スペシャリストが挑戦する日本の課題解決とは?
日本マイクロソフト 品川本社のなかにあるマイクロソフトテクノロジーセンター (以下、MTC) は、品川に拠点を移してから 4 年目に入りました。MTC と聞くと、IT に詳しくないと接点がないと思ってしまうかもしれません。しかし、実はまったくの誤解です。
そこで MTC の全貌を解明するため、MTC、そしてサイバークライムセンターの日本サテライトのセンター長を兼任する澤へのインタビューを決行しました!
平野社長と同じ高校で過ごした青春とマイクロソフトとの出会い
まずは、澤さんの自己紹介からお願いします。
兵庫県伊丹市生まれで、千葉県で育ちました。実は日本マイクロソフトの平野社長と同じ高校に通っていました。私が 1 年先輩なのですが、そのころから彼は身長が 185 cm あり、とても目立っていましたね。縁があって、今でも個人的に仲よくさせてもらっています。
私が日本マイクロソフトに入社したのは、1997 年で、19 年目に突入します。日本マイクロソフトに入社する前は、第一生命保険の IT 子会社に在籍していましたね。金融系の会社で、プログラマーとしてキャリアをスタートしました。
しばらくして、Lotus Notes を触る機会がありました。それをきっかけに、グループウェアと呼ばれるソフトウェアのスペシャリストとして、マイクロソフトに入社することに。当時、マイクロソフトの Exchange は、まだいわゆる「メール サーバー」でした。私は Exchange のコンサルタントとしての役割も担っていて、最初に入ったのは MCS (マイクロソフト コンサルティング サービス) で、そこには 8 年ほど在籍していました。プリセールス SE やマネージャーを経て、現在はマイクロソフトテクノロジーセンター (以下、MTC) と、サイバークライムセンターの日本サテライト、両方のセンター長を兼任しています。
MTC って、なにをする場所?
MTC とはどんな場所なのでしょうか?
MTC という名前だけ聞くと、技術センターのような響きがありますが、実際は法人営業部隊の配下に置かれ、プリセールスの役割を担っています。
MTC の特徴として、特定の製品紹介をするのではなく、お客さんの経営課題や IT 課題に対して、マイクロソフトができることをわかりやすく伝えることをミッションとしています。
カスタマー ストーリーや、ストーリー テリングの部分も含まれているということでしょうか?
MTC が重要視しているのは、「エクスペリエンス = 体験」という部分です。このキーワードがあちこちに散りばめられています。たとえば、部屋の名前ひとつをとっても、「MEC (マイクロソフト エクスペリエンス センター)」が 3 部屋あります。
展開しているコンテンツも、「MSE (マイクロソフト ソリューション エクスペリエンス)」と名付けられていて、体験型としてコンテンツを展開しているのが特徴です。
MTC でのエクスペリエンスを通して、マイクロソフトのファンになっていただきたいんですね。「マイクロソフトは、こういう相談をするのがすごくいいところだよね」と体感をしていただいて、業務上困ったことがあったら、「とりあえずマイクロソフトに相談しよう」という気持ちになっていただくことを目指しています。お客様とは “一期一会” であることを意識していて、限られた時間の中で、どれだけ効果的にコンテンツをデリバリーすることができるのかを考えながら、日々展開しています。
「体験型」のコンテンツにはどんなものがあるのでしょうか?
一番わかりやすいのは「ハンズオン ラボ」です。実際にデモ機器をさわっていただきながら、Office 365 や Windows 10、Microsoft Azure というマイクロソフトの製品に触れていただく機会をご提供しています。また、実際に日本マイクロソフトのオフィスのなかを見学していただくオフィス ツアーも開催していて、ソリューションをフォーカスした話を織り交ぜながら、オフィスを体験していただいています。
MTC は日本だけの取り組みではないのですよね。
現在、全世界で合計 37 か所のテクノロジーセンターが稼働しています。具体的には、ノース アメリカが 17 か所、ヨーロッパが 11 か所、アジアでは 7 か所、ラテン アメリカで 2 か所。それぞれレギュレーションがある程度決まっていて、ハンズオンの部屋があることや、エンビジョニング センターというシアター タイプの部屋があること、そしてレセプションやカフェまで、必要な施設やサービスが決まっています。このレギュレーションはカバー範囲が広いので、比較的自由な使い方ができるのです。
MTC とサイバークライムセンターとのつながりとは?
