製造 Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/ Tue, 02 Sep 2025 07:05:11 +0000 en-US hourly 1 Hannover Messe 2025 振返りセミナー ~AIの実用例と製造業への応用【セミナーレポート】  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2025/08/22/hannover-messe-2025-event-report/ Thu, 21 Aug 2025 16:00:00 +0000 2025 年 6 月 18 日(水)、日本マイクロソフトは品川本社にて、生成 AI による製造業の業務課題解決をテーマにしたセミナー「Hannover Messe 2025 振り返りセミナー〜最新 AI の実用例と製造業への応用」を開催しました。 

セミナーは 2 部構成で行われ、第 1 部ではマイクロソフトより、製造業における生成 AI 活用の実情と世界最大級の製造業会の展示会「Hannover Messe 2025」での各社の様子を紹介。続く第 2 部では、パートナー企業 4 社が製造業の現場の変革を支えるソリューションを発表しました。本稿では、当日のセッションの概要を紹介します。.

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2025 年 6 月 18 日(水)、日本マイクロソフトは品川本社にて、生成 AI による製造業の業務課題解決をテーマにしたセミナー「Hannover Messe 2025 振り返りセミナー〜最新 AI の実用例と製造業への応用」を開催しました。 

セミナーは 2 部構成で行われ、第 1 部ではマイクロソフトより、製造業における生成 AI 活用の実情と世界最大級の製造業会の展示会「Hannover Messe 2025」での各社の様子を紹介。続く第 2 部では、パートナー企業 4 社が製造業の現場の変革を支えるソリューションを発表しました。本稿では、当日のセッションの概要を紹介します。 

【第1部】「製造業における生成 AI の実装の現状」
マイクロソフト社鈴木靖隆の画像

はじめに、マイクロソフトの鈴木靖隆が、2025 年 3 月 31 日から4 月 4 日にドイツにて開催された「Hannover Messe 2025」の様子を振り返りながら、製造業における生成 AI の実装状況について解説しました。 

まず、わずか 1 年で、生成 AI を実際のビジネス プロセスや製品・サービスに搭載し始めた企業が増加していると説明。さらに、ユーザーの意図をくみ取り、自律的にタスクを進める AI の活用や、推論モデルを用いた高度な調査タスクを行うエージェントが普及していると述べました。 

「1 年ほど前までは、チャット形式でプロンプトを入力するスタイルが主流でした。しかし、最近はエージェントとしての活用が一般的になってきたと思います」(鈴木) 

続いて、マイクロソフトが提供する新たなサービス「Microsoft Discovery (マイクロソフト ディスカバリー)」が紹介されました。これは、創薬や材料開発といった科学的な検証プロセスに生成 AI を活用するものです。 

※本記事の公開時点では、Microsoft Discovery 機能はインサイダー プレビュー中です。 

ナレッジの収集、仮説の立案、HPC を用いたシミュレーション、結果の評価・解析といった科学的な推論ループを、AI エージェントが支援します。鈴木は「人間が数千通りの組み合わせを試行していたプロセスを、AI がスクリーニングし、効率化することが目的です。研究開発に携わる事業部の業務効率化に貢献できると思います」と紹介しました。 

科学的な推論ループの画像

【Hannover Messe 2025 での事例紹介】 

■Schneider Electric 社の事例 

Hannover Messe 2025 の展示から、Schneider Electric 社の事例が紹介されました。
同社は、生産ラインの制御のシーケンス全体に生成 AI を適用。過去のデータや知識、図面、仕様書を読み込ませることで、Copilot がプロセスに応じたコードを生成し、シーケンスに入れるべき情報の提案も可能です。生成 AI を使い、制御プログラムやプロセス全体のシーケンスを自動生成し、業界のベストプラクティスを活用しています。「現在は人間の許諾を得てからインターフェースしていますが、精度次第で自動化も視野に入ると思います」と鈴木は感想を述べました。 

Schneider Electric社の事例画像

■EPLAN 社の事例 

続いて紹介されたのは、EPLAN 社の AI エージェントを用いた提案業務の自動化です。顧客の要望に応じたサーバー構成や配線図、ラック内の設計図などを次々に生成することで、顧客提案設計のスピードを大幅に向上させています。経験が浅いエンジニアでも最初の設計を行えるようになるため、スキルギャップを埋めることにも役立ちます。 

EPLAN 社の事例画像

■Sanctuary AI 社の事例 

次に、マイクロソフトが支援するスタートアップ、Sanctuary AI 社の事例が紹介されました。ロボットアームの動作精度向上のため、強化学習と生成 AI を組み合わせてアルゴリズムの最適化を図ります。動作パターンのスクリーニングや繰り返し調整を AI が担うことで、短期間での精度向上を実現します。 

Sanctuary AI 社の事例画像

■Husqvarna 社の事例 

最後に、Hasqvarna 社の製造設備の AI 利用について解説。同社は製造現場で、アームにカメラを取り付けたロボットを活用し、部品検査をビジョン AI で行っています。さらに、現場サーバーで処理しつつ、クラウド側にもほぼリアルタイムでデジタルツインを同期。NVIDIA Omniverse とも連携し、実機とデジタルの双方向での可視化と制御を可能にしています。 

Husqvarna 社の事例画像

鈴木は「製造業の現場におけるデータ活用の課題とそれに対するマイクロソフトの技術的支援とビジョン」について語り締めくくります。「日本の多くの製造現場では、装置ごとのデータが分断されていたり、人が持つナレッジと装置の時系列データが統合されていなかったりと、データ活用には依然として課題が残っています。マイクロソフトは、こうした分断を補い、現場とクラウドをつなぎながら、予測的・即応的な運用を可能にする『Adaptive Cloud』の概念を通じて、現場の変革を支援していきたいと考えています」(鈴木) 


【第2部】Industrial AIパートナー企業4社によるプレゼンテーション
マイクロソフト社清水豊の画像

第 2 部の冒頭、マイクロソフトの清水豊が次のように挨拶をしました。 

「本日お越しいただいたパートナー様の多くが、すでに Copilot や AI エージェントを導入・活用していると思います。これからの課題は、それらをどのように進化させ、どう組み合わせて業務に最適化していくかという点だと考えています。Copilot エージェントは、自律的なリサーチや意思決定まで担えるレベルに進化しています。設計データに対して改善提案を行う、複数案を自動生成するといった機能もすでに実用段階にあります。そして、私たちは設計・生産・品質といった複数の AI エージェントが連携し、自律的に課題を発見・解決していく『マルチエージェント』の世界をパートナー様たちと構築したいと考えています。実際、Hannover Messe 2025 ではすでに多くのマルチエージェントが稼働しており、その姿を目の当たりにしました。本日はその中から、弊社と共同展示を行った 4 社のパートナー企業にご登壇いただきます。各社のソリューションを通じて、より具体的な活用イメージをお持ちいただければと思います」(清水) 

パートナー企業4社が登壇。製造業のおける生成 AI の実用例について発表しました。 

【発表企業】 

1.シーメンス株式会社 
2. アバナード株式会社 
3. Cognite株式会社 
4. Rescale Japan株式会社

1. シーメンスの生成 AI の実用例 
シーメンス社の北村さまの画像

はじめに登壇したシーメンスは、製造業における AI 活用の現状とバリューチェーンの各工程で活躍するインダストリアル・コパイロットについて紹介しました。 

製造業界では、AI を信頼できないと感じる人が 4 割にのぼり、導入を目指しても人材不足に直面している企業が多いといいます。こうした課題に対し、シーメンスは「信頼性」「セキュリティ」「目的に応じた活用」を重視し、現場で実用できる AI ソリューションの開発を進めています。 

支援内容の画像

たとえば設計開発においては最新のクラウド 3D CAD「NX X」に Copilot を搭載し 、自然言語で質問をすると回答が得られ、設計のアドバイスなどをしてくれます。生産工程では、ロボットの動作シミュレーションで干渉箇所を自動検出し分析、修正方法を指示。さらに、現場のスマートフォンからの報告内容を翻訳・解析し、PLMの Teamcenter 経由で設計拠点に即時連携するなど、サービス面でも Microsoft Teams との連携により遠隔対応を実現しています。 

最後に「今後もマイクロソフトと協力しながら、製造業に特化した AI の開発と普及を進め、サステナブルなものづくりの実現を目指します」と締めくくりました。 

2. アバナードの生成 AI の実用例 
アバナード社鈴木さまの画像

続いて、アバナード株式会社は、AI エージェント技術を活用した自律的な生産・設計開発・物流支援を進めていることを紹介しました。 

生産・製造においては、設備データや MES(Manufacturing Execution System)の情報を AI が分析し、品質問題の兆候を早期に検知。原因の把握から過去の対策ナレッジの検索・提案までをエージェントが担い、現場の迅速な意思決定を支援します。未知の異常パターンの予測とアラートや、適切な発注・出荷タイミングの判断、設計業務の支援なども可能です。 

続いて、Hannover Messe 2025 での展示について解説しました。同社は、簡単な組立作業を模した生産ラインのモデルを用いて、AI エージェントが生産指示の発行から監視・制御・フィードバックまでを担うデモンストレーションを実施。AI がリアルタイムで歩留まりや生産効率を計算し、作業者の特性に応じて作業時間の調整提案を行うなど、個別最適化にも対応できる様子を公開しました。 

さらに、チャット形式で生産状況の確認や問題の原因特定・対策提案が可能な「会話型エージェント」の開発事例や、過去のナレッジと連携して外観検査の異常を分析・改善提案につなげるソリューションも提示されました。 

自動製造ラインデモの画像

3. Cognite の生成 AI の実用例
Cognite社まるやまさまの画像

続いて登壇した Cognite株式会社は、同社が提供する産業データ& AI 統合基盤「Cognite Data Fusion」と、生成 AI によるエージェント ソリューション「Cognite Atlas AI 」の活用について紹介しました。 

製造現場では、設備データやセンサーデータ、図面、検査記録などの情報が部門ごとに最適化されたシステムに分散しており、統合的な活用が困難だと指摘。Cognite Data Fusion では、こうしたバラバラなデータを抽出・統合し、コンテキスト化することで、AI による分析や意思決定支援を可能にしています。たとえば、設備データと図面、3D モデルなどが紐付けされることで、連鎖的にデータを取得し、活用することができます。

さらに、信頼できる知見を提供し、複雑なタスクを自動化する「 Cognite Atlas AI 」についても解説。Cognite Atlas AI は、大規模言語モデルを使用しており高度な言語理解ができ、CDF に構築されたデータを使って信頼できる結果を提供してくれるうえ、自律的に業務タスクを実行してくれます。 

同社は、すでに主要な産業企業が Cognite Atlas AI を導入していると解説し、RCA プロセスの迅速化や複雑な技術文書のオンボーディングにかかる時間の削減、デジタル トランスフォーメーションの取り組みを加速した事例などを紹介しました。機械故障の根本原因分析にアトラス AI を導入し、70% 以上の効率化を実現したとも説明しました。 

最後に「こうした取り組みにより、意思決定の迅速化と生産性の向上に貢献しています。今後も産業データの活用をさらに加速して、デジタル トランスフォーメーションを支援していきたいです」と述べました。 

Cognite Atlas AI の特徴の画像

4. Rescale Japan の生成 AI の実用例 
Rescale Japan社清水さまの画像

最後に登壇したRescale Japan 株式会社は、製造業におけるスピードとイノベーションの重要性を強調しました。 

新製品のスピーディーな開発・市場への投入のためには AI などの最先端技術を利用する必要があると考えている企業が多いものの、現状のツールでは課題解決への貢献が困難だと指摘。その原因は、知識の断片化や AI 導入の難しさによる、シミュレーション環境の分断と欠如にあると述べました。 

Rescale のアプローチの画像

同社は、これらの課題に対応するために、「シミュレーション」、「データ」、「AI」を統合的に活用できるクラウドベースのプラットフォーム「Rescale」を提供しています。同社のプラットフォームは、1200 以上のアプリケーションに対応し、Microsoft Azureをはじめとする主要なクラウド環境とも連携。計算資源をスケーリングし、そのデータを元にワークフローを自動化、さらに、スケーリングされたデータの自動的な組織化、分析・洞察も可能です。そして、解析結果を蓄積・整理することで、AI モデルの学習・構築が可能となり、最適化や予測解析など、設計プロセスのさらなる高度化を実現します。 

また、Azure AI Foundry との連携により、プラットフォームで得られた構造化データは自然言語による検索や解析が可能。たとえば「圧力と温度の関係を一覧にしてほしい」といった問いかけに対し、該当データを抽出して表形式で提示したり、設計制約や過去の条件を文脈に応じて表示したりできると解説しました。 

Rescale は、こうした取り組みを通じて、シミュレーションと AI を融合させた開発プロセスの加速と、製造業の DX を支援していくと締めくくりました。 


セミナー終了後には、参加者と登壇者が参加する懇親会と登壇企業による展示ブースにて情報交換や質疑応答が行われました。参加者と企業担当者の間で活発な対話が交わされ、盛況のうちに本イベントは締めくくられました。

懇親会の画像①
懇親会の画像②
懇親会の画像③

オンデマンド配信一覧

Hannover Messe 2025 振返りセミナー ~AIの実用例と製造業への応用

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Hannover Messe 2025 振返りセミナー ~AI の実用例と製造業への応用~開催のご案内 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2025/05/22/hannover-messe-2025-ad/ Thu, 22 May 2025 11:45:09 +0000 2025年3月31日より4月4日、最新のAI技術と製造業の革新を紹介する展示会 Hannover Messe 2025がドイツ ハノーファーにおいて開催されました。本セミナーでは、今年のHannover Messeで紹介された最新AI技術やトレンド、製造プロセスへの組み込みや効率化や品質向上を実現するかについて解説、および それを支えるソリューションをパートナー様を交えご紹介してまいります。.

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2025 年 3 月 31 日より 4 月 4 日、最新の AI 技術と製造業の革新を紹介する展示会 Hannover Messe 2025がドイツ ハノーファーにおいて開催されました。本セミナーでは、今年のHannover Messeで紹介された最新 AI 技術やトレンド、製造プロセスへの組み込みや効率化や品質向上を実現するかについて解説、および それを支えるソリューションをパートナー様を交えご紹介してまいります。

ぜひこの機会にご参加いただき、AI 技術の最新動向とその実用例を学び、製造業の未来を共に考えましょう。

開催概要

開催日時:2025 年 6 月 18 日(水)14:00 – 18:00(13:30~ より受付)
会場:日本マイクロソフト 品川本社 セミナールーム <定員:90 名様>

対象とするお客様:
製造業に関わる企業にて、AI の活用に興味・関心があるエンドユーザーの方、AI プロジェクト推進に関わる責任者または開発者の方


アジェンダ

14:00 ~ 14:40
講演 1 「Industrial AI in Action」 製造業における生成 AI の実装最前線

「生成 AI は、もはや実験段階ではない」- Hannover Messe 2025 で紹介された製造業の最新事例から、IT・OT・Engineering をつなぐ AI 活用と競争力強化のヒントをご紹介します。

講演者: 鈴木 靖隆 (マイクロソフト コーポレーション)

14:50 ~ 15:50
講演 2 Industrial AI パートナーセッション (Part 1)

Hannover Messe 2025で紹介された、最新 Industrial AI パートナーソリューションを紹介します。
自然言語を用いた AI ソリューションである「Siemens Industrial Co-Pilot」や「Avanade Factory Agents のご紹介」をデモを交えご紹介します。

講演者:
清水 豊 (マイクロソフトアジア本社) 
北村 守 (シーメンス株式会社)
鈴木 聡(アバナード株式会社 )

16:00 ~ 16:40
講演 3 Industrial AI パートナーセッション (Part 2)

AI によるデータ構造化を用いた AI ソリューションである「Cognite Atlas AI」や「Rescale 社が提唱する AI を活用したエンジニアリングの変革」をご紹介します。

講演者:
丸山 ひかる (Cognite株式会社 ) 
清水 宏樹 (Rescale Japan株式会社 )

17:00 ~ 18:00 懇親会

※本セミナーは後日オンデマンド配信を予定しております。
準備ができ次第、こちらのページでご案内してまいります。
ぜひこちらもご活用ください。



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Microsoft AI Tour  産業別セッションレポート【製造】 〜暗黙知を明らかにし、人間の能力を拡張する生成 AI の可能性〜  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2025/05/12/microsoft-ai-tour2025-manufacture/ Mon, 12 May 2025 03:30:43 +0000 2025年3月27日、Microsoft AI Tourが東京ビッグサイトで開催されました。AI技術の進化が紹介され、様々な業界での成果が実感できるイベントでした。
本稿では、製造業界向けセッションで行われた、マイクロソフトの生成AIの活用事例とトレンドが紹介、株式会社日立製作所からは、生成AIを用いた製造設備保全やメタバース技術の事例を発表し、AIによる課題解決の可能性を示しました。.

