流通・消費財 Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/ Fri, 28 Feb 2025 08:27:11 +0000 en-US hourly 1 スマーター・リテイリング・フォーラム 2025 ~ AI と共創する新時代の流通イノベーションとは~開催とリテールテックジャパン2025 出展のご案内 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2025/02/03/smarter_retailing_forum_2025_retail_ready/ Mon, 03 Feb 2025 05:39:53 +0000 2025 年 3 月 6 日(木)に日本マイクロソフト主幹で「スマーター・リテイリング・フォーラム 2025」(以下 SRF 2025)を開催させていただきます。今回は「Retail Ready」という副題に相応しく、小売業界において世界的に活用が拡大している AI を大きなテーマとして、Microsoft が提供する AI ソリューションの紹介と「Retail Ready」を体現する企業・ソリューションの事例紹介が行われます。日本マイクロソフト 流通サービス営業統括本部  藤井 創一によるセッションや、「POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動アップデート」などを予定しております。

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スマーター・リテイリング・フォーラムは、流通業におけるユーザー企業と IT ベンダー企業の協業による IT 技術の標準化推進を活動目的として、2004 年に設立されたオープン フォーラムです。(スマーター・リテイリング・フォーラムについて )2024 年 11月末時点で国内約 500 社の企業が参加する大規模なフォーラムであり、POS システムのインターフェイスを定義する OPOS 仕様、データやアプリケーションのインターフェースの標準化など、さまざまな仕様の検討を行っています。

2025 年 3 月 6 日(木)に日本マイクロソフト主幹で「スマーター・リテイリング・フォーラム 2025」(以下 SRF 2025)を開催させていただきます。今回は「AI と共創する新時代の流通イノベーションとは」という副題に相応しく、不確実性の高い流通業の経営において、DXによる持続的成長のための生産性向上やビジネス革新の推進における重要性が更に高まっています。生成AIは、これを加速させる手段として注目を浴び、この1年の多くの流通業企業とIT企業のDXの取組に組み込まれ、成果が挙がっております。

本セミナーでは、AI時代の流通業の変革の方向性として「ショッパージャーニーの変革」「従業員の業務効率化と働き方改革」「リアルタイムでサスティナブルなサプライチェーンの構築」「データによる新たな価値創出」という4つの視点を踏まえ、現在の取り組みや今後の方向性について、著名業界講師の講演及び最新取組事例を通じて考察してまいります。また当協議会が推進する流通業IT標準化活動の最新動向と、新設した次世代リテール研究会による”AI時代のリテールにおける顧客接点ユースケースと標準化スコープの考察”についてご紹介いたします

イオン株式会社のチーフデータオフィサー データイノベーションセンター長である中山 雄大氏、株式会社三越伊勢丹 北川氏、株式会社 ecbeingの斉藤氏とキーコーヒー株式会社の前田氏によるセッション、日本マイクロソフト 流通サービス営業統括本部  藤井 創一によるセッション、「POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動アップデート」などを予定しております。

同時開催で2025年3月4日(火)から7日(金)までの4日間、東京ビッグサイトで開催される、国内最大の流通業向け情報システム総合展で、代表的な流通業向けのシステムベンダーが集結する「リテールテックJAPAN 2025」に日本マイクロソフトが出展します。

こちらも併せて、皆様のご参加をお待ちしております。

スマーター・リテイリングリング・フォーラム 2025 開催概要:

■日時  2025 年 3 月 6日 (木) 13:00-16:45 ※12:30開場予定

会場  東京ビッグサイト 会議棟1F レセプションホール B (アクセス)

  定員  会場参加:350 名

対象  流通業情報システム/マーケティング/企画部門責任者及び担当者、IT ベンダー責任者及び担当者

■主催  スマーター・リテイリング・フォーラム (OPOS 技術協議会、.NET 流通システム協議会)

■共催  日本経済新聞社

■受講料  無料(事前登録制)

お申込みはこちらから

当日のアジェンダ
13:00-13:05  開会挨拶


13:05-13:35  NRF 2025 リキャップと AI 時代の流通業の取組


13:35-14:20  店舗のこれまでとこれから~三越伊勢丹のDXの取り組み~


14:20-14:30  休憩


14:30-15:15  イオングループにおけるデータの価値化~イオングループのデータ戦略とその核となるチーム(データイノベーションセンター)の活動事例


15:15-16:00  次世代リテールに向けた協議会活動報告


16:00-16:45  Eビジネス成功の新常識 AI 活用が切り拓く未来 ~キーコーヒーと考える、顧客ファン化と成長戦略の最前線~

<登壇者>

イオン株式会社
チーフデータオフィサー
データイノベーションセンター長
中山 雄大 氏

株式会社三越伊勢丹
伊勢丹立川店
店長
北川 竜也 氏

株式会社ecbeing
営業本部
上席執行役員
斉藤 淳 氏​

キーコーヒー株式会社
マーケティング本部 市場戦略部
カスタマーリレーションチームリーダー兼コーヒー教室室長
前田 智紗 氏​

マイクロソフトコーポレーション
ワールドワイドリテール&コンシューマグッズ
日本担当インダストリーアドバイザー
藤井 創一

OPOS 技術協議会
技術部会長
NECプラットフォームズ株式会社
五十嵐 満博 氏

.NET 流通システム協議会
技術部会長
東芝テック株式会社
尾木 雄貴 氏

日本マイクロソフト株式会社
インダストリーテックストラテジスト
岡田 義史

リテールテックジャパン 2025 出展概要

■日時 2025年3月4日(火)~3月7日(金)10:00~17:00 (最終日のみ16:30まで)

■会場 東京ビッグサイト東2ホール リテールテック内 小間番号 RT2406

■主催 日本経済新聞社

詳細は公式サイトよりご確認ください。

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流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社様向け AIトランスフォーメーションセミナー http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/11/21/retail_ai_transformation_seminar/ Thu, 21 Nov 2024 02:42:26 +0000 AIテクノロジーの普及により、流通業界でもDXの促進がますます重要性を増しています。ECの進化やインフレ、人手不足、顧客・従業員双方におけるデータ活用など、ビジネスを取り巻く課題にいち早く取り組むことが求められています。マイクロソフトでは流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社のお客様に向けたセミナーを開催。AIトランスフォーメーションによる変革の可能性について事例を交えてお伝えしました。セミナーの模様をダイジェストとしてお届けします。

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※本ブログは、株式会社ロコガイドが運営する、「小売流通業界のリーダーに焦点を当てたメディア」である「リテール・リーダーズ」にて11月19日に公開された 流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社さま向け AIトランスフォーメーションセミナー採録 | リテール・リーダーズ の再掲です。

AI テクノロジーの普及により、流通業界でもDXの促進がますます重要性を増しています。ECの進化やインフレ、人手不足、顧客・従業員双方におけるデータ活用など、ビジネスを取り巻く課題にいち早く取り組むことが求められています。マイクロソフトでは流通・小売業 / 消費財製造業 / 総合商社のお客様に向けたセミナーを開催。AI トランスフォーメーションによる変革の可能性について事例を交えてお伝えしました。セミナーの模様をダイジェストとしてお届けします。

ご挨拶

a person speaking into a microphone

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 エンタープライズサービス事業部長

三上 智子

2022年11月に OpenAI社 の ChatGPT が登場してからもうすぐ2年。私たちの生活を大きく変えていく生成 AI のテクノロジーは、あらゆる個人や業務、組織、産業に関わりを持たせます。私自身「Microsoft Copilot」を英語で書いた文章の添削や調べ物に使っていますが、Web検索と比べ格段に効率的なのが分かります。外部調査によればすでに65%の組織が生成 AI を活用してビジネス価値を引き出そうとしており、その投資効果は利益率を3.5倍に押し上げるといった調査結果もあります。私たちは常にテクノロジーのアップデートを重ねながら、お客様に寄り添い、生成 AI を使ったビジネス変革をご支援していきたいと考えています。本日のセミナーが AI 変革のプロセスを学ぶ機会となることを願っています。

生成 AI 時代の流通業DX推進と国内最新事例の紹介

a man speaking into a microphone

マイクロソフトコーポレーション リテール&コンシューマグッズ
日本インダストリーアドバイザ担当

藤井 創一

米国で本年1月に開催された全米小売業協会主催の NRF 24年には延べ4万人が参加し、「リテールメディア」「顧客体験の向上」「サプライチェーン強化」「従業員支援」などのテーマについて情報が共有され、議論がなされました。注目すべきは、それらの取組みにおけるAIの可能性が重要な論点となったことです、小売業のDXにおいて AI 活用検討が新たなフェーズに入ったという認識が NRF の参加者に広がったと感じます。

生成 AI が注目され始めた2023年時点で、「小売業者の今後2~3年の行動は今後20年間の成功を左右する可能性がある」とマッキンゼー・アンド・カンパニーは予測しています。流通業に関わる皆さまがDXへの取り組みを加速させている中で、私たちは「データによる新たな価値創出」「顧客エンゲージメントの向上」「リアルタイムなサプライチェーン」「従業員の業務効率化と働き方改革」などのビジネステーマに対して、信頼できるデジタル基盤と価値を提供していますが、現在、生成AI技術で大幅に強化された「Microsoft Cloud for Industry (Retail & Consumer Goods) 」の提供を開始しております。

ウォルマートのダグ・マクミロン CEOは、1月の CES2024 でマイクロソフトとAIの領域で協業することを発表し、生成AIを活用した新たな顧客向けサービスをリリースしました。例えばスマホ上のアプリで「アメフト観戦パーティの企画を手伝って」と尋ねれば適した商品の数々を提案してくれます。また、先ごろWeb記事で公開されていましたが、8億5千万に上る商品マスタのメンテナンス作業を、生成 AI によって従来比100倍に効率化する取組みなども進めているとのことで、広範かつ重要実務領域での活用を進めています。Consumer Goodsの領域でも、米国ユニリーバさまでは、R&D部門で生成 AI を使ったシミュレーションで基礎研究を効率化し、迅速な商品開発とマーケットインにつなげています。

これ以外にも多くの企業様に、私たちの方向性と技術にご賛同いただき、ともに取組みを進めさせていただいております。アジア圏の流通業においては、2023年の第3四半期から2024年の第1四半期にかけて私たちのお客様の60%が生成AIを採用し、そのユースケース数も200%に増加しました。

日本でもこうした取組みは加速しています。イオンさまはECでの商品情報コンテンツをAIの支援で生成し、2倍のPV実績を得たという実証実験結果など公開いただきました。日清食品ホールディングスさまでは、全社戦略として生成AIの活用を社員に動機付け、現場を巻き込んだマーケティングや営業生産性の革新を進められているのです。

一方で、生成AIテクノロジーの日進月歩、驚異的なスピードでアップデートされます。GPT-4に対して GPT-4o は12分の1のコストで6倍のスピードを実現しています。さらに GPT-4o はマルチモーダルなAI能力を有しており、この画像識別・自然言語会話能力をECに実装することで、ECを訪れた顧客は画面を通してあたかも本当のコンシェルジュに接客されているかのような、衝撃的な顧客体験を提供できるまでになってきています。 このように流通業のビジネスにインパクトをあたえるほどのテクノロジーが爆速で進化する中で、マイクロソフトでは信頼できるデジタル基盤と価値提供を通じて、流通業のお客さまと「異次元の密連携」を取りながら伴走支援をさせていただくことが、重要になってくると考えています。

海外の最新 AI 活用事例のご紹介

a woman speaking into a microphone

マイクロソフトコーポレーション

Asia AI Global Blackbelt  テクニカルスペシャリスト

大森 彩子

2024年以降の生成 AI のトレンドに「マルチモーダルモデル」があります。テキスト以外の音声や画像、動画といった素材を入出力に利用でき、その活用によってさまざまなソリューションを生み出すことができます。より少ないパラメーター数で動作が可能な SLM(Small Language Model)や軽量でインターネット接続なしに利用可能なオンデバイスモデルの開発も進み、PCやスマホなどエッジデバイスに載せられる小さな生成AIが登場しているのも最近の特徴です。具体的にGTP-4Oを通じて、どのようなソリューションができるのかご紹介していきます。

マルチモーダルの特徴に画像化されている情報の理解があります。例えば、ゴミの分別といったワークフローが書かれた図を読み込ませば質問に応じて正しい処理の仕方を答えてくれます。不動産での住居の間取り図面なら、適した入居者像を提案してくれます。画像化された数学の問題も答えが返ってきます。

音声ならコールセンターで問い合わせを受けた内容について、簡単に文字起こしをして個人情報を削除しながら要約するといったソリューションを構築することが可能です。動画を素材に用いたサービスなら、最近利用可能になったサービスとして「Azure AI Speech」によるビデオ翻訳があります。 例えば、私が日本語で話す動画があります。この素材を読み込ませれば自動で多言語にしてくれるというものです、しかも、私の声色で流ちょうに話してくれます。音声と動画を組み合わせればアバターによる接客にも応用できます。

小売業で活用される生成 AI を整理すると「言語理解」「コンテンツ生成」「分析」「自動化」の4つの機能が想定されます。中国のファストファッションブランドであるSHINE(シーン)は2022年頃よりマイクロソフトの AI プラットフォームを活用しています。いまや社員の誰もが使えるような状況になっています。「コンテンツ生成」なら新商品への説明文の作成やSNS向けの画像生成、「言語理解」なら顧客向けのチャットボットといった活用のほか、カタログ作りや販売分析のナレッジとして幅広く活用されています。デジタルガジェットのANKER(アンカー)では、宣伝コピーを生成AIで作成し、ABテストを繰り返しながら改善を続けています。

生成AIが顧客に直接触れるコンテンツやコミュニケーションに活用される機会が増えています。フル活用をするためにも素材となるデータの整備が急がれます。

総合商社様における生成 AI 活用事例

a person speaking into a microphone

MC Digital 株式会社

プロダクト部門

プロダクトマネージャー

青木 千隼氏 

弊社は三菱商事の100%子会社で、三菱商事様を起点として様々な産業とつながりがあります。今回は三菱商事様での生成AI活用事例を4つご紹介します。

1つめは「社内規程の確認」です。三菱商事様では会社全体の規程に加え、営業グループごとの規程もあり、量が膨大なため確認作業に時間がかかるなど、効率化が望まれていました。

生成AIを活用したChatbotの構築により、必要な社内規程の検索と自動回答が可能になりました。回答の根拠となる社内規程を生成 AI が活用可能な状態に変換・格納するだけで運用可能です。業務効率が60%改善され、「探索する手間が大幅に減った」「参照箇所を共に表示してくれるので情報の信頼性が高い」といった声をいただいています。

2つめは「議事録の自動作成」です。ある調査によると、議事録作成には平均で週6時間強の時間が費やされる業務です。さらに三菱商事様では、膨大な数の打ち合わせを抱える社員が多く、議事録作成に費やす時間の確保が困難でした。議事録作成を自動化する際には、「会議内容のテキスト化」と「議事録作成」の2つのAIを適切に組み合わせることで、人間が作成するクオリティの議事録を実現する必要があります。弊社の議事録サービスを導入することで、構造が論理的に整理された議事録が作成できるようになりました。

また、生成 AI を活用した議事録作成は、話していない内容を作文してしまう課題があります。そこで、議事録の内容と文字起こしを紐付ける「エビデンス確認機能」を活用することで、議事録の仕上げにかかる工数を効率化しています。約1時間の会議であればアップロードから10分程度で記事録が完了し、90%減の業務効果となり、「信頼性の高い議事録を作れる」とご好評いただいています。

3つめは「デスクトップリサーチからの資料作成」です。通常は、検索して該当ページを探したのち、ポイントを抽出・要約し、図表やテキストを整理して資料作成を行う必要があります。

なお、デスクトップリサーチに生成 AI を適用する上で最も課題となるのが「学習データ期間」で、学習データ期間外の最新情報を用いた回答生成ができません。そこで、web検索の連動により、最新かつエビデンシャルな情報を用いた資料作成が可能になりました。25%減の業務効率が図れ、「情報の鮮度がよく信頼性も高い」という感想をいただいています。また、検索クエリ自体を生成AIに任せられるところも好評でした。以上は汎用プロダクトを活用した業務効率化支援です。

4つめは、三菱商事様と共同で事業会社様に伴走して、アプリケーションを構築した事例をご紹介します。具体的には「資料検索からタスク遂行」です。ビジネスでは各種文書ファイルが存在し、その中から情報を探して閲覧・分析し、タスク遂行を行います。ただしファイル数は日々増加し、探索する工数が増えるという課題があります。

そこでAIに問いかけるだけで必要な文書を容易に探索でき、またタスク遂行の効率化を実現しました。裏付けデータを引用した文書の探索などにより、資料探索の結果をタスク遂行に活かすことが可能です。約20%の工数削減効果となり、「シンプルかつスピード感のある検索ができる」といったお声をいただいています。 生成 AI の社内利活用を進める上で重要なのは、スキルとマインドの両方からのアプローチです。スキル面では生成AI技術の理解と具体的な活用方法の習得が求められます。マインド面は生成 AI を業務に用いる意識改革です。この2つのアプローチにより、業務効率化の加速に繋がると考えています。

AI 時代のデータ活用戦略・成功事例と未来の展望

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株式会社 サンリオ

ブランド管理本部 データ・テクノロジー推進室

大畑 正利氏

総務省のデータによると、日本企業がDXを進める上での最大の課題は「人材不足」です。一方でDXの進展度が高くなるほど売上が増加します。DXに取り組む企業が米国並みに増えれば、製造業で約23兆円、非製造業で約45兆円もの売上押し上げ効果が推計されています。

DXの中でもデータ活用についてレベル分けすると、レベル1が「現状把握(データ集計・可視化)」、レベル2が「過去事象の関係性把握」、レベル3が「AIを用いた未来の事象の予測」です。このレベルを上げるヒントがサンリオの取り組みに含まれています。

データ活用における組織的な取り組みについてご説明します。まず、データドリブンの企業を目指し、データサイエンス課(現データ・テクノロジー推進室)を創設しました。効果として、相談しやすい環境が整備され、各部署のナースコール的な存在となりました。さらにデータ分析やノウハウの蓄積・共有が進み、全社横断的なデータ活用支援ができるようになりました。

次に、学習環境の整備として動画学習プラットフォームを導入しました。会社側が学習ツールを提供することで、データ活用を始めたい従業員のモチベーションが高まります。利用ガイドラインを整備することで、従業員は安心してAIを利用することができます。

また、各部門の目標設定として、活動目標の中にデータ活用の要素を盛り込みました。推進チームの支援を受けることで、各部門は舗装された道を進むようにスムーズにデータ活用に取り組むことができます。

ここからは、推進チームの取り組みを3つご紹介します。1つめは「データの可視化」です。見るべき指標の定義やデータソースの用意や収集、データ前処理など、データ可視化までの全体を整備していくことが重要です。なぜならば、データをダッシュボードに集約しただけでは解決しない課題があるためです。例えば、部署で指標の定義が異なる、必要とする粒度・頻度でデータが取得できていない等。AI 活用の事例をひとつ紹介します。本部の商品発注担当者は、データの収集、過去動向の読み取り、今後の見立て、発注数を算出していましたが、業務量が多く、属人化などの課題がありました。そこで発注を補助するAIを導入し、データ収集から過去のトレンドの数値化、季節変動指数の算出、今後の残在庫数の予測までをAIが行うようになりました。SKUごとの今後の在庫不足数と重要度、アラートの一覧を担当者が確認するなどして、発注単位の決定が可能となりました。発注業務工数は80%削減され、発注基準も標準化されて脱属人化に成功しています。

2つめは「データ活用の定着化」です。データ活用を定着させるには業務への組み込みが重要です。業務のうち、意思決定において、情報収集、解決策の比較・選択、意思決定の見直しのプロセスは、データ活用が組み込めます。またデータは仮説思考で見る必要があります。課題に対して仮説を構築し、データを用いて仮説を検証する、データから示唆や発見を見つけて仮説を更新するといった形で進めていきます。

3つめは「スケーラブルな業務設計」です。推進チームがより多くのデータ活用支援を行うためには、手離れがよい業務設計をしなければなりません。そのため推進チームでは、データ加工やデータ連携の自動化ツールを積極的に採用しています。

