マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/ Fri, 10 Jul 2026 06:01:26 +0000 en-US hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9.4 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/wp-content/uploads/sites/6/2026/06/microsoft_logo-150x150.webp マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/ 32 32 パブリックセクター向け会報「かけはし」2026年6月号発行 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/07/10/kakehashi-2026-06-blog/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/07/10/kakehashi-2026-06-blog/#respond Fri, 10 Jul 2026 01:41:58 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4592 日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の2026年6月号が発行されました。
6月号は「生成AIが促す公共組織のアップデート」等をテーマとし、6つのトピックと2つのニュースを掲載しております。

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日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の2026年6月号が発行されました。
6月号は「生成AIが促す公共組織のアップデート」等をテーマとし、6つのトピックと2つのニュースを掲載しております。

公共サービス等におけるAI活用・DX推進に関する情報となりますので、ぜひご一読ください。

「かけはし」2026年6月号
トピック
生成AI活用事例をお客様限定イベントで共有 第5回霞が関事例研究会開催
AIとセキュリティで加速する自治体DX 都道府県CIOフォーラム@沖縄 出展レポート(2026年2月2日-3日)
日本社会を守る官民連携の最前線へ 重要インフラ組織向けセキュリティラウンドテーブルを初開催(3月11日)
生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来をAIとともに描く~
農林中金全共連アセットマネジメント株式会社 様が進めた「 Microsoft 365 Copilot 」全役職員展開!
農林中央金庫が拓く「生成AI × 市民開発」 ―『攻め』で挑む全社変革 ―

ニュース
2026.3  第17/18回CGウェビナー開催 AI Tour Tokyo 2026 Recap
社会重要インフラ 生成AIラウンドテーブル2026 AI 時代の「業務変革」と「組織のアップデート」を考える

是非「かけはし2026年6月号」をご覧ください。
かけはし2026年6月号

今後も「かけはし」では日本マイクロソフトの取り組みを発信していきます。

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生成AIを“職場の当たり前”に JR西日本が2か月で挑んだ、一気通貫の業務プロセス変革とAI協働モデルの実践 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/digital-transformation/2026/07/09/mobility-2026-blog/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/digital-transformation/2026/07/09/mobility-2026-blog/#respond Thu, 09 Jul 2026 05:08:33 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4596 生成AIは今、単なる業務効率化ツールを超え、「働き方そのもの」を再設計する段階に入りつつあります。 
本記事では、同プロジェクトの背景と狙い、実際の業務での活用事例、そしてAI協働を全社展開していく上で見えてきた課題と展望についてご紹介します。

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JR西日本ロゴ

1. はじめに 

生成AIは今、単なる業務効率化ツールを超え、「働き方そのもの」を再設計する段階に入りつつあります。 

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様では、将来的な「人と生成AIがそれぞれの得意領域で活躍し、協働する働き方」の実現を目指しています。この未来を見据えたファーストステップとして、まずはデジタルソリューション本部が先陣を切り、日常業務に生成AIをクイックかつ組織的に溶け込ませる取り組みを開始しました。目的は、日々の実務における手元のペイン(課題)を解消し、人間がより創造的な業務へリソースを注力できる協働体制を構築すること。このビジョンのもと、「生成AIを活用した働き方変革プロジェクト」を始動させました。 

本記事では、同プロジェクトの背景と狙い、実際の業務での活用事例、そしてAI協働を全社展開していく上で見えてきた課題と展望についてご紹介します。


2. プロジェクトの背景 ― なぜ「デジ本から」始めたのか 

本プロジェクトの出発点は、 
「生成AIを前提に、業務のあり方そのものを変えたい」 
という明確な問題意識でした。 

これまで多くの業務では、 

  • 単純な繰り返し作業などのノンコア業務に時間が奪われる 
  • 属人化による品質のばらつき 
  • 「AIは使ってみたが、結局一部の人しか使わない」 

といった課題が顕在化していました。 

そこでJR西日本では、まずデジタルソリューション本部(デジ本)自らが実験場となり、 

  • ノンコアタスクへのクイックなAI適用 
  • Human in the loop(人が最終判断を担う設計) 
  • ルールの遵守と業務スピードの加速の両立 

を前提に、生成AIを業務の一部とする活動を段階的に進めました。 

その第一弾として、テーマ選定からAIエージェントの構築・検証・展開までを、わずか2か月の間で一気通貫して行うプロジェクトが始動しました。JR西日本と、データ利活用をはじめDXに強みを持つJR西日本のグループ会社TRAILBLAZER、そしてその技術支援としてMicrosoftが加わった体制で、強力に推進されました。  

生成AIによる働き方改革プロジェクトの体制とスケジュール 
生成AIによる働き方改革プロジェクトの体制とスケジュール 

3. 生成AIで取り組むテーマの見極め 

本プロジェクトの成功の要因は、「『短期間で効果が最大限に出せるもの』を関係者間で洗い出して合意することだった」と、TRAILBLAZERの村山さんは語ります。生成AIの活用を検討する際、「何ができるか」から議論を始めてしまうケースは少なくありません。しかし本プロジェクトでは、まず“技術ありき”ではなく、「実務のどこに一番ムダやボトルネックがあるのか」「改善によって、誰の、どのような業務負担が軽減されるのか」といった業務起点の対話を重ねることからスタートしました。 

そして重視したのは、 

  • 数週間〜数か月で成果が可視化され、実務者が確かな手応えを得られること 
  • 業務フローが比較的シンプルで、人とAIの役割分担を設計しやすいこと 
  • 一部の専門業務のみへの適用に留まらず、将来的な横展開が見込めること 

といった観点です。 

生成AIは万能ではありません。だからこそ「100点を狙うテーマ」ではなく、「まずは70点でも価値が出るテーマ」を選ぶことが、結果として実務担当者の納得感やスピード感につながりました。実際、初期テーマで一定の成果を出せたことで、「次はこの業務にも使えるのではないか」というポジティブな連鎖が自然と生まれていきました。 

また、テーマ選定の段階からメンバーを巻き込んだことも重要なポイントでした。 

当初は、「AIの使い方のイメージが湧かない」「どう実務のワークフローに組み込めばいいか分からない」といった戸惑いがありました。さらに、業務変革への高いハードルを感じたり、生成AIを単なる単純業務の置き換えツールと捉えていたことで、効果を低く見積もってしまう傾向も見られました。しかし、プロジェクトを共にする中で、それらの戸惑いは徐々に解消され、生成AIは“自分たちの日常業務の負担を取り除くツール”として前向きに再定義されていったのです。 
村山さんはこう振り返ります。 

「生成AIの導入において本当に難しいのは、技術的なことではなく、業務に携わるメンバーが抱く『業務への想い』を丁寧に汲み取ること。その想いに寄り添って初めて、AIが真に輝く場所が見えてくるのだと思います」 

担当者の意見を尊重した業務ヒアリングによって「業務への想い」を汲み取り、AIが最も輝く場所を特定する。そのうえで、AIが真に機能する領域を見極めることで、担当者の想いを「コア業務への注力」という具体的な価値へ変換していきました。生成AI活用を成功させる鍵は、最先端のユースケースを追いかけることだけではありません。自社の業務と真正面から向き合い、「どこなら一番早く、意味のある変化を起こせるか」を見極めること。その積み重ねこそが、生成AIを“特別な取り組み”から“日常の業務パートナー”へと変えていくのです。 


4. 各部署で進む具体的なAI活用事例 

本プロジェクトでは、わずか2か月の間に総勢11個のAIエージェントが各部門主導で構築されました。ここでは、その中でも5つの代表事例を紹介します。 

4.1訪問営業前における事前準備フローの省力化 

営業活動における商談前のターゲットリサーチや、提案の方向性策定といった事前準備は、多くの時間と労力を要する業務でした。 この課題を解決するため、事前準備フローを効率化・自動化するAIエージェントが導入されました。 
Web上の公開情報や関連データを自動収集し、ターゲットのニーズや課題を整理 
収集したデータに基づき、最適な提案アプローチや訴求軸を提示 
提案に向けた構成案や初期ドラフトを短時間で生成 

 その結果、事前準備から資料の骨子作成までにかかる時間は従来の約1/3に短縮されました。リサーチなどのインプット業務をAIで効率化することで、営業担当者は商談の勝ち筋を決める「思考と判断」に集中できるようになり、提案の質の向上に繋がっています。 

訪問前リサーチ業務のシステム図
訪問前リサーチ業務のシステム図

4.2 社内庶務・経理業務の自動化 

少額備品購入や請求書処理などの庶務業務にも、生成AIが適用されました。 

  • 物品要求票の自動チェック 
  • PDF請求書からの項目抽出・集計 
  • ExcelやPower Appsとの連携 

これにより、年間で数十時間単位の工数削減が見込まれ、 
単なる省力化にとどまらず、「業務の標準化」「ミスの削減」も実現しています。

庶務・経理業務における生成AI活用の画面イメージ
庶務・経理業務における生成AI活用の画面イメージ

4.3 ナレッジ回答AIエージェント​の実装​ 

勤怠や旅費申請、福利厚生、システム周りなど、重要かつ複雑な質問が社内から日々寄せられるため、社内マニュアルを参照して、回答を返すAIエージェントが作成されました。 

これにより、年間約300時間の問い合わせ業務の削減が見込まれます。今後の展望としては、Teams上での過去のやり取りをナレッジ化してAIの参照元に組み込むことで、ユーザーのニーズに即した、より鮮度の高い回答をリアルタイムに届けられると考えています。 

Copilot Studioを入口とした、マルチエージェント構成図 
Copilot Studioを入口とした、マルチエージェント構成図 

4.4 ブランドレギュレーションチェックツール 

JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」のマスコットキャラクターである「カモノハシのイコちゃん」関連の施策や、ICOCAビジネスに携わる社員へのヒアリングを通じて、本取り組みの方向性が定義されました。 

■ 抱えていた課題: ガイドラインの基準が多岐にわたり、人間の手ですべてを漏れなく網羅して確認・判断することが困難。ノウハウが“個人に閉じた知識や判断”に留まってしまい、組織全体で蓄積・再利用できない構造になっている。 

■  設定したゴール: 膨大な基準の網羅的な参照をAIでサポートし、組織として誰もが再現性をもって対応できる体制を構築する 

つまり、問題の本質は単に「作業効率が悪い」ことではなく、組織としての再現性を欠いていた点にありました。 

① 業務特性起因:高度で変化の激しい領域 

対象となる業務は、専門性が高く、判断に知識と経験を必要とします。加えて、規約やルールの改定頻度が高く、最新の解釈が暗黙知化しやすい傾向があります。 

その結果、「内容が複雑で理解が難しい」「気づいたらルールが変わっている」といった状態が常態化していました。 

② 知識構造起因:多岐にわたる情報の網羅・理解の難しさ 

規約やガイドライン自体は事業分野ごとに体系化されているものの、それらを網羅的に把握して理解することが難しく、特に初任者にとっては学習コストが高い状態です。実務担当者からは、「どの情報を見ればいいのか分からない」「自分の解釈が正しいか自信が持てない」といった声が挙がっていました。 

③ 組織・運用起因:「詳しい人に聞く」文化 

短期的には「詳しい人に聞く」方が効率的であるため、結果として標準化や仕組み化が後回しになっている状況も見られます。「詳しい人に聞いたほうが早い」 

「毎回これで回っているから問題ない」こうした構造が、知識の属人化をさらに強めています。 

■ 具体的な業務:ブランドレギュレーションチェック 

こうした課題は、具体的な業務にも表れています。 

例えば、広告物(デザインやLP)のブランドレギュレーションチェックでは、 

  • ブランドガイドライン遵守 
  • 表現リスクの確認 
  • 修正対応 

といった複数の観点をもとに品質を担保する必要があります。 

さらに参照すべき資料として、多数のドキュメントが存在しています。 

この状況では、判断の質はどうしても個人の経験に依存せざるを得ません。 

こうした課題を解決するための第一歩として、まずは「ブランドレギュレーションチェックツール」を作成しました。これにより、確認作業を一作業あたり15分から5分に短縮することができ、組織としての標準化に向けた確かな手応えを得ることができました。今後は、広告代理店とのコミュニケーションのスピードアップにも寄与していくことが期待されます。 

ブランドレギュレーションチェックツールの回答画面
ブランドレギュレーションチェックツールの回答画面

4.5 WESTERモールの出店申請・商品登録チェック業務のサポート 

 JR西日本が運営するECサイトWESTERモールでは、多くの店舗が加盟し、日々新しい商品が出品されています。そこで、店舗様が登録した商品・店舗情報の目視確認や審査にかかる時間を短縮し、より早く消費者へ商品情報を届けるため、出店申請と商品登録のチェック業務を担うAIエージェントを構築しました。これにより、一店舗あたり約1時間の工数削減が見込まれます。今後は、出店者から登録通知を受け取るとエージェントが自動的に動き出す業務フローの構築や、巡回・監視の自動化、店舗様自身が事前にエージェントを利用するセルフチェックなどの構想があります。 

