHL には、両社のソリューションを組み合わせて実現した搬送ロボットの制御システムを提供しており、すでに実際の現場で稼働しています。

このほかにも世界各地で導入の動きが進んでいますが、日本でも先進的な企業がインテリジェント・サプライチェーンの導入を進めているところです。例えば、少量多品種生産のハードウエアを手がけている、ある国内メーカーは、AI の機能が組み込まれた Blue Yonder の需要予測ソリューションを導入し、これまで人手に頼っていた需要予測にともなう作業の効率化と精度向上の可能性を探っています。「需要予測ツールの導入は、小売りや流通の業界が先行しています。産業用商材を扱うメーカーの間では、先進的な取り組みだと思います。この事例が呼び水になって、Blue Yonder とマイクロソフトが提供するソリューションが製造業によりいっそう広く活用され、変化に強く回復力の高いサプライチェーンの再構築に貢献することを期待しています」(桐生氏)。

 

製造ラインの作業内容を設定する男性

大規模化かつ複雑化したサプライチェーンの仕組みを変えることは容易なことではありません。その一方で、製造業における DX のトレンドを背景に、ICT をベースにしたサプライチェーン・ソリューションは近年急速に進化しています。コロナ禍の中で現状のサプライチェーンが抱えている課題が現実の問題として浮き彫りになったいまは、新しい時代を先取りしたソリューションを活用してサプライチェーンの大胆な改革を行う好機と言えるかもしれません。

(監修: 日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)

 

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この投稿は前後編です。

前編ポスト コロナに向けたサプライチェーン構築、課題はデジタル化によるプラットフォーム強化

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