日本の MTC を展開する中で、特にどんなところに注力していますか?
今はやはり「モバイル ファースト、クラウド ファースト」というテーマですね。体験型で幅広くコンテンツを実施することに尽力しています。たとえば、モバイルだと Windows 10 のハンズオンのコンテンツ。クラウドだと、データセンターを実際にお客様に見ていただいて、ご紹介するということも行っています。
そして、今とても引き合いが強いのは、セキュリティの分野です。セキュリティのコンテンツの中では、実際にハッキング能力がある担当者が、どのようにハッキングがおこなわれるのかを具体的にデモンストレーションして紹介します。
MTC とサイバークライムセンターはどんな関係があるのでしょうか?
サイバークライムセンターは、アメリカのマイクロソフト本社にあるデジタルクライムユニットでの活動があり、それは LCA – IP & ライセンス グループ コーポレートの配下に位置しています。そのため、弁護士などの法律のスペシャリストが、その中で働いています。あとはサイバー クライム自体のスペシャリストたちが、「悪玉ハッカー」といわれている人たちの活動を研究しています。場合によっては「テイク ダウン」という、無力化をさせる活動を行っています。
サイバークライムセンターは、現在世界中に 5 つの拠点があり、順次増やしています。その 5 つのうちのひとつが日本なのです。
セキュリティの話は、どんなお客様も無関係ではないので、私たちが実際にお客様に使ってほしい製品の訴求に合わせて、私たちのサイバー クライムへの対応を知っていただくことですね。結果的に、マイクロソフトへの信頼度をあげるという取り組みでもあります。
現在、MTC には何名のスペシャリストが在籍していますか?
日本マイクロソフトのメンバーは私を入れて 7 名、ベンダーさんが 8 名ほどです。あとは、協力会社さんのスタッフの方々にスピーカーをやっていただいて、ハンズオンのセッションを開催しています。
スペシャリストたちは、それぞれにスペシャリティがきちんとあるうえで、常に横も広げています。「それしかやらない」ということではなく、得意分野という柱がありながらも、ジェネラルに活動できるメンバーが集まっています。
どんなスペシャリストがいらっしゃるのでしょうか?
データセンターや ITIL (Information Technology Infrastructure Library) のマネージャーの資格を持っているクラウドやシステム管理においてのスペシャリスト、アプリケーション開発、デバイス、セキュリティ、そしてプロダクティビティ製品のスペシャリストが揃っています。複数のスペシャリストが合わさると、非常に強力なコンテンツになります。
MTC ではなにができるのか?
MTC が提供しているコンテンツについてさらに詳しく教えてください。
たとえばハンズオン ラボだと、ある仮想企業があって、どんなふうに普段の業務の中で Office 365 を使っていくのかというストーリーがあります。ハンズオン ラボの部屋にいくと、人名がつけられている PC があって、ハンズオンを行っているあいだは、「あなたは○○さんになりきってください」とお願いします。○○さんとしてメールを送る、あるいはチャットをするというエクスペリエンスをしていただきます。
あとは、Windows 10 のハンズオン エクスペリエンスを展開しています。Windows 10 が搭載された、タブレットやノート PC をさわっていただいて、OS だけをみるのではなく、デバイスの操作感を実際に体験していただいています。
スマートフォンやタブレットは、マイクロソフトの製品以外のものも用意されているのでしょうか?
すべての部屋に、必ず iPhone や iPad が置かれています。iPhone、iPad でどんなふうにコンテンツをみることができるのか、あるいはマイクロソフトの Enterprise Mobility Suite (以下、EMS) という製品がありますが、それを訴求するためのコンテンツとして、実際に Microsoft Intune を使って、iPhone をどんなふうに管理するのかを画面を通じて見ていただきます。お客様の環境に合わせながら、そこにマイクロソフトの製品がどうやってフィットするのかを、リアリティを感じながら体験していただける工夫をしています。
MTC は、企業規模や業種など、どの範囲までカバーしているのでしょうか?