商品登録審査AIエージェントアウトプットイメージ 
商品登録審査AIエージェントアウトプットイメージ 

5. 定量・定性的な成果 

プロジェクト全体として、以下の成果が確認されています。 

  • 業務削減時間:約7,000時間 

 本プロジェクトがもたらした本当の価値は、数字だけに留まりません。AIに対する捉え方が「便利なツール」から「日常の業務パートナー」へと変化したこと。そして何より、この実践を通じて、メンバーの中に「生成AIを活用して自らの手で業務変革を推進していく視点」が養われたことこそが、今回の取り組みにおける最大の資産といえます。 

6. AI協働の輪を広げる体験展示会 

AIを使った取り組みを全社へ横展開するべく、構築したAIエージェントを直接触って体感できる展示会を開催しました。狙いは、日常業務における活用のハードルを下げ、「これなら自分たちもできそうだと実感をもってもらう」という当事者意識を持ってもらうことです。当日は約200名の社員が来場。実際にAIエージェントの動きを体感する中で活用のイメージが具体化し、「自部署でも取り入れたい」との声が多数寄せられました。実務変革を自分ごととして捉える契機となり、全社展開のスピードを加速させる確かな足がかりとなりました。 


7. 全社展開に立ちはだかる2つの課題 

一方で、全社展開に向けては明確な課題も見えてきました。 

  • 組織の課題 
    部署ごとにフォーマットが異なり、データが点在している 
  • ガバナンスの課題
    セキュリティ要件と業務スピードのジレンマ 

これらはツール導入だけでは解消できず、組織文化や意識のアップデートが不可欠です。そこで、まず一つひとつの案件における業務プロセスを細かく分解し、どこが課題か、どうすれば解決できるかを、実務担当者との対話を通じて丁寧に確認するアプローチを採用しました。この密なコミュニケーションを通じて成功事例を実証的に積み重ね、課題解決の手法を「パッケージ化」していくプロセスを踏むことにしたのです。この着実な検証フェーズを経た上で、さらなる横展開に向けて、成功事例を全社に配布する「アプリのカタログ方式」への移行や、実務者が自ら改善を続けられる「市民開発コミュニティ」の創設を計画しています。 


8. おわりに ― AI協働を“全体最適”へ 

JR西日本グループにおける本取り組みは、 
「AIで仕事を楽にする」ことが目的ではありません。 

  • AIに任せる 
  • 人が考える 
  • 生まれた時間を、次の価値創造に使う 

この循環を組織として回し続けることこそが、真のDXだと考えています。 

生成AIと人が協働する働き方は、各業務における試行と実践を通じて、少しずつ形になりつつあります。 

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FIN/SUM 2026 マイクロソフト セッションレポート [保険業界]  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/financial-services/2026/05/20/fin-sum-microsoft-2026-blog/ Wed, 20 May 2026 05:17:47 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/05/20/fin-sum-microsoft-2026-blog/ 2026 年 3 月 の「FIN/SUM 2026 AI ×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」(主催:日本経済新聞社、金融庁)において、日本マイクロソフトのセミナー「保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト」を開催。

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保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト

2026 年 3 月 の「FIN/SUM 2026 AI ×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」(主催:日本経済新聞社、金融庁)において、日本マイクロソフトのセミナー「保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト」を開催。
日本マイクロソフト グローバル保険・地域金融統括本部長 長町浩史氏が、 AI エージェントの活用の現状について紹介。後半では第一ライフグループ Group Chief Data & AI Officerのフィゲン・ウルゲン氏と、日本マイクロソフト 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介氏が登壇し、社内での AI エージェント導入から活用までの実例を紹介した。


AI エージェント導入における課題を、マイクロソフトはプラットフォームとして解決

はじめに、長町氏は保険会社における AI 活用、エージェント導入が本格化してきていることを解説。導入時には、大きく 3 つの点が課題になると説明した。

日本マイクロソフト株式会社 長町氏

「まずは、ユーザーが使いやすい AI エージェントのインターフェースになっているかという点です。日々の業務の動線の中にエージェントが自然に融合されていないと、利便性・使い勝手の観点から利用が進まないと考えています。2 つ目は、エージェントが複数の業務システムと連携できておらず、個々の業務が孤立して動いている状況になっていないか。そして一番重要なのが 3 点目の、データが有効活用できていないことです。データが企業内、またグループ会社間で散財している、さらにそのデータが AI-Ready の状態になってないと上手く活用ができません」(長町氏)。

それらの課題に対し、マイクロソフトでは「エージェント全体のプラットフォームとして解決できるのではないか」と強調した。

「Excel、Word、PowerPoint を触りながら、そのまま自然に AI エージェントに繋がるような融合が可能です。 Microsoft Copilot、Microsoft Foundry、Microsoft Copilot Studio といった統合的なプラットフォームも提供させていただいています。データ領域については、散在しているデータを集約し、AI-Readyなデータとして活用できる、意味を持ったコンテキストなデータに変える。そういった仕組みを Fabric といったサービスを中心にご提供させていただいております」(長町氏)。


連邦型データ基盤と人材育成で、グループ全体の AI 活用を加速

ここからは、日本マイクロソフト 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介氏が進行役を務め、日本マイクロソフトと戦略的パートナーシップを締結している第一ライフグループGroup Chief Data & AI Officerのフィゲン・ウルゲン氏に、同社における AI 活用の実情について話を聞いた。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介、第一生命グループ Group Chief Data & AI Officer フィゲン・ウルゲン氏

フィゲン氏は、グローバルな組織である第一ライフグループは、さまざまなクラウド・ IT 環境を持っており、イノベーションを妨げないよう中央集権型ではなく連邦型を採用していること、Microsoft Azure 上で Microsoft Fabric を利用して AI の基盤を作ってきたことを説明。従業員の利用率を高めるために工夫した点について、次のように話す。

「ただ環境を作っただけでは、AI の導入は進みません。トレーニングもとても重要でした。我々は『コンテキスト組み込み型』というやり方を使い、従業員の皆さんにただの AI ツールを教えるのではなくて、業務に合わせた使い方を教えています。そうすると、もっと継続性・連続性のある使い方になっていきます。この 1 年の中で、コストを回収できるラインの約 3 倍、従業員一人当たり月平均 140 回以上使っていることがわかりました。例えば会議の要約のような簡単な使い方から、業務の一部を完全にAIに任せるというところまで、皆さん様々な使い方をしています」(フィゲン氏)。

フィゲン氏は、AI エージェントを活用する上での課題、そしてそれをどのように乗り越えようとしているかについて、AI-Ready なデータを整えることが重要だと強調した。

第一ライフグループ Group Chief Data & AI Officer フィゲン・ウルゲン氏

「最初に乗り越えるべき壁は、AI がアクセスできる場所に、AI が利用できる形式でデータをもたらすことです。我々のように長い歴史のある会社では、データは紙のファイル、特別なシステムに特化した形式など、さまざまな形で散らばっています。我々が Azure 上に作った連邦型のプラットフォームでは、データのガバナンスを効かせながら、皆さんに安全にデータと AI を作って使ってもらえるようにしています」(フィゲン氏)。

エージェントを活用した変革では、会社に長年務めてきた社員の知識の活用にも期待を寄せているという。

「生成 AI での業務の効率化、生産性を上げるといったプロジェクトはいろいろとあると思いますが、私が重要だと思っているのは『人間はどうなるか』という点です。退職を迎えるベテランの社員は貴重な知識、知恵を持っていて、実は AI を使ってそのような知識も確保できると思っています。業務の効率化と同時に、長年貢献してきたベテランの社員にも敬意を示せるようになるのではないかと思います」(フィゲン氏)。

最後にフィゲン氏は、今後の展望について「Microsoft Fabric は、Microsoft Foundry の中であまりデータを動かさずに、仮想でデータをアクセスして分析できる環境を作れる点が革新的だと思っています。私達の今後のビジョンは、Microsoft Foundry を使ってイノベーションを起こすことです。最終的には、我々のグループ会社はどの会社でも使えるような仕組みを作りたいと思います」と話した。

セッションの最後に荒濤氏は「ありがとうございます。我々の持っている製品やケイパビリティを上手く活用されて、エージェントで大規模な変革をこれから進めていかれようとしていることがよくわかりました。AI の部分だけでなく、インプットとなるデータ、それからアウトプットを活用する人材育成まで、我々のようなテクノロジーパートナーをご活用いただいて、エージェントを活用した変革を進めていただきたいと思っています」とセッションを締め括った。

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Microsoft と Polimill:公共向けAIソリューション強化の最前線「安全なAIエージェント」の全国自治体展開に向け連携を加速 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/05/14/microsoft-polimill-ai-2026-blog/ Thu, 14 May 2026 03:51:10 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/05/14/microsoft-polimill-ai-2026-blog/ 公共機関では、特殊なネットワーク環境や政府特有の制約により、AIを気軽に活用することが難しいケースがあります。そのためマイクロソフトは、より簡単にAIへアクセスし、活用できる環境を整えることを重要な課題と位置付けています。

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公共機関では、特殊なネットワーク環境や政府特有の制約により、AIを気軽に活用することが難しいケースがあります。そのためマイクロソフトは、より簡単にAIへアクセスし、活用できる環境を整えることを重要な課題と位置付けています。

このため、2026年から、日本マイクロソフト株式会社パブリックセクター事業本部は国内AIソリューション分野で著しい実績を持つ Polimill社と協力し、公共向けAI活用の加速と安全基盤の強化を目指した新たな取り組みを開始しました。

本プロジェクトでは、こうした中、両社の協業は、自治体を中心とした公共分野の業務効率化とDX推進を目的とし、全国規模での最新AIモデルの迅速な展開と安全・安心な利用環境の整備を掲げています。こうした中、Polimill社において、2026年5月8日に発表されたニュースリリースにも記載の通り、具体的な取り組みを加速します。

〇 Polimill社のご紹介:行政向けAI 『QommonsAI』 がもたらす現場変革

Polimill株式会社は、行政業務に特化したAI技術を開発・提供する国内先進企業です。Polimill社の主力製品 『QommonsAI』 は、自治体業務の自動化・効率化を支援するAIエージェントであり、複雑な行政手続きや住民対応、文書管理業務など多様なユースケースに対応可能です。直感的な操作性と日本語処理に優れた設計は、現場職員の業務負担軽減とサービス品質向上を両立。さらに、自治体ごとの業務課題や法令遵守要件に即応できる柔軟なカスタマイズが特徴です。すでに多くの自治体で活用されている今注目のソリューションです。
MicrosoftはPolimillと協力し、行政機関のニーズに即したAIソリューション提供に向けて協力を加速していきます。

ここからは、取り組みのポイントをご紹介します。

1.日本国内リージョンでGPT5.4提供開始:Azure OpenAI Service採用

Polimill社は、すでに『QommonsAI』へMicrosoftの国内リージョンにある最新AIモデル「GPT5.4」によるAzure OpenAI Serviceを組み込み、提供開始しました。
これにより、国内データセンターで稼働する高性能AIを全国800以上の自治体にいる30万人の職員等へ安全かつ迅速に展開可能となります。Azure基盤の採用は、自治体データの主権確保と法令遵守、信頼性・安定性の実現を意味し、自治体ごとの個別要件にも柔軟に対応。GPT5.4の導入により、住民問い合わせへの精緻な回答生成、複雑な申請書類の自動チェック、議事録の即時要約などの行政業務が大幅に効率化されることが期待されています。

2.Azure/Microsoft 365を活用した取り組み:行政業務特化ユースケース共同開発
Microsoft AzureおよびMicrosoft 365の活用を通じて、Polimill社は最新AIモデルの速やかな公共現場展開を可能としています。今後、両社は行政業務特化型ユースケース(例:申請審査、情報検索、文書点検、住民対応など)の共同開発・実証に向けた検討を進め、自治体を含めた公共機関のDX推進を強力に支援していきます。また、Microsoft 365 Copilot活用等による現場職員の負担軽減や業務プロセス変革にも注力しています。現場課題の迅速解決と部門横断的なDX推進体制の構築が、今後の公共分野におけるAI活用の新潮流となっています。

3.安全・安心なAI利用基盤の提供:データ主権、セキュリティ、ガバナンスの強化
公共分野におけるAI活用には、データ主権の確保、セキュリティ、ガバナンスの強化が不可欠です。MicrosoftとPolimill社は、国内リージョン限定運用により自治体データの保護とプライバシー遵守を徹底。「政府AI活用ガイドライン」等の最新の指針に準拠し、データ主権を完全に日本国内で保持したまま、監査ログの標準化と透明性の高いAI運用を提供します。また、AIエージェントの運用に関しても、透明性・説明責任を重視し、現場職員が安心してAIツールを活用できる体制を構築しています。