弊社の今後の展望は「データ整備の推進」です。データを最新の状態に保ち、分類してメタデータを付与することで、AI が扱いやすいように整備することが重要です。

AI / データ活用に向けたITガバナンスの強化とDX

a person speaking into a microphone

日本マイクロソフト株式会社

チーフセキュリティーオフィサー

河野 省二

私からはビジネスで AI を使っていただくための準備について、お話をします。まず、確認したいのは AI を利用する目的です。セキュリティ運用に関する AI 活用について利用者の評価をまとめました。

1つは作業時間の短縮です。熟練者と初心者を問わず、4分の1程度圧縮できています。4時間の作業で1時間できる計算です。ある自治体では、月額4000円ほどの「Microsoft Copilot」法人版が導入できる採算を1日7分ほどの残業時間の圧縮と捉えていました。例えば、生成 AI でセキュリティのルーティンワークを自動化できるようになれば、その間にレポート作成といった別の仕事ができます。いわばデジタルツインの発想で仕事が2倍できる計算です。

2つ目は業務精度です。熟練者7%、初心者の35%が向上したと評価しています。実はセキュリティに関しては活躍する場面が少なくなっているのが現状です。それというのもマイクロソフトの製品は、無料のOne Dreiveを含めセキュリティソリューションが自動化され、仮に事故が起きても3分から5分でシャットダウンがかけられ修復されてしまいます。

3つ目がポイントで、Copilotを繰り返し利用したいという回答は熟練者初心者ともに9割を超えています。セキュリティの業務というのは、めったに事故が起きない分、経験を重ねるのが難しく、人材育成が課題となっています。例えば、疑似的な事故に対して自分で仮説を組んで、その影響を生成 AI で調べていけば、どういった対処が適切であったのかシミュレーションすることができます。

生成AIを機能させるのは良質なデータを集めてくることが肝要だと語られます。ここではお客様対応の生成 AI 活用を例に考えます。従来はFAQデータベースに紐づいたChatbotが存在していたとします。もっと柔軟な対応を目指してChat AI を導入する際、心配されるのはハルシネーションです。Copilotも複雑な質問であるほど、毎回、少しずつ違う答えが返ってきます。そこで検討したいのはFAQデータベースに何を載せるかをChat AI に手伝わせることです。例えば、Chatbotで分かりにくいと利用者が評価した回答を、自社内のデータベースを使って再構成するといった仕事をさせる。これは生成 AI が得意な領域です。

つまりデータソースとなる組織の膨大なナレッジ(BI)を充実させていくことが求められるわけで、そこには業務のDXが必須であり、業務でのやりとりのすべてをデジタルで蓄積できるシステムの構築が求められます。それによって初めて一元管理によるリアルタイムガバナンスも実現できると言えます。

すでにWindows10以降、マイクロソフトのアプリケーションで操作したデータはメタデータが裏側に紐づいています。他社のSNSなどのデータを組み込むこともできます。これをGraph(グラフ)データベースと読んでいます。従来、Graphデータベースを解析するにはBIツールを用いデータアナリストによる能動的な分析が必要でしたが、ここも AI のインタフェースに置き換わっています。AI インタフェースのスキルを活用するためにAIエンジンやAIモデルを使うという世界になってきています。

マイクロソフトのアカウントがあれば、Graphデータベースにアクセスすることができます。Graph Explorerというインタフェースをマイクロソフトは試験的に用意しています。会社のアクセス権の設定に応じて閲覧が可能です。REST APIでデータを取得する方式で、プログラムに少し詳しい方であれば誰でも使えると思います。いつ誰がエクセル上で罫線を書いたかまで分かるのは、ソフトがフルAPIで起動しているからです。

Azure Fabricを活用したデータの一元化も可能です。Fabric OneLakeを用いれば、例えばAWSのS3にあるデータと連携することもできます。

これから生成 AI を活用したアプリ開発が広がっていくと思います。マイクロソフトの法務部門のトップであるブラッド・スミスは、自身の著書を通じてレシポンシブルAIの重要性に言及しています。いわく「ツールとして使えるけれど、武器としては使えない対策が必要だ」ということで、私たちも多くの方からフィードバックを受けてレシポンシブルAIのスタンダードをまとめていますので、ぜひ社内のガイドライン作りの参考にしていただきたいと思います。 Graphデータベースを整備し、ガバナンスを一元管理することは、働き方改革のみならずセキュリティの向上にも寄与すると考えています。


関連コンテンツのご紹介

2024年のリテール業界の最新情報を発信する「リテールトレンドWEEK 2024 Vol.5」が、2024年8月26日から8月30日まで開催されました。その収録動画はこちらで再公開いたします。

Retail Trend Week 2024 Vol.5 【Day 1Day4  マイクロソフト特別セッション】 

【Day 1 日本マイクロソフト】Retail Unlocked~小売業におけるAIの潮流とマイクロソフトの取組~ 

【Day 1 ドリーム・アーツ】本部・店舗横断で徹底した情報管理を実現!「デジタルの民主化」でリテールDXを加速 

【Day 2 日本マイクロソフト】最新生成AIを搭載したマイクロソフトビジネスアプリケーションのご紹介 

【Day 2 ecbeing】 ~成功事例紹介~EC活用によるファン化促進戦略 

【Day 4 BlueYonder】英国スーパーマーケットの事例を含むE2Eサプライチェーン改革  

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Retail Open Lab「AI 時代の流通業会のプラクティスと新たな展望」開催レポート  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/07/30/retail-open-lab-2024/ Tue, 30 Jul 2024 11:06:26 +0000 流通業界のお客さまやパートナー企業さまと伴走し、流通業の皆さまとともに DX  の推進を加速するために企画された 「Microsoft Retail Open Lab」。過去二回にわたって生成  AI  についてのさまざまな情報をお届けし、議論を深めてきましたが、6 月 21 日(金)の第三回でいよいよ最終回を迎えました。 

過去二回のテーマはそれぞれ「知る」「行う」。今回は「伝える」をテーマとして、生成 AI の活用実例や成功に導くための取り組みの紹介に焦点をあてて開催。業界向けパートナーソリューションや Microsoft技術の最新動向についてのセッションも組み込まれ、盛りだくさんの内容となりました。本稿ではその模様をレポートします。

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セミナー風景

流通業界のお客さまやパートナー企業さまと伴走し、流通業の皆さまとともに DX  の推進を加速するために企画された 「Microsoft Retail Open Lab」。過去二回にわたって生成  AI  についてのさまざまな情報をお届けし、議論を深めてきましたが、6 月 21 日(金)の第三回でいよいよ最終回を迎えました。 

過去二回のテーマはそれぞれ「知る」「行う」。今回は「伝える」をテーマとして、生成 AI の活用実例や成功に導くための取り組みの紹介に焦点をあてて開催。業界向けパートナーソリューションや Microsoft技術の最新動向についてのセッションも組み込まれ、盛りだくさんの内容となりました。本稿ではその模様をレポートします。 


基調講演 

「生成 AI と流通・小売業の未来」 

株式会社セブン & アイ ・ ホールディングス  伏見 一茂 氏 

株式会社セブン & アイ ・ ホールディングス 
グループ DX 本部 デジタル イノベーション部 シニア オフィサー 
伏見 一茂 氏 

日本マイクロソフト株式会社 三上 智子 

日本マイクロソフト株式会社 
執行役員 常務エンタープライズ サービス事業本部長 
三上 智子 

基調講演は、セブン & アイ ・ ホールディングス伏見氏による講演と、伏見氏と日本マイクロソフト三上とのパネル ディスカッションという形式で展開されました。 

伏見氏は講演の冒頭で、同社が掲げる「生成 AI ファースト」というテーマについて説明。これは、既存および新規のすべての業務において、「まず生成 AI を使ってみたらどうなるかを考える」という方針です。 

これまでの DX 推進においては、基本的にシステム担当部署など専門家の力を借りる必要があり、それが障壁となる場合も多かったと伏見氏。生成 AI の登場によって「誰もが独力で DX を進められる時代になった」と、その可能性に大きな期待を寄せていると語ります。 

同社では生成 AI の活用に向けて「人財の育成」「環境の整備」「知見の集積・コミュニティ化」の 3 つの柱を設定しています。なかでも、一般的な資格取得などと比べて習得が早く有効性が高いことから、グループを挙げた生成AI人財育成の取り組みを進めているそうです。 

同社の人材育成施策では、マイクロソフトのエバンジェリスト西脇による生成 AI概論研修と、社内で実施する生成 AI プロンプト研修を組み合わせた独自のプログラムを展開。伏見氏によると、これらの研修によって社内の雰囲気は大きく変わり、受講者の 98 % が「生成 AI の理解が深まった」と回答し、なんと 100 %の 受講者が「自分の業務に生成 AI を活用したい」と答えたといいます。 

また、生成 AI の活用を一過性のブームで終わらせないため、定例会やMicrosoft Teams  のチャットグループ、SharePoint の社内ポータル サイトなどを通してコミュニティ形成と知見の共有にも力を入れています。「取り組みを始めてまだ 1 年も経っていませんが、加速度的に生成 AI の活用が広まっています」と伏見氏。引き続き行われた三上とのパネル ディスカッションにてその具体的な事例が紹介されました。 

パネルディスカッション風景1

パネル ディスカッションでは、まず三上から経営陣のコミットメントとカルチャーづくりについて質問が投げかけられました。伏見氏は、「小さな事例づくりから始めて、その成果を経営陣にアピールすることで理解を深めていった」と明かします。その背景には、以前からデジタル部門以外でもデジタルを使えるようにするという全社的な方針があったそうです。 

その具体的な例として「DX アンバサダー制度」を挙げる伏見氏。これは各部門から選抜された社員が DX を学び、知識を部門に持ち帰る仕組みです。伏見氏によると、こういった土壌があったからこそ、生成 AI の導入もスムーズに進んだとのことです。 

続いての話題は、マーケティング部門での生成 AI 活用事例について。伏見氏によると、ポップアップ広告のテキストを生成 AI で作成したところ、予想に反してクリック率が下がってしまったものの、「生成 AI ファースト」の方針によって諦めずに改善を重ねた結果、「人間が考えた文言プラス生成 AI が生成した文言」のハイブリッドで最も効果が上がることがわかったそうです。 

三上はこの事例について、生成 AI ファーストの成果であり、かつ「全部を AIがやるのではなく、使いこなすのは人間であって、それをサポートするのが AI」というMicrosoftの「Copilot」の考え方と一致すると評価。ふたりは、人間と AI の協調が重要であるという点で意見を一致させていました。 

続いての話題は人財教育について。三上は、今後は業務における要件定義力や生成 AI との会話力が必要になってくるとし、社内に生成 AI を学ぶ機運を広める重要性を指摘します。伏見氏は、ナレッジの蓄積、モチベーションの維持という観点で、同社では生成 AI コミュニティが重要な働きを示していると返答しました。 

そして伏見氏は、自分が所属する部門における業務課題を理解し、生成 AI の活用の可能性を見出すエバンジェリストの重要性を強調。「生成 AI を使うとこういうことができるんじゃないかという、ある一定の翻訳をしてくれる」人財の育成が、全社的な活用推進に不可欠だと説明しました。 

最後に伏見氏は、楽しみながら生成 AI を活用することの重要性を強調。三上も「生成 AI 活用の持続可能性を高めるためのキーポイントは楽しむこと」と同意して、パネルディスカッションは終了となりました。 

伏見氏は、同社の取り組みはまだ始まったばかりであると述べつつ、「業界を挙げて事例の共有ができれば」と、業界全体での取り組みを推進することへの期待を表明して、基調講演を終了しました。 


業界別 AI 取組紹介 

1. サービス業

「従業員の問題解決をサポートする AI 実現に向けて」 

イオンディライト株式会社  秋田 圭太 氏 

イオンディライト株式会社  
執行役員 IT 責任者 
秋田 圭太 氏 

イオンディライトの秋田氏からは、若手社員のアイデアから生まれた「AI マネージャー」の開発経緯とその意義についての解説が行われました。 

AI マネージャー開発のきっかけとなったのは、Microsoft 365 の導入だったと秋田氏。サイロ化したシステムやセキュリティ対策、ファイル サーバーの一本化など、今後の DX を見据えた大刷新だったと語ります。 

この動きと並行して社内では、若手社員がさまざまなアイデアを創出するプロジェクトも進められていました。そこで発表されたのが、誰もが即時に不明点を解消するための生成 AI の活用企画でした。 

秋田氏によると、「社内の誰に聞けばよいのか分からない」「社内システムのどこに欲しい情報があるかわからない」といった問題を解決するため、「いつでも即座に質問できる環境の整備が必要」という提起があったそうです。 

実はこのとき、日本マイクロソフトのエバンジェリスト西脇による啓蒙に触れた同社 IT 部門のなかで、生成 AI 活用の機運が高まっていたとのこと。秋田氏は「AI マネージャーのアイデアが提案されたタイミングとうまくつながって、スピード感を持った開発を展開できました」と明かします。 

開発は、「現場に 1 日でも早く使ってもらうこと」を最優先事項として、アジャイル型の開発で 3 つのステップに分けて進められました。 

まずステップ 1 では、社内規定や業務マニュアルに基づいた回答をする機能を、着手から 2.5 ヶ 月でリリース。ステップ 2 では業務システムのデータからも回答を導き出せるように機能を拡充し、ステップ 1 で課題となっていた、表形式の資料の回答精度が悪かった点の解決に取り組みました。そしてステップ 3 では、参照データにインターネット上の情報を加えることで利便性の向上を図り、スマートフォンへの最適化も行いました。 

秋田氏によると、AI マネージャーには引用資料が表示される機能があるため情報の正誤を確認可能で、最下部に質問欄が設けることで自然言語による検索方法に馴染むUIが採用されています。さらに、質問数に応じて画面に配された樹木が成長するギミックを搭載。誰にとっても使いやすく、継続的に活用したくなる工夫が施されています。 

導入効果としては、ステップ 1 から 3 にかけて月間の質問回数は 2.3 倍に向上しており、疑問解消にかかる時間は 617 時間の削減が想定されているとのこと。今後は「データが業務を支援してくれる未来」を目指したいと秋田氏。最後に「回答精度を高めていくためにもまずは、生成 AI に気軽に触れられる環境を整備する重要性」を強調してセッションを終了しました。 


2.流通・小売業

「花王のチャレンジ〜生成AIをビジネスに活かすための人財教育と仕組みづくり〜」  

花王株式会社 桑原 裕史 氏 
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花王株式会社 
DX戦略部門 DX戦略デザインセンター センター長 
桑原 裕史 氏 

花王は、中期経営計画達成のためのエンジンは「人」であるとして、DX 人財への投資を進めています。その取り組みの一環として同社では、2024 年度から全社向けの DX 教育「DX アドベンチャープログラム」を開始しました。 

このプログラムは 3 つの階層と 5 つのレベルに分かれており、社員のスキルレベルに応じた教育を提供しています。 

「DX 理解者レベル」では、外部のオンライン学習システムを活用して個人のスキル診断に基づく学習プランを提供。その上の「部門 DX 推進者レベル」では、各部門の特性に応じたプログラムを提供しています。そして「全社 DX リーダーレベル」では、プロジェクトベースの学習やOJTなど、より実践的な教育を通じた高度な DX スキルの習得を目指しています。 

また、部門 DX 推進者レベルが対象となる「Kao AI Academy」は、生成 AI 時代に対応する人財育成を目的としています。 

全社員を対象とする「フレンドコース」では、生成AIの基礎知識と ChatGPT の使い方を学び、より高度なマスターコースでは、日本マイクロソフトのサポートのもとでプロンプトエンジニアリングやMicrosoft Copilot の活用方法を学びます。 

特筆すべきは、社長自らがビデオメッセージを通じて AI 技術の重要性と潜在的リスクについて語りかけるなど、トップダウンでの推進を行っている点です。桑原氏は「トップからの巻き込み方がないとなかなかうまくいかない」と、経営層の関与の重要性を強調しました。 

続いて桑原氏は、生成AI活用に向けてデータの整備が必要不可欠になるとの見解を示し、それを使いこなす人財の重要性を改めて強調。現在同社では、データを活用して現場の課題を自ら解決できる「シチズンディベロッパー」の育成に注力しています。 

シチズンディベロッパーは、Microsoft PowerBI や Microsoft PowerApps などのローコードツールを活用して、情報システムの専門家が手をつけにくい、現場の課題に即した解決策を開発する役割を期待されています。彼らが開発した業務アプリは共有サイトを介して社内に展開され、年に 2 回開催される「シチズンディベロッパー EXPO」では優れた事例への表彰も行われているそうです。 

また同社では、2018 年からデータレイクの構築を進め、社内データの統合と活用を推進。「今後は生成 AI を活用することで、さらにさまざまな活用方法を模索できる」と期待を語ります。 

最後に桑原氏は改めて「DX は人」であると強調。社内に DX 人財を増やしてともに DX を進めていくことで中期経営計画の目標を達成したいと語り、セッションを終了しました。 


「ソフトバンクによる生成 AI の取組と導入事例紹介」 

ソフトバンク株式会社 森 五月 氏 

ソフトバンク株式会社 
法人プロダクト&事業戦略本部 
クラウド技術企画統括部 クラウド技術企画2部 部長 
森 五月 氏 

アルフレッサ株式会社 寺野 準也 氏 

アルフレッサ株式会社 
コーポレート本部 経営管理部経営管理グループ
寺野 準也 氏 

本セッションでは、日本マイクロソフトのパートナーであるソフトバンクの生成 AI 関連ソリューションと、同社ソリューションの導入企業であるアルフレッサの取り組みについて語られました。 

まず登壇した森氏は、ソフトバンクでは流通小売業のバリュー チェーンのそれぞれの場面で提供可能なソリューションを展開していることを提示。同社が展開する生成 AI 関連サービスは「人材開発」「データ構造化」「プラットフォーム」の 3 つに分けられ、「ソフトバンクのソリューションの強みは、これらのサービスを統合的に提供できる点にあります」と、包括的なサポート体制を強調しました。 

さらに森氏は実践的な活用例も紹介。日本マイクロソフトと協力して自社のコール センターに最新の生成 AI を導入、対応の質と生産性の向上を図っていることを説明しました。また、アイリス オーヤマでの活用例として、POS データの分析や標準化に生成 AI を活用する取り組みを支援していることを明らかにしました。 

社内における生成AI活用のイメージ

ここからアルフレッサの寺野氏が登壇。同社における生成 AI 導入の取り組みと、ソフトバンクとのパートナーシップについて解説しました。 

医薬品卸業を展開するアルフレッサは、業務改革プロジェクト(BPR)の一環として生成 AI の導入を決定し、独自の AI アシスタント「Owl-One」を開発しました。 

寺野氏によると、BPR プロジェクトを進める過程で、社内の問い合わせ対応に多大な時間が費やされていることが判明。従来のチャットボットでは回答用データの制限やシナリオ作成の煩雑さなどの課題があり、導入に踏み切れていなかったといいます。 

「ですが、ChatGPT の登場によって潮目が変わりました」と寺野氏。生成 AIを用いた社内問い合わせツールの導入に道が開けたことを示唆します。 

ツールの開発にあたっては「進化のスピードが凄まじい生成 AI の激流に飛び込むよりは、強力なパートナーに伴走してもらったほうがいい」という判断から、ソフトバンクが選定されました。選定理由として寺野氏は、「クローズドでセキュアな環境」「既存グループ ウェアである Microsoft 365 との親和性」「精度向上などの長期的な課題に対する伴走体制」を挙げ、決め手となったのは「ソフトバンクの凄まじい熱量」だったことを明かしました。 

こうして開発された「Owl-One」は、社内情報と一般的な質問の両方に対応可能な AI アシスタントです。導入からの 1ヶ 月間で約 1700 名が利用しており、約 7 割が期待以上の評価をしているとのこと。現在は、回答可能な社内データの範囲拡大や精度の向上を目指して、Azure AI Document Intelligence や ChatGPT-4o の導入などを推進しているそうです。 

寺野氏は、今後は生成 AI の浸透によって企業間の差別化がより困難になるため、人への依存度が高まるはずという予測を示し、「生成 AI によって付加価値を生める人材の育成や企業となり、持続的な成長を目指していきたい」と語って話を締めくくりました。 