「ほとんど全部」といっても過言ではないです。業種業態問わず、ありとあらゆる規模のお客様に対応することができます。
これはお客様にリアリティをもって聞いていただけるのですが、日本マイクロソフト自身をケース スタディにして、お伝えするのです。たとえば、日本マイクロソフトは、経理システムをどんなふうに構築しているのか、人事マネジメントをどんなふうにしているのかという話を、ベスト ケース スタディとして聞いていただくことができます。これは経営層のみなさまに、たいへんご好評をいただいています。
先日も、あるお客様がグローバルで会計システムを刷新するプロジェクトを走らせていて、テクノロジーのスペシャリストである私と、ファイナンスのスペシャリストで対応し、業務の進め方とそれを支える IT という観点で、お客様にケース スタディをお話しすることがありました。
MTC が日本の課題解決も考えていく
日本が直面している課題そのものは取り入れていくのでしょうか?
現在、その部分がメイン コンテンツのひとつの要素になっています。日本企業は少子高齢化に直面して、海外勢が力をつけ、今まで日本がトップだったところが、トップではなくなる事象も起きています。しかし、グローバルというキーワードに乗ったビジネスを展開していかないと、明るい未来はありません。
どの企業にも「やったことがない」とか、「ランゲージ バリアが高い」「カルチャーを埋めることができない」といった、さまざまな悩みがあります。それに対するひとつのお手本として、マイクロソフトを事例として紹介しています。
マイクロソフトはテレワークに力を入れていますが、MTC ではいかがですか?
テレワークに関しては、非常に引き合いがあるトピックのひとつで、MTC にもテレワークというキーワードで興味を持ってくださっている方がとてもたくさんいらっしゃいます。
テレワークには、少子高齢化というエイジングの問題と、海外からよく言われている、生産性がなかなか上がらないという問題が存在していますが、このあたりはどう考えていらっしゃいますか?
エイジングの部分では、シンプルに「使いやすくする」ということが大切です。「年をとってしまったので IT が苦手なんだよね」という方や「設定が難しくてできない」という方を減らしていく動きは、IT のファンクションの部分でカバーすることができます。
もうひとつの生産性や、その延長線上にある「労働力の確保」「働き方の多様化」というキーワードについては、一番下敷きになるのが、「セキュリティ」です。セキュリティをどうやって担保するのかをあわせて訴求していく。安心安全で、いつでもどこでも働くことができる環境というのは、実はマイクロソフトが出している製品群と、ちょっとしたお客さんの覚悟で実現することができるのです。
いままではレガシーなシステムを使うことによってセキュアにしていたけれど、柔軟性がなかった。そこで柔軟性を持つために、セキュリティを変えなくてはいけない部分を担保しながら、生産性をあげていくわけですね。そして現実にあわせて課題を解決していくコンテンツを MTC で提供すると。
まさにそうですね。たとえば、セキュリティ単体で考えるのではなくて、「なんのためのセキュリティなんだっけ?」という見方をする。セキュリティの担当者はほとんどの場合、企業内で IT 部門だけに置かれています。しかし実際には、外部からの攻撃、あるいは内部的な犯行において、原因となるのはどこかというと、実は人事制度や給与制度にある。そういう部分が原因になって、社員が不満を持ってしまい、犯行に及ぶなど、人事システム上の隙をついて中に入り込んでくるのです。
人事評価とセキュリティとの関係とは?