日本マイクロソフト株式会社パブリックセクター事業本部とPolimill社による協業は、自治体職員や公共分野関係者にとって、AI活用による業務改革とサービス品質向上の新たな道を切り拓いています。今後も両社は、最新モデルの展開、ユースケース開発、安全基盤整備を通じて、全国自治体のDX推進を支援し続けます。公共分野でのAI利活用にご興味がある方は、ぜひMicrosoftまたはPolimill社担当窓口までお気軽にお問い合わせください。

【Polimill社 代表取締役COO 谷口野乃花様からのコメント】
「全国自治体は、職員数の減少と財政の制約に直面しながら、公共サービスの水準を維持することを求められています。QommonsAIは、全国約800自治体・約30万人の職員が日々利用する公共分野の共通基盤として、この構造的な課題に応えるべく設計されてきました。Azure OpenAI Serviceの国内リージョンと最新フロンティアモデル『GPT-5.4』を推論基盤の中核に据えることで、データ主権を担保した最新AIを全国の行政現場へ同時に届けられる体制が整います。日本マイクロソフトとの協力を起点に、公共分野のAI活用を次の段階へと進めてまいります。」

Polimill株式会社 代表取締役 谷口野乃花、日本マイクロソフト株式会社 常務執行役員 パブリックセクター事業本部長 木村 靖

【日本マイクロソフトとしての期待(執行役員常務パブリックセクター事業本部長 木村靖)】
「公共分野のDXを前進させるうえで、安全・安心に使えるAI基盤は不可欠です。Polimill社の『QommonsAI』とマイクロソフトのテクノロジーの組み合わせにより、省庁・自治体をはじめとした公共機関の現場課題に即したAI活用を推進していきます。Microsoftはガバナンスとセキュリティを重視し、皆さまと共に信頼できるAIの社会実装を推進します。」

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生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来を、AI とともに~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ 2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。

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2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。 


オープニング 

冒頭のオープニングでは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長木村靖より、政府官公庁、独法、自治体、教育、ヘルスケアから成るパブリックセクター事業の全体像について紹介しました。「Agentic Worldを如何に製薬業界で推進していくか、お客様、パートナー企業様一体となって考えていきたい」と製薬業界に対する意気込みを言及しました。 


「ヘルスケア×生成AIの展望」 
ボストンコンサルティンググループ合同会社 
Managing Director & Partner 
鹿野 洋氏 

はじめに、ボストンコンサルティンググループ合同会社Managing Director & Partnerで、製薬業界・医療機器メーカー等のヘルスケア業界のクライアントに対して幅広いテーマで支援されており、近年はヘルスケア×生成AIというテーマでも豊富なご経験を有する鹿野 洋氏に招待講演を実施していただきました。 

まずは、生成AIの台頭から昨今の技術革新までを振り返り、生成AIがあらゆる産業界にもたらしうる価値の類型と、それを実現するための10-20-70の原則(詳細はBCG社発信情報をご参照ください)を紹介されました。 

「ヘルスケア×生成AIの展望」をテーマに講演するBCG 鹿野洋氏のプレゼンテーション画面


その後製薬業界にフォーカスし、バリューチェーンごとのAI活用シナリオを俯瞰しつつ、AIによる価値創出のポテンシャルが特に大きいドメインやそのインパクトドライバーに係る分析・考察をご紹介くださいました。また、より実務に踏み込んだテーマとして、BCG社が開発したソリューションのデモも示しつつ、コマーシャル・開発・製造の各領域における実際の生成AI活用事例とそれによってもたらされた成果(例:対象業務のリードタイム削減量)等もお話しいただき、参加者からも高い興味・関心を得ていました。締めくくりには、製薬企業の経営者に向けた「AI活用に関する5つの要諦」として、製薬企業における今後の生成AI活用に関する方向性への提言をお示しいただきました。 
 

「マイクロソフトのグローバルでのライフサイエンス領域における取組み」 
Microsoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life Sciences 
Antonio Gatti 

続いてMicrosoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life SciencesのAntonio Gattiが登壇。 
まずは、製薬業界グローバル全体にて挙げられる4つの大きな課題(薬価、医薬品開発に必要なコスト、データのサイロ化、)を定量的なデータを用いながら紹介しました。 

Microsoft EMEA & ASIA Director Antonio Gattiによるライフサイエンス領域のグローバル戦略紹介

そして、昨今Microsoftが掲げる”Frontier Firm”へのAIエージェント活用を軸とした道筋をご紹介しました。人間が行う作業をサポートするAIから、”Digital Colleagues”となり、人間が大まかな指示を与えるとビジネスプロセス・ワークフロー全体の推進役を担うAIエージェントへ進化させていくことで、AIの真価をビジネス実装できると考えています。 

その後、R&D領域に特化した新たなエージェントプラットフォーム、Microsoft Discoveryのご紹介をいたしました。次世代のサル痘ワクチンに向けたアプローチを開発を仮題材として、仮説立案や、シミュレーション等をどのように行うか、コンセプト動画を交えてご説明しました。Microsoft Discovery内部でシミュレーションやビジネス開発、科学論文の執筆等に特化したエージェント群が有機的に連動し、創薬に関する複雑な問いに対するアクションを可能にすることが示されました。 

R&D領域向けエージェントプラットフォーム「Microsoft Discovery」のコンセプト動画イメージ


また、製薬企業様の様々なバリューチェーン領域におけるグローバル事例や、Microsoft Azure上でご利用可能な最先端のライフサイエンス向けAIモデルのご紹介を行い、最後に信頼性のあるAI(安全性、セキュリティ、プライバシー)に関するご説明を行い、セッションを締めくくりました。 


AIエージェント導入企業様による事例紹介 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」 
アステラス製薬株式会社 
Product Development and Manufacturing, 
CMfgO Office, Capability Development & Compliance 
室 篤志氏 

このセッションでは、AIエージェント を導入して業務改革を進めている先進的な製薬企業による事例が紹介されました。 

室氏からは、まずアステラス製薬のものづくりにおけるナレッジマネジメントの考え方と、マルチエージェントへの期待について説明がありました。 

様々な専門部門の協業で成り立つ医薬品ものづくりにおいて、各部門の知識を集約したエージェントを構築することで、各業務プロセスの高度化・効率化が期待されます。さらに、これらのエージェントを組み合わせたマルチエージェントを構築することで、課題に対して各部門の多様な視点を踏まえた全体最適なアプローチを、最速で選択できるようになります。 

今回、最初のマルチエージェントの取り組みとして、「製品の生産中に発生したトラブルに対して、対応案を提案する (逸脱対応)」を選定され、PoCを日本マイクロソフトと実施されました。 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」をテーマに講演するアステラス製薬株式会社 室 篤志氏


要件として、逸脱に対する適切な対応の提示、網羅性の担保、回答信頼性等を掲げられた中で、複数の専門的な役割を担うエージェント群(検索エージェント、信頼性確認エージェント、構造化エージェント 等)を有機的に連携させるマルチエージェントが採用されました。PoCの結果、一定の前提条件のもとで試算した場合、1研究所あたり月当たり最大で約67%、約98時間程度の工数削減が期待されることが示唆されました。 

アステラス製薬によるマルチAIエージェントを活用した逸脱対応PoC事例の説明シーン


アステラス製薬では、医薬品ものづくりの設計図であるQTPP(Quality Target Product Profile:投与ルート、含量、錠剤サイズ、注射剤の液量等)の設定支援へのマルチエージェントの応用についても、今後検討を進めていく予定とのことです。QTPPの設定には、実現可能性、競合優位性、患者さんのQOL等、複数の観点からの検討が求められることから、マルチエージェントの真価が発揮される領域として、製薬業界全体においても期待が高まっています。 


「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」 
株式会社大塚製薬工場 
ICTソリューション部 
Internal-DX推進リーダー 
石﨑 拓海氏 

営業企画部 
営業DX推進リーダー / epico Product Lead 
清水 陽介氏 

石﨑氏と清水氏からは、大塚製薬工場における「安全な生成AI基盤の構築」と「業務AIアプリの内製・量産」による現場課題の高速解決について、具体的な事例を交えて紹介されました。冒頭では、経営戦略としてのDX推進方針や、IT部門強化・内製文化の醸成といった背景が示され、生成AI活用を全社展開するための組織体制と文化的土台が説明されました。 

「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」をテーマに講演する株式会社大塚製薬工場 石﨑 拓海氏と 清水 陽介氏


基盤面では、Azure OpenAI Service をグループ共通テナント上に導入し、Microsoft Teams を入口とした安全な生成AI利用環境を整備した点が特徴です。認証・権限管理・ログ管理を標準化しつつ、2023年には社内版AIチャットボットである「OPFコンシェルジュ」を全社展開することで、社員が安心して生成AIを試せる環境を早期に確立しました。これにより、現場の活用アイデアが一気に広がり、AI活用の裾野拡大につながりました。 

Microsoft Teamsを入口とした生成AI活用環境の全社展開イメージ


具体的な事例として、営業支援AIエージェント「epico」と、品質保証領域の文書点検プラットフォームが紹介されました。epicoでは、社内外に散在する営業・学術・市場データを統合し、マルチエージェント技術により調査・分析・回答を自律的に実行することで、MRの情報収集時間を大幅に削減し、提案力向上を実現しています。一方、文書点検プラットフォームでは、複数のエージェントが役割分担して規程検索、差分抽出、根拠提示、指摘生成を行い、点検業務の効率化と品質向上を可能にしました。 

これらを支えた成功要因として、「安全な入口の先行整備」「共通基盤とテンプレートによる量産」「現場主導×IT伴走の協創体制」「人材育成と内製文化」が挙げられました。今後は、対話型からタスク実行型エージェントへの進化や、基盤のグループ展開を通じて、全社・グループ横断でのDX加速が期待されています。 


パートナー企業様によるソリューション紹介 

「製薬企業で”使われる”生成AIにするための継続的な進化」 
アバナード株式会社 
クライアントソリューション本部,  
A&I Software Engineering, Manager 
井関 純一氏 

アバナード株式会社は、製薬企業において生成AIを「導入して終わらせない」ための実践的な取り組みを紹介しました。生成AIは大きな期待を集める一方で、現場に定着せず価値創出につながらないという課題も少なくありません。本セッションでは、技術提供だけにとどまらず、お客様と伴走しながらユーザー価値を共に創り上げていくアプローチに焦点を当てました。 

「製薬企業で"使われる"生成AIにするための継続的な進化」をテーマに講演するアバナード株式会社 井関 純一氏 


大手製薬企業様における社内向け生成AIプラットフォームの事例を通じて、短期間での本番導入を実現した背景や、利用者の声を起点に継続的な改善と進化を重ねるアジャイルな開発プロセスを解説しました。さらに、機能豊富なAzureのAIサービス群を基盤にして作り上げた、特徴的な機能と取り組みを複数取り上げ、アルゴリズム最適化によるAIの回答精度向上、部門/組織ごとに最適化されたデータ&AI活用基盤、日常業務に自然に溶け込む文書作成支援の独自機能などの概要やユースケースを紹介しました。 

アバナードは技術力とコンサルティング力を掛け合わせ、今後もお客様の成果につながるAI活用をご支援していきます。 


ユーザー起点で進めるMicrosoft 365 Copilot & Agentのグローバル全社活用
――トップ・ミドル・ボトムの連動による組織変革
Engage Squared株式会社 
Modern Work & Change Management Lead 
宇留野 彩子氏 

参天製薬株式会社 
Digital & IT Global Digital Innovation, Digital Solutions, Specialist 
大東 達也氏 

Engage Squaredの宇留野氏は、「Microsoft 365 Copilot & Agent全社活用」をテーマに、製薬業界でMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業、参天製薬(Santen)を支援する立場から、同社の大東氏とともに、実例に基づく推進モデルを紹介しました。 

キーワードは「ユーザー起点」です。宇留野氏はまず、Microsoft 365 Copilot導入における「ライセンスジャーニー」を取り上げ、単なる技術検証ではなく、ビジネス検証としてビジネスユーザーとともに価値や効果を見出し、組織変革の梃子として活用していくことの重要性を示しました。大東氏は、Santenが全社導入に至った背景として、奈良開発研究センターでのビジネス検証を通じて、研究員のオフィスワーク効率化という具体的な成果が確認できたことが、大きな後押しになったと説明しました。 

続いて宇留野氏は、全社的な活用を進めるうえで重要となる「トップ」「ミドル」「ボトム」の三層構想を提示しました。経営層の巻き込み、管理職層の協力、ユーザーによる自律的な活用を組み合わせることで、組織全体へと活用が広がっていくという考え方です。Santenではこの三層構造が有効に機能しており、大東氏はそれらをつなぐ「アンバサダー制度」の実例を紹介しました。 