今後の展開のイメージ

セッションの最後に、数ある生成 AI の活用シーンのなかから、社内問い合わせへの対応に最初に着手した理由を森氏から問われた寺野氏は、「生成 AI を使って何かしなければ、というよりは、課題に対応できるツールとして生成 AI を選んだ」と回答。生成 AI ありきではなく、課題に対してどんなツールを使うかを考えることが重要であることを示唆して、セッションは終了となりました。 


「生成AI時代の流通業DX促進に向けたご支援策」 

マイクロソフトコーポレーション 藤井 創一 
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マイクロソフトコーポレーション 
リテール&コンシューマグッズ 日本担当 インダストリー アドバイザ 
藤井 創一 

まず藤井は、シンガポールで開催された「NRF 2024 ASIA PACIFIC」の振り返りを行いました。この国際的な流通業界の展示会は、アジアで初めて開催されたという点で大きな注目を集め、日本からも多くの流通業者が参加していたそうです。 

NRF 2024 ASIA PACIFIC はカンファレンスとエキスポで構成されており、エキスポ セクションで印象的だったのはイオンのブースだったとのこと。イオンは「同社が考える2030年の小売業の姿を踏まえて、消費者や従業員の体験を向上するためのテクノロジーを磨いていく」というアプローチを示しており、そこには「アジア地域でビジネスを展開していくにあたっての同社のビジョン」が見られた、と藤井は感想を述べました。 

NRF 2024 ASIA PACIFICのキーワード

またカンファレンスセッションから受けた印象として、多様なアジアの市場を背景に「顧客中心主義」という共通のテーマがあり、そのためのデータ活用、さらには AIの有用性認識、という流れが見られた、と藤井。これはニューヨークで行われた NRF 2024 とも共通するテーマだったと総括し、世界の流通業界におけるデータと AI への注目度の高さを強調しました。 

そして藤井は、マイクロソフトは「Retail Unlocked」をキーメッセージに掲げ、信頼できるデジタル基盤と価値の提供を通して流通業を支えていくという姿勢をアピール。その取り組みの成果として、Walmartとの生成AIでの協力関係、顧客体験向上アプリと従業員の業務効率化アプリを紹介、さらにアジアにおける生成 AI 活用事例として Lazada と Myntra の生成 AI によるカンバセーショナルなオンライン顧客体験革新事例を紹介しました。 

graphical user interface, website

藤井は各国市場特性によって多少の違いは見られるものの、社内 DX 以外のコア事業領域で、生成 AIが活用され始めていると分析。昨年の第 4 四半期から今年の第 1 四半期で、アジア圏流通業での生成AI採用企業は 60 % を超えており、ユース ケース検討数も200%増加し、過去にないすスピードで採用や検討が加速しているというデータを示しました。

続いて藤井は、Microsoft の一部の最新技術動向を紹介しました。5月に開催されたMicrosoft Build 2024 において、マイクロソフトは「Microsoft Copilot」「Copilot+PC」「Copilot stack」という 3 つの柱を発表しています。藤井は、マイクロソフトは、単一のAIモデルを推奨するのではなく、利用者の環境や目的に応じて、SLM(Small Language Model)やNTT データの日本語LLMなど多彩なAIモデルを最適に選択できるようにすることを説明し、さらにChatGPTなどの先進モデルなどではマルチ モーダル AI へ の進化の流れの中で新たなオンライン消費体験を創造可能となっていることも事例を通じて示しました。

graphical user interface

藤井はここで NRF2024 では生成 AIのトレンドは理解したが、実際にどのようにの取り組んでいくのか悩む企業からの相談が多かったことを明かし、DX を通じた事業成果達成に不可欠な顧客や現場で働く従業員、経営者を巻き込み、、新たなステップに進めるのではないか、という見解を示しました。

一方で、DX の取り組みスピードと、AIの急速な進化にギャップが発生する可能性を、基盤テクノロジー提供サイドとして危惧していることを明かし、 今まで以上に流通企業と IT 企業が密連携することが必要であること、マイロソフトは「異次元な伴走支援」を提供することを強調。「AI 時代の DX をともに推進させていただきたい」と訴えかけてセッションを終了しました。


パネル ディスカッション 

「AI 時代のマーケティングの今、そしてこれから」 

Strategy Partners 西口 一希 氏 

Wisdom Evolution Company 
代表取締役 
Strategy Partners 
代表取締役 
西口 一希 氏 

日本マイクロソフト株式会社  河上 久子 

日本マイクロソフト株式会社 
業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長 
河上 久子 

日本マイクロソフト株式会社 
 岡田 義史 

日本マイクロソフト株式会社 
流通サービス営業統括 インダストリー テック ストラテジスト 
岡田 義史 

最後のセッションは、さまざまな業界でマーケティングや経営に携わり、数多くの成功例を間近で見てきた Wisdom Evolution Company、Strategy Partners 西口氏をゲストに招き、日本マイクロソフト河上がファシリテーター、岡田がパネリストとして登壇。流通小売業界におけるデータと AI 活用についての議論が展開されました。

河上から「いまのマーケティングのあり方や流通小売業界の動きに対する問題提起や課題感」について見解を求められた西口氏は、「内部を知っているわけではないのであくまで全体を見ながら」という前提で、2000 年代初頭に P & G に在籍していたときと印象は変わっていない、と回答しました。

同氏によると、当時から Walmart などの先進企業ではデータに基づくマーケティングが行われていたものの、日本ではデータを有効に活動できている企業はあまり見られなかったそうです。その後日本でもデータ活用の動きは進んでいるものの、まだデータの付き合わせなどは遅れている印象、という見解を示しました。

この見解に対して、河上はデータを組み合わせることでどのように顧客にリーチできるかを質問。西口氏は、「結局、お客さんを理解するしかない」と述べ、目先の売上などの数値だけを見るのではなく、「自分たちのサービスと顧客ニーズとの間に価値を生み出そうとする姿勢」が重要であることを示唆しました。 データの重要性を踏まえて、生成 AI 分野における Microsoft の取り組みについて問われた岡田は、伊藤忠商事の事例を紹介。同社の「FOODATA」は、Microsoft Fabric、Azure AI Studio、Azure OpenAI Service を活用してさまざまなデータを蓄積・可視化し、市場分析やコンセプト策定などの検証を行うことができます。岡田はこの事例のように「AI の進化によってこれまで不可能だったことが少しずつできるようになっている」という見解を示しました。

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続いて河上は、日本の現場重視のカルチャーのなかで、生成 AI などの新しい取り組みをどう進めるべきか、西口氏に意見を求めました。

西口氏は「経営者として常に自分が心がけていること」として、短期的な売上と長期的な利益のバランスを取ることの重要性を強調しました。そして同氏は、自身が感じている AI のポテンシャルとして「なんでもかんでも、ぶちこんだものにロジックを見出すことができる」点を挙げ、3 年間程度の累計売り上げや ID ベースの POS があるのであれば、それを AI で分析して顧客のロイヤリティや購買傾向を分析することを提案しました。

さらに西口氏は、機会損失率という KPI の設定を提案。品切れは大いなる機会損失であるとし、時間単位の売上データと在庫データを組み合わせて AI で分析し、品切れ問題に対処する方法を示しました。西口氏は「自分がもしまた小売を担当したら、これはやりたいと思っています」と、これらの分析を通じてロイヤル カスタマーの維持と新規顧客獲得のバランスを取ることが重要であることを示唆しました。

最後に河上は、西口氏の提言を受けての Microsoft としての意気込みを岡田に促しました。岡田は「まずはお客さまとお話しをしたいと思います。一歩ずつ、一緒にやっていきましょう」と参加者に語りかけ、Microsoft の持つアセットを活用しながら流通小売業界に適した KPI や進め方をともに見出していく意向を表明しました。 これを受けて河上も「皆さまと一緒に何ができるかを真剣に考えていきたいと思います」と会場参加者と配信視聴者に語りかけ、パネル ディスカッションを終了しました。

パネルディスカッション風景2
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全三回にわたって展開された Microsoft Retail Open Lab はこれにて一旦終了となりますが、第三回を終えてみて、急速な進化を続ける生成 AI 技術とそれに対する期待、そして課題に対応するためにも、継続的に情報共有の機会を設ける必要性を強く感じました。日本マイクロソフトはこれからも、さまざまな場面で流通小売業界の皆さまを支援し続けてまいります。 

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スマーター・リテイリング・フォーラム 2024 Retail Unlocked 〜 AI で解放するリテールのポテンシャル http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/04/23/smarter-retailing-forum-2024-event-report/ Tue, 23 Apr 2024 08:19:02 +0000 2024 年 3 月 13 日(水)に日本マイクロソフト主幹で開催された「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」(以下 SRF 2024)では、「Retail unlocked 〜 AI で解放するリテールのポテンシャル」という副題に相応しく、小売業界において世界的に活用が拡大している AI を大きなテーマとして、Microsoft が提供する AI ソリューションの紹介と「Retail unlocked」を体現する企業・ソリューションの事例紹介が行われました。その模様はオンデマンド配信にてご覧いただけます。

本稿では、日本マイクロソフト 流通サービス営業統括本部  藤井 創一によるセッションや、イオン、セブン & アイ ホールディングスといった小売業界を代表する企業のキーパーソンを招いての DX 推進、AI 活用にまつわるセッション、OPOS 技術協議会および .NET 流通システム協議会からの活動報告など、SRF 2024 で語られた内容の一部をご紹介します。興味を持たれた方は、ぜひオンデマインド配信をご視聴ください。

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スマーター・リテイリング・フォーラムは、流通業におけるユーザー企業と IT ベンダー企業の協業による IT 技術の標準化推進を活動目的として、2004 年に設立されたオープン フォーラムです。(スマーター・リテイリング・フォーラムについて )2024 年 2 月末時点で国内約 500 社の企業が参加する大規模なフォーラムであり、POS システムのインターフェイスを定義する OPOS 仕様、データやアプリケーションのインターフェースの標準化など、さまざまな仕様の検討を行っています。

2024 年 3 月 13 日(水)に日本マイクロソフト主幹で開催された「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」(以下 SRF 2024)では、「Retail unlocked 〜 AI で解放するリテールのポテンシャル」という副題に相応しく、小売業界において世界的に活用が拡大している AI を大きなテーマとして、Microsoft が提供する AI ソリューションの紹介と「Retail unlocked」を体現する企業・ソリューションの事例紹介が行われました。その模様はオンデマンド配信にてご覧いただけます。

本稿では、日本マイクロソフト 流通サービス営業統括本部  藤井 創一によるセッションや、イオン、セブン&アイ・ホールディングスといった小売業界を代表する企業のキーパーソンを招いての DX 推進、AI 活用にまつわるセッション、OPOS 技術協議会および .NET 流通システム協議会からの活動報告など、SRF 2024 で語られた内容の一部をご紹介します。興味を持たれた方は、ぜひオンデマインド配信をご視聴ください。

「生成 AI と小売業の未来」

オンデマンド配信:「生成 AI と小売業の未来」

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
常務執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX 本部長
齋藤 正記 氏

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長
河上 久子

このセッションは、齋藤氏によるセブン&アイ・ホールディングスの生成 AI 活用の現在地に関する講演と、齋藤氏と日本マイクロソフトの河上によるトークセッションに分けて展開されました。

齋藤氏によると同社は、「生成 AI ファースト」を合言葉に、生成 AI の有効活用による DX の加速を推進。生成 AI の理解と体得を目指す AI の概論研修とプロンプトデザイン研修を開催し、2024 年度中に経営陣からミドルマネジメント、ひいては全社員を対象として裾野を広げていく計画です。
それに先んじて開催された選抜メンバーによる生成 AI プロンプトデザインワークショップを示しながら齋藤氏は、「新しいものに取り組む様子はとても楽しそう。こういった活動を徐々に広めていきたい」と語ります。

また同社では、既存、新規を問わず「生成 AI を使ってみたらどんな効果があるか」を見極める取り組みを実践。すでに、会員向けメール配信の最適化や英語文書の表現統一など、いくつかの検証プロジェクトを進めているといいます。齋藤氏は店舗の課題抽出とその解決方法の提案への活用施策として、質問を投げかけると生成 AI が店舗データから分析結果や関連情報を踏まえて回答を返してくれるシステムを紹介。解決のためのアクションも生成 AI に尋ねることができ、売り場改善につなげることが可能です。

齋藤氏によれば、生成 AI の最大の特徴は、高い IT リテラシーを持たない人材も DX の担い手になれる点。「生成 AI がもたらす革新は、現場の人々が当たり前に生成 AI を活用することにより実現できるはず。そしてその実用例は産業や業種の垣根を超えて共有、連携すべき」であり、こうした流れこそが、生成 AI の活用による DX とその先にある流通革新の実現につながる、と訴えかけました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した齋藤氏

ここで河上が登壇。生成 AI を積極的に活用している企業とそうでない企業との間にギャップが生まれてきている我が国の小売業界の状況に対して、齋藤氏にセブン&アイ・ホールディングスにおけるこの 1 年間の取り組みや導入への壁について問いかけました。齋藤氏によると、セキュリティを不安視してアクションしないという選択をするのではなく、セキュリティを担保しつつ生成 AI を活用していくことを選択したとのこと。その背景には「生成 AI を活用しないと世の中から置いていかれるかもしれない」という強烈な危機感があったといいます。DX 担当部門が生成 AI の活用環境を整備し、アイデアを示すことで経営層の理解を得ていったそうです。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」で対談する齋藤氏と河上

今後セブン&アイ・ホールディングスでは、AI アシスタントを導入してノウハウやナレッジを蓄積させていく予定ですが、齋藤氏は「基本的な概念を学習したうえでないと普及は難しい」と、慎重な導入・運用の必要性を強調。河上も「ツールだけ配っても使ってもらえなければ意味がありません。人材育成を並行して進める点は非常に参考になると感じました」と同意します。
また齋藤氏は、「効果の実感しやすい業務改善に目が行きがちだが、生成 AI は顧客体験など新たな価値を生み出す部分でこそ効果を発揮するはず」と、最終的な目標として外向けの価値創造を見据えながらも、まずは裾野を広げることが大切である点を示唆しました。
そして最後に齋藤氏は、生成 AI の進化スピードは非常に速く、数ヶ月もすると新たな展開が生まれてくるため、業界内でひんぱんな意見交換の場を持ち続けることが大切であることを強調。河上は、同社に「リーディングカンパニーとして、業界全体にベストプラクティスを共有してほしい」と期待を伝えて、セッションは終了となりました。

「Retail Unlocked 〜 小売業 DX の取組と事例のご紹介〜」

オンデマンド配信:「Retail Unlocked 〜 小売業 DX の取組と事例のご紹介〜」

スマーターリテイリングフォーラム事務局
OPOS 技術協議会・.NET 流通システム協議会
代表幹事
日本マイクロソフト株式会社
藤井 創一

藤井は、事例を交えながら小売業界の AI 活用における Microsoft の取り組みについての講演を行いました。まず、2024 年 1 月に開催された National Retail Federation(NRF)の年次カンファレンスでも AI が大きなキーワードになっており、小売業に大きな経済効果をもたらすと期待されていたことを報告。基調講演や各セッションの内容は、「リテールメディア」「サプライチェーンの強化」「顧客体験の向上」そして「従業員支援」の 4 つのテーマに集約されていたことを示します。
そして、「NRF では “AI 祭り”という言葉も出るくらい、ひとつの大きな流れになっていることを実感しました」と藤井。その言葉を裏づけるように、生成 AI の市場規模は小売業だけ見ても 4000 億ドルから 6600 億ドルに増加、経済効果は Microsoft が発表した試算で 1 ドルの投資に対して 3.45 ドルのリターンが見込めるという数値を示し、AI 活用に取り組んだ企業は確実に差別化に向けた道筋がつけられていると、その可能性を強調します。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した藤井

ここから話は、Microsoft の取り組みの紹介に移ります。Microsoft は OpenAI社と協業して、最新の生成 AI ソリューションを提供しています。小売業界においては、製品デザイン開発からコンタクト センターにおける AI アシスタント、システム開発におけるコードの自動生成に至るまで、バリュー チェーンの End to End で AI の活用が進んでおり、アジアを見ても AI 活用の検討が加速していると藤井。我が国でも、87% の企業が AI を積極的に活用する段階にあることを示します。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にてマイクロソフトの小売業向け取り組みを紹介する藤井

「これらを踏まえて、私たちは “Retail Unlocked” というキーワードを提唱しています」と藤井。本セミナーのタイトルにも使われているこの言葉には、小売業と AI を組み合わせることによって「データによる新たな価値創出」「顧客エンゲージメントの向上」「リアルタイムなサプライチェーン」「従業員の業務効率化と働き方改革」という 4 つの象限に対して、そのポテンシャルを解放するための基盤を提供していく、という Microsoft の思いが込められています。

藤井はここから、Microsoft のクラウド製品とパートナー企業のクラウド ソリューションを組み合わせて小売業の DX を支援する、クラウド プラットフォーム「Microsoft Cloud for Retail」を活用した事例紹介を展開していきます。

まず海外の事例として、欧州の小売業大手カルフールを紹介。同社では Web サイトに AI アシスタントを導入し、顧客の予算やアレルゲンといった制約事項に応じた商品提案を行っています。また米国の小売業最大手ウォルマートも、顧客エンゲージメントと従業員支援に AI を活用するアプリケーションを開発。生成 AI に相談しながら買い物を進められる購買体験の向上や、生成 AI を相手に壁打ちすることでマーケティング企画の精度を高める業務効率化を図っています。

カルフールやウォルマートといった世界最大級の小売業者が AI に取り組み始めたことは非常に大きなトピックであり、今後全世界で具体的な動きが強まってくるという予想を示す藤井。ここからさらに国内の先進検証事例を紹介していきます。
まず、セブン銀行では多様化する ATM サービスの利便性を上げる対話型 AI アシスタントの導入を計画中です。またイオンでは、EC サイトの商品情報の自動生成に AI を活用して、顧客へのよりよい情報提供と業務効率化を推進しています。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にて海外における AI 導入の事例を紹介する藤井

こうした先進事例が積み上がりつつある現状を示しつつ、藤井は「使わなければいけないことはわかっているけれど、どういう方向で使えばいいのかわからないという小売業者の皆さまの悩みに対しても向き合っていかなければならない」と語り、NRF に参加された小売業者とのディスカッションエピソードを示しました。「小売業では経営者や従業員の貴重な知見を軸足にしながら、その意思決定や業務改善プロセスを、データ起点で革新していくことが求められている。生成 AI の価値は、今まで DX プロジェクトで取り込めきれなかったこういうリソースを巻き込んでいく際にも有効なのではないか」さらに、日本マイクロソフトが開催する「Microsoft Retail Open Lab」を紹介します。
このラボは、生成 AI の活用によって、日本の小売業のポテンシャルを解放するために、計画と実践における情報の共有と、オープンなコミュニケーション機会を提供することを目的として創設されたもの。2023 年 6 月と 12 月に開かれた会合では、有識者による貴重な示唆や、メルカリ、住友商事、日清食品といった企業各社による先進的な生成 AI 取り組み事例や課題の共有、また AI ソリューションの実装に伴走するパートナーの紹介が行われました。
「さらに今年の上半期にも、皆さまに成果を持ち寄っていただく機会を作ろうと思っています。ぜひ今日ご参加いただいた皆さまにもお声かけさせていただきたい」と藤井。小売業界全体で取り組みを進める重要性を改めて訴えかけて、セッションを締めくくりました。

Retail Open Lab 第一回セミナー 現場レポートはこちら

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「DX 革新を加速させるイオンの現在地」

オンデマンド配信:「DX 革新を加速させるイオンの現在地」

イオン株式会社
CTO
兼 イオンスマートテクノロジー株式会社
取締役 CTO
山﨑 賢 氏

イオンスマートテクノロジー株式会社
CTO室 SRE チームリーダー
香西 俊幸 氏

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員アプリケーション統括本部長
榎並 利晃

本セッションでは日本マイクロソフト榎並がファシリテーターを務め、イオングループ CTO の山﨑氏とイオングループの DX を担うイオンスマートテクノロジーで SRE の主軸を担う香西氏を招いて、イオンの取り組みについての対話が展開されました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した山﨑氏、香西氏、榎並

