マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/ Thu, 24 Sep 2026 02:32:53 +0000 en-US hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9.5 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/wp-content/uploads/sites/6/2026/06/microsoft_logo-150x150.webp マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/ 32 32 医療現場の働き方改革から持続可能な病院経営へ、社会医療法人愛仁会における生成AI利活用のリファレンスモデル構築にむけた取り組みを推進 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/09/24/promoting-initiatives-for-the-effective-use-generative-aijinkai-healthcare-corporation/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/09/24/promoting-initiatives-for-the-effective-use-generative-aijinkai-healthcare-corporation/#respond Thu, 24 Sep 2026 02:32:25 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4696 医療現場では、診療や看護そのものだけでなく、会議資料の作成、報告書の作成、情報共有、教育、各種調整業務など、多くの間接業務が発生しています。一方で、医療従事者不足や業務負荷の増大は全国的な課題となっており、持続可能な医療提供体制の実現に向けた働き方改革が求められています。

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医療現場では、診療や看護そのものだけでなく、会議資料の作成、報告書の作成、情報共有、教育、各種調整業務など、多くの間接業務が発生しています。一方で、医療従事者不足や業務負荷の増大は全国的な課題となっており、持続可能な医療提供体制の実現に向けた働き方改革が求められています。

こうした背景のもと、社会医療法人愛仁会(以下、愛仁会)は、質の高い医療サービスを安定的に提供するため、医療従事者および事務職員の業務負担軽減と業務効率化に継続的に取り組んでいます。特に近年は、間接業務を見直し、職員が患者さんにより多くの時間を充てられる環境づくりを重要な課題と位置付け、生成AIの活用を進めています。これまで愛仁会では、Microsoft Copilotの段階的な活用、職員向けの説明会・相談会、生成AI利用に関するルール整備などを進めてきました。こうした取り組みをさらに発展させるために、マイクロソフトが提供するAIプラットフォームやクラウド基盤、実装に関する知見を活用しながら取り組みを進め、生成AIを単なるツール導入にとどめず、業務プロセスの見直しや人材育成、ガバナンス整備と一体で推進していきます。さらに、得られた知見を整理し、全国の医療機関にも参考となるリファレンスモデルの構築を目指します。以下にその取り組みのポイントをご紹介します。

「AIを導入する」から「業務を変革する」へ

愛仁会では従来から情報共有基盤の整備を進めてきました(Teams と電子カルテの連携によりコミュニケーションを活性化し、チーム医療を促進。社会医療法人愛仁会と明石医療センターが進める業務改革 – マイクロソフト業界別の記事)。近年は生成AIへの期待が高まる中、「どの業務にAIを適用するか」だけでなく、「業務そのものをどのように変えるか」という視点で取り組みを進めています。特に注目しているのは、診療や看護を支える間接業務です。多くの職員が日常的に行う業務に生成AIを活用することで、資料作成、情報検索、情報整理、議事録作成などの効率化を図り、創出された時間を患者さんに向き合う時間、医療サービスの質の向上につながる活動へ再投資することを目指しています。

医療機関だからこそ重要なAIガバナンス

医療機関における生成AI活用では、利便性だけでなく、安全性、信頼性の確保が不可欠です。愛仁会では、データおよび生成結果の取り扱い、プライバシー保護、コンプライアンス、人による確認を前提とした利用ルールの整備や運用ガバナンスの構築を目指します。実践を通じて得られた知見は、AIガバナンスフレームワークとして整理し、今後の継続的な医療DX推進につなげていきます。

人材育成が変革の鍵

愛仁会では、職員一人ひとりのデジタルリテラシー向上を重視し、DXアンバサダーを中心とした教育プログラムや活用ガイドラインの整備を進めています。今後は、職種別・業務別のユースケースを検証し、現場で得られた知見を共有しながら、組織全体で生成AIを使いこなす力を高めていきます。こうした活動を通じて、業務変革力を高め、継続的な改善サイクルの定着を図ります。

全国の医療機関へ展開可能なモデルケースを目指して

日本の医療が直面する課題は、人口減少、高齢化、人材不足など共通するものが少なくありません。愛仁会と日本マイクロソフトは、本取り組みを通じて蓄積した知見を広く共有し、医療機関における生成AI活用のモデルケースとなることを目指します。

生成AIを活用した働き方改革は、単なる業務効率化ではありません。医療従事者が本来注力すべき医療やケアに集中できる環境を整え、持続可能な医療提供体制の実現に貢献していくための挑戦です。愛仁会と日本マイクロソフトは、これからも現場起点の変革を通じて、医療DXの新たな可能性を追求していきます。

参照情報

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「NRF APAC’26 × Microsoft Build リキャップ」開催レポート ―AI時代の流通変革を、日本はどう描くか http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/retail/2026/08/31/nrf-apac26-microsoft-build-cloud-retail-consumer-blog/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/retail/2026/08/31/nrf-apac26-microsoft-build-cloud-retail-consumer-blog/#respond Mon, 31 Aug 2026 02:35:56 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4627 2026年6月25日、日本マイクロソフトは品川本社にて、流通(小売・卸・消費財)業界のお客様をお招きし、「NRF APAC’26 / Microsoft Build リキャップ」セミナーを開催しました。
2026年6月第1週に、流通・小売業界最大級のグローバルイベント「NRF APAC’26」(シンガポール)と、マイクロソフトの開発者向けフラッグシップイベント「Microsoft Build」(サンフランシスコ)が相次いで開催され、本セミナーは、この2つのイベントで見えてきた最新動向を日本の流通業の文脈で読み解き、明日からの一歩につなげていただくことを狙いとした半日のプログラムです。本稿では、当日の各セッションのハイライトをレポートします。

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2026年6月25日、日本マイクロソフトは品川本社にて、流通(小売・卸・消費財)業界のお客様をお招きし、「NRF APAC’26 / Microsoft Build リキャップ」セミナーを開催しました。

2026年6月第1週に、流通・小売業界最大級のグローバルイベント「NRF APAC’26」(シンガポール)と、マイクロソフトの開発者向けフラッグシップイベント「Microsoft Build」(サンフランシスコ)が相次いで開催され、本セミナーは、この2つのイベントで見えてきた最新動向を日本の流通業の文脈で読み解き、明日からの一歩につなげていただくことを狙いとした半日のプログラムです。本稿では、当日の各セッションのハイライトをレポートします。

流通・消費財業界のお客様をお招きし、日本マイクロソフト 品川本社で開催
流通・消費財業界のお客様をお招きし、日本マイクロソフト 品川本社で開催

オープニング   日本とAPACが世界の流通業イノベーションをリードする時代へ


Microsoft Corporation|APAC リテールインダストリーリード Irving Lee
開会のあいさつに立った Irving Lee は、NRF APAC’26から読み解く3つの潮流を示しました。

第一に、APAC はもはや先進地域を「追随する側」ではなく、イノベーションの「フロントランナー」であること。人口増加、都市化、そしてデジタルに精通した生活者という特性により、変化は世界のどこよりも速く起きており、2026年以降は APAC がトレンドを定義していく。

第二に、AI が違いを生む時代は「今」であること。AI は人を置き換えるのではなく、人間の野心と創造性を一段引き上げるものであり、テクノロジーを主語にせず、人と人との関係が主役になるときにこそ、最良の活用シナリオと成果が生まれる。

第三に、それを支えるのはデータとガバナンス、そして信頼であること。

そのうえで日本のお客様に向けて、「おもてなしの文化と、熟練したフロントラインの知見は日本の強み。その知見をAIレディなデータに変えることで、AI時代の自社ならではの『インテリジェンス』を築ける。問うべきはテクノロジーそのものではなく、自社にどう活かすかだ」とメッセージを送りました。

Microsoft Corporation APAC リテールインダストリーリード Irving Lee
Microsoft Corporation APAC リテールインダストリーリード Irving Lee

基調講演   エージェンティックAI時代の生活者の変化
~AIによる再編が始まったプラットフォーム経済~


アタラ株式会社|ファウンダー 杉原 剛 氏
最初のセッションに登壇した、杉原 剛氏は、AIの進化と普及によって生活者の情報探索、購買、広告、そしてプラットフォーム経済そのものがどのように変わり始めているかについて、NRF APAC’26での現地体験と最新事例を交えて語りました。

まず共有されたのは、生活者の行動は、従来の「Search → Browse → Buy」から、「Ask → Decide → Buy」へ移りつつある、ということです。これまでのECでは、生活者が検索し、複数の商品ページを閲覧し、比較したうえで購入していました。しかしAgentic AIの時代には、AIエージェントが生活者の意図を理解し、商品を探し、比較し、場合によっては購入や決済まで代行します。杉原氏は、NRF APAC’26の会場で「Agentic Commerceは、もう来ている」という空気を強く感じたと紹介し、これは米国だけの話ではなく、すでにアジアの標準語になりつつあると指摘しました。

この変化の背景にあるのが、検索そのもののAI化です。Google検索ではAI OverviewsやAI Modeのような体験が広がり、ユーザーは短いキーワードではなく、長く複雑な自然文で質問し、AIとの対話を通じて意思決定を進めるようになっています。検索エンジンが「リンク送客」から「AI内完結・再検索」へ変わることで、外部サイトにトラフィックが流れにくくなる、いわゆるゼロクリックサーチの増加も示されました。これは小売業にとって、来店やサイト訪問を待つだけではなく、AIに正しく商品を理解してもらうためのデータ設計が重要になることを意味します。具体的なトピックとして紹介されたのが、Googleが Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartらと共同開発し、決済・小売の主要プレイヤー20社以上が賛同する標準規格 UCP(Universal Commerce Protocol)です。これは、AIエージェントがユーザーの意図を理解し、商品の発見から比較、チェックアウト、注文管理までを一貫して完結させるための共通仕様で、Microsoftも Merchant Center での UCPフィード対応を開始しています。GapがGemini内での商品閲覧、スタイリング提案、購入完了まで可能なチェックアウト連携を開始したことや、Microsoft Copilot Checkout が Target で実装され、Copilot上で商品を探し、比較し、そのまま購入へ進める体験も紹介されました。Target のケースではロイヤルティプログラム「Target Circle」の特典が Copilot 内のチェックアウトに反映される点も、AI 上で顧客との関係性をどう維持するかを示す事例です。

さらに、AIエージェントに選ばれるためには、単に商品DBを持っているだけでは不十分であり、商品名、画像、価格、GTINといった基本情報に加え、レビュー、評価、在庫、販売者情報、配送条件、返品ポリシー、さらにはAIが対話の中で参照しやすい説明的な属性情報まで含めた、商品データのエンリッチメントが不可欠だと説明し、既存商品データベースをエンリッチし、Google Merchant Center、Microsoft Merchant Center をはじめ、ChatGPT や Amazon など各AI・EC プラットフォームの商品フィードへ供給するアーキテクチャも示されました。

さらに、広告領域にも同様の変化が起きていることが語られました。エージェンティック広告では、人間がメディアプランニングやキャンペーン運用をすべて手作業で行うのではなく、買う側と売る側のAIエージェント同士が、広告プランニング、条件交渉、キャンペーン作成、最適化、レポーティングまでを担う世界が想定されています。そのため広告主には、構造化されたデータフィード、ブランドコンテキストの明文化、ファーストパーティデータを含む各種シグナルの整備が求められます。

これからの競争は、検索結果画面で目立つことだけではなく、AIエージェントに正しく理解され、比較され、推薦され、取引可能な状態になっているかの重要性が増していきます。流通業者は、サイトやアプリの体験改善に加え、商品データ、在庫、価格、レビュー、広告、認証、決済を、AIが読み取り、判断し、接続できる形に再設計していく必要があります。まさに「AIに選ばれるための流通業独自の基盤」をどう構築するかが、Agentic AI時代の新たな競争軸になることと示し、セッションを締めくくりました。