また、Agent活用の推進に向けては、研究、営業、マーケティングなど複数部門のビジネスユーザーが参加する「シナリオ発掘わくわくワークショップ」を開催。個別業務の課題にとどまらず、部門横断で共通する課題も明らかになり、Agent開発が大きく前進していることも示されました。

参天製薬とEngage SquaredによるMicrosoft 365 Copilot全社活用モデルのセッション風景 
Agent活用推進のワークショップ実施例を説明するスライド


最後に宇留野氏は、「CopilotもAgentも、実際に使うのはユーザーです。だからこそ、ビジネスユーザーの課題を丁寧に聞き出すことが重要です」と締めくくりました。こうしたユーザー起点の取り組みにより、自発的な推進者、いわゆる「野生のアンバサダー」が生まれ、SantenではMicrosoft 365 Copilot & Agent活用のムーブメントがグローバルに広がっています。 

懇親会では、Santenの取り組みに対して多くの参加者が高い関心を寄せ、大東氏のもとには質問を求める列ができました。製薬業界におけるMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業として、その存在感の大きさが印象づけられる場面となりました。 


「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」 

株式会社ベーシック 
システム部門 第一統括 グループマネージャー 
野﨑 俊弘氏 

システム部門 第一統括 ミッションマネージャー 
阿部 隼人氏 

「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」をテーマに講演する株式会社ベーシック 


株式会社ベーシックは、製剤研究におけるナレッジ活用をテーマに、沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介しました。 

製剤研究の現場では「蓄積データの検索」や「レポート作成」など多様な課題が存在します。同社は膨大なデータを最大限に活用し、「ベテラン研究者に相談できるAI」を目指して、業務特化AgentをAzure基盤で一元管理するプラットフォームを開発しました。 

沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介するスライドイメージ 


本プロジェクトでは、「専門知識の具現化」「複雑な文書解析」「現場への定着」という3つの課題に直面。これに対し、構造解析やチャンキング等の専用Agentを連携させ高精度なナレッジベースを実現し、網羅的検索の反復によりベテラン同等の回答品質を達成しました。さらに、高速な改善サイクルで現場の声を反映させ、人間とAIの協業による知の共有を促進した成果を報告しました。 

最後に、本事例の基盤であり、顧客業務に特化したエージェントを早期構築できる「Agent ARK」と、その無償トライアルを案内し、セッションを締めくくりました。 


「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」 
GenerativeX 
取締役CAIO 
上田 雄登氏 

GenerativeXの上田雄登氏は「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 〜実務インパクトを生む最新ユースケース〜」と題して講演を行いました。 

2026年はエージェントのオーケストレーションやセキュアな運用に関心が移ってきていると指摘。AIエージェント開発トレンドとしては「ロングランニング」「コーディングエージェント」「サンドボックス」「スキル基盤」の4つを挙げ、従来カスタムでステップバイステップに構築していた特化型アプリケーションが、コーディングエージェントの進化により汎用的なAgent型の実装でほとんど代替可能になりつつある現状を紹介。 

「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」をテーマに講演する GenerativeX 上田 雄登氏 
製薬業界におけるAIエージェント開発トレンドを示した2026年最新ユースケース図 

製薬業界における具体的なユースケースとして、ファイル検索、ドキュメントの読み書き、ウェブ検索などのツールを AI に持たせることで、メディカルレビューなどの専門業務の対応が可能となりました。 

さらに、AI活用における人間のボトルネック化という課題に対し、人間が起点となるのではなく、会議の文字起こしから自動的に ToDo が生成され、AI がタスクを実行する自社での実装事例を提示。人間はあくまで必要な場面でのみ介在するという新しい業務設計の考え方を示し、講演を締めくくりました。 


クロージング 

全体のクロージングでは、日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部長 清水教弘より、登壇企業各社への謝意を伝えつつ「当初は既存プロセスの効率化が中心であったAI活用も、プロセス自体を見直すことでいかにパラダイムシフトを生み出していくかに移りつつある。まだまだAIにできること・できないことはあるが、こうした変化をどう実現していくかをマイクロソフトはしっかりサポートしてまいりたい。」とコメントがありました。また、「製薬業界全体でAIエージェントによる価値創出を進めていくためには、製薬企業様とパートナー企業様が一体となって進めていく必要がある。」と、ステークホルダー横断的な取り組みの重要性にも言及しました。 

製薬業界のAIエージェント活用に関する最先端情報を学び、パートナー企業によるAIソリューションの進化を実感できた参加者にとって、有意義な時間となっておりましたら幸いです。 

日本マイクロソフトは今後も製薬業界でのAIエージェント利用の可能性を皆さまと共に追求していきます。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。 

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パブリックセクター向け会報「かけはし」2026年3月号発行  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/03/30/kakehashi-2026-03-blog/ Mon, 30 Mar 2026 01:16:19 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/03/30/kakehashi-2026-03-blog/ 日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の 2026 年 3 月号が発行されました。 
3 月号は「DX と AI 実装が加速する公共領域のいま」等をテーマとし、6 つのトピックと 2 つのニュースを掲載しております

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日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の 2026 年 3 月号が発行されました。 
3 月号は「DX と AI 実装が加速する公共領域のいま」等をテーマとし、6 つのトピックと 2 つのニュースを掲載しております。 

公共サービス等における AI 活用・DX 推進に関する情報となりますので、ぜひご一読ください。 

かけはし2026年3月号
トピック 
1 安心・安全を軸に、公共分野での AI 変革 
2 ソブリンクラウドとその定義 
3 クラウド活用が広がる自治体 DX 検討時に欠かせない 3 つの観点 
4 医療現場の働き方改革の実現に向け、大阪病院にて生成 AI を安全に利活用するプロジェクトを開始 
5 JAF が進めた「JAF AI Chat」バージョンアップ ~現場起点で進む、パブリックセクターにおける生成 AI 活用~ 
6 教育の現場から広がる「教育版マインクラフト」の可能性 
ニュース 
1 Copilot 自治体コミュニティ会 
2 医療機関向け生成AI情報交換会 

是非「かけはし 2026 年 3 月号」をご覧ください。 
かけはし 2026 年 3 月号

今後も「かけはし」では日本マイクロソフトの取り組みを発信していきます。 

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クラウド活用が広がる自治体――DX検討時に欠かせない3つの観点 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/03/09/cloud-government-dx-2026-blog/ Mon, 09 Mar 2026 09:06:33 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/03/09/cloud-government-dx-2026-blog/ クラウド活用が広がる自治体
――DX検討時に欠かせない3つの観点
自治体において、国民生活を支える自治体業務を担う人材枯渇が課題として認識されている中、働き方改革の推進に向けてクラウドサービス等を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が着実に広がっています。一方で、Office アプリケーションの更新やグループウェアの見直し、あるいは生成 AI の導入を検討する際、多くの自治体にとって、最初に課題となるのは費用です。 

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<目次>

  1. はじめに:自治体DXで立ち止まって考えたいこと
  2. 観点① 費用:同一条件下でライセンスコストを正しく比較検討する
  3. 観点② 業務効率化:既存業務を考慮した利便性を考える
  4. 観点③ セキュリティ:AI活用を前提とした「データ保護」と「アクセス管理」を考える
  5. まとめ:自治体ごとの最適解に向けて

はじめに:自治体DXで立ち止まって考えたいこと

自治体において、国民生活を支える自治体業務を担う人材枯渇が課題として認識されている中、働き方改革の推進に向けてクラウドサービス等を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が着実に広がっています。一方で、Office アプリケーションの更新やグループウェアの見直し、あるいは生成 AI の導入を検討する際、多くの自治体にとって、最初に課題となるのは費用です。 

実際、既存システムの更新にあたり、前回の更新時よりもコストが増加するケースは少なくありません。共同調達や複数年契約など、できるだけ費用を抑える工夫が行われている一方で、外資系サービスでは為替の影響を受けることも多く、検討や見直しにかかる負担は年々増しています。 

自治体の制度上、担当システムごとに予算化・契約を行うことは避けられません。しかし、個別最適を積み重ねるだけでは、全体としてのバランスや整合性、さらにはセキュリティ面での課題が顕在化しやすくなります。 また、個別システムが乱立すると、職員が複数のツールを使い分ける必要が生じ、かえって業務効率を下げてしまうことや、運用管理者の負担増加につながる可能性もあります。 こうした背景から、Office アプリケーションやグループウェア、さらには AI 活用を含めて、「全体の最適化」という視点で見直すことが求められています。 本稿では、こうした検討を進める際に、一度立ち止まって整理しておきたいポイントを、「費用」、「業務効率化」、「セキュリティ」の3つの観点から整理します。

観点① 費用:同一条件下でライセンスコストを正しく比較検討する

製品やサービスの比較検討において、「同一条件下でライセンスコストの比較ができているか」は重要なポイントです。Microsoft 365 E3には、Office、OS、メール、ポータル・ファイル共有、チャット、オンライン会議に加え、ID・端末管理・セキュリティの要素が幅広く含まれます。他社サービスと完全に同条件で比較することが難しい場合はありますが、できるだけ条件を揃え、どこに差分があるのかを理解した上で検討を進める必要があります。 事前検討が不十分なまま移行すると、移行後に従来水準の業務運営やセキュリティを確保するための追加ライセンス購入が発生し、結果としてコストが増加する可能性があります。

図:Microsoft 365 に含まれる主なサービス

観点② 業務効率化:既存業務を考慮した利便性を考える 

業務効率化を考える際には、運用管理の観点で、利用者である職員の操作性・利便性 を考慮することが重要です。他社 Office 製品への乗り換えを検討する際、既存業務に Microsoft Office がクリティカルな業務は本当に存在しないか、他社Office で既存業務が支障なく行えるかについて、慎重な確認が欠かせません。自治体業務の中には、今なお Microsoft Office での作成が前提となる指定様式の文書やマクロ付きのファイルが存在します。こうした文書を他社 Office 製品で編集すると、指定様式に型崩れが起き、印刷や提出に支障が出るケースも少なくありません。結果として、業務継続のために Microsoft Office をやめられず、他社Office 製品と併用する中で、使い分けを習得する必要があることから、業務効率に支障が生じているのが現場の実情です。このような状況への対策の一つとして、既存業務を考慮したうえで、Office、OS、メールやグループウェアなどを一体で扱える環境を検討することが重要と言えます。

観点③ セキュリティ:AI活用を前提とした「データ保護」と「アクセス管理」を考える

自治体が取り扱う情報には、個人情報をはじめとする機微な情報が多く含まれます。近年は、生成AIの活用も進んでおり、データ保護やアクセス管理等を含めたセキュリティの重要性が増しています。Microsoft 365 においても Copilot ChatやMicrosoft 365 CopilotなどのAI 機能が実装され、アイデアの壁打ちや文書作成から、業務データをデータベースとした活用まで生成AI活用の幅と深さに変化が起きています。Microsoft 365 E3 は、データを正しく管理し続ける仕組みや権限管理、 将来的な AI 活用への拡張性などのセキュリティ機能(AIを利用するためのID管理など)だけでなく、端末上にデータがある前提でのセキュリティ設計、日本国内のデータセンタの活用、ISMAPの取得など自治体現場での活用において押さえるべき要件を有し、自治体のお客様が安心して業務運営を遂行するためのご支援が可能です。

まとめ:自治体ごとの最適解に向けて

グループウェア、セキュリティ、AI といったDXを支援するツールには多様な選択肢があります。重要なのは、それぞれの自治体の環境や業務、調達条件、体制に応じて最適な構成を選ぶことです。 「費用」「業務効率化」「セキュリティ」という三つの観点から全体を整理することで、意思決定の納得感が高まり、導入後の効果も最大化しやすくなります。 日本マイクロソフトは、自治体の皆さまが安心して DX を進められるよう、こうした視点をもとに現実的な選択肢を一緒に整理し、支援していきます。

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医療現場の働き方改革の実現に向け、大阪病院にて生成AIを安全に利活用する体制構築に向けたプロジェクトを開始 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/02/26/jcho-osaka-fujitsu-microsoft-2026-blog/ Thu, 26 Feb 2026 07:50:15 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/02/26/jcho-osaka-fujitsu-microsoft-2026-blog/ 医療機関における働き方改革と持続可能な病院経営の実現に向け、生成AIの活用に対する期待が高まっています。一方で、医療現場において生成AIを安全かつ継続的に活用するためには、セキュリティやプライバシーへの配慮、運用ルールの整備、現場への定着など、多くの課題があります。

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医療機関における働き方改革と持続可能な病院経営の実現に向け、生成AIの活用に対する期待が高まっています。一方で、医療現場において生成AIを安全かつ継続的に活用するためには、セキュリティやプライバシーへの配慮、運用ルールの整備、現場への定着など、多くの課題があります。