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2025 年 3 月 27 日、昨年に続き、Microsoft AI Tour が東京ビッグサイトで開催されました。この 1 年を振り返っても AI 技術の進化はめざましく、本イベントでも多くの先進事例が紹介されました。まさに「ビジョンをインパクトに変える。」というテーマどおり、AI によるイノベーションがあらゆる業界で成果をあげていることが実感できるイベントとなりました。 

基調講演にはマイクロソフト コーポレーション会長 兼 CEO のサティア・ナデラと日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の津坂 美樹が登壇。マイクロソフトが見据える AI 時代の変革について発表を行いました。 

AI Tour 全般及び基調講演の紹介はビジネス全般へ 


製造業界向けブレイクアウト セッション 
「生成 AI 活用による製造 DX への挑戦〜日立とマイクロソフト、最前線から見た勘所〜」

製造業界向けブレイクアウト セッションでは、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 インダストリアル & 製造事業本部長の横井 伸好が登壇。「生成 AI の登場から約 2 年が経ち、トライアルの段階から、使っていかなければいけないものという認識に変わっています」と述べ、すでに多くの企業が生成 AI をどのように活用していくかを真剣に考えるフェーズに入っていることを示唆しました。 

A man in a suit and tie

そして本セッションでは製造業における最新の活用事例、トレンド、方向性が紹介されることを伝えて、マイクロソフト コーポレーション 製造・モダリティ インダストリー ディレクター, インダストリー アドバイザーの濱口 猛智にバトンタッチしました。

マイクロソフトが提供する、製造業向け AI ソリューション 

濱口はまず製造業が直面する課題として「生産労働力の変化」「生産性向上による競争力強化」「消費者ニーズの多様化」を提示しました。 

これらの課題に対して濱口は、「熟練者でなくても現場対応を可能にする取り組み」「自動化設備と人との協業」「柔軟な生産に対応可能な自動化ライン」の 3 点を解決案として掲げ、マイクロソフトが取り組むソリューションのユースケースとして「AI エージェントによる問題解決」「デジタル・ツインとシミュレーションの組み合わせによる最適化」「生成 AI を介した人と設備との対話」などを挙げました。 

A man standing in front of a large screen
A man in a suit

濱口はこれらのソリューションを「人を助けて、人の判断を支援する仕組み」と総括。マイクロソフトが製造業分野で生成 AI が活用される典型的なパターンとして、「RAG(Retrieval Augmented Generation)」「マルチ AI エージェント」「Graph RAG」そして「マルチ モーダル」の 4 つのカテゴリーを提示し、生成 AI を使って課題解決に取り組む先進的な企業として、日立製作所の野村氏を招き入れました。 

日立グループにおける生成 AI 活用の取り組み  
A man standing at a podium
株式会社 日立製作所 コネクティブ インダストリーズ事業統括本部
生成 AI 推進センタ チーフ DX マネージャ 野村 英二氏

登壇した株式会社 日立製作所 コネクティブ インダストリーズ事業統括本部 生成 AI 推進センタ チーフ DX マネージャの野村 英二氏から、まず日立グループにおける生成 AI 活用についての詳細な説明がありました。 

同社では、労働人口の減少に伴って発生するフロントライン ワーカーの人手不足などの社会問題を解決するために全社で生成 AI 活用を推進し、さらにそこで蓄積されたナレッジを顧客へのさまざまなサービスにつなげるサイクルを回していると野村氏。2023 年から始まった社内の生成 AI 活用事例はすでに 1000 件を超えているとのことで、この日はそのなかから、フロントライン ワーカー向けのふたつの事例が紹介されました。 

ひとつ目は、「製造設備保全業務への生成 AI 適用」です。同社の製造現場では、保全記録のデータが標準化されておらず、個人の経験に依存してしまいがちという課題がありました。 

そこで、保全記録や取扱説明書だけでなく設計図面も生成 AI に学習させ、さらに熟練者が OT データから原因分析するプロセスを分析・活用して、生成 AI に故障原因や故障箇所を推論させる仕組みを構築。試行錯誤の結果、経験の浅い保全員でも質の高い保全作業が可能な環境を実現できたそうです。 

ふたつ目の事例として、「メタバースと生成 AI を組み合わせた現場支援技術」が紹介されました。野村氏は「フロントライン ワーカーの能力は簡単にデジタル技術で置き換えられるものではない」という前提を示したうえで、「人間が使う能力をテクノロジーで拡張し、それを人間が統合して生かせれば、フロントライン ワーカーの負担を軽減できる」と、本ソリューションの開発コンセプトを述べました。 

デモンストレーション動画では、特別なハードウェアを必要とせず、いつでも、誰でも、どこからでも現場を体験できる「現場拡張メタバース」が紹介されました。この技術には、作業着型センサーやスマートフォン アプリなどを用いて収集された多様なデータのなかから、生成 AI が見るべきデータを示唆する機能などが実装されています。 

現在の課題として野村氏は、「環境の変化に抵抗する従業員がいることで現場導入が進まない」点を挙げ、使い慣れている Teams をベースとした現場拡張メタバース システムを、マイクロソフトとともに開発していることを明かしました。 

そして今後の取り組みとして、暗黙知を学習させた AI エージェントの開発によってフロントライン ワーカーの生産性向上を目指す方針を示し、熟練者が持つ暗黙知を形式知化して技術継承を支援する「OT ナレッジ構築支援インタビュアー AI」を紹介。「今後も社内でノウハウを蓄積し、実績があるものをサービスとして提供していきたい」と語って事例紹介を終了しました。

A man standing on stage with a large screen

セッション後半では濱口と野村氏によるディスカッションが行われました。自動化とフロントライン ワーカー支援のバランスについて問われた野村氏は「生成 AI の活用だけでは難しいので、ロボティクスや OT データを駆使して人間力を拡張することが大切」と回答。あくまで生成 AI は人間の補助機能であることを強調しました。 

また野村氏は、生成 AI に頼り切りになって人が能力を落としてしまう懸念の声もあるとし、生成 AI に回答の根拠やエビデンスを開示させることも重要であると語りました。 

濱口は、熟練者のナレッジを AI に取り込む手法を聞かせてほしいとリクエスト。野村氏からは、「安全工学や信頼性工学などの分析プロセスを活用し、日立の現場で培った高信頼技術の手法を生成 AI と統合すること」と説明しました。 

また、原子力発電所のモックアップの移設工事以外でメタバースが活用されている事例として、鉄道車両保守での情報共有の例が紹介されました。野村氏は、現場で試す前にまず仮想空間上でシミュレーションしたいというニーズが多いと語り、その傾向については濱野も同調。メタバースに加えて AI が登場したことで、支援の幅が広がっていることを示唆しました。 

最後に濱口がタイトルの「勘所」にあたる結論として「暗黙知をどのように AI に取り込んで、どのように課題に適用できるかを考えることが大事」と述べて、ディスカッションは終了となりました。 

このセッションを通じて、製造業における生成 AI 活用の最新動向と、生成 AI によって製造業の現場における暗黙知の形式知化と、働く人々の能力を拡張できる可能性が示されました。来場者は自分たちの抱える課題解決につながるひとつの道筋が見えたセッションになったのではないでしょうか。 

産業別 Connection Hub レポート【製造】 
工場運営を円滑に進めるための AI エージェント活用ユース ケース

A group of people in a room

会場のほぼ中央には日本マイクロソフトの産業別 Connection Hub が設置され、産業ごとに生成 AI 活用のデモを展開。多くの来場者が足を止めて説明に聞き入っていました。 

製造業界向けの Hub では、生成 AI とほかのテクノロジーを組み合わせて業務効率化を実現した 3 つのユース ケースが紹介されていました。 

A man standing in front of a computer

ひとつは「外観検査 AI カメラ」。AI 搭載カメラで IC チップの良品と不良品を判定し、過去のナレッジから不良の原因を類推できます。 

もうひとつは工場の生産状況をデジタルツインで可視化する「Factory Agent」。AI エージェントにチャットで問い合わせることでノウハウやナレッジの回答を得られます。 

そして、デジタル ツインを活用したロボットの遠隔プログラミング。プログラミング技術が低くても扱いやすい GUI でプログラミングでき、それを即座にデジタル ツインでシミュレーションしたうえで遠隔地にあるロボットに伝えられます。 

いずれも、熟達者でなくても円滑に工場運営が行えるソリューションであり、「IoT で収集した膨大なデータからその場に応じた適切なデータを取り出すのが難しい」「過去のノウハウやナレッジを生かしきれない」といった製造業 DX の課題を AI エージェントが解決する未来が見えるユース ケースでした。 

A large group of people in a large room

今回の記事を通じて、生成 AI や先端技術が製造業界にもたらす可能性についてどのような検討が進められているのか、理解を深めていただけたかと思います。生成 AI 活用への次のステップとして、ぜひ下記の関連情報をご参照ください。

Microsoft AI Tour Tokyo イベント情報: 

Microsoft AI Tour Tokyoで発表した内容: 

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製造業DXフォーラム2024 ~未来の製造業を創る「AX」 デジタル変革とAIの力~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/10/31/manufacturing-dx-forum-2024/ Thu, 31 Oct 2024 01:01:34 +0000 主催:東洋経済新報社

協賛:日本マイクロソフト

自然言語でプログラムを扱うことを可能にした生成AIは、デジタルの取り組みに大きなインパクトを与えている。2024年9月18日、19日の2日間にわたってオンラインで開催された「製造業DXフォーラム2024 未来の製造業を創る『AX』:デジタル変革とAIの力」でも、生成AIを活用したDX「AX」が、注目テーマとなった。

近年、デジタル変革 (DX) は人工知能 (AI) の活用で飛躍的に進歩しており、AI は DX を加速させるための重要なツールとなっている。製造業ではグローバルな競争環境の中で、AIを使いこなしたデジタル変革を更に進める取組みがはじまっている。「AX」という新しい概念は、こうしたAIによるデジタルトランスフォーメーションを指すものであり、製造業における革新の鍵となる。

本フォーラムでは、AI を活用し DX を実現されている企業ユーザーを中心に、最新の技術動向や成功事例を共有し、製造業の未来を共に考えた。.

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主催:東洋経済新報社

協賛:日本マイクロソフト

自然言語でプログラムを扱うことを可能にした生成AIは、デジタルの取り組みに大きなインパクトを与えている。2024年9月18日、19日の2日間にわたってオンラインで開催された「製造業DXフォーラム2024 未来の製造業を創る『AX』:デジタル変革とAIの力」でも、生成AIを活用したDX「AX」が、注目テーマとなった。

近年、デジタル変革 (DX) は人工知能 (AI) の活用で飛躍的に進歩しており、AI は DX を加速させるための重要なツールとなっている。製造業ではグローバルな競争環境の中で、AIを使いこなしたデジタル変革を更に進める取組みがはじまっている。「AX」という新しい概念は、こうしたAIによるデジタルトランスフォーメーションを指すものであり、製造業における革新の鍵となる。

本フォーラムでは、AI を活用し DX を実現されている企業ユーザーを中心に、最新の技術動向や成功事例を共有し、製造業の未来を共に考えた。

【DAY1

事例講演① 

多様な事業や職種へ生成AIの導入を加速する東芝の取り組み

トップダウン×ボトムアップの複合的なアプローチによる生成AI活用

株式会社東芝

CPS×デザイン部 シニアフェロー

殿塚芳和氏

自然言語を使える生成AIは、人・システム・IoTの間を人の言葉で理解可能にすることができる。その可能性を見据える東芝は、Microsoft 365 Copilotの利用者1万人を当面の目標として、幅広い社員が生成AIを利用できるようにする「民主化」に取り組んでいる。「とはいえ、『よいツールだから使って』と呼びかけるだけでは浸透しない。普及に向けた仕掛けが必要だ」と殿塚芳和氏は語る。

推進プロジェクトは、社員らに初歩的なツールの使い方を教えるところからスタート。ガイドライン、利用・運用環境を整え、活用事例をまとめたユースケースカタログを使って利用イメージを想起してもらうなど、出だしは伴走型で手厚く支援した。幹部に対しては1on1教育を行って理解を促し、AI活用に向けた「地ならし」をトップダウンで進めた。一方、プロジェクトチームが、ワークショップを開催して、現場の業務課題を吸い上げ、解決のための生成AIアプリケーションの試作に関わるなど、現場の声を聞くボトムアップ型施策で生成AI活用の定着を促進した。殿塚氏は「トップダウンとボトムアップの両輪を回すことが大事」と語った。

事例講演②

経験こそ最強の武器だ!

生成AI時代の波に乗るアズビルのベテラン技術者たち

アズビル株式会社

AIソリューション推進部

佐藤適斎氏

 制御・計測機器メーカーのアズビルは、生成AIを「革新的技術」として利用推進プロジェクトを展開してきた。中でも、業務で使うプロンプト(生成AIに対する指示文)のテンプレートを次々に作成し、公開したエンジニアリング部門の取り組みは、社長から「技術伝承のプロトタイプ」と高く評価された。理由は、ベテラン社員たちが、仕事をどう指示したらAIに伝えられるかを試行錯誤することで、プロンプトの中に、伝承が難しかったナレッジが形式知化された形で反映されていたからだ。佐藤適斎氏は「ベテランが生成AI活用を牽引してくれている」と語る。

 生成AIは強力なツールだが、真の価値を理解する前に離脱する利用者も多い。そこで、2023年にエンタープライズ版生成AIチャットサービスを導入すると「社内に生成AIを長く使ってくれるファンづくりが大切」(佐藤氏)として、生成AIに関する情報を頻繁かつ継続的に発信。ユーザー同士をつなげる口コミコーナーも用意した特設サイトを開設するなど“ファンクラブ活動”を展開した。1年間の取り組みの結果、利用者は全社員の約77%に到達。佐藤氏は「当初は懐疑的な見方もあったが、浸透してきた」と手応えを口にした。

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事例講演③

Power Platformで実現する市民開発文化の醸成と検討事例のご紹介

三菱ケミカル株式会社

オペレーション(日本)本部 広島事業所 企画管理部 DX・ものづくり強化グループ

笠井一希氏

三菱ケミカル株式会社

ビジネストランスフォーメーション本部 データエクセレンス部 データサイエンスグループ

堀 愛美氏

 三菱ケミカルは、Microsoftのローコード開発プラットフォーム、Power Platformを導入し、専門知識のない社員でも業務システムを開発できる「市民開発」を推進してきた。堀愛美氏は「市民開発文化の醸成で、従業員が現場ニーズに基づく業務システムを開発し、それを共有することで、業務改善アイデアの共有も進む。また、内製化によるコスト削減・開発期間短縮もできる」と期待する。

 しかし、市民開発を普及させて製造DXを進めるには、製造現場の社員のデジタル技術の不足という課題を乗り越える必要があった。そこで、DX担当者らが現場に入って、課題設定、アイデア立案からアプリ開発までを手厚く伴走支援した。また、成果発表会を開催したことで、市民開発の有用性を理解したマネジャー層が部下の市民開発を後押しするようになり、開発者のモチベーションアップにつながった。

 Power Platformを協創基盤とすることで、製造部門とデータ解析部門が連携して画像解析技術による重量測定アプリを開発。生成AIの回答精度を高めるRAG(検索拡張生成)のテンプレートを展開して、RAGの手軽な実装もできるようにした。笠井一希氏は「市民開発者は1500人以上になり、盛り上がってきている」と語った。