セキュリティの問題について、具体的な事例を教えてください。
ある会社では、「インターネットに接続していない端末で仕事をしているから大丈夫」という形で、セキュリティの設定していました。「インターネットに接続していなければアタックを受けないでしょう」ということですね。それはそれでよいのですが、「午後 8 時になると、その端末の電源をシャットダウンする」という決まりがあったのです。そうすると、午後 8 時以降はその端末で作業ができない。しかし、仕事が終わらなければ人事評価が下がるという宿命があるわけです。
そこでその端末を使う人が、どんな行動にでるかというと、USB にデータをコピーして、家に持って帰り、しっかりしたセキュリティ設定をしていない PC に USB を挿して作業をしてしまう。これが情報漏洩につながるんですね。
この場合、「USB を無効にすればいいのか?」という単純な問題だけでは解決しません。仕事が終わらないとなると、PC を持ち帰るかもしれないし、ハード ディスクを抜くかもしれない。さまざまな方法で抜け道を探しはじめることになります。つまり、制度から見直す必要があるということです。
テレワークという働き方は、その部分の解決策のひとつでもありますよね。テレワークによって、セキュリティが甘くなると思いがちですが、そうではないと。
そうですね、相関関係はそこにあるわけではないということです。制度面からきちんと見直していないから、結果的になんらかの変化をもたらすと、データが漏洩しやすくなってしまう。ツールの部分から見直すのではなく、社員がどうやって働いて、どうしたら不満なく働くことができるのかというブランド デザインをしなければいけません。テレワークのようなフレキシブルな働き方をしたい方は、優秀であることも考えられるので、そういう人材が集まる会社にするために、柔軟なワーク スタイルを取り入れる必要が出てきます。
大切なのは「活躍して認めてもらうこと」ができる環境づくり
社員が活性的に働くことができて、かつ会社が成長していくことができる、会社と社員が Win – Win の関係をつくるためのソリューションとして、MTC を使うことができそうですね。
最近、安倍政権が提唱している「一億総活躍」というキーワードがありますよね。この言葉の背景には、マイクロソフトが政府に対して「活躍」という言葉をしつこく言っていた経緯があります。
だれがどこにいて、どんな働き方をしても、それがきちんと活躍をしているとみなされて評価につながるとやる気につながる。活躍することができるのならば、わざわざ自分たちがセキュリティのインシデントを発生させるような行動に出ることはないという発想にもつながります。
社員の活躍が、きちんと認識される状態をどうやってつくるのか。これも MTC で出しているコンテンツのひとつです。
実際にマイクロソフトの社員も、どこでも仕事ができる環境で、どこまでいっても追いかけられるというイメージを持つ方は圧倒的に少なく、「自分が活躍する場所をどこでもつくることができる」というイメージですよね。
日本はどうしても、長時間会社にいて、上司の前でひたすら「仕事をしている姿を見せること」が大切だという慣習が根強くあると思います。それを全面否定するつもりはありませんが、そこまでしなくても、きちんと活躍している人を評価する風土にしたほうが、人材を確保することもできますし、これから社会的な課題が発生したとしても、企業活動を継続することができるでしょう。
テレワークも「人事部門が対応できないから実現しない」という声をよく聞きますよね。
働いている社員からすると、セキュリティをがちがちに固められてしまうと、その抜け穴を探したくなるものです。そこで、制度面と IT のツール面で、どんなふうにカバーしていけばいいのかを、アドバイスさせていただいています。
MTC では、お客様が「まだ気づいていないかもしれない課題」を明らかにしたうえで、それに対する解決策を提案する流れになるよう、メンバー全員が心がけています。
IT を使う可能性がある方は、MTC へお越しください
どんなお客様に MTC を利用してほしいと考えていますか?