こうした背景のもと、独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院(以下、大阪病院)、富士通Japan株式会社(以下、富士通Japan)、フォーティエンスコンサルティング株式会社(以下、フォーティエンスコンサルティング)は、日本マイクロソフトの技術を活用し、大阪病院における働き方改革と持続可能な病院経営の実現を目指して、医師や看護師の業務全般にわたり生成AIを安全に利活用する体制構築に向けたプロジェクトを2026年2月13日より開始しました。

本プロジェクトでは、大阪病院の退院サマリ作成や看護申し送り業務に、富士通Japanが開発・提供する生成AIを活用したサービスを導入し、2026年6月の運用開始に向けて、院内ガイドラインの整備や情報基盤、運用ガバナンスの構築を進めています。これにより、院内における生成AI利活用の普及と定着を図ります。
3者は日本マイクロソフトと共に、本プロジェクトが全国の公的病院や一般病院におけるAI導入のモデルケースとなることを目指すとともに、その知見を他の医療機関へ共有し、医療機関におけるAI導入促進とDXの加速に貢献します。


ここから、取り組みのポイントをご紹介します。


1.退院サマリ作成と看護申し送りの効率化に向けた生成AI活用や電子カルテの診療データ活用

診療領域への生成AI適用の第一弾として、退院サマリ作成および看護申し送り業務への生成AI活用に取り組みます。
大阪病院では年間約1万6,000件の退院サマリが作成されています。本プロジェクトでは、富士通Japanの生成AIを活用した医療文章作成支援サービスを活用し、サマリ作成の支援を行います。また看護領域では、看護申し送りに必要な要点整理に生成AIを活用します。

これらの取り組みにより、業務効率化を図るとともに、医療の質向上と働き方改革の推進を目指します。さらに大阪病院での取り組みにとどまらず、地域医療機能推進機構およびその他公的病院への展開も視野に、電子カルテ上の診療データ活用支援を進めていきます。


2.生成AI利活用における運用ガバナンスの構築

医療現場において生成AIを安全に活用するため、本プロジェクトでは安心・安全を最優先とした運用ガバナンスの整備を進めます。
大阪病院は医療情報の機密性を踏まえ、セキュリティ・プライバシー・コンプライアンスを重視した日本マイクロソフトの生成AIプラットフォーム上でのデータや生成AIの出力結果の取り扱いに関する運用ルールを整備し、法令・倫理面に配慮した生成AIの利活用における運用ガバナンスを体系化します。

また、大阪病院において、医師や看護師に加え、事務部門などの多職種のメンバーが参画し、医療現場での生成AIの利活用を促進させる「DXアンバサダー(院内推進リーダー)」を設置し、現場課題の把握からユースケースの検証、生成AIの利活用支援までを一体的に推進します。これらの知見を生成AI利活用のフレームワークとして整理して運用ガバナンスを強化し、診療領域への展開と医療DXの継続的な推進につなげていきます。


3.組織全体のデジタルリテラシー向上を目指し、教育プログラムを実施

生成AIの定着には、組織全体の理解と活用スキルの向上が不可欠です。
3者と日本マイクロソフトの生成AIの導入知見をもとに、生成AIの利活用の基本方針を定め、その方針に基づいて他の医療機関で生成AIを導入するための運用ガイドラインや、医療従事者向けの生成AIの活用ガイドラインを、フォーティエンスコンサルティングが中心となって策定します。また、同社は教育プログラムを提供・実施支援し、院内全体のデジタルリテラシー向上と生成AIの利活用の定着を図ります。

調印式に参加した、富士通Japan ヘルスケア事業本部長 桑原 裕哉(左)、大阪病院 病院長 西田 俊朗(左から2番目)と日本マイクロソフト ヘルスケア統括本部 統括本部長 清水 教弘(右から2番目)、フォーティエンスコンサルティング ソーシャルバリュークリエイション本部⾧ 重信 卓哉(右)、(於 大阪病院 2026年2月13日)
調印式に参加した、富士通Japan ヘルスケア事業本部長 桑原 裕哉(左)、大阪病院 病院長 西田 俊朗(左から2番目)と日本マイクロソフト ヘルスケア統括本部 統括本部長 清水 教弘(右から2番目)、フォーティエンスコンサルティング ソーシャルバリュークリエイション本部⾧ 重信 卓哉(右)、(於 大阪病院 2026年2月13日)


【一般社団法人日本メディカルAI学会代表理事 浜本隆二様からのコメント】

生成AIを診療文書作成に安全に実装し、ガバナンスと教育まで一体で整える素晴らしいプロジェクトであると思います。安全を担保しつつ、現場負担軽減と品質向上を両立する体制を構築することは大変重要で、全国展開に期待しております。


【日本マイクロソフトとしての期待】

日本マイクロソフトは、本プロジェクトが「医療現場で生成AIを安全に、継続的に活用する」ための実践知(運用ルール、ガバナンス、教育・定着化)を蓄積し、他の医療機関にも展開可能な形で共有されていくことを期待しています。大阪病院、富士通Japan、フォーティエンスコンサルティングの皆さまと共に、現場起点の取り組みが医療DXの加速につながるよう支援してまいります。



独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院

| JCHO大阪病院(旧大阪厚生年金病院) | 地域医療機能推進機構 | 大阪市福島区にある総合診療病院

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​​PHR座談会第5回 職場の健康管理を促進するPHRサービス​    http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/01/21/phrsyposium_phr-services-05/ Wed, 21 Jan 2026 02:01:31 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/01/21/phrsyposium_phr-services-05/ ​​少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業や自治体が持続的に働ける環境を整備するためには、従業員一人ひとりの健康管理がますます重要になっています。​ ​​

第5回となるPHR座談会では、「職場の健康管理を促進するPHRサービス」をテーマに、医療従事者・PHRサービス事業者・企業の三者がそれぞれの立場から、PHR(Personal Health Record)の活用と課題、健康経営におけるPHR活用の可能性と課題を議論しました。​

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​​少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業や自治体が持続的に働ける環境を整備するためには、従業員一人ひとりの健康管理がますます重要になっています。​
第5回となるPHR座談会では、「職場の健康管理を促進するPHRサービス」をテーマに、医療従事者・PHRサービス事業者・企業の三者がそれぞれの立場から、PHR(Personal Health Record)の活用と課題、健康経営におけるPHR活用の可能性と課題を議論しました。​ 

​​【座長】​ 
・​​​一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/​​​産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明

​​【参加者】​ 
・Basical Health 株式会社 代表取締役​​/​​     ​​医師 佐藤 文彦 先生​ 
​​・サワイグループホールディングス株式会社​​​/​​​沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​ 
​​・株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​・株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 

​【聞き手】 
・パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部 医療・製薬営業本部 アカウントエグゼクティブ 室井 豊​ 


“データ活用”による差別化がすすむ健康経営​

​大神:本日は、企業・医療・現場それぞれの専門家の視点から、PHRの活用可能性について議論していきます。少子高齢化が進む中で、人材の健康管理は企業にとっても社会にとっても重要な課題です。PHRはその中でどのような役割を果たせるのか、皆さまの知見をお聞かせください。
まず、健康経営の現状と課題について、佐藤先生は医師および産業医の立場からどのように捉えていますか。​

一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明
一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明

佐藤:健康経営は、いまや多くの企業で定着しつつあります。特に労務・法務の制度整備は着実に進みましたが、従業員一人ひとりの健康支援という観点では、まだ十分とは言えません。今後は、社員の健康に対してどのような具体的な取り組みを行うかによって、企業間の差別化が進む段階に入っていくと考えられます。たとえば、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定制度は多くの注目を集めています。認定を受けることで、同業他社と比較した際に優秀な人材の確保や採用活動で優位に働くなど、企業価値を高める効果も見られます。こうした健康経営の指標が​​さらに従業員の健康支援に​​特化した内容についても​​企業評価として定着​​していけば、​​中小企業にも​​確実に​​広がっていくでしょう。

​​Basical Health 株式会社 代表取締役//医師 佐藤 文彦 先生​
​​Basical Health 株式会社 代表取締役//医師 佐藤 文彦 先生​ 

​大神:​​医師の働き方改革を進めるうえで、PHRの活用は有力な方策の一つと考えられます。たとえば、マイナンバーカードを介した医療連携が実現すれば、救急医療と基幹病院のあいだで患者情報を迅速に共有でき、患者の既往歴や受診歴、服薬情報を事前に把握したうえで受け入れ準備を行うことが可能になります。PHR導入が医師の負担軽減につながるかどうかは、運用面の改善とセットで初めて成立するもので、「医師が自然に使える」「医療現場の判断を速くする」といった実務的な機能性が確保されてこそ、働き方改革の実効性が生まれます。​​ 
医療側にとってもPHR導入のメリットは明確ですが、日常業務の中​​で継続的に活用し、現場に根付かせることが今後の課題だと考えています。

​​
通院間の状態を可視化するPHRアプリ『SaluDi』​ 

​​大神:続いて、PHRサービスを展開する企業の立場からお話を伺います。沢井製薬の竹田さん、お願いします。​ 

​​竹田:当社は、グループ理念である「なによりも健やかな暮らしのために」の実現を目指し、従来のジェネリック医薬品の提供にとどまらず、未病予防や健康支援といった新たな領域にも注力しています。その一環として立ち上げたのが、PHRアプリ『SaluDi(サルディ)』です。​ 

​​『SaluDi』は、一言でいえば“デジタル血圧手帳”のようなサービスです。患者が日々の血圧・体重・食事などのデータを記録し、医師など医療従事者はブラウザ上で患者の通院間の健康状態を確認できます。紙の手帳を忘れてもデータ共有が可能で、本人の同意のもとでバイタル情報を医療機関に開示できるため、医療現場との情報連携が格段にスムーズになりました。​ 

​​現在は、小規模の薬局から900名以上の​​『SaluDi』​​への患者登録をされているクリニックまで、全国約2,700の医療機関に導入されています。医療現場の声を反映しながら機能改善を重ねている点も特徴で、当社のMRが医療従事者の要望を丁寧に吸い上げ、アプリのアップデートに反映しています。こうした現場とともに育てる開発姿勢が、多くの支持につながっていると感じています。​ 

​​サワイグループホールディングス株式会社/沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​
​​サワイグループホールディングス株式会社/沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​ 

​​大神:同時に、企業などへの導入も進めているのでしょうか。​ 

​​竹田:はい。自治体による住民の健康づくり支援や、企業の健康経営の一環としての導入も進んでいます。特に中小企業では、健康経営を推進したいという意欲はあっても、具体的な施策に落とし込めず課題を抱えるケースが少なくありません。『SaluDi』を活用することで、社員の健康診断結果などのデータを継続的に管理でき、プレゼンティーズム(出勤していても十分に働けない状態)の改善や、社員のエンゲージメント向上にも寄与すると考えています。​ 

​​実際に、産業保健師の先生方の協力を得て、弊社社員約300名を対象に『SaluDi』を活用した実証実験を行いました。​​『SaluDi』​​で日々の健康状態を記録・管理することで、個人の行動変容にどのような効果があるかを検証したものです。その結果、平均血圧が135mmHg以上あった高血圧群で11mmHgの低下、体重も平均2kg減少するなど、明確な成果が得られました。健康意識の高まりは、業務効率や社内の雰囲気にも好影響をもたらしており、今後の健康管理施策を検討する上で非常に有意義なPoCとなりました。​ 

​​
現場の安全を支える数値化PHR『カオカラ』​ 

​​大神:続いて、建設現場の事例について伺います。ポーラメディカルの池島さん、DUMSCOの若林さん、お願いします。​ 

​​池島:DUMSCOさんと共同開発した暑熱対策AIカメラ『カオカラ』は、主に建設業や製造業など、暑熱環境で働く方々を対象としたサービスです。タブレットで顔を撮影するだけで、暑熱環境におけるリスクを自動判定し数値化。そのデータをもとに、安全に働ける環境づくりを支援しています。​ 

​​若林:当社は建設業のDXにも長年取り組んでいるのですが、多様な雇用形態が混在する現場の課題に注目しています。この業界では日雇い作業員も多く、管理者が作業員一人ひとりの健康情報を一元的に管理することが難しいという課題がありました。​ 

​​究極的には、熱中症は本人が危険性を認識し、行動を変えなければ防ぐことができません。そのため『カオカラ』は、作業者自身が自分の状態を随時確認し、危険を感じた際に主体的に休憩を申し出るなど、リスクを数値として把握しながら判断材料として活用できるように設計しています。​ 