アタラ株式会社 ファウンダー 杉原 剛 氏
アタラ株式会社 ファウンダー 杉原 剛 氏

NRF APAC’26 リキャップ


Microsoft Corporation日本担当インダストリーアドバイザー Eric Chen / Tony Xu

続いてのセッションでは、Microsoft のEric ChenとTony Xuが登壇し、NRF APAC’26の現地で得たインサイトと注目ソリューションを紹介しました。両氏が共通して強調したのは、AIエージェントの普及そのものではなく、「AIを前提とした小売業の競争軸」が大きく変化しているという点です。

NRFセッションサマリーを中心に、前半を担当したEric Chenは、現地セッション分析から見えたAPAC特有のトレンドとして、「人間中心(Human-Centered)」という考え方を紹介しました。特に印象的な事例として挙げられたのが、マレーシアのAEONによる「AEON360」です。従来の小売業は、自社だけで顧客を理解しようとしてきました。しかしAEON360では、店舗、アプリ、EC、決済、パートナー企業など複数の企業がデータを連携し、一人の顧客を360度で理解するエコシステムを構築しています。たとえば雨の日の朝に「今日は近くの店舗に傘と長靴があります」と通知したり、売れ残り商品の在庫削減を地域の顧客と結び付けたりするなど、単なる販促ではなく生活者への気遣いとして価値を提供する構想が紹介されました。

またフィリピン最大級のショッピングモール運営企業SM Supermallsの事例では、「AIを奴隷にしろ、奴隷になるな」というメッセージが紹介されました。AIはデータ収集や業務効率化に活用し、人間は顧客体験やコミュニティづくりといった創造的な領域に集中すべきであるという考え方です。パンデミック時にも従業員やテナントを守る意思決定を重視した事例が紹介され、AI時代だからこそ人間の判断や価値観が重要になると語られました。

さらにEric Chenは、世界各地のリテールイベントを分析した結果として、「売り方」「働き方」「作り方」「回し方」のすべてがAIによって同時に変化していると指摘しました。顧客は検索ではなくAIへの相談を通じて商品を選び、従業員はAIを同僚として活用し、新商品開発や店舗運営のスピードも飛躍的に向上しています。その一方で、AI活用の成功を左右するのは技術ではなくデータと組織であり、データ整備とチェンジマネジメントが重要であると強調しました。

Microsoft Corporationインダストリーアドバイザー Eric Chen
Microsoft Corporationインダストリーアドバイザー Eric Chen

NRF展示会場レポートを中心に、後半を担当したTony Xuは、展示会場で注目を集めていた最新ソリューションを題材に、「Store SignalsからEnterprise Intelligenceへ」という新たな潮流を解説しました。まず紹介されたHanshowは、スマートカートや電子棚札、センサーなどを活用してリアル店舗内の顧客行動をデジタル化するプラットフォームです。顧客がどの商品に興味を持ち、どの棚の前で立ち止まり、何をカートに入れたかという“Store Signals”を取得し、店舗をデータ生成装置として再定義する考え方が示されました。 続いて紹介されたSymphonyAIでは、売上低下などの事象について「何が起きたか」だけでなく、「なぜ起きたのか」「誰に影響したのか」「次に何をすべきか」までAIが推論し、改善施策と効果を提示する仕組みが紹介されました。

さらにRELEXでは、需要予測だけではなく、価格、販促、在庫、物流など多くの変数を同時に最適化し、利益最大化を目指すサプライチェーン意思決定が紹介されました。

そしてTony Xuは、こうした個別ソリューションだけでは十分ではないと指摘します。店舗、顧客、商品、価格、在庫、サプライチェーンなどの情報を横断的に結び付け、企業全体の文脈を理解したうえで意思決定を支援する「Enterprise Intelligence Layer」こそが次の競争力になるという考えです。Microsoft Fabric、Knowledge Graph、Azure AI Foundryなどを活用し、散在するデータと業務プロセスを接続することで、AIエージェントが真に企業全体を理解し、最適なアクションを導けるようになると締めくくりました。

本セッションは、AI活用事例の紹介にとどまらず、「人間中心の顧客体験」と「企業全体をつなぐインテリジェンス基盤」という二つの視点から、小売業の次の進化の方向性を示す内容となりました。AIエージェントの数を増やすことが目的ではなく、Enterprise全体の文脈を理解し、人間の価値を高めるためにAIをどう活用するかが、これからの小売業に問われる重要なテーマであることを示唆するセッションでした

Microsoft Corporationインダストリーアドバイザー Tony Xu
Microsoft Corporationインダストリーアドバイザー Tony Xu

Microsoft 最新テクノロジ ― Buildリキャップ


日本マイクロソフト 佐藤 壮一 / 田中 信也 / 左海 拓矢

本セミナー後半では、Microsoft Build 2026で発表された最新技術動向と、それを企業がどのように活用すべきかについて解説しました。単なる製品アップデートではなく、NRF APACで語られた小売業界の変化とBuildで示されたテクノロジーの進化をつなぎ合わせながら、「Agent時代に企業が取るべき戦略」が語られたセッションとなりました。

最初に登壇した佐藤 壮一は、Microsoft Build 2026のキーメッセージを紹介しました。BuildではAIエージェント、自律型開発、セキュリティ、クラウド基盤など数多くの発表が行われましたが、特に注目したのが「エージェントによる開発の爆発的な生産性向上」です。講演では、開発者コミュニティで話題となっている“トークン死”という現象を紹介し、AI活用が進むことで計算資源やトークン消費が急増している現状を解説しました。さらに、GitHub Copilotなどの最新ツールを活用すると、自然文と画像を渡すだけでアプリケーションが自律的に設計・実装・デプロイされる世界が実現し始めていることを実演し、「Copilotは副操縦士からAutopilotへ進化している」と語りました。Build全体を通じて示されたのは、ChatからCowork、Codeを経てAutopilotへ進化するAIの方向性でした。

日本マイクロソフト アカウントテクノロジーストラテジスト 佐藤 壮一
日本マイクロソフト アカウントテクノロジーストラテジスト 佐藤 壮一

続いて登壇した田中 信也は、「未来ではなく現実」をテーマに、Microsoft 365 Copilotと新たなエージェント技術の実践活用例を紹介しました。特に注目を集めたのが、Microsoft Scoutのデモです。Buildの英語セッション動画に対し、「日本語版を作って」という指示を与えるだけで、ScoutがWebアクセス、利用規約確認、動画解析、音声抽出、文字起こし、翻訳、セッション分割、さらには話者ごとの音声切り替えまでを自律的に実施する様子が紹介されました。これは単なる翻訳ツールではなく、人間の代わりに一連の業務を完遂する“オートパイロット型エージェント”の世界観を示すものでした。 さらに田中は、日常業務におけるCopilot活用例も紹介しました。毎朝8時に「返信が必要なメールやチャット」を自動抽出するスケジュール実行機能や、Research機能で収集した情報をもとにPowerPointを自動生成する使い方、さらにはExcelデータをノーコードでインタラクティブなHTMLダッシュボードへ変換する機能などを紹介し、「すでに現場で使える段階に入っている」と説明しました。AIを使うために専門的なトレーニングを受ける時代ではなく、自然言語で指示するだけで業務を遂行できる段階に達していることが強調されました。

日本マイクロソフト ソリューションエンジニア 田中 信也
日本マイクロソフト ソリューションエンジニア 田中 信也

最後に登壇した左海 拓矢は、NRF APACとBuildの内容を俯瞰しながら、企業がAgent時代に向けてどのような戦略を取るべきかを整理しました。左海はまず、NRF APACとBuildには共通するメッセージがあったと指摘します。それは「すべてをAI化することが目的ではない」ということです。NRF APACでは、高級リテーラーが「顧客接点は人間が担うべき」と語り、Buildでは「Agentが消費するトークンに見合う価値があるのか」が議論されました。つまり重要なのは、どこにAgentを組み込めば事業成長につながるかを自社で設計し運用できること、すなわち“手の内化”が競争力になるという考え方です。そのうえで左海は、Microsoftが提供する価値を3つの観点から説明しました。第一に、Copilot、Copilot Studio、Foundryなどを通じて全社員がAgentを開発・活用できる環境を提供できること。第二に、Work IQ、Fabric IQ、Foundry IQによって、人やデータ、ナレッジの文脈を理解するAI基盤を実現できること。第三に、Agent 365によってAgentの監視、ガバナンス、セキュリティを一体で管理できることです。また、先行事例の分析から、Agentと相性の良い業務として「プロセスが毎回変化する業務」「複数システムや複数人にまたがる業務」「リードタイムが長い業務」の3領域を提示しました。小売業においては、需要予測や在庫管理のラストワンマイル支援、店長から本部への報告業務、デジタルマーケティング運用などが有望な適用領域であり、まずはデジタル化済みで投資単価の高い領域からAgent活用を始めるべきだと提言しました。

本セッション全体を通じて伝えられたのは、「Agentは未来の話ではなく、すでに事業戦略上の検討対象になっている」ということでした。重要なのはAgentを導入すること自体ではなく、自社の競争優位や顧客体験を踏まえながら、どこに組み込み、どのように運用し、“手の内化”していくかです。NRF APACとBuildの両イベントが示したのは、まさにその意思決定が企業に求められる時代が始まったという現実でした。

日本マイクロソフト アカウントテクノロジーストラテジスト 左海 拓矢
日本マイクロソフト アカウントテクノロジーストラテジスト 左海 拓矢

パネルディスカッション   日本の流通業の変革方向性を考える


パネリスト:株式会社CaTラボ 代表取締役 逸見 光次郎 氏/アタラ株式会社 ファウンダー 杉原 剛 氏/Microsoft Corporation インダストリーアドバイザー 藤井 創一
モデレーター:Microsoft Corporation インダストリーアドバイザー 岡田義史
パネリスト:株式会社CaTラボ 代表取締役 逸見 光次郎 氏/アタラ株式会社 ファウンダー 杉原 剛 氏/Microsoft Corporation インダストリーアドバイザー 藤井 創一
モデレーター:Microsoft Corporation インダストリーアドバイザー 岡田義史

最後のセッションでは、「流通小売・消費財業界の超変革時代 〜日本企業の勝ち筋は?〜」をテーマに、パネルディスカッションが行われました。モデレーターは マイクロソフト岡田 義史。パネリストとして、メディア・プラットフォーム視点から 杉原 剛氏、リテール・オムニチャネル視点から 逸見 光次郎氏、そしてマイクロソフト藤井 創一 が登壇しました。

冒頭、NRF APACに参加して見えた変化について議論が交わされました。逸見氏は、過去のNRF APACではインドネシアや韓国ロッテのように、経営者がAIやデータ活用を経営戦略として語る具体事例が印象的だった一方、今回はやや抽象度の高い議論が多かったと振り返りました。ただし、それは企業がAIを使っていないからではなく、むしろ試行が進み、何ができて何が難しいのかが見え始めたからこその変化だと指摘しました。藤井も、シンガポールの小売業界団体がAIを前面に出した展示を行っていたことに触れ、政府主導のデジタル化やID連携の土壌が、小売でのAI活用を現実的なものにしていると考察しました。

次に論点となったのは、AIによって消費者の購買行動が「検索して、比較して、買う」から「AIに聞き、判断を支援され、購入する」形へ変わりつつあることです。杉原氏は、AIエージェントが商品を2、3点だけ推薦する世界では、そこに入らなければ選択肢から外れてしまう怖さがあると指摘しました。そのため、企業は商品データやブランド情報を整備し、AIに正しく理解される状態を作る必要があります。一方で、APACは一つの市場ではなく、中国、インド、シンガポール、香港、オーストラリアなどで物流コスト、配送スピード、消費行動が大きく異なるため、ローカル市場に合わせた設計が欠かせないという学びも共有されました。

