大嶽和也, Author at マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 en-US hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9.4 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/wp-content/uploads/sites/6/2026/06/microsoft_logo-150x150.webp 大嶽和也, Author at マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog 32 32 生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来を、AI とともに~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ 2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。

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2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。 


オープニング 

冒頭のオープニングでは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長木村靖より、政府官公庁、独法、自治体、教育、ヘルスケアから成るパブリックセクター事業の全体像について紹介しました。「Agentic Worldを如何に製薬業界で推進していくか、お客様、パートナー企業様一体となって考えていきたい」と製薬業界に対する意気込みを言及しました。 


「ヘルスケア×生成AIの展望」 
ボストンコンサルティンググループ合同会社 
Managing Director & Partner 
鹿野 洋氏 

はじめに、ボストンコンサルティンググループ合同会社Managing Director & Partnerで、製薬業界・医療機器メーカー等のヘルスケア業界のクライアントに対して幅広いテーマで支援されており、近年はヘルスケア×生成AIというテーマでも豊富なご経験を有する鹿野 洋氏に招待講演を実施していただきました。 

まずは、生成AIの台頭から昨今の技術革新までを振り返り、生成AIがあらゆる産業界にもたらしうる価値の類型と、それを実現するための10-20-70の原則(詳細はBCG社発信情報をご参照ください)を紹介されました。 

「ヘルスケア×生成AIの展望」をテーマに講演するBCG 鹿野洋氏のプレゼンテーション画面


その後製薬業界にフォーカスし、バリューチェーンごとのAI活用シナリオを俯瞰しつつ、AIによる価値創出のポテンシャルが特に大きいドメインやそのインパクトドライバーに係る分析・考察をご紹介くださいました。また、より実務に踏み込んだテーマとして、BCG社が開発したソリューションのデモも示しつつ、コマーシャル・開発・製造の各領域における実際の生成AI活用事例とそれによってもたらされた成果(例:対象業務のリードタイム削減量)等もお話しいただき、参加者からも高い興味・関心を得ていました。締めくくりには、製薬企業の経営者に向けた「AI活用に関する5つの要諦」として、製薬企業における今後の生成AI活用に関する方向性への提言をお示しいただきました。 
 

「マイクロソフトのグローバルでのライフサイエンス領域における取組み」 
Microsoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life Sciences 
Antonio Gatti 

続いてMicrosoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life SciencesのAntonio Gattiが登壇。 
まずは、製薬業界グローバル全体にて挙げられる4つの大きな課題(薬価、医薬品開発に必要なコスト、データのサイロ化、)を定量的なデータを用いながら紹介しました。 

Microsoft EMEA & ASIA Director Antonio Gattiによるライフサイエンス領域のグローバル戦略紹介

そして、昨今Microsoftが掲げる”Frontier Firm”へのAIエージェント活用を軸とした道筋をご紹介しました。人間が行う作業をサポートするAIから、”Digital Colleagues”となり、人間が大まかな指示を与えるとビジネスプロセス・ワークフロー全体の推進役を担うAIエージェントへ進化させていくことで、AIの真価をビジネス実装できると考えています。 

その後、R&D領域に特化した新たなエージェントプラットフォーム、Microsoft Discoveryのご紹介をいたしました。次世代のサル痘ワクチンに向けたアプローチを開発を仮題材として、仮説立案や、シミュレーション等をどのように行うか、コンセプト動画を交えてご説明しました。Microsoft Discovery内部でシミュレーションやビジネス開発、科学論文の執筆等に特化したエージェント群が有機的に連動し、創薬に関する複雑な問いに対するアクションを可能にすることが示されました。 

R&D領域向けエージェントプラットフォーム「Microsoft Discovery」のコンセプト動画イメージ


また、製薬企業様の様々なバリューチェーン領域におけるグローバル事例や、Microsoft Azure上でご利用可能な最先端のライフサイエンス向けAIモデルのご紹介を行い、最後に信頼性のあるAI(安全性、セキュリティ、プライバシー)に関するご説明を行い、セッションを締めくくりました。 


AIエージェント導入企業様による事例紹介 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」 
アステラス製薬株式会社 
Product Development and Manufacturing, 
CMfgO Office, Capability Development & Compliance 
室 篤志氏 

このセッションでは、AIエージェント を導入して業務改革を進めている先進的な製薬企業による事例が紹介されました。 

室氏からは、まずアステラス製薬のものづくりにおけるナレッジマネジメントの考え方と、マルチエージェントへの期待について説明がありました。 

様々な専門部門の協業で成り立つ医薬品ものづくりにおいて、各部門の知識を集約したエージェントを構築することで、各業務プロセスの高度化・効率化が期待されます。さらに、これらのエージェントを組み合わせたマルチエージェントを構築することで、課題に対して各部門の多様な視点を踏まえた全体最適なアプローチを、最速で選択できるようになります。 

今回、最初のマルチエージェントの取り組みとして、「製品の生産中に発生したトラブルに対して、対応案を提案する (逸脱対応)」を選定され、PoCを日本マイクロソフトと実施されました。 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」をテーマに講演するアステラス製薬株式会社 室 篤志氏


要件として、逸脱に対する適切な対応の提示、網羅性の担保、回答信頼性等を掲げられた中で、複数の専門的な役割を担うエージェント群(検索エージェント、信頼性確認エージェント、構造化エージェント 等)を有機的に連携させるマルチエージェントが採用されました。PoCの結果、一定の前提条件のもとで試算した場合、1研究所あたり月当たり最大で約67%、約98時間程度の工数削減が期待されることが示唆されました。 

アステラス製薬によるマルチAIエージェントを活用した逸脱対応PoC事例の説明シーン


アステラス製薬では、医薬品ものづくりの設計図であるQTPP(Quality Target Product Profile:投与ルート、含量、錠剤サイズ、注射剤の液量等)の設定支援へのマルチエージェントの応用についても、今後検討を進めていく予定とのことです。QTPPの設定には、実現可能性、競合優位性、患者さんのQOL等、複数の観点からの検討が求められることから、マルチエージェントの真価が発揮される領域として、製薬業界全体においても期待が高まっています。 


「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」 
株式会社大塚製薬工場 
ICTソリューション部 
Internal-DX推進リーダー 
石﨑 拓海氏 

営業企画部 
営業DX推進リーダー / epico Product Lead 
清水 陽介氏 

石﨑氏と清水氏からは、大塚製薬工場における「安全な生成AI基盤の構築」と「業務AIアプリの内製・量産」による現場課題の高速解決について、具体的な事例を交えて紹介されました。冒頭では、経営戦略としてのDX推進方針や、IT部門強化・内製文化の醸成といった背景が示され、生成AI活用を全社展開するための組織体制と文化的土台が説明されました。 

「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」をテーマに講演する株式会社大塚製薬工場 石﨑 拓海氏と 清水 陽介氏


基盤面では、Azure OpenAI Service をグループ共通テナント上に導入し、Microsoft Teams を入口とした安全な生成AI利用環境を整備した点が特徴です。認証・権限管理・ログ管理を標準化しつつ、2023年には社内版AIチャットボットである「OPFコンシェルジュ」を全社展開することで、社員が安心して生成AIを試せる環境を早期に確立しました。これにより、現場の活用アイデアが一気に広がり、AI活用の裾野拡大につながりました。 

Microsoft Teamsを入口とした生成AI活用環境の全社展開イメージ


具体的な事例として、営業支援AIエージェント「epico」と、品質保証領域の文書点検プラットフォームが紹介されました。epicoでは、社内外に散在する営業・学術・市場データを統合し、マルチエージェント技術により調査・分析・回答を自律的に実行することで、MRの情報収集時間を大幅に削減し、提案力向上を実現しています。一方、文書点検プラットフォームでは、複数のエージェントが役割分担して規程検索、差分抽出、根拠提示、指摘生成を行い、点検業務の効率化と品質向上を可能にしました。 

これらを支えた成功要因として、「安全な入口の先行整備」「共通基盤とテンプレートによる量産」「現場主導×IT伴走の協創体制」「人材育成と内製文化」が挙げられました。今後は、対話型からタスク実行型エージェントへの進化や、基盤のグループ展開を通じて、全社・グループ横断でのDX加速が期待されています。 


パートナー企業様によるソリューション紹介 

「製薬企業で”使われる”生成AIにするための継続的な進化」 
アバナード株式会社 
クライアントソリューション本部,  
A&I Software Engineering, Manager 
井関 純一氏 

アバナード株式会社は、製薬企業において生成AIを「導入して終わらせない」ための実践的な取り組みを紹介しました。生成AIは大きな期待を集める一方で、現場に定着せず価値創出につながらないという課題も少なくありません。本セッションでは、技術提供だけにとどまらず、お客様と伴走しながらユーザー価値を共に創り上げていくアプローチに焦点を当てました。 

「製薬企業で"使われる"生成AIにするための継続的な進化」をテーマに講演するアバナード株式会社 井関 純一氏 


大手製薬企業様における社内向け生成AIプラットフォームの事例を通じて、短期間での本番導入を実現した背景や、利用者の声を起点に継続的な改善と進化を重ねるアジャイルな開発プロセスを解説しました。さらに、機能豊富なAzureのAIサービス群を基盤にして作り上げた、特徴的な機能と取り組みを複数取り上げ、アルゴリズム最適化によるAIの回答精度向上、部門/組織ごとに最適化されたデータ&AI活用基盤、日常業務に自然に溶け込む文書作成支援の独自機能などの概要やユースケースを紹介しました。 

アバナードは技術力とコンサルティング力を掛け合わせ、今後もお客様の成果につながるAI活用をご支援していきます。 


ユーザー起点で進めるMicrosoft 365 Copilot & Agentのグローバル全社活用
――トップ・ミドル・ボトムの連動による組織変革
Engage Squared株式会社 
Modern Work & Change Management Lead 
宇留野 彩子氏 

参天製薬株式会社 
Digital & IT Global Digital Innovation, Digital Solutions, Specialist 
大東 達也氏 