事例講演④

HoloLens2を活用した環境事業におけるDXのご紹介

クボタ環境エンジニアリング株式会社

DX推進部 部長

橋詰和哉氏

 高度成長期に建設された社会インフラは耐用年数が経過し、保守管理の重要性が高まっている。しかし、人手が不足するインフラ業界では、熟練技術者から若手への技術伝承がなかなか進まない。環境インフラの保守管理を手がけるクボタ環境エンジニアリングは、複合現実(MR)デバイスのHoloLens2を使って、河川の水害を防ぐ排水機場設備の点検を標準化・効率化する仕組みを開発した。

 HoloLens2を通して現実空間の設備を見ると、設備の説明が吹き出しで表示され、仮想キーボードでメーターの数値を入力することもできる。入力データは同社の点検支援システムに登録され、国土交通省の維持管理システムに送られる。これにより、事前に点検箇所を把握していない非熟練者でも点検が可能になり、データ入力の手間を大幅に減らして、年間約380時間の労働時間削減につながった。「国や自治体などから大きな反響があった。今後も、持続的な社会インフラの運営管理に向けて、課題解決に取り組んでいく」と話した橋詰和哉氏は、AIを使った故障予知モデルやトラブル対処法の検索、ロボットによる巡視点検自動化の取り組みについても紹介した。

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マイクロソフトセッション①

Microsoft Azureが支援する設計DX

マイクロソフトコーポレーション

グローバルブラックベルトアジア HPC/AIスペシャリスト

田中洋氏

 マイクロソフトでは、設計開発領域のDXに向けて、専門ベンダーとも提携したさまざまなソリューションをMicrosoft Azure上に展開している。「従来にはなかった設計開発環境がAzureで使えるようになっている」とした田中洋氏は、柔軟にリソースを提供できるハイパースケーラー(膨大なデータ処理とストレージを提供するクラウドサービス)としてのAzureや、Microsoftの各種製品に導入されている生成AIのCopilotが設計DXに果たす役割について解説した。

 設計DXのカギの1つとして、デジタルスレッド(効率的な情報共有を可能にするために、設計から製造、保守、廃棄まで製品ライフサイクル全体のデータの一貫性を保つこと)を挙げた田中氏は「製品ライフサイクル管理(PLM)は、使いこなすことが難しいツールなので、コラボレーション基盤であるTeamsや生成AIのCopilotを使ったデータ入力補助や、リポート作成といった支援が重要になる」と指摘。また、インダストリアルメタバース(現実世界を再現した仮想空間の産業分野での活用)実装に向けたHoloLens2やCopilotの活用例も紹介。「幅広いサービスを提供できることがMicrosoftの強みだ」と述べた。

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マイクロソフトセッション②

2024年のChatGPT最新事情から見える「次」の一手

日本マイクロソフト株式会社

クラウド&AIソリューション事業本部

畠山大有氏

2024年5月、開発者向け年次イベント「Microsoft Build 2024」で、人がコンピューターとの会話だけで、オンラインショッピングするデモ映像が流された。音声のやり取りのほか、人がカメラを通して示した実物の商品をAIが認識する場面もあり、生成AIのマルチモーダル化によって、五感を使ったスムーズな会話が可能になることが示された。「キーボードをいっさい使わないデモを見たのは初めて」と語った畠山大有氏は、急速な進化を遂げている生成AI、ChatGPTの最新機能を紹介した。

 ファンクションコーリング機能は、プロンプトの内容から、タスクを分類して抽出し、それぞれのタスクに応じたAPIを呼び出すことができる。例えば、出張のために飛行機・ホテルの予約を指示すると、航空券予約サイトのAPI、ホテル予約サイトのAPIを呼び出し、社内の出張規程も照合して、上限金額などの条件に合わせて手配ができる。

コードインタープリター機能は、プロンプトに応じてPythonコードを生成。さらに実行して、不具合があればエラーの補正まで行う。畠山氏は「生成AIを使って何ができるかを知り、仕事に変化がもたらされる未来に備えてほしい」と語った。

【DAY2

事例講演

日本の製造業における現実的な生成AI活用に向けて ~三菱重工業の取り組みを通して~

三菱重工業株式会社

エナジードメイン技術戦略室

主幹技師

石垣博康氏

三菱重工業株式会社

デジタルイノベーション本部DPI部

モジュラーデザイングループ

グループ長

後藤大輔氏

 三菱重工は全社的なデジタルイノベーション「ΣSynX(シグマシンクス)」の中で、社内の技術をモジュール化し、共有リソースとして活用する取り組みを進めている。社内向けのChatGPTアプリ「TOMONI TALK(トモニトーク)」は、発電プラント保守管理ソリューション「TOMONI」(トモニ)のモジュールの1つとして2023年7月にチャット機能がリリースされ、その後、社内情報を効率的に活用したいという要望を受けてRAG(検索拡張生成)技術を組み込んだ。

 エナジードメインでは、このRAGを組み込んだ生成AIを使い、顧客から受け取った仕様書を分析して、必要な技術仕様などを抜き出せるアプリを開発した。石垣博康氏は「数百ページに及ぶ仕様書の分析を省力化できた。だが、社内データと生成AIをつなげばできるわけではない。高精度の回答を得るには、事前のデータ加工や、工夫したプロンプトをあらかじめいくつか用意する必要がある」と苦労を振り返った。トモニトークは、アンケートの結果80%の社員から業務効率化に寄与したと回答を得るまでに普及。後藤大輔氏は「今後、生成AIが業務に深く入ってくることは間違いない。教育も必要だが、使わなければわからないので、社員がそれぞれに生成AIを使ってみることも大事だ」と語った。

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事例講演⑥

JERAのデジタル発電所が目指す新しい働き方~JERA-DPP O&M変革ソリューション~

株式会社JERA

O&M エンジニアリング技術統括部

G-DAC部長

松田孝宏氏

 国際市場で戦えるグローバルなエネルギー企業体を目指し、東京電力と中部電力によって設立されたJERAは、発電所の運転・保守(O&M)をデジタル化する「Digital Power Plant」(以下、DPP)の取り組みを進めている。DPPは、AIやIoT技術を駆使して、発電所の運転データをアプリで可視化、データを分析して運用、メンテナンスをサポート。故障の予兆検知による計画外停止の削減などに成果を上げている。

 「DPPの背景には、熟練者から若手へのナレッジの継承が進まないという課題がある。デジタル化で、高い価値を生み出す運用を、誰もができるようにする」と松田孝宏氏。さらに、この仕組みを使えば、日本の発電所の運用ノウハウを海外展開することも容易になるという。

プロジェクトは、20以上のアプリケーションを内製でアジャイル開発した。また、同社では高度なデータ分析を行うG-DAC(Global-Data Analyzing Center)を設置して、国内外69発電所の運転データをリアルタイムで収集、監視している。さらに将来に向けて、遠隔監視のハードルである、現場とのコミュニケーションを円滑化するためのインダストリアルメタバースの技術の開発にも注力している。

座談会

未来の製造業を創る:AI×ロボティクス座談会

~featuring 川崎重工業株式会社&株式会社デンソー

株式会社デンソー

研究開発センター 執行幹部

岐阜大学 客員教授

成迫剛志氏

川崎重工業株式会社

執行役員 技術開発本部

副本部長兼システム技術開発センター長

加賀谷博昭氏

マイクロソフト コーポレーション

製造・モビリティ インダストリーディレクター /インダストリー アドバイザー

濱口猛智氏

Microsoft Research Asia

Senior Research Program Manager

鎌倉真音氏

 川崎重工業は、病院内で検体や薬剤を配送するロボットを開発した。加賀谷博昭氏は「産業用ロボットは柵の中のような空間で繰り返しの作業をするが、人の中で動くロボットは、人にぶつからずに動くことが求められる。究極には、人の道具を扱うことができるヒューマノイドがある」と語る。Co-Living(一緒に暮らす)ロボティクスに取り組むデンソーの成迫剛志氏は「生成AIによって、人との会話、周囲の状況から判断して、機械が自律行動できるようになる。ロボットに生成AIを導入するというより、「生成AIをリアルの世界に持ってくるという考え方で取り組みたい」と述べた。Microsoft Researchは「ロボティクスはAIを考えるうえで不可欠であり、エンボディドAI(物理的身体と環境の相互作用から学習するAI)に取り組んでいる」と鎌倉真音氏。

 現在のロボットは、一連の動きをあらかじめプログラムしているが、言葉の指示で動かすには、動きを生成する技術や、人の動作データを学ぶ方法が必要、といった課題も挙がった。濱口猛智氏は「かつてMicrosoft創業者のビル・ゲイツは『一家に一台ロボットを』と語った。その未来は近くまで来ていると感じた」と結んだ。

パートナーセッション

業務でのデータ活用のハードルを劇的に下げるデータ基盤とは

東京エレクトロン デバイス株式会社

クラウドIoTカンパニー

エッジクラウドソリューション部

ストラテジックプランニンググループ

辻野三郎氏

 製造業の現場でのデータ活用は、生産性向上に有効だが、データ基盤や分析システムを構築するコストの高さがハードルだった。2024年にリリースされたデータ基盤「Microsoft Fabric」は、データの統合、蓄積、分析、可視化といったデータ活用に必要な機能をオールインワンにしてSaaSの形で提供した。辻野三郎氏は「データ活用のハードルが一気に下がった」と語る。

 データストレージは、最新のレイクハウス型ストレージを採用。構造化・半構造化・非構造化にかかわらず、あらゆるデータを扱うことができる。また、データ仮想統合の仕組みがあるので、さまざまなデータソースとの効率的なデータ統合を実現できる。

 機械メーカーの製品サポート業務の事例では、Fabricで社内のデータを統合し、RAG機能を組み合わせて、サポートに必要な情報を迅速に引き出せるようにした。さらに、顧客の機械をリモートでメンテナンスできる「FalconLink」など、東京エレクトロンデバイスのソリューションも加えて「問題解決の時間を短縮、業務生産性と顧客満足度向上を図ることができる」と訴えた。

マイクロソフトセッション

生成AIによって描かれる未来と最新事例紹介

日本マイクロソフト株式会社

Microsoft Innovation Hub

業務執行役員

榎並利晃氏

 生成AIは、チャットボットから生成AIアプリケーションによる業務効率化、顧客体験向上へと活用の幅が広がっている。「生成AIの分野では、登場からわずか2年ほどの短期間にさまざまな技術革新が起きている」と話す榎並利晃氏はその最新動向を概観した。

 マイクロソフトは、生成AIをPCに組み込んで新たな体験を提供する次世代型PC「Copilot+PC」を発売した。オフラインで生成AIのタスクを処理できるようにするため、AIのタスク処理に特化したNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を採用。ローカル環境でも動くCopilotのAIモデルにはLLM(大規模言語モデル)を軽量型にして、計算負荷を減らしたSLM(小規模言語モデル)を搭載した。Copilotは、さまざまなAIモデルの搭載が可能。Copilot Studioを使えば、用途に応じてオリジナルのCopilotをローコードで開発できる。

 榎並利晃氏は「これからのソフトウェアは、ロジックの代わりにAIの判断で実行するアーキテクチャーがトレンドになる。独自のAIアプリケーション開発は、最新の動きを理解することが重要。マイクロソフトも支援を提供する」と呼びかけた。

マイクロソフトセッション

製造業におけるAX(AI×DX)の提供価値と基盤構築

日本マイクロソフト株式会社

製造&モビリティインダストリーアジア担当

インダストリーアドバイザー

鈴木靖隆氏

生成AIが製造業のDXを加速させている。以前は人のデジタルスキル不足でできなかったことも、生成AIを使えばできるようになる。例えば、工場の生産現場で作業員が生産設備データを分析することは難しかった。しかし生成AIを活用すれば、分析プログラムを使わなくても、生成AIに言葉で指示してデータを分析し、オペレーションの改善提案や、設備故障時の対応策を引き出すことが可能になる。

ほかにも、価値の源泉が製品ハードウェアから、製品に組み込まれたソフトウェアの機能へと移行する、ソフトウェア・ディファインド・プロダクト化に対して、新たな機能のソフトウェアを迅速にコーディングするため、生成AIのコーディング・アシスタント・ツールを使うなど、生成AIを使ったDX(AX)にはさまざまな取り組みがある。

ただし、生成AIの導入を成功させるには、前提としてデータの標準化や、質の高いデータ環境を整えることが必要だ。鈴木靖隆氏は、AXの取り組みは十分な投資対効果を得られるようにすべきだとして「ユースケースを絞り、どのような価値を生み出すのかを明確にしてトライすることが大事だ」と語った。

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各セッションのオンデマンド配信一覧

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 1

多様な事業、職種へ生成AIの導入を加速する、事業活用×社内利用とトップダウン×ボトムアップでの東芝の取り組み 株式会社 東芝 

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 2

経験こそ最強の武器だ! 生成AI時代の波に乗るアズビルのベテラン技術者たち アズビル株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 3

Power Platformで実現する市民開発文化の醸成と検討事例のご紹介 三菱ケミカル株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 4

HoloLens 2を活用した環境事業におけるDXの御紹介 クボタ環境エンジニアリング株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 5

Microsoft Azureが支援する設計DX マイクロソフトコーポレーション

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 1 Session 6

2024年のChatGPT最新事情から見える「次」の一手 日本マイクロソフト株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 1

日本の製造業における現実的な生成AI活用に向けて ~三菱重工業の取り組みを通して~ 三菱重工業株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 2

JERAのデジタル発電所が目指す新しい働き方 ~JERA-DPP O&M変革ソリューション~ 株式会社 JERA

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 3

未来の製造業を創る:AI×ロボティクス座談会 川崎重工業株式会社&株式会社デンソー

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 4

業務でのデータ活用のハードルを劇的に下げるデータ基盤とは 東京エレクトロン デバイス株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 5

生成AIによって描かれる未来と最新事例紹介 日本マイクロソフト株式会社

製造業 DX フォーラム ~未来の製造業を創る「AX」 :デジタル変革とAIの力~ Day 2 Session 6

製造業におけるAX(AI×DX)の提供価値と基盤構築 日本マイクロソフト株式会社

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AI が加速させる インダストリー トランスフォーメーションセミナー ~第三回開催レポート~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/09/13/ai-transformation_seminar/ Fri, 13 Sep 2024 00:39:19 +0000 2024 年 6 月 12 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe において、「第三回 インダストリー トランスフォーメーションセミナー」が開催されました。このセミナーは、主に AI の利活用を視野に入れている製造事業者向けの内容となっており、最新の AI 事情やユースケースがリアルに体感できる Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe で開催することにより、より自分ごととして AI の利活用を捉えていただくことをひとつのテーマとしています。

最終回となる今回は、ドイツで開催された「ハノーバーメッセ 2024」で発表された先進企業のユースケース紹介や、すでに現場での実装が進んでいる製造業向け生成 AI ソリューションのユースケース紹介などを通して、目覚ましい進化を続ける生成 AI の現在地と実践的な活用方法を肌で感じられる貴重な機会となりました。.

