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「リアル」と「バーチャル」の融合によるビジネス価値の創出が競争優位性のカギに~有識者による誌上講義 – 第 1 回 伊藤 元重教授

第 1 回 伊藤 元重教授

「デジタル トランスフォーメーション」の推進に際しては、一般にデジタル技術を活用したバーチャルな世界を通じた新たなビジネス価値の追求に議論が向きがちとなる。しかし実際のビジネスにおいては、リアルな世界は厳然として存在し続け、決してすべてがバーチャルによって代替されることはない。

重要なのは、リアルとバーチャルを相互補完的に捉え、両者の融合のうえに新たなビジネス価値を目指していくことだ。

東京大学名誉教授/学習院大学 国際社会科学部 教授
伊藤 元重 氏

プロフィール
東京大学経済学部経済学科卒業。米国ロチェスター大学で経済学博士号 (Ph.D.) 取得。専門は国際経済学。

東京大学大学院 研究科長 (教授学部長)、総合研究開発機構 理事長などを歴任し 2016 年から現職。東日本旅客鉄道株式会社 社外取締役も兼任している。

政府機関においては税制調査会 委員、復興推進委員会 委員長、経済財政諮問会議 議員、公正取引委員会 独占禁止懇話会 会長を務める。テレビなどのメディア出演も多数あり。

■すべての企業はデジタル技術から逃れることができない

すべての企業はデジタル技術から逃れることができない――。これが大きな前提となりつつあります。産業分野を問わず、あらゆる企業にとって、クラウドはもちろん、IoT や AI (人工知能)/ディープ ラーニング (深層学習) といったデジタル技術を駆使し、自社の製品・サービスの変革を進めることなくして、今後の市場において競争優位性を確保していくのは難しいといっていいでしょう。

特に注目すべきは、技術革新のスピードです。かつて技術は、研究室でじっくりと時間をかけて開発されたのちに登場し、世の中に徐々に伝播するというプロセスを踏んできました。しかし、デジタル技術に関しては、研究・開発と利用が同時並行で進み、利用の結果が直ちに研究・開発にフィードバックされる。つまり利用が技術革新を促すかたちで、技術が急速な発展を遂げていきます。それだけに、デジタル時代では、そうした技術動向を常にウォッチし、キャッチアップしていく必要があります。

こうしたデジタル技術を最大限に活用して成功を遂げている代表的な企業の 1つが Amazon です。周知の通り Amazon は、顧客の嗜好に沿ってパーソナライズされた商品の E コマース サイト上での提案や当日配達サービスなどを武器に、国内の小売市場においても圧倒的な競争優位性を築きあげています。同社の躍進は、既存の小売業に大きなインパクトを与えています。そのキーワードは「代替」です。つまり、「店舗で商品を購入する」という行動が、「店舗に行かずに Amazon のサイトで商品を購入する」という行為に代替されているわけです。

■デジタル技術の向き合い方が業績を大きく左右する時代が来た

こうした状況を受けて、店舗をベースにビジネスを展開している小売業は、生き残りに向けて、どういう施策を検討すべきでしょうか。例えば、自社サイトなどでオンライン ショップを運営する方法もあれば、Amazon など既存の E コマース サイトに出店する方法も考えられるでしょう。それはそれで有効なアプローチとなり得ます。しかし、強調しておきたいのは「ネット通販が店舗機能を完全に代替することはない」という点です。

なぜでしょうか。ネットのバーチャルな買い物ではリアルな買い物体験のすべてを代替できないからです。そもそも人間は群れの中で生活している生き物です。多くの人が集まる百貨店の売り場に出向き、あれこれと商品を手にとって回ったり、売り場を歩いて店員と会話したりといった行為自体を楽しんでいる人も多いはずです。

つまり、オンライン ショップの運営やマーケット プレイスへの出店などにより、小売業が顧客に対し自宅に居ながらにして買い物ができるといった価値を提供する一方で、リアルな店舗でしか提供できない顧客価値を追求していくことも重要な施策となるわけです。

以上は小売業の例ですが、いずれの業種においても、「リアルの世界における自社の強み」を再確認しながら、バーチャルな世界も含めた双方のチャネルで顧客価値を追求していくことが重要です。

さらに一歩進めると、バーチャルとリアルを最適に組み合わせ、より高度な顧客体験を提供していく世界も広がってきています。例えば「ポケモン GO」は、リアルな空間にバーチャルな空間を重ね合わせるという AR (Augmented Reality:拡張現実) の技術によって、リアルおよびバーチャルのどちらか一方では実現できない世界を、スマホ上に出現させることで多くの利用者から支持されました。これはデジタル技術を活用したバーチャルとリアルの融合による新たな顧客価値創出に向けた 1つのヒントになるはずです。現に全国の店舗をゲームの道具などが手に入る「ポケストップ」として登録した日本マクドナルドは、これを大きなきっかけとして、業績を急回復させています。

