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IT 担当者が自ら提案するハイブリッド クラウド導入のメリット

今までは、サービスを作るにあたり、「自社でいくつものサーバーを用意して、運用する」というやり方は一般的でした。しかし、クラウドの進化により、インフラをクラウドへ移行することが可能になってきています。事業部門が直接インフラを管理することも多くなりつつある現在、IT 部門の方々が知っておくべきことはどんな知識なのでしょうか? インフラの一部やツールではなく、”ビジネス パートナー” として進化しているクラウドを導入するメリットは、どんな部分なのでしょうか。

そこで今回、インフラとクラウドのスペシャリストであるマイクロソフトテクノロジーセンター、テクノロジー アーキテクトの加藤にインタビュー。インフラとクラウドの方向性について課題を感じられている IT 部門の皆様にとって必見の内容となりました。

技術者から直接お客様の課題を解決するポジションへ

写真: 加藤 寛二

日本マイクロソフト
ビジネスプラットフォーム本部
マイクロソフトテクノロジーセンター
テクノロジーアーキテクト
ITIL Manager認定
加藤 寛二

まずは自己紹介をお願いします。

日本マイクロソフトに入社する前は、外資系のコンピューター メーカーで働いていました。日本マイクロソフトには、2001 年に入社したので、15 年目になります。エンジニアとしてのキャリアからスタートし、マイクロソフトに入社してからは、Premier サポート、MCS (マイクロソフト コンサルティング サービス)、STU (スペシャリスト チーム ユニット) での業務を経験しました。現在は、MTC での業務に携わっています。

テクニカル サイドから、徐々に営業の方に移られているのですね。

今は、お客さんと直接やりとりをすることが多いです。もちろん、テクニカルのバックボーンがあるからこそ可能な部分ですね。

MTC におけるロールは、ご担当ごとに異なりますが、加藤さんはどのようなロールになるのでしょうか?

役割分担的には、インフラ系です。CIO (最高技術責任者) の方とのお話や、お客様にデータセンターをご案内することもあります。

インフラの話が出ましたが、「インフラをクラウドに移していこう」というトレンドが、数年前から進んでいます。しかし、「社内のサーバーをクラウドに置き換えましょう」という話がメインで、本来クラウドはそういうものではないという文脈で語られることもありますね。お客様との対話や、セミナーを開催する中で、どのように感じますか?

オンプレミスの入れ替えで、現在クラウドはニーズがあります。ただ、従来のインフラだと追いつかない状況なんです。これは人によって異なる場合もあるのですが、たとえば、中小企業のお客様だと IT でサーバーを持っていること自体が厳しいという意見もあります。

お客様は、どんな観点で厳しいと感じられるのでしょうか?

私も MTC の検証環境で 20 台ほどサーバーを持っていますが、メンテナンスがたいへんなんです。サーバーを常に安定した状態で保っておく作業が、とてもたいへん。難しいとおっしゃられる方は、そのような状況下にいらっしゃることが多いですね。

クラウドの進化によって広がる IT 部門の立ち位置

社内サーバーを含めて、お客様が外に向けて使うサーバーのお話が増加しているのでしょうか?

そうですね。事業部門が直接サービスをやりたいというケースがどんどん増えています。従来は IT 部門がサーバーを用意していましたが、今は事業部門が直接用意してしまうことが多いんですよ。

サーバーは当然サーバー ルームにおくので、インフラ部門が必要でした。しかしマイクロソフトのクラウドにあれば、インフラ担当者が直接見ていなくても、スキルさえあれば出来てしまうということになります。

そのため、会社の IT を見ている方々は、子会社や事業部門の中で、どのようにして IT 部門の立ち位置を作るのかが課題になってきます。

社内にあるサーバーの管理は、IT インフラ担当者の役割でした。それを「どうやって 1 つのサーバーのプロパティとして管理するのか」という役割に変わってきているんですね。

そうですね、社内 IT もこれに当てはまります。今までインフラを持っていた社内 IT がクラウドを使うと、クラウド自体をマネージメントして、社内に提供しなければならない形に変わってきているんです。

そして徐々に、事業部門のかかわりが増えてきているんですね。

増えています。Microsoft Azure (以下、Azure) などは、インフラのイメージが強く、事業部門が個別に検証などに使われていることが多いですね。その状況を踏まえた IT 部門の方がいらっしゃって、「今はどんな状況ですか?」と聞かれることが多いです。

今までは社内インフラでサーバーがあったものが、お客様にアプリケーションとして提供していくものになってきているんですね。クラウドは今後、どんなふうに変化していくのでしょうか?