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    2024 年 6 月 12 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe において、「第三回 インダストリー トランスフォーメーションセミナー」が開催されました。(第一回第二回)このセミナーは、主に AI の利活用を視野に入れている製造事業者向けの内容となっており、最新の AI 事情やユースケースがリアルに体感できる Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe で開催することにより、より自分ごととして AI の利活用を捉えていただくことをひとつのテーマとしています。

    最終回となる今回は、ドイツで開催された「ハノーバーメッセ 2024」で発表された先進企業のユースケース紹介や、すでに現場での実装が進んでいる製造業向け生成 AI ソリューションのユースケース紹介などを通して、目覚ましい進化を続ける生成 AI の現在地と実践的な活用方法を肌で感じられる貴重な機会となりました。

    「AI が加速させるインダストリー トランスフォーメーション

    ハノーバーメッセ 2024 フィードバック」

    マイクロソフト コーポレーション

    執行役員 常務

    製造・モビリティ インダストリー

    アジア担当ゼネラルマネージャー

    畑 義和

    登壇の様子

    最初に登壇した畑は、世界最大級のトレードショーであるハノーバーメッセ 2024 が 13 万人もの来場者数を記録し、マイクロソフトのブースには 3 万 8000 人が訪れたことを紹介します。ハノーバーメッセ 2024 の展示を紹介する動画では、メカニカルなものとソフトウェアを組み合わせた展示が多く映し出され、先進企業は既に実用レベルの技術を活用していることが示唆されました。

    graphical user interface, application

    畑は、本セッションの目的として「ハノーバーメッセで展示されていた先進企業のユースケース紹介」「Microsoft Copilot in Manufacturing の実装ベースでのユースケース紹介」そして「End-to-End でのデータ活用ユースケース紹介」の 3 点を挙げ、アルファコンパス福本氏を壇上に招き入れました。

    「ハノーバーメッセ 2024 から見えてきたこと

    〜つながるデータを生成 AI 活用により社会還元する動き」

    合同会社アルファコンパス

    代表 CEO

    福本 勲 氏

    登壇の様子

    福本氏は、ハノーバーメッセ 2024 の概要を説明したあと、ハノーバーメッセ 2024 の主要テーマのひとつだった、ドイツにおけるデータ連携基盤をピックアップして解説しました。

    ドイツでは、自動車業界に特化した「Catena-X」をベースとして、製造業全体にセクター横断で広げていくプロジェクト「Manufacturing-X」プロジェクトが開始されています。現在ドイツでは、この Manufacturing-X を主軸として、階層や業界、技術ごとにサブプロジェクトが展開されており、工場に特化した「Factory-X」や、航空機製造業界に特化した「Aerospace-X」、自動運転技術に特化した「PLC-AAD」プロジェクトなどがその代表的なものとして挙げられます。先行している Catena-X もサブプロジェクトのひとつに位置付けられることになりました。

    福本氏によると、現在さまざまな国とデータ連携の足並みを揃える「International Manufacturing-X」設立の動きも活発化しているとのこと。福本氏は「グローバルに広がった製造業のサプライチェーンを支える国際的な産業データエコシステムの推進が進み始めている」と分析し、日本の製造業においても、国や業界の垣根を超えたデータ連携に注視する必要があることを示唆しました。

    続いて、ハノーバーメッセ 2024 における先進企業の展示ユースケースが紹介されました。

    graphical user interface, website

    EPLAN グループは、制御盤の設計製造を一貫してデジタルで支援する仕組みづくり訴求。デジタル ツインによるロボット配線の自動化や、加工機との連携による穴あけ・折り曲げの自動化などを展示。これにより、人の介在を減らしつつ、安定した品質の制御盤製造を実現することを目指しています。

    graphical user interface, text

    Dassault Systemes は、バーチャル ツインを製造プロセスに継続的に統合することで、競争力を高められることを訴求。オムロンの搬送装置やロボットを使用し、3D EXPERIEMCE プラットフォーム上で End-to-End のプロセスを再現するショーケースを展開しました。このショーケースでは、バーチャル空間で課題を特定・解決してからフィジカルに反映することで二度手間を減らし、作業を効率化することを目指しています。

    graphical user interface, website

    AVEVA では、インダストリアル インフォメーション データの可視化、分析などの活用をサポートする共通クラウド プラットフォーム「CONNECT」の展示により、オープン プラットフォームの必要性を訴求。AVEVA 以外のエコシステム パートナーのソリューションも利用でき、オペレーション データやエンジニアリング データなどを統合、可視化することで、多角的な経営判断に役立てられるプラットフォームの提供を目指しています。

    graphical user interface, website

    PHOENIX CONTACT では、「Empowering the All Electric Society」というコンセプトを掲げ、コネクタやエレクトロニクスのテクノロジーを活用して、EV の充電テクノロジーや再エネの安定供給などに貢献することを訴求。さまざまなテクノロジーを束ねることで All Electric Society の実現を目指しています。

    SAP は、「Bring Out Manufacturing Excellence」というコンセプトで、サプライチェーン支援のソリューションを展示。デザインからオペレートまでの全プロセスを繋ぎ、そこから得られるデータをもとに、生成 AI を活用して効率化を図ることが提案されました。また、企業を超えてバッテリー パスポート情報の連携を行い、データ交換を容易にする「Digital Twin Ecosystem」や人の作業をデジタルが支援するショーケースも展開。福本氏によると、こうした標準化技術によるトレーサビリティの確保は、多くの企業によって訴求されていたそうです。

    graphical user interface

    Siemens は、自動車、半導体、フード & ビバレッジ、化学などの業種に特化した特別展示を実施。「Siemens Xcelerator」のようなプラットフォーム、インダストリアル メタバース、デジタル  ツイン、生成 AI などを活用したイノベーション テクノロジー、スマート マニュファクチャリングなどに焦点を当てた幅広い展示を展開していました。

    graphical user interface, website

    Microsoft は、「Accelerate industrial transformation with AI」というコンセプトで、生成 AI や Copilot の活用事例をショーケースで展開。ロボット制御プログラムや過去のコネクタ設計情報の変更を自然言語で行えるショーケースの展示や、他社ソリューションと組み合わせてデジタル ツイン+インダストリアル・メタバースを構成するショーケースの展示などが実施されていました。また Copilot のショーケースとして、作業手順などの確認や翻訳を Copilot が行う仕組みを展開。トレーサビリティの確立された工場オペレーションが示されていました。

    graphical user interface

    Beckhoff Automation は、PLC のラダー言語プログラミングを ChatGPT が支援する「TwinCAT Chat」や、学習データの正誤判断と誤判定理由の把握が可能な機械学習ソリューションを展示。これらにより、制御プログラムの生産性向上や、デジタルの力を借りた対応の効率化を目指しています。

    graphical user interface

    Schneider Electric は、企業のサステナビリティを支える次世代オートメーション技術を訴求。ハードウェアに依存しないコントローラを実現する「EcoStruxure Automation Expert」の展示を行いました。また生成 AI を適用した製品ポートフォリオの進化を推進する Copilot の活用ソリューションでは、ロボットや PLC などの制御アプリケーションのプログラミングを Copilot がサポートすることで、効率化、高度化が可能になることが示されていました。

    graphical user interface, diagram, website

    Bosch は、水素を始めとしたサスティナブルな取り組みを支えるエネルギー テクノロジーの展示を中心に展開。デジタル化やオートメーションを進める際にはエネルギーの見直しが重要であり、そのためにはパートナーシップが不可欠であることを訴求しました。

    福本氏は最後に、ハノーバーメッセ 2024 を通して見えてきた、日本企業の考え方や取り組むべきことについて言及。欧米人や中国人が「できる」ことに眼を向けるのに対して日本人は「できない」ことに眼を向けがちであり、この姿勢の違いが 5 年後に差を生むのではないか、と危惧を表明しました。

    また、「生成 AI の進化によって、今後人はルーチン業務や記憶の必要性から解放されるのではないか」と予想。「人でなければできない仕事に特化することで、生産性は確実性に向上する。つまり、人がやるべき仕事とはなにかを真剣に考えなければならない」と訴えかけました。

    graphical user interface, text, website

    ドイツや EU ではすでに業界をまたいだプラットフォーム・エコシステムの実現やデータ スペースに関する取り組みが、精緻な制度設計のもとで進められています。福本氏は、日本でもこの仕組みづくりの動きを注視すべきであり、「生き残っていくためには、経営層をはじめとした皆さんが課題を理解して、本気でこういった技術を見ながらデジタル トランスフォーメーションに取り組んでいかなければいけない」と呼びかけてセッションを終了しました。

    「ハノーバーメッセ 2024 マイクロソフト・ブール・フィードバック:

    テクノロジー・イン・アクション!実装例で示す最新 Industry Copilot」

    シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社

    インダストリアルオートメーション事業部 商品企画部 部長

    川田 学 氏

    日本マイクロソフト株式会社

    インダストリアル & 製造事業本部 製造ソリューション担当部長

    鈴木 靖隆

    登壇の様子

    鈴木はまず、「Microsoft は Copilot というコンセプトによって、より多くのユーザーあるいはパートナーにこの技術を活用していただけるベースをつくっています」と Microsoft の現在地を解説。「生成 AI が世界中の知識と組織の知識にアクセスするのに役立つ新しいユーザー インターフェースになる」という目標の達成に向けて、パートナー企業とともに技術開発を進めていきたい、と語りかけました。

    そして、いまや生成 AI は世界中のデータや組織内のナレッジから回答を探し出す Digital Personal Assistant として従業員の生産性向上に役立てられ始めているとし、HoloLens 2 と Copilot を用いた VOLVO PENTA 社の作業支援ソリューションの事例を、動画を用いて紹介しました。

    鈴木は、このソリューションによってテクノロジー ギャップを埋められ、新しい技術に慣れないベテラン従業員の業務スキル活用と若手従業員への技術承継を同時に実現できることを強調。人手不足が進む日本の製造業においても有用なテクノロジーであることを示唆します。

    diagram, timeline

    続いて鈴木は、自然言語でリクエストするだけで 2D の設計図面を書き起こし、熱解析からヒート マップ作成、さらには 3Dオブジェクトの作成まで行える SIEMENS の製品設計支援ソリューションを紹介。生産準備分野においても生成 AI が活用されていることを示します。そして、この後のシュナイダーエレクトリック川田氏のセッションでは、制御分野における生成 AI 活用ソリューションが紹介されることを予告。川田氏を呼び込みました。

    登壇の様子

    川田氏は、シュナイダーエレクトリックが開発中の生成 AI を活用した産業ソフトウェア「Automation Copilot」について解説を行いました。

    川田氏によると、産業ソフトウエア開発においては「膨大な開発工数」「ソフトウェア人材の不足」「習熟の難しさ」という 3 つの課題があるとのこと。これらの課題を解決するために、Copilot を活用した Automation Copilot 開発に取り組んできたそうです。

    Automation Copilot は、同社の Automation Manager というソフトウェア開発環境をモダンにアップグレードするためのひとつの部品であり、生成 AI でプログラミングを自動化することにより、開発工数を最大 30 % 削減することを目的としています。

    主な機能としては、自然言語によるチャットを使った制御プログラムの開発サポート、テスト仕様書の自動生成、モーションや制御パラメータの最適化などが挙げられます。また、シュナイダーエレクトリック独自の LLM が使われているため同社の製品知識は学習済みで、かつユーザーが入力した学習データはシュナイダーエレクトリックの学習データとは分離して管理されるため、外部に漏出する危険はありません。

    続いて川田氏は、デモンストレーションを交えながらいくつかのユースケースを紹介した後に、Automation Copilot は「信頼性の高い制御プログラムを自然言語で問い合わせることによって作り込む試みであり、設計、開発工数の削減やプログラム品質の向上、さらには人材育成にも役立つソリューション」であることを強調。2025 年の初頭にはリリースする予定であることを告げてセッションを終了しました。

    川田氏の発表を受けて鈴木は、生成 AI を活用するためには、データの統合とコンテキスト化が重要であると指摘。そのふたつのステップを経ることにより、IT が不得手な人材でも生成 AI を通して業務に参加できる「インサイトの民主化」が見えてくる、と語ります。

    さらに鈴木は、「製造業におけるひとつのコンセプトの体現事例」として、ハノーバーメッセ 2024 の Microsoft ブースで展開されていた、バリューチェーン全体を通したインダストリアル・トランスフォーメーションのデモンストレーションの様子を画像で提示。「このデモンストレーションで使われたデータはどのように準備されたのか、最後のセッションで整理していきます」と述べて、セッションを終了しました。

    「製造オペレーションでの AI 活用を推す

    Manufacturing Data Solutions と Copilot Template」

    マイクロソフト コーポレーション

    製造・モビリティ インダストリー インダストリーアドバイザー

    濱口 猛智

    アバナード株式会社

    Industry X チーム マネージャー

    鈴木 聡 氏

    登壇の様子

    濱口は、製造データ活用のためのデータサービス「Manufacturing Data Solutions(MDS)」と、Microsoft 製品に組み込まれた Copilot サービス群と OT データを活用するためのテンプレート「Copilot Template for Factory Operations」についての解説を中心としたセッションを行いました。

    MDS は「ISA95 のオントロジー モデルを使って、皆さまが Copilot をご自身で開発していただきながら、製造プロセスのなかでデータを活用するための仕組み」と説明する濱口。これは Microsoft 一社だけで提供するのは難しいものであり、さまざまなパートナーとのエコ システムによって実現しているものであると強調したうえで、アーキテクチャを図示して解説していきます。

    diagram

    濱口はここでユースケースの動画を流し、製造現場でトラブルに対処する際に、自然言語による生成 AI との壁打ちが可能になることで、トラブルが起きている箇所を効率的に特定、問題を解決できる仕組み「Microsoft Cloud for Manufacturing」を紹介。これは製造業の顧客が DX を実現するためのギャップを埋めるためのツールであり、そのフレーム ワークはユーザーが独自の Copilot を開発する際の共通開発パターン Copilot stack に紐づけられることを示します。

    そして、具体的にどのようにパートナーのソリューションに落とし込めるのかについて、アバナードの鈴木氏から具体的な展開例が語られることを伝えてセッションを終了しました。

    登壇の様子

    濱口からの紹介を受けて登壇した鈴木氏からは、Microsoft Cloud for Manufacturing を用いて同社がソリューション化している Avanade Manufacturing Copilot の紹介が行われました。

    鈴木氏によると、アバナードが開発している Avanade Manufacturing Copilot は、基本的には Microsoft Cloud for Manufacturing のソリューションを踏襲したもので、それを拡張して実装していくソリューションです。

    鈴木氏によると、これを用いることでより少ない廃棄物で優れた製品の製造や現場担当者の業務支援などが実現できるとのこと。稼働パフォーマンスのレポート作成や原因分析、ドリルダウン調査を瞬時に実行でき、実行時には自然言語でやり取りできます。

    diagram, PowerPoint

    鈴木氏は、こうしたソリューションを活用した問題解決による品質や効率の先には従業員の生活の向上があり、そのインパクトは今後「未来の工場のあるべき姿」として大きな訴求ポイントになるだろうと語り、自然言語での工場データ操作を円滑に行うためには、曖昧さ回避のためのデータのコンテキスト化、根本原因の特定、履歴データの分析がポイントになることを示しました。

    最後に鈴木氏は、アバナードのソリューション提供の流れとハノーバーメッセ 2024 で展示された Smart Manufacturing の事例について説明。「お客さまの実際の課題、どういったパラメータをどのように制御したいのか、会話をさせていただき、最適なソリューションを提供できれば」と語り、顧客の求める最適解を共に探求する同社の基本姿勢を訴求してセッションを終了しました。

    クロージングセッションでは、畑が 3 時間にわたる本セミナーを総括。生成 AI  の進化はスピード感を増しており、それを表す現象として、ハノーバーメッセ 2024 から 1 ヶ 月後に開催された Microsoft Build 2024 では「Copilot+PC」や SLM(小規模言語モデル)の発表、NTT データの SLM が MaaS(Model-as-a -Service)に採用されたことを紹介しました。そして、これらの情報を日本語で展開する Microsoft Build JAPAN への参加を促しました。

    そして畑は、本セミナーの会場でもあり、AI と IoT を活用したイノベーション創出を目的とした施設「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」について説明。Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe では専任のエンジニアやプロジェクトの推進プログラムなどを提供しており、アイデアが市場に届くまでの課題を解決し、イノベーションの迅速な実現を支援するとアピールしました。

    登壇の様子

    最後に一般社団法人 AI Co-Innovation Lab Kobe  活用推進協議会の青木氏が登壇。より詳細な AI Co-Innovation Lab Kobe のミッションや活動内容を紹介し、ここを拠点とした我が国の製造業 DX と、産業の垣根を超えたオープン イノベーションの推進を呼びかけました。

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    こうして幕を閉じた「製造業界のお客様向け AI が加速させるインダストリー トランスフォーメーション」セミナー。過去 2 回と比べても、より実践的でハイレベルなプログラムで構成されており、参加者はよりリアルに生成 AI 時代の到来を感じられたのではないでしょうか。この AI Co-Innovation Lab Kobe から生まれたイノベーションが世の中に送り出されるのも、そう遠い未来ではないことを予感させるセミナーとなりました。

    第三回 インダストリー トランスフォーメーションセミナー

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    第一回のレポートはこちら
    第二回のレポートはこちら

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    日本マイクロソフトは、9月 18 日 (水)、19 日 (木) で開催される、「製造業 DX フォーラム 2024」に協賛いたします。 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/08/19/dx-forum-2024/ Mon, 19 Aug 2024 02:15:25 +0000 近年、AIの活用によりデジタル変革(DX)が進展し、製造業でもAIを駆使したDXが進められています。「AX」という新しい概念は、AIによるDXを指し、製造業の革新の鍵となります。

    本フォーラムでは、AIを活用してDXを実現している企業の成功事例や最新技術を共有し、製造業の未来について共に考えていきます。参加者は「AX」の可能性を理解し、自社ビジネスへの適用方法を学ぶ機会として、ぜひご参加ください。.