Engage Squaredの宇留野氏は、「Microsoft 365 Copilot & Agent全社活用」をテーマに、製薬業界でMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業、参天製薬(Santen)を支援する立場から、同社の大東氏とともに、実例に基づく推進モデルを紹介しました。 

キーワードは「ユーザー起点」です。宇留野氏はまず、Microsoft 365 Copilot導入における「ライセンスジャーニー」を取り上げ、単なる技術検証ではなく、ビジネス検証としてビジネスユーザーとともに価値や効果を見出し、組織変革の梃子として活用していくことの重要性を示しました。大東氏は、Santenが全社導入に至った背景として、奈良開発研究センターでのビジネス検証を通じて、研究員のオフィスワーク効率化という具体的な成果が確認できたことが、大きな後押しになったと説明しました。 

続いて宇留野氏は、全社的な活用を進めるうえで重要となる「トップ」「ミドル」「ボトム」の三層構想を提示しました。経営層の巻き込み、管理職層の協力、ユーザーによる自律的な活用を組み合わせることで、組織全体へと活用が広がっていくという考え方です。Santenではこの三層構造が有効に機能しており、大東氏はそれらをつなぐ「アンバサダー制度」の実例を紹介しました。 

また、Agent活用の推進に向けては、研究、営業、マーケティングなど複数部門のビジネスユーザーが参加する「シナリオ発掘わくわくワークショップ」を開催。個別業務の課題にとどまらず、部門横断で共通する課題も明らかになり、Agent開発が大きく前進していることも示されました。

参天製薬とEngage SquaredによるMicrosoft 365 Copilot全社活用モデルのセッション風景 
Agent活用推進のワークショップ実施例を説明するスライド


最後に宇留野氏は、「CopilotもAgentも、実際に使うのはユーザーです。だからこそ、ビジネスユーザーの課題を丁寧に聞き出すことが重要です」と締めくくりました。こうしたユーザー起点の取り組みにより、自発的な推進者、いわゆる「野生のアンバサダー」が生まれ、SantenではMicrosoft 365 Copilot & Agent活用のムーブメントがグローバルに広がっています。 

懇親会では、Santenの取り組みに対して多くの参加者が高い関心を寄せ、大東氏のもとには質問を求める列ができました。製薬業界におけるMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業として、その存在感の大きさが印象づけられる場面となりました。 


「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」 

株式会社ベーシック 
システム部門 第一統括 グループマネージャー 
野﨑 俊弘氏 

システム部門 第一統括 ミッションマネージャー 
阿部 隼人氏 

「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」をテーマに講演する株式会社ベーシック 


株式会社ベーシックは、製剤研究におけるナレッジ活用をテーマに、沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介しました。 

製剤研究の現場では「蓄積データの検索」や「レポート作成」など多様な課題が存在します。同社は膨大なデータを最大限に活用し、「ベテラン研究者に相談できるAI」を目指して、業務特化AgentをAzure基盤で一元管理するプラットフォームを開発しました。 

沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介するスライドイメージ 


本プロジェクトでは、「専門知識の具現化」「複雑な文書解析」「現場への定着」という3つの課題に直面。これに対し、構造解析やチャンキング等の専用Agentを連携させ高精度なナレッジベースを実現し、網羅的検索の反復によりベテラン同等の回答品質を達成しました。さらに、高速な改善サイクルで現場の声を反映させ、人間とAIの協業による知の共有を促進した成果を報告しました。 

最後に、本事例の基盤であり、顧客業務に特化したエージェントを早期構築できる「Agent ARK」と、その無償トライアルを案内し、セッションを締めくくりました。 


「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」 
GenerativeX 
取締役CAIO 
上田 雄登氏 

GenerativeXの上田雄登氏は「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 〜実務インパクトを生む最新ユースケース〜」と題して講演を行いました。 

2026年はエージェントのオーケストレーションやセキュアな運用に関心が移ってきていると指摘。AIエージェント開発トレンドとしては「ロングランニング」「コーディングエージェント」「サンドボックス」「スキル基盤」の4つを挙げ、従来カスタムでステップバイステップに構築していた特化型アプリケーションが、コーディングエージェントの進化により汎用的なAgent型の実装でほとんど代替可能になりつつある現状を紹介。 

「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」をテーマに講演する GenerativeX 上田 雄登氏 
製薬業界におけるAIエージェント開発トレンドを示した2026年最新ユースケース図 

製薬業界における具体的なユースケースとして、ファイル検索、ドキュメントの読み書き、ウェブ検索などのツールを AI に持たせることで、メディカルレビューなどの専門業務の対応が可能となりました。 

さらに、AI活用における人間のボトルネック化という課題に対し、人間が起点となるのではなく、会議の文字起こしから自動的に ToDo が生成され、AI がタスクを実行する自社での実装事例を提示。人間はあくまで必要な場面でのみ介在するという新しい業務設計の考え方を示し、講演を締めくくりました。 


クロージング 

全体のクロージングでは、日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部長 清水教弘より、登壇企業各社への謝意を伝えつつ「当初は既存プロセスの効率化が中心であったAI活用も、プロセス自体を見直すことでいかにパラダイムシフトを生み出していくかに移りつつある。まだまだAIにできること・できないことはあるが、こうした変化をどう実現していくかをマイクロソフトはしっかりサポートしてまいりたい。」とコメントがありました。また、「製薬業界全体でAIエージェントによる価値創出を進めていくためには、製薬企業様とパートナー企業様が一体となって進めていく必要がある。」と、ステークホルダー横断的な取り組みの重要性にも言及しました。 

製薬業界のAIエージェント活用に関する最先端情報を学び、パートナー企業によるAIソリューションの進化を実感できた参加者にとって、有意義な時間となっておりましたら幸いです。 

日本マイクロソフトは今後も製薬業界でのAIエージェント利用の可能性を皆さまと共に追求していきます。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。 

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Microsoft Azureで実現するAIモデルによる医療画像解析  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/11/20/microsoft-healthcare-blog-202511/ Thu, 20 Nov 2025 05:38:43 +0000 医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。

医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。
Azure AI Foundry上では、新たに複数の医療画像向けAIモデルがリリースされ、容易に画像の分類、検索、腫瘍部分の抽出、レポート作成等が可能になります。

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Executive Summary 

  • 医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。 
  • Azure AI Foundry上では、新たに複数の医療画像向けAIモデルがリリースされ、容易に画像の分類、検索、腫瘍部分の抽出、レポート作成等が可能になります。 
  • 医療画像に関連する取り組みとして、Alliance for Healthcare from the Eye (AHE)での網膜イメージングに関する新たなアプローチが始まっております。 
  • AI/生成AIのような新たな技術革新と各国の法整備やルールのバランスを鑑みて、ヘルスケア業界の様々なステークホルダーがメリットを享受できるようなアプローチを模索していく必要があります。 
  1. 医療画像分析のこれまでのトレンド、重要性 

医療画像分析は従来、放射線科医や画像診断医による経験的解釈に基づき進められてきましたが、近年ではAI技術の進展により大きく変革を遂げています。特に、ディープラーニングを活用した深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像分類、臓器や病変のセグメンテーション、画像再構成など、さまざまな解析タスクで急速にその性能を向上させています [1][2]。 

また、「基盤モデル」と呼ばれるZero shot / Few shot learningに対応する大規模言語モデルが登場し、マルチモーダルの医療画像(X線、CT、MRI、超音波、病理画像など)を横断的に処理可能となりました [3]。 

また、2013年以降、主要な文献データベースにおいて、深層学習を核とする医療画像研究の発表数は年々増加しており、著名な研究者や機関による成果も多数見られます [4]。 

ヘルスケアAIの商業化は急速で、2025年時点でグローバル医療画像解析AI市場は約105億米ドルに達し、2025~2033年の年間成長率(CAGR)は約28%と見込まれています。この成長は、慢性疾患の増加、高齢化社会の進行、臨床現場におけるAI導入の加速などが背景です [5]。 

また、米国を中心に医療機関やシステムレベルでAI採用が急速に拡大しており、ヘルスケア業界全体でAIの導入率は一般企業の2倍以上にまでなっています [6]。 

一般的な医療画像分析の重要性と期待される効果として、下記があると想定されます。 

  1. 診断精度の向上と診断時間の短縮 

AIは微小病変や陰影の検出において人間より高い精度を示す例があり、多くの症例で誤診削減や迅速な診断が期待されています。例えば、スタンフォード大学では胸部X線による肺炎検出で放射線科医を超える精度を達成しています [7]。 

  1. スタッフ負担の軽減と業務効率化 

AIによる自動読影・レポート生成(例:胸部X線所見の自動報告)により、医師や診断技師の業務負担が軽減され、より複雑な症例への対応や患者接触にリソースを集中できます [8]。 

  1. 早期発見・スクリーニングの推進 

AIは偶発所見やリスクの高い集団のスクリーニングに活用されており、早期治療の機会を拡大しています。米国では肺がんや心疾患にも応用が進んでいます [8]。 

本稿では、従来Azure OpenA Service等の大規模言語モデルを提供するPlatformであった、Azure AI Foundry上にて提供される3つの新たな医療画像向けAIモデルの特徴及びユースケース、そして関連する取り組み例をご紹介します。 

  1. Azure AI Foundry上で利用可能な医療AIモデル 

現在、Azure AI Foundry上では様々な医療AIモデルにアクセスすることが可能です [9]。これらのモデルは、Microsoft Researchや、パートナー企業様と共同で開発しております。医療機関様やヘルスケア関連企業様は、このモデルを使用して、特定のニーズに合わせて調整された AI ソリューションを迅速に構築してデプロイし、1から同様のモデルの構築することと比較して、広範なコンピューティングとデータの要件をゼロから最小限に抑えることが可能です。本内容では、Microsoftが1st partyとして提供している3つの医療AIモデルについて、ご紹介いたします。 

1つ目は、“MedImageInsight”という医療AIモデルです [10]。対応する画像の種類は非常に幅広く、X線、CT、MRI、臨床写真、ダーモスコピー(皮膚科画像)、組織病理学画像、超音波、マンモグラフィーなどが含まれます。 

このモデルの評価結果の詳細を記した論文も発表されております [11] 

