メイン コンテンツへスキップ
業界

HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality を活用し、学生が遠隔支援やオープンキャンパスへの対応、後輩への技の伝承を実施

さまざまな業界に直結した専門教育を実践している滋慶学園グループ。1976 年に歯科技工士の専門学校を開校して以来、500 を越える職種のスペシャリスト達を輩出してきました。

滋慶学園グループの中でも、音楽やダンス、デザイン、IT、動物、自然、放送、製菓、スポーツ、医療といった幅広い専門教育を展開しているのが滋慶学園 COM グループです。日本で初めてペットなどの動物系やゲームクリエイターの専門学校を立ち上げ、近年では e スポーツ のプロゲーマーや、ドローン パイロット、セキュリティの専門家であるホワイトハッカーなど、産業界とも密に連携をしながら、時代の最前線で活躍する人材を輩出しています。

滋慶学園 COM グループは、2022 年度に産学連携プロジェクトの一環として、学生が HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションを活用し、遠隔支援やオープンキャンパスへの対応、後輩への技の伝承といった取り組みを実施しました。

Dynamics 365 Guides とは、Microsoft HoloLens を用いた作業ガイドを 3D の世界で構築できるアプリケーションです。PC 上でのオーサリングツールによって、3DCG作成やプログラミングのスキル無しでガイドを作成できます。

東京デザインテクノロジーセンター専門学校 教務 渡辺

「HoloLens 2 と Dynamics 365 Guides を使用して問題解決のためのコンテンツ制作を行うということで、学生からは様々なアイデアが飛び出しました。尖ったアイデアや面白いアイデアの企画は、最新技術を使用したプロジェクトは、時として大変難しい技術を擁することがあり、具現化するチャンスを得られる学生さんは限られてしまいますが、Dynamics 365 Guides はそれを見事に解決してくださいました。今回は学生が日々学校で学ぶ中で気づいた、等身大の問題を見事に解決している2つのプロジェクトをぜひご覧いただければと思います。」

京都デザイン&テクノロジー専門学校 教務 藤田

「MR 機材である HoloLens 2 を京都 TECH では、1 年生から積極的に触る機会を設けていました。しかしながら、1 年生なのでまだまだ技術力が追いつかず、自分達にアイデアがあっても、それをすぐに形作ることには難しさを感じていました。そのような中、Dynamics 365 Guides はこの問題を解決してくれました。学生たちは使用方法をすぐに吸収し、放課後残って作業する機会が多くなりました。すぐに考えたことをカタチにすることができるので、非常に楽しみながらコンテンツを制作しており、学内の多くの課題解決にもつながりそうです。ますますの活用を期待したいと思います。」

ここでは、東京デザインテクノロジーセンター専門学校と京都デザイン&テクノロジーセンター専門学校の学生の事例を 4 つご紹介いたします。

①「教室の片付け手順」の制作

日ごろ使っている教室の一つである 203、204 教室の間の仕切りの展開と収納方法の手順を制作しました。この作業は慣れていない人が作業するとなると 10 分近くかかり、授業間の小休憩が5分ほどしかない中この作業をしなければならないということで授業時間の圧迫の原因となっています。これらを解決するために、全く知らない人でも HoloLens 2 をかければ、ホログラムを通して一人約 5 分でこれらの手順を完遂できるようなものを制作しました。

・制作者:ゲームプログラマー専攻 2 年(制作時)田中さんのコメント

「まず制作するにあったて、手順作成する問題自体をよく知っているといえ、ほとんど感覚で作業していることが多かったので、どのようなところが他の初めての人にとって難しいのか確かめなければいけないという、入念な準備が必要でした。
また、ホログラムを配置する関係上、現実のものとホログラムのものにずれがあったら意味がなくなってしまうのでホログラムを一つずつ配置するのにも慎重に行いましたが、作業自体は直感的にできて快適でした。
完成した際に他の人にも試してもらった時に「いいね」と言われたことはもちろんうれしかったですが、完成した手順を私自身が確かめてみた時の達成感はとてもよく、全体を通し、面白いプロジェクトだったと思いました。」

②「デッサン授業の問題解決」制作

デッサン初心者でもオンラインでデッサンが行える、画像解説付きのデッサン講座をガイズで制作。用意する物や描く際の注意点、描き方等を全てイラスト付きで説明しており、文字数を少なくして一目で内容がわかるように工夫をしています。

この内容を作ろうと思ったきっかけは、「コロナ禍におけるデッサンのオンライン授業がとてもやりづらかったから」。自宅でデッサンを受講した際に、デッサン初心者の方は持っている道具の使い方も、デッサンのやり方も何もわからないことがほとんどです。先生との連絡手段も限られ、制作した作品に対してアドバイス等をいただく時はコメントのみで理解するのにとても困るという声も多くありました。