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    昨年大盛況だった製造業 DX フォーラムが、2024 年版として再び開催されます。 

    近年、デジタル変革 (DX) は人工知能 (AI) の活用で飛躍的に進歩しており、AI は DX を加速させるための重要なツールとなっています。製造業ではグローバルな競争環境の中で、AIを使いこなしたデジタル変革を更に進める取組みがはじまっています。「AX」という新しい概念は、こうしたAIによるデジタル トランスフォーメーションを指すものであり、製造業における革新の鍵となります。 

    本フォーラムでは、AI を活用し DX を実現されている企業ユーザーを中心に、最新の技術動向や成功事例を共有し、製造業の未来を共に考えます。参加者は、実際の事例を通じて「AX」の可能性を理解し、自社のビジネスにどのように適用できるかを学ぶことができます。 デジタル変革とAIの力を最大限に活用し、未来の製造業を創るための知識とインスピレーションを得るため、ぜひご参加ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。 

    開催日程 
    DAY 1: 2024 年 9 月 18 日 (水) 14:00 – 17:40 
    DAY 2: 2024 年 9 月 19 日 (木) 14:00 – 17:40 

    開催形式 
    オンライン/ストリーミング配信 

    参加費 
    無料 ( 事前登録制 ) 

    視聴対象者 
    製造業でビジネス現場部門責任者、DX 推進・担当者の方、製造業の工場長、生産管理、生産技術、品質管理ご担当者様、製造業で工場 DX の担当者の方 

    *本フォーラムは視聴対象者を限定しており、法人様向けとなります。個人の方、視聴対象者以外の方や競合の方などのお申込みはご遠慮いただいております。 

    イベント概要詳細はこちらから 

    製造業DXフォーラム2024~未来の製造業を創る「AX」:デジタル変革とAIの力~ | 日本マイクロソフト株式会社 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net) 

    お申込みはこちらから 

    製造業DXフォーラム2024 – ユーザー情報/アンケート登録 – 【東洋経済新報社】 (smartseminar.jp) 

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    日本マイクロソフト主催 製造業界向け AI 活用推進セミナー〜AI が加速するインダストリアル DX〜 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/07/11/industy_ai_transformation_manufacturing_24_05_22_/ Thu, 11 Jul 2024 09:33:49 +0000 2024 年 5 月 22 日に、日本マイクロソフト品川本社において製造業界向けの AI 活用推進セミナーが開催されました。

    多くの活用事例が生まれ活用の幅も広がりつつある生成 AI の現在地が紹介され、なかでもアズビル株式会社を招いてのセッションは、生成 AI 活用の生の声を聞ける貴重な場となりました。

    会場から自然と質問の声が上がるなど、生成 AI が製造現場の人手不足や業務効率化などの課題を解決する手段として大きな期待を集めていることを肌で感じられるセミナーとなりました。.

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    2024 年 5 月 22 日に、日本マイクロソフト品川本社において製造業界向けの AI 活用推進セミナーが開催されました。

    多くの活用事例が生まれ活用の幅も広がりつつある生成 AI の現在地が紹介され、なかでもアズビル株式会社を招いてのセッションは、生成 AI 活用の生の声を聞ける貴重な場となりました。

    会場から自然と質問の声が上がるなど、生成 AI が製造現場の人手不足や業務効率化などの課題を解決する手段として大きな期待を集めていることを肌で感じられるセミナーとなりました。

    IMG_1178

    会場の様子

    「ごあいさつ 製造業における生成 AI 革命」

    日本マイクロソフト株式会社

    執行役員常務 インダストリアル & 製造事業本部長
    横井 伸好

    ご挨拶の様子

    ご挨拶の様子

    横井は冒頭で、ChatGPT が登場から 500 日足らずで世の中に大きなインパクトを与えていることに触れ、技術的な進歩と利用する側のアイデアや知見が蓄積されていると同時に「責任ある AI」の重要性を指摘。それらがこのセミナーのテーマであることを示します。

    そして、日本の GDP が 4 位に転落し、労働生産性が OECD 加盟国 38 カ 国中 30 位という現状に対して「DX、そして AI の活用を真剣に進めていかなければ」と訴えかけました。

    続いて横井は、Microsoft では製造業の顧客の AI 導入と利活用を支援するために「設計開発」「製造現場」「サプライチェーン」「顧客体験」の 4 つの分野に注力しており、多くの事例が蓄積されつつある状況を示します。

    さらに横井は、企業における AI 導入の進展を 4 つのステップに分けて解説。現在、多くの日本企業がステップ 2(安全な環境での LLM の利用)からステップ 3(内部データとインターネット上の LLM の組み合わせ)に移行しつつあり、一部の先進的な企業はステップ 4(自社独自のCopilotや専門的な LLMの開発)に取り組み始めていると分析します。

    diagram

    そして最後に、これまでは、製造業の現場には膨大なデータが蓄積されているにもかかわらず、活用方法がわからなかったという課題を指摘。生成 AI が人間とデータを結びつけることで、ビジネスをより効率のよいものに進化させることが可能になると述べ、データ、AI、人間の三位一体で業務効率化を図ることの重要性を強調しました。

    「AI Transformation 生成系 AI で仕事を革新させる」

    日本マイクロソフト株式会社

    執行役員常務

    技術統括室 CTO

    野嵜 弘倫

    IMG_1156 2

    セッションの様子

    まず野嵜は、Microsoft が実施する 4400 億円規模の日本への投資について説明。「企業の研究機関と Microsoft の研究機関が連動して、新たなものを日本でつくりたい」と述べ、本セミナーに参加している企業にコラボレーションを呼びかけました。

    さらに野嵜は、「生成 AI による経済効果が 2025 年までに中小企業で 11 兆円、日本全体で 34 兆円に上ると予測されており、企業が AI に 1 ドル投資すると 3.5 ドルのリターンが見込まれる」というデータを示したうえで、生成 AI 活用に挑戦する日本企業のユースケースを紹介していきます。

    Ecbeingでは、社歴わずか 4 年のエンジニアが、わずか 3 ヶ 月で AI チャットボットを作成。誰もが生成 AI を活用できるユースケースとして紹介されました。また、富士フイルムではインドで展開する人間ドックサービスにおいて、画像データからの舌がんの発見フローを生成 AI によって自動化。さらにチャットボットによる問い合わせ対応も実現しています。そして PKSHAは、Microsoft Research の発表したアーキテクチャを理表した新しい LLM を開発し、非常に高いパフォーマンスを得ているそうです。

    graphical user interface, website

    次に紹介されたのは、アイシンが開発した聴覚障害者向けの文字起こしアプリです。このアプリはすでに 60 万ダウンロードを達成しており、Microsoft Build 2024 でも大きく紹介されたものです。野嵜によると、特筆すべきは当初想定されていなかった翻訳アプリとしてのニーズへの対応。Azure Translate を追加することで 22 言語に対応し、公共機関の受付などで活用が進んでいるそうです。

    野嵜は実際にこのアプリを動かし、ディスプレイに翻訳が映し出される様子を紹介。本業ではない分野でもここまでのヒット商品を生み出せる、すなわち生成 AI の可能性の広大さを示すユースケースであるとして、セッションを締め括りました。

    「ChatGPT を業務で活かすための要素たち “Prompt is all you needed”」

    日本マイクロソフト株式会社

    シニア クラウドソリューションアーキテクト

    畠山 大有

    IMG_1163

    セッションの様子

    このセッションでは、畠山が技術的な観点から生成 AI を紹介。テキスト入力からマルチ モーダルへと進化を遂げつつある生成 AI の現在地を、デモンストレーションを交えながら解説しました。

    まず畠山氏は、ChatGPT を効果的に仕事で活用するためのコツとして、適切なプロンプトの作成が重要だと述べます。畠山によると、ChatGPT を仕事で使う主なシーンは参照データからの変換と抽出です。

    畠山はメールから案件情報を抽出するプロンプトを示しながら、プロンプトによって結果が変わってくることを説明します。そのうえで畠山は、プロンプトではやりたいことが伝わればよく、抽出に必要なデータを保存しておくことこそが重要であると強調しました。

    graphical user interface, application

    続いて畠山は「次世代の話をしたいと思います」と、音声入力を用いて HTMLの Web ページを作成するデモンストレーションを実施。入力の精度が低くても、ChatGPT が話者の意図を汲み取ってプログラムのコードを生成し、ほぼ 100 % に近い形で動作する様子が展開されます。

    デモを終えた畠山は「今日時点で存在している OS の Speech to Text のエンジンで、LLM は十二分に操作ができます」と、すでに誰もが使える技術であることを強調。今後の AI の進化においてはマイクやカメラなどのセンシング機能こそが重要であり、マルチ モーダルのプロンプト生成を活用すれば生産性は爆発的に向上する、と語ります。

    最後に畠山は、生成 AI 活用は長期計画で当たることが重要であり、PC のキーボード操作やスマートフォンのフリック入力のように、プロンプトを身につけることが今はなにより重要であることを訴えかけて、セッションを終了しました。

    「Microsoft の責任ある AI への取り組み」

    日本マイクロソフト株式会社

    制作渉外・法務本部 業務執行役員 法務部長

    弁護士・ニューヨーク州弁護士

    小川 綾

    まず小川は AI を船に例え、「AI は危険だから使わないのではなく、危険を乗り越えて使っていくという考え方が必要」と、100 % 安全ではない AI をどのように責任ある形で管理していくかが重要であると述べました。

    小川によると、Microsoft は「公平性」「信頼性と安全性」「プライバシーとセキュリティ」「包括性」「透明性」「説明責任」の 6 つの原則を掲げ、AI の責任ある開発と利用に取り組んでいます。かつ、2016 年から責任ある AI の体制を整えて AI システムの開発要件を定め、取締役直下の「責任ある AI オフィス」が、研究、ポリシー開発、技術開発を各部門と連携しながら取り決めをつくり込んできた歴史があります。

    さらに Microsoft は、Azure AI Content Safety などのセーフティ システムを導入し、有害コンテンツのスクリーニングやユーザーによるコントロールを可能にしています。また、プライバシーやセキュリティに関しても、ユーザーのデータが基盤モデルのトレーニングに使用されることはなく、他のユーザーに共有されることもありません。

    そして著作権に関しても、著作権侵害のプロンプトがブロックされる仕組みを備えており、ユーザーが適切に使用したうえで著作権侵害コンテンツが生成された場合は Microsoft が法的防御を引き受けるという著作権コミットメントを発表しています。

    最後に小川は、「100 % 安全なシステムはありません」と改めて強調。リスクを管理しながら使っていくことが重要であり、Microsoft もそのリスクを常に意識しながら、安心・安全な AI 利用のための取り組みを進めていると語ってセッションを終了しました。

    「アズビルが沼った 生成 AI による DX のススメ」

    アズビル株式会社 AI ソリューション推進部

    佐藤 適斎 氏

    a person giving a presentation

    セッションの様子

    佐藤氏は「いまアズビルは、完全に生成 AI 沼にどっぷりハマっています」と、自社における生成 AI の普及具合を表現。製造業向けソリューションを提供する同社では、2023 年 4 月頃から生成 AI の実証実験を開始し、夏ごろには社員向けエンタープライズ版チャットボット アプリをリリースしました。

    佐藤氏によると、このプロジェクトは情報システム部だけで動かすのは難しいとの判断から、組織横断型のタスクフォースを組んで進めてきたとのこと。現在は国内外約 1 万名の従業員のうち 6000 名ほどがチャットボットを利用しており、「社内のシステムとしては、おそらく普及スピードは圧倒的 1 位」と佐藤氏。生成 AI が同社の業務を強力に支援していることを示します。

    タスクフォースのメンバーは、生成 AI 普及のために SharePoint で特設サイトを作成してバージョン アップの情報やプロンプト事例の紹介を行い、社内向けウェビナーを実施するなど、さまざまな工夫を行なったそうです。

    なかでも佐藤氏がポイントに挙げたのは、経営陣にも推進活動に協力してもらったこと。トップが働きかけることで、社内に生成 AI 活用の雰囲気醸成に成功しました。さらに佐藤氏らは全国の拠点を直接訪問して、交流を深めながら現場の理解を深めていきました。

    続いて佐藤氏は、同社内での活用事例を紹介していきます。メールや提案書の作成、特注品の材料選定、知財戦略、IR など、幅広い業務で生成 AI が活用されており、なかでもエンジニアリング部門では特別プロジェクトを展開した結果、業務の半分以上を生成 AI で変革できる可能性が示されたといいます。

    また、同社はベテラン従業員の比率が高く、技術伝承が課題となっていましたが、ベテランと若手の混在チームでプロンプトを作成する試みに取り組んだところ、ベテランの暗黙知を形式知化するプロセスが生み出され、課題解決の方向に向かっているとのこと。この活動を聞いた社長からは「この活動はアズビルの技術伝承のプロトタイプになる」とコメントがあり、社内でも効果が認められて横展開が進んでいるそうです。

    さらに同社では生成 AI と安全の関係にも注目し、「生成 KY」と呼ばれるリスク アセスメントを支援するチャットボットを開発・実証しています。このチャットボットには RAG(Retrieval-Augmented Generation)が用いられており、作業員の入力に応じてリスクを分析し、過去の類似案件も参照して回答することができます。

    佐藤氏によると、製造業界では業務の安全性が高まった結果、危険に接する機会が減ったことで安全に対する意識が下がってしまう事態が懸念されています。佐藤氏は、このチャットボットを活用することで「天才新人の新たな気づきとベテランの安心感、両方を得られる」と述べ、マンネリ化しがちな危険予知に新たな視点を提供する効果を見込めると説明しました。

    佐藤氏は、ネガティブな意見もあるなかで同社が生成 AI 導入を推進できたのは、「ここが技術転換点であるという判断をトップ層がしてくれたことが大きい」と分析します。

    そして生成 AI が提供する価値として「業務変革」「技術伝承」「人間拡張」を挙げ、生成 AI を活用するポイントとして「安全で安心な環境の提供」「トップ自らの考えの発信」「全員参加の重要性」を提示。「生成 AI はベテランに寄り添う技術。彼らにいかに早期に生成 AI を触らせるかが、仕事を変える鍵になる」と述べて、セッションを終了しました。

    「事例対談 アズビル × Microsoft

    アズビル株式会社 AI ソリューション推進部

    佐藤 適斎 氏

    日本マイクロソフト株式会社

    執行役員常務 技術統括室 CTO

    野嵜 弘倫

    日本マイクロソフト株式会社

    シニア クラウドソリューションアーキテクト

    畠山 大有

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    事例対談の様子

    このセッションでは、日本マイクロソフトの畠山がファシリテーターを務め、アズビル株式会社の佐藤氏と日本マイクロソフトの野崎がパネリストとして登壇。アズビルの事例を深掘りしながら、生成 AI を活用する際の課題と取り組みについてのディスカッションが行われました。

    まず畠山から「どうやって全社員に使ってもらうようにしたのか?」という質問が投げかけられました。野嵜は、「ライセンスの割り当てにおいて、特定の部門だけで使用すると温度差が出てしまう」と補足。佐藤氏は、企業が利用ユーザーを限定してスモールスタートで始める理由として「まずお金の話がある」と分析します。