Fig.1 MedImageInsightによる画像分類のイメージ 
Fig.1 MedImageInsightによる画像分類のイメージ 

本モデルの利用用途としては、下記が想定されます。 

  1. 類似症例検索(画像検索) 

X線画像をアップロードすると、過去の症例データベースから類似画像を検索し、参考情報を提示。皮膚科やマンモグラフィーなどでも同様に、診断補助として活用可能。 

  1. 疾患分類 

新しい疾患や条件に対して、追加学習なしで分類できるため、迅速な対応が可能。例えば、胸部X線で肺炎や結核などの疾患を自動分類が可能に。 

  1. 外れ値検出(異常画像の発見) 

大量の画像データから、異常なパターンを持つ画像を自動検出。研究や品質管理で、データセットのクレンジングにも役立つ可能性有。 

  1. 医療研究のデータ解析基盤 

埋め込みベクトルを使って、疾患間の類似性分析やクラスタリングを実施。新しい診断アルゴリズムや治療方針の研究に活用。 

  1. 教育・トレーニング用途 

医学生や研修医向けに、症例検索や診断練習のためのAI支援ツールとして利用。多様なモダリティの画像を一括で扱えるため、包括的な学習が可能。 

2つ目は、CXRReportGenという医療AIモデルです [12]。医療画像診断のレポート作成には、次のような要件があると理解しております。 

  • 詳細な画像の解釈 
  • 複数の情報の統合(過去の画像との比較を含む) 
  • 正確で自然な文章生成 

これらの要件を満たすため、医療AIモデルは有効なアプローチの1つと想定されます。CXRReportGenは、過去にMicrosoft Researchから発表された放射線画像に関するレポートを作成させるMAIRA-2というモデルと同じフレームワークを利用しております [13][14]。 

本モデルの利用用途としては、下記が考えられます。 

  1. 自動レポート作成(胸部X線検査) 

患者の胸部X線画像を入力すると、AIが所見リストを生成し、放射線診断レポートを自動作成。医師の負担を軽減し、レポート作成時間を短縮。 

  1. 過去画像との比較レポート 

現在の画像と過去の画像を統合し、変化や進行状況を明確に記載。治療効果や疾患の進行度を把握する際に有用。 

  1. 根拠付きレポート(グラウンディング) 

所見ごとに画像上の位置情報を示し、AIが生成した文章の透明性を確保。医師がAIの判断を検証しやすくなる。 

  1. 教育・トレーニング用途 

医学生や研修医向けに、AIが生成したレポートと画像の対応関係を学習。診断スキルの向上に役立つ。 

Fig.2 CXRReportGen にX線画像のレポート生成を依頼するイメージ 
Fig.2 CXRReportGen にX線画像のレポート生成を依頼するイメージ 
Fig.3 CXRReportGen に異常所見を提示させるイメージ 
Fig.3 CXRReportGen に異常所見を提示させるイメージ 
Fig.4 CXRReportGenに悪性細胞の種別の概要を記述させるイメージ 
Fig.4 CXRReportGenに悪性細胞の種別の概要を記述させるイメージ 

そして3つ目は、MedImageParse/MedImageParse 3D、というモデルです [15]。 

生物医学画像の解析は、細胞生物学、病理学、放射線学などの分野で新しい発見をするために欠かせません。 

従来は、画像内のオブジェクトを「セグメント化」「検出」「認識」するタスクがそれぞれ別々に処理されていたため、全体的な解析効果が限定的でした。 

そこで登場したのがMedImageParseです。 

このモデルは、複数のオブジェクトタイプやさまざまなイメージングモダリティに対応し、セグメント化・検出・認識を統合的に実行します。さらに、セグメント化されたオブジェクトに意味情報を付与し、タスク間の相互関係を活用することで、精度を高め、新しい応用を可能にします。 

例えば、ユーザーはシンプルなテキストプロンプトを入力するだけで、画像内のすべての関連オブジェクトを自動的にセグメント化できます。これにより、従来必要だった境界ボックスの手動での指定が不要になります。 

また、MedImageParse 3Dは、CTやMRIなどの断面画像を含む3Dボリューム全体を処理し、3次元のセグメント化マスクを生成します。これにより、より詳細で立体的な解析が可能になります。 

これらのモデルの詳細な仕様や検証結果についても発表されております [16][17]。 

Fig.5 MedImageParseに病理画像上の悪性細胞をハイライトさせるイメージ 
Fig.5 MedImageParseに病理画像上の悪性細胞をハイライトさせるイメージ 
Fig.6 MedImageParseに皮膚科画像上で悪性黒色腫を検出させるイメージ 
Fig.6 MedImageParseに皮膚科画像上で悪性黒色腫を検出させるイメージ 

具体的な利用シナリオは下記になります。 

  1. 病理画像の自動解析 

組織病理学画像から細胞や組織構造を自動的にセグメント化し、異常部位を検出。がん診断や研究における病理画像解析を効率化。 

  1. 放射線画像の臨床支援 

CTやMRI画像で臓器や病変を自動的にセグメント化し、診断補助に活用。3Dセグメント化により、腫瘍の体積測定や治療計画に役立つ。 

  1. 細胞生物学研究 

顕微鏡画像から細胞や細胞内構造を検出・認識し、定量解析を自動化。大規模な細胞画像データの解析に対応。 

  1. 異常検出とデータ品質管理 

医療画像データセットで外れ値や異常な構造を検出し、データクレンジングに利用AIモデルの学習用データの品質向上に貢献。 

*現在、本セクションでご紹介した医療AIモデルは、研究とモデル開発を目的としてリリースされており、臨床現場でそのままデプロイすることは意図されておらず、健康状態や病状の診断または治療を用途として設計されたものではありません。お客様は、医療 AI モデルのあらゆる使用に対して単独で責任を負うものとします。 

  1. 関連する取り組み例 

医療画像に関連する関連する取り組みとして、Alliance for Healthcare from the Eye (AHE)をご紹介します [18]。AHEは、医療機関のコンソーシアムであり、医療システム、医師、保険者、研究者、政策立案者、規制当局、データプライバシーの専門家、産業界および政府の代表者で構成されています。弊社も参画している本取組では、AHEは、現実の医療現場においてオキュロミクス(眼科データを活用した医療技術)の倫理的かつインパクトのある導入を促進することで、手頃な価格の医療へのアクセスを拡大し、臨床成果の向上を目指しています。 

現在の活動内容としては、下記になります。 

網膜イメージングは、糖尿病性網膜症のスクリーニングに使用できる非侵襲的な検査手法です。定期的な網膜スクリーニングが、他の多くの心血管疾患や神経疾患のリスクを特定するために利用できます。 

解決策として、Nuance Precision Imaging NetworkとTHI Harmonyプラットフォームを活用したクラウドベースの医療提供者ネットワークにより、患者と医療提供者は、ロボティックで迅速かつ非侵襲的な眼のスキャンを通じて、全身性疾患や神経疾患の事前スクリーニングに参加できるようになります。 

想定される効果として、簡易的な非侵襲的なスクリーニング手法は、糖尿病などの疾患の早期診断を改善する可能性を持ち、同時に他の臨床状態に関する洞察を提供する可能性もあります。 

MicrosoftとNuanceのプラットフォームのスケーラビリティを活用することで、これらの画像診断手法はより多くの患者に届けられる可能性があります。 

  1. 今後の展望 

上記のように、Azure AI Foundry上から、複数の最新の医療画像AIモデルにアクセスすることができ、クラウドならではのスケーラビリティ等のメリットも同時に享受することが可能です。 

一方で、AI/生成AIが診断・治療に医療的責任を伴う中で、データバイアス、透明性、公平性への検証は不可欠です。また、各国の法律、ルールに基づいたアプローチをとっていく必要があります。 

テクノロジーの発展と安全性への考慮のバランスを重要視ながら、ヘルスケア領域におけるAI活用による既存業務の効率化、新たな価値創造に向けたご支援を継続して参ります。 

参考文献 

  1. Deep Convolutional Neural Networks in Medical Image Analysis: A Review 
  1. Role of Artificial Intelligence in Medical Image Analysis: A Review of Current Trends and Future Directions | Journal of Medical and Biological Engineering 
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  1. AI-based Medical Image Analysis 2025-2033 Analysis: Trends, Competitor Dynamics, and Growth Opportunities 
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  1. 2025 U.S. Healthcare AI Outlook 
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  1. Azure AI Foundry を使用した MedImageParse および MedImageParse 3D 医療 AI モデル – Azure AI Foundry | Microsoft Learn 
  1. models MedImageParse · Azure/azureml-assets Wiki 
  1. models MedImageParse3D · Azure/azureml-assets Wiki 
  1. The Alliance for Healthcare from the Eye 

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Microsoft Azureのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)活用による医薬品開発やゲノム解析の効率化・加速化   http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2024/09/12/microsoft-azure-high-performance-computing/ Thu, 12 Sep 2024 01:13:14 +0000 医薬品開発に係る各種計算、シミュレーションにはハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を実現するIT基盤が必要不可欠であり、より柔軟にリソースが提供可能なクラウド上での利用が注目されています。
クラウドベースのHPC環境はオンデマンド性、スケーラビリティ、AI等の最新技術との連携等、これまでない様々なメリットを提供可能です。
既に国内外の製薬企業様や研究機関様において、化合物のスクリーニングやゲノム解析の期間短縮にMicrosoft AzureのHPCソリューションが活用されており、新薬開発プロセスの改善や、迅速な医療への応用に繋がる基盤構築が実現されております。
今後はHPCと量子コンピューティングとの統合や研究のオープン化等が期待され、次世代の研究開発をリードするための重要な鍵となる要素と考えられます。

