医療・ヘルスケア Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/industry/health/ Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 en-US hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9.4 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/wp-content/uploads/sites/6/2026/06/microsoft_logo-150x150.webp 医療・ヘルスケア Archives - マイクロソフト業界別の記事 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/industry/health/ 32 32 生成AI事業化支援プログラム 製薬業界向けイベント ~製薬業界の未来を、AI とともに~ http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ Wed, 15 Apr 2026 00:42:17 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/04/15/columbus-day-for-pharmaceutical-industry-2026/ 2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。

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2026年2月27日、日本マイクロソフト品川本社でヘルスケア・製薬業界向けAIエージェント活用推進セミナーが開催されました。ボストンコンサルティンググループ合同会社様からのご紹介や製薬企業様による事例発表、パートナー企業によるソリューション紹介が行われ、多くの参加者が来場し、盛況のうちに開催されました。本セミナーは業界内でのAIエージェントへの関心の高さを示しました。 


オープニング 

冒頭のオープニングでは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長木村靖より、政府官公庁、独法、自治体、教育、ヘルスケアから成るパブリックセクター事業の全体像について紹介しました。「Agentic Worldを如何に製薬業界で推進していくか、お客様、パートナー企業様一体となって考えていきたい」と製薬業界に対する意気込みを言及しました。 


「ヘルスケア×生成AIの展望」 
ボストンコンサルティンググループ合同会社 
Managing Director & Partner 
鹿野 洋氏 

はじめに、ボストンコンサルティンググループ合同会社Managing Director & Partnerで、製薬業界・医療機器メーカー等のヘルスケア業界のクライアントに対して幅広いテーマで支援されており、近年はヘルスケア×生成AIというテーマでも豊富なご経験を有する鹿野 洋氏に招待講演を実施していただきました。 

まずは、生成AIの台頭から昨今の技術革新までを振り返り、生成AIがあらゆる産業界にもたらしうる価値の類型と、それを実現するための10-20-70の原則(詳細はBCG社発信情報をご参照ください)を紹介されました。 

「ヘルスケア×生成AIの展望」をテーマに講演するBCG 鹿野洋氏のプレゼンテーション画面


その後製薬業界にフォーカスし、バリューチェーンごとのAI活用シナリオを俯瞰しつつ、AIによる価値創出のポテンシャルが特に大きいドメインやそのインパクトドライバーに係る分析・考察をご紹介くださいました。また、より実務に踏み込んだテーマとして、BCG社が開発したソリューションのデモも示しつつ、コマーシャル・開発・製造の各領域における実際の生成AI活用事例とそれによってもたらされた成果(例:対象業務のリードタイム削減量)等もお話しいただき、参加者からも高い興味・関心を得ていました。締めくくりには、製薬企業の経営者に向けた「AI活用に関する5つの要諦」として、製薬企業における今後の生成AI活用に関する方向性への提言をお示しいただきました。 
 

「マイクロソフトのグローバルでのライフサイエンス領域における取組み」 
Microsoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life Sciences 
Antonio Gatti 

続いてMicrosoft, EMEA & ASIA Director for Healthcare and Life SciencesのAntonio Gattiが登壇。 
まずは、製薬業界グローバル全体にて挙げられる4つの大きな課題(薬価、医薬品開発に必要なコスト、データのサイロ化、)を定量的なデータを用いながら紹介しました。 

Microsoft EMEA & ASIA Director Antonio Gattiによるライフサイエンス領域のグローバル戦略紹介

そして、昨今Microsoftが掲げる”Frontier Firm”へのAIエージェント活用を軸とした道筋をご紹介しました。人間が行う作業をサポートするAIから、”Digital Colleagues”となり、人間が大まかな指示を与えるとビジネスプロセス・ワークフロー全体の推進役を担うAIエージェントへ進化させていくことで、AIの真価をビジネス実装できると考えています。 

その後、R&D領域に特化した新たなエージェントプラットフォーム、Microsoft Discoveryのご紹介をいたしました。次世代のサル痘ワクチンに向けたアプローチを開発を仮題材として、仮説立案や、シミュレーション等をどのように行うか、コンセプト動画を交えてご説明しました。Microsoft Discovery内部でシミュレーションやビジネス開発、科学論文の執筆等に特化したエージェント群が有機的に連動し、創薬に関する複雑な問いに対するアクションを可能にすることが示されました。 

R&D領域向けエージェントプラットフォーム「Microsoft Discovery」のコンセプト動画イメージ


また、製薬企業様の様々なバリューチェーン領域におけるグローバル事例や、Microsoft Azure上でご利用可能な最先端のライフサイエンス向けAIモデルのご紹介を行い、最後に信頼性のあるAI(安全性、セキュリティ、プライバシー)に関するご説明を行い、セッションを締めくくりました。 


AIエージェント導入企業様による事例紹介 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」 
アステラス製薬株式会社 
Product Development and Manufacturing, 
CMfgO Office, Capability Development & Compliance 
室 篤志氏 

このセッションでは、AIエージェント を導入して業務改革を進めている先進的な製薬企業による事例が紹介されました。 

室氏からは、まずアステラス製薬のものづくりにおけるナレッジマネジメントの考え方と、マルチエージェントへの期待について説明がありました。 

様々な専門部門の協業で成り立つ医薬品ものづくりにおいて、各部門の知識を集約したエージェントを構築することで、各業務プロセスの高度化・効率化が期待されます。さらに、これらのエージェントを組み合わせたマルチエージェントを構築することで、課題に対して各部門の多様な視点を踏まえた全体最適なアプローチを、最速で選択できるようになります。 

今回、最初のマルチエージェントの取り組みとして、「製品の生産中に発生したトラブルに対して、対応案を提案する (逸脱対応)」を選定され、PoCを日本マイクロソフトと実施されました。 

「逸脱処理プロセスの効率化に向けたマルチエージェントの有効性検証」をテーマに講演するアステラス製薬株式会社 室 篤志氏


要件として、逸脱に対する適切な対応の提示、網羅性の担保、回答信頼性等を掲げられた中で、複数の専門的な役割を担うエージェント群(検索エージェント、信頼性確認エージェント、構造化エージェント 等)を有機的に連携させるマルチエージェントが採用されました。PoCの結果、一定の前提条件のもとで試算した場合、1研究所あたり月当たり最大で約67%、約98時間程度の工数削減が期待されることが示唆されました。 

アステラス製薬によるマルチAIエージェントを活用した逸脱対応PoC事例の説明シーン


アステラス製薬では、医薬品ものづくりの設計図であるQTPP(Quality Target Product Profile:投与ルート、含量、錠剤サイズ、注射剤の液量等)の設定支援へのマルチエージェントの応用についても、今後検討を進めていく予定とのことです。QTPPの設定には、実現可能性、競合優位性、患者さんのQOL等、複数の観点からの検討が求められることから、マルチエージェントの真価が発揮される領域として、製薬業界全体においても期待が高まっています。 


「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」 
株式会社大塚製薬工場 
ICTソリューション部 
Internal-DX推進リーダー 
石﨑 拓海氏 

営業企画部 
営業DX推進リーダー / epico Product Lead 
清水 陽介氏 

石﨑氏と清水氏からは、大塚製薬工場における「安全な生成AI基盤の構築」と「業務AIアプリの内製・量産」による現場課題の高速解決について、具体的な事例を交えて紹介されました。冒頭では、経営戦略としてのDX推進方針や、IT部門強化・内製文化の醸成といった背景が示され、生成AI活用を全社展開するための組織体制と文化的土台が説明されました。 

「安全な生成AI基盤×業務AIアプリ量産による現場課題の高速解決」をテーマに講演する株式会社大塚製薬工場 石﨑 拓海氏と 清水 陽介氏


基盤面では、Azure OpenAI Service をグループ共通テナント上に導入し、Microsoft Teams を入口とした安全な生成AI利用環境を整備した点が特徴です。認証・権限管理・ログ管理を標準化しつつ、2023年には社内版AIチャットボットである「OPFコンシェルジュ」を全社展開することで、社員が安心して生成AIを試せる環境を早期に確立しました。これにより、現場の活用アイデアが一気に広がり、AI活用の裾野拡大につながりました。 

Microsoft Teamsを入口とした生成AI活用環境の全社展開イメージ


具体的な事例として、営業支援AIエージェント「epico」と、品質保証領域の文書点検プラットフォームが紹介されました。epicoでは、社内外に散在する営業・学術・市場データを統合し、マルチエージェント技術により調査・分析・回答を自律的に実行することで、MRの情報収集時間を大幅に削減し、提案力向上を実現しています。一方、文書点検プラットフォームでは、複数のエージェントが役割分担して規程検索、差分抽出、根拠提示、指摘生成を行い、点検業務の効率化と品質向上を可能にしました。 

これらを支えた成功要因として、「安全な入口の先行整備」「共通基盤とテンプレートによる量産」「現場主導×IT伴走の協創体制」「人材育成と内製文化」が挙げられました。今後は、対話型からタスク実行型エージェントへの進化や、基盤のグループ展開を通じて、全社・グループ横断でのDX加速が期待されています。 


パートナー企業様によるソリューション紹介 

「製薬企業で”使われる”生成AIにするための継続的な進化」 
アバナード株式会社 
クライアントソリューション本部,  
A&I Software Engineering, Manager 
井関 純一氏 

アバナード株式会社は、製薬企業において生成AIを「導入して終わらせない」ための実践的な取り組みを紹介しました。生成AIは大きな期待を集める一方で、現場に定着せず価値創出につながらないという課題も少なくありません。本セッションでは、技術提供だけにとどまらず、お客様と伴走しながらユーザー価値を共に創り上げていくアプローチに焦点を当てました。 

「製薬企業で"使われる"生成AIにするための継続的な進化」をテーマに講演するアバナード株式会社 井関 純一氏 


大手製薬企業様における社内向け生成AIプラットフォームの事例を通じて、短期間での本番導入を実現した背景や、利用者の声を起点に継続的な改善と進化を重ねるアジャイルな開発プロセスを解説しました。さらに、機能豊富なAzureのAIサービス群を基盤にして作り上げた、特徴的な機能と取り組みを複数取り上げ、アルゴリズム最適化によるAIの回答精度向上、部門/組織ごとに最適化されたデータ&AI活用基盤、日常業務に自然に溶け込む文書作成支援の独自機能などの概要やユースケースを紹介しました。 

アバナードは技術力とコンサルティング力を掛け合わせ、今後もお客様の成果につながるAI活用をご支援していきます。 


ユーザー起点で進めるMicrosoft 365 Copilot & Agentのグローバル全社活用
――トップ・ミドル・ボトムの連動による組織変革
Engage Squared株式会社 
Modern Work & Change Management Lead 
宇留野 彩子氏 

参天製薬株式会社 
Digital & IT Global Digital Innovation, Digital Solutions, Specialist 
大東 達也氏 

Engage Squaredの宇留野氏は、「Microsoft 365 Copilot & Agent全社活用」をテーマに、製薬業界でMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業、参天製薬(Santen)を支援する立場から、同社の大東氏とともに、実例に基づく推進モデルを紹介しました。 

キーワードは「ユーザー起点」です。宇留野氏はまず、Microsoft 365 Copilot導入における「ライセンスジャーニー」を取り上げ、単なる技術検証ではなく、ビジネス検証としてビジネスユーザーとともに価値や効果を見出し、組織変革の梃子として活用していくことの重要性を示しました。大東氏は、Santenが全社導入に至った背景として、奈良開発研究センターでのビジネス検証を通じて、研究員のオフィスワーク効率化という具体的な成果が確認できたことが、大きな後押しになったと説明しました。 

続いて宇留野氏は、全社的な活用を進めるうえで重要となる「トップ」「ミドル」「ボトム」の三層構想を提示しました。経営層の巻き込み、管理職層の協力、ユーザーによる自律的な活用を組み合わせることで、組織全体へと活用が広がっていくという考え方です。Santenではこの三層構造が有効に機能しており、大東氏はそれらをつなぐ「アンバサダー制度」の実例を紹介しました。 

また、Agent活用の推進に向けては、研究、営業、マーケティングなど複数部門のビジネスユーザーが参加する「シナリオ発掘わくわくワークショップ」を開催。個別業務の課題にとどまらず、部門横断で共通する課題も明らかになり、Agent開発が大きく前進していることも示されました。

参天製薬とEngage SquaredによるMicrosoft 365 Copilot全社活用モデルのセッション風景 
Agent活用推進のワークショップ実施例を説明するスライド


最後に宇留野氏は、「CopilotもAgentも、実際に使うのはユーザーです。だからこそ、ビジネスユーザーの課題を丁寧に聞き出すことが重要です」と締めくくりました。こうしたユーザー起点の取り組みにより、自発的な推進者、いわゆる「野生のアンバサダー」が生まれ、SantenではMicrosoft 365 Copilot & Agent活用のムーブメントがグローバルに広がっています。 

懇親会では、Santenの取り組みに対して多くの参加者が高い関心を寄せ、大東氏のもとには質問を求める列ができました。製薬業界におけるMicrosoft 365 Copilotのグローバル全社活用を切り拓くフロンティア企業として、その存在感の大きさが印象づけられる場面となりました。 


「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」 

株式会社ベーシック 
システム部門 第一統括 グループマネージャー 
野﨑 俊弘氏 

システム部門 第一統括 ミッションマネージャー 
阿部 隼人氏 

「AI Agent × 製剤研究 ~Agentic RAG で実現するナレッジ活用~」をテーマに講演する株式会社ベーシック 


株式会社ベーシックは、製剤研究におけるナレッジ活用をテーマに、沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介しました。 

製剤研究の現場では「蓄積データの検索」や「レポート作成」など多様な課題が存在します。同社は膨大なデータを最大限に活用し、「ベテラン研究者に相談できるAI」を目指して、業務特化AgentをAzure基盤で一元管理するプラットフォームを開発しました。 

沢井製薬様におけるマルチエージェント基盤「Sawai Agents」の構築事例を紹介するスライドイメージ 


本プロジェクトでは、「専門知識の具現化」「複雑な文書解析」「現場への定着」という3つの課題に直面。これに対し、構造解析やチャンキング等の専用Agentを連携させ高精度なナレッジベースを実現し、網羅的検索の反復によりベテラン同等の回答品質を達成しました。さらに、高速な改善サイクルで現場の声を反映させ、人間とAIの協業による知の共有を促進した成果を報告しました。 

最後に、本事例の基盤であり、顧客業務に特化したエージェントを早期構築できる「Agent ARK」と、その無償トライアルを案内し、セッションを締めくくりました。 


「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」 
GenerativeX 
取締役CAIO 
上田 雄登氏 

GenerativeXの上田雄登氏は「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 〜実務インパクトを生む最新ユースケース〜」と題して講演を行いました。 

2026年はエージェントのオーケストレーションやセキュアな運用に関心が移ってきていると指摘。AIエージェント開発トレンドとしては「ロングランニング」「コーディングエージェント」「サンドボックス」「スキル基盤」の4つを挙げ、従来カスタムでステップバイステップに構築していた特化型アプリケーションが、コーディングエージェントの進化により汎用的なAgent型の実装でほとんど代替可能になりつつある現状を紹介。 

「製薬業界におけるAIエージェント活用の新潮流 ~実務インパクトを生む最新ユースケース~」をテーマに講演する GenerativeX 上田 雄登氏 
製薬業界におけるAIエージェント開発トレンドを示した2026年最新ユースケース図 

製薬業界における具体的なユースケースとして、ファイル検索、ドキュメントの読み書き、ウェブ検索などのツールを AI に持たせることで、メディカルレビューなどの専門業務の対応が可能となりました。 

さらに、AI活用における人間のボトルネック化という課題に対し、人間が起点となるのではなく、会議の文字起こしから自動的に ToDo が生成され、AI がタスクを実行する自社での実装事例を提示。人間はあくまで必要な場面でのみ介在するという新しい業務設計の考え方を示し、講演を締めくくりました。 


