メイン コンテンツへスキップ
業界

GIGA スクール構想が進まないネットワーク課題

GIGA スクール構想の整備が進み、ようやく授業で活用できる環境になってきました。 学校現場から多くの悲鳴が聞こえてきています。真っ先に挙がってくるのは「動かなくて授業で使えない。」という声です。今回はこの「動かない」について考えていきます。

学校で PC を利用する際、動きが遅くて困ったご経験はないでしょうか。なぜ家の PC だとストレスなく動くのに、学校のはこんなに遅いのでしょうか。これではせっかくのクラウドも価値が半減してしまいます。多くの場合、これはネットワークが原因です。
では、なぜネットワークが遅いのでしょうか。もしかすると、今のネットワークの設計が理由かもしれません。

これまで、多くの教育委員会や学校では「センター集約型」のネットワーク設計になっていました。これは、「外へ出るための道路が 1 つしかない街」のようなつくりです。唯一の出口に関所を設けることで、外部への情報漏洩を防いだり、外部からマルウェア (ウィルスなど) が侵入することを確実に防いだりしようという考え方です。

確かに、外に出るためには必ず関所を通らなければならないというのはセキュリティ面ではわかりやすい設計なのですが、外へ出るための道路が細かったり、関所で一度にさばける数が少なかったりすると、たちまち渋滞してしまいます。これが今、多くの学校でよく起きていることかもしれません。実は民間企業でも同じ問題が起きていました。新型コロナ ウィルス蔓延に伴い急激にリモートワークが増え、回線が渋滞して満足に仕事ができないことが話題になっていました。

教室でPCを操作する生徒と教師

渋滞を防ぐために、外へ出るための道路を太くしたり、関所で一度にさばける数を増やしたりするといった対策が考えられますが、これには高い費用がかかります。
それに代わる考え方として「街から出る道路の数を増やす」という方法が昨今注目を集めています。(「センター集約型」に対して「ローカル ブレイクアウト」と呼ばれます) つまり、各学校に比較的安価なインターネット回線を設け、クラウドを利用する形です。それぞれの回線は細くとも、その回線を利用するのは自校だけになるので、渋滞を避けることができます。

学校によっては、すでにローカル ブレイクアウトの形にしているにもかかわらず、まだ遅いとおっしゃる方も多いかと思います。それはもしかすると、各学校からインターネットに接続する際にプロキシー サーバーを経由するなど、関所を設けているために遅くなっているのかもしれません。せっかくローカル ブレイクアウトで、自分の学校からインターネットに直接通信する回線を設けたのに、それを関所で遅くしてしまっているのです。では、単に関所をなくしてしまえばよいのでしょうか?

そこで気になるのがセキュリティです。これまで「関所」で集中的に行っていたセキュリティ対策を各学校で同様に実現できるのでしょうか。マイクロソフトの提供するセキュリティ製品群を利用することで、今以上に安全性を高めた上で高速なインターネットを利用することができます。

Microsoft 365 A5 と呼ばれるセキュリティ製品群には、なりすましや不正アクセス防止 (Azure Active Directory Premium)、マルウェア防止 (Microsoft Defender for Endpoint)、メール添付ファイルのスキャンと不正サイトへのアクセス防止 (Microsoft Defender for Office 365)、情報漏洩防止 (Azure Information Protection) などが含まれています。これまでネットワークの「関所」で行っていたことをクラウドで行うことにより、回線の負担が大幅に軽減されます。画像は実際に上述の Microsoft 365 A5 で整備している A 学校の回線テストの画像になります。以前は誰か 1 人でも動画を見ると学校全体のインターネットが止まり、速いときでも 5Mbps 以上は出なかったそうです。

マイクロソフトのセキュリティを利用することで制約のないインターネット環境を以前よりも安価に整備できました。さらに外に持ち出して、自宅等で安全に使うことも可能になり、児童生徒の授業や先生たち働き方の両方が劇的に変わったと言われています。次回はこのあたりを深く掘り下げていければと思います。

インターネットの回線速度が5Mbpsから670Mbpsに変わったことを示す図

画像は A 学校のスピードテストの数値。先生方からは「どんな活動でも遅さを感じない。」とストレス無く教育活動に取り組める環境が整備できたと喜びの声をいただいている。