「安定」や「信頼性」はあたり前ですが、今は「インテリジェント クラウド」という言葉があります。もはやクラウドは単なるインフラやツールではなく、”ビジネス パートナー” なのです。Azure などのサービスがあり、いわゆるインテリジェント サービスもあると。非常にバラエティ豊かです。それをどうやって使うのかは、その部門の役割になってきます。

マシン ラーニングなどのアプリケーションもそこに入ってきますね。

立ち位置が変化してきているので、インフラは見なくてはいけませんが、より上のサービスも合わせて提供していくのが今のクラウドです。昔は、IaaS や PaaS などのわかりやすいサービス レイヤーでした。今は複雑になり、増えすぎてしまったイメージがありますね。

昔は、ITIL (IT Infrastructure Library) のようなサービス マネージメントが存在しました。サーバーやコンポーネントではなく、サービス自体をマネージメントしていたのです。クラウドにもまったく同じことが言えて、利用者はサービスをどう使うか、インフラとしての IaaS など、基本的にはそこで何をするのかが重要になっています。

プラットフォームをどうやって使うべきかを提案する

Azure を含め、提供するもの自体が変化しているのですね。提供するものは、今までの「プラットフォームのみ」から、どう変わってきていますか?

サービス自体への変化ですね。たとえば、Cortana Intelligence Suite というマイクロソフトのサービスでは、カメラで撮って画像を分析し、「そこに何があるのか」をすぐに伝えることができます。

従来はクラウドとして作り込む必要があったものが、写真 1 枚と簡単なアプリがあれば、分析してお客さんとやり取りできる。従来のインフラとはまったく異なるレベルのサービスです。

プラットフォームをどう使っていただくのかを、私たちが提案するんですね。お客様と日本マイクロソフトは、どんな形で変化する必要があるのでしょうか?

視野を変えなくてはいけないと考えています。「Windows サーバーが 10 個だといくらになる」や、「たくさん売れば勝ち」という考えではいけないですね。

そして最近は、ハイブリッド クラウドが広まってきました。今、マイクロソフトはオープン ソースを推しているのですが、クラウドとオンプレミス、お互いにとってよいものを作ろうとしています。

サーバーを売るだけではダメで、サーバーを売らないこともあるということですね。

オープン ソース系の話をすると、SQL Server も Linux でサポートされています。従来のインフラは Windows サーバーだったのですが、マイクロソフトが提供する基盤の上でオープン ソースが動く形になっています。

オープン ソースと Windows サーバーを提供して、オンプレミスとクラウドを結ぶためのツールもあるということですね。セキュリティの観点は引き続き重要と感じていますが、マイクロソフトではどんな取り組みをしていますか?

マイクロソフトは、多層的な観点でセキュリティに取り組んでいます。従来のファイアウォールだけを強化するのではなく、侵入されてからどうするのかを含めて考えるアプローチになります。一方でセキュリティをどうするのかは、きちんとしたフレームワークが必要です。その場合、ISO 認証が存在することもあるのです。フレームワークを見据えたクラウド プランニングを考えていくことが大切だと考えています。

マイクロソフトは、日本を含めた世界各地にデータセンターを置いています。これはお客様にとって、どんなインパクトがあるのでしょうか?

昔は、データセンターは国内に所在していなければならないという考えがありました。国内にあることで、データの保全の意味はまったく変わってくると考えられていたんです。オンプレミスの地続きとして、クラウドを使っていただくために、より身近にデータセンターがあった方がよいという考えも存在します。

ハイブリッド クラウドのメリットについて

なかなかクラウド導入に踏み出せないお客様は、ハイブリッド クラウドについて知っていただくのがよい方法かもしれません。

さまざまな立ち位置がありますが、「オンプレミスの基盤を、そのままクラウドに移行するのはどうなのか」という意見もあります。オンプレミスを生かしたまま、ビジネスをクラウドに吸収させて、全体につながる基盤をつくることが大切だと考えています。

「オンプレミスに残すべきもの」と、「クラウドに移行しても問題がないもの」は、それぞれどんなものが当てはまりますか?