クロージング 

全体のクロージングでは、日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部長 清水教弘より、登壇企業各社への謝意を伝えつつ「当初は既存プロセスの効率化が中心であったAI活用も、プロセス自体を見直すことでいかにパラダイムシフトを生み出していくかに移りつつある。まだまだAIにできること・できないことはあるが、こうした変化をどう実現していくかをマイクロソフトはしっかりサポートしてまいりたい。」とコメントがありました。また、「製薬業界全体でAIエージェントによる価値創出を進めていくためには、製薬企業様とパートナー企業様が一体となって進めていく必要がある。」と、ステークホルダー横断的な取り組みの重要性にも言及しました。 

製薬業界のAIエージェント活用に関する最先端情報を学び、パートナー企業によるAIソリューションの進化を実感できた参加者にとって、有意義な時間となっておりましたら幸いです。 

日本マイクロソフトは今後も製薬業界でのAIエージェント利用の可能性を皆さまと共に追求していきます。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。 

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医療現場の働き方改革の実現に向け、大阪病院にて生成AIを安全に利活用する体制構築に向けたプロジェクトを開始 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/02/26/jcho-osaka-fujitsu-microsoft-2026-blog/ Thu, 26 Feb 2026 07:50:15 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/02/26/jcho-osaka-fujitsu-microsoft-2026-blog/ 医療機関における働き方改革と持続可能な病院経営の実現に向け、生成AIの活用に対する期待が高まっています。一方で、医療現場において生成AIを安全かつ継続的に活用するためには、セキュリティやプライバシーへの配慮、運用ルールの整備、現場への定着など、多くの課題があります。

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医療機関における働き方改革と持続可能な病院経営の実現に向け、生成AIの活用に対する期待が高まっています。一方で、医療現場において生成AIを安全かつ継続的に活用するためには、セキュリティやプライバシーへの配慮、運用ルールの整備、現場への定着など、多くの課題があります。

こうした背景のもと、独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院(以下、大阪病院)、富士通Japan株式会社(以下、富士通Japan)、フォーティエンスコンサルティング株式会社(以下、フォーティエンスコンサルティング)は、日本マイクロソフトの技術を活用し、大阪病院における働き方改革と持続可能な病院経営の実現を目指して、医師や看護師の業務全般にわたり生成AIを安全に利活用する体制構築に向けたプロジェクトを2026年2月13日より開始しました。

本プロジェクトでは、大阪病院の退院サマリ作成や看護申し送り業務に、富士通Japanが開発・提供する生成AIを活用したサービスを導入し、2026年6月の運用開始に向けて、院内ガイドラインの整備や情報基盤、運用ガバナンスの構築を進めています。これにより、院内における生成AI利活用の普及と定着を図ります。
3者は日本マイクロソフトと共に、本プロジェクトが全国の公的病院や一般病院におけるAI導入のモデルケースとなることを目指すとともに、その知見を他の医療機関へ共有し、医療機関におけるAI導入促進とDXの加速に貢献します。


ここから、取り組みのポイントをご紹介します。


1.退院サマリ作成と看護申し送りの効率化に向けた生成AI活用や電子カルテの診療データ活用

診療領域への生成AI適用の第一弾として、退院サマリ作成および看護申し送り業務への生成AI活用に取り組みます。
大阪病院では年間約1万6,000件の退院サマリが作成されています。本プロジェクトでは、富士通Japanの生成AIを活用した医療文章作成支援サービスを活用し、サマリ作成の支援を行います。また看護領域では、看護申し送りに必要な要点整理に生成AIを活用します。

これらの取り組みにより、業務効率化を図るとともに、医療の質向上と働き方改革の推進を目指します。さらに大阪病院での取り組みにとどまらず、地域医療機能推進機構およびその他公的病院への展開も視野に、電子カルテ上の診療データ活用支援を進めていきます。


2.生成AI利活用における運用ガバナンスの構築

医療現場において生成AIを安全に活用するため、本プロジェクトでは安心・安全を最優先とした運用ガバナンスの整備を進めます。
大阪病院は医療情報の機密性を踏まえ、セキュリティ・プライバシー・コンプライアンスを重視した日本マイクロソフトの生成AIプラットフォーム上でのデータや生成AIの出力結果の取り扱いに関する運用ルールを整備し、法令・倫理面に配慮した生成AIの利活用における運用ガバナンスを体系化します。

また、大阪病院において、医師や看護師に加え、事務部門などの多職種のメンバーが参画し、医療現場での生成AIの利活用を促進させる「DXアンバサダー(院内推進リーダー)」を設置し、現場課題の把握からユースケースの検証、生成AIの利活用支援までを一体的に推進します。これらの知見を生成AI利活用のフレームワークとして整理して運用ガバナンスを強化し、診療領域への展開と医療DXの継続的な推進につなげていきます。


3.組織全体のデジタルリテラシー向上を目指し、教育プログラムを実施

生成AIの定着には、組織全体の理解と活用スキルの向上が不可欠です。
3者と日本マイクロソフトの生成AIの導入知見をもとに、生成AIの利活用の基本方針を定め、その方針に基づいて他の医療機関で生成AIを導入するための運用ガイドラインや、医療従事者向けの生成AIの活用ガイドラインを、フォーティエンスコンサルティングが中心となって策定します。また、同社は教育プログラムを提供・実施支援し、院内全体のデジタルリテラシー向上と生成AIの利活用の定着を図ります。

調印式に参加した、富士通Japan ヘルスケア事業本部長 桑原 裕哉(左)、大阪病院 病院長 西田 俊朗(左から2番目)と日本マイクロソフト ヘルスケア統括本部 統括本部長 清水 教弘(右から2番目)、フォーティエンスコンサルティング ソーシャルバリュークリエイション本部⾧ 重信 卓哉(右)、(於 大阪病院 2026年2月13日)
調印式に参加した、富士通Japan ヘルスケア事業本部長 桑原 裕哉(左)、大阪病院 病院長 西田 俊朗(左から2番目)と日本マイクロソフト ヘルスケア統括本部 統括本部長 清水 教弘(右から2番目)、フォーティエンスコンサルティング ソーシャルバリュークリエイション本部⾧ 重信 卓哉(右)、(於 大阪病院 2026年2月13日)


【一般社団法人日本メディカルAI学会代表理事 浜本隆二様からのコメント】

生成AIを診療文書作成に安全に実装し、ガバナンスと教育まで一体で整える素晴らしいプロジェクトであると思います。安全を担保しつつ、現場負担軽減と品質向上を両立する体制を構築することは大変重要で、全国展開に期待しております。


【日本マイクロソフトとしての期待】

日本マイクロソフトは、本プロジェクトが「医療現場で生成AIを安全に、継続的に活用する」ための実践知(運用ルール、ガバナンス、教育・定着化)を蓄積し、他の医療機関にも展開可能な形で共有されていくことを期待しています。大阪病院、富士通Japan、フォーティエンスコンサルティングの皆さまと共に、現場起点の取り組みが医療DXの加速につながるよう支援してまいります。



独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院

| JCHO大阪病院(旧大阪厚生年金病院) | 地域医療機能推進機構 | 大阪市福島区にある総合診療病院

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​​PHR座談会第5回 職場の健康管理を促進するPHRサービス​    http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2026/01/21/phrsyposium_phr-services-05/ Wed, 21 Jan 2026 02:01:31 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2026/01/21/phrsyposium_phr-services-05/ ​​少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業や自治体が持続的に働ける環境を整備するためには、従業員一人ひとりの健康管理がますます重要になっています。​ ​​

第5回となるPHR座談会では、「職場の健康管理を促進するPHRサービス」をテーマに、医療従事者・PHRサービス事業者・企業の三者がそれぞれの立場から、PHR(Personal Health Record)の活用と課題、健康経営におけるPHR活用の可能性と課題を議論しました。​

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​​少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業や自治体が持続的に働ける環境を整備するためには、従業員一人ひとりの健康管理がますます重要になっています。​
第5回となるPHR座談会では、「職場の健康管理を促進するPHRサービス」をテーマに、医療従事者・PHRサービス事業者・企業の三者がそれぞれの立場から、PHR(Personal Health Record)の活用と課題、健康経営におけるPHR活用の可能性と課題を議論しました。​ 

​​【座長】​ 
・​​​一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/​​​産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明

​​【参加者】​ 
・Basical Health 株式会社 代表取締役​​/​​     ​​医師 佐藤 文彦 先生​ 
​​・サワイグループホールディングス株式会社​​​/​​​沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​ 
​​・株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​・株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 

​【聞き手】 
・パブリックセクター事業本部 ヘルスケア統括本部 医療・製薬営業本部 アカウントエグゼクティブ 室井 豊​ 


“データ活用”による差別化がすすむ健康経営​

​大神:本日は、企業・医療・現場それぞれの専門家の視点から、PHRの活用可能性について議論していきます。少子高齢化が進む中で、人材の健康管理は企業にとっても社会にとっても重要な課題です。PHRはその中でどのような役割を果たせるのか、皆さまの知見をお聞かせください。
まず、健康経営の現状と課題について、佐藤先生は医師および産業医の立場からどのように捉えていますか。​

一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明
一般社団法人PHR普及推進協議会 副理事長/産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大神 明

佐藤:健康経営は、いまや多くの企業で定着しつつあります。特に労務・法務の制度整備は着実に進みましたが、従業員一人ひとりの健康支援という観点では、まだ十分とは言えません。今後は、社員の健康に対してどのような具体的な取り組みを行うかによって、企業間の差別化が進む段階に入っていくと考えられます。たとえば、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定制度は多くの注目を集めています。認定を受けることで、同業他社と比較した際に優秀な人材の確保や採用活動で優位に働くなど、企業価値を高める効果も見られます。こうした健康経営の指標が​​さらに従業員の健康支援に​​特化した内容についても​​企業評価として定着​​していけば、​​中小企業にも​​確実に​​広がっていくでしょう。

​​Basical Health 株式会社 代表取締役//医師 佐藤 文彦 先生​
​​Basical Health 株式会社 代表取締役//医師 佐藤 文彦 先生​ 

​大神:​​医師の働き方改革を進めるうえで、PHRの活用は有力な方策の一つと考えられます。たとえば、マイナンバーカードを介した医療連携が実現すれば、救急医療と基幹病院のあいだで患者情報を迅速に共有でき、患者の既往歴や受診歴、服薬情報を事前に把握したうえで受け入れ準備を行うことが可能になります。PHR導入が医師の負担軽減につながるかどうかは、運用面の改善とセットで初めて成立するもので、「医師が自然に使える」「医療現場の判断を速くする」といった実務的な機能性が確保されてこそ、働き方改革の実効性が生まれます。​​ 
医療側にとってもPHR導入のメリットは明確ですが、日常業務の中​​で継続的に活用し、現場に根付かせることが今後の課題だと考えています。

​​
通院間の状態を可視化するPHRアプリ『SaluDi』​ 

​​大神:続いて、PHRサービスを展開する企業の立場からお話を伺います。沢井製薬の竹田さん、お願いします。​ 

​​竹田:当社は、グループ理念である「なによりも健やかな暮らしのために」の実現を目指し、従来のジェネリック医薬品の提供にとどまらず、未病予防や健康支援といった新たな領域にも注力しています。その一環として立ち上げたのが、PHRアプリ『SaluDi(サルディ)』です。​ 

​​『SaluDi』は、一言でいえば“デジタル血圧手帳”のようなサービスです。患者が日々の血圧・体重・食事などのデータを記録し、医師など医療従事者はブラウザ上で患者の通院間の健康状態を確認できます。紙の手帳を忘れてもデータ共有が可能で、本人の同意のもとでバイタル情報を医療機関に開示できるため、医療現場との情報連携が格段にスムーズになりました。​ 

​​現在は、小規模の薬局から900名以上の​​『SaluDi』​​への患者登録をされているクリニックまで、全国約2,700の医療機関に導入されています。医療現場の声を反映しながら機能改善を重ねている点も特徴で、当社のMRが医療従事者の要望を丁寧に吸い上げ、アプリのアップデートに反映しています。こうした現場とともに育てる開発姿勢が、多くの支持につながっていると感じています。​ 

​​サワイグループホールディングス株式会社/沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​
​​サワイグループホールディングス株式会社/沢井製薬株式会社 執行役員(CDXO)・グループIT部長 竹田 幸司 様​ 

​​大神:同時に、企業などへの導入も進めているのでしょうか。​ 

​​竹田:はい。自治体による住民の健康づくり支援や、企業の健康経営の一環としての導入も進んでいます。特に中小企業では、健康経営を推進したいという意欲はあっても、具体的な施策に落とし込めず課題を抱えるケースが少なくありません。『SaluDi』を活用することで、社員の健康診断結果などのデータを継続的に管理でき、プレゼンティーズム(出勤していても十分に働けない状態)の改善や、社員のエンゲージメント向上にも寄与すると考えています。​ 

​​実際に、産業保健師の先生方の協力を得て、弊社社員約300名を対象に『SaluDi』を活用した実証実験を行いました。​​『SaluDi』​​で日々の健康状態を記録・管理することで、個人の行動変容にどのような効果があるかを検証したものです。その結果、平均血圧が135mmHg以上あった高血圧群で11mmHgの低下、体重も平均2kg減少するなど、明確な成果が得られました。健康意識の高まりは、業務効率や社内の雰囲気にも好影響をもたらしており、今後の健康管理施策を検討する上で非常に有意義なPoCとなりました。​ 

​​
現場の安全を支える数値化PHR『カオカラ』​ 

​​大神:続いて、建設現場の事例について伺います。ポーラメディカルの池島さん、DUMSCOの若林さん、お願いします。​ 

​​池島:DUMSCOさんと共同開発した暑熱対策AIカメラ『カオカラ』は、主に建設業や製造業など、暑熱環境で働く方々を対象としたサービスです。タブレットで顔を撮影するだけで、暑熱環境におけるリスクを自動判定し数値化。そのデータをもとに、安全に働ける環境づくりを支援しています。​ 

​​若林:当社は建設業のDXにも長年取り組んでいるのですが、多様な雇用形態が混在する現場の課題に注目しています。この業界では日雇い作業員も多く、管理者が作業員一人ひとりの健康情報を一元的に管理することが難しいという課題がありました。​ 

​​究極的には、熱中症は本人が危険性を認識し、行動を変えなければ防ぐことができません。そのため『カオカラ』は、作業者自身が自分の状態を随時確認し、危険を感じた際に主体的に休憩を申し出るなど、リスクを数値として把握しながら判断材料として活用できるように設計しています。​ 

​​池島:管理者はリアルタイムでリスク情報を共有できるため、数百人に及ぶ作業員の健康状態を把握し、迅速な判断と対応が可能になりました。​ 

​​つまり、『カオカラ』は管理者と作業員の双方に行動変容と意識変化を促し、現場でのコミュニケーション活性化も目指したサービスです。熱中症は本人の意識と周囲の気づきで防げる側面が大きい病気ですが、暑い環境下で働かざるを得ない人も多く、地球温暖化の影響で発生率も高まっています。だからこそ、本人の意識と周囲の配慮という両輪でアプローチすることが重要だと感じています。​ 

​​若林:企業にとってのメリットは、単なる健康管理にとどまりません。建設業界では若年層の人口減少と肉体労働離れが進み、大阪・関西万博の建設現場でも人手不足が深刻化しているというニュースは記憶に新しいと思います。そうした中で、安全で信頼性の高い労働環境を整備することは、人材の定着や離職防止にもつながると考えています。​ 

​​(左)株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​(右)株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 
​​(左)株式会社DUMSCO 取締役CTO 若林 尚文 様​ 
​​(右)株式会社ポーラメディカル 池島 俊季 様​ 

行動変容を支える医療・産業保健連携​ 

​​大神:『SaluDi』も『カオカラ』も、PHRが行動変容につながることを示す好例ですね。PHRと行動変容という観点について、佐藤先生はどのようにお考えですか。​ 

​​佐藤:数値化して“見える化”することは非常に重要だと感じます。たとえば『カオカラ』は、作業員の健康状態を定量的に可視化することで、管理者と本人の双方が納得して判断できるようになりました。数値があるからこそ、感覚や勘に頼らず、客観的にリスクを把握できる。これは行動変容を促す上でも大きな要素です。​ 