まず、イオン グループにおける DX の現在地について山﨑氏は、「中に入ってみると上層部の理解もあり、DX の知見も豊富なことに驚きました」と語り、その背景には M & D を繰り返して成長してきたイオン グループならではの、異文化を受け入れて全社に展開する文化があるのではないかと推測。香西氏も、巨大なグループであるにもかかわらずレガシー システムが少なく、クラウド ネイティブな技術も積極的に導入されていて技術的にもチャレンジできる環境、と評価します。

イオン グループの開発プロセスにおける生成 AI の活用についての質問に対して山﨑氏は、「生成 AI によってエンジニアの生産性が大幅に向上する可能性がある。これを活用しないことは機会損失」という捉え方を提示。香西氏も「GitHub Copilot は、もはやなかった頃が考えられないくらい快適で、今後はこれまで積み上げてきたものが形を変える世界線に突入するのではないか」と、エンジニアとして大きな期待を抱いていることを示唆し、SRE 領域でも AI を活用したオペレーション改善を検討していると語りました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」で対談する山﨑氏、香西氏、榎並

また、巨大 B to C 企業でエンジニアとして働く価値と醍醐味についての質問に対して山﨑氏は、「ベンチャーと大企業の違いは規模だが、本質は課題解決。大企業ならではのしがらみは存在しない前提でふるまうべき」と、CTO としての心構えを提示。一方で大企業にありがちなコミュニケーションやナレッジの共有という課題については、コストにシビアな小売業者だからこそ、成功事例は伝播しやすい。つまり「サクセス ファースト」の考え方が鍵を握るのではないか、と語ります。また香西氏は、小売業にはエンジニアリングの介在する余地は想像以上に存在しており、店舗や売り場をひとつのシステムに見立てて SRE 的なアプローチを適用できないか、との考え方を示しました。

最後に「経営層に言いたいこと」について問われると山﨑氏は、「エンジニアをプロセスではなく、最終的な価値で判断してほしい。エンジニアの生産性は何時間働いたかではなく、市場から何を得られたかで図るべき」と示唆深い言葉で回答。イオンの役員はそれができているので、非常に働きやすいと語ります。重ねて、「今回のイベントで多くの仲間の存在を心強く感じました」と述べ、一社だけでなく日本のリテール全体を変えていくことが重要であり、今後も情報交換を続けていきましょう、と会場に呼びかけました。

「POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動アップデート」

オンデマンド配信:「POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動アップデート」

OPOS 技術協議会 技術部会長
NEC プラットフォームズ株式会社
五十嵐 満博 氏

.NET 流通システム協議会 技術部会長
東芝テック株式会社
高橋 伸幸 氏

本セッションでは、SRF を構成する OPOS 技術協議会および .NET 流通システム協議会からの活動報告が行われました。

最初に登壇したのは、OPOS 技術協議会 技術部会長 NEC プラットフォームズ株式会社の五十嵐 満博 氏。OPOS 技術協議会は、POS システムのアプリケーションとデバイス間のインターフェース標準仕様である「OPOS 仕様」の策定と普及を目的とした団体です。五十嵐氏によると、2023 年度の主な活動テーマは OPOS の 64 bit 環境への適用と、次世代の標準仕様に向けた検討でした。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した五十嵐氏

まず前者について、POS システムの動作環境が 32 bit から 64 bit へと移行しつつあるなか、OPOS 仕様も 64 bit 環境に対応する必要があります。五十嵐氏は、64 bit 化に向けて CO や SO の64 bit 対応、.NET 環境への適用などが課題になっているとし、特に SO の対応に関して、POS ベンダーやデバイスベンダーの理解と協力を求めました。
後者のテーマについては、米国 OMG 傘下の RDTF を中心として、しばらく停滞していた次世代の POS の国際標準仕様の検討が再開されたことが報告されました。五十嵐氏は、この次世代仕様の目指すイメージとして、Web サービスによる構築、複数アプリケーションからのデバイス共有、RESTful な制御、JSON ペイロードの活用などを挙げて解説。検討課題としては、デバイスのハンドリング、排他制御に替わるシンプルな制御方法、インプット デバイスの制御、移行に向けた動機づけなどがあるとし、OPOS 技術協議会は、今後も環境の変化を捉えながら、日本の要求事項を踏まえた国際標準仕様の策定と普及に向けた活動を継続していくと述べてセッションを終了しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にて OPOS 64 ビット化について語る五十嵐氏

続いて .NET 流通システム協議会 技術部会長 東芝テック株式会社 高橋 伸幸 氏が登壇。.NET 流通システム協議会では、店舗システムを中心とした XML スキーマとデータモデルの標準仕様策定と普及を行っています。
高橋氏によると同協議会では、2023 年度は特に電子レシート分科会が電子レシート国際標準仕様の策定に参画し、国内要件の反映に取り組んできました。電子レシートの普及により、紙資源の削減や物理レシートの保管が不要になり、データ管理が簡単になるなどのメリットが考えられます。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した高橋氏

同協議会では、2023 年 3 月に Digital Receipt API を OMG(国際標準化団体)に提案し、審議を経て 9 月に合格を得ています。その後ファイナライゼーション タスクフォース(FTF)を設立し、2024 年 3 月に予定されている Digital Receipt API の制定と FTF の終了に向けて活動中です。高橋氏は、電子レシートの標準フォーマットを活用することで、小売業界のデータ活用、例えばリテールメディア ビジネスの拡大などにも寄与できるはず、と力を込めます。
最後に 2024 年度の活動テーマとして、OMG への提案作業の継続、仕様書の改定・検証、技術者向け説明会の実施、事業者要求に応じた仕様書の拡張と最新化などを挙げ、最新の Digital Receipt API 仕様書やドキュメントは、日本マイクロソフトの協議会ホームページで公開されていることを告げてセッションを終了しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にて電子レシートの標準フォーマットの活用について語る高橋氏


「リテールは、IT でもっと楽しくなる?」

オンデマンド配信:「リテールは、IT でもっと楽しくなる?」

株式会社サザビーリーグ
IT 統括 執行役員
石橋 晃 氏

サザビーリーグは、創業以来「わくわくすること」に重きを置いて業務を展開してきました。石橋氏自身も、顧客にダイレクトに喜んでもらえる小売業の楽しさに魅せられたひとりだと自己紹介。かつ、IT 業界での経験から常に新しい領域が生まれ好奇心を刺激される IT も非常に楽しい業界であると実感しており、「リテールは IT を掛け合わせるともっと楽しいことができるのではないか。そして IT も、リテールという巨大な実験場を使ってもっと楽しいことができるのではないか」という仮説を示し、セッションはその検証という形で展開されました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にてリテールを IT と掛け合わせる事について語る石橋氏

同社の IT 部門はこれまでさまざまな DX 施策を推進してきました。石橋氏は、その施策に通底するのは「遊び心」だと語ります。うまくいった部分とそうでない部分があるものの、「当社は “ちょっとやってみたい” 精神を大切にする会社です。たとえ実用に至らなくても許容される文化があります」と石橋氏。当初の目論見通りにはいかなくても、別の場面や用途で使えるノウハウと技術は確実に蓄積されています。

2021 年から取り組みが始められた同社の DX プロジェクトは、「攻め」と「守り」の両面から進められたと石橋氏。「マーケティングや営業関連の攻めの DX だけではなく、インフラやセキュリティ、オペレーション改善といった守りの DX も考えることで初めて本当の DX が実現できるはず」とその意図を語り、DX 施策を解説していきます。
そして、大きな期待を持って来店する顧客の満足度を高めるためには、これからは AI の力が欠かせないとし、需要予測に基づく自動発注、人間関係まで加味されたシフト作成、RFID を用いた在庫管理などのアイデアを示しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」に登壇した石橋氏

「商品カタログの AI 化や、AI がメニューをお勧めしてくれるレストラン、洋服のコーディネートを提案してくれる AI コンシェルジュ。こういったアイデアをどのように実現するか考えるのはとても楽しいです」と石橋氏。冒頭の仮説「リテールは、IT でもっと楽しくなる ?」を「リテールは、AI でもっと楽しくなる !」に変換してみせ、「私たちは、ユーザーとしてもベンダーとしても、今日会場にいらっしゃる皆さまと一緒に、楽しくやっていきたいと思っています」と呼びかけて、セッションを終了しました。

「特化型 AI がもたらす、商業施設の新たな未来」

オンデマンド配信:「特化型 AI がもたらす、商業施設の新たな未来」

株式会社リゾーム
代表取締役
中山 博光 氏

大和ハウスリアルティマネジメント株式会社
不動産本部 SC 事業部 営業部 部長
佐々木 佑昌 氏

中山氏と佐々木氏は、株式会社リゾームが開発した商業施設特化型 AI ツール「PROCOCO AI on Azure」のデモンストレーションをもとに、リーシング業務の効率化についての議論を展開しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」で対談する中山氏と佐々木氏

まず佐々木氏は、ある商業施設に新しい店舗を誘致するという設定で、PROCOCO AI on Azure に商業施設の情報を学習させていきます。そのうえで AI との会話を始め、周辺地域の特性を踏まえた 3 人のペルソナの設定を依頼。このペルソナたちに出店してほしい飲食店を議論させたところ、ヘルシー フード、地元の食材を使った料理、シニア向けのメニューといった提案と、健康、地元の食材、多様性、魅力的な雰囲気といったキーワードが浮かび上がりました。
ここから中山氏が引き継ぎ、得られたキーワードとターゲット層に基づいて、全国のテナント リストから AI に候補となる店舗を抽出させると、候補リストが作成され、店舗のホームページや口コミ情報、出店状況などの詳細情報も提示されました。続けて佐々木氏は、候補店舗への出店依頼メール文面の作成を AI に依頼。すると、瞬く間に商業施設の特徴や顧客ニーズを踏まえた内容のメールが生成されました。

デモンストレーションを終えて中山氏は、PROCOCO AI on Azure における最大の特徴はデータベースであることを強調。インターネット上の情報だけではなく、リゾーム社が持つ商業施設の過去の出退店データや、デベロッパーが持つ売上、賃料などの独自データを組み合わせることで、AI の精度が向上すると指摘します。また、AI の提案が必ずしも正解とは限らないこと、AI の提案を参考にしつつ、最終的な意思決定には経験豊富なベテランの知見が不可欠であることを主張しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にて PROCOCO AI on Azureについて語る中山氏と佐々木氏

これを受けて佐々木氏は、AI の活用によって新たな視点や気づきが得られ、ショッピングセンター同士の差別化に繋がる可能性があることを指摘。「将来的には、AI が売上予測や意思決定支援に活用できるのではないか」と展望を述べ、AI を活用することで、若手とベテランの知識・経験の差を埋められる可能性があることを示唆しました。
最後に中山氏は、AI を活用する上での注意点として、ユーザー自身が成長することの重要性を指摘。ベテランから中堅、新人まで含めてさまざまな人物が使うことで、その集合地を社内資産にしていくことが大切であり、「育児は育自」という言葉を引いて、AI を育てるためには、ユーザー自身が自己研鑽に努める必要があるとの考えを示してセッションを終了しました。

「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」会場前方スクリーン


各セッションのオンデマンド配信一覧

1「生成 AI と小売業の未来」
2「Retail Unlocked ~ 小売業 DX の取組と事例のご紹介 ~」
3「DX 革新を加速させるイオンの現在地」
4「POS とデータ活用を促進する協議会標準化活動アップデート​」
5「リテールは、ITでもっと楽しくなる?」
6「特化型 AI がもたらす、商業施設の新たな未来」

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その熱狂が、世界を変える。Microsoft AI Tour 産業別セッションレポート【流通・消費財】〜リテールと AI との組み合わせで DX のポテンシャルを解放する〜 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/04/15/ai-tour-2024-retail/ Mon, 15 Apr 2024 00:30:20 +0000 Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界11都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこのMicrosoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。
Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションとブースが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。本稿では、Microsoft AI Tour の 基調講演と、リテールにおけるセッションやブースについてご紹介します。

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AI 元年とも呼べる 2023 年から AI ソリューションの進化は止まることを知らず、全世界をうねりに巻き込んでいます。もはや AI が、インターネットやスマートフォンと同じく、世界を変革する新たなインフラになることは間違いないでしょう。

Microsoft ではこの動きをさらに加速すべく、「ビジネスの変革」をテーマとして世界 11 都市で Microsoft AI Tour を開催。各地で意思決定者及び開発者向けの多彩なプログラムが展開され、大きな盛り上がりを見せています。

2023 年 9 月 13 日の米国ニューヨークを皮切りとして世界中を巡回するこの Microsoft AI Tour は、2024 年 2 月 20 日に日本に上陸しました。会場となった東京ビッグサイトには開催を待ちかねた大勢の方々が押し寄せ、まさに熱狂の 1 日となりました。

本ブログ記事では、基調講演、及び、その後行われた流通・消費財に関するセッションについてご紹介します。動画視聴リンクもございますのでぜひご覧ください。 

AI Tour Tokyo Connection Hubの様子

基調講演
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」

AI Tour Tokyo Keynote

基調講演には、3000 名を超える来場者のほとんどが参加し、会場は熱気に包まれました。冒頭、日本マイクロソフト代表取締役社長の津坂美樹は、このイベントの目的を「AI の力でビジネスの成長を加速し、新たなソリューションやノウハウの交換を促進すること」であると語り、「Copilot は、Microsoft のミッションである “地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする” をまさに体現するプロダクト。今日から “AI 筋力” をつけるために Copilot を使い続けてほしい」と挨拶しました。

AI Tour Tokyo Keynoteでの登壇したMicrosoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏

続いて登壇した Microsoft エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏は、AI を「グラフィカル ユーザー インターフェース、モバイル、クラウドといったプラットフォーム シフトの中で、最も大きな規模の変革をもたらすもの」と捉えているとし、Microsoft の製品の開発や提供における方向性や戦略の解説を展開しました。

さらに先進 AI ユーザー企業である本田技研工業社とサイバーエージェント社からのゲストスピーカーと語らいながら、AI によるビジネス変換は未来の話ではなく、すでに現在進行形で行われているものであり、AI の徹底活用こそが、今後の競走優位性のカギとなることを会場に示しました。

最後に沼本は、AI トランスフォーメーションを実現するための Microsoft の取り組みについて総括。AI 活用の鍵は技術だけでなく事業戦略、組織、文化の課題であり、Microsoft はそれらを解決するための知見を持っていることを強調。「少子化、高齢化の進む我が国にとって国民一人ひとりの労働生産性を上げることは至上命題。そこに AI が貢献する機会は大きい」と、ここに集った日本の企業が AI 活用をリードする未来への期待を述べて、セッションを終了しました。

基調講演の視聴はこちら
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」


[リテール] ブレイクアウト セッション
「AI が放つ、小売業の未来とその可能性」

Microsoft AI Tour では、インダストリごとに特化したセッションが展開され、それぞれの業界からの参加者が熱心に耳を傾けていました。

リテール業界向けのブレイクアウト セッションでは、『AI が放つ、小売業の未来とその可能性』と題して、日本マイクロソフト代表取締役社長の津坂と、アジア リージョンのリテール & 消費財部門リード Irving Lee による講演が行われました。

まず登壇した津坂は、AI 一色だった「NRF(National Retail Federation)2024」を振り返りながら、国内外のユースケースを紹介していきます。そして最近は、AI の投資対効果(ROI)についての質問を非常によく受けることを明かし、リテール業界では 1 ドルの投資で 3.45 倍のリターンがあること、さらに先行投資をしていた企業は 8 倍ものリターンを得たことを示します。

リテールブレイクアウトセッションで登壇した津坂

続いてマイクロソフトがリテール業界向けに注力している 4 つの領域を紹介。一つ目は「データによる新たな価値創出」。二つ目は「顧客エンゲージメントの向上」。三つ目は「リアルタイムなサプライチェーン」。そして「従業員の業務効率化 働き方改革」。津坂は具体的な取り組みとして、Copilot のテンプレートを活用した新たな購買体験の提供や店舗業務の支援、そして Microsoft Fabric を活用した新たなデータベース統合ソリューションを挙げてみせます。

最後に津坂は、AI の活用には技術だけでなく、企業文化や働き方の変革も重要であると指摘。「トップがどうカルチャーを固めていくか。下の声やまんなかの声をどのように聞くか。この合わせ技で会社は変わっていく」と参加者に語りかけました。

リテールブレイクアウトセッションで登壇した Irving

続いて Irving が登壇。まず最初に、日本では生成 AI の認知度は非常に高く、先進企業では積極的な導入を進めているものの、実際の導入率は米国やオーストラリアなどと比較すると大きく見劣りしているというデータを示します。

Irving はこの原因について、「日本企業が自ら AI 実装に高い障壁を設けて慎重になってしまっている点にある」と指摘し、日本における生成 AI の先進的なユースケースを紹介。

WEMEX 社が開発した薬剤師のための業務支援アプリでは、薬剤師と患者の服薬指導時の会話を、生成 AI がわずかな時間で薬歴記録の特定フォーマットに変換。これによって薬剤師は事務作業を大幅に省け、患者の満足度向上にもつなげることができます。また日清製粉グループが導入した独自の対話型 AI「NISSIN-GPT」は、2023 年 4 月に同グループの従業員に向けて公開され、さまざまな局面で業務効率化に役立てられているそうです。

Irving によると、バリューチェーンにおける生成 AI の活用は、一般的にはまず財務や HR、法務、企業知識といったコーポレート機能が対象となります。また、バリューチェーンの各フェーズにおいても生成 AI を活用可能なシチュエーションが存在しており、幅広い業務に効果をもたらすことができる」と Irving 。

津坂からは「マイクロソフトでは、特にカスタマーサービスやディベロッパー支援において活発に生成 AI が活用されています。すべてを同時にやるのは大変なので、一番効果がありそうなところから AI を使っているのが現状だと思います」と、実体験に基づいたコメントが追加されました。

リテールブレイクアウトセッションで登壇した津坂と Irving

Irving は、生成 AI の業務ごとの適用と成果について議題を進め、アジアのトップ小売企業が達成した成果の例を提示。ウォルマート社がマイクロソフトと協働した生成 AI への取り組みを発表したことにも触れ、すでにグローバルでは多くの AI 運用実績が存在していることを示します。

そして最後に、「鍵となるのは経営層によるコミットメント」であることを強調。生成 AI は数十年に一度の顧客の期待や行動を急速に変化させる重要な技術であり、その進化はとても急速です。Irvingは「経営層がバリューチェーン全体で生成 AI を検討し、主要なビジネス機能および顧客体験のどこに高いインパクトを与えられるかというビジョンを持つことが重要」と語って、セッションを終了しました。

[リテール] シアター セッション
「Retail unlocked AI で解放するリテールのポテンシャル」

リテールシアターセッションで登壇した藤井

シアター セッションでは、マイクロソフトコーポレーション藤井が、流通業界における課題と、それらを解決するためのマイクロソフトの取り組みについて紹介しました。

はじめに、藤井は 2024 年 1 月にニューヨークで開催された NRF’24(全米小売業協会主催イベント)の様子について紹介。全世界から 4 万人が集まった同イベントで掲げられた今年のテーマは、「Make It Matter」。新事業「リテールメディア」、顧客体験の向上、サプライチェーン強化、従業員支援など、流通業界のテーマ・課題に対して、不断の努力の中で「成果につなげていく必要がある」とされるなか、「今後の流通業の変革を促進するうえで、AI の活用に大きな可能性があることが共通認識された大会だった」と藤井。さらに、さまざまな調査機関やメディアでも、流通業界における AI によるインパクトの大きさが取り上げられていることに触れ、「全世界の流通業が、自身のバリューチェーン全領域で、生成 AI 活用可能性の検討を開始している状況」と話します。

こういった背景を踏まえて、藤井は、マイクロソフトの流通業向けの新たなコンセプトを紹介しました。「これまで、厳しい状況の中で回復性(レジリエンス)を念頭に、データ・顧客・サプライチェーン・従業員の4つを論点として、お客様のデジタルトランスフォーメーションプロジェクトを支えることを活動の方向性にしてきました。今年の我々の新しい方向性が『Retail unlocked』。AI を活用して 同様の 4 つの論点で、流通業のポテンシャルを解放していこうという考え方です」と藤井。