日本ならではの強みとして浮かび上がったのが、店舗と接客の質です。逸見氏は、日本の店舗接客は海外と比べても非常に優れており、それは強みであると同時に、変革の足かせにもなり得ると述べました。しかし、その接客力や現場の判断をAIに取り込むことができれば、日本の小売にはまだ大きな伸びしろがあるとも語りました。藤井は、百貨店従業員の知見を例に、現場には顧客との関係性、困りごと、接客の工夫が蓄積されているにもかかわらず、それが企業のデータや経営判断に十分接続されていない課題を指摘しました。AI活用を現場に落とし込む難しさについては、単なる技術導入ではなく、業務フローそのものの可視化と見直しが必要だという点で議論が深まりました。逸見氏は、多くの企業では頭の中に業務フローはあるものの、部門をまたいで全体を描ける人が少ないと指摘しました。その状態でAIを入れても、どこを効率化すべきか、どの業務をやめるべきかが見えず、PoC止まりになりやすいというのです。杉原氏も、海外では実験予算を持ち、失敗を前提に新しいプラットフォームや施策へ挑戦する文化がある一方、日本では最初から本番適用レベルの稟議を通そうとして硬直化しがちだと述べました。

後半では、日本企業の勝ち筋として「現場知」の活用が大きなテーマになりました。逸見氏は、事業部長やベテラン人材は豊かな経験値を持っているものの、それを顧客軸やLTVのような形で定量化する習慣が弱いと指摘しました。ダッシュボードなどを通じて、自分たちの経験則がデータで裏付けられると、現場や事業側は自らデータを使い始める。その蓄積が、やがてAIの教師データになっていくという考え方です。また、カメラのキタムラでの中古カメラ査定やスタジオマリオの衣装分析の例をもとに、画像などの非構造データをAIで読み解くことで、ベテランの知見を全店展開や未来予測へつなげられる可能性も語られました。

最後に、各パネリストから経営やリーダーが今取り組むべきことが語られました。杉原氏は、エージェンティックコマースの流行に焦りすぎず、まず足元のデータ基盤、API接続性、AIに発見されるための情報設計を整えること、そしてAIに任せる領域と人間が担う領域を経営として線引きすることが重要だと述べました。逸見氏は、現場を本当に動かすには「何をやるか」だけでなく「何を減らすか、何をやめるか」を経営が決める必要があると強調しました。藤井は、AI時代の変革は長いロードマップであり、マイクロソフトは企業と人の『エンパワーメント』に徹底的にフォーカスし、伴走するパートナーでありたいと締めくくりました。

このパネルディスカッションは、海外事例を日本にそのまま持ち込むのではなく、日本の小売業が持つ店舗力、接客力、現場知をいかにAIで拡張するかを問う場となりました。AIは現場の人を置き換えるものではなく、人が持つ知見を可視化し、組織に循環させ、より良い顧客体験へつなげるための手段です。日本企業の勝ち筋は、テクノロジーの導入そのものではなく、現場を巻き込みながら、データ、業務、経営判断をつなぐ学びのループを作れるかにあることを強く印象づけるセッションでした。

株式会社CaTラボ 代表取締役 逸見 光次郎 氏
株式会社CaTラボ 代表取締役 逸見 光次郎 氏

クロージング ― インテリジェンスを活用した「AI時代の流通業」に伴走


日本マイクロソフト 執行役員 常務 浅野 智

最後に登壇した日本マイクロソフト執行役員常務の浅野は、「AI時代の競争力は、現場で生まれる知恵や工夫をいかにデータとして循環させるかにある」と語りました。Buildで発表された構想「Project Solara」を例に、カメラやマイクを備えたAIデバイスによって、これまで可視化できなかった現場の暗黙知や“おもてなし”を企業の資産へ変えていく未来を紹介。NRF APACとBuildを通じて見えてきたのは、AIが人を置き換える世界ではなく、人の価値を最大化する世界であり、マイクロソフトは、こうした新しいテクノロジーを単なる紹介に留めず、お客様と共に構想し、試し、実装し、成果につなげる伴走者でありたいと表明。参加者に向けて「これから始まるAgentic AI時代を共に切り拓いていきましょう」と呼びかけ、会場は大きな期待感とともにセミナーの幕を閉じました。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 浅野 智
日本マイクロソフト 執行役員 常務 浅野 智

おわりに


半日のプログラムの後には、登壇者と参加者が相互交流するネットワーキングと、最新ソリューションを体感できる Innovation Hub Tour も実施されました。

参加者は当セミナーでの学びを相互に共有し理解を深めるとともに、企業の枠を超えた得難い連携創出の機会を存分に楽しまれました。

マイクロソフトは、流通(小売・卸・消費財)業界のお客様の変革に伴走するパートナーとして、AI時代の変革をご支援する取り組みを続けてまいります。

セッション後はネットワーキングと Innovation Hub Tour を実施
セッション後はネットワーキングと Innovation Hub Tour を実施

※本レポートは当日のセッション内容をもとに構成しています。掲載の写真は各セッションのものです。

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http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/retail/2026/08/31/nrf-apac26-microsoft-build-cloud-retail-consumer-blog/feed/ 0
がん医療におけるAI活用 ~多職種カンファレンス(Tumor Board)におけるマルチエージェント活用のケーススタディ~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/08/21/next-generation-cancer-care-management-multi-agent/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/08/21/next-generation-cancer-care-management-multi-agent/#respond Fri, 21 Aug 2026 04:09:38 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4659 本ブログは、米国Microsoftのブログ「Developing next-generation cancer care management with multi-agent orchestration(2025年5月)」をベースとして、日本国内向けに一部情報を追加・加筆して作成されています。

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※本ブログは、米国Microsoftのブログ「Developing next-generation cancer care management with multi-agent orchestration(2025年5月)」[1]をベースとして、日本国内向けに一部情報を追加・加筆して作成されています。

Executive Summary

  • Healthcare Agent Orchestrator
  • がん医療の多職種カンファレンス(Tumor Board)は、患者データを含む多様なデータの集約と複数専門家間の合意形成が必要で、準備負荷が大きいことが個別化医療へのアクセスを制約しています。AIエージェントはこの事務・管理的負担を軽減し得ます。
  • MicrosoftのHealthcare Agent Orchestratorは、マルチエージェント・オーケストレーションを備え、医療画像・病理・ゲノム・臨床ノートなど多様なデータに対する推論とレポート生成を支援します。オープンソースの拡張性とM365ツール連携により、現場ワークフローにも展開しやすくなっています。
  • Tumor Board向けには、患者履歴整理、放射線/病理レビュー、がんステージ分類、臨床ガイドライン参照、臨床試験探索、医学研究統合、レポート作成など多数の専門エージェントをオーケストレーターが統制します。
  • 本稿で示すマルチエージェントの例は米国の複数医療機関で実装・検証が進む一方、日本での適用には電子カルテからのデータ連携や参照すべきガイドラインの置き換えなど複数の課題があります。それでも、核となる技術や専門エージェントの組み方といったコンセプトは国内検討のヒントになると考えます。

Ⅰ. がん医療に係るAI活用の概観

周知のとおり、1981年以降、がんは日本人の死因第1位であり続けています。最新の統計では、2023年に新たに診断されたがんは約100万例規模にのぼり、一生のうちにがんと診断される日本人は2人に1人以上(男性61.1%、女性50.1%)とされています[2],[3]。また、世界に目を向けてもがんは非常に重要な疾患の一つであり、全世界では年間で約2000万例が新たにがんと診断されており、2050年までには約3,500万例にまで増加するともいわれています[4]。こうした背景もあり、かねてよりがん医療に関しては下図のような様々な領域でAI活用が研究・実用化されてきました[5]。

Fig.1 がんに係る主なAI活用シナリオの例(参考文献[5]を基に作成)
Fig.1 がんに係る主なAI活用シナリオの例(参考文献[5]を基に作成)

上図にもあるように、がん医療におけるAI活用というと、「AIによる画像診断」や「バイオマーカーの同定」、「がんリスク予測」といったユースケースを真っ先に連想される方も多いでしょう。これらのユースケースが非常に重要かつ期待の大きいものであることはいうまでもなく、Microsoftでも、Azureを中心としたクラウド・AIサービスを提供し、グローバルの様々な研究機関・医療機関・製薬企業等のお客様との協業を通じて、こうした多様なシナリオの検討や実装を支援しています。
一方、これらのシナリオに加えて、ここ数年で急激に技術革新が進んだ大規模言語モデル(LLM)や、AIエージェント/マルチエージェントを活用することで、がん医療における新たなAI活用のシナリオも見えてきています。
本稿では、Microsoftの先進的な取り組み事例として、「精密医療・個別化医療の促進」につながりうるマルチエージェントの活用シナリオについてご紹介します。

Ⅱ. がん医療の多職種カンファレンス(Tumor Board)におけるマルチエージェントの活用余地

がん患者の状態は一人ひとり異なるうえに、がんには数百種類に及ぶ異なる腫瘍サブタイプが存在し、それぞれが新薬、薬剤併用療法、臨床試験、さらには医療機器を用いた治療を含む個別化された治療プロトコルを必要とします。そのため多くの場合、がん医療には放射線科医、病理医、外科医、腫瘍内科医、遺伝カウンセラーなどの様々な職種の医療従事者が関与し、多職種で連携したチーム医療としてこれに取組んでいます。

こうしたチーム医療でのがん医療における重要なコミュニケーションの場として、「Tumor Board」等と呼ばれる多職種のカンファレンスが重要な役割を果たします。Tumor Boardでは、先に述べたようながん医療の専門職が一堂に会して膨大な患者データと医学的知見を高度に分析し、最も適切な治療方針を議論し合意形成をしていきます。このような個別化の治療が患者のアウトカムの改善に寄与し得ることが報告されている一方、その準備に要する膨大な時間と高度な専門性が普及上の課題となっていることが指摘されています。

公開情報では、こうした個別化治療計画にアクセスできている患者は全体の1%未満にとどまっているとの報告もあります。また、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の最近の研究では、臨床医は患者1人あたり1.5~2.5時間を費やし、画像データ、病理標本、診療記録、ゲノム情報などを丹念にレビューしていると報告されています。

AIエージェントは、こうした管理・事務的な負担を軽減し、医療提供の在り方をさらに変革する可能性を秘めています。

Ⅲ. MicrosoftのHealthcare Agent Orchestrator

Healthcare Agent Orchestratorは、Microsoft Researchとその協業先の研究・発表内容を基に構築されており、現在Microsoft Foundryのエージェントカタログで入手可能です[6]。これはマルチエージェント・オーケストレーションの機能が予め組み込まれたエージェントに加え、オープンソースによるカスタマイズ機能を有し、開発者や研究者はこれを利用して、Tumor Boardのような多職種かつマルチモーダルなヘルスケアデータのワークフローを連携・調整するエージェントを構築できます。また、構築したエージェントはMicrosoft TeamsやWordといった医療機関向けの業務生産性ツールとの連携も検討できます。Microsoftは、モジュール化された汎用的な推論エージェントと専門性を持つマルチモーダルAIエージェントを協働させるこの最先端のマルチエージェントの仕組みにより、現在臨床の専門医たちが数時間をかけているようなタスクを効果的に支援することを目指しています。

Healthcare Agent Orchestratorは、Microsoftの様々なソリューションや研究成果を組み合わせることで、医療に係る多様なデータタイプに対する分析や推論を支援することを目指しています。対象となるデータタイプには、DICOM医療画像、病理スライド画像、ゲノミクスデータ、さらには電子カルテに含まれる臨床ノートなどが含まれます。各エージェントでは Microsoft Foundryの高度なAIモデルが搭載されており、汎用的な推論能力と医療分野に特化したモダリティ別モデルを組み合わせることで、マルチモーダルな臨床データに基づいた有用なインサイトの創出を支援します。