​​日本はポピュレーションアプローチ(全体の健康度を底上げする方法)は得意ですが、一方でハイリスクアプローチ(個別に高リスク者へ介入する方法)をもっと意識していく必要があります。産業保健師が検査結果をもとに専門医へ紹介するケースもありますが、たとえば血圧のように「測定時だけ一時的に上がっていた」ということも少なくありません。だからこそ、日常的にデータを蓄積し、その推移を踏まえて判断することが重要です。その点で、『SaluDi』のようなアプリを企業に導入し、継続的な記録を可能にする仕組みは非常に有効だと感じます。​ 

​​大神:なるほど。医療と産業保健の連携に向けて、どのような課題があるのでしょうか。​ 

​​佐藤:医療と産業保健の間には、いまだに「情報の分断」があります。たとえば、産業衛生学会で知られているPHRアプリでも、別の学会ではほとんど認知されていないケースがある。こうした分断を超えて、病院と企業が同じPHRを活用できれば、産業保健師と主治医の情報共有が格段にスムーズになります。​ 

​​PHRを“個人の健康記録”で終わらせず、“医療と職域をつなぐ基盤”として俯瞰的に設計していくことが重要だと感じています。​ 

池島:まさにその点は実感しています。企業向けの展示会では『カオカラ』をご存じの方が多いのですが、先日、産業衛生学会で紹介した際には、多くの産業医の先生から「こんな仕組みがあるなんて知らなかった」と驚かれました。
そのギャップこそが、佐藤先生がおっしゃる「分断」だと感じています。医療と産業保健の双方に情報を届ける努力を、事業者として一層強めていく必要があると痛感しました。

​​大神:PHRというのは個人だけで完結するものではなく、相互の理解と共有の上で成り立つツールでもあります。しかし、中には、個人の健康情報を他者に見られたくない・知られたくないという人もいます。この「入手経路・保存・活用」という3段階の意識をどう高めていくかについて、竹田さんはいかがでしょうか。​ 

​​竹田:『SaluDi』でも、その点は非常に意識して設計し、利用者自身がデータの開示範囲と対象を設定できるようにしています。たとえば、「主治医にはすべて公開するけれども、産業保健師には血圧などのバイタルデータのみ共有」と​​い​​ったように、本人の判断で開示(共有)するデータを柔軟にコントロールできます。検診結果の閲覧や共有も同様に、最終的には個人の意思と行動に委ねられています。​ 

​​佐藤:産業医の立場から見ると、すべての情報が共有されている場合、逆に「見てしまった情報をどう扱うか」という責任も発生します。もし重要な情報を見落としたら「なぜ気づかなかったのか」と問われかねない。これは産業医だけでなく、経営層や人事にも通じる課題です。最終的には、​​お互いに​​信頼関係とコミュニケーションを​​積極的に​​どう築​​いてい​​くかが鍵になりますね。​ 

​​大神:PHRは個人情報そのものです。「出したい情報」「出せない情報」「出さなければいけない情報」「誰かが使うべき情報」の整理がまだ十分ではありません。医療と産業保健の両領域がこうした線引きを共に考え、“つながるPHR”の形を模索していくことが、これからの重要なテーマだと感じます。​ 

​​若林:「どこまで情報を共有するか」は本当に難しいテーマですね。​ 

​​
生涯PHRでつなぐ、個人と地域医療​ 

​​大神:PHRは、個人が主体となって運用することを前提に設計されています。個人の同意のもとにデータを自由に持ち歩く──そんな思想に基づいた仕組みです。 
これまでの議論を踏まえ、今後PHRはどのような役割を担っていくとお考えですか。​ 

​​竹田:私たちは「生涯PHR」の実現を目指しています。 
現在のPHRは、生活習慣病対策として働き盛りの30〜60代を中心に活用されてきましたが、今後は出生から終末期までの健康データを一元的に管理できる仕組みを構築していきます。たとえば、成長に伴ってかかりつけ医が変わったり、転居などで地域が変わった場合でも、本人の同意のもとで医療機関や企業と安全に情報共有できるようにしたいと考えています。​ 

​​大神:日本は健診大国なので、生まれた時から健康データは存在するにも関わらず、これまでは紙ベースで分散管理されてきました。 
仮に医師が1,000人分の健診結果を紙で確認し、リスクを分析しようとすれば数カ月はかかります。しかし、AIや予測モデルを活用すれば、個々に最適なフィードバックを短時間で導き出すことができます。PHRが進化すればするほど、データの価値も高まりますね。​ 

​​竹田:おっしゃる通りです。今はまさに、エビデンスに基づくPHR活用が求められる時代です。『SaluDi』は、紙の健診データを読み取り、AIと専門家の知見を組み合わせて、将来の生活習慣病リスクを予測する機能を提供しています。リスクが高いと判断された場合は、自らの行動変容や産業保健師への相談を促し、早期発見・早期対応につなげる設計です。​ 

​​若林:弊社では、がん患者向けアプリの開発も行っていますが、医療者の関与がユーザーの継続意欲を高める要因になっています。ユーザーが主体的にアプリに体調を記録し、それを印刷して病院に持参するケースもあります。医師に見てもらうこと自体が励みになり、記録の継続につながっているようです。 
このように、医療者との信頼関係がサイクルを動かす原動力となり、PHR活用を定着させる鍵になると思います。PHRはパーソナルデータであると同時に、医療機関との目線合わせが今後ますます重要になると感じています。​ 

​​佐藤:まさにその通りです。データを取るだけで終わらせず、専門医へのスムーズな橋渡しにつなげていくことが求められています。とりわけ、地域医療との連携は今後の大きなテーマになるでしょう。現在、全国の病院の6〜7割が経常赤字とされており、経営環境は厳しさを増しています。健康保険組合についても、赤字の組合が半数を超えるなど、保険財政の悪化が深刻化しています。 
こうした状況の中で、PHRを活用して体調の異変を早期に察知し、地域の専門医と迅速に連携できる体制をつくることが重要です。病院にとっては患者が増えることで経営の安定につながり、企業にとっても従業員が地域の専門医に診てもらえる安心感が生まれる。 
PHRが、その両者をつなぐ“信頼の架け橋”になってほしいと考えています。​ 

​​大神:確かに、日本では「病気にならないと病院に行かない」あるいは、「健診結果が悪くても、何も症状がなければ受診しない」という文化が根強くあります。しかし、PHRを通じて働く人の健康データを地域医療へとつなげられれば、“予防から医療へ”の流れを自然につくることができますね。​ 

​​
技術とエビデンスが支えるPHRの未来​ 

​​池島:近年、ウェアラブルデバイスの種類は年々増えています。しかし、そのエビデンスレベルにはまだばらつきがあると感じています。私たちサービス提供者やメーカーの責務としては、適切なエビデンスを取得しつつ、現場でどれだけ受け入れられ、効果を発揮できるかという“実装の妥当性”を担保することが重要です。 
それができて初めて、医師の先生方にも信頼していただき、患者さんから取得したデータを安心して扱ってもらえるようになるのだと思います。​ 

​​いわゆるAIも“魔法”ではありません。 
たとえばディープラーニング(深層学習)では、結果を導き出すプロセスがブラックボックス化していることが多く、メカニズムや生理学的根拠を重視する医療分野とは、一部で相性が悪い側面もあります。技術が進歩しても、「なぜその結果が出たのか」を説明できる、透明性のあるAIが求められると感じています。​ 

​​若林:まさにそこですね。機械学習というのは、教師データに対してテストデータがどれだけ一致するかで性能を測ります。つまり、モデルが内部でどのように判断しているかはあまり重視されず、最終的に「結果が合っていればOK」という考え方です。 
そのため、企業の立場から見ると「結果的に熱中症が減れば良い」「減らなければやめよう」といった感覚になりがちです。A/Bテストのように厳密に検証するケースも少なく、「よく分からないけど使い続ける」「よく分からないけどやめる」といった曖昧な判断に陥ることもあります。 
やはり、エビデンスの確立と継続的な検証は、テクノロジーと切り離せない課題ですね。​ 

​​竹田:当社としては、『SaluDi』を通じて、まずは「バイタルデータを測る習慣をつくる」世界を目指し、次のステップとして「意識せずとも自然にバイタルデータが取得される世界」を描いています。 
たとえば、洗面台の鏡に顔を映すだけで心不全リスクを測定し、必要に応じて医師への受診を促す仕組みを実現するため、現在は複数の企業と協業を進めています。データ測定の“負担をなくす”ことが、PHRの普及を後押しする大きな要素になると考えています。​ 

​​池島:実は私も以前、スマートホーム関連のプロジェクトに関わったことがあります。最近では、住むだけで住人の健康情報を自動取得できる住宅なども登場しており、生活環境そのものが健康データのハブになりつつあります。 
こうした流れの中で、データの信頼性・安全性・活用範囲をどう整備していくかこそ、まさに“技術と倫理の両輪”でPHRの未来を支えていく時代に入っていると感じます。​ 

​​
医療と企業をつなぐPHR活用の現在地​ 

​​大神:最近は内閣府もPHRという言葉を明確に掲げ、マイナンバーカードの機能拡大なども進んでいます。国としての旗振りも見えてきましたが、今後をどのように見ていますか。​ 

​​佐藤:やはり、医学的エビデンスに基づいた設計が欠かせません。 
行動変容の目的と手段を明確に結びつけるためには、専門医や産業医と連携しながらアプリやシステムを開発することが重要です。これまで企画倒れになった多くのヘルスケアアプリは、医師と相談せずに進めてきた印象があります。​ 

​​展示会などを見ても、サービスの種類は非常に豊富で、「​​すでに​​ないものはない」と感じるほどです。だからこそ、医療側も学び続ける姿勢が求められています。私自身、医師の働き方改革に携わる中で、多職種連携を進めるためのコーチング研修を実施しています。50〜60代の医師には「コミュニケーションを学ぶ機会」が少なかった世代も多く、これは一種のリスキリングです。異業種や多職種との対話を重ねながら協働していくことが、結果的にPHRの普及にもつながる。そうした俯瞰的な視点をもつことが、今後ますます重要になると感じています。​ 

​​大神:産業医は基本的に「病院の外」が守備範囲なので、情報ツールとコミュニケーションは欠かせません。さて、健康経営の観点から見たとき、コスト面はどうでしょうか。​ 

​​若林:今は「健康経営」という考え方のもと、企業が従業員の健康に投資することが正当化される時代になっています。 
一方で、従業員側に強いインセンティブがないのではと感じることもあります。例えば、健康に気をつける努力が何らかの形で目先の給与や評価に反映される仕組みができれば、意識も変わるのではないかと思います。​ 

​​大神:「人生100年時代」と言われるように、働く期間が70年になることを考えると、30代と60代の健康状態の違いが採用や就業配置の判断にも影響します。企業としては、同じ条件なら30代を採用する方がリスクは少ないと考えるかもしれません。でも、もしPHRのデータで「60代でも非常に健康」であることが客観的に分かれば、その人を採用する企業も出てくるでしょう。 
本来は作業環境や労働管理などは、会社がマネジメントすべきですが、PHRのような健康状態の“見える化”は、そうした判断をより客観的かつ合理的に支える重要な情報になると思います。​ 

​​佐藤:まさにその通りです。PHRを活用して社員の健康状態を継続的に可視化することで、健康経営はより実効性のあるものになります。結果的に社員全体の健康意識が高まり、企業の生産性向上や健保の支出削減にもつながるでしょう。​ 

​​
平時から有事までつながるPHRへ​ 

​​大神:最後に、PHR普及推進協議会に期待すること、また今後に向けたメッセージをお聞かせください。​ 

​​竹田:PHR普及推進協議会には、さまざまな立場の団体や企業が所属しています。そうした皆さまと連携しながら、平時から有事まで、日本国民一人ひとりがPHRを活用できる社会を実現していきたいと考えています。​ 

​​日本は災害の多い国です。備えとして、マイナンバーカードを活用して避難所に必要な薬を適切に届けたり、ドローン企業と連携して僻地へ薬を配送したりする仕組みも考えられます。また、オンライン診療とPHRを組み合わせることで、医師が患者の日常の健康状態を把握したうえで診察を行い、薬を処方・配送することも可能です。​ 

​​そうした「平時から有事への橋渡し」を、皆さんと知恵を出し合いながら実現していければと考えています。​ 

​​佐藤:PHR普及推進協議会が、厚生労働省・経済産業省・日本医師会など、多くの関係機関と連携して構成されているということを、もっと多くの方々に知っていただきたいですね。 
特に、産業医の先生方や人事・経営層の方々にPHRの重要性を理解してもらうことが非常に大切だと、今日改めて感じました。有識者が真剣に議論し、行動していることを広く発信することで、PHRへの関心を高め、長く健康に働ける社会づくりにつなげていければと思います。​ 

​​若林:私たちはパーソナルデータを扱う立場として、「データをどのように活用するか」を多角的に考えることが重要だと感じています。産業医、企業、自治体、国など、活用の可能性はさまざまです。活用のビジョンが具体的に見えることで、データの集め方や共有の仕組みも進化していくはずです。その意味でも、今日のように多様なステークホルダーと意見交換を行う場は、非常に意義があると感じました。​ 

​​池島:やはり“リテラシーを高めること”が何より重要だと感じます。健康診断の結果をきちんと見返す人はまだ少なく、上司が部下の健康状態を把握しているケースも多くありません。社会全体で健康リテラシーをどう高めていくかが、普及の鍵になります。今は意識の高い層が中心ですが、潜在層へのアプローチも欠かせません。そのためにも、精度・簡便性・コストのバランスを高い水準で実現することが、提供側の使命だと考えています。​ 

​​大神:本日はお忙しい中、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。 
本日の議論をもって、第5回PHRサービス事業者座談会を閉会といたします。​ 

​​​​​

本座談会における、PHR普及推進協議会 賛助会員のサービス紹介​​​ 

​​ SaluDi​​沢井製薬株式会社​ 

体重、脈拍、血圧、歩数、カロリーなど​​、日々の健康データをまとめて記録・管理できるPHRアプリ。健康診断の結果や病院での診察情報も一括管理でき、必要に応じて日々の健康データを医療従事者と共有す​​ることで、未病・予防・診療支援に役立てる。さらに、対面だけでなく医療機関のオンラインでの診療・服薬指導・栄養指導などにも活用可能。​​​​     ​​​ 
・サービスページ:​https://www.sawai.co.jp/saludi/ 


『カオカラ』​​​株式会社DUMSCO​​ 

​ AIで顔の変化を解析し、​​​暑熱​​​​     ​​​リスクなどを“見える化”する暑熱対策AIカメラ。管理者や作業員がリスクに気づき、迅速に対策をとれるよう、​​株式会社ポーラメディカルと共同で​​開発と実証試験を重ね、2024年に製品として販売を開始。ポーラ・オルビスグループの化粧品開発で培った顔解析技術を応用し、誰でも直感的にリスクを把握できる設計で、現場の暑熱対策を支援。WBGT(暑さ指数)にも対応。 
・サービスページ:​https://kaokara.jp/​ 

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【対談 参天製薬×日本マイクロソフト】マイクロソフトの生成 AI 技術が貢献する製薬 DX の未来 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/12/24/santen-microsoft-2025-blog/ Wed, 24 Dec 2025 06:25:00 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2025/12/24/santen-microsoft-2025-blog/ 製薬業界では生成 AI の技術が研究・開発、製造・サプライチェーン、営業・マーケティングといったバリューチェーン全般に広く利用され始めています。ビッグ・ファーマが生成 AI を活用した大幅な業務時間削減を報告するなど、その競争力への影響は目に見える形で表れてきています。

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製薬業界では生成 AI の技術が研究・開発、製造・サプライチェーン、営業・マーケティングといったバリューチェーン全般に広く利用され始めています。
ビッグ・ファーマが生成 AI を活用した大幅な業務時間削減を報告するなど、その競争力への影響は目に見える形で表れてきています。