以前は、「これはクラウドにおくべき」というものがあったのですが、今は「全部置いたほうがいい」ともいわれています。基本的にはどんどんクラウドに移行して、残さないといけないものだけを残すということになりますね。お客様の状況によって変わりますが、このような考えから入っていただいてもよいでしょう。

管理などの工数の上で全体のコストを考えると、必ずしもクラウドが高いというわけではないのですよね。

そうですね、管理面における課題はおのずと発生します。オンプレミスも、たとえば Windows Server が 100 台あったとして、監視のレベルが厳しくなってしまう。管理は非常に重要なので、基盤をクラウドに作ってしまう方法もあるのです。

会社によっては、会社の機密や個人情報など、クラウドへ移行できないものもあります。シームレスに、クラウドとオンプレミスを運用することによって、管理コストを抑えながら機密性を保つことができるのですね。今後、インテリジェント クラウドはどんな形で変化していくのでしょうか?

インテリジェント クラウドは、従来のクラウドと比べるとレベル感が異なります。今までは、インフラの一部で、ツールとしてのクラウドでした。しかし今は、”パートナー” ですね。ビジネスをやるために必要なものがすべて揃っている。なおかつ柔軟性があり、信頼できるものになりました。そのため、ビジネスの動きによって、クラウドの中身がどんどん変わっていくんです。お客様が、ビジネスで「こんなことをしたい」と思ったら、答えがここにある状態です。それが本来の意味でのインテリジェント クラウドだと考えています。

オンプレミスのサーバーで管理する場合、自由度や柔軟性にある程度の制限が出てきます。「拡張するには、サーバーの台数を増やす」「サーバーの負担を減らすには、バンドを増やす」ということが起こってしまう。クラウドでは課金は発生するものの、設定を変えることによって切り替えられるのですよね。

たとえば、5 年間オンプレミスにサーバーを持っているお客様が、「トータルで考えるとコストが安い」と考えられる場合があります。しかし、クラウドのリーチは、コスト面だけじゃないんです。

IT を担当される方にとって、「安定管理する」ところから、「ビジネス部門の良きアドバイザー」になりつつあるのですね。運用から提案側へ変化していきそうです。

従来は、「サーバーをいかに安定稼働するか」という部分が重要視されていました。クラウドのアーキテクチャがオンプレミスにも使えるようになると、ビジネス パートナーとしてどんなアドバイスをするのかを考えていく必要が出てきます。

デジタル化するビジネスにおいて、クラウドをどう使うのか

話の観点が少し変わりますが、なぜこのような変化が起きているのかというと、ビジネスのやり方が大きく変わってきていていることに起因します。一見デジタルに見えなくても、裏側は、デジタルで動いているものも増加していますよね。

ユーザーの方々にとっては、デジタルであることがあたり前になりつつあります。ビジネスの成長を止めないためにも、今後ますますデジタルへの進出は欠かせなくなるでしょう。

実際に、「管理するための IT」から、「新しいビジネスを作る」ことを課題に感じていらっしゃるお客様が増加しているのも事実です。

サーバーは、今まで IT 部門を通さないと運用するのがたいへんでした。クラウドがあると、よりいっそう手元に IT が届きやすくなります。昔は、キャンペーン用の Web サイトを作るにも苦労しましたが、今は短い時間で立ち上げることが可能です。

IT 部門の方からすると、覚えることが多く、幅も広がっています。しかし、それはシステムがボトルネックになりづらくなっているという意味でもあります。アイデアを実現するにはどうするべきかを、より注力して考えることができるんですね。

さまざまな提案ができるようになってきているので、IT 部門の方々にとってはチャンスでもあるんですよね。

MTC のセッションでは、お客様にデータセンターをご案内しています。

クラウド プラットフォーム化が可能な領域の中で、ベースのデータセンターをどうやって変革するのかをお客様に提案しています。実際にマイクロソフトのデータセンターをお見せするツアーも開催していて、とても好評です。