Healthcare Agent Orchestratorの主な機能は以下の通りです。

– エージェントによるタスク実行の支援

電子カルテデータ横断的な推論が可能なエージェント型機能をオーケストレートし、患者の時系列サマリーの作成、がん病期の判定、特定の参照ガイドラインの適用、放射線画像や病理画像のレビュー、最新の医学文献の統合、治療ガイドラインの参照、関連する臨床試験の抽出、レポートの生成といった、時間を要するタスクを支援・高度化

– ヘルスケアデータへの接続

Microsoft FabricとFHIRデータサービスを介し、エンタープライズ規模のヘルスケアデータに接続するためのツールを提供

– 開発者による構築・拡張性

開発者が独自のモデル、ツール、指示、データソース等を用いて各エージェントを構築できるようにし、ガイド付きのプレイグラウンド環境での性能検証を可能に。また、Microsoft Copilot Studioを用いてMCPサーバーと接続させることで、エージェントの拡張も可能

– Microsoft 365環境との連携

多くの組織が既に利用しているTeams、Word、PowerPoint、Microsoft 365 Copilot などの馴染みのあるツールとの連携による既存の業務フローへの統合も検討可能

– 説明可能性の担保

エージェントのアウトプットに対して根拠となる電子カルテデータへの対応付けなど、医療という高リスク環境において極めて重要である説明可能性を担保する機能を提供

現在、Stanford University、Johns Hopkins、Providence Genomics、Mass General Brigham、the University of Wisconsin School of Medicine and Public Healthといった名だたるがん医療機関の研究者や開発者が、がん医療のような複雑な臨床タスクにおいてAIエージェントがどのような価値を提供できるかを検証するために、Healthcare Agent Orchestratorの活用を進めています。

Ⅳ. Tumor BoardにおけるHealthcare Agent Orchestratorの適用イメージ

Healthcare Agent Orchestratorは、がん医療の複雑で多職種にまたがるワークフローに特化して設計された複数の「専門エージェント」をオーケストレートします。オーケストレーターと主要な「専門エージェント」の概要は以下の通りです。

Fig.2 Tumor Boardにおけるマルチエージェントの構成イメージ 
Fig.2 Tumor Boardにおけるマルチエージェントの構成イメージ 

– オーケストレーターは、Semantic Kernel と Magentic-One を活用してエージェントを統制し、共有メモリを維持するとともに、人間が介在するワークフローとの相互作用(human-in-the-loop)を実現します。

– 患者履歴エージェントはUniversal Medical Abstraction[7]を用いて患者データを時系列に整理し、専門家が3時間以上を要することもある手作業を数分で完了させます。

– 放射線エージェントは、CXRReportGen/MAIRA-2[8]などの顧客向けにファインチューニングされたモデルを活用し、放射線画像を解析してセカンドリードを提供します。(CXRReportGenについては、別ブログ「Microsoft Azureで実現するAIモデルによる医療画像解析」[9]も併せてぜひご参照ください。)

– 病理エージェントは、Paige.aiの「Alba」病理エージェント[10]のような外部エージェントと接続し、病理画像に関する複雑なクエリに対応する方法を示しています(プレビュー提供中)。

– がんステージ分類エージェントは、米国がん合同委員会(AJCC)の臨床ガイドラインを参照し、正確ながんステージ分類を支援します。

– 臨床ガイドラインエージェントは、米国包括的がんネットワーク(NCCN)の臨床ガイドラインを参照して、推奨される治療計画を提示します。

– 臨床試験エージェントは、ClinicalTrials.govなどのデータベースと患者プロファイルを照合することで適格な臨床試験の探索を支援します。公開研究では、Criteria2Queryベースラインと比較して、リコールを2倍以上向上させる可能性が示されています(ただし、実運用にあたっては対象データ、評価条件、地域ごとの臨床試験情報の取り扱いを確認する必要があります)[11]。

– 医学研究エージェントは、信頼できる医学誌から得られたグラフベースの知識を参照し、関連する医学的知見の整理や検討支援に活用されます。

– レポート作成エージェントは、多職種カンファレンスにおいて信頼できる参照資料として活用可能な、包括的で統合された、リッチに整形されたレポート作成を自動化します。

なお、オーケストレーターは意図的にオープンエンドな設計となっており、API、ツールラッパー、またはMCPエンドポイントを公開している承認済みのエージェントであれば、サードパーティ製を含めてTeamsの会話スレッドに取り込むことができます。

Ⅴ. まとめ

以上で示したような、がん医療に係る多職種カンファレンスであるTumor BoardにおけるHealthcare Agent Orchestratorを中心としたマルチエージェントの仕組みは、もはや単なる構想ではなく米国の複数の医療機関で実装・検証が進められているものです。がんの診断や治療そのものに対するAI活用も当然ながら引き続き大変重要ですが、LLMやエージェント/マルチエージェントといった最新のAI技術は、Tumor Boardように「多様な情報と複数の専門性を連携させ、掛け合わせる」ようなシナリオで真価を発揮すると考えられます。また、これらのエージェントへのアクセスはEntra IDによる認証を介することで必要な医師のみに制限することもできるため、患者情報のような機微な情報もセキュアに取り扱うことが可能です。

もちろん、本稿で示したマルチエージェントのアーキテクチャを“そのまま”日本の医療機関に適用することは困難です。例えば、電子カルテのデータをクラウド上のAIサービスに連携することのハードルは米国に比べて著しく高いですし、セクションⅣで示したいくつかの専門エージェントが参照している米国のガイドラインやデータベースも日本での運用に適するものに置き換える必要があります。しかし、Healthcare Agent Orchestrator等の核となる技術や、専門エージェントの組み方、そして何よりこうしたシナリオに対するマルチエージェントの潜在的な価値と有用性といったコンセプトからは多くのヒントが得られるのではないかと考えています。本稿が少しでも、日本のがん医療に携わる皆様の参考になれば幸いです。


参考文献

[1] Matthew Lungren, MD, MPH, Chief Scientific Officer, Health and Life Sciences, “Developing next-generation cancer care management with multi-agent orchestration”, Microsoft Blog, May 19, 2025

[2] 国立研究開発法人国立がん研究センター, “最新がん統計”, がん情報サービス(参照 2026-05-01)

[3] 小野薬品工業株式会社, “日本人のがん罹患状況”, ONO MEDICAL NAVI(参照 2026-05-01)

[4] Bray F, Laversanne M, Sung H, et al. Global cancer statistics 2022: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2024;74(3):229-263.

[5] Cheng, C.H., Shi, Ss. Artificial intelligence in cancer: applications, challenges, and future perspectives. Mol Cancer 24, 274 (2025).

[6] GitHub – Azure-Samples/healthcare-agent-orchestrator: Facilitates creating modular specialized agents that coordinate across diverse data types and tools like M365 and Teams to assist multi-disciplinary healthcare workflows—such as cancer care. · GitHub

[7] Wong C, et al., Universal Abstraction: Harnessing Frontier Models to Structure Real-World Data at Scale, arXiv, 19 Aug 2025

[8] Bannur S, et al., MAIRA-2: Grounded Radiology Report Generation, arXiv, 20 Sep 2024

[9] 大嶽 和也, “Microsoft Azureで実現するAIモデルによる医療画像解析”, マイクロソフト業界別の記事(参照 2026-5-01)

[10] Vorontsov, E., Bozkurt, A., Casson, A. et al. A foundation model for clinical-grade computational pathology and rare cancers detection. Nat Med 30, 2924–2935 (2024).

[11] Wong C, et al., Scaling Clinical Trial Matching Using Large Language Models: A Case Study in Oncology, arXiv, 18 Aug 2023

本稿は、参考文献[1]のMicrosoft Blogをもとに、日本国内向けの情報を追加・加筆したものです。技術動向に関する情報提供を目的としています。同記事および公開コードに記載のとおり、Healthcare Agent Orchestratorは研究・開発用途を想定しており、臨床環境で、医療上の使用や助言、診断・または治療に用いることの推奨を意図した行うものではありません。紹介するAIの出力は医療専門家の判断を代替するものではなく、実際の導入・利用にあたっては、出力の検証、適用される法令・規制への対応、必要な許認可・承認の取得などについて、各組織において適切性ガイドライン、セキュリティ、プライバシーおよび各サービスの提供条件をご確認ください。製品・機能・提供状況は変更される場合があります。

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パブリックセクター向け会報「かけはし」2026年6月号発行 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/07/10/kakehashi-2026-06-blog/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/07/10/kakehashi-2026-06-blog/#respond Fri, 10 Jul 2026 01:41:58 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4592 日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の2026年6月号が発行されました。
6月号は「生成AIが促す公共組織のアップデート」等をテーマとし、6つのトピックと2つのニュースを掲載しております。

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日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の2026年6月号が発行されました。
6月号は「生成AIが促す公共組織のアップデート」等をテーマとし、6つのトピックと2つのニュースを掲載しております。

公共サービス等におけるAI活用・DX推進に関する情報となりますので、ぜひご一読ください。

「かけはし」2026年6月号
トピック
1生成AI活用事例をお客様限定イベントで共有 第5回霞が関事例研究会開催
2AIとセキュリティで加速する自治体DX 都道府県CIOフォーラム@沖縄 出展レポート(2026年2月2日-3日)
3日本社会を守る官民連携の最前線へ 重要インフラ組織向けセキュリティラウンドテーブルを初開催(3月11日)
4生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来をAIとともに描く~
5農林中金全共連アセットマネジメント株式会社 様が進めた「 Microsoft 365 Copilot 」全役職員展開!
6農林中央金庫が拓く「生成AI × 市民開発」 ―『攻め』で挑む全社変革 ―

ニュース
12026.3  第17/18回CGウェビナー開催 AI Tour Tokyo 2026 Recap
2社会重要インフラ 生成AIラウンドテーブル2026 AI 時代の「業務変革」と「組織のアップデート」を考える

是非「かけはし2026年6月号」をご覧ください。
かけはし2026年6月号

今後も「かけはし」では日本マイクロソフトの取り組みを発信していきます。

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生成AIを“職場の当たり前”に JR西日本が2か月で挑んだ、一気通貫の業務プロセス変革とAI協働モデルの実践 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/digital-transformation/2026/07/09/mobility-2026-blog/ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/digital-transformation/2026/07/09/mobility-2026-blog/#respond Thu, 09 Jul 2026 05:08:33 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/?p=4596 生成AIは今、単なる業務効率化ツールを超え、「働き方そのもの」を再設計する段階に入りつつあります。 
本記事では、同プロジェクトの背景と狙い、実際の業務での活用事例、そしてAI協働を全社展開していく上で見えてきた課題と展望についてご紹介します。

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JR西日本ロゴ

1. はじめに 

生成AIは今、単なる業務効率化ツールを超え、「働き方そのもの」を再設計する段階に入りつつあります。 

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様では、将来的な「人と生成AIがそれぞれの得意領域で活躍し、協働する働き方」の実現を目指しています。この未来を見据えたファーストステップとして、まずはデジタルソリューション本部が先陣を切り、日常業務に生成AIをクイックかつ組織的に溶け込ませる取り組みを開始しました。目的は、日々の実務における手元のペイン(課題)を解消し、人間がより創造的な業務へリソースを注力できる協働体制を構築すること。このビジョンのもと、「生成AIを活用した働き方変革プロジェクト」を始動させました。 