眼科領域のリーディングカンパニーとしてグローバルにビジネスを展開する参天製薬は、2025 年 5 月に 2029 年度までの中期経営計画を発表しました。「成長の加速」と「基盤の強化」を両輪とし、海外市場戦略や新規疾患領域への参入をはじめとする 6 つの主要イニシアチブを通じて前回の中期経営計画を超える収益数値目標に挑んでいます。

参天製薬の中期経営計画を支える DX 戦略の中でも、特に重要となるのが「生成 AI 活用の推進と高度化」です。2025 年 10 月、参天製薬は Microsoft 365 Copilot(以下:M365 Copilot)を全社導入し、先行導入していた Azure OpenAI Service をベースとした生成 AI サービス「Santen AI Chat」と共に、
マイクロソフトの生成 AI 技術で大きな成長と持続可能なビジネスの実現に取り組んでいます。

今回は、DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇による対談を通して、製薬業界における生成 AI 活用の現状と展望をご紹介します。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇

参天製薬の中期経営計画における DX 戦略

西脇 資哲(以下:西脇)
参天製薬さまは 2025 年から 2029 年までの中期経営計画を発表されました。前回の中期経営計画も早々と達成し、会社として成長を続ける中で、眼科領域のグローバルカンパニーとしてリーディングポジションを取っていくことを大きな目標として掲げられており、その内容も攻めの中期経営計画となっているようにお見受けします。一方で、守りの部分も当然必要かと思います。そこを IT でどのように担保していくか。中期経営計画を拝見すると、IT に関しては大きく 2 つのキーワードがありました。「データとセキュリティ」、そして「基盤」という表現、データ基盤や調達基盤というところが重要になってくるのかと思います。そういった中期経営計画を牽引、サポートしていくデジタル・IT 部門の中で、皆さんはどのような役割、お立場にいらっしゃいますか。

中田 大介氏(以下:中田氏)
私はチーフ デジタル & インフォメーション オフィサーとして、デジタルとITの両方を担当しています。製薬業界のみならず、あらゆる業界でデジタルと IT への依存度が高まっており、それらの重要性はますます増しています。事業基盤を継続的に強化しつつ、さらなる成長を実現していく中で、とにかくデジタルと IT に関わることは全て引き受ける――これが私のスタンスです。

武末 有香氏(以下:武末氏)
私は、中田の下でグローバルのデジタルイノベーションというチームをリードしています。私のチームは大きく 2 つあり、1つが生成 AI、RPA などを担当するデジタルソリューションチーム、もう 1 つがデータ分析のケイパビリティ強化を全面的に担うチームです。

大東 達也氏(以下:大東氏)
私は、武末の下にあるデジタルソリューションという生成 AI のチームでプロダクトマネジメントを担当しています。M365 Copilot をはじめとした生成 AI ソリューション一般の開発、導入、運用が主な領域です。

西脇
中田さんは、会社の株主総会や経営者会議などにご出席されているかと思いますが、中期経営計画における IT の関わり具合や役割は、最近どのくらい増えていますか?

中田氏
着実に増えていると感じており、この 1 年だけでも、その傾向は顕著だと感じています。例えば、ランサムウェアについては国内外で大規模な被害が相次ぎ、社会問題化しています。ビジネス継続のためにはデジタル・IT基盤の安定化を進める必要があり、「守り」の重要性は確実に高まっています。一方、「攻め」の観点についても、例えば AI がメディアで毎日のように取り上げられるように、非常に注目されています。当社では、「攻め」の取組みとして、特にデータ&アナリティクスと生成 AI にフォーカスして取り組んでいます。

西脇
データアナリティクスやデータの活用というのは、製薬会社の場合ですと具体的にどういうものが対象となりますか?

武末氏
製薬業界独自では無いですが、販売の領域で言えば CRM(顧客関係管理)はその 1 つですね。私たちのビジネスは 医師の処方を通じて患者さんにお薬をお届けする形が中心です。直接の顧客となる医療機関の医師の顔が見える距離感にありますが、一人ひとりの考えやニーズを MR やメディカル担当者とのやり取りだけでなく、データから正確に把握し、質の高いエンゲージメントを提供することがとても大切です。

西脇
なるほど。私も含めて、一般的な参天製薬さまのイメージは薬局で購入する目薬になると思うのですが、実際のポートフォリオは医療機関向けの処方箋薬がメインですよね。

武末氏
過去には MR がそれぞれの医師を理解しながら、ある意味感覚的に打ち手を考えてきました。それは今後も大切なのですが、加えてデータを活用していくことが重要だと考えています。例えば「複合的な情報から各医師の重要視する考え方を客観的に把握し最適なアプローチを導き出す」といった取り組みが顧客とのコミュニケーションの質を一段階引き上げることにつながると感じています。

大東氏
研究領域では一般的な実験レベルから、大きいものになると臨床研究に向けたバイオスタティックス(生物統計解析)にも活用されます。弊社でも治験結果の解析や薬の有効性の検証、適切な治験人数の設定などを、R&D 部門の下に置かれたデータサイエンスチームが担当しています。

中田氏
製造やサプライチェーン領域におけるデータ活用についても、現在、大規模なERP統合プロジェクトの一環として進めています。当社では、研究・開発から製造、販売にいたるまで、製薬バリューチェーンの全体を通してのデータ活用と、それによる効果の発揮に向けて取り組んでいるところです。

大東氏
最近は研究の結果だけでなく、その前段階として、そもそも研究の種を見つけるための AI 活用まで広がっています。創薬候補となる化合物について、これまでは何万個も作ってようやく一個当たるかどうかだった世界でしたが、その精度をもっと高めていけるようになる。その意味でも Microsoft Discovery(エージェント型研究開発を実現し、企業の R&D を支援するプラットフォーム)には凄く期待しています。

西脇
マイクロソフトの AI 技術が、参天製薬さまの中期経営計画に則った成長を支援できているというのはとても嬉しいです。データアナリティクスやデータ活用がバリューチェーン全体の力となる、「攻め」の部分で大きく成長を後押ししている、ということですね。では、もう一つの「守り」の部分になりますが、セキュリティ対策については今後どのように予定されていますか?

中田氏
セキュリティについては、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃を含め、特に外部脅威に対する対策に重点を置いて取り組んでいます。グローバル全体のセキュリティを包括的に強化するロードマップを策定し、それに基づいてさまざまな強化策を進めています。また、私たちはサイバー攻撃も広義の災害と捉えており、災害対策や BCP (事業継続計画)にも重点を置いています。2024 年 1 月に能登半島で地震がありましたが、弊社の工場も影響を受けました。セキュリティを含め、災害対策やBCPを強化していくことで、安定供給など、事業基盤の継続的な強化に取り組んでいます。

西脇
自然災害や事故は起こるものと考え、その前提でどう対応し対策を取るか、ということですよね。IT が貢献できることも多い領域です。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇が対談する様子


製薬業界における生成 AI 活用の可能性

西脇
AI を活用するには、先に学び、情報収集しておく必要がありますが、皆さんの部門では、どのような準備や先行的な取り組みをされてきましたか?

中田氏
2024 年 4 月に、無料版の Copilotを全社的に利用できるようにしつつ、M365 Copilotのトライアルを開始しました。当時は、Azure OpenAI Service 上の「社内 ChatGPT」のクオリティが高かったので、同年12 月に Azure OpenAI Service をベースにした生成 AI サービス「Santen AI Chat」を導入しました。

西脇
その当時から現在で、M365 Copilot の評価はどのように変化していきましたか?

中田氏
2024 年 4 月当時は、M365 Copilotより Azure OpenAI Service の方がレスポンスのクオリティが良かったです。ただ、日を追うごとに M365 Copilot も機能が改善されていき、社内でも「便利だね」と評価する人たちが着実に増えていくのを感じていました。

西脇
M365 Copilot はチャットもありますが Teams や Outlook、Word、PowerPoint、Excel といったMicrosoft Office 製品に組み込まれています。参天製薬さまのインフラは Microsoft 365 になっているので、組み込まれているメリットはとても大きいと思います。

大東氏
私は 2024 年 4 月の最初の PoC から M365 Copilot を使っていて、約 1 年半になります。初期のチャットボット時代は LLM 性能比較で Santen AI Chatが強かったですが、今はエージェント的な動きが求められ、Microsoft 365 製品に組み込める M365 Copilot が圧倒的に優位です。最近は M365 Copilot をベースにしつつ、長文や即レスが欲しい時、推論モデルを直接叩きたい時に Santen AI Chat を使っています。

西脇
幅広いサービスの中から、皆さんが必要なものを選んで、会社の中にインプリメントできるということも一つのメリットですね。

中田氏
おっしゃる通りです。ただ、新しいツールについては、デジタル・IT 部門側が想定する使い方と一般社員の実際の使い方には大きなギャップが出ることがあります。多くの企業がさまざまな生成 AI サービスを提供していますが、弊社のような製造業の企業では、それらすべてを高いレベルで使いこなすことは現実的ではありません。だからこそ、できる限り統一された生成 AI サービスを用意し、それを使いこなしていくアプローチをとらないと、その活用による効果の発揮は難しいと考えています。弊社の場合は、統一されたサービスとしてM365 Copilot をグローバル全社員に提供するという選択をしました。

大東氏
実は、M365 Copilot 自体でも、新しい機能がいっぱいあって、今の中田の話と同じことが起きています。全部の機能を全社員に提供しても使いこなせないと思います。ですから「プレビュー機能も試してみたいけど、これはまだ早いよね」といったことが結構ありますね。

西脇
ここまで M365 Copilot の話がありましたが、他に Azure OpenAI Service をベースにした Santen AI Chat がある。これがわれわれから参天製薬さまに提供している生成 AI の領域ですが、少し広く捉えて、生成 AI 全般という視点で、製薬会社さんとしてはどんな期待をお持ちですか?

武末氏
生成 AI によって創薬から上市、そして薬を患者さんにお届けするまでのスピードが上がることは、患者さんや医療従事者にとって大きなメリットです。幅広い可能性の中からより良い薬を見つけられることに加え、最近よく言われる個別医療も進み、患者さん一人ひとりの特性に合った治療をより多く提供できる可能性が高まります。実現にはまだまだ課題はありますが、真のテーラーメイド医療が実現すれば、すべての患者さんにとってとても良い世界になると思います。

西脇
おっしゃる通りです。バリューチェーン全体でデリバリーが短縮され、顧客満足度や利益が向上します。業務効率化で、より多くの顧客と向き合えれば、特化した価値提供が可能です。生成 AI の LLM 比較にこだわる議論は、もはやあまり意味がありません。

中田氏
生成 AI の進化には追随する必要がありますが、まずは M365 Copilot の活用推進に集中していきたいと思っています。そのために、武末の配下には 2 つの組織があったのですが、11 月からさらに 1 つ増やしました。新しいデジタル・IT サービスを社内で定着させるチェンジマネジメントの専門部署です。

武末氏
この新しい部署の立ち上げにより、生成 AI 活用の普及と高度化を同時に実現しようとしています。今までは大東の所属しているデジタルソリューションチームが両方を担っていたのですが、推進と高度化では本来役割が異なるため、今回、組織のチェンジマネジメントを専門とする部署を作り、両輪で進めて行く体制にしました。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏


Microsoft 365 Copilot による変革を支える
コミットメントとチェンジマネジメント

西脇
M365 Copilot の全社導入はどのような計画で進めていったのか、また全社導入を決めた判断の基準はどこにありましたか?

大東氏
3 ヵ月の PoC を経て 2024 年 9 月に正式導入となりました。最初は 300 ライセンスでスタートし、そのうち IT 部門や IT 担当者が 100 人。残りの 200 人は地域と部門を横断するように、各ビジネス部門の IT 担当者に割り当て人数の枠で選定してもらいました。あとは推進担当から特に使って欲しい経営陣や経営企画などにも展開しました。
稼働率を見ても初期から常に 90%は超えていて、今期はほぼ 95%以上、最終的に 2025 年 9 月にはユーザー数も 600 人に増え、たまに 100%をマークしていました。管理用のダッシュボードを見ていても使用時間と使用数が着実に伸びているのが分かっていたので、手ごたえはありました。

西脇
ユーザーが 600 人ぐらいになると、いろんな部門の方々がお使いになっている状態ですよね。皆さんはどんな使い方をされていましたか?

大東氏
利用状況は Microsoft Viva Insights のダッシュボードで管理しているのですが、それによると Teams 会議が一番多くて、次が Outlook です。最近だと M365 Copilot や Web のチャットが会議と同じぐらい使われています。他にも地域ごとや部門単位で見られるようにしているので、このセクションのスタッフはまだ低いな、など稼働状況も把握できます。

武末氏
弊社はグローバルでビジネスを展開している事もあり、リモート環境がベースとなる為、日々のコミュニケーションには Teams が多く活用されています。その為 M365 Copilot との親和性がもともと高かった事もあり、導入後の利用効果はとても高いと感じています。

大東氏
一部の職種によっては、まだM365 Copilotの効果を実感できていないセクションもあります。M365 Copilot が便利で Microsoft 365 の利用が増える、そうして溜まったデータが M365 Copilot にフィードバックされ、M365 Copilot がさらに便利になるというサイクルを回していくことが重要です。

西脇
本当にその通りで、生成 AI を使うには、利用できるデータがなければ意味がありません。そのためにはインフラを整え、統一することが重要です。ところで、想定外の使い方や新しい発見はありましたか?

大東氏
エージェント ビルダーの活用例として、Outlook のメールは通常スレッド外参照ができませんが、「過去メールを踏まえて返信したい」という方がいて、自分の Outlook フォルダーを参照させ、過去のメール内容を基に返信文を作成するという使い方をされています。

西脇
Microsoft Graph の強みは、メール、チャット、予定表、会議、資料まで一元的に確認できる点です。この連携力こそマイクロソフトらしさだと思います。そのように皆さんが積極的に活用していく中で、いよいよ M365 Copilot の全社展開というご決断をされるわけですが、中田さんの背中を一番大きく押した要因はなんでしたか?

中田氏
一つを選ぶのは難しいですね。M365 Copilot の全社導入は、複数の要因を踏まえて総合的に判断しました。ただ、M365 Copilot のトライアルを続けてきた中で、利用者が着実に増えていき、またポジティブな声もだんだんと増えていったことが背中を推した要因の一つであったことは確かです。また、大東による新機能紹介も、私自身の確信につながりました。あと、自社で独自開発する場合は様々な制約により機能アップデートが滞るリスクがある一方、M365 Copilot なら最新機能を迅速に活用できるため、競争力強化に直結します。実は、当初の予定より 2 年ほど前倒しで全社導入することになったので、デジタルイノベーションのチームには大きな負担をかけてしまいましたが、長期的には合理的な選択だと判断しました。

西脇
最終的に、会社から全社導入の承認を得るための提示については、どのようにされたのですか?

中田氏
経営会議にてディスカッションをし、全社に導入して効果を出していこうという合意を得ました。費用対効果については、社内のヒアリング結果やマイクロソフトさんから提供されたデータ等から十分に出せると予測できましたが、それらの数値だけでは机上の空論に過ぎません。実際には、業務の効率化のみならず、人手不足の改善や委託業務の内製化、エンゲージメントの向上など、具体的成果に結びつけることが重要です。グローバル全体での生成 AI の活用推進やその効果の発揮について、経営陣から合意が得られたことは非常に大きかったと思います。また、その判断の前に全経営陣がM365 Copilot を利用していたことも大きな追い風になったと感じています。

西脇
トップの人間が新しい技術を使える状態にしておくって、とても大事なんですよね。少しでも使えば、やはり経営陣も興奮しますからね。

大東氏
生成 AI 導入の本来の価値とは、中長期的に一人一人の生産性、価値、スキルが拡張されることで、中長期的にトップラインが上がるという効果ですが、その因果関係が説明しづらいので、どうしてもボトムライン確保のための費用圧縮の議論になりがちなところが難しいですね。

西脇
ROI の議論は重要ですが、最終的には、経営陣の「これは良い」という評価に左右されます。全社導入後の施策についても伺いたいのですが、一般社員への訴求と利用促進はどのように進めるお考えですか?