MTC が対象としているのは、「IT を使う可能性があるお客さんすべて」です。特にセキュリティに「課題を持っていることがはっきりわかっている」「グローバルのビジネスを展開していきたい」、あるいは「新しく多様な人材の確保をしたい」というキーワードをお持ちのお客様には、ぴったりなコンテンツを手厚くご提供することができるので、ぜひお越しいただきたいですね。
また、現時点で組織が硬直化しているので「情報共有を強めたい」、マーケットの情報が入ってこなくなりつつあるので、そこをどうにかしたい、あるいはシステムのコストがあまりにもかかりすぎているので「コスト圧縮をしたい」など、ネガティブな課題が明確になっている方々にも、直接的な処方箋を提供することができます。
あとは、漠然とした不安をお持ちの方ですね。「うちの会社、すぐにつぶれることはないかもしれないけど、このままでいいのかな」と悩んでいる方にも来ていただくと、新しい気づきを得ていただけるでしょう。MTC は、企業の IT 担当者の方から、トップ オブ トップのエグゼクティブの方、たとえば大企業の社長さんや国会議員というクラスの方まで、全方位的に対応いたします。
グローバルな事例も、ぜひ聞きに来ていただきたいですね。「グローバル企業になる」という課題に直面すると、日本人はイメージが貧困な部分があり、「英語が話せなきゃいけない」「海外出身の人がいないといけない」という意識を持ってしまいがちです。もちろん間違いではありませんが、日本マイクロソフトを例に挙げると、TOEIC 200 点台の人もいるんですよね。外国人比率もそこまで高くありませんが、それでも立派にグローバル企業であると。そこで、マイクロソフトがどういうふうにやっているのかを、実際の事例としてお話しすることができます。
ビジネス部門の方々へもあらゆるソリューションを提供します
MTC という言葉を聞くと、テクノロジー担当や開発者の方、IT プロの方がメインなのかなと感じる部分がありますが、ビジネス部門の方にも関係があるのでしょうか?
どちらかといえば、現在、力を入れているのはビジネス部門の方々へのアプローチです。ビジネス部門の方は、ビジネスに対する課題を明確に持っています。しかし、たいていの場合、IT 部門の方とプロトコルが合わず、会話が成立しないということが起きてしまう。その場合の通訳として、私たちを使っていただくことができるのです。また、「働き方を変えたい」「制度を改革したい」という、まったく IT と関係ない部門のセクションの方々にもお役に立つことができます。
たとえば、人事制度を変えたいというお客様に対しては、人事部門のトップの方にお越しいただいて、日本マイクロソフトが、人事制度をどんなふうに考えていて、それをどうやって支えるのか、どう構築したのかという話をさせていただくこともできます。そのほかにも、学校や病院の方々もよくいらっしゃいます。
ビジネス部門でいうとマネージャーから担当者までいますが、特に「この方」というのはありますか?
特にはないですね。もし担当者の方がいらっしゃったら、「上層部にどうやって伝えればいいのか」という観点でコンテンツを提供します。その方だけではなく、その先にあるものをきちんと見越したうえで、コンテンツを提供することが可能です。トップだったら、トップダウンで指示を出しやすい状態、下の方々が具体的にイメージをできる状態で行動ができるようなコンテンツを提供します。
それはとても大事なことですね。「よいと思ったけれど、会社で話しづらい」という話をよく聞くので、そこを意識したコンテンツになっていると。
そうですね。「これはあのひとに聞かせなきゃ」という形で、どんどん紹介されて、さまざまな方がいらっしゃるというパターンが非常に多いです。コンテンツとして資料をお渡しする、ウェブ サイトをご覧いただく、あるいはイベントに来ていただくという、さまざまな形で共有しやすい状態をつくっています。
他に MTC に興味を持っていただきたいのはどんな方々ですか?
スタートアップのお客様もぜひ MTC を利用していただきたいですね。私はよくお客様に、シリコン バレーのスタートアップの働き方をご紹介します。実はシリコン バレーのカッティング エッジのスタートアップの人たちは、今までマイクロソフトからみると遠くにいました。だいたい向こうの人たちは Mac を使い、iPhone を使い、Linux を使っていたので。でも、今のマイクロソフトは、ひとつのチャネルとして見ていただいています。
個人的なエクスペリエンスとしても、スタートアップの顧問を何社か行っているので、アドバイザーとしてスタートアップ企業の考え方を理解しています。マイクロソフトと新興企業の考え方を合わせてお客様に伝える。レガシーなお客様にこういうことを伝えると、ショックを受けられ「まさかこういう話が聞けると思っていなかった」とおっしゃっていただきます。
マイクロソフトは大企業のお客様を持っているというイメージがありますが、クラウドの時代になって、規模は関係なくなっているということですね。
そうですね。マイクロソフトは大きい企業ではあるけれど、ディシジョン スピードがとても速いし、なおかつドラスティックに組織や、給与の提供の仕方を変えるなど、フレキシビリティがとても高いです。マイクロソフトの人事評価のやり方をスタートアップの人たちにすると、すごく参考になると喜んでいただけますね。
データの持ち方に関しても、たとえばマイクロソフトの中では、「Single version of the truth (データはひとつしか存在してはならない)」という厳密なルールがあり、それを基盤としてシステムが構築されているという話をすると、大企業からスタートアップの方々まで、すごく参考になるとおっしゃっていただきます。
スコアカード マネジメントのケース スタディとして
ビッグ データという言葉が世の中に出ていますが、データの解析や分析、そしてスコアカード マネジメントというものについて、どんなふうに考えていらっしゃいますか?