本記事では、同プロジェクトの背景と狙い、実際の業務での活用事例、そしてAI協働を全社展開していく上で見えてきた課題と展望についてご紹介します。


2. プロジェクトの背景 ― なぜ「デジ本から」始めたのか 

本プロジェクトの出発点は、 
「生成AIを前提に、業務のあり方そのものを変えたい」 
という明確な問題意識でした。 

これまで多くの業務では、 

  • 単純な繰り返し作業などのノンコア業務に時間が奪われる 
  • 属人化による品質のばらつき 
  • 「AIは使ってみたが、結局一部の人しか使わない」 

といった課題が顕在化していました。 

そこでJR西日本では、まずデジタルソリューション本部(デジ本)自らが実験場となり、 

  • ノンコアタスクへのクイックなAI適用 
  • Human in the loop(人が最終判断を担う設計) 
  • ルールの遵守と業務スピードの加速の両立 

を前提に、生成AIを業務の一部とする活動を段階的に進めました。 

その第一弾として、テーマ選定からAIエージェントの構築・検証・展開までを、わずか2か月の間で一気通貫して行うプロジェクトが始動しました。JR西日本と、データ利活用をはじめDXに強みを持つJR西日本のグループ会社TRAILBLAZER、そしてその技術支援としてMicrosoftが加わった体制で、強力に推進されました。  

生成AIによる働き方改革プロジェクトの体制とスケジュール 
生成AIによる働き方改革プロジェクトの体制とスケジュール 

3. 生成AIで取り組むテーマの見極め 

本プロジェクトの成功の要因は、「『短期間で効果が最大限に出せるもの』を関係者間で洗い出して合意することだった」と、TRAILBLAZERの村山さんは語ります。生成AIの活用を検討する際、「何ができるか」から議論を始めてしまうケースは少なくありません。しかし本プロジェクトでは、まず“技術ありき”ではなく、「実務のどこに一番ムダやボトルネックがあるのか」「改善によって、誰の、どのような業務負担が軽減されるのか」といった業務起点の対話を重ねることからスタートしました。 

そして重視したのは、 

  • 数週間〜数か月で成果が可視化され、実務者が確かな手応えを得られること 
  • 業務フローが比較的シンプルで、人とAIの役割分担を設計しやすいこと 
  • 一部の専門業務のみへの適用に留まらず、将来的な横展開が見込めること 

といった観点です。 

生成AIは万能ではありません。だからこそ「100点を狙うテーマ」ではなく、「まずは70点でも価値が出るテーマ」を選ぶことが、結果として実務担当者の納得感やスピード感につながりました。実際、初期テーマで一定の成果を出せたことで、「次はこの業務にも使えるのではないか」というポジティブな連鎖が自然と生まれていきました。 

また、テーマ選定の段階からメンバーを巻き込んだことも重要なポイントでした。 

当初は、「AIの使い方のイメージが湧かない」「どう実務のワークフローに組み込めばいいか分からない」といった戸惑いがありました。さらに、業務変革への高いハードルを感じたり、生成AIを単なる単純業務の置き換えツールと捉えていたことで、効果を低く見積もってしまう傾向も見られました。しかし、プロジェクトを共にする中で、それらの戸惑いは徐々に解消され、生成AIは“自分たちの日常業務の負担を取り除くツール”として前向きに再定義されていったのです。 
村山さんはこう振り返ります。 

「生成AIの導入において本当に難しいのは、技術的なことではなく、業務に携わるメンバーが抱く『業務への想い』を丁寧に汲み取ること。その想いに寄り添って初めて、AIが真に輝く場所が見えてくるのだと思います」 

担当者の意見を尊重した業務ヒアリングによって「業務への想い」を汲み取り、AIが最も輝く場所を特定する。そのうえで、AIが真に機能する領域を見極めることで、担当者の想いを「コア業務への注力」という具体的な価値へ変換していきました。生成AI活用を成功させる鍵は、最先端のユースケースを追いかけることだけではありません。自社の業務と真正面から向き合い、「どこなら一番早く、意味のある変化を起こせるか」を見極めること。その積み重ねこそが、生成AIを“特別な取り組み”から“日常の業務パートナー”へと変えていくのです。 


4. 各部署で進む具体的なAI活用事例 

本プロジェクトでは、わずか2か月の間に総勢11個のAIエージェントが各部門主導で構築されました。ここでは、その中でも5つの代表事例を紹介します。 

4.1訪問営業前における事前準備フローの省力化 

営業活動における商談前のターゲットリサーチや、提案の方向性策定といった事前準備は、多くの時間と労力を要する業務でした。 この課題を解決するため、事前準備フローを効率化・自動化するAIエージェントが導入されました。 
Web上の公開情報や関連データを自動収集し、ターゲットのニーズや課題を整理 
収集したデータに基づき、最適な提案アプローチや訴求軸を提示 
提案に向けた構成案や初期ドラフトを短時間で生成 

 その結果、事前準備から資料の骨子作成までにかかる時間は従来の約1/3に短縮されました。リサーチなどのインプット業務をAIで効率化することで、営業担当者は商談の勝ち筋を決める「思考と判断」に集中できるようになり、提案の質の向上に繋がっています。 

訪問前リサーチ業務のシステム図
訪問前リサーチ業務のシステム図

4.2 社内庶務・経理業務の自動化 

少額備品購入や請求書処理などの庶務業務にも、生成AIが適用されました。 

  • 物品要求票の自動チェック 
  • PDF請求書からの項目抽出・集計 
  • ExcelやPower Appsとの連携 

これにより、年間で数十時間単位の工数削減が見込まれ、 
単なる省力化にとどまらず、「業務の標準化」「ミスの削減」も実現しています。

庶務・経理業務における生成AI活用の画面イメージ
庶務・経理業務における生成AI活用の画面イメージ

4.3 ナレッジ回答AIエージェント​の実装​ 

勤怠や旅費申請、福利厚生、システム周りなど、重要かつ複雑な質問が社内から日々寄せられるため、社内マニュアルを参照して、回答を返すAIエージェントが作成されました。 

これにより、年間約300時間の問い合わせ業務の削減が見込まれます。今後の展望としては、Teams上での過去のやり取りをナレッジ化してAIの参照元に組み込むことで、ユーザーのニーズに即した、より鮮度の高い回答をリアルタイムに届けられると考えています。 

Copilot Studioを入口とした、マルチエージェント構成図 
Copilot Studioを入口とした、マルチエージェント構成図 

4.4 ブランドレギュレーションチェックツール 

JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」のマスコットキャラクターである「カモノハシのイコちゃん」関連の施策や、ICOCAビジネスに携わる社員へのヒアリングを通じて、本取り組みの方向性が定義されました。 

■ 抱えていた課題: ガイドラインの基準が多岐にわたり、人間の手ですべてを漏れなく網羅して確認・判断することが困難。ノウハウが“個人に閉じた知識や判断”に留まってしまい、組織全体で蓄積・再利用できない構造になっている。 

■  設定したゴール: 膨大な基準の網羅的な参照をAIでサポートし、組織として誰もが再現性をもって対応できる体制を構築する 

つまり、問題の本質は単に「作業効率が悪い」ことではなく、組織としての再現性を欠いていた点にありました。 

① 業務特性起因:高度で変化の激しい領域 

対象となる業務は、専門性が高く、判断に知識と経験を必要とします。加えて、規約やルールの改定頻度が高く、最新の解釈が暗黙知化しやすい傾向があります。 

その結果、「内容が複雑で理解が難しい」「気づいたらルールが変わっている」といった状態が常態化していました。 

② 知識構造起因:多岐にわたる情報の網羅・理解の難しさ 

規約やガイドライン自体は事業分野ごとに体系化されているものの、それらを網羅的に把握して理解することが難しく、特に初任者にとっては学習コストが高い状態です。実務担当者からは、「どの情報を見ればいいのか分からない」「自分の解釈が正しいか自信が持てない」といった声が挙がっていました。 

③ 組織・運用起因:「詳しい人に聞く」文化 

短期的には「詳しい人に聞く」方が効率的であるため、結果として標準化や仕組み化が後回しになっている状況も見られます。「詳しい人に聞いたほうが早い」 

「毎回これで回っているから問題ない」こうした構造が、知識の属人化をさらに強めています。 

■ 具体的な業務:ブランドレギュレーションチェック 

こうした課題は、具体的な業務にも表れています。 

例えば、広告物(デザインやLP)のブランドレギュレーションチェックでは、 

  • ブランドガイドライン遵守 
  • 表現リスクの確認 
  • 修正対応 

といった複数の観点をもとに品質を担保する必要があります。 

さらに参照すべき資料として、多数のドキュメントが存在しています。 

この状況では、判断の質はどうしても個人の経験に依存せざるを得ません。 

こうした課題を解決するための第一歩として、まずは「ブランドレギュレーションチェックツール」を作成しました。これにより、確認作業を一作業あたり15分から5分に短縮することができ、組織としての標準化に向けた確かな手応えを得ることができました。今後は、広告代理店とのコミュニケーションのスピードアップにも寄与していくことが期待されます。 

ブランドレギュレーションチェックツールの回答画面
ブランドレギュレーションチェックツールの回答画面

4.5 WESTERモールの出店申請・商品登録チェック業務のサポート 

 JR西日本が運営するECサイトWESTERモールでは、多くの店舗が加盟し、日々新しい商品が出品されています。そこで、店舗様が登録した商品・店舗情報の目視確認や審査にかかる時間を短縮し、より早く消費者へ商品情報を届けるため、出店申請と商品登録のチェック業務を担うAIエージェントを構築しました。これにより、一店舗あたり約1時間の工数削減が見込まれます。今後は、出店者から登録通知を受け取るとエージェントが自動的に動き出す業務フローの構築や、巡回・監視の自動化、店舗様自身が事前にエージェントを利用するセルフチェックなどの構想があります。 

商品登録審査AIエージェントアウトプットイメージ 
商品登録審査AIエージェントアウトプットイメージ 

5. 定量・定性的な成果 

プロジェクト全体として、以下の成果が確認されています。 

  • 業務削減時間:約7,000時間 

 本プロジェクトがもたらした本当の価値は、数字だけに留まりません。AIに対する捉え方が「便利なツール」から「日常の業務パートナー」へと変化したこと。そして何より、この実践を通じて、メンバーの中に「生成AIを活用して自らの手で業務変革を推進していく視点」が養われたことこそが、今回の取り組みにおける最大の資産といえます。 

6. AI協働の輪を広げる体験展示会 

AIを使った取り組みを全社へ横展開するべく、構築したAIエージェントを直接触って体感できる展示会を開催しました。狙いは、日常業務における活用のハードルを下げ、「これなら自分たちもできそうだと実感をもってもらう」という当事者意識を持ってもらうことです。当日は約200名の社員が来場。実際にAIエージェントの動きを体感する中で活用のイメージが具体化し、「自部署でも取り入れたい」との声が多数寄せられました。実務変革を自分ごととして捉える契機となり、全社展開のスピードを加速させる確かな足がかりとなりました。 


7. 全社展開に立ちはだかる2つの課題 

一方で、全社展開に向けては明確な課題も見えてきました。 

  • 組織の課題 
    部署ごとにフォーマットが異なり、データが点在している 
  • ガバナンスの課題
    セキュリティ要件と業務スピードのジレンマ 

これらはツール導入だけでは解消できず、組織文化や意識のアップデートが不可欠です。そこで、まず一つひとつの案件における業務プロセスを細かく分解し、どこが課題か、どうすれば解決できるかを、実務担当者との対話を通じて丁寧に確認するアプローチを採用しました。この密なコミュニケーションを通じて成功事例を実証的に積み重ね、課題解決の手法を「パッケージ化」していくプロセスを踏むことにしたのです。この着実な検証フェーズを経た上で、さらなる横展開に向けて、成功事例を全社に配布する「アプリのカタログ方式」への移行や、実務者が自ら改善を続けられる「市民開発コミュニティ」の創設を計画しています。 