武末氏
現在、各部門単位で生成 AI アンバサダーの選出を進めており、各部門長に任命を依頼しています。日々進化し続ける生成 AI の全社導入において、中央部門だけで推進することは難しいため、各部門にアンバサダーを置き、自律的に活用を促進できる体制を目指しています。

中田氏
良いと思うものはどんどん実行していく姿勢で取り組んでいます。例えば M365 Copilot を全社に展開されている企業からゲストを招き、多くの中間管理職を集めて、お話をしながらインプットやフィードバックを得られるようなセッションも行っています。

西脇
導入初期は、生成 AI に任せられない業務もあり、正しい使い方の習得が必要です。トレーニングや意識改革、チェンジマネジメントの重要性を強く感じています。全社導入後の進捗や成果は、どのような基準で評価しますか?

中田氏
大きく分けて 2 つのアプローチを考えています。1つ目は、生成 AI の活用状況を可視化し、誰が使えているか等を把握してさらなる活用推進に繋げることです。2 つ目は、生成 AI の活用によるビジネス影響を評価することです。定性的・定量的指標を両方用いる予定ですが、これは今後走りながら改善していきたいと考えています。

武末氏
それにひとつ加えると、今後評価すべき重要な項目の一つに「はたしてM365 Copilot はすべての職種にとって最適な生成 AI なのか?」という問いがあります。生成 AI の利用ニーズは、立場や職種、部門によって異なる為、場合によってはビジネス特有のニーズに応える AI エージェント等の方が向いているケースも出てくる可能性があります。引き続き活用状況とビジネスニーズを照らし合わせながら、最適な答えを探っていきたいと考えています。

西脇
個々の社内ユーザーとコミットできる評価も生成 AI 活用の促進には重要だと思いますが、この点ではどのようなフォーカスをお持ちですか?

大東氏
私がエンドユーザーに伝えているのは、生成 AI の目的は単なる生産性向上ではないということです。重要なのは、時間やスキル不足が原因でできなかった本来やりたかったことを、生成 AI で可能にすることです。空いた時間も本来の目的に使えるようにすることが大切で、できなかったことができるようになることで社員のエンゲージメントが高まる方が、単純な時間削減より価値があると考えています。

Copilotの導入率などを含むイメージ画像


今後の展望
DX を推進する戦略的投資の 1 つが Microsoft 365 Copilot

西脇
今後、M365 Copilot、並びにマイクロソフトの AI 戦略で、どのようなことを期待されているかお聞かせください

中田氏
今後も、他社に負けないスピードでM365 Copilot をはじめとした生成 AI サービスを進化させ続けてほしい、と期待しています。ただ、どれだけ機能が優れていても、私たちのサイドが活用して業務に影響を与えないと、価値を発揮することはできません。よって、ツールとして進化させ続けるだけでなく、例えば他業界でこんな使い方をして価値を発揮している等の事例や、特に海外の先進的な取り組みについて、継続的に情報提供してもらいたいと思っています。

武末氏
一般社員の中には、生成 AI を難しいものやハードルが高いものだと考えている方もいると思います。私の願いは、一般の社員がIT やテクノロジーを意識せず、誰もが自然に生成 AI を使えるようになることです。生成 AI のチャット機能は自然言語を用いたやり取りで市民権を得ましたが、AI エージェントのような少し高度な機能になるとハードルが上がります。そうした機能も、普通に会話する感覚で使えるようになれば、社員は高度な機能を意識せず活用できる時代が来ると思います。ぜひ、その実現に取り組んでいただきたいです。

大東氏
製品目線では大きく2 つあります。ひとつはエージェントで、自立的にワークフォースとして使えるレベルを期待しています。半年から一年後には「私はいま AI エージェントの HR です」と言える状態になると考えているので、エージェントの活用度が注目ポイントです。もうひとつはドメイン特化型モデルです。ヘルスケアや研究、臨床など特定領域向けのモデルを Azure OpenAI Service 上で活用し、M365 Copilot だけでは対応できない部分をエージェントや特化モデルで補うようになると考えていますので、早くその段階に行けることを期待しています。

西脇
では最後に、眼科領域のリーディングカンパニーとして、DX を通じてどのように企業を変革していくのか、DX を統括する立場からの見解をお聞かせください。

中田氏
繰り返しになるかもしれませんが、事業基盤を継続的に強化しつつ、持続的な成長に貢献する両面的なDXに取り組んでいきたいと考えています。取り組みたいテーマは多々ありますが、「守り」と「攻め」のバランスを取りながら、優先すべき領域にメリハリをつけて投資する必要があります。そのひとつが、今回の M365 Copilot の全社導入なのですが、導入しておしまいという形にせず、その効果を着実に発揮し、中期経営計画の達成に貢献していきたいと考えています。

DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇の集合写真

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Microsoft Azureで実現するAIモデルによる医療画像解析  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/11/20/microsoft-healthcare-blog-202511/ Thu, 20 Nov 2025 05:38:43 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2025/11/20/microsoft-healthcare-blog-202511/ 医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。

医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。
Azure AI Foundry上では、新たに複数の医療画像向けAIモデルがリリースされ、容易に画像の分類、検索、腫瘍部分の抽出、レポート作成等が可能になります。

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Executive Summary 

  • 医療画像分析領域へのAI活用は2010年代より急増しており、特に昨今の大規模言語モデルによって診断精度の向上や医師の業務負荷低減等、新たな価値創出が期待されております。 
  • Azure AI Foundry上では、新たに複数の医療画像向けAIモデルがリリースされ、容易に画像の分類、検索、腫瘍部分の抽出、レポート作成等が可能になります。 
  • 医療画像に関連する取り組みとして、Alliance for Healthcare from the Eye (AHE)での網膜イメージングに関する新たなアプローチが始まっております。 
  • AI/生成AIのような新たな技術革新と各国の法整備やルールのバランスを鑑みて、ヘルスケア業界の様々なステークホルダーがメリットを享受できるようなアプローチを模索していく必要があります。 
  1. 医療画像分析のこれまでのトレンド、重要性 

医療画像分析は従来、放射線科医や画像診断医による経験的解釈に基づき進められてきましたが、近年ではAI技術の進展により大きく変革を遂げています。特に、ディープラーニングを活用した深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像分類、臓器や病変のセグメンテーション、画像再構成など、さまざまな解析タスクで急速にその性能を向上させています [1][2]。 

また、「基盤モデル」と呼ばれるZero shot / Few shot learningに対応する大規模言語モデルが登場し、マルチモーダルの医療画像(X線、CT、MRI、超音波、病理画像など)を横断的に処理可能となりました [3]。 

また、2013年以降、主要な文献データベースにおいて、深層学習を核とする医療画像研究の発表数は年々増加しており、著名な研究者や機関による成果も多数見られます [4]。 

ヘルスケアAIの商業化は急速で、2025年時点でグローバル医療画像解析AI市場は約105億米ドルに達し、2025~2033年の年間成長率(CAGR)は約28%と見込まれています。この成長は、慢性疾患の増加、高齢化社会の進行、臨床現場におけるAI導入の加速などが背景です [5]。 

また、米国を中心に医療機関やシステムレベルでAI採用が急速に拡大しており、ヘルスケア業界全体でAIの導入率は一般企業の2倍以上にまでなっています [6]。 

一般的な医療画像分析の重要性と期待される効果として、下記があると想定されます。 

  1. 診断精度の向上と診断時間の短縮 

AIは微小病変や陰影の検出において人間より高い精度を示す例があり、多くの症例で誤診削減や迅速な診断が期待されています。例えば、スタンフォード大学では胸部X線による肺炎検出で放射線科医を超える精度を達成しています [7]。 

  1. スタッフ負担の軽減と業務効率化 

AIによる自動読影・レポート生成(例:胸部X線所見の自動報告)により、医師や診断技師の業務負担が軽減され、より複雑な症例への対応や患者接触にリソースを集中できます [8]。 

  1. 早期発見・スクリーニングの推進 

AIは偶発所見やリスクの高い集団のスクリーニングに活用されており、早期治療の機会を拡大しています。米国では肺がんや心疾患にも応用が進んでいます [8]。 

本稿では、従来Azure OpenA Service等の大規模言語モデルを提供するPlatformであった、Azure AI Foundry上にて提供される3つの新たな医療画像向けAIモデルの特徴及びユースケース、そして関連する取り組み例をご紹介します。 

  1. Azure AI Foundry上で利用可能な医療AIモデル 

現在、Azure AI Foundry上では様々な医療AIモデルにアクセスすることが可能です [9]。これらのモデルは、Microsoft Researchや、パートナー企業様と共同で開発しております。医療機関様やヘルスケア関連企業様は、このモデルを使用して、特定のニーズに合わせて調整された AI ソリューションを迅速に構築してデプロイし、1から同様のモデルの構築することと比較して、広範なコンピューティングとデータの要件をゼロから最小限に抑えることが可能です。本内容では、Microsoftが1st partyとして提供している3つの医療AIモデルについて、ご紹介いたします。 

1つ目は、“MedImageInsight”という医療AIモデルです [10]。対応する画像の種類は非常に幅広く、X線、CT、MRI、臨床写真、ダーモスコピー(皮膚科画像)、組織病理学画像、超音波、マンモグラフィーなどが含まれます。 

このモデルの評価結果の詳細を記した論文も発表されております [11] 

Fig.1 MedImageInsightによる画像分類のイメージ 
Fig.1 MedImageInsightによる画像分類のイメージ 

本モデルの利用用途としては、下記が想定されます。 

  1. 類似症例検索(画像検索) 

X線画像をアップロードすると、過去の症例データベースから類似画像を検索し、参考情報を提示。皮膚科やマンモグラフィーなどでも同様に、診断補助として活用可能。 

  1. 疾患分類 

新しい疾患や条件に対して、追加学習なしで分類できるため、迅速な対応が可能。例えば、胸部X線で肺炎や結核などの疾患を自動分類が可能に。 

  1. 外れ値検出(異常画像の発見) 

大量の画像データから、異常なパターンを持つ画像を自動検出。研究や品質管理で、データセットのクレンジングにも役立つ可能性有。 

  1. 医療研究のデータ解析基盤 

埋め込みベクトルを使って、疾患間の類似性分析やクラスタリングを実施。新しい診断アルゴリズムや治療方針の研究に活用。 

  1. 教育・トレーニング用途 

医学生や研修医向けに、症例検索や診断練習のためのAI支援ツールとして利用。多様なモダリティの画像を一括で扱えるため、包括的な学習が可能。 

2つ目は、CXRReportGenという医療AIモデルです [12]。医療画像診断のレポート作成には、次のような要件があると理解しております。 

  • 詳細な画像の解釈 
  • 複数の情報の統合(過去の画像との比較を含む) 
  • 正確で自然な文章生成 

これらの要件を満たすため、医療AIモデルは有効なアプローチの1つと想定されます。CXRReportGenは、過去にMicrosoft Researchから発表された放射線画像に関するレポートを作成させるMAIRA-2というモデルと同じフレームワークを利用しております [13][14]。 

本モデルの利用用途としては、下記が考えられます。 

  1. 自動レポート作成(胸部X線検査) 

患者の胸部X線画像を入力すると、AIが所見リストを生成し、放射線診断レポートを自動作成。医師の負担を軽減し、レポート作成時間を短縮。 

  1. 過去画像との比較レポート 

現在の画像と過去の画像を統合し、変化や進行状況を明確に記載。治療効果や疾患の進行度を把握する際に有用。 

  1. 根拠付きレポート(グラウンディング) 

所見ごとに画像上の位置情報を示し、AIが生成した文章の透明性を確保。医師がAIの判断を検証しやすくなる。 

  1. 教育・トレーニング用途 

医学生や研修医向けに、AIが生成したレポートと画像の対応関係を学習。診断スキルの向上に役立つ。 

Fig.2 CXRReportGen にX線画像のレポート生成を依頼するイメージ 
Fig.2 CXRReportGen にX線画像のレポート生成を依頼するイメージ 
Fig.3 CXRReportGen に異常所見を提示させるイメージ 
Fig.3 CXRReportGen に異常所見を提示させるイメージ 
Fig.4 CXRReportGenに悪性細胞の種別の概要を記述させるイメージ 
Fig.4 CXRReportGenに悪性細胞の種別の概要を記述させるイメージ 

そして3つ目は、MedImageParse/MedImageParse 3D、というモデルです [15]。 

生物医学画像の解析は、細胞生物学、病理学、放射線学などの分野で新しい発見をするために欠かせません。 

従来は、画像内のオブジェクトを「セグメント化」「検出」「認識」するタスクがそれぞれ別々に処理されていたため、全体的な解析効果が限定的でした。 

そこで登場したのがMedImageParseです。 

このモデルは、複数のオブジェクトタイプやさまざまなイメージングモダリティに対応し、セグメント化・検出・認識を統合的に実行します。さらに、セグメント化されたオブジェクトに意味情報を付与し、タスク間の相互関係を活用することで、精度を高め、新しい応用を可能にします。 

例えば、ユーザーはシンプルなテキストプロンプトを入力するだけで、画像内のすべての関連オブジェクトを自動的にセグメント化できます。これにより、従来必要だった境界ボックスの手動での指定が不要になります。 

また、MedImageParse 3Dは、CTやMRIなどの断面画像を含む3Dボリューム全体を処理し、3次元のセグメント化マスクを生成します。これにより、より詳細で立体的な解析が可能になります。 

これらのモデルの詳細な仕様や検証結果についても発表されております [16][17]。 

Fig.5 MedImageParseに病理画像上の悪性細胞をハイライトさせるイメージ 
Fig.5 MedImageParseに病理画像上の悪性細胞をハイライトさせるイメージ 
Fig.6 MedImageParseに皮膚科画像上で悪性黒色腫を検出させるイメージ 
Fig.6 MedImageParseに皮膚科画像上で悪性黒色腫を検出させるイメージ 

具体的な利用シナリオは下記になります。 

  1. 病理画像の自動解析 

組織病理学画像から細胞や組織構造を自動的にセグメント化し、異常部位を検出。がん診断や研究における病理画像解析を効率化。 

  1. 放射線画像の臨床支援 

CTやMRI画像で臓器や病変を自動的にセグメント化し、診断補助に活用。3Dセグメント化により、腫瘍の体積測定や治療計画に役立つ。 

  1. 細胞生物学研究 

顕微鏡画像から細胞や細胞内構造を検出・認識し、定量解析を自動化。大規模な細胞画像データの解析に対応。 

  1. 異常検出とデータ品質管理 

医療画像データセットで外れ値や異常な構造を検出し、データクレンジングに利用AIモデルの学習用データの品質向上に貢献。 

*現在、本セクションでご紹介した医療AIモデルは、研究とモデル開発を目的としてリリースされており、臨床現場でそのままデプロイすることは意図されておらず、健康状態や病状の診断または治療を用途として設計されたものではありません。お客様は、医療 AI モデルのあらゆる使用に対して単独で責任を負うものとします。 

  1. 関連する取り組み例 

医療画像に関連する関連する取り組みとして、Alliance for Healthcare from the Eye (AHE)をご紹介します [18]。AHEは、医療機関のコンソーシアムであり、医療システム、医師、保険者、研究者、政策立案者、規制当局、データプライバシーの専門家、産業界および政府の代表者で構成されています。弊社も参画している本取組では、AHEは、現実の医療現場においてオキュロミクス(眼科データを活用した医療技術)の倫理的かつインパクトのある導入を促進することで、手頃な価格の医療へのアクセスを拡大し、臨床成果の向上を目指しています。 

現在の活動内容としては、下記になります。 

網膜イメージングは、糖尿病性網膜症のスクリーニングに使用できる非侵襲的な検査手法です。定期的な網膜スクリーニングが、他の多くの心血管疾患や神経疾患のリスクを特定するために利用できます。 

解決策として、Nuance Precision Imaging NetworkとTHI Harmonyプラットフォームを活用したクラウドベースの医療提供者ネットワークにより、患者と医療提供者は、ロボティックで迅速かつ非侵襲的な眼のスキャンを通じて、全身性疾患や神経疾患の事前スクリーニングに参加できるようになります。 

