デジタル技術で次世代の経営はこう変わる! 有識者による誌上講義
現在、あらゆる業界で最新のデジタル テクノロジーを活用した新たなビジネス モデルが、新市場を創出し始めています。突然現れた新しい競争相手が、それぞれの業界における既存のビジネス モデルを大きく変えてしまうケースも少なくありません。
こうした中、次世代のリーダーすなわち勝ち組企業は、さまざまな形でデジタル トランスフォーメーションを推進しています。そこで本連載では、有識者にインタビューし、これからの企業に必要なグローバル化や、そこに必要なデジタル トランスフォーメーションへの取り組みなどについて語っていただきました。
第 1 回 東京大学名誉教授/学習院大学 国際社会科学部 教授 伊藤 元重 氏
「リアル」と「バーチャル」の融合によるビジネス価値の創出が競争優位性のカギに
「デジタル トランスフォーメーション」の推進に際しては、一般にデジタル技術を活用したバーチャルな世界を通じた新たなビジネス価値の追求に議論が向きがちとなる。しかし実際のビジネスにおいては、リアルな世界は厳然として存在し続け、決してすべてがバーチャルによって代替されることはない。重要なのは、リアルとバーチャルを相互補完的に捉え、両者の融合のうえに新たなビジネス価値を目指していくことだ。
第 2 回 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 (ICS) 教授 楠木 建 氏
イノベーションに向けて頑張れば、頑張るだけイノベーション創出から遠ざかってしまう
デジタル技術を活用した「イノベーション」の創出が、企業が生き残っていく上で不可欠なテーマになりつつある。しかし、イノベーションを誤解すると、違う方向に舵を切ってしまうことになるため注意が必要だ。イノベーションの本質は、価値次元そのものの転換にあり、既存の価値次元上での「進歩」とは元来別個の現象である。企業はそうしたイノベーションの本質を踏まえた上で、進歩の促進とは異なる施策を検討することが肝要だ。
第 3 回 東京大学 先端科学技術研究センター 工学系研究科航空宇宙工学専攻 (兼任) 教授 西成 活裕氏
仕事の間の “ゆとり” が生産性向上のカギ。IoT が、その可能性をさらに広げる
働き方改革が国を挙げた重要施策となっている。企業には、生産性を向上し、社員のワークライフ バランスを実現する施策が求められているが、その有効なヒントとなり得るのが、蟻や車の移動様式の検証を経て確立された「渋滞学」の考え方だ。これを IoT と組み合わせることで、これまでにない働き方を具現化することが可能になるという。
第 4 回 株式会社アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト 内山 悟志氏
変革を促進する特区戦略と 5 つのポイント。投資に対する考え方も抜本的な見直しを
企業の中には、デジタル トランスフォーメーションへの取り組みが進まず悩んでいるところも多い。アナリストとして第一線で活躍している内山 悟志氏は、変革の推進のためには、特区戦略で最初の壁を突破するとともに、「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」のあらゆる側面で変革を進めることが求められると説明する。
第 5 回 国際大学 GLOCOM 客員研究員 (NTT コミュケーションズ株式会社勤務) 林 雅之氏
デジタル化を支えるシステムや組織は、明確なビジョンを描くことなくして成功なし
デジタル トランスフォーメーションが企業戦略の中心となるに伴い、重要となってくるのが、新たなビジネス戦略を支える IT システムや継続的なデジタル化を推進する組織だ。今回は、「デジタル化に伴って何が変わり、それに対してユーザー企業や IT 企業にはどんな対応が求められるのか」を中心に考察していく。
第 6 回 名古屋商科大学大学院ビジネス スクール アントレセンター Director 教授 博士 (学術) 澤谷 由里子氏
デザイン思考による "よそ者" の視点が既成概念を崩し、企業変革を成功に導く
既存のプロセスや既成概念にとらわれないイマジネーションなくして、変革を成功に導くことは難しい。しかし、成熟した企業・組織では価値観が均質化しており、これまでにない発想を創出することは難しい。こうした課題の解決策の 1 つがデザイン思考だ。それを活用し、変革に意欲的な社員の意見を取り入れるような企業風土をつくるにはどうすれば良いのか。
第 7 回 サイバー大学 IT 総合学部 教授 勝 眞一郎氏
「変わり続けること」がビジネスの前提条件。経営層自らデジタルに挑み、変化を牽引せよ
企業が成長し続けるには、絶えずゴールを再定義し、経営資源の組み直しを行うことが肝心だ。なぜなら、顧客や市場は変化するものである以上、変わり続けられない企業は、求められる価値を提供できなくなるからだ。「デジタル トランスフォーメーション」は、そのための手段にほかならない。目的と手段を正しく捉え、デジタル活用で成果を上げる秘訣とは。
第 8 回 東京大学 大学院 教授 森川 博之氏
デジタル技術を駆使した現場改善の積み重ねが大きな変革に結びつく
デジタル トランスフォーメーションと聞くと、欧米の先進企業や財務的に優れる大企業が取り組むものだというイメージを持つ人も少なくない。しかし日本企業、特に中堅・中小企業や地方企業にこそ、大きなチャンスがある。なぜ日本企業に大きなチャンスがあるのか、またそのチャンスをつかむためのポイントはどこにあるのだろうか。
第 9 回 都築経営研究所 代表取締役 元ローソン・ジャパン社長 都築 冨士男氏
苦境に立つ日本の農業もデジタル技術で再建できる
経営難だったローソン・ジャパンを成長軌道に乗せた都築 冨士男氏が、現在取り組んでいるのが、日本の農業の再建だ。同氏は「最新のデジタル技術を駆使することで、農家の生産性を飛躍的に向上させることが可能」と指摘する。日本の農業が歩むべき道筋、さらにはデジタル トランスフォーメーションが本格化する時代に向けた経営者への提言を講義する。
第 10 回 株式会社松井オフィス 代表取締役社長 (元 良品計画 会長) 松井 忠三氏
勝つための構造を見いだして「仕組み」を作れば業績は必ず伸びる
生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画。2001 年に赤字の同社社長就任し、V 字回復の再生を果たしたのが松井忠三氏だ。同氏は、改革を成功に導く秘訣として「仕組み作り」を掲げる。「最短距離に見える選択肢の先に成功はない」と強調する同氏に、経営環境が激変しデジタル化が進む現在の状況の中で、企業が勝ち残るための条件を聞いた。
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