マイクロソフトのデータセンターにおけるセキュリティの高さを考えると、自社で運用するよりも、クラウドに預けたほうが安心だと感じます。

お金を銀行に預けるのと同じ発想と考えていただけるといいですね。タンス預金をすると、盗難や火事などの心配をしなくてはならない。しかし銀行に預けることで、そのような不安から逃れることができます。クラウドも考え方としては同じで、もはやクラウドはインフラ化しているんです。

実体がわからないビルの一角にデータセンターがあると、さすがに心配だと感じられるお客様もいらっしゃいます。そこで実際のデータセンターがどれほど安全な場所で、厳重なセキュリティで守られているのかを目で見ていただくのですね。

データセンターの実体や、「クラウドはよくわからない」というお客様も多いので、「こういう場所で物理的にしっかりやっている」ということをお見せするんです。

あたり前ですが、データセンターでは、温度やパフォーマンスの管理をして、Windows の更新プログラムも最新のものが当てられます。

そうですね。お客様のサーバーは、非常に厳しいセキュリティで守られています。どのくらい厳重かというと、マンションを借りたとします。部屋を安全に改造して、その中に金庫を置いているような状態です。これは通常の部屋以上の改造で、もう中に入れないというレベルです。

今後、クラウドのプラットフォームも非常に変わりますし、機能も追加されていきます。マイクロソフトはその面で、お客様のビジネスを手助けできる存在でありたいです。

私たちだけで全体をカバーするのは難しい部分もあるので、パートナー様と一緒にインテリジェント クラウドを、どんな価値があるのか判断し、提供していきたいです。

ハイブリッド クラウドついての悩みや課題をお聞かせください!

インフラからインテリジェント クラウドになかなかいけない、イメージが掴みづらいと思っている方々に向けて、アドバイスはありますか?

インフラの課題は、データの量がどんどん膨れ上がることです。そして日本で多いのは、地震などの災害時の継続性ですね。たとえば、データセンターが東京にあり、BCP (事業継続計画) や DR (デマンド レスポンス) を実現しようとすると、インフラに膨大な投資が必要になってしまいます。

そのような局面で、クラウドを保険のように扱っていただくことも一案です。データが膨れ上がる中、ディスクの増設が難しい場合、クラウドに移行できるものは移す。そうすることで、インフラにおける従来の課題の一部を解決できます。

インフラの観点からステップ アップしたい場合、次に何を考えるとよいのでしょうか?

ここはいわゆる IaaS から PaaS、SaaS の部分なんですが、いわゆるオープン ソース系の部分はバリューを出しやすいと考えています。なるべく OSS などの部分をサポートしてあげることで、開発側が必要な場合、そのような環境を用意してあげることが大事です。そうすると、おのずとインフラの価値も上がってきます。

オンプレミスでやろうと考えていたものを、すでにパッケージされている Azure Marketplace にあるものを使うことで、比較的楽に開発することが可能です。これからトライアルしたい方々は、まず何をすることが必要ですか?

現段階で、何が課題として存在しているのかを検討してみていただきたいです。インフラの課題、またはビジネス部門の課題ともなり得るので、それらを巻き取るようにして考えていただくと、両方における価値観が変わってくるのではないでしょうか。

今までインフラの課題は「安定させる」という部分でした。これからは、何かを実現するために IT を使っていくことになりそうですね。

そこへ到達するまでに、社内の説得が必要になると考えられます。「クラウドは、どこにあるのかわからない」と感じているビジネス部門の方もいらっしゃいます。そこの意識を変えていくために、やはり何が本当の課題なのかを考えてみることが重要ですね。「この会社にとって何をするのがよいのか」を、インフラを担当される方から発信できるようになると、変わってくるのではないでしょうか。

課題や悩みがある場合、ぜひマイクロソフトの営業やパートナー様に相談していただきたいです。

今はあらゆることが可能になっているので、本当の意味での価値の創出を、ぜひお手伝いさせてください。

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