想定される効果として、簡易的な非侵襲的なスクリーニング手法は、糖尿病などの疾患の早期診断を改善する可能性を持ち、同時に他の臨床状態に関する洞察を提供する可能性もあります。 

MicrosoftとNuanceのプラットフォームのスケーラビリティを活用することで、これらの画像診断手法はより多くの患者に届けられる可能性があります。 

  1. 今後の展望 

上記のように、Azure AI Foundry上から、複数の最新の医療画像AIモデルにアクセスすることができ、クラウドならではのスケーラビリティ等のメリットも同時に享受することが可能です。 

一方で、AI/生成AIが診断・治療に医療的責任を伴う中で、データバイアス、透明性、公平性への検証は不可欠です。また、各国の法律、ルールに基づいたアプローチをとっていく必要があります。 

テクノロジーの発展と安全性への考慮のバランスを重要視ながら、ヘルスケア領域におけるAI活用による既存業務の効率化、新たな価値創造に向けたご支援を継続して参ります。 

参考文献 

  1. Deep Convolutional Neural Networks in Medical Image Analysis: A Review 
  1. Role of Artificial Intelligence in Medical Image Analysis: A Review of Current Trends and Future Directions | Journal of Medical and Biological Engineering 
  1. Foundation Models in Medical Image Analysis: A Systematic Review and Meta-Analysis 
  1. Frontiers | Trends and hotspots in research on medical images with deep learning: a bibliometric analysis from 2013 to 2023 
  1. AI-based Medical Image Analysis 2025-2033 Analysis: Trends, Competitor Dynamics, and Growth Opportunities 
  1. AI Adoption In Healthcare Is Surging: What A New Report Reveals 
  1. Artificial Intelligence in Medical Imaging | AI in Imaging 
  1. 2025 U.S. Healthcare AI Outlook 
  1. Azure AI Foundry ポータル内の医療用の基礎モデル – Azure AI Foundry | Microsoft Learn 
  1. Azure AI Foundry で MedImageInsight 医療 AI モデルを展開して使用する方法 – Azure AI Foundry | Microsoft Learn 
  1. [2410.06542] MedImageInsight: An Open-Source Embedding Model for General Domain Medical Imaging 
  1. Azure AI Foundry で CXRReportGen 医療 AI モデルをデプロイして使用する方法 – Azure AI Foundry | Microsoft Learn 
  1. models CxrReportGen · Azure/azureml-assets Wiki 
  1. MAIRA-2: Grounded Radiology Report Generation – Microsoft Research 
  1. Azure AI Foundry を使用した MedImageParse および MedImageParse 3D 医療 AI モデル – Azure AI Foundry | Microsoft Learn 
  1. models MedImageParse · Azure/azureml-assets Wiki 
  1. models MedImageParse3D · Azure/azureml-assets Wiki 
  1. The Alliance for Healthcare from the Eye 

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生成AIと 先進技術の活用で 加速する医療DX  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/11/18/ebook-accelerating-healthcare-dx/ Tue, 18 Nov 2025 05:55:13 +0000 日本マイクロソフトの ebook『生成AIと先進技術の活用で加速する医療DX』は、ICT の最新事例を交えながら、医療現場の働き方改革やサービス向上、医療DXの推進に役立つ情報を提供しています。 医療機関が存続できずに地域医療が崩壊するような事態を未然に防ぎ、AIを活用することで持続可能な病院経営を実現するために、大いにお役立ていただけるはずです。

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日本の医療現場では、医師や看護師の人手不足、業務の複雑化、患者サービスの多様化、そしてサイバー攻撃などのセキュリティリスクが大きな課題となっています。診断・治療の精度向上と同時に、業務効率化や働き方改革も求められています。さらに、医療情報のデジタル化が進む中、情報漏洩やサイバー攻撃への対策も不可欠でることは言うまでもありません。

こうした課題に対し、AI(人工知能)やクラウド技術の活用が大きな鍵となっています。AIは画像診断や問診支援、医療文書の自動生成など、医療現場の定型業務を効率化し、医師や看護師が本来の診療に集中できる環境を作ります。また、クラウドサービスを活用することで、院内外での情報共有やコミュニケーションが円滑になり、患者サービスの質も向上します。

さらに、スマートフォンやモバイル端末の導入により、医療スタッフの働き方改革が進み、患者との連携も強化されています。端末管理やセキュリティ対策もクラウドベースで一元化できるため、事業継続性やサイバー攻撃への備えも強化されています。

患者側でも、健康情報(PHR)を自分で管理できる仕組みが広がり、診察や予約、健康管理がより便利になっています。これにより、医療機関と患者がデータを安全に連携し、予防や経過観察など幅広い領域で質の高い医療サービスが提供可能となります。

ヘルスケアに向けた AI や先進技術の積極的な活用で医療 DX を推進

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、現場の課題解決だけでなく、医療の質と安全性を両立させるための重要な取り組みです。Microsoftは、責任あるAIの原則に基づき、プライバシー・セキュリティ・公平性・透明性を重視したソリューションで、医療機関の変革を支援しています。

日本マイクロソフトの ebook『生成AIと先進技術の活用で加速する医療DX』は、ICT の最新事例を交えながら、医療現場の働き方改革やサービス向上、医療DXの推進に役立つ情報を提供しています。 医療機関が存続できずに地域医療が崩壊するような事態を未然に防ぎ、AIを活用することで持続可能な病院経営を実現するために、大いにお役立ていただけるはずです。

以下にその内容のご紹介しますので、興味を持たれた方はぜひダウンロードしてご活用ください。

ebook『生成AIと先進技術の活用で加速する医療DX』

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​​PHR座談会第4回「​​マイナポータル×PHRが拓く、健康情報の新しい循環」​  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/09/30/phrsyposium_phr-services-04/ Tue, 30 Sep 2025 05:57:22 +0000 人の生活に紐づく健康・医療・介護等に関するデータであるPHR(パーソナルヘルスレコード)を考える座談会、 第4回のテーマは「​​マイナポータル×PHR が拓く、健康情報の新しい循環​​」です。​

​​今回はデジタル庁 三浦 明 審議官を迎え、政府が推進する医療DXの取り組みや、マイナポータルとPHR連携の可能性、民間企業や​​PHR普及推進協議会への期待​​について、​​意見を交わしました。​

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​​(左から)三浦 明・石見​ ​拓、大山 訓弘(敬称略)​
​​(左から)三浦 明・石見​ ​拓、大山 訓弘(敬称略)​ 

人の生活に紐づく健康・医療・介護等に関するデータであるPHR(パーソナルヘルスレコード)を考える座談会、 第4回のテーマは「​​マイナポータル×PHR が拓く、健康情報の新しい循環​​」です。​ 

​​今回はデジタル庁 三浦 明 審議官を迎え、政府が推進する医療DXの取り組みや、マイナポータルとPHR連携の可能性、民間企業や​​PHR普及推進協議会への期待​​について、​​意見を交わしました。​ 

​​[対談者]​ 

​​・三浦 明 デジタル庁 国民向けサービスグループ次長/審議官​ 
・石見​​ ​​拓 一般社団法人PHR普及推進協議会 代表理事/京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野 教授​ 

​​[聞き手]​ 

・大山 訓弘 一般社団法人PHR普及推進協議会 理事/日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 安全保障・自治体戦略統括本部長 


医療DXの全体像とデジタル庁の役割​ 

​石見:はじめに、デジタル庁として取り組まれている医療DXについて、お聞かせいただけますか? 

三浦 明 デジタル庁 国民向けサービスグループ次長/審議官
三浦 明 デジタル庁 国民向けサービスグループ次長/審議官

三浦:医療DXの政策は厚生労働省が中心となって立案し、私たちデジタル庁はその実現をデジタルの力で支援・推進しています。目指しているのは、​医療​DX​による医療の効率化や質の向上​です。たとえばエストニアでは、救急搬送時に医師が電子健康記録(EHR)を通じて、基礎疾患や服薬情報を即時に確認できます。日本でもこうした仕組みを目指していますが、課題となるのが「個人をどう特定するか」です。日本​の医療提供体制​は、​人口当たりの医療機関数が多い一方​​で​​規模が小さく、また、民営​の​割合が多いといった特徴があります​。医療保険制度も被用者保険と地域保険の二本​建​てとなっており、​保険者をまたぐ異動が避けられない​構造です。​このような中で、医療情報を​個人に正確​に紐づけること​は、​難しい​課題でした。​ 

​​その転機となったのが、「被保険者番号の個人単位化」です。​被用者保険では、​扶養家族が同じ番号を共有していたため、​家族のうちの​誰がどの診療を受けたか​記録されていません​でしたが、個人に固有の番号を割り当てる制度へ移行したことで、データの正確な管理が可能になりました。さらに技術の進展や情報基盤の整備が進み、日本でもようやくPHRや医療DXを本格的に展開できる土台が整ってきたところです。​ 

​​
医療データの現状と課題、デジタル化の進捗​ 

​​三浦:医療データは大きく2つに分けられます。ひとつは診療に関わるカルテ情報、もうひとつは診療報酬の請求に使われるレセプトデータです。この2つが分かれて存在しているのは日本の特徴で、それぞれに利点と課題があります。 
たとえば、レセプトはオンライン請求が徹底され、現在ではほぼ完全に電子化されています。また「出来高払い制度」によって、医療行為ごとの詳細な記録がデータ化されているのも強みです。一方で、検査値のような診断や治療に直接関わる詳細な医療情報は含まれておらず、病名の表記にも制度上の​特性​があるため、分析や活用には限界があります。日本の医療機関は民間主体で、カルテも各医療機関の業務システムとして使われているため、標準化やデータの統一が進みにくい状況です。それでも近年になって、データの標準化や共有に向けた議論がようやく進みはじめています。​ 

​​さらに、介護保険制度の導入により、医療と福祉の連携も求められるようになりました。高齢化の進展とともに、医療と介護を一体で把握し、連携していく必要性が高まっています。そのためには共通の情報基盤が欠かせないという認識も広がっています。​ 

​​期待は大きい一方で、現実には課題も多くあります。医療は非常に専門性が高く個別性の強い現場であり、​データの標準化は大きな課題です​。​また​、医師にとって使いやすいUI/UXを設計するには、現場の業務や思考を深く理解することが不可欠です。 
そうした医療の個別性のなかで「標準化」や「デジタル化」をどう実現していくかは、非常に難易度の高いテーマだと感じています。​ 

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PHRの実現に向けた課題と展望。制度と現場の調和を目指して 

​​三浦:日本では、PHRとEHRを分けて考える見方が根強く​あり​ます。​​患者さんの情報という観点からは、​統合して考えても良いと思​いますが、PHRに含まれるデータ​では​「どこで、どう測定されたか」という信頼性の​問題があり​ます。たとえば血圧計をひとつとっても同じ機器を使っていても測定​の​方法で数値が変わります。家庭で記録されたPHRのデータと、病院という一定の管理下で記録されたデータを同列に扱ってよいのか、という議論は避けて通れません。​ 

石見​ ​​拓 一般社団法人PHR普及推進協議会 代表理事/京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野 教授​
石見​ ​​拓 一般社団法人PHR普及推進協議会 代表理事/京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野 教授​ 

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石見:PHR推進協議会も、「本人を起点にした仕組みにしたい」という考え方を基本に据えています。たしかに、医師の診断などは必ずしも“本人から直接生まれた”データではないかもしれませんが、家庭での記録や家族による記録など、PHRに含まれる情報の多くは、本人や身近な人から生まれたものだと考えています。​ 

​​だからこそ、そうした情報を​​​​本人や家族が自らの意思で管理し、自分たちの健康や暮らしのために活用できるようにする。それがPHRの基本思想であり、私たちはその考え方を軸に、仕組みの設計や制度のあり方を検討しています。​ 

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医療リテラシーと行動変容──PHRの本質と今後の課題​ 

石見:こうした流れが実現しつつある背景には、医療の進歩に加え、社会からのニーズの高まりがあります。たとえばセルフケアが重要になる超高齢社会や、シェアード・ディシジョンメイキング(共同意思決定)、個別化医療などの概念の浸透によって、医療の主体が徐々に本人側へと移ってきているのが、今の大きな特徴です。​ 

​​さらに、デジタル技術の進化と制度整備も加わり、いよいよ本格的な転換点を迎えていると感じます。その象徴がマイナポータルです。本人確認の仕組みが整い、今ではデータを自ら管理・共有できるようになってきました。これにより、長年「本人のためにデータを活用したい」と願っていた人々――​​たとえば​​​​第3回座談会で紹介した丹波篠山のような地域の取り組み​​――も、ようやく環境が整ってきたと実感できる時代に入ったのではないでしょうか。​ 

​​三浦:そうですね。健康や美容などに関するリテラシーも全体的に向上してい​ると思い​ますし、疾患構造の変化も大きな要素です。かつては外傷性の傷病が多かったのが、今では生活習慣病が中心になっています。これは、自分の健康を日々の行動でコントロールすることで予防できる病気が増えてきた、という社会の変化を反映しています。​ 

​​石見:そうですね。加えて、医療の目標も変わってきました。かつては「病気を治す」が主な目的でしたが、今では「生活の質(QOL)をいかに保つか」「より良い人生をどう生きるか」といった視点にシフトしています。そうした時代では、客観的な数値だけでなく、本人の主観や意思がより重視されるようになってきています。​ 

​​三浦:ただ、リテラシー​の​高まりが実際の行動変容につながっているのかは、これからの課題ですよね。​ 

​​石見:おっしゃる通りで、リテラシーがあっても最初の一歩を踏み出すのは簡単ではありません。現状は、本人だけでなく、サービスを提供する医療者側のリテラシーも含めて、まだ課題は多いと感じています。「これは本人のデータである」という基本的な認識が、社会全体にはまだ十分に浸透していない印象です。こうした意識がなければ、「このデータをどう返すか」「どう活かすか」といった視点は生まれにくいと思います。​ 

​​石見:医療者にとって、こうしたデータはあくまで「治療のための情報」として扱われてきました。そのため、「このデータを患者に返すことでどんな価値があるか」という視点が欠けていたのだと思います。医療者自身の価値観を見直さなければ、PHRの推進そのものを妨げてしまう可能性すらあります。実際、以前はカルテ開示に抵抗​感を持つ​医師も多くいました。ただ、「データは本人のものである」という意識が社会に根付いていけば、「開示しない」という発想そのものが徐々に薄れていくのではないかと思います。​ 

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データの“質”をどうコントロールするか​ 

三浦:データと診断の関係について伺いたいのですが、取得したデータが実際にはあまり活用されていないケースもあるのでしょうか。​さまざまな環境下で継続して​測定​すること​は重要​だと思いますが​、データには​測定環境に応じた“ばらつき​”があることを考慮すべきだと感じています。​ 

​​石見:おっしゃる通りで、データには揺らぎという性質があります。そのため、データの“質”をどうコントロールするかが非常に重要です。たとえば血圧であれば、動いた直後に測る数値と、医療機関で安静時に測る数値とでは意味が異なります。それでも私は「どんな状況であれ、データは事実」と考えています。コントロールされていない環境で得られたデータをどう読み解くか、という視点は今後ますます重要になるでしょう。​ 

​​むしろ、自由に過ごした後のデータにこそ価値がある場合もあります。たとえば、運動や入浴前後に血圧が大きく変化する人は、何らかのリスクを抱えている可能性があります。そうした変化から、血管やホメオスタシス​​​(​​​(​​体の状態を一定に保とうとする仕組み​​​)​​​)​​の異常が見えてくることもあります。これまで取ってこなかった種類のデータが、新しい発想につながるかもしれ​ません​。血圧や血糖値など、データの種類によって着目点は異なります。​データの由来​も含め、一つひとつのデータを丁寧に記録しながら集めることが重要です。PHR普及推進協議会でも、項目だけでなく「どこから来たデータか」も含めた標準化が議論されています。​ 