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Executive Summary 

  • 医薬品開発に係る各種計算、シミュレーションにはハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を実現するIT基盤が必要不可欠であり、より柔軟にリソースが提供可能なクラウド上での利用が注目されています。 
  • クラウドベースのHPC環境はオンデマンド性、スケーラビリティ、AI等の最新技術との連携等、これまでない様々なメリットを提供可能です。 
  • 既に国内外の製薬企業様や研究機関様において、化合物のスクリーニングやゲノム解析の期間短縮にMicrosoft AzureのHPCソリューションが活用されており、新薬開発プロセスの改善や、迅速な医療への応用に繋がる基盤構築が実現されております。 
  • 今後はHPCと量子コンピューティングとの統合や研究のオープン化等が期待され、次世代の研究開発をリードするための重要な鍵となる要素と考えられます。 

1. ゲノム解析、創薬領域で爆発的に増大する計算需要 

    昨今アンメットメディカルニーズが高まる一方で、製薬企業が新薬を開発する期間、費用は年々増加の一途を辿っています。具体的には、国内では約9~16年もの時間と、数百-数千億円が必要と言われています [1][2]。さらにそれだけ費やしても、新薬の開発の成功率は約23,000分の1しかないと言われています。可能な限り開発期間、コストの両方を押さえながら革新的な新薬を開発し続ける必要があります。 

    医薬品開発において、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)はゲノム解析、スクリーニング、分子動力学シミュレーション等、様々な計算リソースとして利用されてきました[3]。そして昨今では、その膨大な計算量に対して柔軟に対応可能なパブリッククラウド上でのHPC活用が検討、採用されるケースが増加しております[4]。 

   昨今、特にゲノム解析と創薬領域において、医療技術やバイオテクノロジーの進化に伴い、解析の計算量、データ量が急速に増加しています。本解析処理では、単なる統計データや診療記録に留まらず、ゲノムシーケンスデータやバイオマーカー情報、分子構造データなど、きわめて多様でかつ複雑なデータを扱う必要があります。これらのデータを解析し、有用な知見を得るためには、大規模な計算能力が必要とされます。特に創薬分野とゲノム解析領域における計算需要が増大しています[6]。 

創薬分野における計算需要 

    創薬のプロセスは、初期段階の化合物スクリーニングから始まり、その後の薬理試験や臨床試験を経て、新薬が開発されるという一連の流れを辿ります。この過程においては、非常に多くの化合物を対象に、その生物学的な効果や副作用を評価していきます。実際には数百万から数億に及ぶ化合物を対象にシミュレーションを行い、その中から有望な候補を絞り込むために、膨大な計算リソースが必要になります[7]。 

    従来は、これらのプロセスの多くが実験室で行われていましたが、実験には時間とコストがかかり、その数にも限界があるため、近年ではHPCやAIを活用し、シミュレーションとデータ解析によって効率的にスクリーニングを行うアプローチが主流となりつつあります。分子動力学シミュレーションや量子化学計算を駆使し、分子の構造や相互作用を精密に解析することで、実験では捉えきれない微細な変化を予測し、候補化合物の絞り込みを迅速に行うことが可能になります [8][9]。 

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図 1 創薬開発におけるスクリーニング処理 

ゲノム解析分野における計算需要 

    一方、ゲノム解析の分野でも、次世代シーケンシング(NGS)技術の発展により、個人の全ゲノム解析が可能になりつつあります。全ゲノム解析とは、ヒトのDNA全体を解析するもので、そのデータ量は膨大です。たとえば、ヒトゲノムには膨大な数の塩基対が存在し、その全てを解析するには大規模な計算リソースが必要です。このような膨大なデータを処理し、解析結果を得るためには、従来のコンピュータ環境では対応が難しくなってきています。 

    ゲノム解析は、遺伝子発現のパターン解析、エピジェネティクス研究、遺伝子関連疾患の解明など、多岐にわたる解析を必要とします。これらの解析には、精緻なアルゴリズムと膨大な計算パワーが要求され、また、解析結果を迅速に提供するための高速処理も求められます。クラウドベースのHPCソリューションは、こうした高度な要求に対応するための強力な基盤になり得ることから、その活用が注目されています [9][10]。 

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図 2 ゲノム解析の流れ

2. 近年のトレンド 

    近年、創薬やゲノム解析の分野においてクラウドHPCの活用が進んでいる背景には、クラウドコンピューティング技術の進化とその利便性、コスト効率の高さがあります。これに加え、これらの分野における計算需要が急激に高まっていることも、大きな要因になっています。 

    従来のオンプレミス環境でのHPCは、初期導入コストが高く、維持管理にも多大な労力を必要とするため、特に中小規模の研究機関や企業にとっては大きな負担となっていました。しかし、クラウドベースのHPCは、こうした負担を大幅に軽減します。オンデマンドで必要な計算リソースを利用できるため、初期投資が不要であり、さらに解析ニーズに応じてスケーラブルな計算環境を構築することが可能です。これにより、プロジェクトの規模や進捗に応じて柔軟にリソースを調整できるため、効率的な研究開発が可能になります。また、クラウド環境では、最新の計算リソース(CPUのみならずGPU、FPGAなど)の調達が容易であることから、計算の速度の向上も期待できます[5][11]。特に、AIや機械学習技術との連携が容易であり、これにより、従来の手法では難しかったデータ解析やパターン認識が可能になっています。 

    さらに、クラウドは、地理的に分散した研究チームがリアルタイムでデータにアクセスし、共同で研究を進めることができるため、国際的な共同研究が容易に行えるようになります。クラウドHPCは、データの保存と管理にも優れており、大規模なデータセットを効率的に扱うことが可能です。これにより、ゲノム解析におけるビッグデータの処理や、創薬における大規模な化合物ライブラリの管理が容易になっています[9]。 

    こうしたクラウドHPCの利点は、創薬とゲノム解析の両分野において広く受け入れられ、今後もその利用が拡大することが予想されます。 


3. 創薬・ゲノム解析において求められるクラウドサービスとその効果 

クラウドベースのHPCやその他サービスは、特に創薬とゲノム解析の分野において、その多様な利点が評価されています。主なメリットとして、以下の点が挙げられます[12]。 

  • 計算需要にオンデマンドで対応: 必要なときに必要なだけの計算リソースを利用できるため、研究の進行に合わせて柔軟にリソースを調整できます。これにより、プロジェクトの進行を遅らせることなく、計算資源を効率的に活用できます。 
  • 高いスケーラビリティ: クラウド環境では、プロジェクトの規模に応じて計算リソースをスケールアップ・スケールダウンできるため、大規模な計算が必要な場合でも短期間で大量のリソースを確保することが可能です。これにより、研究のスピードが大幅に向上します。 
  • 個別ニーズに即した開発環境: クラウドHPCでは、研究者のニーズに応じてカスタマイズされた計算環境を構築することが可能です。例えば、特定のアプリケーションや解析ツールを組み込んだ環境を簡単にセットアップできるため、研究者は自分たちの研究に最適化された環境を手軽に構築し、作業を進めることができます。これにより、導入や設定にかかる時間を削減し、研究に集中することが可能となります。 
  • 最新の計算リソースが利用可能(CPU/GPU、FPGAなど): クラウドHPCでは、最新の計算技術が常に利用可能です。特に、GPUやFPGAといったハードウェアアクセラレータを活用することで、大規模なデータ解析や複雑なシミュレーションを高速かつ効率的に実行できます。これにより、研究の質が向上し、成果がより迅速に得られるようになります。 
  • AI連携、Data連携: クラウド環境では、AI技術との連携が容易であり、機械学習やディープラーニングを活用した高度なデータ解析が可能です。従来の手法では難しかった洞察や予測が可能となり、研究の方向性を大きく広げることができます。また、クラウド上でのデータ連携により、異なるプロジェクト間でのデータ共有がスムーズに行えるため、効率的な研究開発が可能となります。 
  • CICDを実現する開発プラットフォームを活用することで、正確なプロジェクト管理、高速な開発ライフサイクル、自動テストによるヒューマンエラーの削減等にも寄与することが可能です。Microsoftからは、Azure DevOpsやGitHubといった複数のプラットフォームを提供しています。 
  • 統合認証/セキュリティ基盤で社内外の連携を促進: クラウドHPCは、セキュリティ対策が強化されており、特に医療データやゲノムデータのような機密性の高いデータを安全に取り扱うことが可能です。統合認証基盤により、異なる組織やチーム間での安全なデータアクセスが実現し、共同研究を円滑に進めることができます。 
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図 3  クラウドベースのAIサービスやデータを活用して解析業務を効率化 

    Microsoft Azureは、創薬やゲノム解析など、ヘルスケア分野に特化したHPC基盤を提供しています。AzureのHPCサービスは、CycleCloud[13]やAzure Batch[14]といったツールを通じて、研究者が必要とする計算リソースを迅速にプロビジョニングし、効率的に利用できる環境を提供しています。これにより、研究者は物理的なインフラの制約を受けることなく、大規模な計算をクラウド上で自由に実行することができます。 

図 4 ゲノム解析、創薬解析

    Azureは、AIやビッグデータとの連携に優れており、研究プロセス全体を支援する統合プラットフォームを提供しています。例えば、ディープラーニングを活用したゲノムデータの解析や、自然言語処理を用いた文献情報の解析など、多岐にわたるAI技術を組み合わせることで、より深い洞察を得ることができます。また、Azure上でのデータ保存と管理は、厳格なセキュリティ基準に準拠しているため、研究データの保護と共有が安心して行えます。 

    さらに、Azureは、分子動力学(MD)などの計算化学アプリケーションを統合した基盤の提供も計画しており、これにより、研究者はクラウド上で包括的な計算環境を利用できるようになるでしょう。これらAzureにおけるHPCサービスの充実により、創薬やゲノム分野でのクラウドHPC活用が日々増加しており、研究開発の基盤として不可欠な存在となっています[16]。 


4. 活用例 

クラウドHPCの活用は、国内外の多くの研究機関や企業で成功を収めており、その有効性が実証されています。以下に、創薬とゲノム解析の分野での具体的な事例を紹介します。 

創薬分野での実例 

    欧州に本社を構える大手製薬会社は、クラウドHPCを活用して新薬開発のプロセスを大幅に効率化しました。従来、数ヶ月を要していた化合物スクリーニングのプロセスが、クラウドHPCの導入によりわずか数日で完了するようになりました。このプロジェクトでは、数億の化合物を対象に、分子動力学シミュレーションを実行し、AIを用いてデータ解析を行うことで、有望な候補を迅速に絞り込むことができました [16]。 