リテールシアターセッションにて Retail Open Lab を紹介する藤井

マイクロソフトはこれまで、流通業界向けの DX 基盤として「Microsoft Cloud for Retail」を提供してきましたが、今後、最新の AI と Microsoft Cloud for Retail に融合させることによって、これをさらに進化させていきます。一例として、本年 1 月にプレビュー版としてリリースした新たなサービス、顧客の買い物や従業員の業務をアシストする生成 AI 機能を迅速に実装するための「Copilot テンプレート」を紹介。これによって CES2024 でウォルマートが発表した、同社顧客・従業員向け AI アプリケーションと同様の機能実装を迅速に実現できるようになると述べました。また、日本国内の流通事業者が生成 AI を理解し活用していくためのオープンコミュニティ「Microsoft Retail Open Lab」や、共同で生成 AI プロジェクトを推進するための「Microsoft AI Co-Innovation Lab」の設置など、AI を知ることから、活用領域・シナリオの検討、実際に実装するところまで、マイクロソフトは伴走型でサポートしていくことを述べました。

最後に藤井は、「生成 AI 時代の信頼できるデジタル基盤と価値を提供し、パートナーと共に流通業の皆様をご支援していきます。マイクロソフトの Retail Unlocked の取り組みに、ぜひご期待ください」とセッションを締めくくりました。

リテールブースでは、顧客・従業員・マーケターごとの AI 活用シナリオを紹介

AI Tour Tokyo リテールブース

リテールブースでは、お客さま、従業員、マーケター向けにシナリオごとの生成 AI 活用シーンを紹介しました。

お客さま向けの AI 活用では、顧客体験の向上が期待できます。例えば、EC サイトを訪れたお客様がこれから初めてキャンプをする方で、どの商品を選べば良いかわからないようなケースでは、自然言語で質問をするだけで、自分にフィットする商品を AI が提案してくれます。

従業員向けのシナリオでは、Power Platform と Teams を組み合わせることで、端末を用いたタスクの登録が可能に。「店内で障害を見つけた」「ストック不足が発生している」などのトラブルに対して迅速に対応できます。また、新入社員など接客に不慣れな従業員でも、端末上で自然言語を使って返品方法の問合せや対応などができるようになります。管理職は、従業員からの問い合わせの件数や内容を可視化し、データ分析をすることも可能です。それにより、従業員が回答に対して満足したかどうか知ることができます。

また Dynamics 365 Customer Insights の、Copilot を活用したマーケター向けのシナリオも紹介されました。例えば、自然言語でキャンペーン用の画像を生成したり、どちらのキャンペーンが数字を取れそうかといった相談を会話形式でしたりすることも可能です。

顧客にとってはより便利なショッピング体験を、従業員、マーケターにとっては大幅に生産性を高めることができる Copilot の機能を肌で感じることができる展示でした。

基調講演の視聴はこちら
「AI トランスフォーメーションと変革を推進する Microsoft Cloud」




関連ページ:Microsoft AI Tour〜ビジョンをアクションに移す

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激動の 1 年を振り返り、生成 AI が起こした大きな波を肌で感じる貴重な機会。Microsoft Retail Open Lab 第二回セミナー「流通業における生成 AI 実装・半歩先の課題を解決する」現場レポート http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2024/02/20/retail-open-lab_seminar2_1205/ Tue, 20 Feb 2024 00:47:50 +0000 日本マイクロソフトは 2023 年に「Microsoft Retail Open Lab」を発足しました。Microsoft Retail Open Lab では、セミナーやワークショップなどの実行支援策を流通企業に提供することで、参加流通企業間及び IT ベンダー(パートナー)間のオープンなコミュニケーションを通じて共創を誘発し、より多くの企業が生成 AI 活用を通じて成果を得られるように、施策を順次展開しています。

第一回の好評を受けて、2023 年 12 月 5 日には第二回セミナーが開催されました。「流通業における生成 AI 実装・半歩先の課題を解決する」と題された本セミナーでは、この半年でさらに進化を遂げた生成 AI に関する情報共有と、先進企業の事例紹介を中心としたプログラム構成で、生成 AI が世界を席巻した激動の1年間において、真摯に生成 AI と向き合ってきた現場の生の声を聞ける貴重な機会となりました。本稿ではその模様をレポートします。

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※オンデマンド配信一覧はこちら


生成 AI は「人」の能力を高度に補完し、企業のさまざまな変革推進に寄与する可能性があると期待されています。
マイクロソフトは OpenAI 社とのパートナーシップなどを通じて、現在この生成 AI の潮流をリードしています。そしてこの数年[Microsoft Cloud for Retail]といった施策を推進し、国内外流通(小売/消費財製造業)企業の DX プロジェクトに伴走しており、流通企業 DX のさらなる推進に向けて、生成 AI 活用の取り組みを支援しています。

そんななか、日本マイクロソフトは 2023 年に「Microsoft Retail Open Lab」を発足しました。Microsoft Retail Open Lab では、セミナーやワークショップなどの実行支援策を流通企業に提供することで、参加流通企業間及び IT ベンダー(パートナー)間のオープンなコミュニケーションを通じて共創を誘発し、より多くの企業が生成 AI 活用を通じて成果を得られるように、施策を順次展開しています。

Microsoft Retail Open Lab では、2023 年 6 月 30 日に記念すべき第一回目のセミナーを「知る」をテーマとして開催。オンラインを含む約 500 名の参加者は企業の垣根を超えて議論を交わし、生成 AI の現在地に対する理解を深めました。

第一回の好評を受けて、2023 年 12 月 5 日には第二回セミナーが開催されました。「流通業における生成 AI 実装・半歩先の課題を解決する」と題された本セミナーでは、この半年でさらに進化を遂げた生成 AI に関する情報共有と、先進企業の事例紹介を中心としたプログラム構成で、生成 AI が世界を席巻した激動の1年間において、真摯に生成 AI と向き合ってきた現場の生の声を聞ける貴重な機会となりました。本稿ではその模様をレポートします。

ROL会場の様子

エコシステム全体をフォローするマイクロソフトの AI 活用ソリューション

セミナーの前半は、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長の河上 久子の開会挨拶に続いて、日本マイクロソフトによるふたつのセッションが展開されました。

開会挨拶

日本マイクロソフトセッション 1
「AI 時代のインテリジェントアプリへのパラダイムシフト」

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 クラウド & ソリューションズ事業本部 インテリジェントクラウド統括本部統括 本部長
大谷 健

セッション登壇者 1

大谷はまず、マイクロソフトがここ数年間でリリースしてきた対話型のアプリケーション「インテリジェントアプリ」を紹介しながら、「AI はあくまでCopilot(副操縦士)であり、人間の支援をするもの」であると、マイクロソフトの AI に対するスタンスを示します。

そして Bing Chat を例に取り、「“ ググる ”という言葉はもう古い言葉になるかもしれません」と語り、「これからは、 “ リサーチする ” という考え方から情報を生成するために“ 問いかける ” という方向に考え方を変えなければ、インテリジェントアプリは使いこなせません」と、AI との向き合い方を示唆します。

インテリジェントアプリへのパラダイムシフト

セッション後半では、流通小売業のグローバル活用事例の紹介が行われました。大谷は AIを活用して新しいユーザー体験の提供や業務生産性の向上といった成果を挙げている企業の事例を示し、共通する特徴として「見たことも聞いたこともないということをやっているというよりは、生成 AI に単純作業を任せて、空いた時間を人間しかできない仕事に振り向けている」ことを挙げます。

最後に大谷は「インテリジェントアプリをゼロからつくるのは時間がかかりますから、それをサポートするテクノロジーをぜひ活用してください」と、マイクロソフトが 11 月に開催したイベント「Microsoft Ignite 2023」で発表された数々の生成 AI ソリューションを紹介。あらゆる局面から生成 AI の活用を支援するマイクロソフトをアピールしてセッションを終了しました。

日本マイクロソフトセッション 2
「Microsoft AI CO-Innovation Lab Japan(Kobe)のご紹介」

Microsoft AI CO-Innovation Lab Kobe
所長
平井 健裕

セッション登壇者 2

次のセッションでは、神戸に開設された「AI Co-Innovation Lab KOBE」について、所長の平井 健裕が紹介を行いました。

世界で 6 拠点目となる同施設では、AI や IoT を活用したイノベーションの創出と産業振興を目指しており、AI を活用して企業の DX 課題の解決をサポートします。これまでに全世界で 800 を超えるエンゲージメントを支援しており、マイクロソフトは One-to-One のスプリントスタイルで顧客企業に伴走します。

平井は、原則無償でラボのスペースやソリューションを利用でき、常駐するエンジニアのサポートを受けられる点、自社開発したシステムの POC も行え、なにより最終的な成果物は企業側に 100% 帰属する点など、非常に使い勝手のよい施設であることをアピール。「ぜひご利用いただきたい」と参加者に呼びかけました。

Microsoft AI Co-Innovation Lab 簡易説明

多くの学びが得られた先進企業の生成 AI 活用事例

後半のセッションでは、住友商事株式会社、日清食品ホールディングス株式会社、株式会社メルカリの 3 社による生成 AI 活用事例についての講演が行われました。各社の取り組みは非常に先駆的なものであり、参加者にとって多くの学びが得られる貴重な時間となりました。

先進事例セッション 1
「住友商事における生成 AI の活用について」

住友商事株式会社
IT 企画推進部
伊庭 甫 氏
浅田 和明 氏

セッション登壇者 3

伊庭氏によると同社では、2023 年 4 月に CDO と CIO 直下に組織横断型の生成 AI 活用ワーキンググループを立ち上げて、生成 AI の実装による既存事業の高度化および経営のデジタル化、開発した事業の社外への横展開によるサービスモデル化およびインテグレータ事業の設立を目指しています。
このワーキンググループでは SC-Ai Hub(スカイハブ)と呼ばれる COE 組織を設置。この組織には同社の子会社で DX 技術専門会社であるInsight Edge社も参画しており、要件定義や開発におけるスピーディーな取り組みに大きな役割を果たしていると伊庭氏は語ります。

SC-Ai Hub では、Microsoft Teams 内にコミュニティを立ち上げてセミナー情報やガイドラインの発信や、システム構築相談への対応などを行なっています。本セミナー開催時で 800 名ほどの参加があり、38 件のアプリ相談案件が寄せられているそうです。

SC-Ai Hub の役割

伊庭氏曰く、COE としての SC-Ai Hub が存在することで、新規事業の開発から POE までまとめて対応できるだけでなく、類似案件については既存のパッケージ化されたシステムを横展開できる利点があるとのこと。また、SC-Ai Hub ではマイクロソフトの「ユニファイドサポート」を導入しており、最新情報の提供や実装に関する相談対応といったサポートを受けられる体制を整えているそうです。

続いて、スカイハブが構築した「社内ルール検索チャットボット」「業務特化型生成 AI ソリューション」「意思決定支援ソリューション」の 3 つのアプリケーション事例について、浅田氏から紹介が行われました。

セッション登壇者 4

業務特化型生成 AI ソリューションのひとつとして紹介されたのは、「世界情勢の分析レポート生成アプリケーション」。グローバルでビジネスを行う同社では、世界中のさまざまな地域における社会・政治・経済情勢がビジネスに大きな影響を与えるため、世界のどこかで異常値が発生した場合には速やかにレポートをまとめてマネジメント層に報告する必要があります。「このアプリケーションには、レポート作成報告業務の効率化・高度化を担うことが期待されています」と浅田氏。

開発中のパッケージ

また「社内外の注目度が高い」(浅田氏)という「意思決定高度化ソリューション」は、総合商社として投融資の是非を判断する際に、同社が持つ過去20年の投融資データをもとに生成 AI にさまざまな観点からの判断材料を提供させて、投融資の判断を高度化しようとする取り組みです。
浅田氏によるとこのソリューションでは、地域や投融資の形態などのフラグを付帯させることで回答精度を向上させる技術が用いられているそうです。浅田氏は、「今後は人間の判断をサポートするレベルまで精度を向上させたい」と語ります。
さらに同社では、今後は共通のクラウド基盤を構築したうえで、SC-Ai Hub の取り組みを海外拠点に横展開させ、高度化の加速を図っていく構想を抱いているそうです。

最後に伊庭氏は「自社開発にこだわるのではなく、SaaS をできるだけ使い倒していく」ことが生成 AI 活用のポイントであり、精度を必要とされるソリューションに関しては自社開発も視野に入れた開発を行いつつ、Microsoft 365 などの SaaS サービスの Copilot 機能をフル活用することで身近な業務を効率化していくことも大切、と語ってセッションを終えました。

先進事例セッション 2
「日清食品に見る現場に根ざした生成 AI 活用の推進」

日清食品ホールディングス株式会社
執行役員 CIO グループ情報責任者
成田 敏博 氏

セッション登壇者 5

セッション冒頭で成田氏は、「日清食品をご紹介する上でひとつの象徴的な言葉をお伝えします」と述べて「カップヌードルシンドローム」という言葉を紹介します。同社では、国民の誰もが知るブランドにあぐらをかいて大企業病に陥ってしまいかねない危機感をこの言葉に込めており、経営トップから常に発信し続けているのだそうです。

そんな社風を持つ日清食品は近年、デジタルを駆使して自社を改革していく方針を会社として打ち出しており、今から数年のうちに生成 AI を駆使したルーチンワークの 50% 削減や工場の完全無人ラインの開発を目指しています。
そして同社では現在、Azure Open AI Service をエンジンとして、ユーザーインターフェイスを Power Platform で構築した、「自社版 Chat GPT」とでも言うべき「NISSIN AI-chat powered by GPT-4 Turbo」を開発し、検証を行なっているそうです。

成田氏によると、その発端は入社式で同社 CEO の安藤 宏基 氏が新入社員に投げかけた激励メッセージにありました。そのメッセージは Chat GPT を使って生成されたものであり、「このようなテクノロジーを賢く駆使することで多くの学びを得てほしい」という CEO の思いが込められていました。

このメッセージは、新入社員への激励に留まるものではなく全社員に向けたものとして社内に広まり、成田氏は「IT を担当している自分たちができる限り早く生成 AI を活用した業務の検証ができる環境を整えなければならない」と、部門に戻るやいなやプロジェクトチームを結成、取り組みを開始したそうです。

プロジェクトチームでは、まずはセキュリティとコンプライアンスというテーマでリスクへの対応策を議論し、社内向けガイドラインを策定。Azure Open AI Service での専用環境構築に 2 週間を費やし、関係各部門との調整を経て、4 月 3 日の入社式から 3 週間足らずで NISSIN AI-chat powered by GPT-4 Turbo をリリースするに至りました。

さらにリリース後は周知啓蒙に努め、ユーザー説明会の開催や社内報での連載記事掲載、社内ポータルやデジタルサイネージでの告知を展開。また、仕組みをつくって終わりではなく、全社を巻き込んだ取り組みとしてドライブさせるために、まずは対象部門を絞って集中的なスキル向上と効果検証を行い、それを成功事例として社内の横展開に繋げる流れで普及と活用促進を図っているそうです。

プロジェクト実施内容

そして 2023 年末現在、12 の部門で NISSIN AI-chat powered by GPT-4 Turbo が活用できそうな業務の洗い出しと、効果的かつ汎用的なプロンプトの検討が行われており、2024 年初からはグループ企業への展開も予定されていると成田氏。
同氏は、「生成 AI には、人間が今まで考えていたことを少しずつ肩代わりしていける余地があると思っています」と語り、NISSIN AI-chat powered by GPT-4 Turbo のリリース経験から、AI 活用のポイントとして「社内情報を把握している AI をつくり、各業務システムと連携させる」「AI 利用を前提とした業務プロセスを確立する」の 2 点を挙げます。

生成 AI 活用の更なる拡充に向けた 2 つの軸

最後に成田氏は、上司からかけられた「やってみなければできるかどうかもわからないのだから、失敗してもいいからどんどんやりなさい」という言葉とともに、「今私たちは非常に面白いタイミングを経験していると思います」という未来志向のメッセージで、セッションを締めくくりました。

先進事例セッション 3
「メルカリ生成 AI/LLM 専任チームの取り組み」

株式会社メルカリ
執行役員 VP of Generative AI/LLM
石川 佑樹 氏

セッション登壇者 6

石川氏によると、同社では以前から AI の導入を推進しており、マシンラーニングのエンジニアも多数在籍しているとのこと。しかし、ここ 1 年の生成 AI の変化は想定以上に大きなものであると判断。改めて「AI Driven」という方針を掲げて、機動的に動ける生成 AI/LLM 専任チームを組織し、「生成AI /LLM技術を用いた、新たなお客様体験創出と事業インパクトの最大化」と「前者の生産性の劇的な向上」をミッションとするプロジェクトを開始したそうです。

"AI Driven" Direction

この専任チームでは「Enabling=全従業員が生成 AI を利用可能な環境づくり」と「Building=実際のプロダクト構築による価値提供」のふたつのテーマに取り組んでいると石川氏。まず Enabling の具体的な施策として「ガイドラインの策定」と「勉強会・ハッカソンの実施」を挙げます。

同社では一般のソフトウェアエンジニアもプロダクトを実装できるようなガイドラインを策定し、また生成 AI に興味はあるものの日々の業務に追われて学ぶ機会を得られない従業員を対象としたハッカソンの場を設けました。その結果、想定以上に理解が促進されることがわかったそうです。

一方、Building の具体的な事例としては、社員専用の Chat GPT「Mercari Chat GPT プラグイン」の構築が挙げられました。この社員専用 Chat GPT は 2023 年春頃にいち早く全従業員が活用できる環境が整えられ、現在は本家の Chat GPT への実装に倣って、書面の読み込みや画像の生成といった機能を使えるようにバージョンアップを行っているそうです。

石川氏は、現在は専任チームが主導して実装を進めるパターンと、各ファンクションチームが主導して専任チームが伴走するパターンがあり、足元は前者が多かったものの、ここ数ヶ月は後者が増えてきたとし、「今後はファンクションチームが率先して生成 AI の実装を進められる環境を目指したい」と語ります。

ここから話題は、より具体的な生成 AI の実装についてのアドバイスに移ります。石川氏いわく、生成 AI のモデルを実装するときには、マイクロソフトを含む各社が提供する API を活用する場合と、オープンソースモデルをファインチューンする場合、そして基盤モデルからすべて自分たちで構築する場合の 3 つのパターンが存在し、同社ではこれらを組み合わせて実装を進めているそうです。

メルカリの生成 AI・LLM 関連の取り組み

続いて石川氏は、すでにリリースされた施策の代表事例を紹介。SEO の改善施策、自分の欲しい商品を Chat GPT に相談しながら探せるプラグインサービスなどを挙げ、広告クリエイティブへの活用事例においては「採用のクリエイティブなどなるべくお客様に迷惑をかけないところから進めて、徐々にお客様から見える場面に出していきました。最終的には渋谷のスクランブル交差点に設置されたサイネージに AI が作った PR 動画を流すことができたことで、ひとつの道をつくれたとのではないかと考えています」と胸を張ります。

最後に、出品商品の紹介文に対して過去のデータから改善提案を行うメルカリ版 Copilot 機能を紹介する石川氏。この機能では改善提案だけでなく AB テスト的なデータ取得を行い、アルゴリズム改善まで自動で行われていることを示します。石川氏は改めて「生成 AI を使ってさまざまなところに新しい価値をつくることを引き続きやっていきたい」と意気込みを語り、セッションを終了しました。

規定時間に収まらないほど白熱した Q&A。意見交換は延長戦へ

ROL会場内対談の様子 1

セミナーセッションの後には、登壇者と参加者との Q&A セッションが行われました。オンライン参加者からのものも含めて引も切らずに質問が寄せられ、各社それぞれの立場から真摯なアドバイスが送られていました。

「AI 活用の推進メンバーでは何名くらいのチームを組んでいますか?」という質問に対して、日清食品の成田氏からは「推進チームは 12 名ですが、専任ではなく希望者を募る形です。ちなみに当社には AI エンジニアはひとりもいません」と驚きの発言が。
成田氏によると、日本マイクロソフトのアドバイスを受けながら開発を進めていること、ローコードツールの Microsoft Power Apps を活用していることがプロジェクト継続のポイントとのこと。ゼロから構築するのではなく、すでにあるサービスを活用することで開発力は補えるとし、「体制に関する懸念はそこまで必要ないのでは?」とアドバイスが送られました。