それらを HoloLens 2 の共有機能を使用することで、解決できないかを考案しました。さらに、デザイン科などに所属していなくても、興味があれば、この「デッサン初心者に向けたデッサン講座」を使用することで、デッサンの入り口に立つことが可能です。

・制作者:スーパーゲームクリエイター専攻 2 年(制作時)鈴木さんのコメント

「一目で全ての情報を伝えるにはどうすればいいか」という点は非常に苦心しました。
デッサンはたくさんの画材を使用するため、専門的なことまで細かく説明することができません。初心者の人には何を伝えるべきか、どう伝えるか、何が必要か等を考えながら最後まで制作を続けました。時には、自身が初心者の時に考えていたことや行動等を記憶の底から引っ張り出したりもしました。作品で使用しているイラストも、ibis Paintやillustrator、After Effectsを使用して、必要な情報だけを一目で伝えられるようにシンプルなデザインで制作しました。そして何度も修正を繰り返し、現在の作品ができました。
私はプランナーを目指して勉強しており、企画書等の書類を制作することが多くあります。私は色の使い方や文字の配置で必要じゃない情報まで入れてしまい、資料の中が乱雑になってしまうことが稀にありました。
今回の制作で「資料に必要な情報のまとめ方」「情報を伝える資料のデザインの作り方」を学ぶことができ、自身のスキルアップに繋げることができました。
このプロジェクトに携わることができて、本当に良かったです。」

「MR サークル紹介」の制作

誰でも実際に体験しながら MR 技術を理解することができるガイドの制作です。
サークル紹介で Dynamics 365 Guides を使うことによって、活動目的や内容の説明時間の短縮、効率化を目指します。
手順内に HoloLens 2 を使った動画や画像を挿入や、実際の活用方法や活用例を掲載し、利用者が MR に興味を持つように工夫しました。

・制作者:スーパーAIクリエイター専攻 1 年(制作時)入矢さんのコメント

「今回初めて HoloLens 2 を使って MR 技術に興味を持ち、サークルを立ち上げました。しかし、MR 自体が余り知られていないコンテンツだった為、MR の紹介自体が難しく感じることが多く発生しました。そこで実際に MR を体験してもらう為に、Dynamics 365 Guides を用いて今回の制作にあたりました。Dynamics 365 Guides は誰でも直感的に操作しやすく、ボタンや図形、3D モデルを入れることができて非常に良いものでした。結果として入部希望者が増えたのでとても良かったです。」

④「校内設置大判プリンター使用方法」の制作

大型ポスターなどを印刷する大判プリンターの使い方は手順が多く、先生達のどなたかが付き添わないと印刷ができませんでした。HoloLens 2 を使って指示通りに動くだけで、学生だけでも印刷できるようになり、先生方の助けにもなると考えました。言葉の指示に加え、その動作の動画も挿入することで、より分かりやすく説明コンテンツを制作することができました。

・制作者:ホワイトハッカー専攻 1 年(制作時)浅見さんのコメント
「まず私は個人的な解釈で、この Dynamics 365 Guides は指示をするのに特化できるソフトだと考えました。その点を踏まえて、学校内でこの Dynamics 365 Guides を最大限利用できるのはどんなことだろうと思い、大判プリンターの複雑な手順というところに着目し、制作にあたりました。印刷を行う度にどなたか先生を呼び印刷をするのではく、許可さえもらえば HoloLens 2 を渡し、手順通りにお願いします。といった風にできるよう、さらに作り込みたいと考えています。
今回の課題で、MR 空間にはこういった使い方もできるのだと、知識の幅が広がったように感じています。自分が作りたい物もあるので、この経験を活かしながら制作に取り組んでいきたいと考えています。」

以上が 4 つの事例となります。今回制作したガイドは、学校内での利用シーンがメインでしたが、学生からは学外の施設などでの利用アイデアも多数出ておりました。例えば、人材育成のアイデアなどは、サントリーをはじめ既に国内の民間企業でも多くの事例があり、教育分野でも積極的な活用が期待されます。

参考:HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality を活用し、品質維持と高まる需要への対応を同時に実現

今後、滋慶学園 COM グループでは、社会のニーズに合致した職業人教育を実施していくために、引き続き様々な Microsoft HoloLens を用いた様々な取り組みをご検討されています。

関連情報:
HoloLens 2 / Mixed Reality 製品に関する情報はこちら
国内におけるHoloLens 2 / Mixed Reality の最新情報はこちら