    特に注目すべき点は、クラウドHPCのスケーラビリティを活かし、大量の計算リソースを短期間で動員できたことです。これにより、開発サイクル全体が短縮され、製薬会社は新薬の市場投入を大幅に早めることができました。さらに、クラウドHPCを利用することで、研究者はより創造的なアプローチを採ることができ、結果として開発成功率の向上にもつながっています[17]。 

ゲノム解析分野での実例 

    日本では政府主導で大学、研究機関との連携により、クラウドHPCを利用して大規模なゲノム解析プロジェクトを推進しています。このプロジェクトでは、数十人分の全ゲノムデータを解析する必要があり、そのデータ量は数ペタバイトにも及びます。従来のオンプレミス環境では、この規模のデータを処理するのは非常に困難でしたが、クラウドHPCを活用することで、データの迅速な処理が可能となり、解析結果を短期間で提供し医療への活用を促進する基盤構築を進めています[18]。 

    また、クラウド環境を活用したことで、国内外の複数の研究チームがリアルタイムでデータにアクセスし、共同で解析を進めることができます。これにより、研究プロジェクトの効率が大幅に向上し、国際的な協力体制の下で、迅速かつ高精度な解析を実現することができます。このような活用が可能になれば、クラウドHPCがゲノム解析の分野でいかに強力なツールであるかを示すものであり、データ解析の可能性を大きく拡大します。 

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図5  Azure HPCを活用するための構成例 

5. 今後の展望 

    クラウドHPCの利用は、今後もヘルスケア分野での重要性を増していくことが予想されます。特に、AI技術やビッグデータ解析の進展に伴い、クラウドHPCはこれらの技術を支える基盤として、研究開発の効率化と革新を促進する役割を果たしていくでしょう。加えて、今後期待される分野では、量子コンピューティングの実用化が挙げられます。量子コンピューティングは、従来のコンピューティング技術では不可能だった高度な計算を可能にし、創薬やゲノム解析の分野に革命的な変化をもたらすと期待されています。クラウドHPCプラットフォームに量子コンピューティングが統合されることで、これまでの研究開発の枠を超えた新たな可能性が広がるでしょう。 

    また、クラウドHPCの普及は、研究のオープン化にも寄与すると考えられます。クラウドを活用することで、研究成果をより広範なコミュニティと共有し、協力して研究を進めることが容易になります。これにより、異なる分野の知識や技術を融合させた革新的な研究が進展し、科学全体の発展に寄与することが期待されます。特に、国際的な研究プロジェクトにおいては、クラウドHPCを利用することで、地理的な制約を超えてリアルタイムでのデータ共有と解析が可能となり、グローバルな研究協力が促進されるでしょう。これにより、世界中の研究者が共同で取り組むことで、より迅速かつ大規模な研究が可能となり、科学の進展に大きく貢献することができます。 

   今後、クラウドHPCの活用が加速する中で、研究者にとって重要なのは、この技術を効果的に使いこなすスキルの習得です。クラウドHPCの特性や操作方法を理解し、適切に利用することで、研究の効率化と精度向上が図れます。特に、複雑な解析やそこで生成された大量のデータを扱う場面では、クラウドHPCの効果的な利用が研究の成否を左右することになることが予想され、また、クラウドHPCのスキルを習得することで、研究者自身のキャリアにもプラスの影響を与えることが予想されます。新しい技術を取り入れることで、研究の幅が広がり、革新的なアプローチを採用することが可能になります。 


6. 最後に 

    ヘルスケア領域におけるクラウドHPCの活用は、今後ますます重要性を増していくと考えられます。創薬やゲノム解析の分野では、膨大なデータを迅速かつ精緻に解析するための計算資源が求められており、クラウドHPCはそのニーズを満たすための理想的なソリューションです。クラウドHPCを活用することで、研究のスピードと効率を向上させ、革新的な成果を生み出すことが可能となります。 

    今後も、クラウドHPCはさらなる進化を遂げ、AIや量子コンピューティングとの連携が進むことで、より高度な解析とシミュレーションが可能になるでしょう。研究者は、これらの新技術を積極的に取り入れ、クラウドHPCを効果的に活用することで、次世代の研究開発をリードしていくことが期待されます。 

参考文献 

  1. くすりの開発, くすりの開発 | くすり研究所 | 日本製薬工業協会 (jpma.or.jp) 
  1. 医薬品産業ビジョン2021, 000831974.pdf (mhlw.go.jp) 
  1. Perspective of drug design with high-performance computing, Perspective of drug design with high-performance computing – PMC (nih.gov) 
  1. Pharma companies are counting on cloud computing and AI to make drug development faster and cheaper, Pharma companies are counting on cloud computing and AI to make drug development faster and cheaper | ZDNET 
  1. Microsoft announces collaboration with NVIDIA to accelerate healthcare and life sciences innovation with advanced cloud, AI and accelerated computing capabilities, Microsoft announces collaboration with NVIDIA to accelerate healthcare and life sciences innovation with advanced cloud, AI and accelerated computing capabilities – Stories 
  1. HPC Market Update 2024, Hyperion-Research-SC23-Briefing-Novermber2023_Combined.pdf (hyperionresearch.com) 
  1. 理研創薬・技術基盤プログラム, https://www2.riken.jp/dmp/cli_dev.html 
  1. Introducing two powerful new capabilities in Azure Quantum Elements: Generative Chemistry and Accelerated DFT, Introducing two powerful new capabilities in Azure Quantum Elements: Generative Chemistry and Accelerated DFT – Microsoft Azure Quantum Blog 
  1. 国際連携によるがん全ゲノムの大規模解析、理科学研究所, 国際連携によるがん全ゲノムの大規模解析 | 理化学研究所 (riken.jp) 
  1. ゲノム解析とは、製品評価機構, ゲノム解析とは? | バイオテクノロジー | 製品評価技術基盤機構 (nite.go.jp) 
  1. DRAGEN二次解析、イルミナ社, https://jp.illumina.com/products/by-type/informatics-products/dragen-secondary-analysis.html 
  1. Azureでのハイパフォーマンスコンピューティング, https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/architecture/topics/high-performance-computing 
  1. Azure CycleCloudについて, https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cyclecloud/concepts/core?view=cyclecloud-8 
  1. Azure Batchについて, https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/batch 
  1. Introducing Azure Quantum Elements, https://youtu.be/JkQGM5ZuXO4 
  1. Accelerating Drug Discovery with Supercomputing Scale Biomolecular Simulations on Azure, Accelerating Drug Discovery with Supercomputing Scale Biomolecular Simulations on Azure – Microsoft Community Hub 
  1. Preparing for future health emergencies with Azure HPC, Preparing for future health emergencies with Azure HPC | Microsoft Azure Blog | 
  1. 厚生科学審議会科学技術部会全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会, 厚生科学審議会科学技術部会 全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会 |厚生労働省 (mhlw.go.jp) 

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Copilot for Microsoft 365 活用シナリオ・プロンプト集 – 製薬業界のビジネスを加速する生成AIの活用法 – http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2024/05/27/copilot-for-microsoft-365-utilization-scenarios-and-promptshow-generative-ai-can-accelerate-business-in-the-pharmaceutical-industry/ Mon, 27 May 2024 01:18:33 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2024/05/27/copilot-for-microsoft-365-utilization-scenarios-and-promptshow-generative-ai-can-accelerate-business-in-the-pharmaceutical-industry/ 製薬業界は、医療の進歩や社会のニーズに応えるために、常にイノベーションを求められています。しかし、その一方で、厳しい規制や競争、コストや時間の制約など、様々な課題に直面しています。そこで、製薬業界のビジネスを加速するために、AIアシスタントのCopilot for Microsoft 365をご紹介します。Copilot for Microsoft 365は、Microsoft 365のアプリケーションに統合されたAIアシスタントです。皆様の言葉や文書を理解し、適切なレスポンスや提案を生成します。Copilot for Microsoft 365は、様々な業務シーンに応用できる機能を提供しており、皆様の作業効率や品質を向上させます。 

日本マイクロソフト株式会社では、この度、製薬業界におけるCopilot for Microsoft 365の活用シナリオとプロンプト例をまとめたドキュメントを作成しました。本ブログでは、MR(医薬情報担当者)向け、研究開発向け、バックオフィス向けの一部シナリオとプロンプトをご紹介します。全シナリオとプロンプトに関しましては、以下リンクからダウンロードください。

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Executive Summary 
製薬業界は、医療の進歩や社会のニーズに応えるために、常にイノベーションを求められています。しかし、その一方で、厳しい規制や競争、コストや時間の制約など、様々な課題に直面しています。そこで、製薬業界のビジネスを加速するために、AIアシスタントのCopilot for Microsoft 365をご紹介します。Copilot for Microsoft 365は、Microsoft 365のアプリケーションに統合されたAIアシスタントです。皆様の言葉や文書を理解し、適切なレスポンスや提案を生成します。Copilot for Microsoft 365は、様々な業務シーンに応用できる機能を提供しており、皆様の作業効率や品質を向上させます。 

日本マイクロソフト株式会社では、この度、製薬業界におけるCopilot for Microsoft 365の活用シナリオとプロンプト例をまとめたドキュメントを作成しました。本ブログでは、MR(医薬情報担当者)向け、研究開発向け、バックオフィス向けの一部シナリオとプロンプトをご紹介します。全シナリオとプロンプトに関しましては、以下リンクからダウンロードください。

「製薬企業様向けCopilot for Microsoft 365 プロンプト集」ダウンロードリンク:製薬企業様向け Copilot for Microsoft 365 シナリオ・プロンプト集

Copilot for Microsoft 365の概要 

Copilot for Microsoft 365は、Microsoft 365のアプリケーションに連携し、皆様の言葉や文書を理解し、データ作成や整理などの業務を遂行できるAIツールです。Copilot for Microsoft 365は、以下の特徴を持っています。 