​​池島:管理者はリアルタイムでリスク情報を共有できるため、数百人に及ぶ作業員の健康状態を把握し、迅速な判断と対応が可能になりました。​ 

​​つまり、『カオカラ』は管理者と作業員の双方に行動変容と意識変化を促し、現場でのコミュニケーション活性化も目指したサービスです。熱中症は本人の意識と周囲の気づきで防げる側面が大きい病気ですが、暑い環境下で働かざるを得ない人も多く、地球温暖化の影響で発生率も高まっています。だからこそ、本人の意識と周囲の配慮という両輪でアプローチすることが重要だと感じています。​ 

​​若林:企業にとってのメリットは、単なる健康管理にとどまりません。建設業界では若年層の人口減少と肉体労働離れが進み、大阪・関西万博の建設現場でも人手不足が深刻化しているというニュースは記憶に新しいと思います。そうした中で、安全で信頼性の高い労働環境を整備することは、人材の定着や離職防止にもつながると考えています。​ 

​​(左)株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​(右)株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 
​​(左)株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​(右)株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 

行動変容を支える医療・産業保健連携​ 

​​大神:『SaluDi』も『カオカラ』も、PHRが行動変容につながることを示す好例ですね。PHRと行動変容という観点について、佐藤先生はどのようにお考えですか。​ 

​​佐藤:数値化して“見える化”することは非常に重要だと感じます。たとえば『カオカラ』は、作業員の健康状態を定量的に可視化することで、管理者と本人の双方が納得して判断できるようになりました。数値があるからこそ、感覚や勘に頼らず、客観的にリスクを把握できる。これは行動変容を促す上でも大きな要素です。​ 

​​日本はポピュレーションアプローチ(全体の健康度を底上げする方法)は得意ですが、一方でハイリスクアプローチ(個別に高リスク者へ介入する方法)をもっと意識していく必要があります。産業保健師が検査結果をもとに専門医へ紹介するケースもありますが、たとえば血圧のように「測定時だけ一時的に上がっていた」ということも少なくありません。だからこそ、日常的にデータを蓄積し、その推移を踏まえて判断することが重要です。その点で、『SaluDi』のようなアプリを企業に導入し、継続的な記録を可能にする仕組みは非常に有効だと感じます。​ 

​​大神:なるほど。医療と産業保健の連携に向けて、どのような課題があるのでしょうか。​ 

​​佐藤:医療と産業保健の間には、いまだに「情報の分断」があります。たとえば、産業衛生学会で知られているPHRアプリでも、別の学会ではほとんど認知されていないケースがある。こうした分断を超えて、病院と企業が同じPHRを活用できれば、産業保健師と主治医の情報共有が格段にスムーズになります。​ 

​​PHRを“個人の健康記録”で終わらせず、“医療と職域をつなぐ基盤”として俯瞰的に設計していくことが重要だと感じています。​ 

池島:まさにその点は実感しています。企業向けの展示会では『カオカラ』をご存じの方が多いのですが、先日、産業衛生学会で紹介した際には、多くの産業医の先生から「こんな仕組みがあるなんて知らなかった」と驚かれました。
そのギャップこそが、佐藤先生がおっしゃる「分断」だと感じています。医療と産業保健の双方に情報を届ける努力を、事業者として一層強めていく必要があると痛感しました。

​​大神:PHRというのは個人だけで完結するものではなく、相互の理解と共有の上で成り立つツールでもあります。しかし、中には、個人の健康情報を他者に見られたくない・知られたくないという人もいます。この「入手経路・保存・活用」という3段階の意識をどう高めていくかについて、竹田さんはいかがでしょうか。​ 

​​竹田:『SaluDi』でも、その点は非常に意識して設計し、利用者自身がデータの開示範囲と対象を設定できるようにしています。たとえば、「主治医にはすべて公開するけれども、産業保健師には血圧などのバイタルデータのみ共有」と​​い​​ったように、本人の判断で開示(共有)するデータを柔軟にコントロールできます。検診結果の閲覧や共有も同様に、最終的には個人の意思と行動に委ねられています。​ 

​​佐藤:産業医の立場から見ると、すべての情報が共有されている場合、逆に「見てしまった情報をどう扱うか」という責任も発生します。もし重要な情報を見落としたら「なぜ気づかなかったのか」と問われかねない。これは産業医だけでなく、経営層や人事にも通じる課題です。最終的には、​​お互いに​​信頼関係とコミュニケーションを​​積極的に​​どう築​​いてい​​くかが鍵になりますね。​ 

​​大神:PHRは個人情報そのものです。「出したい情報」「出せない情報」「出さなければいけない情報」「誰かが使うべき情報」の整理がまだ十分ではありません。医療と産業保健の両領域がこうした線引きを共に考え、“つながるPHR”の形を模索していくことが、これからの重要なテーマだと感じます。​ 

​​若林:「どこまで情報を共有するか」は本当に難しいテーマですね。​ 

​​
生涯PHRでつなぐ、個人と地域医療​ 

​​大神:PHRは、個人が主体となって運用することを前提に設計されています。個人の同意のもとにデータを自由に持ち歩く──そんな思想に基づいた仕組みです。 
これまでの議論を踏まえ、今後PHRはどのような役割を担っていくとお考えですか。​ 

​​竹田:私たちは「生涯PHR」の実現を目指しています。 
現在のPHRは、生活習慣病対策として働き盛りの30〜60代を中心に活用されてきましたが、今後は出生から終末期までの健康データを一元的に管理できる仕組みを構築していきます。たとえば、成長に伴ってかかりつけ医が変わったり、転居などで地域が変わった場合でも、本人の同意のもとで医療機関や企業と安全に情報共有できるようにしたいと考えています。​ 

​​大神:日本は健診大国なので、生まれた時から健康データは存在するにも関わらず、これまでは紙ベースで分散管理されてきました。 
仮に医師が1,000人分の健診結果を紙で確認し、リスクを分析しようとすれば数カ月はかかります。しかし、AIや予測モデルを活用すれば、個々に最適なフィードバックを短時間で導き出すことができます。PHRが進化すればするほど、データの価値も高まりますね。​ 

​​竹田:おっしゃる通りです。今はまさに、エビデンスに基づくPHR活用が求められる時代です。『SaluDi』は、紙の健診データを読み取り、AIと専門家の知見を組み合わせて、将来の生活習慣病リスクを予測する機能を提供しています。リスクが高いと判断された場合は、自らの行動変容や産業保健師への相談を促し、早期発見・早期対応につなげる設計です。​ 

​​若林:弊社では、がん患者向けアプリの開発も行っていますが、医療者の関与がユーザーの継続意欲を高める要因になっています。ユーザーが主体的にアプリに体調を記録し、それを印刷して病院に持参するケースもあります。医師に見てもらうこと自体が励みになり、記録の継続につながっているようです。 
このように、医療者との信頼関係がサイクルを動かす原動力となり、PHR活用を定着させる鍵になると思います。PHRはパーソナルデータであると同時に、医療機関との目線合わせが今後ますます重要になると感じています。​ 

​​佐藤:まさにその通りです。データを取るだけで終わらせず、専門医へのスムーズな橋渡しにつなげていくことが求められています。とりわけ、地域医療との連携は今後の大きなテーマになるでしょう。現在、全国の病院の6〜7割が経常赤字とされており、経営環境は厳しさを増しています。健康保険組合についても、赤字の組合が半数を超えるなど、保険財政の悪化が深刻化しています。 
こうした状況の中で、PHRを活用して体調の異変を早期に察知し、地域の専門医と迅速に連携できる体制をつくることが重要です。病院にとっては患者が増えることで経営の安定につながり、企業にとっても従業員が地域の専門医に診てもらえる安心感が生まれる。 
PHRが、その両者をつなぐ“信頼の架け橋”になってほしいと考えています。​ 

​​大神:確かに、日本では「病気にならないと病院に行かない」あるいは、「健診結果が悪くても、何も症状がなければ受診しない」という文化が根強くあります。しかし、PHRを通じて働く人の健康データを地域医療へとつなげられれば、“予防から医療へ”の流れを自然につくることができますね。​ 

​​
技術とエビデンスが支えるPHRの未来​ 

​​池島:近年、ウェアラブルデバイスの種類は年々増えています。しかし、そのエビデンスレベルにはまだばらつきがあると感じています。私たちサービス提供者やメーカーの責務としては、適切なエビデンスを取得しつつ、現場でどれだけ受け入れられ、効果を発揮できるかという“実装の妥当性”を担保することが重要です。 
それができて初めて、医師の先生方にも信頼していただき、患者さんから取得したデータを安心して扱ってもらえるようになるのだと思います。​ 

​​いわゆるAIも“魔法”ではありません。 
たとえばディープラーニング(深層学習)では、結果を導き出すプロセスがブラックボックス化していることが多く、メカニズムや生理学的根拠を重視する医療分野とは、一部で相性が悪い側面もあります。技術が進歩しても、「なぜその結果が出たのか」を説明できる、透明性のあるAIが求められると感じています。​ 

​​若林:まさにそこですね。機械学習というのは、教師データに対してテストデータがどれだけ一致するかで性能を測ります。つまり、モデルが内部でどのように判断しているかはあまり重視されず、最終的に「結果が合っていればOK」という考え方です。 
そのため、企業の立場から見ると「結果的に熱中症が減れば良い」「減らなければやめよう」といった感覚になりがちです。A/Bテストのように厳密に検証するケースも少なく、「よく分からないけど使い続ける」「よく分からないけどやめる」といった曖昧な判断に陥ることもあります。 
やはり、エビデンスの確立と継続的な検証は、テクノロジーと切り離せない課題ですね。​ 

​​竹田:当社としては、『SaluDi』を通じて、まずは「バイタルデータを測る習慣をつくる」世界を目指し、次のステップとして「意識せずとも自然にバイタルデータが取得される世界」を描いています。 
たとえば、洗面台の鏡に顔を映すだけで心不全リスクを測定し、必要に応じて医師への受診を促す仕組みを実現するため、現在は複数の企業と協業を進めています。データ測定の“負担をなくす”ことが、PHRの普及を後押しする大きな要素になると考えています。​ 

​​池島:実は私も以前、スマートホーム関連のプロジェクトに関わったことがあります。最近では、住むだけで住人の健康情報を自動取得できる住宅なども登場しており、生活環境そのものが健康データのハブになりつつあります。 
こうした流れの中で、データの信頼性・安全性・活用範囲をどう整備していくかこそ、まさに“技術と倫理の両輪”でPHRの未来を支えていく時代に入っていると感じます。​ 

​​
医療と企業をつなぐPHR活用の現在地​ 

​​大神:最近は内閣府もPHRという言葉を明確に掲げ、マイナンバーカードの機能拡大なども進んでいます。国としての旗振りも見えてきましたが、今後をどのように見ていますか。​ 

​​佐藤:やはり、医学的エビデンスに基づいた設計が欠かせません。 
行動変容の目的と手段を明確に結びつけるためには、専門医や産業医と連携しながらアプリやシステムを開発することが重要です。これまで企画倒れになった多くのヘルスケアアプリは、医師と相談せずに進めてきた印象があります。​ 

​​展示会などを見ても、サービスの種類は非常に豊富で、「​​すでに​​ないものはない」と感じるほどです。だからこそ、医療側も学び続ける姿勢が求められています。私自身、医師の働き方改革に携わる中で、多職種連携を進めるためのコーチング研修を実施しています。50〜60代の医師には「コミュニケーションを学ぶ機会」が少なかった世代も多く、これは一種のリスキリングです。異業種や多職種との対話を重ねながら協働していくことが、結果的にPHRの普及にもつながる。そうした俯瞰的な視点をもつことが、今後ますます重要になると感じています。​ 

​​大神:産業医は基本的に「病院の外」が守備範囲なので、情報ツールとコミュニケーションは欠かせません。さて、健康経営の観点から見たとき、コスト面はどうでしょうか。​ 

​​若林:今は「健康経営」という考え方のもと、企業が従業員の健康に投資することが正当化される時代になっています。 
一方で、従業員側に強いインセンティブがないのではと感じることもあります。例えば、健康に気をつける努力が何らかの形で目先の給与や評価に反映される仕組みができれば、意識も変わるのではないかと思います。​ 

​​大神:「人生100年時代」と言われるように、働く期間が70年になることを考えると、30代と60代の健康状態の違いが採用や就業配置の判断にも影響します。企業としては、同じ条件なら30代を採用する方がリスクは少ないと考えるかもしれません。でも、もしPHRのデータで「60代でも非常に健康」であることが客観的に分かれば、その人を採用する企業も出てくるでしょう。 
本来は作業環境や労働管理などは、会社がマネジメントすべきですが、PHRのような健康状態の“見える化”は、そうした判断をより客観的かつ合理的に支える重要な情報になると思います。​ 