8. おわりに ― AI協働を“全体最適”へ 

JR西日本グループにおける本取り組みは、 
「AIで仕事を楽にする」ことが目的ではありません。 

  • AIに任せる 
  • 人が考える 
  • 生まれた時間を、次の価値創造に使う 

この循環を組織として回し続けることこそが、真のDXだと考えています。 

生成AIと人が協働する働き方は、各業務における試行と実践を通じて、少しずつ形になりつつあります。 

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FIN/SUM 2026 マイクロソフト セッションレポート [保険業界]  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/financial-services/2026/05/20/fin-sum-microsoft-2026-blog/ Wed, 20 May 2026 05:17:47 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/05/20/fin-sum-microsoft-2026-blog/ 2026 年 3 月 の「FIN/SUM 2026 AI ×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」(主催:日本経済新聞社、金融庁)において、日本マイクロソフトのセミナー「保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト」を開催。

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保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト

2026 年 3 月 の「FIN/SUM 2026 AI ×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」(主催:日本経済新聞社、金融庁)において、日本マイクロソフトのセミナー「保険会社における AI 活用最前線:第一ライフグループ×マイクロソフト」を開催。
日本マイクロソフト グローバル保険・地域金融統括本部長 長町浩史氏が、 AI エージェントの活用の現状について紹介。後半では第一ライフグループ Group Chief Data & AI Officerのフィゲン・ウルゲン氏と、日本マイクロソフト 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介氏が登壇し、社内での AI エージェント導入から活用までの実例を紹介した。


AI エージェント導入における課題を、マイクロソフトはプラットフォームとして解決

はじめに、長町氏は保険会社における AI 活用、エージェント導入が本格化してきていることを解説。導入時には、大きく 3 つの点が課題になると説明した。

日本マイクロソフト株式会社 長町氏

「まずは、ユーザーが使いやすい AI エージェントのインターフェースになっているかという点です。日々の業務の動線の中にエージェントが自然に融合されていないと、利便性・使い勝手の観点から利用が進まないと考えています。2 つ目は、エージェントが複数の業務システムと連携できておらず、個々の業務が孤立して動いている状況になっていないか。そして一番重要なのが 3 点目の、データが有効活用できていないことです。データが企業内、またグループ会社間で散財している、さらにそのデータが AI-Ready の状態になってないと上手く活用ができません」(長町氏)。

それらの課題に対し、マイクロソフトでは「エージェント全体のプラットフォームとして解決できるのではないか」と強調した。

「Excel、Word、PowerPoint を触りながら、そのまま自然に AI エージェントに繋がるような融合が可能です。 Microsoft Copilot、Microsoft Foundry、Microsoft Copilot Studio といった統合的なプラットフォームも提供させていただいています。データ領域については、散在しているデータを集約し、AI-Readyなデータとして活用できる、意味を持ったコンテキストなデータに変える。そういった仕組みを Fabric といったサービスを中心にご提供させていただいております」(長町氏)。


連邦型データ基盤と人材育成で、グループ全体の AI 活用を加速

ここからは、日本マイクロソフト 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介氏が進行役を務め、日本マイクロソフトと戦略的パートナーシップを締結している第一ライフグループGroup Chief Data & AI Officerのフィゲン・ウルゲン氏に、同社における AI 活用の実情について話を聞いた。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員常務 金融サービス事業本部長 荒濤大介、第一生命グループ Group Chief Data & AI Officer フィゲン・ウルゲン氏

フィゲン氏は、グローバルな組織である第一ライフグループは、さまざまなクラウド・ IT 環境を持っており、イノベーションを妨げないよう中央集権型ではなく連邦型を採用していること、Microsoft Azure 上で Microsoft Fabric を利用して AI の基盤を作ってきたことを説明。従業員の利用率を高めるために工夫した点について、次のように話す。

「ただ環境を作っただけでは、AI の導入は進みません。トレーニングもとても重要でした。我々は『コンテキスト組み込み型』というやり方を使い、従業員の皆さんにただの AI ツールを教えるのではなくて、業務に合わせた使い方を教えています。そうすると、もっと継続性・連続性のある使い方になっていきます。この 1 年の中で、コストを回収できるラインの約 3 倍、従業員一人当たり月平均 140 回以上使っていることがわかりました。例えば会議の要約のような簡単な使い方から、業務の一部を完全にAIに任せるというところまで、皆さん様々な使い方をしています」(フィゲン氏)。

フィゲン氏は、AI エージェントを活用する上での課題、そしてそれをどのように乗り越えようとしているかについて、AI-Ready なデータを整えることが重要だと強調した。

第一ライフグループ Group Chief Data & AI Officer フィゲン・ウルゲン氏

「最初に乗り越えるべき壁は、AI がアクセスできる場所に、AI が利用できる形式でデータをもたらすことです。我々のように長い歴史のある会社では、データは紙のファイル、特別なシステムに特化した形式など、さまざまな形で散らばっています。我々が Azure 上に作った連邦型のプラットフォームでは、データのガバナンスを効かせながら、皆さんに安全にデータと AI を作って使ってもらえるようにしています」(フィゲン氏)。

エージェントを活用した変革では、会社に長年務めてきた社員の知識の活用にも期待を寄せているという。

「生成 AI での業務の効率化、生産性を上げるといったプロジェクトはいろいろとあると思いますが、私が重要だと思っているのは『人間はどうなるか』という点です。退職を迎えるベテランの社員は貴重な知識、知恵を持っていて、実は AI を使ってそのような知識も確保できると思っています。業務の効率化と同時に、長年貢献してきたベテランの社員にも敬意を示せるようになるのではないかと思います」(フィゲン氏)。

最後にフィゲン氏は、今後の展望について「Microsoft Fabric は、Microsoft Foundry の中であまりデータを動かさずに、仮想でデータをアクセスして分析できる環境を作れる点が革新的だと思っています。私達の今後のビジョンは、Microsoft Foundry を使ってイノベーションを起こすことです。最終的には、我々のグループ会社はどの会社でも使えるような仕組みを作りたいと思います」と話した。

セッションの最後に荒濤氏は「ありがとうございます。我々の持っている製品やケイパビリティを上手く活用されて、エージェントで大規模な変革をこれから進めていかれようとしていることがよくわかりました。AI の部分だけでなく、インプットとなるデータ、それからアウトプットを活用する人材育成まで、我々のようなテクノロジーパートナーをご活用いただいて、エージェントを活用した変革を進めていただきたいと思っています」とセッションを締め括った。

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Microsoft と Polimill:公共向けAIソリューション強化の最前線「安全なAIエージェント」の全国自治体展開に向け連携を加速 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/05/14/microsoft-polimill-ai-2026-blog/ Thu, 14 May 2026 03:51:10 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/05/14/microsoft-polimill-ai-2026-blog/ 公共機関では、特殊なネットワーク環境や政府特有の制約により、AIを気軽に活用することが難しいケースがあります。そのためマイクロソフトは、より簡単にAIへアクセスし、活用できる環境を整えることを重要な課題と位置付けています。

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公共機関では、特殊なネットワーク環境や政府特有の制約により、AIを気軽に活用することが難しいケースがあります。そのためマイクロソフトは、より簡単にAIへアクセスし、活用できる環境を整えることを重要な課題と位置付けています。

このため、2026年から、日本マイクロソフト株式会社パブリックセクター事業本部は国内AIソリューション分野で著しい実績を持つ Polimill社と協力し、公共向けAI活用の加速と安全基盤の強化を目指した新たな取り組みを開始しました。

本プロジェクトでは、こうした中、両社の協業は、自治体を中心とした公共分野の業務効率化とDX推進を目的とし、全国規模での最新AIモデルの迅速な展開と安全・安心な利用環境の整備を掲げています。こうした中、Polimill社において、2026年5月8日に発表されたニュースリリースにも記載の通り、具体的な取り組みを加速します。

〇 Polimill社のご紹介:行政向けAI 『QommonsAI』 がもたらす現場変革

Polimill株式会社は、行政業務に特化したAI技術を開発・提供する国内先進企業です。Polimill社の主力製品 『QommonsAI』 は、自治体業務の自動化・効率化を支援するAIエージェントであり、複雑な行政手続きや住民対応、文書管理業務など多様なユースケースに対応可能です。直感的な操作性と日本語処理に優れた設計は、現場職員の業務負担軽減とサービス品質向上を両立。さらに、自治体ごとの業務課題や法令遵守要件に即応できる柔軟なカスタマイズが特徴です。すでに多くの自治体で活用されている今注目のソリューションです。
MicrosoftはPolimillと協力し、行政機関のニーズに即したAIソリューション提供に向けて協力を加速していきます。

ここからは、取り組みのポイントをご紹介します。

1.日本国内リージョンでGPT5.4提供開始:Azure OpenAI Service採用

Polimill社は、すでに『QommonsAI』へMicrosoftの国内リージョンにある最新AIモデル「GPT5.4」によるAzure OpenAI Serviceを組み込み、提供開始しました。
これにより、国内データセンターで稼働する高性能AIを全国800以上の自治体にいる30万人の職員等へ安全かつ迅速に展開可能となります。Azure基盤の採用は、自治体データの主権確保と法令遵守、信頼性・安定性の実現を意味し、自治体ごとの個別要件にも柔軟に対応。GPT5.4の導入により、住民問い合わせへの精緻な回答生成、複雑な申請書類の自動チェック、議事録の即時要約などの行政業務が大幅に効率化されることが期待されています。

2.Azure/Microsoft 365を活用した取り組み:行政業務特化ユースケース共同開発
Microsoft AzureおよびMicrosoft 365の活用を通じて、Polimill社は最新AIモデルの速やかな公共現場展開を可能としています。今後、両社は行政業務特化型ユースケース(例:申請審査、情報検索、文書点検、住民対応など)の共同開発・実証に向けた検討を進め、自治体を含めた公共機関のDX推進を強力に支援していきます。また、Microsoft 365 Copilot活用等による現場職員の負担軽減や業務プロセス変革にも注力しています。現場課題の迅速解決と部門横断的なDX推進体制の構築が、今後の公共分野におけるAI活用の新潮流となっています。

3.安全・安心なAI利用基盤の提供:データ主権、セキュリティ、ガバナンスの強化
公共分野におけるAI活用には、データ主権の確保、セキュリティ、ガバナンスの強化が不可欠です。MicrosoftとPolimill社は、国内リージョン限定運用により自治体データの保護とプライバシー遵守を徹底。「政府AI活用ガイドライン」等の最新の指針に準拠し、データ主権を完全に日本国内で保持したまま、監査ログの標準化と透明性の高いAI運用を提供します。また、AIエージェントの運用に関しても、透明性・説明責任を重視し、現場職員が安心してAIツールを活用できる体制を構築しています。

日本マイクロソフト株式会社パブリックセクター事業本部とPolimill社による協業は、自治体職員や公共分野関係者にとって、AI活用による業務改革とサービス品質向上の新たな道を切り拓いています。今後も両社は、最新モデルの展開、ユースケース開発、安全基盤整備を通じて、全国自治体のDX推進を支援し続けます。公共分野でのAI利活用にご興味がある方は、ぜひMicrosoftまたはPolimill社担当窓口までお気軽にお問い合わせください。

【Polimill社 代表取締役COO 谷口野乃花様からのコメント】
「全国自治体は、職員数の減少と財政の制約に直面しながら、公共サービスの水準を維持することを求められています。QommonsAIは、全国約800自治体・約30万人の職員が日々利用する公共分野の共通基盤として、この構造的な課題に応えるべく設計されてきました。Azure OpenAI Serviceの国内リージョンと最新フロンティアモデル『GPT-5.4』を推論基盤の中核に据えることで、データ主権を担保した最新AIを全国の行政現場へ同時に届けられる体制が整います。日本マイクロソフトとの協力を起点に、公共分野のAI活用を次の段階へと進めてまいります。」