​​三浦:測定の状況をきちんと記録することが、データの意味を正しく読み解くうえで欠かせないのですね。​ 

​​
マイナポータルとPHRの連携による利用価値​ 

​​石見:その観点でも、マイナポータルは非常に重要な仕組みだと感じています。​ 

​​三浦:そうですね。マイナポータルは、マイナンバーカードを基盤とした政府の情報連携の窓口です。ヘルスケアはその一部ですが、PHRとの連携が進んだことで、データ活用の基盤が整いつつあります。マイナポータルAPIの利用者は、2年間で110​​者​​から約200​者​へ、医療・健康分野では10者から40者へと約4倍に増えています。​ 

​​石見:一つの窓口で自分の情報にアクセスできるのは、国民にとってとても便利ですよね。私も確定申告でその便利さを実感しました。ふるさと納税の情報が自動で反映されていて、デジタル化の利点を感じました。身近な接点を入り口に、PHRへの関心が広がることが期待されます。​ 

​​三浦:今後は、介護情報​など​も追加され、政府が保有するデータがより多く開かれていくことで、国民にとっての価値も高まっていくはずです。​ 

​​石見:ただ、医療情報の活用にはリテラシーが必要です。生活習慣病のような慢性疾患の管理には、情報を正しく使う力が求められます。そのためには、教育や啓発活動が不可欠です。特に救急災害時に、自分の重要な情報をマイナポータルに保管し、すぐに共有できる仕組みが必要だと思います。​ 

​​三浦:防災分野でマイナ​ンバーカード​を使った実証実験が進められていて、避難所でのチェックイン手続きの手間を約9割削減できた​という実証結果​もあります。薬や基礎疾患の情報も、災害時の支援に大きく貢献できそうです。​ 

​​石見:PHRを通じて民間や自治体と連携し、ベースとなる国のサービスに付加価値を加えることが大切だと感じています。特に災害時の迅速な情報共有や感染症対策など、事前に備えておくことが、いざという時に真価を発揮します。​ 

​​
医療情報の開示と個人情報のリスク管理​ 

​​三浦:避難所での疾患名や服薬情報などの情報提供​を、どこまでの範囲で共有できるようにするか​は​、​慎重な判断が求められます。マイナポータル​APIを通じて提供される場合​も、​配慮が必要となるでしょう​。​ 

​​石見:先日、デジタル先進国であるフィンランドを訪れた際、医療情報の取り扱い方を見ました。国民は閲覧可能ですが、データ自体は​本人に移り​ません。日本は一歩進んだ取り組みをしていると感じましたが、やはりリスク管理を丁寧に行う必要がありますよね。​ 

​​三浦:そうですよね。ルールの設計についても、これまでは政府主導で民間がその枠内で工夫するという構造でしたが、今後は共に考える姿勢が求められます。​ 

​​石見:万一トラブルが起きれば、信頼や安心が一気に失われる可能性もあります。透明性が損なわれると、一気に後退しかねませんね。​ 

​​三浦:だからこそ、見える形での連携と、意見を柔軟に反映できる仕組みが大事です。原則で安全を確保し、例外を柔軟に扱う運用が必要だと思います。慎重に、着実に進めるべきです。技術の進化に対応するのは、医療業界にも大きな課題です。患者もネットなどで情報を積極的に調べられるようになり、医療者側もそれに備える必要があります。国民のリテラシー向上は、医療現場に影響を与えています。生活習慣病の対応ひとつ取っても、情報の扱い方次第で大きく変わってきます。​ 

​​石見:医療が患者主体に移行している流れですね。昔は医師主導が当たり前でしたが、今は対等に近づき、治療やデータ活用も共同で進める時代になっています。​ 

​​三浦:インフォームドコンセントが導入され​て時間が経ち​今では​、患者がご自身の治療方針を決定することが定着してきているように思います​。​ 

​​石見:情報が溢れて​く​ることで、それに対する葛藤も生まれるでしょう。医療者​の関わり方​もさらに変化していく必要があります。​ 

​​三浦:結局、患者のリテラシーもさまざまで、非常に高い知識を持つ患者もいれば、逆にあまり関心を持たない患者もいますよね。​ 

​​石見:まさにその通りです。それに応じて、医療の提供方法も​個別化が​求められています。個々のニーズに合わせた柔軟な医療サービスが今後ますます重要になると感じています。​ 


データの「意味」を伝える重要性と民間企業の役割​​

石見:PHRサービス事業者に対する期待や、民間の電子カルテ共有サービスとの連携に関する今後の展望についてお聞かせいただけますか?​ 

​​三浦:データとして「こういう情報があります」と示すこと自体は可能でも、それが一人ひとりにとってどんな意味を持つのかという​ことを伝えることが大事だと思いま​す。現状、そういった価値の翻訳がされていないまま、いわば“生の状態”でマイナポータルなどを通じて情報が提供されています。ですから、その情報が個人にとってどんな意味があるのかを、丁寧に伝えるようなUXを民間にはぜひ期待したいです。 
 
また、これからの時代においては、より適切で健全な規制のあり方についても、あらためて検討していく必要があると考えています。​医療や健康に関する情報は​個人にとって極めて重要なデータで​すので​、たとえ本人の同意がある場合であっても、その取り扱いには慎重かつ謙虚な姿勢が求められるはずです。これまでは、「既存のルールの範囲内であれば問題ない」「明確な規定がなければグレーゾーンとして扱う​」「抵触する規定がなければ行っても構わない​」といった風潮も見受けられましたが、今後は社会全体からの厳しい目にさらされる場面が増え、企業のみの問題にとどまらなくなる可能性があります。だからこそ、業界全体としてこうした課題にどう向き合っていくかを、協議会などの場を通じて真摯に議論していくことが不可欠だと考えています。​ 

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規制と自由のバランス―業界の未来を形作る“自主的な対応”の必要性​ 

​​石見:まずはPHR推進協議会やPHRサービス提供者との連携を深めながら、医療者、民間事業者、自治体など業界全体が一丸となって、前向きにPHRサービスの信頼を高めていく必要があります。国がすべてを決める時代ではなくなってきており、だからこそ今は良い流れにあると感じています。国が基本指針を示し、PHR普及推進協議会などがガイドラインを作成して、業界全体の底上げを図ろうとしているのは、とても重要なことだと思います。​ 

​​三浦:おっしゃる通りです。過度な規制が導入されると、自由な取り組みが難しくなる懸念もあります。データの流通には常にリスクが伴うため、慎重な意思決定が求められます。異なるステークホルダーが持つ価値観を考慮した制度設計が重要だと感じています。​ 

​​行政は、社会からの要請に応じて、時には厳しい対応を取らざるを得なくなることがあります。その結果、せっかくの市場が縮小してしまう可能性も否定できません。​医療ITの​分野でも、過去にそのような経験をされたのではないでしょうか。​ 

​​このような事態を繰り返さないためには、業界の各プレーヤーの想像力と責任感が重要です。自主的にルールを整備し、責任ある行動を積み重ねることが、過度な規制を避けながら、健全な成長を促進するための鍵となります。その部分に関しては、日頃からマーケットと向き合っているPHR推進協議会やPHRサービス提供企業の皆様だからこそできることだと感じています。​ 

​​石見:多くの課題があると同時に、大きなチャンスも感じています。民間だけで解決できるものではありません​ので、​PHR推進協議会のような​様々な立場の者が集う「​場​」​の重要性が高まっていると思います。医療者、アカデミア、行政​、民間事業者​といった異なる立場の人たちが議論して合意を作ることで、今のような複雑な課題も乗り越えていけると信じています。民間の方々にも、ぜひ積極的に参加していただきたいですね。​ 

​​三浦:可能性は本当に大きいと思います。行政ができないことを、民間は多く実現できますし、市場化の可能性も広がっています。そうした中で、どう振る舞っていくか。協議会は業界全体を考える貴重な場なので、共通の視点を持った仲間が増えていくことを願っています。​ 

​​石見:そうですね。今後、ガイドラインも発表されますが、データの標準化やコア項目の整備を進め、民間の皆さんにもぜひ参加してもらいたいです。それが、この世界を広げる鍵だと思います。最終的には「本人主体」というコンセプトを社会全体が理解し、受け入れていく必要があります。本人が望む形でデータをつなぎ、シェアできる社会をつくるためには、基盤づくりが欠かせません。​ 

​​
「誰一人取り残さない医療DX」実現に向けてデジタル庁が拓く未来 
​​(左から)三浦 明・石見​ ​拓(敬称略)​


​​石見:デジタル庁が掲げる「誰一人取り残さない医療DX」に向けた、多様な方々への配慮や課題について、最後にコメントをお願いします。​ 

​​三浦:​質問に対するお答えになっているかわかりませんが​、病気の兆候や診断が難しい超希少な難病がビッグデータを活用して早期に見つかる可能性​には期待しています​。原因がわからず何十年も苦しんでいる人々がいます。その現実を少しでも解消できる未来を切り拓ければと願っています。​ 

​​また、「誰一人取り残さない」とは、災害時や救急時に必要な情報にアクセスできるようにすることや、日常生活で静かに取り残されている人々に気づき、支援できることが含まれます。知っている/知らない、使える/使えないという段階を意識しながら、単にアクセスできるだけでなく、誰もが「使いこなせる」状態にすることが重要だと思います。​ 

​​医療は生活の一部であり、視覚に制限がある方や、遠隔地で医師不足の地域に住んでいる方々のためにも、デジタル技術を活かした新しいアクセシビリティを模索し続けることが求められます。医療DXが本当に人々に寄り添ったものとなることを目指しています。​ 

​​石見:フィンランドで印象的だったのは、高齢者などスマホに不慣れな人々にもきちんと対応する姿勢でした。たとえば、電話で説明できる体制を整えておくことなど、シンプルながら重要な工夫がされていました。日本でも医療やヘルスケアにデジタル基盤を取り入れる際には、すべての国民がその恩恵を享受できることを前提に進めるべきです。デジタルが苦手な人々にもサポートを提供することが、PHRサービスの信頼性を高め、広く受け入れられるポイントになると思います。​ 

​​三浦:医療が「与えられるもの」から「参加するもの」へと変わ​っていく​中で、その意識の変化も含めて、デジタル化なのではないでしょうか。マイナ保険証に抵抗感を持つ人もいますが、それが災害​発生​時​や救急搬送の際に自身の医療情報​を提供するなどの恩恵をもたらすことも事実です。選択の自由を尊重する上で、メリット・デメリットをきちんと伝えることが、誰一人取り残さない医療の実現に繋がると思います。​ 

​​石見:そうですね、丁寧に取り組むことが理解と利用の広がりを生むでしょう。​

三浦:日本ならではの進め方ですね。​海外の一部には​割り切った進め方をしている​ところもあ​​ります​​が​、日本は曖昧さをうまく活用し​てい​るように感じることもあります。それが国民性にあった賢いやり方なのかもしれません。​ 

​​石見:日本の規模は大きいので、1億人を超える人々の​コンセンサス​を得るのは簡単ではありませんが、そのためにこそ慎重に進めるべきですね。​ 

​​三浦:そうですね。1億人に電子証明書を配布し、本人認証ができる国というのは世界的にも素晴らしいことだと思います。​ 

​​石見:その通りです。今、日本が推進している取り組みは非常に壮大で素晴らしいことだと、もっとポジティブに捉えていくことが大事かもしれませんね。​ 

文:吉田めぐみ 

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国際モダンホスピタルショウ2025にて、生成AIの未来を語る ― 日本マイクロソフトが登壇  http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/07/25/hospital-show-2025/ Fri, 25 Jul 2025 10:33:10 +0000 http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/uncategorized/2025/07/25/hospital-show-2025/ 2025年7月16日(水)〜18日(金)に東京ビッグサイトで開催される「国際モダンホスピタルショウ2025」にて、医療・介護・福祉分野における最新技術とソリューションが一堂に会します。今年の注目は、生成AIをテーマにした特別セッション「生成AIショウケース」。このセッションに、日本マイクロソフトが登壇しました。

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2025年7月16日(水)〜18日(金)に東京ビッグサイトで開催された「国際モダンホスピタルショウ2025」にて、医療・介護・福祉分野における最新技術とソリューションが一堂に会しました。今年の注目は、生成AIをテーマにした特別セッション「生成AIショウケース」。このセッションに、日本マイクロソフトが登壇しました。

登壇セッション概要 
セッション名:生成AIショウケース 
日時:2025年7月18日(金)12:00〜13:20 

内容:生成AIの概要と会場の見どころを解説し、Microsoft 他からワールドワイドの現状と展望という題目で最新動向を紹介しました。また、内閣府の国産生成AIプロジェクトの現状を解説し、医療への応用を展望しました。 

モデレーター:帝京大学 医療情報システム研究センター 教授 澤 智博氏

登壇者:
 ・アマゾンウェブサービスジャパン(同)パブリックセクター ヘルスケア事業本部 プリンシパルビジネスディベロップメントマネージャー 遠山 仁啓氏
 ・日本マイクロソフト株式会社 技術統括室 クオリティエンジニア 博士(医学)千葉 慎二
 ・株式会社プレシジョン 代表取締役・医師 佐藤 寿彦氏
 ・東京大学医学部付属病院 循環器内科 小寺 聡氏 

詳細は公式サイトをご覧ください:国際モダンホスピタルショウ2025 


イベント名:国際モダンホスピタルショウ2025 
主催:一般社団法人 日本病院会 / 一般社団法人 日本経営協会 
特別協力:公益社団法人 日本看護協会 
会期:【展示会】2025年7月16日(水) ~ 18日(金) 3日間 午前10時~午後5時 
(オンライン 2025年6月2日(月) ~ 7月31日(木)) 
会場:東京ビッグサイト 西展示棟 / オンライン 

A close up of a sign

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創薬における AI/ML の活用と Microsoft の取り組み http://approjects.co.za/?big=ja-jp/microsoft-cloud/blog/health/2025/06/10/ai_ml_in_drug_discovery/ Tue, 10 Jun 2025 04:01:44 +0000 新薬の開発には多大な時間と費用がかかる一方で、成功確率は非常に低いとされています。研究開発には十年以上の期間と莫大なコストが必要であり、成功に至る確率はごくわずかです。こうした傾向は日本に限らず世界的にも共通しており、医療ニーズの多様化や創薬ターゲットの減少により、新薬創出の難易度は年々高まっています。

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Ⅰ. 創薬を取り巻く環境とAI/ML活用への期待

一般に、新薬の創出には膨大な時間とコストがかかる一方、その成功確率は極めて低いといわれています。2012~22 年の 11 年間における日本の製薬企業の研究開発に対する医薬産業政策研究所の調査[1]によると、1 新薬をグローバル開発で上市させるまで、基礎研究から申請までの全期間に要する研究開発費は約 131 億円、プロジェクト成功確率は 3.4%(プロジェクト数ではなく合成化合物数ベースの場合は一般に 1/25,000 ともいわれます)、そして所用期間は 14 年 4 か月とされています。調査の対象や推計の方式による数値の振れ幅はあるものの、こうしたコストや成功確率、期間に係る傾向はグローバルでも同様[2]であり、昨今のアンメットメディカルニーズの複雑化や、特に低分子領域における創薬ターゲットの枯渇などにより、新薬創出の難度はますます高まっています。

Fig.1 新薬創出に要する期間とプロジェクト数ベースの成功確率(文献[1]をもとにマイクロソフト作成)

こうしたビジネス環境下で製薬企業各社は、全社・事業戦略レベルでは注力領域の選択や M&A、オープンイノベーション加速等の様々な施策を講じつつ新薬創出プロセスそのものの生産性向上にも努められており、AI/ML の活用はその方策の一つとして高い期待を持たれています。例えば McKinsey & Company 社の試算では、AI/ML の活用により製薬企業は創薬コストを 30〜50 %削減し、パイプラインのスピードを 20 %以上向上させることができるとされています[3]

なお、AI/ML の活用は新薬創出プロセスの全ステージ(標的同定~市販後調査)において多岐にわたるシナリオが考えられますが[4]、本稿では R&D 領域、特に探索研究~非臨床試験のステージにフォーカスし、臨床試験移行のステージにおける AI/ML 活用については別稿に譲ることとします。