ROL会場内対談の様子 2

一方メルカリの石川氏は、フルコミットの AI エンジニアによる10名ほどの体制を敷いているとし、AI に重点的に投資を行っている同社の姿勢が示された形に。この特化型チームと広告や企画など他のチームのメンバーが一緒に取り組むことで相乗効果を生み出せること、プロジェクトにさまざまな人材を巻き込んでいくことが成功につながることが示唆されました。

住友商事に対しては SC-Ai Hub の運営についての質問が寄せられました。伊庭氏からは「開発リソースを子会社に委託できているところがスピーディな動きにつながっていること、またスカウティングによって優れた AI エンジニアを確保できていることがスムーズな開発の理由だと思います」と回答が行われました。

ROL会場内対談の様子 3

続いては「予算を取るためにどのような働きかけをしたのか」という現実的な質問が。メルカリの石川氏は、当初は人件費と環境づくりのためという名目で低い金額から始めて、確実性の高い施策から実施し、ROI が得られた段階で増額を求めるという手法を取ったと言います。
一方日清食品では、利用する予定のマイクロソフトのサービス料金を元にざっくりとした予算組みを行い、その範囲でプロジェクトを進めているとのこと。各社の回答から、まずは事業インパクトの獲得が大きな意味を持つことが伺えます。

「それでもやっぱり使わない」と言う人にはどうすれば?という質問に対しては、日清食品の成田氏は「ほとんどの人間は触ってみて終わり。ごく一部が使い始める」ことを基本に置いて、トップダウンでの働きかけと、ボトムアップでスモールサクセスを積み重ねていく両面作戦を行なっているとのこと。「社内での活用事例を少しずつ増やすことと、手軽に使えるテンプレートをつくることがポイント」という具体的なアドバイスに質問者も納得の様子を示していました。

メルカリの石川氏からは、「次の半年くらいで普段使っているツールに生成 AI が搭載されるはず。そうすれば自ずと利用率は上がる。そこまで焦る必要はないのでは」とのアドバイスが送られました。

一方住友商事の浅田氏は、普段の業務のなかで生成 AI を活用する意識づけを行うことが大事であり、つくったパッケージの利用促進は同社においてもこれからの課題だと語ります。また伊庭氏からは、業務の棚卸しをして使える部分をイメージさせることが重要なのではないか、との意見が述べられました。

ROL会場内対談の様子 4

司会者の手元にはまだまだたくさんの質問が寄せられていましたが、時間内に収まらず、ここでセミナーは終了となりました。セミナー終了後に場所を移して開催された懇親会はまさに延長戦の様相で、企業の垣根を超えた活発な意見交換が行われていました。

本セミナーを通して得られた知識や体験は、参加した流通事業各社にとって大いに刺激になったはずです。各社とも貴重な AI イノベーションの種子を持ち帰ることができたのではないでしょうか。


オンデマンド配信一覧

Part 1 ・日本マイクロソフトセッション 1
 「AI 時代のインテリジェントアプリへのパラダイムシフト」
・日本マイクロソフトセッション 2
 「Microsoft AI CO-Innovation Lab Japan(Kobe)のご紹介」
Part 2・先進事例セッション 1
 「住友商事における生成 AI の活用について」
・先進事例セッション 2
 「日清食品に見る現場に根ざした生成 AI 活用の推進」
・先進事例セッション 3
 「メルカリ生成 AI/LLM 専任チームの取り組み」
Part 3・事例登壇企業様によるトーキングセッション

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これからの AI 時代において、消費流通業界が秘める大きな可能性 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2023/12/04/potential-in-retail-with-ai_1204/ Mon, 04 Dec 2023 01:04:40 +0000 未曾有のパンデミックを経て、オンラインからリアル店舗へと顧客が回帰しようとしている今、消費流通業界においては、ここ数年で変化した顧客のニーズに対応し、新たな顧客体験を提供するために、DX の加速とデータ活用の推進が求められています。

一方で、そのほとんどが小規模事業者である我が国の消費流通業界においては、専門人材の雇用やデジタル ツールの導入・活用が難しい場合も多く、業界全体の DX が遅滞する大きな要因のひとつとなっています。

そこで注目されるのが AI の活用です。生成系 AI の普及が進み、専門人材でなくても AI を活用できるこれからの時代、消費流通業界は目覚ましい変革を進められる可能性を秘めているのです。

本稿では、我が国の消費流通業界の DX を牽引している今村修一郎氏に、今の消費流通業界が抱える課題とその解決策、そしてこれからの消費流通業界が目指すべき DX の形をお聞きしました。

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未曾有のパンデミックを経て、オンラインからリアル店舗へと顧客が回帰しようとしている今、消費流通業界においては、ここ数年で変化した顧客のニーズに対応し、新たな顧客体験を提供するために、DX の加速とデータ活用の推進が求められています。

一方で、そのほとんどが小規模事業者である我が国の消費流通業界においては、専門人材の雇用やデジタル ツールの導入・活用が難しい場合も多く、業界全体の DX が遅滞する大きな要因のひとつとなっています。

そこで注目されるのが AI の活用です。生成系 AI の普及が進み、専門人材でなくても AI を活用できるこれからの時代、消費流通業界は目覚ましい変革を進められる可能性を秘めているのです。

本稿では、我が国の消費流通業界の DX を牽引している今村修一郎氏に、今の消費流通業界が抱える課題とその解決策、そしてこれからの消費流通業界が目指すべき DX の形をお聞きしました。

今村修一郎氏

一般社団法人 リテール AI 研究会 テクニカル アドバイザー

今村商事代表取締役

今村修一郎氏プロフィール写真

マイクロソフト認定システムエンジニアの資格を日本最年少で取得。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、P&G ジャパンにてビッグデータ分析や機械学習関連の開発に従事し、分析チームでは日本人初の管理職に昇進。2017 年に一般社団法人リテール AI 研究会に参加し、テクニカル アドバイザーとして、IT 技術を駆使した流通小売業の改革に取り組む。2021 年より今村商事の代表取締役に就任。消費流通業界全体のデジタル化の推進を支援している。

DX 推進を妨げてきた、我が国ならではの課題とは

――消費流通業界には、現在どのような課題があるのでしょうか?

今村 まずひとつ日本独自の課題として挙げられるのが、人口あたりの小売店の多さですね。我が国では米国と比べて 4 倍ほどの小売店が存在しています。例えば化粧品メーカーだけでも登録されている企業だけで 7000 社ほど。ドラッグストアの店頭を思い浮かべていただければわかると思いますが、ヘアケア商品だけで 700 もの商品が陳列されています。なかには半年に 1 点しか売れないというようなものも含まれているんですよ。

――消費者にとっては選択肢が増えていいことのように思えますが、どこに課題が潜んでいるのですか?

今村 たくさんの小売店が存在する背景には、卸問屋の存在があります。我が国ではメーカーと小売店が直接取引をすることは稀で、卸問屋がその間に入ることで商品のスムーズな流通を実現しています。卸問屋があるからこそ、メーカー側は仕分けや集金の手間を省け、小売側は物流の確保や入金管理をしなくても済む。この日本独自の商慣習によって、小規模な小売業者も淘汰されずに生き残れるわけです。

ですが、この環境を効率化やデジタル化という視点で見ると多くの課題が浮かんできます。たとえば一部の企業が需要予測や自動発注といった施策を進めよう呼び掛けようとしても、声をかけなければいけない事業者が限りなくあるため、頓挫してしまうのです。

――たしかに、大手の SM チェーンならまだしも、地方の小さな小売店やメーカーにとっては DX と言われてもピンとこないかもしれませんね。

今村 とはいえ、労働人口の減少が進む我が国の消費流通業界においては、DX は欠かせません。これまでも多くの小売業者が企業の垣根を超えて改革を進めてきました。例えば、これまでは商品情報のフォーマットが決まっていなかったことでメーカー、卸売業者、小売業者がそれぞれ商品情報を登録する必要があったために無駄な作業が膨大に発生していましたが、私も所属する一般社団法人リテール AI 研究会が主管となって商品情報を統一する仕組みづくりに取り組んでいます。

これからの消費流通業界の変革では AI が大きな可能性を持つ

――そのような業界内の取り組みにおいて、デジタル技術はどのように貢献できるのでしょうか?

今村 商品情報に関して言えば、現状ふたつのデジタル化施策を進めています。ひとつは各社ごとに異なるフォーマットを AI の力を借りて自動生成したり修正したりする仕組みづくり。もうひとつは登録作業自体を人力ではなく RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) によって自動化する仕組みづくりです。これらのデジタル化施策によって、省力化や登録ミスの削減が可能となります。

実は、商品情報の統一化は私たちの真の目的ではないんです。現状小売業の現場では、余計な作業に手間を取られてデータの分析に充てる時間がありません。デジタル化によって効率化、省力化することで、データを分析、活用して仕入れや売り場改善につなげるという新たなチャレンジに挑む時間を創出するのが、真の目的なのです。

――その目的を達成するために、AI が持つ可能性については、どのようにお考えでしょうか?

今村 小売業界でも社内 Q & A で活用できるチャットボットの導入など、AI の活用は進んでいると聞いています。ただ私はそういった活用方法ではなく、業務プロセスにおいて人間が困っている部分を AI によって解決することに興味を持って取り組んでいます。 例えば部門ごとの過去の売上データを分析して活用しようとしても、2 〜 30 ある部門の、さらに枝分かれした売り場のどこに注目するかといった分析は、人力だけでは難しいものがあります。

Blur入り売上チャート

そこで、生成 AI に過去データを読み込ませると、どの部門に改善機会がありそうかを答えてくれる。そんな使い方に大きな可能性を見出しています。実際に私たちも、そういった仕組みをつくって検証を進めているところです。

生成 AI 改善提案

生成 AI の活用で売上 50% アップを実現

――具体的な事例もあるのですか?

今村 はい。ある地方で数店舗規模のほぼ家族経営のような SM チェーンで「納豆と一緒によく購入されているアイテム」を検証したことがあります。

納豆は多くの家庭で日常的に購入される商品なので他商品との相関を見出すのはかなり困難なのですが、生成 AI を通してデータを分析したところ、「岩のり」がよく一緒に購入されているという結果が出たんです。そこで岩のりを納豆売り場のすぐ近くに置いて「納豆と一緒に食べると美味しいですよ」といった POP をつけて販売したところ、岩のりの売り上げが約 10 倍になりました。

この事例は、これまでは現場の勘と経験と度胸で仕入れや売り場づくりをしてきた部分を AI によって代替し、さらに精度を高められたという点で、消費流通業界に大きなインパクトを与えられると考えています。

――それはすごいですね。納豆を買った本人も、おそらく意識して一緒に岩のりを購入している人はあまりいないでしょうし、つまり潜在的な消費行動も露わにできたということですよね?

今村 まさにその通りですね。私たちは、この検証のポイントは地方の小さな小売業者でも実践できたという点にあると考えています。私たちのつくった仕組みはマイクロソフトの Azure Databricks を活用しており、ネット環境とブラウザさえあれば動作して従量課金で使用できるので、小規模事業者でも導入しやすいものになっています。この岩のりの事例は、データ分析の専門人材を雇う経営体力がない事業者が、生成 AI のおかげで専門人材を雇ったのと同じような効果を得られた好例と言えると思います。

生成 AI はいわば自動運転。新たな世界観を築くコラボレーションに期待

――生成 AI の発達は、今村様の取り組みを前進させるのに大いに役立っているとお考えでしょうか。

今村 そうですね。ChatGPT のリリース前後では、全く状況が変わったと感じています。自動車に例えると自動運転に近づいたイメージというか。これまではデータ分析という「車」はあったものの、乗りこなすためには運転の仕方を学ぶ必要がありました。でも今は生成 AI という自動運転機能ができた。これによって、データ活用の敷居はかなり下がったと感じています。

大きな企業であっても、Azure Databricks や Power BI といったデータ分析ツールを使える人材は限られていますが、生成 AI は現場でレジ打ちをしているパート従業員でも扱うことができる。これはとても大きな違いだと思います。

――Azure Databricks や Power BI といったワードが出てきましたが、日本マイクロソフトとの協業についてはどのように評価されていますか?

今村 私の経営する今村商事は日本マイクロソフトのパートナー企業ですので、マイクロソフト製品を活用する事例を創出することはひとつの協業の形だと思っています。それとは別に、小売事業者のほぼ 100% がマイクロソフト製品を活用しているという点は、私たちにとって大きなメリットだと思っています。POS レジなどの基幹系システムの OS はほぼ Windows ですし、そこから取得したデータを分析するための OpenAI 系のサービスとも相性がいいですからね。

――今後の消費流通業界における DX の展望についてお聞かせください。

今村 実は、消費流通業界はデジタルととても相性がいいんです。というのも、多くの事業者が POS レジを通して会計処理を行っており、そこには非常に純度の高いデータが揃っている。例えば広告業界を考えると、ユーザーの ID がサイトごとで雑多に存在したり、商品コードもサイトによってバラバラだったりします。つまりデータを分析しようとする際にはクレンジングに多大な手間がかかるんです。

一方小売業界では JAN コードという共通のコードがあって、これが同じであればどこで購入しても同じ商品だということがわかります。データがとても綺麗なんですね。どんなに強力なアルゴリズムを持つ AI をつくったところで、取り込んだデータが不十分だったり不正確だったりすればその価値は大きく下がってしまいますから、データ・ドリブンなこれからの時代においては、POS レジに蓄積されたデータは大きな財産になると思います。

また、例えばゲーム業界のデータはほぼ無課金ユーザーと言われていますが、消費流通業界はほぼ 100% が課金ユーザーですから、その行動分析は売上に直結する。つまりデータ分析からマネタイズしやすい業界だと言えます。

――日本マイクロソフトにはどのようなことを期待されますか?

今村 ChatGPT が登場したことで、今後は分析の対象がぐんとひろがりますし、消費流通業界にはもともと純度の高いデータが膨大にそろっています。つまりこの業界では、今後さまざまな AI の活用方法や事例が生み出されていくはずです。 マイクロソフトさんにはそれを支援する製品やサービスが揃っていると思いますが、それら自体のアピールよりも、それらを活用することでこの世界がどのように変わっていくのかを示す役割を担ってほしいですね。私たちも、その後ろ盾となる事例づくりを通して、より一層密接に協業していきたいと思っています。

――ありがとうございました。

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Microsoft Retail Open Lab : 流通小売業界が AI 時代を生き抜くためのアドバイス http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2023/10/04/microsoft-retail-open-lab_ai-advice_1004/ Wed, 04 Oct 2023 09:16:06 +0000 生成 AI の進化がもたらす変化は大きく、その波は流通小売業界にも押し寄せています。 

流通小売業界において、本部と店舗などの現場も協働して 生成 AI の強みを生かし、個人として、さらには組織としてその効果を最大化するにはどうすればよいのでしょうか。

日本マイクロソフトのお客さまを見渡すと、すでに多くの小売業や消費財メーカー業の皆さまが、「トップダウンでの戦略立案」「各個人でまず触ってみる」「全社で利用しノウハウを蓄積する」「一部、業務システムと結合してみる」など、システムやユーザーによる生成 AI の仮説検証の場を戦略的に創出し、日々の業務生産性や品質向上のための挑戦を始めています。 

本稿では、それらのお客さまの事例から得られる洞察や、今後の流通小売業界におけるAI活用のヒントをお伝えしていきます。

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生成 AI の進化がもたらす変化は大きく、その波は流通小売業界にも押し寄せています。 

流通小売業界において、本部と店舗などの現場も協働して 生成 AI の強みを生かし、個人として、さらには組織としてその効果を最大化するにはどうすればよいのでしょうか。

日本マイクロソフトのお客さまを見渡すと、すでに多くの小売業や消費財メーカー業の皆さまが、「トップダウンでの戦略立案」「各個人でまず触ってみる」「全社で利用しノウハウを蓄積する」「一部、業務システムと結合してみる」など、システムやユーザーによる生成 AI の仮説検証の場を戦略的に創出し、日々の業務生産性や品質向上のための挑戦を始めています。 

本稿では、それらのお客さまの事例から得られる洞察や、今後の流通小売業界における AI 活用のヒントをお伝えしていきます。

流通業界で高まる生成 AI へのビジネスプロセスの変革の期待

生成 AI は、その活用によってビジネスを変革し、現代における業界のニーズへの対応に必要な効率化とイノベーションを実現できると注目されています。生成 AI を活用できる場面としては、下記の大きな4つのテーマが挙げられます。

流通小売業界が生成 AI を活用できる4つの場面

1. 顧客の期待進化 

この数年間、流通小売業者は、変化と不確実性に対応する術を学び、顧客の期待進化に対応するために、さまざまな施策を展開してきました。

顧客がデジタル体験の利便性を知ることで、モバイルペイメント、BOPIS (Buy Online, Pick Up in Store: オンラインで購入して実店舗で受け取る仕組み)、アプリから簡単に申請できる返品、アプリ上での LTV(顧客生涯価値)の可視化、デリバリーやネットスーパー、ライブストリーミングによるショッピング、パーソナライズされたチャットボットなどの利便性が顧客ロイヤルティを形成すると同時に新しい基準となっています。

多くの小売業者は、デジタルを手段として位置づけつつも、改めて戦略を再考しなければならないケースが多く発生しています。 

 2. パーソナライズされたエンゲージメント 

外出先でも利用できる購入体験を求める傾向が強まるにつれ、オムニチャネルは流通小売業者にとって、いっそう欠くことのできないものになっています。

特に従来のマーケティングの考え方から、デジタルアプリや SNS、オンラインとともにリアル店舗も包括する顧客体験が重視されるようになったことから、データの取得、有効化、収益化、デジタルを活用したビジネス成長に注力するニーズが生まれています。すべては、顧客の期待を理解し、あらゆるチャネル上でのカスタマージャーニーを最適化することが目的となっています。

 各サービスに紐づく既存 ID や顧客基盤など各種マスタの統合により、あらゆる事業領域が繋がることで、その個人の状況やニーズに応じて広告を含むサービスの最適化やデータ価値の最大化による体験を高め、収益の拡大が期待されています。それらのサービスに対しても生成 AI の活躍事例が生まれつつあります。

3. 人材とスキル育成 

流通小売業界は、これまでに設計されたオペレーションやプロセスに対して、「繰り返し作業の自動化」という課題に取り組んでいます。デジタル化の加速によりさまざまなデジタルデバイスやネットワークと常時接続された機器を店舗内に設置し、マーケティングや防犯のためのエッジ AI を導入するなど、電流やインターネット機器との常時接続でなければ稼働しないデバイスがさらにただでさえ忙しい現場の負荷は高まりつつあります。

たとえば、リテールメディアなどを代表し、店舗内に設置されたモバイルペイメント機器、スマートカート、AI ビーコンや AI カメラ、電子棚札、リモート接客などです。これらの機器が故障した際にもお客様の体験に直結するため、そのための新しい対応プロセスが店舗の中に組み込まれ、従来とは違う働き方やスキリング、お客様への接客スタイルや説明マニュアルも更新されています。

そういった現場を維持するために、従業員には、新しいテクノロジに適応し、より高度なスキルを習得することが求められます。また従業員にキャリア成長の機会を促すためにも、AI やデジタルに関連するアップスキリングおよびリスキリングなどの会社全体施策を展開する企業も増えています。

デジタル人材の不足が叫ばれるなか、PowerApps などを使った市民開発コミュニティと情シス IT 部門などが行うプロ開発が協力し合うことで、これまで費用対効果の薄い業務システムやサービスインターフェース、店舗において現場の社員や巡回するエリアマネージャーのためのアプリケーション開発が盛んになり、デジタルの民主化が進みつつあります。

4. コンプライアンスと信頼 

「このカメラによる取得されたデータはサービス改善や防犯、マーケティングなどに利用しています」そのような個人情報保護に関連する張り紙などが店舗内にデジタルが浸透することにより、見かけるようになりました。透明性、倫理的慣行、個人情報などに関連するデータ保護に対する顧客の要望はますます高まっています。

すなわち流通小売業者は、顧客からの信頼を醸成するために、規制基準を遵守し、より堅牢なプライバシーとセキュリティ対策の構築を求められています。また今後、生成 AI に影響を受ける市場においても、レスポンシブル AI(責任ある AI)に基づく信頼性を高めるための施策により、労働法、知財保護、製品安全規制、公正な商慣行に関するコンプライアンスを維持することも不可欠となっています。 