  • 大規模言語処理(LLM)の技術を用いて、皆様の意図や目的を推測し、最適な回答や文章を作成します。 
  • Microsoft 365のアプリケーションとシームレスに連携し、Word、PowerPoint、Excel、Teams、Formsなどで利用できます。 
  • 様々な業務シーンに応用でき、皆様の作業効率や品質を向上させます。 

詳細:Microsoft Copilot for Microsoft 365 – 機能とプラン | Microsoft 365 

製薬業界にCopilot for Microsoft 365 の活用シナリオとプロンプト例 

製薬業界におけるCopilot for Microsoft 365の活用シナリオとプロンプト集では、MR向け、研究開発向け、バックオフィス向けの実践的な活用例をまとめております。本ブログでは、3つのカテゴリーから一例ずつご紹介いたします。 

MR向け活用シナリオとプロンプト例 

MRは、医師や薬剤師などの医療関係者に対して、製品の特徴や効果、安全性などを説明し、信頼関係を築くことが重要な業務です。しかし、MRは、膨大な情報や資料を管理しながら、時間や場所に制約されることも多くあります。Copilot for Micorosoft365では以下のようなシナリオで文書作成業務をご支援できると考えております。 

以下は、MRが医師に向けて講演依頼書を作成する際、そのドラフトをCopilot in Wordに出力させた例です。 

MR 向けシナリオ・プロンプト入力の様子
MR 向けシナリオ・プロンプト出力の様子

研究開発向け活用シナリオとプロンプト例 

研究開発は、製薬業界の中核を担う重要な業務です。研究開発では、最新の研究動向や論文を追いかけたり、臨床試験の結果を分析したり、研究成果を発表したりすることが求められます。しかし、研究開発は、高度な専門知識や技術を必要とするだけでなく、多くの時間や労力を要することもあります。以下は、研究者が創薬研究セミナー(英語)に参加した際に、セミナー内容のキャッチアップをCopilot in Teamsに出力させた例です。 

研究・開発向けプロンプト入力の様子
研究・開発向プロンプト出力の様子

バックオフィス向け活用シナリオとプロンプト例 

バックオフィスは、製薬業界の経営や人事、総務などの業務を担っています。バックオフィスでは、社内外のコミュニケーションや文書作成、アンケート調査などの業務が多くあります。しかしバックオフィスは作成する資料が多くその効率化が求められます。以下は、経営企画部門が新入社員に全社行動規範を説明する為の資料をCopilot in Power Pointに出力させた例です。 

バックオフィス向けシナリオ・プロンプト入力の様子
バックオフィス向けシナリオ・プロンプト出力の様子

まとめ 

本ブログでは、製薬業界のMR向け、研究開発向け、バックオフィスにおけるCopilot for Microsoft 365の活用シナリオとプロンプト例をご紹介しました。これらのシナリオとプロンプトは、あくまで一例であり、皆様のニーズや状況に応じてカスタマイズできます。Copilot for Microsoft 365は、製薬業界のビジネスを加速するための強力なパートナーです。Copilot for Microsoft 365をお試しいただけますと幸いです。 

最後に、本ブログのドラフトはCopilot in Wordで作成致しました。ご参考までにプロンプトを掲載いたします。皆様も様々な業務でCopilot for Microsoft 365を是非お試しいただき、生産性・業務品質向上に向けて生成AIを使いこなしていただけますと幸いです。

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#命令

日本マイクロソフト株式会社として製薬企業様向けの”Copilot for Microsoft 365 活用シナリオとプロンプト集”、”製薬業界のビジネスを加速するAIアシスタントの活用法 “というタイトルでブログを公開します。”Copilot for Microsoft 365 活用シナリオとプロンプト集”はリンクからダウンロード形式で提供し、ブログ内でダウンロードURLを掲載します。ブログでは、”Copilot for Microsoft 365 活用シナリオとプロンプト集”からMR向け、研究開発向け、バックオフィス旨のシナリオからそれぞれ1例を紹介します。そのブログ内容を作成してください。

#条件:

以下項目とそれぞれの説明文を作成してください。但し、実際のプロンプト例の作成不要で、箇条書きでは無く、ナラティブで作成してください。

・Executive Summary

・Copilot for Microsoft 365の概要

・製薬業界にCopilot for Microsoft 365 の活用シナリオとプロンプト例

1. MR向け活用シナリオとプロンプト例

例: Copilot in Word – 講演依頼文書

2. 研究開発向け活用シナリオとプロンプト例

例:Copilot in Teams – 研究セミナーの要約・詳細確認

3. バックオフィス向け活用シナリオとプロンプト例

例: Copilot in Power Point – 新入社員に全社行動規範を説明する為の資料

作成

・まとめ

まとめには以下点を考慮したクロージングの内容を作成してください。

– 皆様でも色々ためしてほしい

– 最後にこのブログのドラフトを作成したこのプロンプトを紹介

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海外の医療機関における生成AI及びデータ活用に関する最先端の取り組み -Microsoft Ignite 2023: The future of data and AI across the entire healthcare journeyより-  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2023/12/11/the-future-of-data-and-ai-across-the-entire-healthcare-journey/ Mon, 11 Dec 2023 00:42:57 +0000 ヘルスケア関連データは2025年までに全業界と比較して最も増加するものと予測されていますが、サイロ化されているため、臨床現場、患者向けサービスなど、すべてのタッチポイントで発生するデータを統合し、分析することでサービスの質を向上させることが求められています。 

医療データに対応した新しいデータ分析プラットフォームを利用することで、事前言語で指示を出すだけで、患者情報を包括的に網羅したダッシュボードを作成できるようになります。 

生成AIが組み込まれた新しいサービスを活用することで、業務の多くを占めるカルテ作成等の事務作業を簡素化し、医師の働き方改善に貢献する可能性があります。

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Executive Summary 

  1. ヘルスケア関連データは2025年までに全業界と比較して最も増加するものと予測されていますが、サイロ化されているため、臨床現場、患者向けサービスなど、すべてのタッチポイントで発生するデータを統合し、分析することでサービスの質を向上させることが求められています。 
  1. 医療データに対応した新しいデータ分析プラットフォームを利用することで、自然言語で指示を出すだけで、患者情報を包括的に網羅したダッシュボードを作成できるようになります。 
  1. 生成AIが組み込まれた新しいサービスを活用することで、業務の多くを占めるカルテ作成等の事務作業を簡素化し、医師の働き方改善に貢献する可能性があります。

1.Microsoft Ignite 2023とは

本ブログは、Microsoft Ignite 2023にて、「The future of data and AI across the entire healthcare journey」という題目で講演された内容に基づいております。Microsoft Igniteとは、弊社がグローバル規模で主催する開発者やIT担当者向けの年次会議です。弊社の最新ツールやソリューションが紹介の紹介が実施されます。また、世界中のお客様のためにオンラインで全世界同時配信もされます[1]。 

2023/11/14-16にて実施されました、Microsoft Ignite 2023では、AIを中心に様々な発表がなされました。例えば、OpenAI社が提供するChatGPT等を弊社のクラウドサービス上で提供するAzure OpenAI Service上に、最新モデルであるGPT-4 Turboを始めとする複数の最新モデルを搭載することを発表しました[2]。これにより、300ページを超える長い文書を一度に入力できるようになります。即ち、本1冊を丸ごと読み込ませられるようになります。 

本イベント内では、「The future of data and AI across the entire healthcare journey」というタイトルにて、ヘルスケア業界に関連するセッションも実施されました。医療機関における生成AIやデータ活用に関する可能性及び最新事例が紹介されました。主なトピックは以下3つです。

  1. 患者と医療従事者の体験の向上に寄与する取り組み 
  1. 患者と医療従事者がより質の高い洞察を得るための取り組み 
  1. より良い医療サービスを提供するための取り組み 
3つのトピックを示す

本ブログでも、上記の3つのトピックに沿って、海外の医療現場における先端技術の活用の最新状況をご紹介いたします。 

2. 患者と医療従事者の体験の向上に寄与する取り組み 

まずは、「患者と医療従事者の体験の向上に寄与する取り組み」について、ご紹介いたします。医療サービスを受ける際に、より患者自身に最適化、パーソナライズ化された内容であれば、満足度が高くなる可能性が向上すると考えられます。パーソナライズ化された医療サービスを提供するには、患者に纏わるあらゆるデータを統合的に把握する必要がありますが、システムが分散しており、データがサイロ化していることが多い点がこれまで課題とされています。一方で、ヘルスケアのデータは2025年までに他のどの業界よりも増加すると予測されており、これからより一層患者に関するデータの扱い方について検討していく必要があると考えます。

関連する事例として、ジョージア州の大手医療システムプロバイダーである、Wellstar社の取り組みが紹介されております。同社は毎年11-12億ドル程度、無償で医療を提供している非営利企業になります。  

Wellstar社は、臨床現場、患者向けサービスなど、すべてのタッチポイントで発生するデータを統合し、分析することでサービスの質を向上させたいという課題がありました。

具体的には、臨床、医師、人口それぞれからの示唆に基づいて患者と接することができることを目指しておりました。

同社は、彼ら自身の目的を達成するためにMicrosoft Cloud for Healthcareを活用し、異なるデータソースを統合し、それらを照合することで、患者の全体像を把握するための包括的なデータ環境を構築しました。Microsoft Cloud for Healthcareとは、医療データを大規模に管理し、医療組織が患者エクスペリエンスを向上し、診療日程の調整、業務効率の改善を行うことができるプラットフォームです[3][4]。例えば、患者用のポータルを利用して、医療機関と容易にメッセージのやり取りや、医療記録にアクセスすることが可能です。さらに、Microsoft Cloud for Healthcare は、医療データのプライバシー、セキュリティ、コンプライアンス、相互運用性について顧客をサポートすることに貢献します。最新のセキュリティ対策ツールを利用して、脅威からの攻撃から患者データを保護することが可能です。

このソリューションを活用することで、同社は患者の情報をより包括的に理解することで、患者自身に健康状態を正確に伝えられるようになり、患者と医療従事者の関係性も向上したとコメントをいただいております。 