Polimill株式会社 代表取締役 谷口野乃花、日本マイクロソフト株式会社 常務執行役員 パブリックセクター事業本部長 木村 靖

【日本マイクロソフトとしての期待(執行役員常務パブリックセクター事業本部長 木村靖)】
「公共分野のDXを前進させるうえで、安全・安心に使えるAI基盤は不可欠です。Polimill社の『QommonsAI』とマイクロソフトのテクノロジーの組み合わせにより、省庁・自治体をはじめとした公共機関の現場課題に即したAI活用を推進していきます。Microsoftはガバナンスとセキュリティを重視し、皆さまと共に信頼できるAIの社会実装を推進します。」

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生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来を、AI とともに~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ 2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。

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2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。 


オープニング 

冒頭のオープニングでは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長木村靖より、政府官公庁、独法、自治体、教育、ヘルスケアから成るパブリックセクター事業の全体像について紹介しました。「Agentic Worldを如何に製薬業界で推進していくか、お客様、パートナー企業様一体となって考えていきたい」と製薬業界に対する意気込みを言及しました。 


「ヘルスケア×生成AIの展望」 
ボストンコンサルティンググループ合同会社 
Managing Director & Partner 
鹿野 洋氏 

はじめに、ボストンコンサルティンググループ合同会社Managing Director & Partnerで、製薬業界・医療機器メーカー等のヘルスケア業界のクライアントに対して幅広いテーマで支援されており、近年はヘルスケア×生成AIというテーマでも豊富なご経験を有する鹿野 洋氏に招待講演を実施していただきました。 

まずは、生成AIの台頭から昨今の技術革新までを振り返り、生成AIがあらゆる産業界にもたらしうる価値の類型と、それを実現するための10-20-70の原則(詳細はBCG社発信情報をご参照ください)を紹介されました。 

「ヘルスケア×生成AIの展望」をテーマに講演するBCG 鹿野洋氏のプレゼンテーション画面


その後製薬業界にフォーカスし、バリューチェーンごとのAI活用シナリオを俯瞰しつつ、AIによる価値創出のポテンシャルが特に大きいドメインやそのインパクトドライバーに係る分析・考察をご紹介くださいました。また、より実務に踏み込んだテーマとして、BCG社が開発したソリューションのデモも示しつつ、コマーシャル・開発・製造の各領域における実際の生成AI活用事例とそれによってもたらされた成果(例:対象業務のリードタイム削減量)等もお話しいただき、参加者からも高い興味・関心を得ていました。締めくくりには、製薬企業の経営者に向けた「AI活用に関する5つの要諦」として、製薬企業における今後の生成AI活用に関する方向性への提言をお示しいただきました。 
 

「マイクロソフトのグローバルでのライフサイエンス領域における取組み」 
Microsoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life Sciences 
Antonio Gatti 

続いてMicrosoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life SciencesのAntonio Gattiが登壇。 
まずは、製薬業界グローバル全体にて挙げられる4つの大きな課題(薬価、医薬品開発に必要なコスト、データのサイロ化、)を定量的なデータを用いながら紹介しました。 

Microsoft EMEA & ASIA Director Antonio Gattiによるライフサイエンス領域のグローバル戦略紹介

そして、昨今Microsoftが掲げる”Frontier Firm”へのAIエージェント活用を軸とした道筋をご紹介しました。人間が行う作業をサポートするAIから、”Digital Colleagues”となり、人間が大まかな指示を与えるとビジネスプロセス・ワークフロー全体の推進役を担うAIエージェントへ進化させていくことで、AIの真価をビジネス実装できると考えています。 

その後、R&D領域に特化した新たなエージェントプラットフォーム、Microsoft Discoveryのご紹介をいたしました。次世代のサル痘ワクチンに向けたアプローチを開発を仮題材として、仮説立案や、シミュレーション等をどのように行うか、コンセプト動画を交えてご説明しました。Microsoft Discovery内部でシミュレーションやビジネス開発、科学論文の執筆等に特化したエージェント群が有機的に連動し、創薬に関する複雑な問いに対するアクションを可能にすることが示されました。 

R&D領域向けエージェントプラットフォーム「Microsoft Discovery」のコンセプト動画イメージ


また、製薬企業様の様々なバリューチェーン領域におけるグローバル事例や、Microsoft Azure上でご利用可能な最先端のライフサイエンス向けAIモデルのご紹介を行い、最後に信頼性のあるAI(安全性、セキュリティ、プライバシー)に関するご説明を行い、セッションを締めくくりました。 


AIエージェント導入企業様による事例紹介 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」 
アステラス製薬株式会社 
Product Development and Manufacturing, 
CMfgO Office, Capability Development & Compliance 
室 篤志氏 

このセッションでは、AIエージェント を導入して業務改革を進めている先進的な製薬企業による事例が紹介されました。 

室氏からは、まずアステラス製薬のものづくりにおけるナレッジマネジメントの考え方と、マルチエージェントへの期待について説明がありました。 

様々な専門部門の協業で成り立つ医薬品ものづくりにおいて、各部門の知識を集約したエージェントを構築することで、各業務プロセスの高度化・効率化が期待されます。さらに、これらのエージェントを組み合わせたマルチエージェントを構築することで、課題に対して各部門の多様な視点を踏まえた全体最適なアプローチを、最速で選択できるようになります。 

今回、最初のマルチエージェントの取り組みとして、「製品の生産中に発生したトラブルに対して、対応案を提案する (逸脱対応)」を選定され、PoCを日本マイクロソフトと実施されました。 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」をテーマに講演するアステラス製薬株式会社 室 篤志氏


要件として、逸脱に対する適切な対応の提示、網羅性の担保、回答信頼性等を掲げられた中で、複数の専門的な役割を担うエージェント群(検索エージェント、信頼性確認エージェント、構造化エージェント 等)を有機的に連携させるマルチエージェントが採用されました。PoCの結果、一定の前提条件のもとで試算した場合、1研究所あたり月当たり最大で約67%、約98時間程度の工数削減が期待されることが示唆されました。 

アステラス製薬によるマルチAIエージェントを活用した逸脱対応PoC事例の説明シーン


アステラス製薬では、医薬品ものづくりの設計図であるQTPP(Quality Target Product Profile:投与ルート、含量、錠剤サイズ、注射剤の液量等)の設定支援へのマルチエージェントの応用についても、今後検討を進めていく予定とのことです。QTPPの設定には、実現可能性、競合優位性、患者さんのQOL等、複数の観点からの検討が求められることから、マルチエージェントの真価が発揮される領域として、製薬業界全体においても期待が高まっています。 


「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」 
株式会社大塚製薬工場 
ICTソリューション部 
Internal-DX推進リーダー 
石﨑 拓海氏 

営業企画部 
営業DX推進リーダー / epico Product Lead 
清水 陽介氏 

石﨑氏と清水氏からは、大塚製薬工場における「安全な生成AI基盤の構築」と「業務AIアプリの内製・量産」による現場課題の高速解決について、具体的な事例を交えて紹介されました。冒頭では、経営戦略としてのDX推進方針や、IT部門強化・内製文化の醸成といった背景が示され、生成AI活用を全社展開するための組織体制と文化的土台が説明されました。 

「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」をテーマに講演する株式会社大塚製薬工場 石﨑 拓海氏と 清水 陽介氏


基盤面では、Azure OpenAI Service をグループ共通テナント上に導入し、Microsoft Teams を入口とした安全な生成AI利用環境を整備した点が特徴です。認証・権限管理・ログ管理を標準化しつつ、2023年には社内版AIチャットボットである「OPFコンシェルジュ」を全社展開することで、社員が安心して生成AIを試せる環境を早期に確立しました。これにより、現場の活用アイデアが一気に広がり、AI活用の裾野拡大につながりました。 

Microsoft Teamsを入口とした生成AI活用環境の全社展開イメージ


具体的な事例として、営業支援AIエージェント「epico」と、品質保証領域の文書点検プラットフォームが紹介されました。epicoでは、社内外に散在する営業・学術・市場データを統合し、マルチエージェント技術により調査・分析・回答を自律的に実行することで、MRの情報収集時間を大幅に削減し、提案力向上を実現しています。一方、文書点検プラットフォームでは、複数のエージェントが役割分担して規程検索、差分抽出、根拠提示、指摘生成を行い、点検業務の効率化と品質向上を可能にしました。 

これらを支えた成功要因として、「安全な入口の先行整備」「共通基盤とテンプレートによる量産」「現場主導×IT伴走の協創体制」「人材育成と内製文化」が挙げられました。今後は、対話型からタスク実行型エージェントへの進化や、基盤のグループ展開を通じて、全社・グループ横断でのDX加速が期待されています。 


パートナー企業様によるソリューション紹介 

「製薬企業で”使われる”生成AIにするための継続的な進化」 
アバナード株式会社 
クライアントソリューション本部,  
A&I Software Engineering, Manager 
井関 純一氏 

アバナード株式会社は、製薬企業において生成AIを「導入して終わらせない」ための実践的な取り組みを紹介しました。生成AIは大きな期待を集める一方で、現場に定着せず価値創出につながらないという課題も少なくありません。本セッションでは、技術提供だけにとどまらず、お客様と伴走しながらユーザー価値を共に創り上げていくアプローチに焦点を当てました。 

「製薬企業で"使われる"生成AIにするための継続的な進化」をテーマに講演するアバナード株式会社 井関 純一氏 


大手製薬企業様における社内向け生成AIプラットフォームの事例を通じて、短期間での本番導入を実現した背景や、利用者の声を起点に継続的な改善と進化を重ねるアジャイルな開発プロセスを解説しました。さらに、機能豊富なAzureのAIサービス群を基盤にして作り上げた、特徴的な機能と取り組みを複数取り上げ、アルゴリズム最適化によるAIの回答精度向上、部門/組織ごとに最適化されたデータ&AI活用基盤、日常業務に自然に溶け込む文書作成支援の独自機能などの概要やユースケースを紹介しました。 

アバナードは技術力とコンサルティング力を掛け合わせ、今後もお客様の成果につながるAI活用をご支援していきます。 


ユーザー起点で進めるMicrosoft 365 Copilot & Agentのグローバル全社活用
――トップ・ミドル・ボトムの連動による組織変革
Engage Squared株式会社 
Modern Work & Change Management Lead 
宇留野 彩子氏 

参天製薬株式会社 
Digital & IT Global Digital Innovation, Digital Solutions, Specialist 
大東 達也氏 

Engage Squaredの宇留野氏は、「Microsoft 365 Copilot & Agent全社活用」をテーマに、製薬業界でMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業、参天製薬(Santen)を支援する立場から、同社の大東氏とともに、実例に基づく推進モデルを紹介しました。 

キーワードは「ユーザー起点」です。宇留野氏はまず、Microsoft 365 Copilot導入における「ライセンスジャーニー」を取り上げ、単なる技術検証ではなく、ビジネス検証としてビジネスユーザーとともに価値や効果を見出し、組織変革の梃子として活用していくことの重要性を示しました。大東氏は、Santenが全社導入に至った背景として、奈良開発研究センターでのビジネス検証を通じて、研究員のオフィスワーク効率化という具体的な成果が確認できたことが、大きな後押しになったと説明しました。 

続いて宇留野氏は、全社的な活用を進めるうえで重要となる「トップ」「ミドル」「ボトム」の三層構想を提示しました。経営層の巻き込み、管理職層の協力、ユーザーによる自律的な活用を組み合わせることで、組織全体へと活用が広がっていくという考え方です。Santenではこの三層構造が有効に機能しており、大東氏はそれらをつなぐ「アンバサダー制度」の実例を紹介しました。 

また、Agent活用の推進に向けては、研究、営業、マーケティングなど複数部門のビジネスユーザーが参加する「シナリオ発掘わくわくワークショップ」を開催。個別業務の課題にとどまらず、部門横断で共通する課題も明らかになり、Agent開発が大きく前進していることも示されました。