このような潮流が加速していくなかで、流通小売業界においては、AI によるシームレスな顧客体験の向上と同時に、確かな情報に基づいた意思決定を促し、オペレーションを合理化する方法が求められるのではないでしょうか。

そこで今回は、「Microsoft Retail Open Lab」の活動を通じて、マイクロソフトが流通小売業のお客さまたちをどのように支援しているのか、その一部をご紹介するとともに、AI 施策を始められる皆さまが事前に理解すべき「プロンプトエンジニアリング」とはなにかをご紹介します。 

参考:「AI 新時代における流通業界の共創に向けた第一歩。Microsoft Retail Open Lab 第一回セミナー「生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて」現場レポート」

プロンプトエンジニアリングは「AI への指示命令書」 

プロンプトエンジニアリングとは、AI に対して効果的な指示を出すための技術のことです。AI は、人間が使う言葉(自然言語)や音声・画像を解析し、それに応じてコンテンツを生成することができますが、その際には、どのようなコンテンツを生成したいのか、どのような形式や品質で生成したいのかなど、具体的かつ明確な指示が必要です。指示の仕方が悪いと、望む結果を得られません。プロンプトエンジニアリングは、そのような指示を作成・改善するスキルです。 

それはいわば、店員に対して商品の陳列や販売方法を指示することに似ています。店員は、過去に蓄積した経験とともに購買実績や在庫情報などのデータを確認しながら、商品の特徴や需要を理解し、それに応じた売り場を構成するためのタスクを生成します。 

その際には、どのような商品を陳列したいのか、どのようなレイアウトやディスプレイで陳列したいのかなど、だれが、どのようなスケジュールでそのタスクを完了するのか、具体的かつ明確な指示が必要です。 指示の仕方が悪いと、望む売上や顧客満足度は得られません。

プロンプトエンジニアリングは、そのような指示を作成・改善するスキルと言えるでしょう。

下記の図にプロンプトの例を挙げてみましょう。皆さまも実際に、Microsoft Bing Chat や ChatGPT を使って、いくつかのプロンプトの例を入力し、出力結果を確認してみてください。  

リンク:Microsoft Bing Chat

プロンプトの説明

<弊社クラウドソリューションアーキテクトの資料を掲載> 

さて、皆さまのプロンプトの出力結果はいかがでしたでしょうか?上記の入力の例などを参考にして出力結果を眺めてください。 AI とのプロンプトのやり取りは基本的には対話形式で行います。そのため、一般的な検索エンジンのように「店舗 陳列 指示」といった検索キーワードを 1 度入力して終わり、ではなく何度か対話をして出力したい結果に近づけるように、目で見て、読んで、判断をしていきます。

これは、生成 AI の技術の世界では「インコンテキストラーニング (あるいはインコンテクストプロンプティング)」と呼ばれています。AI のモデルの中身(パラメータなど)を更新することなく、プロンプトの説明文や入出力例を見るなかで学習することです。 

たとえば 生成 AI はユーザーとのプロンプトを通じた対話のなかで、ユーザーはなにを聞きたいのか、どんな返答が適切なのか、どんな言い回しが自然なのかを学習しています。これにより、さまざまな話題や質問に対応できるようになるのです。

インコンテキストラーニングは、生成 AI モデルが柔軟にタスクを理解し、適応する能力を高める技術です。なお「学習」という言葉が使われていますが、 AI モデルそのものの更新を行っているわけではありません。そのため、この対話および学習は一時的なものであり、ブラウザなどの画面を閉じてしまえば、これまでの対話情報などを 生成 AI モデル は覚えていません。生成 AI モデルにもシステムである以上、覚える情報量の限度などがあるのです。

流通小売業の中で、具体的にどう使えそうか?

それでは、AI がどのようなケースに使えるのか、例を挙げてご説明します。

例えば、人事部門が教育のためのドキュメントを整備中、ABC 分析に関して説明する文をリード文や目次として使いたい場合に、即座に要約してくれます。  また営業部門から問い合わせを受けた管理部門やシステム部門が、下記のようなクエリ(データベースから必要な情報を抽出するために、SQL というコードを生成する)を書くことで、そのクエリコードを即座に入手し、検証することができます。

テキスト要約やコード生成について

他の例も見てみましょう。

例えば、店舗でのお客さまからの問い合わせやクレームなどが日々数千件届く部署があり、それらを分類する業務なども行われているとします。 

それらの仕分け作業も下記のようなプロンプトで 生成 AI に分類(どのカテゴリに属しそうか)を指示することができます。

こういった内容を吟味し、どのカテゴリーに属するかを表形式のソフトやアプリケーションを使いながら人の手作業や部分的なマニュアル作業を行い、社内で各部署や関係者と調整を行うことに時間が多く費やされている企業も多いのではないでしょうか。

生成AI を取り込んだシステムによってそのような反復作業などを自動化し、同僚や取引先との対話やコミュニケーション、施策などの検討や実行に費やす時間を創り出すことにより、顧客のための業務改善につなげることが肝要です。 

お客様からの問い合わせ内容をカテゴリで分類する例

<お客様からの問い合わせ内容をカテゴリで分類する例> 

良いプロンプトと悪いプロンプトとは? 

業務を実行する従業員に対して、指示が的確で丁寧な方が本部の方や現場責任者の方は大勢いらっしゃると思います。

その指示による仕事の成果が期待されるものと近いかどうか、それは指示(プロンプト)に対して、良いものと悪いもの、あるいは、コンテクスト(そのタスク背景や経緯、いつまでに誰が何をいくつ、やるのか、どういった結果が望ましいのか、例を添えるなど)を包含した指示(プロンプト)が重要になってきます。具体的なプロンプトの例を挙げてまいります。

プロンプト(良くない例)

「お客様が」という一言だけの入力(プロンプト)をすると、社内に対するメール文書を書いていきたいという意図などが含まれていないため、生成 AI は一般的な回答を生成します。

プロンプト(少し良い例)

そこで、「次の文に続く文章を完成させてください。」という意図を入れた指示を追記してみます。すると、”お客様が” に続きそうな文章を生成してくれました。プロンプトを利用する際に、指示をしっかり記述することの重要性がわかります。 

プロンプト(もっと良い例)

最後に、より具体化してみましょう。

「あなたはフレンドリーで有名な店長である」という役割を与えた後に、「お客様からいただいたお褒めの言葉に関する社内メールを書きたい」という指示を与えてみます。すると、メール形式であることが伝わり、件名など文書も “お客様が” に続く、それらしい文章を生成してくれました。

プロンプトを入力する際は、このように人間が人間に丁寧に指示をするような視点や感覚を持つことが重要です。基礎的な話ではありますが、このスキルを身につけることにより、 生成 AI をより便利に使いこなせるようになるのです。 

プロンプトデザインワークショップを通じて実践する 

基礎的ではありますが、プロンプトの重要性をご理解いただいたところで、続いては AI の出力結果をうまくビジネスや業務効率化につなげていくにはどうすればよいのか?という論点をよりクリアにしていくために、「Microsoft Retail Open Lab」がお客さまと取り組んでいる事例のひとつをご紹介します。

我々はそれを「プロンプトデザインワークショップ」と名づけました。プロンプトデザインワークショップでは、業界やお客さまにマイクロソフトのクラウド製品や技術理解を深めていただくとともに、生成 AI を使いこなすシーンやプロセス、顧客への期待に対する対応や従業員の日々の業務の効率化、生産性向上などについてチームを組んで議論し、AI リテラシーを高めるとともに実際にプロンプトを行っていきます。 参加者は自分たちでプロンプト記述して、その出力結果をもとにまた議論を社員間で重ねていきます。「お客さまはなにを喜ばれるのか?」「課題を解決するためにどのようなアイデアがあればよいか?」といったクリエイティブとコミュニケーション、そしてコラボレーションに費やす時間をたくさん持つ体験を通して、参加者の皆さまは AI 時代における働き方やスキルの醸成についての理解を深められるはずです。

AI を副操縦士として組織や人の対話を活性化するスノーピーク社の事例

スノーピーク社の事例をご紹介します。

この画像は同社のプロンプトデザインワークショップの様子です。本社のサービス開発者からデジタル部門まで、会社横断形式で集まり、日本マイクロソフトの専門家たちとともに生成 AI や Azure Open AI services を検討できるアイデアなどを、現在の経営課題や日々の業務課題、あるいは現状に市場やお客様に対して提供している製品やサービスの価値を高めるためのアイディエーションを行い、議論していきます。

ワークショップ中の様子

このブログの冒頭でも書いたとおり、すでに多くの小売業や消費財メーカー業の皆さまが、「まず触ってみる」「全社で使ってみる」「一部、業務システムと結合してみる」など、システムやユーザーによる AI との対話や仮説検証の場を戦略的に創出し、日々の業務生産性や品質向上のための挑戦を始めています。

営業や商品企画、物流、サービス開発などの事業部門やデジタル部門、既存の社内システム部門と横断的に対話を活性化させ、企業全体の取り組みの方向性や取り組み優先度の再考などを通して、進むべき道を修正し続ける。データ戦略などの環境変化に対する組織マネジメントとしての人材育成や、システム環境のモダナイゼーションに取り組んでいく。

不確実性の高い時代であるからこそ、生成 AI の誕生による業界のインパクトを追い風に変えているスノーピーク社のような事例を、マイクロソフトリテールオープンラボなどの場を通じて、今後も皆様にお伝えしてまいりたいと思います。

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AI 新時代における流通業界の共創に向けた第一歩。Microsoft Retail Open Lab 第一回セミナー「生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて」現場レポート http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2023/08/29/retail-open-lab_seminar1_0630/ Tue, 29 Aug 2023 06:56:34 +0000 この数か月、Chat GPT をはじめとする生成 AI の話題は尽きることがない状態が続いています。IT専門メディアだけでなく一般メディアでも連日取り上げられ、サラリーマンが宴席で話題にするほど、人々が興味関心を注ぐこの話題は、言うまでもなく流通業の経営者から従業員、関連する取引先にとっても注目の的となっています。

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この数か月、Chat GPT をはじめとする生成 AI の話題は尽きることがない状態が続いています。IT 専門メディアだけでなく一般メディアでも連日取り上げられ、サラリーマンが宴席で話題にするほど、人々が興味関心を注ぐこの話題は、言うまでもなく流通業の経営者から従業員、関連する取引先にとっても注目の的となっています。

継続的な DX の取り組みに立ちはだかる壁

コスト削減や生産性向上を通じて利益を確保しつつ、さまざまな顧客接点を通じて支持を獲得し、持続的な成長を果たすために、激しく速い変化を特徴的な背景として有する流通企業は、この数年、DX への取組を続けてきました。
各社は、モバイルや IoT センサーなどのデバイスや、クラウドテクノロジーのレベルアップを背景に、デジタル活用による[顧客体験向上][従業員生産性向上][サプライチェーン高度化][データによる新たな価値創造][ブランド価値の向上][取引先との協働][革新的な製品やサービスの開発]などのビジネス変革に取り組んでいます。

この過程において、この変革に向けた取り組みは継続的なものである必要があり、DX においては、IT 部門のみならず経営や事業に携わるすべての「人」がデジタルやデータを活用し、迅速に変化対応していく新たなスキル獲得と文化醸成などが必要であるという気づきも得られました。
しかし、世界情勢からくるコスト高や少子高齢化による人口動態の変化も重なり、有効な労働力の確保やそのレベルアップなどは生易しいものではないことも分かってきています。

人の能力を補完し、競争力を高める生成 AI の可能性

そのような中、生成 AI は「人」の能力を高度に補完し、前述のような変革推進に寄与する可能性があると期待されています。
マイクロソフトは OpenAI 社とのパートナーシップなどを通じて、現在この生成 AI の潮流をリードしています。そしてこの数年[Microsoft Cloud for Retail]といった施策を推進し、国内外流通(小売/消費財製造業)企業の DX プロジェクトに伴走しており、多くの海外先進流通企業が DX のさらなる推進に向けて、マイクロソフトと共同で生成 AI 活用の取り組みを開始している状況です。

例えば、小売業はオンラインでの顧客体験を向上させ、コンバージョンを上げるために、大量のユーザーレビューを要約し、あたかも接客担当者と対話しているかのようなパーソナライズコミュニケーションを実装するオンラインチャットボットや、店舗内状況に応じて店舗授業員の優先タスクを振り分けるための業務支援アシスタントの実装の試行に入っています。

また消費財製造業は、工場の稼働率向上や安全性確保のため、さまざまなデータソースを組み合わせたレポート生成に活用したり、コールセンターやカスタマービスセンターでのサービス向上のための実装を試行したりしている状況です。

日本の流通企業でも、こういった試行を加速的に推進できれば、変革を通じて競争力を一気に高められるのではないかと期待されています。
しかし前述の通り、世の中に生成 AI に関する情報があふれているとは言うものの、正確な情報を入手、理解し、また、流通業の DX にとって、そして自身の業務にとって、生成 AI がどういったインパクトをもたらす可能性があるのかについては、一部の先行企業や人を除くと、全体的にはまだ充分な理解が進んでいない状況があると考えられます。

生成 AI を理解し、成果につなげるための「Microsoft Retail Open Lab」

過去に類を見ないほど、この生成 AI というテクノロジーの進化スピードは凄まじいものがあります。情報を正しく理解し、まず触ってみる→ユースケースを仮説し、PoC を実行する→メリットや課題を特定し、本番実装に向けて企画する、といった一連の流れを素早く回してしていくことが重要です。

このたび日本マイクロソフトは、「Microsoft Retail Open Lab」を発足し、セミナーと、ワークショップなどの実行支援策を流通企業に提供することを決定しました。また参加流通企業間及び IT ベンダー(パートナー)間のオープンなコミュニケーションを通じて共創を誘発し、より多くの企業が生成 AI 活用を通じて成果を得ることできるように、施策を順次展開していく予定です。

第一回セミナーは「知る」をテーマとして 2023 年 6 月 30 日に開催。オンラインを含む約 500 名の流通業関係者が参加し、大いに好評を得ることができました。以下に、運営事務局がまとめたレポートを掲載します。
なお、「共有する」をテーマに今年の秋に開催を予定している第二回セミナーでは、各流通企業が取り組んでいる PoC や、IT ベンダーによる新たな開発プロジェクトから、知見や考察の共有を企画する予定です。
ぜひ Microsoft Retail Open Lab にご期待いただき、積極的にこの機会を活用いただきたいと考えております。

<第一回 Microsoft Retail Open Lab 開催レポート>

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基調講演

『生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて』

東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻 教授
松尾 豊 氏

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 NTO
田丸 健三郎

基調講演では、人工知能と Web 工学の第一人者であり、政府の AI 戦略会議の座長を務める東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻 教授の松尾 豊氏と、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 NTO の田丸 健三郎による、AI の現状についての講演と対談が行われました。

松尾氏は、「ChatGPT は機械学習の常識を覆す社会現象」であると、そのインパクトの大きさを語ります。「ChatGPT は世界中で競うように活用方法を発見されており、世界中の人がこの技術が世の中を変えることに強い確信を持っている」と松尾氏。

中長期的に見ると「検索」という行動はなくなる可能性があり、Microsoft のOffice シリーズは GPT が搭載された AI ツール「Copilot」によって大きく進化し、さらに人々の仕事の方法も影響を受けることが予想されるといいます。

そんな状況のなかで我が国の反応はこれまでにないほど早く、AI 戦略会議ではすでに暫定的な論点整理がなされていると松尾氏。「リスク対応」「AI の利活用」そして「AI の開発」という 3 つの観点で対応が協議されており、特に計算資源の確保を課題としてスピード感を持って取り組んでいるそうです。

とはいえ我が国の企業、自治体においてはまだ ChatGPT を「使ってみている」段階であり、組織内での活用や業務改革への活用といったフェーズには至っていないと松尾氏。「私たちは新しい時代に入っています。ぜひいろいろな形で活用してほしい」と呼びかけて講演を終えました。

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続いて田丸は、AI 活用と切っても切り離せないデータという観点から講演を行いました。田丸によると、これまでは知見を得られた後には使い捨てられていたデータは、「深層学習、特に ChatGPT の出現によって、学習に用いられ新たな価値を生み出すものとして、その価値が大きく変わってきた」といいます。

一方で、データを知的財産という観点から見ると、各国で考え方が大きく異なると田丸。我が国は規制が最も少ない国のひとつであり、協議が進められている段階だとし、企業側の対策が必要なことを示唆します。

続いて田丸は、マイクロソフトでは何層ものレイヤーの仕組みを設けて、セキュリティを確保していることを示します。そして「Microsoft Azure OpenAI」や「Microsoft Security Copilot」といった AI 活用サービスを、データのファインチューニングからプロンプトエンジニアリングに至るすべてのフェーズをクローズド環境で実施できるソリューションとして紹介しました。

最後に田丸は、マイクロソフトは「これまで手間をかけていた作業をいかに単純化して、本来フォーカスすべき業務に集中できるか」にフォーカスしてさまざまな取り組みを行っていることをアピールして講演を終了しました。

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基調講演の後半は、松尾氏と田丸による対談が行われました。「ChatGPT に対する政府の取り組みのなかで注目すべきポイントは」という田丸の質問に対して、松尾氏は「これまでになく対応が迅速な点」であるとし、その理由として「言語モデルなので意思決定層に多い年配の方にも理解しやすいこと」と「DX を進めなければいけないという危機感の高まりにフィットしたこと」が挙げられました。

続いての質問は「組織内のデータをうまく活用するうえで考えるべきこと」。松尾氏は「組織内の情報をうまく活用すれば、さまざまな業務が効率化する」とし、組織内の文書の検索しやすさ、プロンプトの管理、データへのアクセス権などを整理することが大切であると回答します。

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それを受けて「アセットマネジメントが有効ということですね?」と問いかける田丸に対して「使っていい情報とそうではない情報があることを考えると、クラシフィケーションという概念が変わる可能性がある」と松尾氏。
本来組織外に出せない情報を外部に提供する必要が生じたときに、これまでは人間同士で断片的な情報や雰囲気でお互い察していた部分を、AI がどのように補うことができるかが大事と、AI のヒューマンパリティの獲得への期待を語ります。

最後に田丸は「AI 時代のデータ管理」について質問。松尾氏は「ChatGPT のような LLM がやっていることは情報変換であり、企業内データの結合やサプライチェーンにおけるデータ連携などをより上手に行ってくれる可能性がある」とし、データの活用は業務効率化や迅速化にとってますます重要になってくることを示唆。それに対して田丸が、マイクロソフトのソリューションはデータの整備や活用に大きく貢献できることをアピールして、対談は終了となりました。

ソリューション紹介

『小売業の DX を加速:マイクロソフトの生成 AI と Copilot を活用したビジネスソリューション』

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員クラウド & ソリューションズ事業本部 インテリジェントクラウド統括本部統括 本部長
大谷 健

本セッションでは、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員クラウド & ソリューションズ事業本部 インテリジェントクラウド統括本部統括 本部長の大谷 健より、マイクロソフトのソリューションを使った生成 AI の活用法に焦点を当てた講演が展開されました。

大谷はまず、全世界でユーザーが 1 億人を突破するのに要した期間がたったの 3 ヶ月だったというデータを見せて ChatGPT の規格外の影響力を示し、「我々がやりたくない仕事をやってくれたり、やってほしいことをやってくれる便利屋」という言葉を使って表現。そして ChatGPT を使いこなすためには、プロンプトエンジニアリングの技術とデータの整備が必要であることを強調します。

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続いて大谷は、いくつかの事例を紹介。米国のカーマックス社では、ChatGPTを活用して、人力で 11 年かかる規模の中古車情報の Web ページ制作を数 ヶ 月で完了したといいます。日本でも多くの企業が業務に ChatGPT を活用し始めており、そこに共通する現象として、部署レベルではなく全社レベルで取り組んでいることが挙げられる、と大谷。

そして、これらの企業にマイクロソフトの Azure OpenAI Service が選ばれている理由として大谷が強調したのが、「顧客のデータを学習に使わないこと」そして「閉域網でサービスを利用できること」。さらに長年の OpenAI 社との協業実績から、ほぼリアルタイムで最新の OpenAI 社のサービスを使えることをメリットとして挙げます。