A screenshot of a computer
Fig.2 新薬創出プロセスにおける AI/ML の活用シナリオ例(文献[4]をもとにマイクロソフト作成)

Ⅱ. 創薬におけるAI/MLの市場動向と主な活用シナリオ

パイプライン創出に何らかの形で AI/ML が用いられ、かつ 2024 年までに臨床試験(Phase I~III)が開始されている 111 のプロダクトに対するIQVIA社の調査によると、AI/ML による貢献は特に化合物設計( 32 %)や標的同定( 31 %)等の探索研究領域に対する割合が最も高く、次いでプレシジョン・メディシン開発( 18 %)や臨床試験のシミュレーション( 13 %)等が挙げられています[5]。また同レポート内では、2024年にグローバルのライフサイエンス業界の R&D 領域で発生した AI/ML 関連の大規模( 2 億米ドル以上)ディールが 12 件あり、総額約 100 億米ドルに上ったことも示されています[5]。このように AI/ML は、R&D の中でも特に上流の工程である標的同定~化合物設計等の探索研究領域における活用や投資が進んでいると考えられます。

Fig.3 2024年のライフサイエンス業界におけるAI/MLに係る大規模ディール(文献[5]をもとにマイクロソフト作成)

別の観点としてモダリティに着目をしてみると、AI/ML の応用が相対的に容易と考えられる低分子だけではなく、近年は核酸医薬品や、タンパク質・抗体等のバイオ医薬品の創出に対する投資も進んでいます。例えば、Fig.3 に示した化合物探索に係る案件のうち、Genetic Leap 社と Eli Lilly 社の提携はRNA を標的とするオリゴヌクレオチドの創出を目指すものであり[6]、Generate:Biomedicines 社とNovartis 社の提携は複数疾患領域のタンパク質治療薬の創出を目標としています[7]

このように創薬に係る AI/ML への投資と活用はますます拡大していますが、具体的にはどのようなシナリオがあるのでしょうか。本稿ではごく一部に限られますが、以下に例示します。

1)標的同定:

治療標的同定では、健常者と患者の遺伝子(ゲノム)やその発現状況(トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム)のプロファイルを比較するアプローチが主流ですが、これにより見いだされる候補は膨大かつ必ずしも標的として有効ではないことが課題となっており、これを補強・補完するようなアプローチとして、疾患とタンパク質の関係性を AI/ML で予測するような手法が提案されています。ここにおけるAI/MLの用途も様々考えられますが、例としてタンパク質をコードする遺伝子に改変(ノックダウンや過剰発現化)を加えた際のトランスクリプトーム( mRNA プロファイル)から対象タンパク質の治療標的としての有望性を予測したり、各種データベースに蓄積されたタンパク質間の相互作用や生物学的機能に係る関係性から対象タンパク質が治療標的となりうる疾患を予測したりといった研究が発表されています[8, 9, 10]

2)タンパク質の立体構造予測:

2024 年のノーベル化学賞受賞でも話題となった、AI によるタンパク質の立体構造予測も創薬での活用に高い期待が寄せられています。例えば、標的としての有望性を検証したり実際に標的とする結合部位の特定に繋げたりという観点では広義の治療標的同定に寄与する活用シナリオであり、結合ポケット等の構造を解明することで SBDD(structure based drug discovery)アプローチで後述の化合物探索・設計に寄与する活用シナリオでもあります[8]

3)化合物探索:

化合物探索においては、大量の化合物ライブラリーから有望な候補を見つけ出す従来のスクリーニング型手法に代わり、目的とする薬理特性を持つ化合物構造を直接予測する「逆構造活性相関解析」が注目されています。分子構造の表現としては SMILES や SELFIES、DeepSMILES 等に代表される文字列表記を用い、N-gramや、VAE、GAN、再帰的ニューラルネットワーク、強化学習、自然言語処理で注目を集めている Transformer 等の様々な技術を組み合わせた生成手法が提案されています。また、化合物の構造を文字列ではなくグラフとして捉えて構造生成を行う手法( JT-VAE、Graph-AF 等)や、所望の物性を持つ化合物の構造だけでなくその合成経路も提示する手法( casVAE 等)も提案されています[8]

上記以外にも、化合物の分子プロファイル(合成可能性、体内動態、毒性等)予測やリード分子最適化等、AI/ML を創薬の探索研究領域で活用するシナリオは様々挙げられます[4, 8, 11]

Ⅲ. Microsoftの取り組みや関連ソリューション

当社 Microsoft においても、ライフサイエンス・創薬に特化した AI モデルの開発や、Azure OpenAI やMicrosoft 365 Copilot 等のAIソリューションの活用による探索研究プロセスの生産性向上等の実例があります。

1) BioEmu(Azure AI Foundryで利用可)によるタンパク質構造の予測

BioEmu(Biomolecular Emulator)は Microsoft Research が開発したディープラーニングモデルで、タンパク質がとりうる膨大な構造のアンサンブルを生成することができ、対象タンパク質が生体・溶液中で取りうる構造のバリエーションを理解することに役立ちます。

従来、タンパク質の生体・溶液中での構造を予測する方法としては主に分子動力学(MD)シミュレーションが用いられてきましたが、この手法で示唆を得るには非常に長時間のシミュレーションと膨大な量の計算処理が必要であり、時としてそれは実現可能な範囲を超えてしまうという課題があります。一方 BioEmu は、MD シミュレーションに比べて計算効率が桁違いに高く、1つの GPU で1時間当たり数千のタンパク質構造を生成することができます[12]。ここで、BioEmu の有用性を示唆する研究成果の例をご紹介します。

まずは、BioEmu により未知のタンパク質配列の構造を予測した例です。次の Fig. は、コレラの原因菌 Vibrio cholerae 由来のタンパク質LapDについて、BioEmu が予測した構造と実験で得られた構造を重ね合わせて示しています。対象としたLapDの構造は実験的に知られているものの BioEmu の学習データには含まれていなかったため、BioEmu-1 がその構造の「予測」に成功していることが伺えます。また、BioEmu は実験的にまだ得られていない中間的な構造も予測しているため、対象タンパク質の生化学的なふるまいに対する仮説づくりに貢献しうると考えられます。

Fig.4 コレラ関連タンパク質LapDの構造予測結果 *灰色:実験データ、彩色:予測データ(文献[12]より引用)

これに加えて、BioEmu がごく僅かな計算コストで MD シミュレーションの結果を正確に再現できる(GPU 使用時間が MD シミュレーションの 1 万~10 万分の 1 )ことや、タンパク質の安定性(フォールディングの自由エネルギーΔG )も高い精度で予測しうること等が研究成果としてプレプリントで公表されています[12, 13]。なお、BioEmu は現在、Azure AI Foundry のモデルカタログで選択してデプロイすることが可能です。

A diagram of a graph and a diagram of a graph
Fig.5 MDシミュレーションとBioEmuの予測で得られたProtein Gの平衡分布の比較(左)と、タンパク質フォールディングのΔGに係る実験値とBioEmu予測値の比較(右)(文献[13]より引用)
2) TamGen(Azure AI Foundryで利用可)による化合物構造の生成

TamGen(Target-aware molecule Generation)は、Global Health Drug Discovery InstituteとMicrosoft Researchの共同研究を経て開発されたTransformerベースの生成AIモデル(Chemical Language Model)で、SMILES(Simplified Molecular Input Line Entry System)表記法に変換した分子情報を処理し、標的タンパク質特異的な候補化合物の構造を生成することができます[14]

従来のスクリーニング(in vitroのハイスループットスクリーニング、in silicoのバーチャルスクリーニング等)によってヒット化合物を見出すアプローチは通常104~108程度の化合物ライブラリーを探索しますが、生成AIモデルを活用するアプローチ(Generative drug design)では1060以上ともいわれる広大なケミカルスペースを探索することができると考えられています[15]。Generative drug designアプローチに関してはこれまでも、自己回帰(AR)モデルやGAN、VAE、拡散モデル等の様々なAI技術に基づく手法が提案されていますが、生化学的アッセイによる検証が不足していたり、合成可能性を含むDrug-likenessが不十分であったりといった理由で創薬での実用性が乏しいケースも多くみられました[15]。一方TamGenは、近年提案された5つのGenerative drug design手法(LiGAN、3D-AR、Pocket2Mol、ResGen、 TargetDiff)に比して、標的タンパク質への結合性だけでなく、実際に薬剤化できるかどうか(Drug-likeness)に係る指標においてもよい成績を収めています[15]。より具体的には、標的タンパク質への結合性の指標としてドッキングスコアを、Drug-likenessの指標としてQuantitative Estimate of Drug-likeness (QED)や、医薬品になりやすい化合物の特性を表す経験則Lipinski’s Rule of Five、合成難易度を表すsynthetic accessibility scores (SAS)、そして脂溶性を表すLogP等でベンチマーク評価したところ、TamGenは総合的に最上位にランクされました。

A chart of different colored circles
Fig.6 標的タンパク質への結合性およびDrug-likenessに係るベンチマーク評価の結果(文献[15]より引用)

また、結核菌由来のタンパク質ClpPプロテアーゼを標的として、TamGenによる候補化合物の生成と改良設計、実験による活性確認の組み合わせによる研究の結果として、IC₅₀が40 μM未満の高い阻害活性を示す化合物が14種類、そのうち最も高い活性としてIC₅₀が1.88 μMのヒット化合物が得られており[15]、創薬におけるTamGenの実用性が示唆されています。なお、TamGenは現在、Azure AI Foundryのモデルカタログで選択してデプロイすることが可能です。

Fig.7 TamGenで得た化合物のClpPに対する結合モデル(文献[15]より引用)
3) Azure OpenAI や Microsoft 365 Copilot 等による探索研究プロセスの生産性向上

上記のようにライフサイエンス・創薬に特化したAIモデルの提供だけでなく、Azure OpenAI やMicrosoft 365 Copilot のエージェント等を組み合わせ、探索研究プロセスの生産性を劇的に高めるような活用シナリオも多数存在します。

例えば、Amgen 社では全社的に Microsoft 365 Copilot を活用いただいていますが、特に R&D 部門の研究者向けには Catalyst Copilot と呼ばれるエージェントを独自に構築し、治療領域別に整理されたナレッジやトレーニング ビデオ、製品データベースなどが含まれる膨大な情報に対し、自然言語のクエリで即座にアクセスできる環境を提供しています[16]

また、Boehringer Ingelheim 社ではサイエンス・臨床研究・特許等の特殊な情報も含むデータの量の膨大さと、その中でのコンテキスト(例:特殊な医療用語や略語、表現の揺れ)の複雑さがネックでナレッジ活用に膨大な時間を要していた課題に対し、Azure OpenAI を活用したナレッジマネジメントプラットフォーム iQNow を開発し、グループ全体で約 150,000 時間の労働時間を削減しています[17]。ここではごく一部の例を挙げましたが、日本国内を含むグローバルの様々な製薬企業において、主にナレッジマネジメントのプラットフォームとしてこうした AI/ML ソリューションを活用することで探索研究プロセスの生産性向上を目指す試みが進められています。

Ⅳ. 創薬におけるAI/MLの活用に係る課題と展望

ここまでに述べたように、創薬でのAI/ML活用は市場の期待と現場の研究・応用がますます拡大しており、新薬創出の生産性を劇的に高める可能性を示しつつあります。一方で、in silicoin vitroの適材適所での使い分けは、もちろん当面必要であり続けると考えられます。また、AI/MLによって予測・生成された化合物が現実に合成・入手できないといったin silicoin vitroの境界で起こる問題の解決や、診療情報等のヒトデータと分子データの統合的な解析、構造や物性がより複雑なペプチド・抗体・核酸等新規モダリティ分子での活用等、取り組むべき課題は多く残されています。

こうした課題へのアプローチにおける技術的側面においては、新規モデルの開発や改良、様々なモデルや手法の組み合わせによるAI/ML自体の技術進化は当然ながら、それらをクラウド上で行うことでフレキシビリティやアジリティを高めたり、HPC(High Performance Computing)や将来的には量子コンピューティング等の他の技術と連携させたりといったことがますます重要になっていくと考えられます。


参考文献

[1] 製薬協, データで見る医薬品研究開発の実態, 製薬協ニューズレター, 2024年1月号 No.224.

[2] AI’s potential to accelerate drug discovery needs a reality check. Nature 622, 217 (2023).

[3] McKinsey & Company. Generative AI in the pharmaceutical industry: Moving from hype to reality, January 2024.

[4] Zhang, K., Yang, X., Wang, Y. et al., Artificial intelligence in drug development, Nat Med 31, 45–59 (2025).

[5] IQVIA, Global Trends in R&D 2025. Institute Report, Mar 26, 2025.

[6] Reuters, Eli Lilly partners with AI-focused Genetic Leap to develop RNA-based drugs, September 2024.

[7] Generate:Biomedicines, Generate:Biomedicines Announces Multi-Target Collaboration with Novartis to Discover and Develop Protein Therapeutics with Generative AI, September 2024.

[8] 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS), 研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野, 2024年.

[9] Namba, S., et al., From drug repositioning to target repositioning: prediction of therapeutic targets using genetically perturbed transcriptomic signature, Bioinformatics 38, Issue Supplement_1, (2022), Pages i68–i76.

[10] Han, Y., et al., Empowering the discovery of novel target-disease associations via machine learning approaches in the open targets platform, BMC Bioinformatics 23 232 (2022).

[11] 田中成典, 広川貴次, 池口満徳, インシリコ創薬 計算創薬の基礎から実例まで, 森北出版, 2025

[12] Microsoft Research Blog, Exploring the structural changes driving protein function with BioEmu-1, February 2025.

[13] Lewis, S., et al., Scalable emulation of protein equilibrium ensembles with generative deep learning, bioRxiv 2024.12.05.626885.

[14] Microsoft Research Blog, Accelerating drug discovery with TamGen: A generative AI approach to target-aware molecule generation, November 2024.

[15] Wu, K., Xia, Y., Deng, P. et al., TamGen: drug design with target-aware molecule generation through a chemical language model, Nat Commun 15, 9360 (2024).

[16] Microsoft Windows Blog for Japan, 変革の推進者, 2025年3月.

[17] Microsoft Customer Stories, When everyone speaks the same language: Boehringer Ingelheim speeds up knowledge sharing with Azure OpenAI Service, October 2023.

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日本メディカル AI 学会は、医療分野における AI の最新研究や実践的な活用事例を共有する場として、臨床医、研究者、製薬・医療関係者の皆さまが一堂に会し、医療の質と効率のさらなる向上を目指し、毎年学術集会を開催されています。

【学会開催概要】

  • 会期: 2025 年 6 月 27 日(金)・28 日(土)
  • 会場: 国立京都国際会館(京都市左京区岩倉大鷺町 422)
  • 学会長: 奥野 恭史 先生(京都大学 大学院医学研究科 ビッグデータ医科学分野 教授)
  • テーマ: 彰往考来・医知革新
  • 詳細: 第7回日本メディカルAI学会学術集会


【共催セミナーのご案内】

  • 日時: 2025 年 6 月 27 日(金)11:55~12:45
  • 会場: 第 1 会場(アネックスホール 1)

講演 ①

「電子カルテへの自然言語処理技術の応用-画像レポートの構造化を中心に-」

講師:
松村 泰志 先生(国立病院機構大阪医療センター・大阪大学名誉教授)
杉本 賢人 先生(大阪大学大学院 医学系研究科 医療情報学)

電子カルテに記載された画像レポートを AI で読み取り、構造化する技術についてご紹介いただきます。がん治療の効果判定や診断支援など、医療現場での応用にも触れていただきます。

講演 ②

「マイクロソフト AI の最前線 ~医療分野における AI の活用と未来~」

講師:
千葉 慎二(日本マイクロソフト 技術統括室)

AI の基本的な仕組みから、マルチモーダル AI や独自 AI の構築方法まで、医療分野での活用例を交えながらデモを通して、わかりやすくご紹介します。



日本マイクロソフトは、生成 AI をはじめとする先端技術を通じて、医療従事者の皆さまの業務負担軽減や医療現場の課題解決に貢献し、より良い医療の実現に向けて取り組んでまいります。



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