Microsoft Cloud for Healthcareを開いているスマートフォン
パソコンの画面を眺めながら電話をする男性

※Microsoft Cloud for Healthcareは、現時点で、英語、フランス語、オランダ語、ドイツ語、デンマーク語、イタリア語、スウェーデン語、フィンランド語、スペイン語、ポルトガル語にて提供されております[5]。 

3. 患者と医療従事者がより質の高い洞察を得るための取り組み 

続いて、「患者と医療従事者がより質の高い洞察を得るための取り組み」についてご紹介いたします。前章までにお伝えした通り、医療機関を取り巻くデータ量は非常に膨大です。世界経済フォーラムによると、医療機関は、年間50ペタバイトのサイロ化されたデータを生成しているとのことです。例えると、毎日4000枚の写真を撮り続けることで蓄積されるデータ量と同程度になります。しかしながら、このデータの97%が利用されておりません。海外の医療機関では、これらの膨大なデータを利活用することを先行して試み始めています。 

2023年10月に、Healthcare data solutions in Microsoft Fabricのプライベートプレビューを開始いたしました。Microsoft Fabricとは、AI利用に最適化された、データ分析の統合プラットフォームになります[6]。AzureやAWS等、マルチクラウド上に存在する様々なデータを1つのデータレイクで簡単に分析することができます。またCopilotと呼ばれる生成AIの機能が搭載されることで、自然言語を記述するだけで、ダッシュボードの作成、クエリの生成をすることができます。その結果データエンジニアやデータサイエンティストの業務負荷を軽減し、より高付加価値の業務に専念することができるようになります。 

Microsoft Fabricに関する詳細情報に関しては、以下動画をご覧ください。 

そして、Healthcare data solutions in Microsoft Fabricは、医療およびライフサイエンス関連の組織向けの複雑なデータソースを統合的に分析が可能な、業界特化型のソリューションになります[7]。 

 例えば、FHIRやDICOM、医療機器から得られる様々なデータを単一のデータレイクに収集し、ダッシュボードを作成することで統合的な分析をすることが可能です。さらに生成AIと連携することで、専門的な知識を要せず、自然言語を利用してリアルタイムの分析情報を含むレポートを生成可能になります。 

これらの機能により、患者の全体像を迅速に把握することができ、今後必要な診療計画の策定をサポートすることが可能です。  

Healthcare Data solutionを開いている
Care managementを開いている

一例として、シンガポール最大の病院グループである SingHealth は、冒頭でご紹介したAzure OpenAI Serviceと Microsoft Fabricを連携させることで、人口の高齢化に伴い発生する課題を軽減する取り組みを開始しております。 

4.より良い医療サービスを提供するための取り組み 

最後に、「より良い医療サービスを提供するための取り組み」について、ご紹介いたします。より良い医療サービスの提供を実現するには、患者の体験の質を向上させるだけでなく、医療サービスを提供する医療従事者側の経験も重要です。昨今米国では、臨床医の53%が業務中に症候群の予兆を感じていると報告されております。 

これらの状況を踏まえて、Microsoftのグループ会社である、Nuance社より、9月からDAX Copilotの一般提供が開始されました。DAX Copilotは、生成AIが組み込まれた、臨床文書作成をサポートするソリューションです。医療従事者は声だけで、自分の好みの形式で患者との会話のメモを作成することができます。また、必要に応じてメモを要約することも可能です。 

DAX Copilotを活用しているシーン

これまで、DAX Copilotのプライベートプレビューを実施しておりましたが、参加した臨床医の84%がドキュメント作成の経験が格段に向上したと感じております。さらに参加した臨床医の68%が、DAX Copilotを使用することで、患者により多くの労力と時間を費やすことができ、患者が適切な治療を受けられるようになったため、より良い患者体験を提供できると考えているとの結果が得られました。 

臨床医は、患者のカルテ作成などの事務作業に業務時間の40%以上の時間を費やしてるとのことです。この時間を削減することで、燃え尽き症候群を回避し、より患者と向き合うことができるようになる可能性が高まります。 

※DAX Copilotは現在日本語には対応しておりません。 

5.Microsoft Cloud​とAIの信頼性について  

Microsoftはお客様にクラウドサービスを提供する上で、責任あるAIの原則を掲げ、お客様のデータの取り扱いに関する公式見解を発表しております。責任のあるAIの原則は、公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、包括性という 4 つの基本原則と、それらを支える透明性、アカウンタビリティという 2 つの基本原則で構成されています。 

また、Microsoft Cloud は製品のデータセキュリティにおいて、すでに高度なセキュリティ、ネットワークの信頼のもと提供を行っております。そして、AI を実装するうえで必要なファインチューニングやデータ連携においてもお客様のデータは絶対的な存在として、弊社の AI モデルの学習には利用されませんので、安心してご利用いただくことが可能となります。 

Microsoft Cloud とAIの信頼性のために、3つの視点を重視している

本ブログでは、以下3つの視点から医療機関における先端技術を活用した海外での取り組みをご紹介いたしました。 

  1. 患者と医療従事者の体験を向上に寄与する取り組み 
  1. 患者と医療従事者がより質の高い洞察を得るための取り組み 
  1. より良い医療サービスを提供するための取り組み 

Microsoft Fabricに関しては、本イベントを機に一般提供が開始されております。一足飛びに患者データを扱うことが難しいと想定されますが、まずはデータを使用して私たちの新たな統合データ分析プラットフォームをお試しください。そして、製品やサービスの精度を高めるために皆様からフィードバックを頂けますと幸いです。 

6.関連情報 

  1. Your home for Microsoft Ignite 
  1. Microsoft Ignite 2023: AI トランスフォーメーションと変革を推進するテクノロジ – News Center Japan 
  1. Microsoft Cloud for Healthcare | Microsoft 
  1. Microsoft Cloud for Healthcare に関する入門情報 – Training | Microsoft Learn 
  1. International availability of Microsoft Cloud for Healthcare – Microsoft Cloud for Healthcare | Microsoft Learn 
  1. データ分析 | Microsoft Fabric 
  1. ヘルスケア組織の洞察力を引き出し、患者と臨床医の体験を向上するデータと AI の新たなソリューションを発表 – News Center Japan (microsoft.com) 

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グローバル且つ機微な情報を扱う製薬企業のIT資産を保護する Microsoft のサイバーセキュリティ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2023/02/17/healthcare_cybersecurity/ Fri, 17 Feb 2023 02:43:05 +0000 製薬企業は創薬、製造、営業など彼らのビジネスの多くのシナリオで DX を推進しています。
DX の推進にあたっては、外部とのタッチポイントを増やすことが重要となるため、これまでの境界型セキュリティでは悪意のあるアクセスに対する脅威が高まります。
マイクロソフトは、サイバーキルチェーン全体を保護する包括的なセキュリティスイートを提供し、お客様の IT 資産を保護します。

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Executive Summary
  1. 製薬企業は創薬、製造、営業など彼らのビジネスの多くのシナリオで DX を推進しています。
  2. DX の推進にあたっては、外部とのタッチポイントを増やすことが重要となるため、これまでの境界型セキュリティでは悪意のあるアクセスに対する脅威が高まります。
  3. マイクロソフトは、サイバーキルチェーン全体を保護する包括的なセキュリティスイートを提供し、お客様の IT 資産を保護します。
  4. 参天製薬株式会社様、アステラス製薬株式会社様では複数のマイクロソフトのセキュリティサービスを組み合わせてグローバルなビジネスを安全に推進する仕組みを実装しています。

1. 製薬企業のビジネスモデル全体へ DX が拡大

昨今、製薬企業はビジネス全体へと DX を拡大させると同時にそれが必要不可欠となっています。
創薬の観点では、2021年9月に厚生労働省が策定した医薬品産業ビジョン 2021 において、「革新的創薬」が今後の重要な産業政策の柱の 1 つとして位置づけられました [1]。「革新的創薬」とは、アンメット・メディカル・ニーズを充足させるためのより高度な研究開発のことを指します。よって、今後はゲノムの医療情報基盤や AI 創薬等、デジタルテクノロジーが極めて重要な役割を担っていくと予想されます。また、内閣府が同年 6 月に発表したバイオ戦略フォローアップでは、今後益々拡大すると予測されるバイオ関連市場の 1 つの要素として健康・医療が挙げられました [2]。バイオ医薬・再生医療・細胞医療、遺伝子治療関連産業は国内外で 2030 年には約 60 兆円に上ると予測されています。本領域でも、バイオバンクを連携・発展させた大規模なデータ分析基盤が必要とされ、デジタルテクノロジーの重要性が高まっています。
製造の観点では、薬価改定が従前の 2 年に 1 度の間隔から、2021 年より薬価の中間年改定が導入され、毎年見直されることとなりました。これにより、製薬企業はよりコストの最小化を意識しなければならなくなったと考えます。製造に係るコストもその 1 つの要素です。デジタルテクノロジーは、製造現場の DX を推進することで作業効率化を実現し、コスト最適化に貢献する 1 つの手段となると考えます。
営業の観点では、MR (医療情報担当者) の働き方の変化と DX が密接に関わっています。2013 年をピークに国内の MR の数が減少傾向にあり、1.4 万人程減少しています [3]。また、新型コロナウイルスの流行により、医療機関への直接訪問が制限されました。これらの要因から、MR のオンライン会議システムを用いたリモート面談を取り入れる製薬企業が増えています。

2. DX を加速させると共にサイバーセキュリティの重要性も高まる

先に記述したように、製薬企業の DX は組織横断的に展開されています。DX の推進にあたっては、外部とのタッチポイントを増やすことが重要となるので、これまでの境界型セキュリティでは悪意のあるアクセスに対する脅威が高まります。
Microsoft は 2022 年 11 月に Microsoft Digital Defense Report 2022 を公開いたしました [4]。本レポートは、Microsoft が収集する約 43 兆のセキュリティシグナルを分析したものですが、ランサムウェアの被害が多い業界として、製造業とヘルスケアが挙げられています。これらの業界では、特に機微な情報を取り扱うため、ランサムウェアで身代金を入手しやすいと考えられるためです。また、Fortinet 社によると、調査した製薬企業の 93% は少なくとも一回の脅威の侵入を経験しています [5]。製薬会社は他の業界と比較して大学、製造施設、病院などエコシステムが複雑であり、セキュリティ対策の難易度が高いとされています。さらに、英国サイバーセキュリティ情報保証局によると、製薬業界は世界中で知的財産 (IP) サイバー盗難によって 140 億ドルの損失を被っているとされています [6]。
以上のように厳しい法規制の中、複雑且つグローバルなエコシステムの中で機微な情報を扱う製薬企業にとってサイバーセキュリティ対策は優先して取り組むべき課題であるとわれわれは考えます。