    佐藤氏によると、ユーザー課金の場合は大規模法人であるほどコストが膨らんでしまうことから、アズビルではトークン課金制を採用しているそうです。その結果、運用コストを一人あたり月間 50 円ほどに抑えて全社的な利用促進に成功。「チャットを使う程度であればこの方法で問題ないと思うので、気軽に全世界展開すればいいのでは」と佐藤氏は語ります。

    またアズビルではウェビナーによる全社への情報発信を行いつつ、各拠点に赴いて現場の社員と直接対話し、不安の解消・活用のためのシナリオについてディスカッションすることで、生成 AI の全社展開を進められたといいます。そしてその場限りで終わらせないための工夫として、各拠点の支社長や社員にインタビューして、それをウェブサイトで紹介しているとのこと。「イベントが終わって休憩していると、オフィスでみんなが生成 AI の話をしているんです。それを目の当たりにして、やってよかったと思いました」(佐藤氏)

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    質疑応答の様子

    続いての質問は、生成 AI の活用シーンでベテランが活躍しているアズビルで若手とベテランのギャップをどうやって埋めたのか。

    佐藤氏によると、大切なのは「まずは、腕組みして口だけ出してくるようなご意見番たちの腕組みを解かせること」。生成 AI のプロンプトの部分は非常に明快で世代を問わないものであり、「まず手を動かしてもらうことで生成 AI のフィードバックを実感してもらい、活用の楽しさを知ってもらうことが大切」だと指摘。世代間ギャップを克服するためには、体験を通した理解が重要なことを強調しました。

    ここで会場から、アズビルにおける技能伝承への生成 AI の活用について「まさに製造業の皆さんがご関心のあるところ」としてそのデータ参照先について質問が寄せられました。その質問に対して佐藤氏は、同社ではデータレイク構想を会社全体で進めており、工場などのデータを触りやすくするための基盤整備を進めつつ、並行して「どう使うか」を試行錯誤することが重要であると回答。「週報や日報、ミーティング資料などを参照しやすい状態にしておくことが大切」とアドバイスを送りました。

    さらに会場から「うまく利用できなかったことで生成 AI に触れなくなってしまう空気感」について質問がありました。佐藤氏らは、自分たち自身がプロンプトのブラッシュアップに四苦八苦する、「試行錯誤編」とも呼ぶべきウェビナーを企画して配信するなど、うまく使えない人に寄り添う活動をして いるとのこと。「一緒に苦しみましょう」というメッセージを送ることで、継続的に生成 AI に挑戦する空気を醸成しているそうです。

    また野嵜は、生成 AI はこの 2 年間で矢継ぎ早にバージョンアップされており、明らかにハルシネーションは減っているとし、さらなる品質や精度の向上にはユーザーからのフィードバックが欠かせないことを会場に伝えました。

    最後に佐藤氏は、ユーザーが持っている情報を整理して、生成AIに明確に指示として伝えられるようになるためのプロセスを「修行」と表現。「私たちは、みんなを修行の旅に誘うような活動をしています」と、生成 A I活用の道のりを、苦しみも喜びもともにしながら歩むことが大切であることを示して、対談セッションは終了となりました。

    「製造業における AI 活用のこれから」

    日本マイクロソフト株式会社

    インダストリアル & 製造事業本部

    製造ソリューション担当部長

    鈴木 靖隆

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    セッションの様子

    鈴木は、これまでのセッションのおさらいと 4 月にドイツで開催されたハノーバーメッセでの Microsoft の展示についての紹介を行いました。

    「AI が出てきて一番変わったのは、人間と UI が劇的にナチュラルに近づくこと」であると指摘する鈴木。人間の使っている言語でコンピュータを操作できることが LLM の本質であり、Copilot の登場によってそれが実現しつつあることを示唆します。

    さらに鈴木は、AI の活用段階を提示。すなわち「Everyday AI」は生産性向上に主眼を置いた普段使いの AI 活用であり、「Game-changing AI」は今までできなかった仕事やサービス提供を可能にする領域です。鈴木は、Everyday AI から始めることは重要ではあるものの、世界ではすでに Game-changing AI 領域の AI 活用が始まっていることを、ハノーバーメッセの展示を例に説明していきます。

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    VOLVO PENTA の Hololens 2 活用事例では、従来の MR を用いたガイドに加えて、Copilot  による対話型の作業指示ソリューションがプレビュー段階に入っているとのこと。また、シュナイダーエレクトリックと KUKA の制御プログラム生成ソリューションや SIEMENS の製品設計支援ソリューションでは、自然言語でのプログラム改善や設計が可能になっていることが紹介されました。

    最後に鈴木は今回のセミナーのまとめとして、「技能伝承の観点での LLM 活用」「データ統合の重要性」「単体からプロセスの Copilot へ」という 3 つのポイントを提示。アズビルや VOLVO PENTA のような技能伝承への活用可能性と、今後ますますデータの重要性が高まるという課題感の共有、そしてプロセス全体を生成 AI が支援する未来への展望について語り、「皆さんと一緒に、日本発のプロジェクトを来年のハノーバーメッセに持って行きたい」という思いを訴えて、セミナーを締め括りました。


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    AI が加速させる インダストリートランスフォーメーションセミナー〜Microsoft AI Co-Innovation Lab @ Kobe~第二回開催レポート http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/06/06/industry-transformation-seminar-kobe-vol2-0315/ Thu, 06 Jun 2024 10:21:54 +0000 2024 年 3 月 15 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe において、「第二回インダストリートランスフォーメーションセミナー」が開催されました。(第一回のレポートはこちら)このセミナーは、主に AI の利活用を視野に入れている製造事業者向けの内容となっており、最新の AI 事情やユースケースがリアルに体感できる Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe で開催することにより、より自分ごととして AI の利活用を捉えていただくことをひとつのテーマとしています。

    今回は、第一回目のセミナーを受けて参加者から寄せられた「Microsoft のリーダー層から話を聞きたい」「ユースケースを知りたい」といった声に応える形でアジェンダを構成。日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長 岡嵜のセッションや、積極的に AI 利活用を推進し、Microsoft AI Co-Innovation Lab ともコラボレーションしている先進企業を招いての分科会が盛り込まれました。本稿では、熱気に溢れた各セッションの様子をレポートします。.

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    2024 年 3 月 15 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe において、「第二回インダストリートランスフォーメーションセミナー」が開催されました。(第一回のレポートはこちら)このセミナーは、主に AI の利活用を視野に入れている製造事業者向けの内容となっており、最新の AI 事情やユースケースがリアルに体感できる Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe で開催することにより、より自分ごととして AI の利活用を捉えていただくことをひとつのテーマとしています。

    今回は、第一回目のセミナーを受けて参加者から寄せられた「Microsoft のリーダー層から話を聞きたい」「ユースケースを知りたい」といった声に応える形でアジェンダを構成。日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長 岡嵜のセッションや、積極的に AI 利活用を推進し、Microsoft AI Co-Innovation Lab ともコラボレーションしている先進企業を招いての分科会が盛り込まれました。本稿では、熱気に溢れた各セッションの様子をレポートします。


    「Microsoft が推進する Microsoft Cloud と AI トランスフォーメーション」

    日本マイクロソフト株式会社
    執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長
    岡嵜 禎

    セッション「「Microsoft が推進する Microsoft Cloud と AI トランスフォーメーション」」の会場

    本セッションにおいて岡嵜は、Microsoft がどのような形で生成 AI を活用したサポートを提供できるかについて解説しました。まず岡崎は、生成 AI の登場による我が国における経済効果は、2025 年までに 34 兆円、中小企業だけでも 11 兆円に上るという経済産業省の予測を示し、「自分の IT 業界における経験のなかでも、これほど経営層の関心が高いテクノロジーはかつてなかった」と述べ、これからは AI トランスフォーメーションこそが変革の軸であり、そのためにはクラウド化やデータ トランスフォーメーションへの取り組みも大切になってくる、と語ります。
    また岡嵜は、我が国は諸外国に比べて DX で出遅れてしまった一方で、生成 AI への取り組みスピードは早いと語り、「ここが変化のポイントであり、我が国で一気に変革が進むはず」と、その波に乗り遅れないように生成 AI の利活用において重視すべきポイントを挙げていきます。

    生成 AI 時代の成功要素「Copilot で生産性を向上」「独自の AI を構築」「ビジネスとデータの保護」

    そのポイントとは、大きく分けて三点。一点目は、Microsoft Copilot による生産性の向上。二点目は自社のシステムとビジネス プロセスへの生成 AI の組み込み。そして三点目はビジネスとデータの保護です。岡嵜は、前の二点についてより詳細に解説を加えていきます。
    まず Microsoft Copilot について。岡嵜によると、Copilot はこの先、あらゆる業務をサポートし、業務の特性に合わせて機能を高めていくはず、とのこと。そして Copilot for Microsoft 365 に対するユーザーからのフィードバックを示しながら、「要約機能や高い検索性による時間の効率化、文章を書き出す最初のアイデアの獲得、時間を節約して仕事に集中できたりする点などは大きなポイント」であり、生成 AI の活用を推進するためには、社員が日常業務のなかで生成 AI の機能を確認できる状態をつくれる Copilot for Microsoft 365 の導入が有用であることを示唆します。

    業務の特性に合わせてあらゆる業務をサポートする Copilot の図

    生成 AI の活用が進みつつあるなかで、ユースケースはより複雑化している、と現場を分析する岡嵜。生成 AI 活用の初期フェーズでは社内向けチャットボットをつくるケースが多かったものの、現在ではより複雑なデータとの組み合わせや完全オートメーションのような仕組みをつくりたいというニーズが高まっているとのこと。「よりアプリケーションにネイティブに組み込んだ実装や、複数のデータや API と組み合わせる強調動作が必要になってくる」とし、Azure OpenAI Service を紹介していきます。

    Azure OpenAI Service では OpenAI が提供するさまざまな LLM を API ベースで提供しています。今後はマルチモーダル化が進み、動画を認識・生成できる LLM もラインナップに含まれるはず、と岡嵜は語ります。そしてそのユースケースとして、SOMPO ケア株式会社の介護アドバイス システム、株式会社パソナの履歴書作成支援システム、Preferred Robotics 社のロボット制御高度化システム、Sony Honda Mobility 株式会社の車載 AI アシスタントを紹介しました。

    Azure OpenAI Service で加速する生成 AI 利活用例

    ここで岡嵜は「アプリケーション開発が大きく変わる」と、システム論へと話を展開。岡嵜によると、今後のシステム開発は、従来の MVC (Model-View-Controller) アーキテクチャから、AI がコントローラーの役割を担う MVA (Model-View-AI) アーキテクチャへと移行していくと予想される、とのこと。すなわち、「これまでは人間がどのアプリケーションを使うかを判断していたものが、AI に聞くことで解決できる。つまりシステムを動かすのではなく、要望に対して反応を返してくる新しいシステムの形ができるはず」と強調します。

    MVC から MVA へアプリケーションが進化する事に伴う変化

    そして Microsoft はこれからも、言語モデルの選択肢を提供する Model Catalog やプロ開発者向けの Azure AI Studio などを通じて、企業の AI トランスフォーメーションを全面的にサポートしていく方針であることを示し、「AI トランスフォーメーションは、待ったなしです。Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe で皆さまと一緒に AI トランスフォーメーションを実現していければ」と呼びかけてセッションを終了しました。


    「製造業での事例とデモ」

    日本マイクロソフト
    クラウド & AI ソリューション事業本部 アプリケーション開発統括本部 業務執行役員 統括本部長
    榎並 利晃

    このセッションでは、生成 AI が製造業の現場でどのように活用されているのかを伝えるべく、日本マイクロソフト榎並によるユースケースとデモンストレーションを交えた紹介が行われました。
    冒頭、「私はもう Copilot から離れられないくらい使いこなしています」と語る榎並。製造業においても、製品開発/企画から製造、営業/マーケティング、システム開発/運用に至るまで、あらゆるシーンで生成 AI が活用できるとし、それぞれのユースケースを例示。その一例として生成 AI によるヒヤリハット検出システムを紹介します。
    このシステムでは、製造現場を移した動画のストリームから危険状態を検知して、アラートを提示するだけでなく、マニュアルのデータと照らし合わせて危険度を判断することも可能です。

    生成 AI (LLM および LMM) によるヒヤリハット検出システム

    続いて榎並は、従来の MVC (Model-View-Controller) アーキテクチャを進化させた MVA (Model-View-AI) のユースケースとして、デンソーが開発した自然言語による指示に柔軟に対応するアーム型ロボットを紹介。このロボットは、「さっぱりした飲み物」という自然言語のリクエストに対して水を提案したり、「アメリカン コーヒー」のオーダーに対して薄めのコーヒーを提供したりすることができます。
    さらに現場よりのユースケースとして榎並が紹介したのは、IPG が開発した、自然言語で生成 AI に尋ねながら工場の製品ロスの原因を突き止めていくシステム。「人間がグラフから原因を読み取るのではなく、生成 AI に尋ねながら原因を突き止めていく。より現場で活用できるユースケースだと思います」(榎並)。

    製造業における OpenAI 活用ユースケース例

    そして榎並はこれからの新しい流れとして、機械学習に代表されるような従来型の AI と生成 AI の結合があるのではないか、と予想。すでに IoT は工場、オフィスにかかわらず定着していますが、問題なのは、これまでは IoT から得られたデータで異常を検知した際に、対処を判断するのは人間だったという点。その判断には知識や経験が必要とされるため、再現性がありません。生成 AI が非構造データから対処方法を探し出して提案してくれることで、属人化しない生産現場運営を実現できると、榎並は語ります。

    続いて榎並は、GitHub Copilot によるプログラミング予測機能を紹介。これは、GitHub Copilot がプロジェクト文脈に沿ったコードを自動生成してくれる機能で、開発エンジニアの生産性を圧倒的に上げることができます。榎並は、すでにプログラミングの現場では GitHub Copilot が書いたコードでプログラムを動かすユースケースが増えており、多くのエンジニアがその効果を実感しているといいます。

    さらに生成 AI は、開発プロセス全体でも活用できると榎並。設計、開発、テスト、運用のさまざまな局面での適用が期待さており、「Design2Code」を活用すれば、手書きなどのラフな HP デザインの画像から生成 AI がコードを書き出し、Web 上で動かすことができるといいます。

    開発プロセスにおける生成 AI への期待と適用先

    ここで榎並は実際に Design2Code を操作して、ホワイト ボードに手書きされたデザイン画像から HTML を生成。Web 上で動かすデモンストレーションを実施しました。業務用チェックシートのモックをあっというまにつくり出してみせた榎並はセッションを総括して「ここまで見てきたとおり、製造業のお客さまの業務のいろいろなところで使えるイメージができたのではないでしょうか」と語り、セッションを終了しました。


    「ユーザー様による分科会~AI 活用開発事例、AI Lab 活用体験談」

    このセッションでは、Microsoft AI Co-Innovation Lab のユーザー企業であり、業界に先駆けて AI 活用を進めている川崎重工株式会社とソニーセミコンダクターソリューションズ株式会社にご協力いただき、分科会を開催。参加者はふた部屋に分かれて、両社のプレゼンに紐づいたディスカッションが行われました。

    テーマ ① 生成 AI について
    テーマ ① の分科会では、川崎重工株式会社に登壇いただき、同社の AI 活用の取り組みと、生成 AI を活用した自社ナレッジ活用システムの開発に至った経緯や、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe を活用した体験談などをお話しいただきました。
    同社は 2022 年に日本マイクロソフトとコラボレーションしてインダストリアルメタバースを実現しており、神戸への Microsoft AI Co-Innovation Lab 誘致にも協力するなど、自社のみならず業界全体の AI 活用をリードしてきた存在です。
    今回のプレゼンでは、属人化していたナレッジや未整理の資料から必要な情報を引き出せる「生き字引 AI」の開発ストーリーを発表。Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe とのコラボレーションをイメージしやすい内容だったこともあり、参加者からは開発に伴う障害や課題解決方法についての具体的な質問が寄せられていました。