​​佐藤:まさにその通りです。PHRを活用して社員の健康状態を継続的に可視化することで、健康経営はより実効性のあるものになります。結果的に社員全体の健康意識が高まり、企業の生産性向上や健保の支出削減にもつながるでしょう。​ 

​​
平時から有事までつながるPHRへ​ 

​​大神:最後に、PHR普及推進協議会に期待すること、また今後に向けたメッセージをお聞かせください。​ 

​​竹田:PHR普及推進協議会には、さまざまな立場の団体や企業が所属しています。そうした皆さまと連携しながら、平時から有事まで、日本国民一人ひとりがPHRを活用できる社会を実現していきたいと考えています。​ 

​​日本は災害の多い国です。備えとして、マイナンバーカードを活用して避難所に必要な薬を適切に届けたり、ドローン企業と連携して僻地へ薬を配送したりする仕組みも考えられます。また、オンライン診療とPHRを組み合わせることで、医師が患者の日常の健康状態を把握したうえで診察を行い、薬を処方・配送することも可能です。​ 

​​そうした「平時から有事への橋渡し」を、皆さんと知恵を出し合いながら実現していければと考えています。​ 

​​佐藤:PHR普及推進協議会が、厚生労働省・経済産業省・日本医師会など、多くの関係機関と連携して構成されているということを、もっと多くの方々に知っていただきたいですね。 
特に、産業医の先生方や人事・経営層の方々にPHRの重要性を理解してもらうことが非常に大切だと、今日改めて感じました。有識者が真剣に議論し、行動していることを広く発信することで、PHRへの関心を高め、長く健康に働ける社会づくりにつなげていければと思います。​ 

​​若林:私たちはパーソナルデータを扱う立場として、「データをどのように活用するか」を多角的に考えることが重要だと感じています。産業医、企業、自治体、国など、活用の可能性はさまざまです。活用のビジョンが具体的に見えることで、データの集め方や共有の仕組みも進化していくはずです。その意味でも、今日のように多様なステークホルダーと意見交換を行う場は、非常に意義があると感じました。​ 

​​池島:やはり“リテラシーを高めること”が何より重要だと感じます。健康診断の結果をきちんと見返す人はまだ少なく、上司が部下の健康状態を把握しているケースも多くありません。社会全体で健康リテラシーをどう高めていくかが、普及の鍵になります。今は意識の高い層が中心ですが、潜在層へのアプローチも欠かせません。そのためにも、精度・簡便性・コストのバランスを高い水準で実現することが、提供側の使命だと考えています。​ 

​​大神:本日はお忙しい中、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。 
本日の議論をもって、第5回PHRサービス事業者座談会を閉会といたします。​ 

​​​​​

本座談会における、PHR普及推進協議会 賛助会員のサービス紹介​​​ 

​​ SaluDi​​沢井製薬株式会社​ 

体重、脈拍、血圧、歩数、カロリーなど​​、日々の健康データをまとめて記録・管理できるPHRアプリ。健康診断の結果や病院での診察情報も一括管理でき、必要に応じて日々の健康データを医療従事者と共有す​​ることで、未病・予防・診療支援に役立てる。さらに、対面だけでなく医療機関のオンラインでの診療・服薬指導・栄養指導などにも活用可能。​​​​     ​​​ 
・サービスページ:​https://www.sawai.co.jp/saludi/ 


『カオカラ』​​​株式会社DUMSCO​​ 

​ AIで顔の変化を解析し、​​​暑熱​​​​     ​​​リスクなどを“見える化”する暑熱対策AIカメラ。管理者や作業員がリスクに気づき、迅速に対策をとれるよう、​​株式会社ポーラメディカルと共同で​​開発と実証試験を重ね、2024年に製品として販売を開始。ポーラ・オルビスグループの化粧品開発で培った顔解析技術を応用し、誰でも直感的にリスクを把握できる設計で、現場の暑熱対策を支援。WBGT(暑さ指数)にも対応。 
・サービスページ:​https://kaokara.jp/​ 

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【対談 参天製薬×日本マイクロソフト】マイクロソフトの生成 AI 技術が貢献する製薬 DX の未来 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/12/24/santen-microsoft-2025-blog/ Wed, 24 Dec 2025 06:25:00 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2025/12/24/santen-microsoft-2025-blog/ 製薬業界では生成 AI の技術が研究・開発、製造・サプライチェーン、営業・マーケティングといったバリューチェーン全般に広く利用され始めています。ビッグ・ファーマが生成 AI を活用した大幅な業務時間削減を報告するなど、その競争力への影響は目に見える形で表れてきています。

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製薬業界では生成 AI の技術が研究・開発、製造・サプライチェーン、営業・マーケティングといったバリューチェーン全般に広く利用され始めています。
ビッグ・ファーマが生成 AI を活用した大幅な業務時間削減を報告するなど、その競争力への影響は目に見える形で表れてきています。

眼科領域のリーディングカンパニーとしてグローバルにビジネスを展開する参天製薬は、2025 年 5 月に 2029 年度までの中期経営計画を発表しました。「成長の加速」と「基盤の強化」を両輪とし、海外市場戦略や新規疾患領域への参入をはじめとする 6 つの主要イニシアチブを通じて前回の中期経営計画を超える収益数値目標に挑んでいます。

参天製薬の中期経営計画を支える DX 戦略の中でも、特に重要となるのが「生成 AI 活用の推進と高度化」です。2025 年 10 月、参天製薬は Microsoft 365 Copilot(以下:M365 Copilot)を全社導入し、先行導入していた Azure OpenAI Service をベースとした生成 AI サービス「Santen AI Chat」と共に、
マイクロソフトの生成 AI 技術で大きな成長と持続可能なビジネスの実現に取り組んでいます。

今回は、DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇による対談を通して、製薬業界における生成 AI 活用の現状と展望をご紹介します。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇

参天製薬の中期経営計画における DX 戦略

西脇 資哲(以下:西脇)
参天製薬さまは 2025 年から 2029 年までの中期経営計画を発表されました。前回の中期経営計画も早々と達成し、会社として成長を続ける中で、眼科領域のグローバルカンパニーとしてリーディングポジションを取っていくことを大きな目標として掲げられており、その内容も攻めの中期経営計画となっているようにお見受けします。一方で、守りの部分も当然必要かと思います。そこを IT でどのように担保していくか。中期経営計画を拝見すると、IT に関しては大きく 2 つのキーワードがありました。「データとセキュリティ」、そして「基盤」という表現、データ基盤や調達基盤というところが重要になってくるのかと思います。そういった中期経営計画を牽引、サポートしていくデジタル・IT 部門の中で、皆さんはどのような役割、お立場にいらっしゃいますか。

中田 大介氏(以下:中田氏)
私はチーフ デジタル & インフォメーション オフィサーとして、デジタルとITの両方を担当しています。製薬業界のみならず、あらゆる業界でデジタルと IT への依存度が高まっており、それらの重要性はますます増しています。事業基盤を継続的に強化しつつ、さらなる成長を実現していく中で、とにかくデジタルと IT に関わることは全て引き受ける――これが私のスタンスです。

武末 有香氏(以下:武末氏)
私は、中田の下でグローバルのデジタルイノベーションというチームをリードしています。私のチームは大きく 2 つあり、1つが生成 AI、RPA などを担当するデジタルソリューションチーム、もう 1 つがデータ分析のケイパビリティ強化を全面的に担うチームです。

大東 達也氏(以下:大東氏)
私は、武末の下にあるデジタルソリューションという生成 AI のチームでプロダクトマネジメントを担当しています。M365 Copilot をはじめとした生成 AI ソリューション一般の開発、導入、運用が主な領域です。

西脇
中田さんは、会社の株主総会や経営者会議などにご出席されているかと思いますが、中期経営計画における IT の関わり具合や役割は、最近どのくらい増えていますか?

中田氏
着実に増えていると感じており、この 1 年だけでも、その傾向は顕著だと感じています。例えば、ランサムウェアについては国内外で大規模な被害が相次ぎ、社会問題化しています。ビジネス継続のためにはデジタル・IT基盤の安定化を進める必要があり、「守り」の重要性は確実に高まっています。一方、「攻め」の観点についても、例えば AI がメディアで毎日のように取り上げられるように、非常に注目されています。当社では、「攻め」の取組みとして、特にデータ&アナリティクスと生成 AI にフォーカスして取り組んでいます。

西脇
データアナリティクスやデータの活用というのは、製薬会社の場合ですと具体的にどういうものが対象となりますか?

武末氏
製薬業界独自では無いですが、販売の領域で言えば CRM(顧客関係管理)はその 1 つですね。私たちのビジネスは 医師の処方を通じて患者さんにお薬をお届けする形が中心です。直接の顧客となる医療機関の医師の顔が見える距離感にありますが、一人ひとりの考えやニーズを MR やメディカル担当者とのやり取りだけでなく、データから正確に把握し、質の高いエンゲージメントを提供することがとても大切です。

西脇
なるほど。私も含めて、一般的な参天製薬さまのイメージは薬局で購入する目薬になると思うのですが、実際のポートフォリオは医療機関向けの処方箋薬がメインですよね。

武末氏
過去には MR がそれぞれの医師を理解しながら、ある意味感覚的に打ち手を考えてきました。それは今後も大切なのですが、加えてデータを活用していくことが重要だと考えています。例えば「複合的な情報から各医師の重要視する考え方を客観的に把握し最適なアプローチを導き出す」といった取り組みが顧客とのコミュニケーションの質を一段階引き上げることにつながると感じています。

大東氏
研究領域では一般的な実験レベルから、大きいものになると臨床研究に向けたバイオスタティックス(生物統計解析)にも活用されます。弊社でも治験結果の解析や薬の有効性の検証、適切な治験人数の設定などを、R&D 部門の下に置かれたデータサイエンスチームが担当しています。

中田氏
製造やサプライチェーン領域におけるデータ活用についても、現在、大規模なERP統合プロジェクトの一環として進めています。当社では、研究・開発から製造、販売にいたるまで、製薬バリューチェーンの全体を通してのデータ活用と、それによる効果の発揮に向けて取り組んでいるところです。

大東氏
最近は研究の結果だけでなく、その前段階として、そもそも研究の種を見つけるための AI 活用まで広がっています。創薬候補となる化合物について、これまでは何万個も作ってようやく一個当たるかどうかだった世界でしたが、その精度をもっと高めていけるようになる。その意味でも Microsoft Discovery(エージェント型研究開発を実現し、企業の R&D を支援するプラットフォーム)には凄く期待しています。

西脇
マイクロソフトの AI 技術が、参天製薬さまの中期経営計画に則った成長を支援できているというのはとても嬉しいです。データアナリティクスやデータ活用がバリューチェーン全体の力となる、「攻め」の部分で大きく成長を後押ししている、ということですね。では、もう一つの「守り」の部分になりますが、セキュリティ対策については今後どのように予定されていますか?

中田氏
セキュリティについては、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃を含め、特に外部脅威に対する対策に重点を置いて取り組んでいます。グローバル全体のセキュリティを包括的に強化するロードマップを策定し、それに基づいてさまざまな強化策を進めています。また、私たちはサイバー攻撃も広義の災害と捉えており、災害対策や BCP (事業継続計画)にも重点を置いています。2024 年 1 月に能登半島で地震がありましたが、弊社の工場も影響を受けました。セキュリティを含め、災害対策やBCPを強化していくことで、安定供給など、事業基盤の継続的な強化に取り組んでいます。

西脇
自然災害や事故は起こるものと考え、その前提でどう対応し対策を取るか、ということですよね。IT が貢献できることも多い領域です。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇が対談する様子


製薬業界における生成 AI 活用の可能性

西脇
AI を活用するには、先に学び、情報収集しておく必要がありますが、皆さんの部門では、どのような準備や先行的な取り組みをされてきましたか?

中田氏
2024 年 4 月に、無料版の Copilotを全社的に利用できるようにしつつ、M365 Copilotのトライアルを開始しました。当時は、Azure OpenAI Service 上の「社内 ChatGPT」のクオリティが高かったので、同年12 月に Azure OpenAI Service をベースにした生成 AI サービス「Santen AI Chat」を導入しました。

西脇
その当時から現在で、M365 Copilot の評価はどのように変化していきましたか?