マイクロソフトは現在、提供するほぼすべてのクラウドサービスに AI を盛り込もうとしており、社内に閉じた形で、しかも社内の非公開データだけでなくプラグインによってオープンデータも活用できる環境を提供可能です。
すでにさまざまなオンラインサービス提供社とプラグインのエコシステムが構築されており、「これを活用すれば世界中の高品質なデータから欲しい答えを得られる世界が実現できる」と大谷。
その世界観を示すひとつの例として、日本マイクロソフト株式会社 インダストリーテクノロジーストラテジストの岡田 義史による、マイクロソフトの Azure OpenAI Service を利用して開発したレシピアプリのデモンストレーションが行われました。

このアプリでは、食べたい料理や食べさせたい人、食べる目的などを入力することで、レシピの候補だけでなく、栄養学の専門家からのアドバイスやおすすめの組み合わせ、足りない食材などが回答として示され、近所のスーパーマーケットの提案やデリバリーサービスの紹介も行われる、というものでした。

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岡田によると、このアプリは最近発表された Azure OpenAI Service のリファレンスアーキテクチャを参照することで、約 2 週間という短い期間で完成できたとのこと。逆に苦労した点としては、データの整備を挙げる岡田。家族のプロフィールやレシート情報をどのようにデータベースに組み込むかが大きな壁だったと語ります。

これを受けて大谷は「結局のところ、AI をうまく活用するためにはよいデータを持っているかどうか」が大切であると語り、現在データアナリティクス領域にはさまざまなサービス群が乱立しており、どれが最適なツールなのか選びにくい状況であるという課題を挙げます。

そして大谷は、マイクロソフトの新たな取り組みとして分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」を紹介。ワンレイクというコンセプトを掲げて、散財するデータを 1 ヶ所に集め、分析し、可視化するところまで一気通貫で対応できるソリューションである Microsoft Fabric は、SQLServer 以来の進化であると胸を張ります。

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最後に大谷は、マイクロソフトが掲げる「責任ある AI」の 6 つの原則を紹介。なかでも「お客さまのデータは常にお客さまのデータである」という点をハイライトし、さらにフィルタリング機能の充実などを例に挙げて、安心して Azure OpenAI Service や ChatGPT を使える点をアピールします。

以上を踏まえて「ぜひ Copilot を活用してほしい」と大谷。今後マイクロソフトの製品に取り込まれる Copilot の利用を促すと同時に、マイクロソフト自体が、まさに顧客企業、パートナー企業の副操縦士として寄り添う姿勢を強調し、「一緒に歩みを進めていきましょう」と呼びかけてセッションを終了しました。

パネルディスカッション

『生成 AI による流通業のビジネスインパクトについて』

株式会社ビックカメラ
執行役員デジタル戦略部長 株式会社ビックデジタルファーム 代表取締役社長
野原 昌崇 氏

資生堂ジャパン株式会社
エグゼクティブオフィサー CDO 兼 EC事業部長 資生堂インタラクティブビューティー株式会社 取締役 DX 本部長
笹間 靖彦 氏

株式会社 ELYZA
取締役 CMO
野口 竜司 氏

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 流通業施策 担当部長
藤井 創一

最後のセッションでは、日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 流通業施策 担当部長の藤井 創一がファシリテートを務めるパネルディスカッションが行われました。

パネラーは、株式会社ビックカメラの執行役員デジタル戦略部長 兼 株式会社ビックデジタルファーム 代表取締役社長の野原 昌崇氏と、資生堂ジャパン株式会社 エグゼクティブオフィサー CDO 兼 EC 事業部長 資生堂インタラクティブビューティー株式会社 取締役 DX 本部長の笹間 靖彦氏、そして AI の専門家である株式会社 ELYZA 取締役 CMOの野口 竜司氏。
今まさに DX の最前線で生成 AI のインパクトを感じているパネラーの言葉を、参加者の皆さんは前のめりになって聞き入っていました。

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パネルディスカッションを始めるにあたり、生成 AI の可能性について野口氏が見解を披露。野口氏によると、生成 AI の出現は「知的生産革命」と言ってもいいレベルのインパクトとのこと。
しかもクリエイティブ、情報検索、データ分析、教育といったあらゆる分野で同時多発的に革命が起きている状況であり、小売業界においても顧客の商品選択の変化、マーケット分析などの接客変革が起きていると野口氏。生成 AI がキードライバーとなって業務 DX および顧客サービスの DX が一気に進むのではないか、と予想します。

笹間氏によると、資生堂では生成 AI を業務効率化に活用できるソリューションとして捉え、現在ソーシャルメディアに投稿する素材の多様化やeコマース上でのリコメンデーションの差別化といったプロジェクトを推進しているとのこと。
笹間氏は、業務効率化から一歩進めて接客シーンへの活用を期待しているとし、「AI 美容部員」構想を披露。時間の制約がなく人との会話のような気づかいも必要がないことから、気軽で率直なリクエストが可能になるはず、と展望を語ります。

一方で野原氏は、生成 AI については「ネガティブではないけれどポジティブでもない」立場であるとし、生成 AI を使っていい接客と使ってはいけない接客がある、と語ります。
例えば「電気ストーブの使い方」といった、間違った情報によって事故が起きかねない場面では生成 AI に接客を任せるのは難しく、「自分に向いている商品を検索する」といった場合には非常に役に立つといった具合に、使い方を考える必要があることを指摘します。

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そういった懸念がありつつも、ビッグカメラのような小売店では顧客理解と商品理解において生成 AI が活用できると考えている、と野原氏。生成 AI を使えば、顧客のデータから「パソコンが好き」といった属性だけではなく「コストパフォーマンス商品が好き」「タイムパフォーマンス商品が好き」といった属性のパターンも意味づけられ、商品に関しても、スペックだけではなく「どんな動機で買われている商品なのか」を理解できるようになるとし、「こういった生成 AI の適正を生かせれば、商品の品揃えが豊富な小売店が顧客にリーチしやすくなるはず」と期待を語ります。

続いて話題は生成 AI の実装について。笹間氏は、生成 AI を実装するにあたっては「ID やデータベースをどれだけ使いやすく、アジリティを持って構築できるか」がポイントであるとし、ビジネス側のリクエストを IT 側がすべて聞いた結果、システムがサイロ化してしまったという自身の苦い経験から、IT 担当部門やベンダーが専門家としての知見を生かしてリードすべき、と注意点を語ります。

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野口氏と野原氏もこの意見に深く同意した様子で、野口氏は「今後、インフラとしての生成 AI 基盤が非常に重要になる」とし、IT 部門がリーダーシップを発揮できる企業とそうでない企業では大きな差がつくだろうと予測。
一方野原氏は、IT 側もビジネス側に近づいていく必要性を指摘し、「ビジネス側にはデジタルトランスレイターが、IT 側にはビジネストランスファ−がいなければならない」と人材の大切さを語りました。

ここでディスカッションのまとめとして、野口氏から会場の参加者に向けて、「全社員向けに ChatGPT を安全に使える環境を整備する“横戦略”に加えて、重要な業務やサービスに生成 AI を組み込んで業務フローやサービスフローそのものを変革する“縦戦略”を進めること」、そしてなにより「とにかく生成 AI を使うべき」というアドバイスが送られました。
「生成 AI を使って、どこまで、なにができるのか。一緒に住むくらいの覚悟で使っていただくと、変化を生み出せるはず」と野口氏。内部人材の育成を並行して進めることも大切、と言葉をまとめました。

最後に藤井から、このセミナーの総括として「マイクロソフトとしては、私たちの施策に関するご案内をしていくことはもちろんですが、皆さまが共創できる“つながり”をつくっていきたいと考えています」と述べ、この Microsoft Retail Open Lab を「セミナー」ではなく「ラボ」と名付けた意図を改めて強調。
ゆくゆくはそれぞれが生成 AI を活用した結果を共有し合い、ともに成長できる場にしていきたいと構想を語り、マイクロソフトによる技術的なサポートを約束してセッションを終了しました。

クロージング

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長
河上 久子

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全セッション終了後に、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長の河上 久子が登壇。
自身が参加した会合のなかで、グローバル企業の AI 活用のスピード感に驚き、また自分たちでもできると感じたと、AI 活用の可能性に改めて言及。さらに「失敗パターンを共有することが資産になる」という示唆を受けたことを明かし、「数年後すら見通すのが難しい世の中で、失敗確率をいかに減らすかを考えたときに、業界内で情報を共有することによって新たな共創が生まれるのではないか。このラボがそういう場になれば」と述べてセミナーを閉会しました。

セミナー終了後は、参加者、登壇者が参加する懇親会が行われました。参加者の皆さまが会場のあちこちで交わしていた議論の熱量はとても高く、きっとこの先、この Microsoft Retail Open Lab が流通・小売業界の DX を推進するハブとなり、新たな共創が生まれるであろうことを予感させる、第一回セミナーとなりました。

関連コンテンツのご紹介:

Microsoft Retail Open Lab 第二回セミナー「生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて」現場レポート

Azure OpenAI Serviceリファレンスアーキテクチャの公開発表のお知らせ | Microsoft Base

Resilient Retail ~小売業 DX の取組と事例のご紹介~ (microsoft.com)

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きっかけは一通の手紙だった。新たな顧客体験と企業 DX を同時に実現する「e 食住なび」開発ストーリー http://approjects.co.za/?big=ja-jp/industry/blog/retail/2023/05/25/enavi-for-dx/ Thu, 25 May 2023 06:50:21 +0000 eBASE 株式会社は、食品表示情報を提供する「e 食なび」と家電や住宅設備の情報を管理する「e 住なび」を含むあらゆる商品カテゴリを統合したライフスタイルアプリ「e 食住なび」を、2023 年 1 月にリリースしました。
e 食住なびは Microsoft Azure をプラットフォームとしており、約 400 万点の商品を検索可能で、商品の詳細情報や取り扱いのある店舗などを閲覧できるアプリケーションです。
本稿では、同社代表取締役社長の岩田 貴夫 氏へのインタビューを通して、膨大なデータを活用して消費者に新たな CX(購買体験)を、企業に効果的な DX(デジタル・トランスフォーメーション)施策を提供する同社のソリューションについてご紹介します。この画期的なアプリ開発を後押ししたのは、ある小児科医の強い思いでした。

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eBASE 株式会社は、食品表示情報を提供する「e 食なび」と家電や住宅設備の情報を管理する「e 住なび」を含むあらゆる商品カテゴリを統合したライフスタイルアプリ「e 食住なび」を、2023 年 1 月にリリースしました。
e 食住なびは Microsoft Azure をプラットフォームとしており、約 400 万点の商品を検索可能で、商品の詳細情報や取り扱いのある店舗などを閲覧できるアプリケーションです。
本稿では、同社代表取締役社長の岩田 貴夫 氏へのインタビューを通して、膨大なデータを活用して消費者に新たな CX ( 購買体験 ) を、企業に効果的な DX ( デジタル・トランスフォーメーション) 施策を提供する同社のソリューションについてご紹介します。この画期的なアプリ開発を後押ししたのは、ある小児科医の強い思いでした。

参考:「e 食なび」「e 住なび」を含め、あらゆる商品カテゴリを統合した消費者向けライフスタイルアプリ「e 食住なび」を開発リリース 

eBASE 株式会社
代表取締役社長
岩田 貴夫 氏

「衣食住遊」の商品情報や活用方法を簡単に検索できるライフスタイルアプリ

ーーeBASE 社の事業についてお聞かせください。

岩田 当社は 2001 年に大阪で創業した企業で、商品情報管理システムの開発・販売を行う eBASE 事業と、IT 開発のアウトソーシングを請け負う eBASE-PLUS 事業を展開しています。
当社では創業以来、企業の DX には商品データベースが欠かせないという認識のもと、業界ごとに商品データベースの情報交換ができるプラットフォームの構築とパッケージソフトの販売を通して、各業界のデータ共通化を推進してきました。

この事業の中核を担うのが、業界ごとにメーカーと小売事業者の橋渡しをする B to B に特化したデータプールクラウドサービス「商材えびす」とパッケージソフトの「eBASE」です。当社ではこのたび、商材えびすに蓄積されたデータを活用して、消費者の CX と事業者の DX を同時に実現可能なサービスを企画・開発しました。それがライフスタイルアプリ「e 食住なび」です。
e 食住なびは、食品表示情報を提供する「e 食なび」と家電や住宅設備の情報を管理する「e 住なび」を含む、あらゆる商品カテゴリを統合したアプリで、「衣食住遊」の商品情報や活用方法を調べることが可能です。多言語対応や特定の小売事業者・メーカーを対象とした有償版の DX 推進ツール「e 食住なび for DX」も同時にリリースしています。

参考:「日々の暮らしを便利にするライフスタイルアプリ e 食住なび」

ーーe 食住なびを開発された背景には、どのような課題があったのでしょうか?

岩田 当社が創業した頃は、企業間の商品情報交換方法といえばメーカーが自社商品の情報を記入した紙を小売事業者がレジシステムなどに入力し直して販売業務を行うという、とても非効率なものでした。そこで当社は、まずフォーマットを統一したツールを制作してそれを提供し、各企業に「データ交換における手作業をなくしましょう」と提案するところから事業を開始しました。
その後、スーパーマーケットやドラッグストアなどで販売されている商品については「JAN コード」と呼ばれる商品識別コードを利用して、複数のメーカーと小売業が商品情報を共有できるデータプールサービス「商材えびす」を開発しました。

住宅業界などはいまだに共通の識別コードがない場合も多いのですが、当社のソリューションはそういった商品にも対応できるのが大きな特徴です。その価値は多くのお客さまに感じていただけており、「eBASE」は 2023 年 4 月 3 日現在で 19 万 4588 ものユーザーにご利用いただいています。

消費者、小売業者双方にメリットを提供する e 食住なび

ーーe 食住なびは、どのようなアプリなのでしょうか。

岩田 e 食住なびは、「ユーザーが求める商品情報をいつでもどこでも閲覧できるように」というコンセプトで当社が開発したアプリです。e 食住なびを使えば、商品カテゴリや名称、商品特徴などから、商品詳細データを検索することができます。
例えばスーパーの紙チラシや電子チラシなどに載っている商品には、金額は書かれていますが、それ以外の情報はほとんど記載されていません。店頭のプライスカードも同様です。
食品であれば、栄養素やアレルゲンの有無、その商品を使ったレシピなどを知りたい場合は、消費者自身が店員に聞いたりインターネットで検索したりして調べる必要があります。その作業は、アレルギーのあるお子さんの保護者の方や、宗教や習慣上の理由で食べられない食材がある方などにとっては、大きな負担となります。一方で、小売業者が単独で大量かつタイムリーに商品情報を集めるのは現実的ではありません。
e 食住なびを使って、当社の商材えびすに蓄積されている商品情報を小売業者のチラシ・自社アプリ・EC サイト・店頭のプライスカードなどに紐づけることにより、消費者はその場で豊富な商品情報を得られ、小売業者はサービス内容を向上させることができます。さらに、紙チラシの削減や店員の顧客対応の省力化など、企業 DX につながる効果も提供できると考えています。

開発の後押しとなったのは、とある医師からの手紙

ーーe 食住なびの開発に至った経緯についてお聞かせください。

岩田 当社が蓄積してきた商品データを消費者にも開示することで、サプライチェーンの上流から下流まですべての範囲で商品情報交換できる環境をつくろうという企画は、3 年ほど前から進めていました。他に類を見ない膨大な商品データの蓄積に加えて、既存のデータベースや検索システム、パッケージソフトといった資産を自社で保有しているため安価でサービスを提供できる点、また特許も取得しており先行メリットも得られる点から、他の EC サイトやアプリと差別化できる自信もありました。

まずは食品を対象とした商品情報開示アプリ「e 食なび」のリリースを目指したのですが、実は今の形での開発を進める大きなきっかけとなったのは、ある医師の方から届いた手紙でした。

その先生は小児科とアレルギー科を専門とされていて、スーパーマーケットとタイアップして卵や乳などのアレルゲンを含まない食品をリストアップし、まとめた資料を患者さんであるお子さんの保護者の方に配布する活動に取り組まれていました。そしてあるとき当社のサービスを知り、「データプールにアレルギー情報が入っているのであれば、ぜひ活用してほしい」という意見を寄せてくださったんです。
そこで当社ではその先生を含む 2 名の医師に協力を仰いで、もともとあったアプリの構想にアレルギー情報の開示というコンセプトを加えた形で開発を進めることにしました。自分たちのアプリが社会課題の解決に貢献する役割を得られたことは、開発に向けて大きなモチベーションになりました。

ーー開発に際して、苦労されたことはありましたか?

岩田 開発よりも営業フェーズでの苦労が大きかったですね。もともと私たちの製品を担当いただいていたのは、品質管理部門や情報システム部門といった CX、DX とは直接関係ない部門でしたので、e 食住なびに対するアドアイスや意見をいただくことはできましたが、採用にはつながりませんでした。
また販売促進部門に紹介していただいても、開発当時の小売業界はコロナ禍の影響を強く受けていましたので、どの企業も新規の販売促進施策を検討する余裕がない状況でした。ですから、ここ数ヶ月でようやく具体的なプロジェクトが進みつつあるところです。

ユーザー数に応じて柔軟に拡張できる Azure をプラットフォームに採用

ーー日本マイクロソフトとのコラボレーションについてお聞かせください。

岩田 当社のデータプールサービスでは、創業当初から Microsoft SQL server を使っていました。また e 食住なびのプラットフォームに関しては、Azure を採用しています。e 食住なびの開発にあたり、当社が主体となってサーバを立ち上げる必要があったことと、ユーザーの増加に合わせて柔軟に拡張できるプラットフォームという条件に当てはまるのは Azure しかないという判断でした。
それに加えて、技術支援や営業販促支援も大きな魅力でした。技術支援に際しては Azure の利用方法や Q&A 対応、資金的なアドバイスもしていただけましたし、今後は技術者の育成にも協力していただく話が進んでいます。また、日本マイクロソフトのパートナー企業への橋渡しをしていただけるのもありがたく感じています。実際に、ご紹介いただいた LINE 社とは顧客開拓における協業プロジェクトが進んでいます。

実は開発を始めた当初は、このアプリはきっとすぐに爆発的な需要があるだろうと予想していたんです。だからこそ膨大なユーザーからのアクセスにも対応できる Azure をプラットフォームに選んだ側面もありますので、ようやくこれから本領を発揮してもらえると期待しているところです (笑) 。

あらゆる業界、業態に対応可能な e 食住なびサービスをさらに拡充していきたい

ーー現状の展開と、今後の展望についてお聞かせください。

岩田 数社から引き合いがあるうち、すでに導入いただいているのが積水ハウス社です。e 住なびを利用して、住宅を購入されたお客さま向けの取扱説明書一括閲覧システムを開発しました。
以前は、家電や住宅設備の操作説明書やメンテナンスマニュアルを手作業でバインダーに挟んでお客さまにお渡ししていたそうなのですが、バインディング作業が非効率的なうえに、お客さまもほとんど見ることなくしまい込んでしまうという課題がありました。e 住なびを活用することで、紙ベースだったマニュアルをデータ化し、スマートフォンひとつで確認できるようになりました。
ほかにも小売業界でいくつか導入プロジェクトが進んでおり、近々リリースできる予定です。まさに開発のきっかけとなったアレルギー情報を含めた商品情報開示アプリの開発プロジェクトもあり、リリースされるのがとても楽しみです。

今後は、ドラッグストアやホームセンター、アパレル、カー用品など、さまざまな業態での展開を進めたいと考えています。外食業でも商品情報開示の取り組みが進んでいますので、お手伝いできる部分はあると考えています。B to B 分野で活用いただける e 食住なび for DX も用意していますから、メーカーの自社製品情報の開示ツールなどにも展開していきたいですね。

新たな機能としては、レシートや EC サイトの購買履歴と連携した商品情報開示機能の実装を計画しています。また、将来的にユーザーが増えれば、e 食住なびに貯まったビッグデータを活用したサービスの展開も考えられると思っています。社会的にも健康志向が高まっていますから、e 食住なびのニーズは今後ますます高まっていくと期待しています。

日本マイクロソフトにも引き続き、Azure の活用事例の紹介や機能面のアドバイスなどの技術的なご支援と、さらなる協業のご支援をお願いできれば幸いです。 参考:「日々の暮らしを便利にするライフスタイルアプリ e 食住なび」

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