3. サイバーセキュリティの強度を高めるための提言

前述したように、ランサムウェア、DDoS 攻撃、クロスサイトスクリプティング、SQL インジェクションなど、機微な IT 資産を所有する全ての製薬企業にとって現在非常に多くの脅威が蔓延しています。Microsoft は、クライアント環境、クラウド上の IT 資産を含むハイブリットな IT 環境のサイバーセキュリティサービスをワンストップで提供することが可能です。
Microsoft はクライアント向けサービスとして、Microsoft 365 というスイート製品を提供しています。本スイート製品には、クラウド型 Office である Office 365 に加えて、Microsoft 365 E5 Security というサービスが含まれています。Microsoft 365 E5 Security は標的型の攻撃を仕掛ける攻撃者の行動プロセスであるサイバーキルチェーン全体の保護をする機能を提供します。Microsoft 365 E5 Security には Microsoft Defender for Office 365、Microsoft Defender for Endpoint、Azure Active Directory Premium P2、Microsoft Defender for Cloud Apps、Microsoft Defender for Identity という 5 つのサービスが含まれます。以下の図に 5 つのサービスが相互にどのように関連しているか示したものになります。それぞれのサービスの概要をご説明いたします。

Microsoft 365 E5 Security によるサイバーキルチェーン全体の保護の図解

Microsoft Defender for Office 365 は、悪意のある添付ファイルやリンクを含むメールに対して、基本的なスプーフィング対策からより高度なコンテンツ分析、調査の自動化等を実施する機能を提供します。サイバーキルチェーン保護の入口を担うサービスです。
Microsoft Defender for Endpoint は、ユーザーが使用するデバイスの予防的な保護や振る舞い検知の機能を提供します。仮にメールの悪質なコンテンツにアクセスし、端末がウイルスに感染したとしても、脅威の行動を自動調査や修復することが可能です。
Azure Active Directory Premium P2 は、Identity ProtectionとIdentity Governance の大きく 2 つの機能を提供します。Identity Protection では、匿名 IP アドレスの利用や特殊な移動(日本からアクセスした 2 分後に同一ユーザーがイタリアからアクセスしている等)といったリスクを排除する条件付きアクセスが可能となります。Identity Governance では、適切なアカウントに適切な特権を適切な期間のみ付与するような特権アクセス管理等を提供します。
Microsoft Defender for Identity は、万が一デバイス侵害やクラウド側の ID 侵害された後にオンプレミス Active Directory の資格情報に対する不審な挙動を可視化するサービスです。認証トラフィックのキャプチャと分析をすることで攻撃者による不正なアクティビティを検知します。また、クラウド上にログデータを集約し本サービス以外のデータと照らし合わせて相関分析をして攻撃全体の把握に繋げることも可能です。
Microsoft Defender for Cloud Apps は、特権 ID を攻撃者が保有し、クラウドアプリの利用まで到達してしまった際に活躍するサービスです。API 接続されたクラウドサービス上のユーザーの行動を監視して脅威を判定することや機密情報の公開範囲を自動で分類し保護します。
以上のように、脅威がクライアント環境で侵入する入口からクラウドサービスに到達するまで一貫して Microsoft 365 E5 Security を活用することで行動を可視化、迅速な対応を可能とします。
一方で、各種業務システム等、企業が保有する IT 資産を Azure 上で保護するサービスも幅広く展開しています。今回はその中で、Microsoft Sentinel というクラウド型の次世代セキュリティ運用基盤サービスについてご紹介いたします。Microsoft Sentinel には、セキュリティイベント、アラート情報を集めて、分析をする SIEM (Security Information & Event Management)、インシデントが発生した場合、脅威への対応を自動化する SOAR (Security Orchestration, Automation & Response)、そしてユーザーの振る舞いを分析・検知する UEBA (User Entity Behavior Analytics) の大きく 3 つの機能を提供します。

Microsoft Sentinel の図解

また、幅広いデータソースに対応していることも特徴の 1 つです。Azure は勿論のこと、オンプレミスサーバー、他社クラウド、サードパーティセキュリティソリューション等のデータを分析することが可能です。
以上のように Microsoft はクライアント環境、クラウド上の業務システム等を含む製薬企業の IT 資産を包括的に高いレベルのセキュリティサービスで保護し、そり迅速に脅威に対して対策を講じる基盤を提供しています。

4. Microsoft のサービスを使った高度なセキュリティの実現例

最後に、前述した Microsoft のサービスを利用して高度なサイバーセキュリティを実装されているお客様を 2 社ご紹介いたします。
1 社目は参天製薬株式会社様です [8]。グローバル化や事業領域の拡大に伴って、社会とのタッチポイントは増加し、セキュリティリスクや防衛すべきラインが拡張し続けること、パンデミックをきっかけに、時代の流れに合った新しい働き方を推進する必要があることが同社のセキュリティ戦略を根本的に見直すききっかけとなりました。そしてグローバル基準のセキュリティ ポリシーの策定と、それに準拠しながら、状況に合わせて柔軟な運用が可能なテクノロジーの導入を推進するため、Microsoft 365 E5 Security をプラットフォームとして採用することを決定しました。グローバルの情報セキュリティ責任者である Elif Apaydin 氏は、Microsoft 365 E5 Security 導入を含む情報セキュリティ施策の 5 か年計画によって事業継続計画 (BCP) と新たなサイバーリスクへの柔軟で適切な対応を成し遂げたいとコメントしています。Microsoft は長期的に参天製薬様のビジョンに根差したご支援を続けて参ります。
2 社目はアステラス製薬株式会社様です [9]。同社が最も重要視しているのは、医薬品の安定供給であり、サイバーセキュリティはリスク管理上の重要項目の 1 つとして認識されています。以前より、オンプレミス型の SIEM サービスを利用されていましたが、地域ごとの運用が必要で有事の際にコミュニケーションに時間がかかること、新たに導入する SIEM の運用面を考えたときに、オンプレミスのままだとデータ移行の手間やサーバー設置場所の選定などの作業に時間がかかることなどの課題がありました。2021 年 4 月よりMicrosoft Sentinel を導入され、24 時間 365 日、世界中の拠点を網羅して SOC 監視を行えるプロセスやその運用体制の成熟に手応えを感じられています。より高度化するために、SOAR の機能実装を進めていきたいという旨のコメントもいただいています。
時流に合わせた経営方針の転換やグローバルで統一したセキュリティ・ガバナンス体制の構築など、お客様ごとの様々な状況に対応し得るサービスを Microsoft は展開しております。これからもお客様の DX 推進と共に、サイバーセキュリティ強化をご支援して参ります。
2023 年 3 月 7 日に、弊社のセキュリティ関連のイベントとして Security Forum 2023 Online が開催されます。社外の有識者の方々、マイクロソフトのセキュリティチームのメンバーから幅広いテーマで情報提供させていただく予定です。以下のリンクからお申込みをお待ちしております。
Security Forum 2023 Online 2023 年 3 月 7 日開催 (microsoft.com)

5. 関連製品

  1. Microsoft 365 E5 Security, http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-365/enterprise-mobility-security/compare-plans-and-pricing
  2. Microsoft Defender for Office 365, https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/security/office-365-security/microsoft-defender-for-office-365-product-overview?view=o365-worldwide
  3. Microsoft Defender for Endpoint, https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/security/defender-endpoint/microsoft-defender-endpoint?view=o365-worldwide
  4. Azure Active Directory, https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/security/fundamentals/identity-management-overview
  5. Microsoft Defender for Cloud Apps, https://learn.microsoft.com/ja-jp/defender-cloud-apps/what-is-defender-for-cloud-apps
  6. Microsoft Defender for Identity, https://learn.microsoft.com/ja-jp/defender-for-identity/what-is
  7. Microsoft Sentinel, https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/sentinel/overview

6. 参考文献

  1. 医薬品産業ビジョン 2021, https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000831973.pdf 
  2. バイオ戦略フォローアップ, https://www8.cao.go.jp/cstp/bio/bio_fu_honbun.pdf 
  3. 2022 年版 MR 白書 -MR の実態および教育研修の調査-,  https://www.mre.or.jp/files/co/page/attachment221201/mre_info/Investigation/whitepaper/2022/2022hakusyo-1-6.pdf 
  4. Microsoft Digital Defense Report 2022, https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE5bUvv?culture=en-us&country=us
  5. Fortinet 2021 年製薬業界の現状とサイバーセキュリティレポート, https://www.fortinet.com/content/dam/fortinet/assets/white-papers/ja_jp/report-2021-state-of-pharmaceuticals-and-cybersecurity.pdf
  6. 10 Ways Covid-19 Vaccine Supply Chains Need To Be Protected By Cybersecurity, https://www.forbes.com/sites/louiscolumbus/2021/01/24/10-ways-covid-19-vaccine-supply-chains-need-to-be-protected-by-cybersecurity/?sh=13b1bc8526c2
  7. PwC 【サイバーインテリジェンス】DX が加速する製薬業界で製造現場が直面するセキュリティ強化の難題, https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/awareness-cyber-security/cyber-intelligence08.html
  8. Microsoft Customer Story-参天製薬 CDIO は語る「事業継続のためのセキュリティ対策は経営課題」, https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/1529382881358781109-santen-pharmaceutical-pharmaceuticals-microsoft-365-ja-japan
  9. 「薬を待つ人たちのために」 Microsoft Sentinel でグローバル規模のセキュリティ対策を実現したアステラス製薬, https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/1512995024942019025-astellas-pharmaceuticals-azure-ja-japan

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