    生成 AI により解消される課題と使用のメリット


    テーマ ② 画像 AI
    テーマ ② では、ソニーセミコンダクターソリューションズ株式会社の Edge AI Sensing platform 「AITRIOS(アイトリオス)」開発の背景と、画像 AI のファクトリー DX への適用について、自社工場での事例を、動画などを交えてお話しいただきました。
    同社では、「Imaging から Sensing へ」という合言葉のもと、見た目が美しい撮影技術の追求から、コンピュータで活用しやすい撮影技術の追求へと開発方針を転換。Microsoft は同社にクラウドや AI の分野でサポートを提供しており、神戸以外にもミュンヘンやレドモンドの Microsoft AI Co-Innovation Lab で共同開発を行っています。
    プレゼンで示されたのは、工場ラインを止めずに障害に対応するためのシステムや服装規定の監視ツール、作業の正誤を判定するツールなど、同社のセンシング技術と AI 技術が融合したソリューションの数々。製造業の事業者であればすぐに応用できそうなソリューションばかりであり、参加者も大いに興味を示している様子でした。

    セッション「ユーザー様による分科会~AI 活用開発事例、AI Lab 活用体験談」の会場


    「生成 AI アプリケーションのセキュリティ保護」

    Microsoft Corporation
    チーフセキュリティアドバイザー
    花村 実

    セッション「生成 AI アプリケーションのセキュリティ保護」の会場

    「ここまでは “AI をどう活用すればよいか”という楽しい話が主でしたが、プライバシーを含むセキュリティの担保という重要な問題についても考えなければいけません」と花村。本セッションでは、生成 AI 導入におけるセキュリティ対策の捉え方と Microsoft のガバナンスについて解説が行われました。

    花村は「生成 AI は我が国が飛躍する大きなチャンスであり、安全な部分を踏みしめながら、適応な範囲でリスクをとる考え方ができるといい」と、自縄自縛になることなく冷静に判断することの大切さを訴えかけます。

    ここから花村は、AI プラットフォーム、AI アプリケーション、AI の利用という三層のレイヤーを示し、それぞれのレイヤーにおける生成 AI の脅威について話を進めます。

    生成 AI の脅威マップ

    プラットフォームレイヤーにおいては Microsoft をはじめとするプラットフォームベンダーが脅威に対応するため、ユーザー企業が対策することは少ないものの、アプリケーションレイヤーではプロンプトへの侵入やデータ漏えい、ハルシネーションの予防などが必要です。また利用レイヤーでは機密情報の開示やプラグインの汚染などに気をつけなければなりません。さらに、アプリケーションと利用レイヤーに共通して、インサイダー リスクへの対策が必要となります。

    ただし、「これらの脅威の 98 % は、昔ながらのセキュリティ対策でリスクを軽減できます」と花村。多くの脅威は多要素認証、マルウェア対策、データ保護などによって防げることを示します。また花村によると Microsoft では、AI プラットフォームを保護するために、顧客データの非使用、計画的なセキュリティ設計、責任ある AI の推進に取り組んでおり、攻撃者によるリスクには、脅威モデリング、レッドチーム演習などの方法で対処しています。レッドチーム演習においては、進化中の技術である AI であるがゆえに、犯罪者目線だけでなく、予期せぬ攻撃への対処やモデルの改変やプロンプトによる攻撃への対応も行っているそうです。

    AI のセキュリティの進化プロセス

    花村は、AI プラットフォーム、AI アプリケーション、AI の利用というレイヤーそれぞれでセキュリティ対策を施し、End to End で脅威から守ることが大切であり、特にアプリケーションと実際の使用時に特に注意を払ってほしい旨を訴え、AI のセキュリティは、「開発〜テスト〜監視/対応〜進化」のサイクルを絶えず回し続けることが肝要と語って、セッションを終了しました。


    「AI 活用に向けた土台づくり~インフラとカルチャーを踏まえたステップと、Lab の 活かしどころ~」

    日本マイクロソフト株式会社
    インダストリアル & 製造事業本部 製造ソリューション担当部長
    鈴木 靖隆

    セッション「AI 活用に向けた土台づくり~インフラとカルチャーを踏まえたステップと、Lab の 活かしどころ~」の会場

    鈴木は冒頭で「現在私たちは、インターネット以来の唯一無二の瞬間を迎えています」と述べ、人と AI とデータが融合しようとしているいま、AI の導入においては組織体制、スキル、人のモチベーション、データ環境の整備が必要であることを強調。「Microsoft としても、ツールやサービスの提供だけでなく、人とデータの構築についてもサポートさせていただきたい」と語りかけます。

    唯一無二の融合の瞬間

    AI 活用の課題として、必要なスキルを持った人材の不足やノウハウの欠如、活用アイデアの不足などが挙げられます。「生成 AI の活用には、ビジネスへの言語化能力、他社事例を参考にした企画力、ステーク ホルダーへの説得力などのスキルが必要とされる」と鈴木。
    また、AI 活用に積極的な人材を観測するとほとんどの場合社内の 30 % ほどの割合であり、鈴木は「まずはその 30 % の人材に、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe を使ってアイデアを具現化してほしい」とアーリーア ダプターへの期待を示しました。

    AI 導入ステップイメージ

    さらに鈴木は、生成 AI は年齢に関係なく誰もが初めて体験するものであり、ジェネレーション ギャップを超えたチームづくりにも活用できるはず、と提案。最後に、Microsoft は、自社のサービス群を活用しながら、Copilot の導入トライアルからアプリケーション開発へと向かう段階的な高度化に照応する支援が可能だと述べます。そして最後に「若手からベテランまでが参加し、ラボを活用して具現化やディスカッションを進めることで、企業文化の醸成にもつながる」という視点を示して、セッションを終了しました。

    日本マイクロソフト株式会社
    Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe 所長
    平井 健裕

    一般社団法人 AI Co-Innovation Labs KOBE 活用推進協議会 会長
    青木 氏

    セミナー最後のセッションとして、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe の責任者である平井が登壇。ラボに関する情報のアップデートと、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe 協議会の青木氏から、協議会のあらましについて説明が行われました。

    平井によると、2023 年 10 月の開設以来、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe にはラボツアーなどを通じて 90 社 400 名以上の来訪を得ており、2 ヶ月先まで入っている予約を含めるとすでに 100 社を超えているとのこと。またラボツアーのあとには必ずディスカッションが設定されており、このディスカッションで多くのアイデアが生み出されている、と平井。ラボツアーの有用性をアピールします。

    さらに、ラボ利用の申し込みは 2023 年末時点から倍増しており、現在もラボ内では常にどこかの部屋でディスカッションが行われているとのこと。問い合わせの内容も多岐に渡っており、すでにユースケースはできあがっているものの、実用にはあとひと押しが足りないといった事例や、明確な課題を持ってユースケースを持ち込む事例も増えているといいます。

    平井は、現在は待たせてしまう状況ではあるものの、スタッフを増員してまずはヒアリング体制を強化していくことを表明。「アイデアをお持ちの方がいらっしゃれば、せひディスカッションさせてください」と会場に呼びかけました。

    最後に登壇した青木氏からは、一般社団法人 AI Co-Innovation Labs KOBE 活用推進協議会の HP のご紹介もございました。また、ラボを利用したいけれど、どうすればいいのかわからない場合に相談できる相談窓口を協議会内に設けていることを告知。協議会の賛助会員を募集していることも付け加えて、「まずは一度連絡してください」と呼びかけて協議会の説明を終えました。

    一般社団法人 AI Co-Innovation Labs KOBE 活用推進協議会

    こうして、「AI が加速させる インダストリートランスフォーメーションセミナー〜Microsoft AI Co-Innovation Lab @ Kobe」第二回セミナーは大盛況のうちに終幕しました。今後の開催も検討しておりますので、興味をお持ちの企業さまは、ぜひ気軽にお問い合わせください。

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    第一回のレポートはこちら

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    AI が加速させる インダストリートランスフォーメーションセミナー〜Microsoft AI Co-Innovation Lab @ Kobe~第一回開催レポート http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/06/05/industry-transformation-seminar-kobe-vol1-0209/ Wed, 05 Jun 2024 12:12:23 +0000 2024 年 2 月 9 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe  において、主に AI の利活用を視野に入れている製造業事業者に向けたセミナーが開催されました。全 3 回シリーズの初回となったこのイベントは、あえてオンライン開催ではなくリアルの熱気を追求。当日は、45 名の定員を超える参加者が各登壇者のプレゼンテーションを聞き漏らすまいと熱い視線を送りました。

    AI を活用した製品やサービスの、新たな可能性を探るヒントとなり得るトピック、またそれを支援する Microsoft の AI ソリューション、さらには 2023 年 10 月にオープンしたばかりの Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe の機能についてなど、盛りだくさんの内容を共有する場となった本イベント。本稿ではその一部をレポートします。.

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    2024 年 2 月 9 日、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe  において、主に AI の利活用を視野に入れている製造業事業者に向けたセミナーが開催されました。全 3 回シリーズの初回となったこのイベントは、あえてオンライン開催ではなくリアルの熱気を追求。当日は、45 名の定員を超える参加者が各登壇者のプレゼンテーションを聞き漏らすまいと熱い視線を送りました。

    AI を活用した製品やサービスの、新たな可能性を探るヒントとなり得るトピック、またそれを支援する Microsoft の AI ソリューション、さらには 2023 年 10 月にオープンしたばかりの Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe の機能についてなど、盛りだくさんの内容を共有する場となった本イベント。本稿ではその一部をレポートします。

    「AI が加速させる インダストリートランスフォーメーションセミナー」の会場の様子


    CTO セッション「AI Transformation: 生成系 AI で仕事を革新させる 」

    日本マイクロソフト株式会社
    技術統括室 CTO
    野嵜 弘倫

    CTO セッションの前半では、日本マイクロソフト株式会社 技術統括室 CTO 野嵜 弘倫による、AI 技術の活用と、その社会的応用の現在地についての講演が行われました。

    野嵜が「私の過去の経験からしても、これだけの製品すべてに AI 機能が搭載されるというのはものすごい開発のペースでした」と語る通り、2023 年 1 月の、サティア・ナデラ CEO による「Microsoft のあらゆる製品に AI を搭載する」という宣言から、各製品への AI 機能実装、また Azure OpenAI Service などの AI 関連製品のリリースと、スピード感を持った開発が行われてきました。
    そして急速に進化する AI 技術に対して、Microsoft は常に先を見越したアクションを続けています。「Microsoft は、AI は人間に取って変わるのではなく、人間のサポート役になるという思いを「Copilot」というネーミングに込めています」と野嵜。現在、Microsoft 365 や Bing ブラウザに搭載されている Copilot 機能は、人間と AI の協力による生産性の向上を目指していることを強調します。そしてユースケースとして、AI の応用は、アイデアの壁打ち社内情報の検索、コールセンターの効率化など、労働集約型業務の自動化に留まらず、人間の判断を補助する形で広がっていることを示します。

    日本における一般的な生成 AI 導入のユースケース

    続いて具体的な AI 技術の応用事例が紹介されました。SOMPO ケア、パソナ、Preferred Robotics の各社に続いて、今回のテーマに合わせてピックアップされた一つ目の事例は、富士フイルム社が開発途上国で展開している人間ドックサービスです。このサービスで特に注目すべき点は、歯の検診時における AI の使用で、口腔内の画像から瞬時に舌がんの有無を判定できるようになっています。また、専門用語などを学習させたチャット bot サービスも付帯されており、人的リソースの削減に役立っています。

    二つ目は、メルセデス・ベンツ社による AI ナビゲーションシステムの事例。このシステムでは、ドライバーの音声命令に基づいて、レストランの予約から道案内までが一貫して提供されます。運転しながらすべての作業が終了してしまうこの事例は、AI の生活への統合度を示すものであると言えるでしょう。

    そして三つ目の事例は、ウォルマート社によるオンラインショッピング体験の改善について。ユーザーの質問に基づいて、AI が関連する商品の提案を行うシステムです。アメリカンフットボールの観戦パーティーを計画する際に、適切なパーティーグッズを提案する様子が示されると、その精度と実用性の高さに会場から感嘆の声が上がっていました。

    最後に、国内の事例として株式会社アイシンが開発した聴覚障害者の支援アプリケーションが挙げられました。このアプリケーションは、音声をリアルタイムでテキスト化し、聴覚障害者が情報を得やすくすることを目的としています。野嵜によると、2023 年 11 月のリリースからすでに 54 万件もダウンロードされているとのこと。

    1 つのスマートフォンを覗き込む 2 人の女性

    ここでゲストスピーカーとして株式会社アイシンの保坂氏が招き入れられ、経済産業省をはじめとする自治体、さまざまな企業で活用が進んでいること、ユーザーの声から絵や写真の表示機能が付加されたことが紹介されました。さらに野嵜から、このアプリケーションは 22 言語に対応しているという情報が加えられ、インバウンド対応にも用途を広げられる可能性が示唆されたところでセッションは終了。参加者たちは、AI 技術の現在地について理解を深められた様子を見せていました。

    CTO セッション「AI Transformation: 生成系 AI で仕事を革新させる 」にて参加者に説明をする登壇者


    CTO セッション「ChatGPT を業務で活かすためのデモ集 “Prompt is all you needed”」

    日本マイクロソフト株式会社
    シニア クラウドソリューションアーキテクト
    畠山 大有

    CTO セッション後半では、日本マイクロソフト株式会社 シニア クラウドソリューションアーキテクト 畠山 大有による、生成 AI を使って日常の業務を効率化し、コミュニケーションの質を向上させる方法についての、デモンストレーションを交えた解説が行われました。畠山は、「ここでは最新の要素技術を紹介します。この上にビジネスシナリオを載せることで、社内、お客様、世の中の役に立つものができるはず」と会場に語りかけて、セッションを開始しました。

    業務で ChatGPT を使うためのポイント

    まず生成 AI の基本要素として「変換」と「抽出」の二つが紹介されました。変換の例としては、謝罪メールの改善デモンストレーションが行われます。畠山が、ChatGPT に謝罪メールの校正・改善を依頼。すると、文のトーンや内容の改善案だけでなく、より誠実で受け入れられやすい形に変えるためのアドバイスまで示されました。「この変換技術は、これから社会に出てくる学生たちはすでに身につけています。なぜなら私自身が受け持つ大学の授業で最初に紹介する要素だからです」と畠山。これから社会に出てくる AI ネイティブ世代のレベルが示唆されます。

    次に抽出の例として、メールからのタスク抽出が紹介されました。畠山は、ChatGPT を用いてプロジェクト関連のメールから重要な項目を抽出し、整理するプロセスをデモ。この方法により、プロジェクトの概要、目的、スコープなどが明確にされ、抜け漏れがなくなることから、業務の効率とチーム内の認識の統一が促進されることを示します。「仕事の仕方は大きく変わりました。メールでもチャットでも音声でも、データさえ揃っていれば ChatGPT がよしなに変化し、抽出してくれる。あとは人間がどう処理するか、だけです」と畠山。すでに現場レベルでは、AI によって働き方が大きく変化しようとしている事実が伝わってきます。

    データがそろい ChatGPT が整理するプロセス

    さらに、プログラミングや HTML ページの作成における生成 AI の応用についてもデモンストレーションが行われました。
    畠山は、音声入力によって HTML ページを生成する過程を流れるように進めてみせます。音声によって入力されたテキストは誤字脱字が目立ちますが、畠山は構う気配を見せません。画面上では ChatGPT が指示を読み込み、ほどなく HTML ファイルが生成されました。そして、できあがったファイルをブラウザで表示させると、畠山の意図に沿ったページが生成されていることがわかります。「音声認識の精度はどうでもいいんです。やりたいことだけ喋れば、あとは ChatGPT が解釈してくれる」と畠山。厳密なプログラムにしたければ人間が手を入れればいい。日常業務のアシスタントとして機能すればいい。これこそが AI の役割であることがよく理解できます。

