Microsoft Office に新しいプライバシー コントロールを導入
今週初め、Julie Brill (Corporate Vice President and Deputy General Counsel、Microsoft) は、プライバシーに対する Microsoft の継続的な取り組みの概要をまとめ、Microsoft が企業として今後進む方向について詳しく説明したブログを公開しました。Julie はそのブログで、Microsoft の主要な製品で収集されるデータの透明性とお客様による制御を高める手法についての原則を紹介しています。
今週初めに、これらの原則が反映された Office の更新プログラムがリリースされました。
Office はつながるためのエクスペリエンス
職場や自宅で生産性を向上するためのテクノロジの使い方は変化しています。外出先で行う作業が増え、仕事をやり遂げるために複数のデバイスを使用します。また、チームの一員として共同で作業することも少なくありません。チームは、家族や友人の場合もあります。Microsoft では、これらの新しいニーズに対応する業界最高のアプリケーションとエクスペリエンスを提供すると同時に、お客様のプライバシーを尊重し、お客様がデータを制御できるように取り組んでいます。
創作活動、コミュニケーション、コラボレーションの効率化に役立つ新しい魅力的な機能を Office に継続的に導入しています。単に 1 週間前に作成したドキュメントを探したり、学校のレポートに最適な画像を探したりするだけの場合もあれば、チームとしてプロジェクトでさまざまなデバイスを使用して、リアルタイムで共同作業したり、コミュニケーションを取ったりする必要がある場合もあります。Office を使用すると、PowerPoint のデザイン レイアウトの提案を利用して本格的なプレゼンテーションを作成したり、複雑なデータ セットで重要な分析情報を見つけ出したりすることもできます。
Office は Microsoft Cloud の機能を利用して、このようなエクスペリエンスを提供します。他の接続されたサービスや Web サイトと同様、このような機能を有効にするためには、必須の サービス データをコンピューターと Microsoft の間で共有する必要があります。
たとえば、次のような場合があります。プレゼンテーションでリアルタイムの字幕を表示し、別の言語にも翻訳する場合には、おそらく PowerPoint を使用すると思います。話している言葉の字幕を作成して翻訳するために、録音された音声が PowerPoint から音声変換サービスに送信され、このサービスで自動的に書き起こしと機械翻訳が行われます。生成されたテキストはコンピューターに戻され、PowerPoint で (ほとんど) リアルタイムに画面に表示されます。音声や言葉は、指示された字幕の作成と翻訳を行うためだけに使用されます。
Office で使用できる接続エクスペリエンスについての詳細は、「Office の接続エクスペリエンス」をご覧ください。
ユーザーがクラウドの接続エクスペリエンスを制御する
Microsoft は、ユーザーや組織がOffice アプリで作業しているときに、接続エクスペリエンスを制御できることが重要であると考えています。今回の更新プログラムにより、次の種類の接続エクスペリエンスを無効にする、または再度有効にすることができる設定が導入されました。
- コンテンツを分析するエクスペリエンス: Office コンテンツを使用して、デザインに関する推奨事項、編集の候補、データの分析情報などの機能を提供するエクスペリエンス。たとえば、PowerPoint デザイナーや Word のエディターなど。
- オンライン コンテンツをダウンロードするエクスペリエンス: テンプレート、画像、3D モデル、ビデオ、参照資料など、ドキュメントを強化するオンライン コンテンツを検索してダウンロードできるエクスペリエンス。たとえば、Office テンプレートや PowerPoint のクイックスターターなど。
- その他の接続エクスペリエンス: ドキュメントでの共同作業などのエクスペリエンスも、Office デスクトップ アプリを Microsoft Cloud から切り離すことにより、無効にすることができます。
一部のサービスは Office アプリが機能するために必要不可欠であるため、無効にすることはできません。たとえば、Outlook のメールボックスの同期、Office ライセンスの認証と検証、Office が最新状態であるかどうかの確認などのサービスです。
これらの機能改善は Windows 版 Office に含まれるようになりましたが、今後数か月以内に、同様のコントロールとエクスペリエンスが他のプラットフォームの Office にも導入される予定です。
Office が職場または学校のアカウントに接続されると、IT 管理者は、組織内のユーザーが利用可能な接続エクスペリエンスを選択することができます。IT による制御の改善と使用可能なオプションの詳細については、「Office 365 ProPlus のプライバシー コントロールの概要」をご覧ください。
Office のセキュリティ、最新の状態、適切な動作を維持する
Office がお客様から選ばれる理由は、機能、品質、セキュリティ、信頼性、互換性に関する優れた実績があるからです。Microsoft のクラウドを基盤とするエクスペリエンスと同様、Office アプリについても、セキュリティ、最新の状態、適切な動作を維持するため、そして製品を改善するためにデータを使用しています。