これはふたつの観点からお話しします。企業経営という観点において、まさにマイクロソフトがやっている活動でそのまま事例をだすことができます。スコアカードの考え方や、メトリクスの見方、経営判断にどうやってそれを活かすのかということをご紹介します。裏側という観点では、ビッグ データをどうやって取り込んで、どんなインターフェイスでそれを確認するのかという部分で、Power BI などのツールをご紹介することができます。
スコアカード マネジメントは、あらゆる会社がやろうとしてもうまくいかないという話を聞くのですが、マイクロソフトが長けている理由はどこにあるのでしょうか?
マイクロソフトは、「すべてのものをデータ化できる」と考えていて、それをきちんとデザインする担当がいるという役割分担と、目標を明確にすることが一番大きいですね。ビジョンを形にして、「これはやらなければならないこと」を考える癖がついているのです。
スコアカードのメリットは、問題点を一発で明らかにすることができることです。そして、だれがなにをしなければならないのか、オーナーシップを明確にすることができる。迅速で的確な決断をすることができるので、ビジネスのスピードをあげることができますね。たとえば、それが地域の問題なのか、会社全体のグローバルな問題なのかということが、スコアカードだとひと目でわかります。
悩みや課題は、MTC へご相談ください!
どんな方法で MTC を利用することができるのでしょうか?
日本マイクロソフトの担当営業がいれば、コンタクトしていただければすぐに予約することができます。
マイクロソフトの人間が近くにいれば、だれでもいいので声をかけていただければと思います。
興味がある方、ビジネスに課題を持っていらっしゃるという方は、担当を見つけたら、ぜひ相談してみてください。「MTC の澤」といえば、マイクロソフトのだいたいの人がわかっていますので (笑)。
MTC やサイバークライムセンターの今後の展望を教えてください。
2020 年に東京オリンピックを控えているので、すべての会社や官公庁の組織がそれに向かって目を向けています。
そのときに、正しくサイバー セキュリティについて理解をしていただくために、私たちは重要な役割を果たすことができると考えています。
マイクロソフトの場合、サイバー犯罪に対して対策を備えつつ、プロダクティビティも下げないという、すべてをカバーすることができる珍しい存在でもあるので、その部分をこれからさらにわかりやすく追求していくべきだと考えています。
最後にあらためて、お客様にはなにを伝えたいですか?
MTC は、すべてのお客様、セグメント、テクノロジー、そしてすべてのプロダクトをご紹介できる、非常に珍しい組織です。マイクロソフトに漠然と興味がある、もしくはほかの会社とどこが違うのかと疑問に思ったら、まず MTC にご相談いただければ、いかなる疑問に対しても、なんらかのお答えをいたします。言語化できない悩みや課題感を持っている方にも、それを明確にして、解決となるようなものをご提供できる組織になっています。
マイクロソフトは、Windows、Office の会社だというイメージで止まっているという方は、「マイクロソフトはここまでやるんだ」という新しい発見ができるセンターでもあります。具体的には、クラウドという観点から、Microsoft Azure、Office 365、Dynamics CRM Online、EMS ですべてカバーすることが可能です。
クラウド サイドでは、デバイス、Windows 10、そして Windows Phone に関してもコンテンツをご用意しています。セキュリティ に関しては、製品だけではなく、考え方も含めた形でご提供することができますので、ぜひ一度、MTC にいらしていただきたいと思います。
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