    最後に、Microsoft 365 の Copilot 機能を用いたデモンストレーションが行われました。畠山は「ポイントは、Copilot がインターネットで情報を集められること」として、Word の Copilot にプロンプトを与えることで文章が作成され、それを基に PowerPoint の Copilot によってプレゼンテーションが自動生成されるプロセスを通じて、生成 AI の業務プロセスへの応用可能性を実証していきます。

    自分で情報を集めたり文章を推敲したりデザインを考えたりといった作業を経ずに、ほんの数分でプレゼンテーションができあがっていく様子を目撃した参加者たちは、AI が情報収集、文章作成、プレゼンテーションの準備といった複数の業務ステップを効率的に補助できるツールであることを強く実感できたのではないでしょうか。


    「Microsoft の責任ある AI への取組み」

    日本マイクロソフト株式会社 
    政策渉外・法務本部 業務執行役員 法務部長 
    弁護士・ニューヨーク州弁護士
    小川 綾

    日本マイクロソフト株式会社 政策渉外・法務本部 業務執行役員 法務部長弁護士・ニューヨーク州弁護士の小川 綾からは、Microsoft が取り組む AI 関連のガバナンスについての解説が行われました。
    まず小川はマッキンゼー・アンド・カンパニー社のリサーチ結果を表示。72 % の顧客が企業の AI ポリシーについて透明性を求めていること、デジタルトラストを確立している企業は 10 % 以上の成長率を見られていることから、これからの社会においては、AI 技術が信頼できることと、その技術を提供する企業が信頼できることが重要であると強調します。

    72% の顧客は企業の AI ポリシーについて透明性を求めており、1.6倍の高い確率で、デジタルトラストを確立している企業では 10%+ の成長率が見られる

    続いて小川は、マイクロソフトが提唱する「責任ある AI」について解説。このアプローチは 2016 年に Microsoft の CEO サティア・ナデラの表明によって始まり、2022 年には「責任ある AI」の基準が公表されています。「責任ある AI」は、公平性、信頼性、プライバシー、包摂性、透明性、説明責任という六つの原則に基づいて設計されており、17 個に細分化された具体的なゴールをどのように実現するかが規定されています。

    また、二次的なカテゴリーとして、「重大な影響」「身体的または心理的傷害」「人権への脅威」の三つからなる「センシティブな利用」を設けています。ここで小川は、「利用の仕方によって重大な影響を及ぼし得るものを開発するのがダメなのではなく、センシティブな利用として追加的なルール メイキングや監督プロセスが必要になる」ことを強調します。
    また、Microsoft では影響評価ガイドラインを公表しており、ステイク ホルダーに対してどのように AI を利用すべきかについての透明性を確保していることを紹介。「このトランス ペアレンシー文書は、ユーザーがシステムを理解したうえで適切に利用してもらうために有用なもの」と語ります。

    マイクロソフトの AI 原則

    小川は、こうした「責任ある AI」が製品やサービスに表れていることの例として、Azure AI Content Safety を例に挙げて解説。これは Azure が生成するコンテンツの中から有害なものを検出し、アラートを発するシステムであり、ユーザーの設定によってコンテンツのアウトプットをコントロールできます。
    さらに小川は、ユーザーのルールやガイド ラインづくりの参考となる AI カスタマー コミットメントと、その延長にある、著作権の問題が生じた場合のサポートを約束する著作権コミットメントを紹介。これらの存在によって、顧客はコンテンツの使用に関する不安を和らげることができることを示します。

    最後に小川は、公共政策の分野でも、Microsoft は適切な AI ガバナンスを推進するための政策提言やホワイトペーパーの発表を行い、政府や業界全体と協力していることを紹介。これによって日本を含むさまざまな地域での AI 利用のガイドラインが整備されていることを報告します。「さまざまなステイクホルダーによるアプローチにいち早く関与して、AI 全体が止まることなく、適切に責任を持った形で推進されていくようにサポートできれば」と語ってセッションを終了しました。

    セッション「Microsoft の責任ある AI への取組み」の会場


    「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe ご紹介、ラボでの取り組み紹介」

    Global Head of Microsoft AI Co-Innovation Lab &
    Director of AI, Data and Emerging Tech BD
    山崎 隼

    日本マイクロソフト株式会社
    Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe
    Engineer
    太田 優

    このセッションでは、本セミナーの会場となった Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe の活用方法について、運営担当の山崎 隼とエンジニアの太田 優による説明が行われました。

    Microsoft AI Co-Innovation Lab の簡易的な定義

    このラボは、AI、データおよび新興技術を駆使して、さまざまな業界のクライアントのユースケースの加速をサポートするために、グローバル 6 拠点に設置されています。「企業の規模や産業の違いを問わず、ヘルスケア、教育、製造業など幅広いセクターから多数の企業が参加しており、Microsoft とパートナーのエンジニア同士が直接協力し合うことで、製品の統合や活用方法に関する知見を深めています」と山崎。

    山崎は、ラボの主な役割として、クライアントのアイデアを形にするためのリサーチ&デベロップメント、特にリサーチのプロセスの加速を挙げます。「この目的を達成するために、ラボではデザイン セッションとラピッド プロトタイピングという二つの主要なプログラムを提供しています」と山崎。デザインセッションは、クライアントのアイデアを基にしたアーキテクチャをつくる 2 〜 3 時間のセッション。そして、ラピッド プロトタイピングは、アーキテクチャを基に、実際のプロトタイプをつくるセッションです。全体のプロセスについては、セッションの最後に太田から解説が行われました。

    850 を超えるエンゲージメントを支援

    セッションのなかで特に注目されたのは、Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe を通じて実現された協力事例の紹介です。川崎重工業社とのコラボレーション事例では、「Nyokkey」と呼ばれるモバイルロボットの開発が紹介されました。このロボットは介護や公共施設の監視など、多岐にわたる用途に利用可能です。プロジェクトの目標は、ロボットが自然な会話を行い、それに基づいた特定のアクションを実行できるようにすること。まずは会話機能から取り組み、続いてアクション機能の実装に移行するという形で、ワーク ストリームを設定した上でプロジェクトが進行しています。

    ABB 社とのコラボレーション事例では、製造プロセスの効率化に焦点が当てられています。このプロジェクトでは、Vision AI とマシン ラーニングの技術を利用して、製造ライン上でのネジの位置や穴の精度を検証するソリューションが開発されています。ラインに実装することですぐに効果を得られる実践的な開発であり、労働人口の減少や技術承継といった製造業の課題に対応するプロジェクトとして、さらなる構想が膨らんでいます。

    また、ソニー社との共同プロジェクトでは、スマートフォンのカメラレンズに使用されるセンサーに、小型の AI チップを搭載する技術が開発されました。このチップにより、映像がセンサーに入る瞬間にリアルタイムで AI モデルを実行し、映像や動画を保存せずに処理することが可能になります。この事例の特徴として、技術パートナーとしてアバナード社が参画している点。クライアント、Microsoft、パートナーの三者による開発も可能であることが示されました。

    ラボ利用の流れ

    ここからセッションを引き継いだ太田から、具体的な利用方法についての解説が追加されました。太田によると、プロセスは 1 ) 申請、2 ) ゴール設定、3 ) 課題整理、4 ) ワークストリームの決定、5 ) 開発スケジュールの決定、6 ) 開発実施、そして振り返りという六つのステップで構成されています。
    それぞれのステップについて詳細な解説が行われ、クライアントとラボのエンジニアが密接に協力して開発を進め、成果物やノウハウの引き渡しだけでなく今後のアクションプランの提案まで行われるなど、濃密なプロセスになるであろうことが伝わってきます。最後に太田から実際のアプリケーション開発のデモンストレーションが行われ、ラボの活用方法がわかりやすく示されました。


    「製造業における AI 活用のこれから」

    日本マイクロソフト株式会社
    インダストリアル & 製造事業本部
    製造ソリューション担当部長
    鈴木 靖隆

    最後に登壇したのは、日本マイクロソフト株式会社 インダストリアル & 製造事業本部 製造ソリューション担当部長 鈴木 靖隆。セッションを振り返りながら、改めて AI 技術の有用性をアピールしました。

    生成 AI や Copilot の活用ステップ

    まず鈴木は、Copilot 機能について、「ユーザーインターフェイスの劇的な革新」であると語ります。黎明期ではプログラミング コードを書ける人しか扱えなかったコンピュータが、Windows などの GUI(Graphical User Interface)の登場により一般人でも扱えるようになった。「そして今、Copilot と生成 AI の台頭により、自然言語を使ってより複雑な操作を実行できるようになりました」と鈴木。「Copilot は“世界中の知識”と“組織の知識”にアクセスするのに役立つ、新しい UI(窓口)になります」という言葉を引用して、ユーザーがコンピューターをより直感的に操作できる、いわば「デジタルパーソナルアシスタント」としての Copilot のインパクトを強調します。

    続いて鈴木は、ガートナー・アンド・カンパニー社の AI Opportunity Rader を引用し、日常の業務の生産性を高めることにフォーカスしている「Everyday AI」はまもなく当たり前の光景になり、差別化要因ではなくなるはず。私たちは、いかに早くその段階を終えて、今まで人間ができなかった仕事を実現し、新たな価値を創造する「Game-changing AI」の領域に到達するかが大切、と力を込めて語ります。

    AI 活用機会レーダー

    「今の大学生は、すでにこの新しい UI を使いこなしています。私たち日本マイクロソフトとしても、できるだけ早く製造業の皆さまと Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe から Game-changing AI を生み出したいと考えています」と鈴木。もちろんそこに至る過程にある Everyday AI の強化から皆さまと共に歩んでいきたい、と語り、この AI セミナーをシリーズ化して開催していくことと、次回、次々回の予告を伝えてセッションを終了しました。

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    第二回のレポートはこちら

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    その熱狂が、世界を変える。Microsoft AI Tour  産業別セッションレポート【製造】〜技術の承継や人手不足をサポートし、人の力をクリエイティブな業務に振り分けるテクノロジー〜 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/manufacturing/2024/05/13/ai-tour-2024-manufacturing/ Mon, 13 May 2024 09:38:48 +0000 Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界11都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

    2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこのMicrosoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。
    Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションとブースが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。本稿では、Microsoft AI Tour の 基調講演と、製造におけるセッションやブースについてご紹介します。.

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    AI 元年とも呼べる 2023 年から AI ソリューションの進化は止まることを知らず、全世界をうねりに巻き込んでいます。もはや AI が、インターネットやスマートフォンと同じく、世界を変革する新たなインフラになることは間違いないでしょう。

    Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界 11 都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

    2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこの Microsoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。

    本ブログ記事では、基調講演、及び、その後行われた製造に関するセッションについてご紹介します。動画視聴リンクもございますのでぜひご覧ください。

    AI Tour Tokyo Connection Hubの様子

    基調講演
    「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」

    AI Tour Tokyo基調講演

    基調講演には、3000 名を超える来場者のほとんどが参加し、会場は熱気に包まれました。冒頭、日本マイクロソフト代表取締役社長の津坂美樹は、このイベントの目的を「AI の力でビジネスの成長を加速し、新たなソリューションやノウハウの交換を促進すること」であると語り、「Copilot は、Microsoft のミッションである “地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする” をまさに体現するプロダクト。今日から “AI 筋力” をつけるために Copilot を使い続けてほしい」と挨拶しました。

    AI Tour Tokyo基調講演で登壇したMicrosoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏

    続いて登壇した Microsoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏は、AI を「グラフィカル ユーザー インターフェース、モバイル、クラウドといったプラットフォーム シフトの中で、最も大きな規模の変革をもたらすもの」と捉えているとし、Microsoft の製品の開発や提供における方向性や戦略の解説を展開しました。

    さらに先進 AI ユーザー企業である本田技研工業社とサイバーエージェント社からのゲストスピーカーと語らいながら、AI によるビジネス変換は未来の話ではなく、すでに現在進行形で行われているものであり、AI の徹底活用こそが、今後の競走優位性のカギとなることを会場に示しました。

    最後に沼本は、AI トランスフォーメーションを実現するための Microsoft の取り組みについて総括。AI 活用の鍵は技術だけでなく事業戦略、組織、文化の課題であり、Microsoft はそれらを解決するための知見を持っていることを強調。「少子化、高齢化の進む我が国にとって国民一人ひとりの労働生産性を上げることは至上命題。そこに AI が貢献する機会は大きい」と、ここに集った日本の企業が AI 活用をリードする未来への期待を述べて、セッションを終了しました。

    基調講演の視聴はこちら
    「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」

    Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。

    [製造] シアター セッション
    「産業用メタバース 人と AI がイマーシブル スペースとデータを活用し協働する未来の職場」

    製造シアターセッション

    製造のシアター セッションでは、日本マイクロソフト堀内が、人と AI とデータを活用することでどのような働き方が実現できるのか、最新の技術を紹介しながらセッションを行いました。

    まず、堀内は「我々はこのメタバースという意味合いを、次なるコンピューティングの世界、デジタルと人間が関わっていく新しい環境というような位置づけで捉えています」と説明。モバイル、クラウドが当たり前になってきている今、その周りに高速なネットワークのメタバース空間があれば、今まで情報処理しきれなかった膨大な 3 次元のデータを扱うことができるようになると言います。

    Microsoft では、メタバースの展開領域を「消費者用」「商業用」「産業用」の 3 つに分類。堀内は、Microsoft では産業用メタバースを、AI・シミュレーション・デジタルツイン・機械学習・クラウドなどのさまざまな技術を併せて実現する世界と捉えていることを解説しました。そうした世界が実現すると、データがシームレスに繋がることで自動化が加速し、アウトプットが容易になります。人は大切な判断や分析、表現に専念できるようになり、生産性の向上にも期待ができます。そして自動化が実現すると、その環境に合わせた新しい技術も必要になってくるかもしれません。Microsoft では、そういった環境に必要なテクノロジーも今後発表する見込みです。

    特に、Microsoft HoloLens 2 と AI を組みわせて空間を認識することによって、新しい働き方が可能になります。例えば、広い工場内のスペースをデータとして保持し、場所ごとに必要なデータを置くことが可能です。HoloLens 2 を着用した従業員が工場に入ると、それぞれの機械の前に立ち、操作方法などの欲しい情報を表示させることができます。また、わからない部分を「これは何?」と質問をすれば AI が回答。Microsoft では、すでにこうした技術を準備しているところです。高い専門性を持った熟練の従業員のように、誰でも作業ができる未来も、そう遠くはないかもしれません。

    最後に、堀内は「こういった技術はさまざま要素を重ね合わせて作っています。我々のみでは作れるものではありません。そのため今、さまざまな領域でパートナーシップを組ませていただいています。今後、皆様のお仕事の中でやりたいこと、必要な組み合わせをご提供できるようにしていきたいです。ぜひ『こういったことに困っている』というお悩みを教えていただければと思います」とセッションを締めくくりました。

    製造ブースでは、HoloLens 2 による現場の疑似体験を実施

    製造ブースで HoloLens 2 による現場の疑似体験をする来場者

    製造のブースでは、HoloLens 2 を使ってデジタルツインと連携した AI ソリューション Dynamics 365 Guides を、実際に来場者が体験できるコーナーが設けられました。

    製造業の現場では、人手不足に加え、長年エキスパートとして活躍していた方が定年を迎えていることにより、ノウハウが失われてしまうといった課題を抱えています。それらを HoloLens 2 と Dynamics 365 Guides、そして AI を組み合わせることで、解決することができます。

    ブースでは、工場が緊急停止した状況を再現。HoloLens 2 を着用して、ガイドに沿って障害が発生している箇所を探し、部品交換を行い、ラインが動き出すまでの操作を体験することができます。
    それでも問題が解決しない場合には、本社や専門家に Teams で画面を共有しながらの操作も可能です。日中、現場を担当していない方の夜間対応や、初めて現場に立つ方でも、分厚いマニュアルを見る必要がなく、ガイドに沿って視覚的に操作ができます。

    さらに、今後 Copilot が搭載されることにより、音声によってリアルに人と会話をしながら作業をしているような環境も実現します。製造上における課題を解決しながら、生産性の向上にも繋がることを、肌で感じられる展示内容でした。

    基調講演の視聴はこちら
    「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」




    関連ページ:Microsoft AI Tour〜ビジョンをアクションに移す

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