中田氏
2024 年 4 月当時は、M365 Copilotより Azure OpenAI Service の方がレスポンスのクオリティが良かったです。ただ、日を追うごとに M365 Copilot も機能が改善されていき、社内でも「便利だね」と評価する人たちが着実に増えていくのを感じていました。

西脇
M365 Copilot はチャットもありますが Teams や Outlook、Word、PowerPoint、Excel といったMicrosoft Office 製品に組み込まれています。参天製薬さまのインフラは Microsoft 365 になっているので、組み込まれているメリットはとても大きいと思います。

大東氏
私は 2024 年 4 月の最初の PoC から M365 Copilot を使っていて、約 1 年半になります。初期のチャットボット時代は LLM 性能比較で Santen AI Chatが強かったですが、今はエージェント的な動きが求められ、Microsoft 365 製品に組み込める M365 Copilot が圧倒的に優位です。最近は M365 Copilot をベースにしつつ、長文や即レスが欲しい時、推論モデルを直接叩きたい時に Santen AI Chat を使っています。

西脇
幅広いサービスの中から、皆さんが必要なものを選んで、会社の中にインプリメントできるということも一つのメリットですね。

中田氏
おっしゃる通りです。ただ、新しいツールについては、デジタル・IT 部門側が想定する使い方と一般社員の実際の使い方には大きなギャップが出ることがあります。多くの企業がさまざまな生成 AI サービスを提供していますが、弊社のような製造業の企業では、それらすべてを高いレベルで使いこなすことは現実的ではありません。だからこそ、できる限り統一された生成 AI サービスを用意し、それを使いこなしていくアプローチをとらないと、その活用による効果の発揮は難しいと考えています。弊社の場合は、統一されたサービスとしてM365 Copilot をグローバル全社員に提供するという選択をしました。

大東氏
実は、M365 Copilot 自体でも、新しい機能がいっぱいあって、今の中田の話と同じことが起きています。全部の機能を全社員に提供しても使いこなせないと思います。ですから「プレビュー機能も試してみたいけど、これはまだ早いよね」といったことが結構ありますね。

西脇
ここまで M365 Copilot の話がありましたが、他に Azure OpenAI Service をベースにした Santen AI Chat がある。これがわれわれから参天製薬さまに提供している生成 AI の領域ですが、少し広く捉えて、生成 AI 全般という視点で、製薬会社さんとしてはどんな期待をお持ちですか?

武末氏
生成 AI によって創薬から上市、そして薬を患者さんにお届けするまでのスピードが上がることは、患者さんや医療従事者にとって大きなメリットです。幅広い可能性の中からより良い薬を見つけられることに加え、最近よく言われる個別医療も進み、患者さん一人ひとりの特性に合った治療をより多く提供できる可能性が高まります。実現にはまだまだ課題はありますが、真のテーラーメイド医療が実現すれば、すべての患者さんにとってとても良い世界になると思います。

西脇
おっしゃる通りです。バリューチェーン全体でデリバリーが短縮され、顧客満足度や利益が向上します。業務効率化で、より多くの顧客と向き合えれば、特化した価値提供が可能です。生成 AI の LLM 比較にこだわる議論は、もはやあまり意味がありません。

中田氏
生成 AI の進化には追随する必要がありますが、まずは M365 Copilot の活用推進に集中していきたいと思っています。そのために、武末の配下には 2 つの組織があったのですが、11 月からさらに 1 つ増やしました。新しいデジタル・IT サービスを社内で定着させるチェンジマネジメントの専門部署です。

武末氏
この新しい部署の立ち上げにより、生成 AI 活用の普及と高度化を同時に実現しようとしています。今までは大東の所属しているデジタルソリューションチームが両方を担っていたのですが、推進と高度化では本来役割が異なるため、今回、組織のチェンジマネジメントを専門とする部署を作り、両輪で進めて行く体制にしました。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏


Microsoft 365 Copilot による変革を支える
コミットメントとチェンジマネジメント

西脇
M365 Copilot の全社導入はどのような計画で進めていったのか、また全社導入を決めた判断の基準はどこにありましたか?

大東氏
3 ヵ月の PoC を経て 2024 年 9 月に正式導入となりました。最初は 300 ライセンスでスタートし、そのうち IT 部門や IT 担当者が 100 人。残りの 200 人は地域と部門を横断するように、各ビジネス部門の IT 担当者に割り当て人数の枠で選定してもらいました。あとは推進担当から特に使って欲しい経営陣や経営企画などにも展開しました。
稼働率を見ても初期から常に 90%は超えていて、今期はほぼ 95%以上、最終的に 2025 年 9 月にはユーザー数も 600 人に増え、たまに 100%をマークしていました。管理用のダッシュボードを見ていても使用時間と使用数が着実に伸びているのが分かっていたので、手ごたえはありました。

西脇
ユーザーが 600 人ぐらいになると、いろんな部門の方々がお使いになっている状態ですよね。皆さんはどんな使い方をされていましたか?

大東氏
利用状況は Microsoft Viva Insights のダッシュボードで管理しているのですが、それによると Teams 会議が一番多くて、次が Outlook です。最近だと M365 Copilot や Web のチャットが会議と同じぐらい使われています。他にも地域ごとや部門単位で見られるようにしているので、このセクションのスタッフはまだ低いな、など稼働状況も把握できます。

武末氏
弊社はグローバルでビジネスを展開している事もあり、リモート環境がベースとなる為、日々のコミュニケーションには Teams が多く活用されています。その為 M365 Copilot との親和性がもともと高かった事もあり、導入後の利用効果はとても高いと感じています。

大東氏
一部の職種によっては、まだM365 Copilotの効果を実感できていないセクションもあります。M365 Copilot が便利で Microsoft 365 の利用が増える、そうして溜まったデータが M365 Copilot にフィードバックされ、M365 Copilot がさらに便利になるというサイクルを回していくことが重要です。

西脇
本当にその通りで、生成 AI を使うには、利用できるデータがなければ意味がありません。そのためにはインフラを整え、統一することが重要です。ところで、想定外の使い方や新しい発見はありましたか?

大東氏
エージェント ビルダーの活用例として、Outlook のメールは通常スレッド外参照ができませんが、「過去メールを踏まえて返信したい」という方がいて、自分の Outlook フォルダーを参照させ、過去のメール内容を基に返信文を作成するという使い方をされています。

西脇
Microsoft Graph の強みは、メール、チャット、予定表、会議、資料まで一元的に確認できる点です。この連携力こそマイクロソフトらしさだと思います。そのように皆さんが積極的に活用していく中で、いよいよ M365 Copilot の全社展開というご決断をされるわけですが、中田さんの背中を一番大きく押した要因はなんでしたか?

中田氏
一つを選ぶのは難しいですね。M365 Copilot の全社導入は、複数の要因を踏まえて総合的に判断しました。ただ、M365 Copilot のトライアルを続けてきた中で、利用者が着実に増えていき、またポジティブな声もだんだんと増えていったことが背中を推した要因の一つであったことは確かです。また、大東による新機能紹介も、私自身の確信につながりました。あと、自社で独自開発する場合は様々な制約により機能アップデートが滞るリスクがある一方、M365 Copilot なら最新機能を迅速に活用できるため、競争力強化に直結します。実は、当初の予定より 2 年ほど前倒しで全社導入することになったので、デジタルイノベーションのチームには大きな負担をかけてしまいましたが、長期的には合理的な選択だと判断しました。

西脇
最終的に、会社から全社導入の承認を得るための提示については、どのようにされたのですか?

中田氏
経営会議にてディスカッションをし、全社に導入して効果を出していこうという合意を得ました。費用対効果については、社内のヒアリング結果やマイクロソフトさんから提供されたデータ等から十分に出せると予測できましたが、それらの数値だけでは机上の空論に過ぎません。実際には、業務の効率化のみならず、人手不足の改善や委託業務の内製化、エンゲージメントの向上など、具体的成果に結びつけることが重要です。グローバル全体での生成 AI の活用推進やその効果の発揮について、経営陣から合意が得られたことは非常に大きかったと思います。また、その判断の前に全経営陣がM365 Copilot を利用していたことも大きな追い風になったと感じています。

西脇
トップの人間が新しい技術を使える状態にしておくって、とても大事なんですよね。少しでも使えば、やはり経営陣も興奮しますからね。

大東氏
生成 AI 導入の本来の価値とは、中長期的に一人一人の生産性、価値、スキルが拡張されることで、中長期的にトップラインが上がるという効果ですが、その因果関係が説明しづらいので、どうしてもボトムライン確保のための費用圧縮の議論になりがちなところが難しいですね。

西脇
ROI の議論は重要ですが、最終的には、経営陣の「これは良い」という評価に左右されます。全社導入後の施策についても伺いたいのですが、一般社員への訴求と利用促進はどのように進めるお考えですか?

武末氏
現在、各部門単位で生成 AI アンバサダーの選出を進めており、各部門長に任命を依頼しています。日々進化し続ける生成 AI の全社導入において、中央部門だけで推進することは難しいため、各部門にアンバサダーを置き、自律的に活用を促進できる体制を目指しています。

中田氏
良いと思うものはどんどん実行していく姿勢で取り組んでいます。例えば M365 Copilot を全社に展開されている企業からゲストを招き、多くの中間管理職を集めて、お話をしながらインプットやフィードバックを得られるようなセッションも行っています。

西脇
導入初期は、生成 AI に任せられない業務もあり、正しい使い方の習得が必要です。トレーニングや意識改革、チェンジマネジメントの重要性を強く感じています。全社導入後の進捗や成果は、どのような基準で評価しますか?

中田氏
大きく分けて 2 つのアプローチを考えています。1つ目は、生成 AI の活用状況を可視化し、誰が使えているか等を把握してさらなる活用推進に繋げることです。2 つ目は、生成 AI の活用によるビジネス影響を評価することです。定性的・定量的指標を両方用いる予定ですが、これは今後走りながら改善していきたいと考えています。

武末氏
それにひとつ加えると、今後評価すべき重要な項目の一つに「はたしてM365 Copilot はすべての職種にとって最適な生成 AI なのか?」という問いがあります。生成 AI の利用ニーズは、立場や職種、部門によって異なる為、場合によってはビジネス特有のニーズに応える AI エージェント等の方が向いているケースも出てくる可能性があります。引き続き活用状況とビジネスニーズを照らし合わせながら、最適な答えを探っていきたいと考えています。

西脇
個々の社内ユーザーとコミットできる評価も生成 AI 活用の促進には重要だと思いますが、この点ではどのようなフォーカスをお持ちですか?

大東氏
私がエンドユーザーに伝えているのは、生成 AI の目的は単なる生産性向上ではないということです。重要なのは、時間やスキル不足が原因でできなかった本来やりたかったことを、生成 AI で可能にすることです。空いた時間も本来の目的に使えるようにすることが大切で、できなかったことができるようになることで社員のエンゲージメントが高まる方が、単純な時間削減より価値があると考えています。

Copilotの導入率などを含むイメージ画像


今後の展望
DX を推進する戦略的投資の 1 つが Microsoft 365 Copilot

西脇
今後、M365 Copilot、並びにマイクロソフトの AI 戦略で、どのようなことを期待されているかお聞かせください

中田氏
今後も、他社に負けないスピードでM365 Copilot をはじめとした生成 AI サービスを進化させ続けてほしい、と期待しています。ただ、どれだけ機能が優れていても、私たちのサイドが活用して業務に影響を与えないと、価値を発揮することはできません。よって、ツールとして進化させ続けるだけでなく、例えば他業界でこんな使い方をして価値を発揮している等の事例や、特に海外の先進的な取り組みについて、継続的に情報提供してもらいたいと思っています。

武末氏
一般社員の中には、生成 AI を難しいものやハードルが高いものだと考えている方もいると思います。私の願いは、一般の社員がIT やテクノロジーを意識せず、誰もが自然に生成 AI を使えるようになることです。生成 AI のチャット機能は自然言語を用いたやり取りで市民権を得ましたが、AI エージェントのような少し高度な機能になるとハードルが上がります。そうした機能も、普通に会話する感覚で使えるようになれば、社員は高度な機能を意識せず活用できる時代が来ると思います。ぜひ、その実現に取り組んでいただきたいです。

大東氏
製品目線では大きく2 つあります。ひとつはエージェントで、自立的にワークフォースとして使えるレベルを期待しています。半年から一年後には「私はいま AI エージェントの HR です」と言える状態になると考えているので、エージェントの活用度が注目ポイントです。もうひとつはドメイン特化型モデルです。ヘルスケアや研究、臨床など特定領域向けのモデルを Azure OpenAI Service 上で活用し、M365 Copilot だけでは対応できない部分をエージェントや特化モデルで補うようになると考えていますので、早くその段階に行けることを期待しています。

西脇
では最後に、眼科領域のリーディングカンパニーとして、DX を通じてどのように企業を変革していくのか、DX を統括する立場からの見解をお聞かせください。

中田氏
繰り返しになるかもしれませんが、事業基盤を継続的に強化しつつ、持続的な成長に貢献する両面的なDXに取り組んでいきたいと考えています。取り組みたいテーマは多々ありますが、「守り」と「攻め」のバランスを取りながら、優先すべき領域にメリハリをつけて投資する必要があります。そのひとつが、今回の M365 Copilot の全社導入なのですが、導入しておしまいという形にせず、その効果を着実に発揮し、中期経営計画の達成に貢献していきたいと考えています。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇の集合写真

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