参天製薬とEngage SquaredによるMicrosoft 365 Copilot全社活用モデルのセッション風景 
Agent活用推進のワークショップ実施例を説明するスライド


最後に宇留野氏は、「CopilotもAgentも、実際に使うのはユーザーです。だからこそ、ビジネスユーザーの課題を丁寧に聞き出すことが重要です」と締めくくりました。こうしたユーザー起点の取り組みにより、自発的な推進者、いわゆる「野生のアンバサダー」が生まれ、SantenではMicrosoft 365 Copilot & Agent活用のムーブメントがグローバルに広がっています。 

懇親会では、Santenの取り組みに対して多くの参加者が高い関心を寄せ、大東氏のもとには質問を求める列ができました。製薬業界におけるMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業として、その存在感の大きさが印象づけられる場面となりました。 


「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」 

株式会社ベーシック 
システム部門 第一統括 グループマネージャー 
野﨑 俊弘氏 

システム部門 第一統括 ミッションマネージャー 
阿部 隼人氏 

「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」をテーマに講演する株式会社ベーシック 


株式会社ベーシックは、製剤研究におけるナレッジ活用をテーマに、沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介しました。 

製剤研究の現場では「蓄積データの検索」や「レポート作成」など多様な課題が存在します。同社は膨大なデータを最大限に活用し、「ベテラン研究者に相談できるAI」を目指して、業務特化AgentをAzure基盤で一元管理するプラットフォームを開発しました。 

沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介するスライドイメージ 


本プロジェクトでは、「専門知識の具現化」「複雑な文書解析」「現場への定着」という3つの課題に直面。これに対し、構造解析やチャンキング等の専用Agentを連携させ高精度なナレッジベースを実現し、網羅的検索の反復によりベテラン同等の回答品質を達成しました。さらに、高速な改善サイクルで現場の声を反映させ、人間とAIの協業による知の共有を促進した成果を報告しました。 

最後に、本事例の基盤であり、顧客業務に特化したエージェントを早期構築できる「Agent ARK」と、その無償トライアルを案内し、セッションを締めくくりました。 


「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」 
GenerativeX 
取締役CAIO 
上田 雄登氏 

GenerativeXの上田雄登氏は「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 〜実務インパクトを生む最新ユースケース〜」と題して講演を行いました。 

2026年はエージェントのオーケストレーションやセキュアな運用に関心が移ってきていると指摘。AIエージェント開発トレンドとしては「ロングランニング」「コーディングエージェント」「サンドボックス」「スキル基盤」の4つを挙げ、従来カスタムでステップバイステップに構築していた特化型アプリケーションが、コーディングエージェントの進化により汎用的なAgent型の実装でほとんど代替可能になりつつある現状を紹介。 

「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」をテーマに講演する GenerativeX 上田 雄登氏 
製薬業界におけるAIエージェント開発トレンドを示した2026年最新ユースケース図 

製薬業界における具体的なユースケースとして、ファイル検索、ドキュメントの読み書き、ウェブ検索などのツールを AI に持たせることで、メディカルレビューなどの専門業務の対応が可能となりました。 

さらに、AI活用における人間のボトルネック化という課題に対し、人間が起点となるのではなく、会議の文字起こしから自動的に ToDo が生成され、AI がタスクを実行する自社での実装事例を提示。人間はあくまで必要な場面でのみ介在するという新しい業務設計の考え方を示し、講演を締めくくりました。 


クロージング 

全体のクロージングでは、日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部長 清水教弘より、登壇企業各社への謝意を伝えつつ「当初は既存プロセスの効率化が中心であったAI活用も、プロセス自体を見直すことでいかにパラダイムシフトを生み出していくかに移りつつある。まだまだAIにできること・できないことはあるが、こうした変化をどう実現していくかをマイクロソフトはしっかりサポートしてまいりたい。」とコメントがありました。また、「製薬業界全体でAIエージェントによる価値創出を進めていくためには、製薬企業様とパートナー企業様が一体となって進めていく必要がある。」と、ステークホルダー横断的な取り組みの重要性にも言及しました。 

製薬業界のAIエージェント活用に関する最先端情報を学び、パートナー企業によるAIソリューションの進化を実感できた参加者にとって、有意義な時間となっておりましたら幸いです。 

日本マイクロソフトは今後も製薬業界でのAIエージェント利用の可能性を皆さまと共に追求していきます。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。 

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パブリックセクター向け会報「かけはし」2026年3月号発行  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/03/30/kakehashi-2026-03-blog/ Mon, 30 Mar 2026 01:16:19 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/03/30/kakehashi-2026-03-blog/ 日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の 2026 年 3 月号が発行されました。 
3 月号は「DX と AI 実装が加速する公共領域のいま」等をテーマとし、6 つのトピックと 2 つのニュースを掲載しております

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日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部が、行政機関・医療機関・教育機関等の皆様向けに刊行している会報「かけはし」の 2026 年 3 月号が発行されました。 
3 月号は「DX と AI 実装が加速する公共領域のいま」等をテーマとし、6 つのトピックと 2 つのニュースを掲載しております。 

公共サービス等における AI 活用・DX 推進に関する情報となりますので、ぜひご一読ください。 

かけはし2026年3月号
トピック 
1 安心・安全を軸に、公共分野での AI 変革 
2 ソブリンクラウドとその定義 
3 クラウド活用が広がる自治体 DX 検討時に欠かせない 3 つの観点 
4 医療現場の働き方改革の実現に向け、大阪病院にて生成 AI を安全に利活用するプロジェクトを開始 
5 JAF が進めた「JAF AI Chat」バージョンアップ ~現場起点で進む、パブリックセクターにおける生成 AI 活用~ 
6 教育の現場から広がる「教育版マインクラフト」の可能性 
ニュース 
1 Copilot 自治体コミュニティ会 
2 医療機関向け生成AI情報交換会 

是非「かけはし 2026 年 3 月号」をご覧ください。 
かけはし 2026 年 3 月号

今後も「かけはし」では日本マイクロソフトの取り組みを発信していきます。 

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クラウド活用が広がる自治体――DX検討時に欠かせない3つの観点 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/government/2026/03/09/cloud-government-dx-2026-blog/ Mon, 09 Mar 2026 09:06:33 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/03/09/cloud-government-dx-2026-blog/ クラウド活用が広がる自治体
――DX検討時に欠かせない3つの観点
自治体において、国民生活を支える自治体業務を担う人材枯渇が課題として認識されている中、働き方改革の推進に向けてクラウドサービス等を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が着実に広がっています。一方で、Office アプリケーションの更新やグループウェアの見直し、あるいは生成 AI の導入を検討する際、多くの自治体にとって、最初に課題となるのは費用です。 

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<目次>

  1. はじめに:自治体DXで立ち止まって考えたいこと
  2. 観点① 費用:同一条件下でライセンスコストを正しく比較検討する
  3. 観点② 業務効率化:既存業務を考慮した利便性を考える
  4. 観点③ セキュリティ:AI活用を前提とした「データ保護」と「アクセス管理」を考える
  5. まとめ:自治体ごとの最適解に向けて

はじめに:自治体DXで立ち止まって考えたいこと

自治体において、国民生活を支える自治体業務を担う人材枯渇が課題として認識されている中、働き方改革の推進に向けてクラウドサービス等を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が着実に広がっています。一方で、Office アプリケーションの更新やグループウェアの見直し、あるいは生成 AI の導入を検討する際、多くの自治体にとって、最初に課題となるのは費用です。 

実際、既存システムの更新にあたり、前回の更新時よりもコストが増加するケースは少なくありません。共同調達や複数年契約など、できるだけ費用を抑える工夫が行われている一方で、外資系サービスでは為替の影響を受けることも多く、検討や見直しにかかる負担は年々増しています。 

自治体の制度上、担当システムごとに予算化・契約を行うことは避けられません。しかし、個別最適を積み重ねるだけでは、全体としてのバランスや整合性、さらにはセキュリティ面での課題が顕在化しやすくなります。 また、個別システムが乱立すると、職員が複数のツールを使い分ける必要が生じ、かえって業務効率を下げてしまうことや、運用管理者の負担増加につながる可能性もあります。 こうした背景から、Office アプリケーションやグループウェア、さらには AI 活用を含めて、「全体の最適化」という視点で見直すことが求められています。 本稿では、こうした検討を進める際に、一度立ち止まって整理しておきたいポイントを、「費用」、「業務効率化」、「セキュリティ」の3つの観点から整理します。

観点① 費用:同一条件下でライセンスコストを正しく比較検討する

製品やサービスの比較検討において、「同一条件下でライセンスコストの比較ができているか」は重要なポイントです。Microsoft 365 E3には、Office、OS、メール、ポータル・ファイル共有、チャット、オンライン会議に加え、ID・端末管理・セキュリティの要素が幅広く含まれます。他社サービスと完全に同条件で比較することが難しい場合はありますが、できるだけ条件を揃え、どこに差分があるのかを理解した上で検討を進める必要があります。 事前検討が不十分なまま移行すると、移行後に従来水準の業務運営やセキュリティを確保するための追加ライセンス購入が発生し、結果としてコストが増加する可能性があります。

図:Microsoft 365 に含まれる主なサービス

観点② 業務効率化:既存業務を考慮した利便性を考える 

業務効率化を考える際には、運用管理の観点で、利用者である職員の操作性・利便性 を考慮することが重要です。他社 Office 製品への乗り換えを検討する際、既存業務に Microsoft Office がクリティカルな業務は本当に存在しないか、他社Office で既存業務が支障なく行えるかについて、慎重な確認が欠かせません。自治体業務の中には、今なお Microsoft Office での作成が前提となる指定様式の文書やマクロ付きのファイルが存在します。こうした文書を他社 Office 製品で編集すると、指定様式に型崩れが起き、印刷や提出に支障が出るケースも少なくありません。結果として、業務継続のために Microsoft Office をやめられず、他社Office 製品と併用する中で、使い分けを習得する必要があることから、業務効率に支障が生じているのが現場の実情です。このような状況への対策の一つとして、既存業務を考慮したうえで、Office、OS、メールやグループウェアなどを一体で扱える環境を検討することが重要と言えます。

観点③ セキュリティ:AI活用を前提とした「データ保護」と「アクセス管理」を考える

自治体が取り扱う情報には、個人情報をはじめとする機微な情報が多く含まれます。近年は、生成AIの活用も進んでおり、データ保護やアクセス管理等を含めたセキュリティの重要性が増しています。Microsoft 365 においても Copilot ChatやMicrosoft 365 CopilotなどのAI 機能が実装され、アイデアの壁打ちや文書作成から、業務データをデータベースとした活用まで生成AI活用の幅と深さに変化が起きています。Microsoft 365 E3 は、データを正しく管理し続ける仕組みや権限管理、 将来的な AI 活用への拡張性などのセキュリティ機能(AIを利用するためのID管理など)だけでなく、端末上にデータがある前提でのセキュリティ設計、日本国内のデータセンタの活用、ISMAPの取得など自治体現場での活用において押さえるべき要件を有し、自治体のお客様が安心して業務運営を遂行するためのご支援が可能です。

まとめ:自治体ごとの最適解に向けて

グループウェア、セキュリティ、AI といったDXを支援するツールには多様な選択肢があります。重要なのは、それぞれの自治体の環境や業務、調達条件、体制に応じて最適な構成を選ぶことです。 「費用」「業務効率化」「セキュリティ」という三つの観点から全体を整理することで、意思決定の納得感が高まり、導入後の効果も最大化しやすくなります。 日本マイクロソフトは、自治体の皆さまが安心して DX を進められるよう、こうした視点をもとに現実的な選択肢を一緒に整理し、支援していきます。

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