この目的のために、Microsoft では診断データを収集して、大規模な問題やセキュリティ リスクの原因となる前に問題を検出し、診断を行い、迅速に対応するために使用しています。いずれかのアプリの実行速度が遅すぎる場合や、その他の何らかのエラーが発生している場合、可能な限り早急に認識する必要があります。そうすれば、ただちに問題の修正に取り掛かることができます。この診断データは、Office の正常な動作を維持するのに役立っています。
Julie のブログで概説されているデータ収集フレームワークに沿って説明すると、Office デスクトップ アプリケーションの診断データには次の 2 つのレベルがあります。
- 必須データ: Office がインストールされたデバイスで、Office のセキュリティ、最新の状態、適切な動作を維持するために最小限必要なデータ。たとえば、デバイスの Office が更新されたときに、必須データが収集されます。更新プログラム パッケージが正常にダウンロードされ、インストールされるように、このような操作の成功 (または失敗) に関する情報が収集されます。また、Outlook に新しいメール アカウントを追加すると、その新しいアカウントが正常に追加されたことに関する必須の診断データが収集されます。失敗率が高いということは、メール プロバイダーによって変更が行われたか、Microsoft のソフトウェアにおけるメール プロバイダーのサポート レベルが低下した可能性があります。
- オプションのデータ: 必須データに加えて収集されるデータで、ユーザーの同意がある場合にのみ収集されます。オプションのデータが収集されると、問題の検出、診断、修正をよりすばやく行うことができます。また、現在および将来の生産性に関するニーズに対応するための改善にも役立ちます。たとえば、ファイルの保存場所がローカルであるか、クラウドであるかは、オプションのデータとして収集されます。これは、Microsoft がお客様の格納場所に関する好みを把握するのに役立ちます。また、機能の使用回数を追跡すると、お客様がどのように Office の新機能を使用しているかを把握することができます。通常、オプションの診断データは、幅広いさまざまなお客様の設定の傾向を把握するために使用されます。Microsoft では、お客様にとってより役立つ機能を提供するために、Office の継続的な改善に努めています。このことを実現するために、オプションの診断データの収集にぜひご協力ください。
Office の診断データ、および提供するカテゴリに関する制御方法の詳細については、「Office の診断データ」をご覧ください。職場または学校のアカウントを使用している場合、IT 管理者は診断データの収集を無効にすることができるので、ユーザーが使用できるオプションについて何らかの設定を行っている可能性があります。
必須データのみのままにするか、オプションのデータも含めるかに関係なく、Microsoft に送られる診断データには、ユーザーの氏名やメール アドレス、ファイルの内容、Office に関連のないアプリに関する情報は含まれません。Microsoft では、診断データの取り扱い方法など、お客様のプライバシーを守るための十分な措置を講じています。 診断データがコンピューターから送信される前に、Microsoft のシステムにより、一意の英数字 ID が作成され、診断データに関連付けられます。この ID は一意ですが、特定のユーザーに関連付けられることはありません。この ID は、問題が 100 台の異なるデバイスで発生したか、または同じ問題が 1 台のデバイスで 100 回発生したかを区別するために使用されます。
Microsoft では、問題の検出、診断、修正のために収集するデータについて、オープンで透明性の高いものになるよう取り組んでおり、Microsoft に送信される診断データを確認できる無料の診断データ ビューアーを作成しました。詳細については、「Office で診断データ ビューアーを使用する」をご覧ください。
信頼の上に構築される Office
Julie のブログでは、新しいフレームワークが発表され、信頼とプライバシーに対する Microsoft の取り組みを強調しています。今回の Office の更新では、これらの原則が具体的に実現されています。
Microsoft のプライバシーのエクスペリエンスとコントロールを、わかりやすく、そして役立つものにすることは、Microsoft の製品とサービスに対してお客様からの信頼を高め、それを維持する上で非常に重要です。今回の Office の更新プログラムで導入された多数のエクスペリエンスは、お客様との長時間にわたる対話と調査によって得られた結果です。今後も引き続き、より多くの情報を得て、それを基に製品の動作とユーザー エクスペリエンスの向上に取り組んでまいります。プライバシーに関連する今後の更新を実現する上で、お客様からのご意見やご感想が重要になります。
全世界のあらゆるユーザーとあらゆる組織が生産性を向上できるよう支援するのが、私たちの使命です。Microsoft がお客様、お客様のデータ、そしてお客様のプライバシーを尊重しているという信頼を得られることによって、はじめてこの使命を果たすことができるのです。