■日本企業は有力ベンダーの情報奴隷になってしまうのか

一方、デジタル技術・サービスの世界でチャネル リーダーとして圧倒的な地位を確立しているのが、Google、Amazon、Facebook、そして Apple という、いわゆる“GAFA”です。これら企業における優位性の本質は、インターネットの利用により蓄積される膨大なデータです。そうしたいわゆるビッグ データの分析により、様々なビジネス、経済上の価値創造が可能になります。

こうした状況を受けて日本の経営者からは「日本企業は GAFA の情報奴隷になってしまうのではないか」と危惧する声もあがっています。これに対し私自身は、そこまで悲観すべき状況にあるとは考えていません。確かに、既存ビジネスの世界で一定のポジションを得ている日本企業が彼らと競い、デジタル技術・サービスの世界でチャネル リーダーになるというのは難しいかもしれません。しかし、GAFA の持つサービスや環境を最大限に利用しながら、成長戦略を描いていくことも可能だと思います。

そのキーワードとなるのが「補完」です。彼らが保有し、その強みとなっているのは、ネット検索やインターネット ビジネスで蓄積されているバーチャル データ。これに対し日本企業のビジネスの現場には、リアル データというべきものが蓄積されています。製造業なら工場設備の稼働にかかわるデータ、小売業なら POS データ、医療機関であればレセプトやカルテ情報。こういったデータが各現場において保有されているでしょう。これこそが日本企業の強みであり、リアルなビジネス活動を通じて得られたそうしたデータと、先ほどの GAFA が提供するバーチャル データの双方を組み合わせて分析するなど補完的に活用することで、決してバーチャル データのみでは得られない、現場に即した価値の創出を目指していけるはずです。

また、別の観点から GAFA を捉えてみましょう。確かに GAFA はそれぞれが独自のイノベーションの創出を通じて、現在の地位を獲得しています。しかし、10 年先、20 年先まで、チャネル リーダーであり続けているかは、わかりません。

先ほどの Amazon を例に考えてみましょう。同社はラストワンマイルの物流力による当日配達サービスの実現をはじめ、これまでにない価値を消費者に対し次々と提供することで躍進を遂げてきました。

ここで考えたいのは、「当日配達」という価値の新鮮度です。注文したその日のうちに商品を実際に手にできる。確かにこれは、消費者にとっては非常に便利です。しかし問題はそれが常に最優先される普遍的な価値であり続けるかという点です。つまり、それが当たり前になってきたとき、あるいは早く商品が届くこと以上の価値を優先するようになったとき、新たな価値を一企業が提供し続けられるかどうか。もちろん Amazon は、次々とイノベーティブなサービスを開発していますし、優れた企業です。しかし現代においては、消費者の求める価値は多様であり、単一企業が消費者に対する影響力を独占的に確保し続けることは、簡単ではありません。地域密着の店舗にしかできないサービスもあるかもしれません。このように独自の価値を提供し続ければ、GAFA は決して怖い存在ではないのです。

■テクノロジーの視点から自社を捉えれば、新しい方向性が見えてくる

最後に、デジタル トランスフォーメーションを推進する際の組織についても触れておきたいと思います。よく言われるように「トップ自らが変革に向けた強固な意志を持って取り組みを牽引していくこと」、そして「現場がトップの意志を受けてプロジェクトを推進できる環境の整備」はもちろん重要でしょう。

しかし、同じ会社の中で、同じ文化のもとで仕事をしてきた人たちが集まって議論を重ねても、そこからこれまでにない新たな発想を導き出していくことは、やはり難しいかもしれません。そうした状況を打開するには、オープン イノベーションの考え方を導入すべきでしょう。然るべき知見を有する外部の専門家などを積極的に議論に迎え入れることが、新たな発想を喚起し、有効なアプローチとなるでしょう。

デジタル技術の革新は、現在、世の中の潮流の中心にあります。そうした意味で、デジタル技術の活用は、今や企業の存亡を左右し、経営の中核にかかわる問題となりつつあります。これまで企業では、そうした技術の話は専門部署が扱う問題だと思われてきましたが、今日では経営者自身がテクノロジーに関心を寄せ、そのうえで自社のビジネスのあり方を検討していくことが不可欠となっています。経営の要諦は、常にあるべき姿を考え、しなやかに“変化”していくこと。テクノロジーという変化の中心を見ることによって、これまでに見えなかった価値や目指す姿がよく見えてくるかもしれません。

今回の講義のまとめ

  • バーチャルとリアルを相互補完関係で捉えて価値創出を目指す
  • 現場に蓄積されたリアル データの活用が成長戦略のカギ
  • オープン イノベーションの導入で新たな発想を喚起する

関連リンク

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